(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085723
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法及び無線通信モジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20230614BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01P11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199912
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】初田 博樹
(72)【発明者】
【氏名】大江 康博
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA05
5J045DA08
5J045HA02
5J045MA07
5J045NA03
(57)【要約】
【目的】 本発明は使用時に無線通信モジュールの周囲にある誘電体及び/導体のアンテナに対する影響を考慮してアンテナ特性を向上させる。
【構成】 調整方法は、無線通信モジュールMとその周囲の誘電体10とを備えた構造体をモデル化したモデル情報を高周波シミュレータに生成させ、前記情報に基づき同シミュレータにアンテナ特性を示すシミュレーション情報を生成させ、前記情報と基準情報とが略一致しない場合、モジュールMのアンテナ300に対してZ’方向側の第1基板100の領域に切り欠きを形成し、切り欠きが形成されたモジュールMとその周囲の誘電体10とを備えた構造体をモデル化したモデル情報を同シミュレータに生成させ、前記情報に基づき同シミュレータにアンテナ特性を示すシミュレーション情報を生成させ、前記情報と基準情報とが略一致する場合、第2モデル情報を得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、前記第1基板上に実装されており且つ前記第1基板に対して前記第1基板の厚み方向の一方側に位置する第2基板と、前記第2基板に設けられたアンテナとを備えた無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した第1モデル情報を、高周波シミュレータに生成させ、
前記第1モデル情報に基づいて、前記高周波シミュレータに第1電磁界シミュレーションを実施させて前記無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第1シミュレーション情報を生成させ、
前記第1シミュレーション情報と予め用意されたアンテナ特性の基準情報とを比較し、前記第1シミュレーション情報と前記基準情報とが略一致するか否か又は前記第1シミュレーション情報が前記基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるか否かについての第1判断を行い、
前記第1判断の結果、前記第1シミュレーション情報と前記基準情報とが略一致しないと判断した場合又は前記第1シミュレーション情報が前記基準情報を基準とする所定範囲内に含まれないと判断した場合に、前記アンテナに対して前記第1基板の前記厚み方向の他方側に位置する前記第1基板の領域のうちの一部分を切り欠いて切り欠きを形成し、
第2モデル情報を前記高周波シミュレータに生成させ、
前記第2モデル情報に基づいて、前記高周波シミュレータに第2電磁界シミュレーションを実施させて前記無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第2シミュレーション情報を生成させ、
前記第2シミュレーション情報と前記基準情報とを比較し、前記第2シミュレーション情報と前記基準情報とが略一致するか否か又は前記第2シミュレーション情報が前記基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるか否かについての第2判断を行い、且つ
前記第2判断の結果、前記第2シミュレーション情報と前記基準情報とが略一致すると判断した場合又は前記第2シミュレーション情報が前記基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断した場合に、前記第2モデル情報を得ることを備えおり、
前記第2モデル情報の生成は、一回目の第2モデル情報の生成を含み、前記一回目の第2モデル情報の生成は、前記第1基板の前記領域に前記切り欠きが形成された前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した第2モデル情報を前記高周波シミュレータに生成させることを含む無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第2判断の結果、前記第2シミュレーション情報と前記基準情報とが略一致しないと判断した場合又は前記第2シミュレーション情報が前記基準情報を基準とする所定範囲内に含まれないと判断した場合に、前記切り欠きの寸法を拡大又は縮小して調整することを更に備えており、
前記第2判断の結果、前記第2シミュレーション情報と前記基準情報とが略一致すると判断するまで又は前記第2シミュレーション情報が前記基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断するまで、前記切り欠きの寸法の調整、前記第2モデル情報の生成、前記第2電磁界シミュレーション及び前記第2判断をこの順で繰り返し実施するようになっており、
