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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085702
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】エンジン駆動作業機の雨水排出構造
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20230614BHJP
   F02B 63/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
F02B77/13 R
F02B63/00 B
F02B63/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199889
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】尾鷲 真一
(57)【要約】
【課題】 防音ケースの側面から樋等を突出させることなく、アッパーフレームから流れ落ちる雨水がドアハンドルの隙間や吸気口等から機内に浸入しないようにする。
【解決手段】 エンジン駆動作業機のルーフパネル1の天部に、幅方向に横切るように凹溝11が設けられ、防音ケースの側面には、ドアハンドル8,吸気口9付きのドア6,7が設けられている。そのようなエンジン駆動作業機において、凹溝11の両端部底面に受水開口13を設ける。また、ルーフパネル1上面の側縁部に、幅方向中央側から外側に向かって下方に傾斜する傾斜部を設け、該傾斜部に、多数の受水開口22を設ける。そして、受水開口13,22の下側に、上方が開放されていて内部に水を溜めることができる雨水貯留ブラケットを設ける。その雨水貯留ブラケットの先端下部に貯留水排出口を設け、雨水貯留ブラケット内の雨水をドア6,7の側縁の隙間に排出させる。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体と、前記エンジン及び前記作業機本体を収容し、ルーフパネルの天部に、幅方向に横切るように凹溝が設けられ、側面に、ドアハンドル付きのドアを有する防音ケースとを備えたエンジン駆動作業機の雨水排出構造であって、
前記凹溝の両端部底面に受水開口を設け、該受水開口の下側に、上方が開放されていて内部に水を溜めることができる雨水貯留ブラケットを設け、該雨水貯留ブラケットに溜まった雨水の排出口を、前記ドアの側端部に設けたことを特徴とするエンジン駆動作業機の雨水排出構造。
【請求項2】
前記雨水貯留ブラケットと連通させて、前記ドアの側縁内部に縦方向に導水ダクトを設け、該導水ダクトの下端部に、前記ドアの側面に開口する排出口を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動作業機の雨水排出構造。
【請求項3】
前記雨水貯留ブラケットを、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側端部まで延長し、その先端下部に貯留水排出口を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動作業機の雨水排出構造。
【請求項4】
前記雨水貯留ブラケットの底面に貯留水排出口を設けるとともに、該貯留水排出口と連通し、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側面に開口する導水ダクトを、前記ドアの上縁内部に設けたことを特徴とする請求項3に記載のエンジン駆動作業機の雨水排出構造。
【請求項5】
前記雨水貯留ブラケットの底面に貯留水排出口を設けるとともに、該貯留水排出口と連通し、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側端部まで延びる導水ダクトを、前記ドアの上縁内部に設け、該導水ダクトと連通し、前記ドアの下面に開口する導水ダクトを、前記ドアの側縁内部に縦方向に設けたことを特徴とする請求項3に記載のエンジン駆動作業機の雨水排出構造。
【請求項6】