前記第2モデル情報の生成は、二回目以降の第2モデル情報の生成を含み、前記二回目以降の第2モデル情報の生成は、前記切り欠きの寸法が調整された前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した第2モデル情報を前記高周波シミュレータに生成させることを含む線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第1モデル情報の生成の前に、第1基板と、前記第1基板上に実装された第2基板と、前記第2基板上に設けられたアンテナとを備えた無線通信モジュールをモデル化した第3モデル情報を、前記高周波シミュレータに生成させ、
前記第3モデル情報に基づいて、前記高周波シミュレータに第3電磁界シミュレーションを実施させて前記無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第3シミュレーション情報を生成させ、
前記第3シミュレーション情報に示される前記無線通信モジュールのアンテナ特性が、前記無線通信モジュールの前記アンテナに送信及び/又は受信させる無線信号の周波数帯域において最適化されているか否かについての第3判断を行い、
前記第3判断の結果、前記第3シミュレーション情報に示される前記無線通信モジュールのアンテナ特性が、前記無線信号の周波数帯域において最適化されていないと判断した場合に、前記アンテナのサイズを調整する第1調整を実施し、
前記アンテナのサイズが調整された前記無線通信モジュールをモデル化した第4モデル情報を前記高周波シミュレータに生成させ、
前記第4モデル情報に基づいて、前記高周波シミュレータに第4電磁界シミュレーションを実施させて前記無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第4シミュレーション情報を生成させ、且つ
前記第4シミュレーション情報に示される前記無線通信モジュールのアンテナ特性が、前記無線信号の周波数帯域において最適化されているか否かについての第4判断を行うことを更に備えており、
前記第4判断の結果、前記第4シミュレーション情報に示される前記無線通信モジュールのアンテナ特性が、前記無線信号の周波数帯域において最適化されていると判断した場合に、前記第1モデル情報の生成が実施されるようになっており、
前記第1モデル情報は、前記アンテナのサイズが調整された前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項4】
請求項3記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第4判断の結果、前記第4シミュレーション情報に示される前記無線通信モジュールのアンテナ特性が、前記無線信号の周波数帯域において最適化されていないと判断した場合に、前記アンテナのサイズを更に調整する第2調整を実施することを更に備えており、
前記第4判断の結果、前記第4シミュレーション情報に示される前記無線通信モジュールのアンテナ特性が、前記無線信号の周波数帯域において最適化されたと判断するまで、前記第2調整、前記第4モデル情報の生成、前記第4電磁界シミュレーション及び前記第4判断をこの順で繰り返し実施するようになっており、
前記第1モデル情報は、前記第1調整及び前記第2調整によって前記アンテナのサイズが調整された前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項5】
請求項4記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第2調整の実施は、前記無線通信モジュールの前記第1調整によって調整された前記アンテナのサイズを更に調整する一回目の第2調整の実施を含む線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項6】
請求項1記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第1モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に実装されており且つ前記アンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項7】
請求項2記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第1モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に実装されており且つ前記アンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報であり、
前記第2モデル情報は、前記回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項8】
請求項3記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第3モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に実装されており且つ前記アンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた前記無線通信モジュールをモデル化した情報であり、
前記第1モデル情報は、前記回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報であり、
前記第2モデル情報は、前記回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項9】
請求項4又は5記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第3モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に実装されており且つ前記アンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた前記無線通信モジュールをモデル化した情報であり、
前記第4モデル情報は、前記回路部を更に備えた前記無線通信モジュールをモデル化した情報であり、
前記第1モデル情報は、前記回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報であり、
前記第2モデル情報は、前記回路部を更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項10】
請求項1又は6記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第1モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項11】
請求項2又は7記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第1モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報であり、
前記第2モデル情報は、前記シェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項12】
請求項3又は8記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第3モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた前記無線通信モジュールをモデル化した情報であり、
前記第1モデル情報は、前記シェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報であり、
前記第2モデル情報は、前記シェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項13】
請求項4、5又は9記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法において、
前記第3モデル情報は、前記第1基板又は前記第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた前記無線通信モジュールをモデル化した情報であり、
前記第4モデル情報は、前記シェルを更に備えた前記無線通信モジュールをモデル化した情報であり、
前記第1モデル情報は、前記シェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報であり、
前記第2モデル情報は、前記シェルを更に備えた前記無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた前記構造体をモデル化した情報である無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法。
【請求項14】
第1基板と、
前記第1基板上に実装されており且つ前記第1基板に対して前記第1基板の厚み方向の一方側に位置する第2基板と、
前記第2基板に設けられたアンテナとを備えており、
前記第1基板は、前記アンテナに対して前記第1基板の前記厚み方向の他方側に位置する領域を有しており、前記領域には、請求項1~13の何れかに記載の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法によって切り欠きが形成されている無線通信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法及び無線通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、無線通信モジュールが記載されている。このモジュールは、第1基板と、第2基板と、アンテナと、回路部とを備えている。第2基板は、第1基板上に実装されている。アンテナは、第2基板上に形成された導体である。回路部は、第2基板上に実装されており且つアンテナが送受信する高周波信号を処理する構成となっている。第1基板のアンテナの直下の領域には、第1基板を厚み方向に貫通する開口部が設けられている。この開口部が存在することにより、アンテナの直下に、第1基板に設けられる導体や誘電体が存在しないことになるので、アンテナが導体や誘電体から受ける電気的な影響が低減され、その結果として、アンテナ特性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モジュールが電子機器に搭載された状態で(使用状態で)、モジュールの周囲に配置される誘電体及び/導体が存在すると、誘電体及び/導体の影響により、ジュールのアンテナインピーダンスに不整合が生じ、アンテナ特性が劣化する。上記のとおり、特許文献1には、第1基板に設けられた誘電体及び/導体のアンテナに対する電気的な影響を除去するために、第1基板のアンテナの直下の領域に開口部が設けられた事項が開示されているに過ぎず、モジュールが電子機器に搭載された状態で(使用状態で)、モジュールの周囲に配置される誘電体及び/導体によるアンテナに対する影響については何ら考慮がなされていない。