前記ルーフパネル上面の側縁部に、幅方向中央側から外側に向かって下方に傾斜する傾斜部を設け、該傾斜部の、前記雨水貯留ブラケットの上に位置する部分に、多数の受水開口を設けたことを特徴とする請求項3,4又は5に記載のエンジン駆動作業機の雨水排出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動作業機内への雨水の浸入を防止して、漏洩物貯留部への雨水の流入を防止するエンジン駆動作業機の雨水排出構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、下部のベース部に、クーラントやエンジン潤滑油等の漏洩物が外部に漏出しないように貯留しておくための漏洩物貯留部を備えたエコベース仕様のエンジン駆動作業機が多くなっている。一方、エンジン駆動作業機は、エンジンファンにより外部の空気を吸引して防音ケース内のラジエータや作業機本体を冷却しているため、吸気口が必要になるが、防音ケース内が負圧になり、降雨時には、ドアハンドルの隙間や吸気口等から雨水が吸い込まれて防音ケース内に浸入し、漏洩物貯留部が雨水で満杯になってしまい、漏洩物貯留部内の漏洩物が外部に漏出してしまう。
【0003】
そのため、従来のエンジン駆動作業機では、例えば、特許文献1に示されるように、エンジン駆動作業機の側壁面の吸気口上部に柔軟性樹脂よりなる雨樋を設けて吸気口から防音ケース内へ雨水が浸入しないようにしたりしている。また、特許文献2の図8に示されるように、エンジン駆動作業機のアッパーフレーム中央に設けられた凹溝下方の側壁に、樹脂製で樋状の受水部材を配設して、凹溝から落下する雨水をエンジン駆動作業機の前後端部に落下させることによりエンジン駆動作業機内部に水が浸入しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-51087号公報
【特許文献2】特開2012-132474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるエンジン駆動作業機における雨樋や特許文献2に示されるエンジン駆動作業機における受水部材は、樹脂製ではあるが防音ケースの左右側面から突出しているので、その分、クレーン等による吊り上げ作業時や設置作業時等に、他のエンジン駆動作業機や作業員等に接触して、相手の装置や当該雨樋,受水部材が損傷したり、人が負傷したりする可能性が残るという問題点があった。
【0006】
本発明は、そのような問題点に鑑み、防音ケースの側面から樋等を突出させることなく、アッパーフレームから流れ落ちる雨水がドアハンドルの隙間や吸気口等から機内に浸入しないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】

前記課題を解決するため、本願の請求項1にかかる発明は、エンジンと、該エンジンにより駆動される作業機本体と、前記エンジン及び前記作業機本体を収容し、ルーフパネルの天部に、幅方向に横切るように凹溝が設けられ、側面に、ドアハンドル付きのドアを有する防音ケースとを備えたエンジン駆動作業機の雨水排出構造であって、前記凹溝の両端部底面に受水開口を設け、該受水開口の下側に、上方が開放されていて内部に水を溜めることができる雨水貯留ブラケットを設け、該雨水貯留ブラケットに溜まった雨水の排出口を、前記ドアの側端部に設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記雨水貯留ブラケットと連通させて、前記ドアの側縁内部に縦方向に導水ダクトを設け、該導水ダクトの下端部に、前記ドアの側面に開口する排出口を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記雨水貯留ブラケットを、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側端部まで延長し、その先端下部に貯留水排出口を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる発明において、前記雨水貯留ブラケットの底面に貯留水排出口を設けるとともに、該貯留水排出口と連通し、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側面に開口する導水ダクトを、前記ドアの上縁内部に設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項3にかかる発明において、前記雨水貯留ブラケットの底面に貯留水排出口を設けるとともに、該貯留水排出口と連通し、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側端部まで延びる導水ダクトを、前記ドアの上縁内部に設け、該導水ダクトと連通し、前記ドアの下面に開口する導水ダクトを、前記ドアの側縁内部に縦方向に設