【0005】
本発明は、使用時に、無線通信モジュールの周囲に配置される誘電体及び/導体のアンテナに対する影響を考慮してアンテナ特性を向上させる無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法及び無線通信モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法は、(1)第1基板と、第1基板上に実装されており且つ第1基板に対して第1基板の厚み方向の一方側に位置する第2基板と、第2基板に設けられたアンテナとを備えた無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した第1モデル情報を、高周波シミュレータに生成させ、(2)第1モデル情報に基づいて、高周波シミュレータに第1電磁界シミュレーションを実施させて無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第1シミュレーション情報を生成させ、(3)第1シミュレーション情報と予め用意されたアンテナ特性の基準情報とを比較し、第1シミュレーション情報と基準情報とが略一致するか否か又は第1シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるか否かについての第1判断を行い、(4)第1判断の結果、第1シミュレーション情報と基準情報とが略一致しないと判断した場合又は第1シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれないと判断した場合に、アンテナに対して第1基板の厚み方向の他方側に位置する第1基板の領域のうちの一部分を切り欠いて切り欠きを形成し、(5)第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させ、(6)第2モデル情報に基づいて、高周波シミュレータに第2電磁界シミュレーションを実施させて無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第2シミュレーション情報を生成させ、(7)第2シミュレーション情報と基準情報とを比較し、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致するか否か又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるか否かについての第2判断を行い、且つ(8)第2判断の結果、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致すると判断した場合又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断した場合に、第2モデル情報を得ることを備える。第2モデル情報の生成は、一回目の第2モデル情報の生成を含む。一回目の第2モデル情報の生成は、第1基板の領域に切り欠きが形成された無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含む。
【0007】
このような態様の調整方法による場合、使用時に、無線通信モジュールの周囲に配置される誘電体及び/導体のアンテナに対する影響を考慮してアンテナ特性を向上させることができる。その理由は以下の通りである。得られた第2モデル情報は、無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第2シミュレーション情報が基準情報と略一致する又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるように、第1基板の領域に切り欠きが形成された無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備える構造体をモデル化した情報である。このように第2モデル情報においては、無線通信モジュールの周囲に誘電体及び/又は導体が配置された状態で、第1基板の領域に切り欠きが形成されることによって、無線通信モジュールのアンテナ特性が基準情報に略一致又は所定範囲内に含まれるように補正されている。そのため、第2モデル情報にしたがって、第1基板の領域に切り欠きが形成された無線通信モジュールを製造することによって、無線通信モジュールが、使用時にその周囲に誘電体及び/導体が配置されたときに、当該誘電体及び/導体の影響によって無線通信モジュールのアンテナのアンテナインピーダンスに不整合が生じる可能性が低減される。よって、当該無線通信モジュールのアンテナ特性が向上する。
【0008】
調整方法は、第2判断の結果、(9)第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致しないと判断した場合又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれないと判断した場合に、切り欠きの寸法を拡大又は縮小して調整することを更に備えていてもよい。第2判断の結果、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致すると判断するまで又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断するまで、切り欠きの寸法の調整、第2モデル情報の生成、第2電磁界シミュレーション及び第2判断をこの順で繰り返し実施するようになっていてもよい。この場合、第2モデル情報の生成は、二回目以降の第2モデル情報の生成を含むことが可能である。二回目以降の第2モデル情報の生成は、切り欠きの寸法が調整された無線通信モジュールと、その周囲に配置された前記誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。
【0009】
第1モデル情報の生成は、高周波シミュレータ又はCADコンピュータによって作成された構造体のCADデータを含む構造体情報に基づいて当該構造体をモデル化した第1モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。この構造体は、第1基板と、第1基板上に実装されており且つ第1基板に対して第1基板の厚み方向の一方側に位置する第2基板と、第2基板に設けられたアンテナとを備えた無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構成とすることが可能である。切り欠きの形成は、高周波シミュレータ又はCADコンピュータによって、構造体のCADデータを修正し、第1基板の領域に切り欠きを形成することを含むことが可能である。切り欠きの寸法の調整は、高周波シミュレータ又はCADコンピュータによって、第1基板の領域に切り欠きが形成された構造体のCADデータを修正し、第1基板の領域における切り欠きの寸法を拡大又は縮小して調整することを含む。一回目の第2モデル情報の生成は、第1基板の領域に切り欠きが形成された構造体のCADデータを含む構造体情報に基づいて当該構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。二回目以降の第2モデル情報の生成は、修正された構造体のCADデータを含む構造体情報に基づいて当該構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。
【0010】
上記した何れかの態様の調整方法は、(10)第1モデル情報の生成の前に、第1基板と、第1基板上に実装された第2基板と、第2基板上に設けられたアンテナとを備えた無線通信モジュールをモデル化した第3モデル情報を、高周波シミュレータに生成させ、(11)第3モデル情報に基づいて、高周波シミュレータに第3電磁界シミュレーションを実施させて無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第3シミュレーション情報を生成させ、(12)第3シミュレーション情報に示される無線通信モジュールのアンテナ特性が、無線通信モジュールのアンテナに送信及び/又は受信させる無線信号の周波数帯域において最適化されているか否かについての第3判断を行い、(13)第3判断の結果、第3シミュレーション情報に示される無線通信モジュールのアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されていないと判断した場合に、アンテナのサイズを調整する第1調整を実施し、(14)アンテナのサイズが調整された無線通信モジュールをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させ、(15)第4モデル情報に基づいて、高周波シミュレータに第4電磁界シミュレーションを実施させて無線通信モジュールのアンテナ特性を示す第4シミュレーション情報を生成させ、且つ(16)第4シミュレーション情報に示される無線通信モジュールのアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されているか否かについての第4判断を行うことを更に備えていてもよい。
【0011】
上記した何れかの態様の調整方法は、(17)第4判断の結果、第4シミュレーション情報に示される無線通信モジュールのアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されていないと判断した場合に、アンテナのサイズを更に調整する第2調整を実施することを更に備えていてもよい。第4判断の結果、第4シミュレーション情報に示される無線通信モジュールのアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されたと判断するまで、第2調整、第4モデル情報の生成、第4電磁界シミュレーション及び第4判断をこの順で繰り返し実施するようになっていてもよい。この場合、第1モデル情報は、第1調整及び第2調整によってアンテナのサイズが調整された無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した情報とすることが可能である。
【0012】
第2調整の実施は、無線通信モジュールの第1調整によって調整されたアンテナのサイズを更に調整する一回目の第2調整の実施を含んでいてもよい。第2調整の実施は、無線通信モジュールの第1調整及び一回目の第2調整によって調整されたアンテナのサイズを更に調整する二回目の第2調整の実施を更に含んでいてもよい。第2調整の実施は、無線通信モジュールの第1調整及び複数回の第2調整によって調整されたアンテナのサイズを更に調整する三回目以降の第2調整の実施を更に含んでいてもよい。
【0013】