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項3,4又は5にかかる発明において、前記ルーフパネル上面の側縁部に、幅方向中央側から外側に向かって下方に傾斜する傾斜部を設け、該傾斜部の、前記雨水貯留ブラケットの上に位置する部分に、多数の受水開口を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1にかかる発明においては、ルーフパネルの天部に、幅方向に横切るように凹溝が設けられ、側面に、ドアハンドル付きのドアを有する防音ケースを備えたエンジン駆動作業機の、前記凹溝の両端部底面に受水開口を設け、該受水開口の下側に、上方が開放されていて内部に水を溜めることができる雨水貯留ブラケットを設け、該雨水貯留ブラケットに溜まった雨水の排出口を、前記ドアの側端部に設けるようにした。その結果、防音ケースの側面から樋等を突出させることなく、アッパーフレームから凹溝に集まって流れ落ちる雨水がドアハンドルの上に流れないので、ドアハンドルの隙間から機内に浸入するのを防止することができる。
【0014】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるエンジン駆動作業機の雨水排出構造において、前記雨水貯留ブラケットと連通させて、前記ドアの側縁内部に縦方向に導水ダクトを設け、該導水ダクトの下端部に、前記ドアの側面に開口する排出口を設けたので、雨水貯留ブラケットに溜まった雨水を、導水ダクトを通して外部に排出させることにより、雨水がドアハンドルの上に流れないので、ドアハンドルの隙間から機内に浸入するのを確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるエンジン駆動作業機の雨水排出構造において、前記雨水貯留ブラケットを、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側端部まで延長し、その先端下部に貯留水排出口を設けたので、雨水貯留ブラケットに溜まった雨水を、雨水貯留ブラケット端部の排出口からドア側端部とフロントフレームやリアフレームの隙間に排出でき、雨水がドアハンドルに流れるのを確実に防止することができる。
【0016】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかるエンジン駆動作業機の雨水
排出構造において、前記雨水貯留ブラケットの底面に貯留水排出口を設けるとともに、該貯留水排出口と連通し、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側面に開口する導水ダクトを、前記ドアの上縁内部に設けた。その結果、雨水貯留ブラケットに溜まった雨水を、雨水貯留ブラケット端部の排出口からだけでなく、ドアの上縁内部に設けた導水ダクトを通しても雨水を排出でき、雨水貯留ブラケット内でオーバーフローすることなく処理できる。
【0017】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項3にかかるエンジン駆動作業機の雨水排出構造において、前記雨水貯留ブラケットの底面に貯留水排出口を設けるとともに、該貯留水排出口と連通し、前記ドアの、前記凹溝がある側とは反対側の側端部まで延びる導水ダクトを、前記ドアの上縁内部に設け、該導水ダクトと連通し、前記ドアの下面に開口する導水ダクトを、前記ドアの側縁内部に縦方向に設けたので、ドアの上縁内部を横方向に延びる導水ダクトに流れ込んだ雨水を、縦方向の導水ダクトにより効率的に排出することができる。
【0018】
また、請求項6にかかる発明においては、請求項3,4又は5にかかるエンジン駆動作業機の雨水排出構造において、前記ルーフパネル上面の側縁部に、幅方向中央側から外側に向かって下方に傾斜する傾斜部を設け、該傾斜部の、前記雨水貯留ブラケットの上に位置する部分に、多数の受水開口を設けた。その結果、アッパーフレームから凹溝に集まって流れ落ちる雨水だけでなく、アッパーフレームから直接作業機側壁に流れ落ちる雨水も雨水貯留ブラケットで受け止ることができ、雨水がドアハンドルの隙間から機内に浸入のを防止するのを防止するのに加えて、吸気口から作業機内に浸入するのを防止することもできる。その際、ルーフパネル上面の側縁部に傾斜部を設けているので、雨水が開口に流れ込み易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施例に係るエンジン駆動作業機の外観図である。
図2】ドアハンドルを示す図である。
図3】第1実施例の雨水排出構造を示す図である。
図4】第1実施例における雨水貯留ブラケットを示す図である。
図5】第1実施例における凹溝の開口部とルーフパネルの連通口との関係を示す図である。
図6】第1実施例における導水ダクトを示す図である。
図7】第1実施例におけるドアの内側を示す図である。
図8】第1実施例における雨水の流れを示す図である。
図9】他の形状のルーフパネルを示す図である。
図10】本発明の第2実施例に係るエンジン駆動作業機の外観図である。
図11】第2実施例の雨水排出構造を示す図である。
図12】第2実施例における雨水貯留ブラケットを示す図である。
図13図11においてPで示される部分の拡大図である。
図14】第2実施例における雨水の流れを示す図である。
図15】第3実施例の雨水排出構造を示す図である。
図16】第3実施例における雨水貯留ブラケットを示す図である。
図17】第3実施例におけるルーフパネルの連通口を示す図である。
図18】第3実施例におけるドアの内側を示す図である。
図19】第3実施例における雨水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例0021】
図1は、本発明の第1実施例に係るエンジン駆動作業機の外観図である。図1において、1はルーフパネル、2はフロントフレーム、3はリアフレーム、4はベース、5はエコベースであり、内部に漏洩物貯留部を有している。6はフロントサイドドア、7はリアサイドドア、8はドアハンドル、9は吸気口、10は排風口、11は凹溝、12は吊り金具、13は受水開口である。
【0022】
このエンジン駆動作業機は、防音ケースの内部に、エンジンと、該エンジンにより駆動される発電機等の作業機本体とが収容されており、防音ケースのルーフパネル1の天部には、幅方向に横切るように凹溝11が設けられ、そのエンジン駆動作業機の重心位置に当たる所には、移動時等に作業機を吊り上げるための吊り金具12が設けられている。また、防音ケースの側面には、フロントサイドドア6,リアサイドドア7が設けられていて、それらは、ドアハンドル8により開閉可能になっており、作業機内の点検・保守等ができるようになっている。
【0023】
このようなエンジン駆動作業機では、降雨時、ルーフパネル1上に降ってきた雨水は、凹溝11に集まって凹溝11の両端から流れ落ちたり、ルーフパネル1の側縁から側壁に流れ落ちたりして、雨水が、ドアハンドル8,8の隙間や吸気口9,9等から吸い込まれて防音ケース内に浸入するおそれがある。その内、凹溝11に集まって凹溝11の両端からドアハンドル8,8の上に流れ落ちる水量が多いため、この実施例では、特に、凹溝11の両端から流下する雨水がドアハンドル8,8の上に流れ込むのを防止するようにしている。
【0024】
図2は、ドアハンドルを示す図である。エンジン駆動作業機のドアハンドル8は、裏側にシール材8dを貼り付けて、ドアハンドル8とフロントサイドドア6,リアサイドドア7との合わせ面からから雨水が浸入しないようにしている。しかしながら、ハンドル8aとフック8bは連動し、ハンドル8aを引くととフック8bが回動するようになっていて、フック8bとカバー8cとの間に隙間が存在する。その隙間にもシール構造を施してはいるが、防音ケース内が負圧になるとその隙間から雨水を吸い込んでしまうのである。
【0025】
なお、この作業機は、冷却効率が高く、大量の冷却空気は必要でないため、防音を考慮して吸気口9,9の大きさは小さくしており、また、リアサイドドア7には吸気口を設けていないため、吸気口9,9から浸入する雨水は、ここでは問題にしない。
【0026】
図3は、第1実施例の雨水排出構造を示す図である。符号は、図1のものに対応しており、14は雨水貯留ブラケット、15はドアハンドル取付孔、16はドア上面開口、17~20は導水ダクトである。
【0027】
凹溝11の両端部底面に受水開口13,13を設け、該受水開口13,13の下側に、上方が開放されていて内部に水を溜めることができる雨水貯留ブラケット14を設けている。雨水貯留ブラケット14は、図4に示すように、左右の側板14a,14aと底板14bと背板14dとで枠状に形成され、底板14bには切欠部14cが、背板14dには切欠部14eが形成されている。なお、この実施例では、底板14bに切欠部14cを設けたが、雨水貯留ブラケット14の雨水を下に流せる開口としてもよい。そして、底板14bには、雨水貯留ブラケット14をルーフパネル1に取り付けるための溶接ナット14fとボルトが通るボルト孔14gが設けられている。
【0028】