第3モデル情報の生成は、高周波シミュレータ又はCADコンピュータによって作成された無線通信モジュールのCADデータを含むモジュール情報に基づいて当該無線通信モジュールをモデル化した第3モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。この無線通信モジュールは、第1基板と、第1基板上に実装された第2基板と、第2基板上に設けられたアンテナとを備えた構成とすることが可能である。アンテナのサイズの第1調整の実施は、高周波シミュレータ又はCADコンピュータによって、無線通信モジュールのCADデータを修正し、当該無線通信モジュールのアンテナのサイズを調整することを含むことが可能である。アンテナのサイズの第2調整の実施は、高周波シミュレータ又はCADコンピュータによって、無線通信モジュールのCADデータを修正し、当該無線通信モジュールのアンテナのサイズを更に調整することを含むことが可能である。第4モデル情報の生成は、一回目の第4モデル情報の生成を含むことが可能である。一回目の第4モデル情報の生成は、第1調整によりアンテナのサイズが調整された無線通信モジュールのCADデータを含むモジュール情報に基づいて当該無線通信モジュールをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。第4モデル情報の生成は、二回目の第4モデル情報の生成を更に含むことが可能である。二回目の第4モデル情報の生成は、第1調整及び第2調整によりアンテナのサイズが調整された無線通信モジュールのCADデータを含むモジュール情報に基づいて当該無線通信モジュールをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含むことが可能である。
【0014】
上記した何れかの第4判断の結果、第4シミュレーション情報に示される無線通信モジュールのアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されていると判断した場合に、第1モデル情報の生成が実施されるようになっていてもよい。この場合、第1モデル情報は、アンテナのサイズが調整された無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した情報とすることが可能である。
【0015】
第1モデル情報は、第1基板又は第2基板に実装されており且つアンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した情報とすることが可能である。又は、第1モデル情報は、第1基板又は第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した情報とすることが可能である。又は、
【0016】
第2モデル情報は、第1基板又は第2基板に実装されており且つ回路部を更に備えた無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した情報とすることが可能である。又は、第2モデル情報は、第1基板又は第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた上記無線通信モジュールと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備えた構造体をモデル化した情報とすることが可能である。
【0017】
第3モデル情報は、第1基板又は第2基板に実装されており且つアンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた無線通信モジュールをモデル化した情報とすることが可能である。又は、第3モデル情報は、第1基板又は第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた無線通信モジュールをモデル化した情報とすることが可能である。第3モデル情報は、上記した何れかの態様の無線通信モジュールのCADデータを含むことが可能である。
【0018】
第4モデル情報は、第1基板又は第2基板に実装されており且つアンテナに電気的に接続された回路部を更に備えた無線通信モジュールをモデル化した情報とすることが可能である。第4モデル情報は、第1基板又は第2基板に固定された導電性を有するシェルを更に備えた無線通信モジュールをモデル化した情報とすることが可能である。
【0019】
本発明の一態様の無線通信モジュールは、第1基板と、第1基板上に実装されており且つ第1基板に対して第1基板の厚み方向の一方側に位置する第2基板と、第2基板に設けられたアンテナとを備えた構成とすることが可能である。第1基板は、アンテナに対して第1基板の厚み方向の他方側に位置する領域を有しており、領域には、上記した何れかの調整方法によって切り欠きが形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の実施例1に係る無線通信モジュールの正面、平面及び右側面から表した斜視図である。
【
図1B】前記無線通信モジュールの背面、底面及び左側面から表した斜視図である。
【
図2A】前記無線通信モジュール及びこれを収容した筐体の正面、平面及び右側面から表した斜視図である。
【
図2B】前記無線通信モジュール及び前記筐体の背面、底面及び左側面から表した斜視図である。
【
図2C】前記無線通信モジュール及び前記筐体の正面図である。
【
図3A】前記無線通信モジュール及び前記筐体の
図2C中の3A-3A断面図である。
【
図3B】前記無線通信モジュール及び前記筐体の
図2C中の3B-3B断面図である。
【
図3C】前記無線通信モジュール及び前記筐体の
図3A中の3C-3C断面図である。
【
図4】前記無線通信モジュールのアンテナ特性の調整方法の工程を示すフローチャートである。
【
図5A】前記無線通信モジュールの部分拡大図であって、前記無線通信モジュールの第1基板に切り欠きが設けられておらず且つ前記無線通信モジュールのアンテナのサイズが調整されていない状態を示す図である。