この雨水貯留ブラケット14は、背板14dの切欠部14eに凹溝11の端部を嵌め込むようにして液密に取り付け、外面側をルーフパネル1の側部で液密に覆うようにして、凹溝11の受水開口13から落下する雨水を内部に溜められるようにしている。雨水貯留
ブラケット14の底板14bの切欠部14cには、フロントサイドドア6とリアサイドドア7に設けたドア上面開口16,16が対向しており、雨水貯留ブラケット14内の雨水は、切欠部14cを通してドア上面開口16,16に流入する。
【0029】
ルーフパネル1の側部は、図5に示すように、凹溝11と雨水貯留ブラケット14の端面を覆う形状になっていて、その下部は、内側に折り曲げられて、雨水貯留ブラケット14の底板14bに密着配設される水平部1bと、フロントサイドドア6とリアサイドドア7の上端部が当接する垂直片部1aが形成されている。そして、水平部1bの、凹溝11端部の受水開口13と対向する位置には、凹溝11の受水開口13とドア上面開口16とを連通させる連通口21,21が設けられている。なお、図5(4)は、図5(2)のA-A断面図である。
【0030】
ドア上面開口16,16は、フロントサイドドア6,リアサイドドア7のドアハンドル8,8の真上の位置に設けられ、その下側に、導水ダクト17,18が設けられている。なお、導水ダクト17,18は、長さが異なっているが、この実施例の作業機では、フロントサイドドア6とリアサイドドア7とでドアハンドル8の位置が異なっていて、導水ダクト17,18は、それぞれ、フロントサイドドア6とリアサイドドア7の上端部からそれぞれのドアハンドル8,8の直上まで延びるようにしているからである。
【0031】
導水ダクト17,18は、図6(1),(2)に示すように、側板17a,18aと上板17b、18bと底板17c,18cとで三方が塞がれ、側板17a,18aの上下には長孔17e,18e付きの取付片17d,18dが設けられている。このような導水ダクト17,18を、上板17b、18bを手前側にして、フロントサイドドア6,リアサイドドア7の裏面上隅に押し当て、取付片17d,18dの長孔17e,18eに、フロントサイドドア6,リアサイドドア7の裏面に設けられた取付用のスタッドボルトを通して固定する。その結果、導水ダクト17,18の3面とドア裏面,ドア側縁板とにより上面が開口したダクトが形成される。
【0032】
図7は、第1実施例におけるドアの内側を示す図である。符号6,9,15,16は、図3のものに対応しており、6aは蝶番、6bはドアダクト取付用のスタッドボルト、6cは導水ダクト17取付用のスタッドボルト、6dは雨水排出口である。なお、ドアダクトは、吸気口9から吸い込んだ空気を上方に誘導したり、騒音が外部に漏れ出ないようにするために吸気口9の内側に設けるダクトである。
【0033】
スタッドボルト6c,6cを、導水ダクト17取付片17dの長孔17e,17eに通して、導水ダクト17をフロントサイドドア6に取り付ける。フロントサイドドア6のドア上面開口16は、ルーフパネル1の水平部1bに設けた連通口21と対向し、かつ、導水ダクト17の上部開口と対向している。また、雨水排出口6dは、導水ダクト17の下端部に位置していて、フロントサイドドア6の側面に開口しており、導水ダクト17内の雨水がそこから外部に排出される。
【0034】
図8は、第1実施例における雨水の流れを示す図である。ルーフパネル1や凹溝11に降って凹溝11内に集まった雨水は、凹溝11の両端に設けた受水開口13から雨水貯留ブラケット14の中に流れ落ちる。そして、雨水貯留ブラケット14に流れ込んだ雨水は、ドア上面開口16を通って導水ダクト17の中に流入し、導水ダクト17下端部に位置する雨水排出口6dからフロントサイドドア6側面の隙間を通って外部に排出される。また、導水ダクト18の中に流入した雨水も同様にして、導水ダクト18下端部に位置する雨水排出口からリアサイドドア7側端面の隙間を通って外部に排出される。なお、図8(2)は、図8(1)のB-B断面図である。
【0035】
このようにすれば、防音ケースの側面から樋等を突出させることなく、凹溝11内に集まった雨水がドアハンドル8の上に流れ落ちるのを防止することができる。その結果、雨水が、ドアハンドル8の隙間から機内に浸入することがなくなる。
【0036】
なお、上記実施例では、防音ケースの上縁部に前後方向にわたって、中央側から外側に向かって下方に傾斜する傾斜部を設けたが、図9(1)に示すような角型上縁部や、図9(2)に示すような丸形上縁部を有するエンジン駆動作業機にも適用可能である。
【0037】
また、ここまで、導水ダクト17,18が設けられている側について説明したが、その反対側の導水ダクト19,20が設けられている側においても同様にして、凹溝11内に集まった雨水が、ドアハンドル8の上に流れ落ちるのを防止するようにしている。
【実施例0038】
図10は、本発明の第2実施例に係るエンジン駆動作業機の外観図である。符号は、図1のものに対応しており、22は受水開口である。この実施例で対象とするエンジン駆動作業機は、吸気口9の大きさが大きくなっている。そこで、凹溝11の雨水がドアハンドル8に流れ落ちないようにするだけでなく、ルーフパネル1の上から作業機の側壁部に流れ落ちる雨水が吸気口9にも流れ込まないようにしている。
【0039】
そのため、ルーフパネル1上面の側縁部に前後方向にわたって、幅方向中央側から外側に向かって下方に傾斜する傾斜部1cを設け、そこに多数の受水開口22を設けている。それらの受水開口22により、ルーフパネル1から側壁方向に流れ落ちようとする雨水を取り込んで、その下に配置されている雨水貯留ブラケットで受け止めるのである。その雨水貯留ブラケットは、フロントサイドドア6の側端部までドアの幅方向に延長されている。
【0040】
図11は、第2実施例の雨水排出構造を示す図である。符号は、図3のものに対応しており、23,24は雨水貯留ブラケットである。雨水貯留ブラケット23は、図12に示すように、側板23aと底板23bと背板23cとで枠状に形成され、底板23bには、雨水貯留ブラケット23をルーフパネル1に取り付けるための溶接ナット23fとボルトが通るボルト孔23hが設けられている。また、背板23cには切欠部23gが形成されている。なお、図12(5)は、図12(2)のC-C断面図である。
【0041】
凹溝11を挟んでこの雨水貯留ブラケット23の反対側には、雨水貯留ブラケット23と左右が逆の形になっている雨水貯留ブラケット24が配置されている。雨水貯留ブラケット23は、背板23cの切欠部23gに凹溝11の端部を嵌め込むようにして液密に取り付け、外面側をルーフパネル1の側部で液密に覆うようにして、凹溝11の受水開口13から落下する雨水を内部に受けるようにしている。そして、もう一方の雨水貯留ブラケット24も左右が逆の位置関係で同様に配設されている。
【0042】
図13は、図11においてPで示される部分、すなわち、雨水貯留ブラケット23の貯留水排出口23d周辺部分を拡大して示す図である。符号は、図11図12に対応している。凹溝11の受水開口13、及び、ルーフパネル1の傾斜部に設けられた受水開口22から雨水貯留ブラケット23内に流れ込んだ雨水は、雨水貯留ブラケット23の先端下部に設けられた貯留水排出口23dを通って、排水ガイド23eからフロントサイドドア6とフロントフレーム2の間の隙間に排出される。もう一方の雨水貯留ブラケット24内に流れ込んだ雨水も、同様にしてリアサイドドア7とリアフレーム3の間の隙間に排出される。
【0043】
図14は、第2実施例における雨水の流れを示す図である。ルーフパネル1や凹溝11
に降って凹溝11内に集まった雨水は、凹溝11の両端に設けた受水開口13から雨水貯留ブラケット23の中に流れ落ちる。また、ルーフパネル1の上に降って側方に流れた雨水は、傾斜部1cを通って受水開口22から雨水貯留ブラケット23の中に流れ落ちる。そして、雨水貯留ブラケット23に流れ込んだ雨水は、雨水貯留ブラケット23の先端下部に設けた貯留水排出口23dを通って、排水ガイド23eからフロントサイドドア6とフロントフレーム2の間の隙間に排出される。
【0044】
このようにすれば、防音ケースの側面から樋等を突出させることなく、ルーフパネル1から凹溝11に集まって流れ落ちる雨水と、ルーフパネル1から直接作業機側壁に流れ落ちる雨水とを雨水貯留ブラケット23,24で受け止ることができ、雨水がドアハンドル8の隙間から機内に浸入するのを防止するだけでなく、吸気口9から作業機内に浸入するのを防止することもできる。その際、ルーフパネル1上面の側縁部に傾斜部1cを設けているので、雨水が受水開口22に流れ込み易くなる。
【0045】
なお、ここまで、作業機左側について説明したが、その反対側の作業機右側においても同様にして、雨水がドアハンドル8の隙間や吸気口9から作業機内に浸入するのを防止するようにしている。
【実施例0046】