【
図5B】前記無線通信モジュールの部分拡大図であって、前記無線通信モジュールの第1基板に切り欠きが設けられておらず且つ前記無線通信モジュールのアンテナのサイズが調整された状態を示す図である。
【
図6A】前記無線通信モジュールの部分拡大図であって、前記無線通信モジュールのアンテナのサイズが調整されており且つ第1基板に切り欠きが形成された状態を示す図である。
【
図6B】前記無線通信モジュールの部分拡大図であって、前記無線通信モジュールのアンテナのサイズが調整されており且つ前記切り欠きの寸法が拡大された状態を示す図である。
【
図7A】前記無線通信モジュールのサイズを調整する前のアンテナ特性と、無線通信モジュールの最適化されたアンテナ特性とを示すグラフである。
【
図7B】前記筐体に収容されており且つ切り欠きが形成されていない前記無線通信モジュールのアンテナ特性と、無線通信モジュールの最適化されたアンテナ特性(基準情報)とを示すグラフである。
【
図7C】前記筐体に収容されており且つ切り欠きが形成された前記無線通信モジュールのアンテナ特性と、無線通信モジュールの最適化されたアンテナ特性(基準情報)とを示すグラフである。
【
図7D】前記筐体に収容されており且つ前記切り欠きの寸法が拡大された前記無線通信モジュールのアンテナ特性と、無線通信モジュールの最適化されたアンテナ特性(基準情報)とを示すグラフである。
【
図8A】
図7A~
図7Dに示されるアンテナ特性を得るための前記無線通信モジュールの第1基板の第1面を示す図である。
【
図8B】
図7A~
図7Dに示されるアンテナ特性を得るための前記無線通信モジュールの第1基板の第2面を示す図である。
【
図9A】
図7A~
図7Dに示されるアンテナ特性を得るための前記無線通信モジュールの第2基板の第1誘電体の第1面を示す図である。
【
図9B】
図7A~
図7Dに示されるアンテナ特性を得るための前記無線通信モジュールの第2基板の第3誘電体の一方の面を示す図である。
【
図9C】
図7A~
図7Dに示されるアンテナ特性を得るための前記無線通信モジュールの第2基板の第3誘電体の他方の面を示す図である。
【
図9D】
図7A~
図7Dに示されるアンテナ特性を得るための前記無線通信モジュールの第2基板の第2誘電体の第2面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例1及びその設計変形例を含む複数の実施例について説明する。なお、後述する実施例及び設計変更例の各構成要素は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能であることに留意されたい。また、後述する実施例の各態様及び設計変形例における各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能であることにも留意されたい。
【実施例0022】
以下、本発明の実施例1及びその設計変形例を含む複数の実施例に係る無線通信モジュールM(以下、単にモジュールMとも称する。)について、
図1A及び
図1Bを参照しつつ説明する。
図1A及び
図1Bには、実施例1のモジュールMが示されている。
図1A及び
図1Bには、Z-Z’方向、X-X’方向及びY-Y’方向が示されている。Z-Z’方向は、Z方向とZ’方向とを含む。X-X’方向は、Z-Z’方向に略直交しており且つX方向及びX’方向を含む。Y-Y’方向は、Z-Z’方向及びX-X’方向に略直交しており且つY方向及びY’方向を含む。
【0023】
モジュールMは、第1基板100を備えている。第1基板100は、一又は複数の誘電体層を有している。複数の誘電体層はZ-Z’方向に積層されている。複数の誘電体層は、最もZ方向側に位置する第1誘電体層と、最もZ’方向側に位置する第2誘電体層とを含んでいる。複数の誘電体層は、第1誘電体層と第2誘電体層の間の少なくとも一つの第3誘電体層を更に含んでいてもよい。なお、Z-Z’方向は、第1基板100の厚み方向に相当し、Z方向が第1基板100の厚み方向の一方、Z’方向が第1基板100の厚み方向の他方に相当する。
【0024】
第1基板100は、第1面101と、第2面102とを有している。第1基板100が一の誘電体層を有する場合、第1面101は、一の誘電体層のZ方向側の外面であり、第2面102は、一の誘電体層のZ’方向側の外面である。第1基板100が複数の誘電体層を有する場合、第1基板100は、複数の第3面を更に有している。この場合、第1面101は、第1誘電体層のZ方向側の外面である。第2面102は、第2誘電体層のZ’方向側の外面である。複数の第3面は、第1誘電体層のZ’方向側の内層面、第2誘電体層のZ方向側の内層面、少なくとも一つの第3誘電体層のZ方向側の内層面及び少なくとも一つの第3誘電体層のZ’方向側の内層面である。なお、第1基板100の少なくとも一つの第3誘電体層は省略可能である。
【0025】
第1基板100は、少なくとも一つの第1グランド導体110を更に有していてもよい。第1基板100は、少なくとも一つの第1グランド導体110以外のその他の導体(例えば、バイアホール電極、導電ライン及び電極(バイアホール電極以外)等)を更に有していてもよい。
【0026】
第1基板100が一の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第1グランド導体110が一つである場合、一の第1グランド導体110は、第1基板100の第1面101及び第2面102の何れか一方の面上に設けられている。第1基板100が複数の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第1グランド導体110が複数である場合、複数の第1グランド導体110は、第1基板100の第1面101及び第2面102上に設けられている。