図15は、第3実施例の雨水排出構造を示す図である。符号は、図11のものに対応しており、25は貯留水排出口である。この実施例では、ルーフパネル1に傾斜部1cを設け、そこに多数の受水開口22を設け、雨水貯留ブラケット23,24がフロントサイドドア6,リアサイドドア7の側端部まで延長されていることは、実施例2と同様である。それに加えて、図16に示すように、雨水貯留ブラケット23の底板23bに多数の貯留水排出口25を設け、それらと対向させて、図17に示すように、ルーフパネル1の水平部1bに連通口26を設けて、雨水貯留ブラケット23に溜まった雨水を下方にも排出させるようにする。なお、図16(5)は、図16(2)のG-G断面図である。
【0047】
なお、雨水貯留ブラケット24は、実施例2のものと同様に、凹溝11を挟んでこの雨水貯留ブラケット23の反対側に、雨水貯留ブラケット23と左右が逆の形になって配置されている。そして、雨水貯留ブラケット23は、背板23cの切欠部23gに凹溝11の端部を嵌め込むようにして液密に取り付け、外面側をルーフパネル1の側部で液密に覆うようにして、凹溝11の受水開口13から落下する雨水を内部に受けるようにし、もう一方の雨水貯留ブラケット24も左右が逆の位置関係で同様に配設される。
【0048】
図18は、第3実施例におけるドアの内側を示す図である。符号は、図7のものに対応しており、27はドア上縁導水ダクト、28はドア上面開口、29はドア側縁導水ダクト、30は雨水排出口である。フロントサイドドア6の上縁内部に横方向に延びるようにドア上縁導水ダクト27を設け、それと連通させてフロントサイドドア6の側縁内部に縦方向にドア側縁導水ダクト29を設けている。そして、フロントサイドドア6上面の、前記連通口26と対向する位置にドア上面開口28を設けている。なお、図18(3)は、図18(2)のD-D断面図であり、図18(5)は、図18(2)のE-E断面図であり、図18(6)は、図18(2)のF-F断面図である。
【0049】
図19は、第3実施例における雨水の流れを示す図である。ルーフパネル1や凹溝11に降って凹溝11内に集まった雨水は、凹溝11の両端に設けた受水開口13から雨水貯留ブラケット23の中に流れ落ちる。また、ルーフパネル1の上に降って側方に流れた雨水は、傾斜部1cを通って、傾斜部1cに設けられた受水開口22から雨水貯留ブラケット23の中に流れ落ちる。そのようにして雨水貯留ブラケット23に流れ込んだ雨水は、雨水貯留ブラケット23の先端下部に設けた貯留水排出口23dを通って、排水ガイド2
3eからフロントサイドドア6とフロントフレーム2の間の隙間に排出される。
【0050】
雨水貯留ブラケット23に流れ込んだ雨水は、さらに、底板23bに設けた貯留水排出口25、ルーフパネル1の水平部1bに設けた連通口26を通して、ドア上縁導水ダクト27に流下し、ドア側縁導水ダクト29を通してフロントサイドドア6の下方に排出される。雨水貯留ブラケット24に流れ込んだ雨水も、同様にしてリアサイドドア7の下方に排出される。さらに、作業機右側においても同様にして雨水が排出される。
【0051】
なお、上記実施例では、ドア上縁導水ダクト27と連通させてフロントサイドドア6の側縁内部に縦方向にドア側縁導水ダクト29を設けたが、ドア側縁導水ダクト29を省略して、ドア上縁導水ダクト27の端部を、直接、ドアの側縁部に開口させ、雨水をその開口からフロントサイドドア6側部の隙間に排出させるようにしてもよい。
【0052】
以上のようにすれば、雨水貯留ブラケットに溜まった雨水を、雨水貯留ブラケット23,24端部の貯留水排出口23dからだけでなく、ドアの上縁内部に設けたドア上縁導水ダクト27を通しても排出でき、雨水貯留ブラケット内でオーバーフローすることなく処理できる。さらに、ドア上縁導水ダクト27と連通させてフロントサイドドア6の側縁内部に縦方向にドア側縁導水ダクト29を設ければ、ドア上縁部ダクト27に流れ込んだ雨水を、縦方向のドア側縁導水ダクト29により効率的に排出することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ルーフパネル
2 フロントフレーム
3 リアフレーム
4 ベース
5 エコベース
6 フロントサイドドア
7 リアサイドドア
8 ドアハンドル
9 吸気口
10 排風口
11 凹溝
12 吊り金具
13,22 受水開口
14,23,24 雨水貯留ブラケット
15 ドアハンドル取付孔
16,28 ドア上面開口
17~20 導水ダクト
21,26 連通口
25 貯留水排出口
27 ドア上縁導水ダクト
29 ドア側縁導水ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
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