【0027】
第1基板100が複数の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第1グランド導体110が一つである場合、一の第1グランド導体110は、第1面101、第2面102及び複数の第3面のうちの何れか一つの面上に設けられている。第1基板100が複数の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第1グランド導体110が複数である場合、複数の第1グランド導体110は、第1面101、第2面102及び複数の第3面のうちの二つ以上の面上に設けられている。
【0028】
少なくとも一つの第1グランド導体110が複数である場合、複数の第1グランド導体110は、第1基板100の図示しない一又は複数のバイアホール電極を介して互いに接続されている。
【0029】
モジュールMは、第2基板200を更に備えている。第2基板200は、一又は複数の誘電体層を有している。第2基板200の複数の誘電体層は、Z-Z’方向に積層されている。第2基板200の複数の誘電体層は、最もZ方向側に位置する第1誘電体層と、最もZ’方向側に位置する第2誘電体層とを含んでいる。第2基板200の複数の誘電体層は、第1誘電体層と第2誘電体層の間の少なくとも一つの第3誘電体層を更に含んでいてもよい。
【0030】
第2基板200は、第1基板100の第1面101上に実装されており且つ第2基板200は、第1基板100に対してZ方向側に配置されている。第2基板200のZ方向から見た投影面積は第1基板100のZ方向から見た投影面積よりも小さくすることが可能である(
図1A及び
図1B)が、第1基板100のZ方向から見た投影面積と同じ又は大きくすることが可能である。
【0031】
第2基板200は、第1面201と、第2面202とを有している。第2基板200が一の誘電体層を有する場合、第1面201は、第2基板200の一の誘電体層のZ方向側の外面であり、第2面202は、第2基板200の一の誘電体層のZ’方向側の外面である。第2基板200が複数の誘電体層を有する場合、第2基板200は、複数の第3面を更に有している。この場合、第1面201は、第2基板200の第1誘電体層のZ方向側の外面である。第2面202は、第2基板200の第2誘電体層のZ’方向側の外面である。複数の第3面は、第2基板200の第1誘電体層のZ’方向側の内層面、第2基板200の第2誘電体層のZ方向側の内層面、第2基板200の少なくとも一つの第3誘電体層のZ方向側の内層面及び第2基板200の少なくとも一つの第3誘電体層のZ’方向側の内層面である。なお、第2基板200の少なくとも一つの第3誘電体層は省略可能である。
【0032】
第2基板200は、少なくとも一つの第2グランド導体210を更に有していてもよい。第2基板200は、少なくとも一つの第2グランド導体210以外のその他の導体(例えば、バイアホール電極、導電ライン及び電極(バイアホール電極以外)等)を更に有していてもよい。
【0033】
第2基板200が一の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第2グランド導体210が一つである場合、一つの第2グランド導体210は、第2基板200の第1面201及び第2面202の何れか一方の面上に設けられている。第2基板200が一の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第2グランド導体210が複数である場合、複数の第2グランド導体210は、第2基板200の第1面201及び第2面202の面上に設けられている。
【0034】
第2基板200が複数の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第2グランド導体210が一つである場合、一の第2グランド導体210は、第2基板200の第1面201、第2面202及び複数の第3面のうちの何れか一つの面上に設けられている。第2基板200が複数の誘電体層を有し且つ少なくとも一つの第2グランド導体210が複数である場合、複数の第2グランド導体210は、第2基板200の第1面201、第2面202及び複数の第3面のうちの二つ以上の面上に設けられている。
【0035】
少なくとも一つの第2グランド導体210が複数である場合、複数の第2グランド導体210は、第2基板200の図示しない一又は複数のバイアホール電極を介して互いに接続されている。
【0036】
一又は複数の第1グランド導体110及び一又は複数の第2グランド導体210の双方が設けられている場合、一又は複数の第1グランド導体110と一又は複数の第2グランド導体210とは、第1基板100の一又は複数のバイアホール電極と第2基板200の一又は複数のバイアホール電極とを介して電気的に接続されている。
【0037】
モジュールMは、アンテナ300を更に備えている。アンテナ300は、第2基板200に設けられている。例えば、第2基板200が一の誘電体層を有する場合、アンテナ300は、第2基板200の第1面201及び第2面202のうちの何れか一つ面上に形成された導体で構成されていてもよいし、第2基板200の第1面201及び第2面202のうちの何れか一つ面上に設けられた金属板で構成されていてもよい。第2基板200が複数の誘電体層を有する場合、アンテナ300は、第2基板200の第1面201、第2面202又は複数の第3面のうちの何れか一つの面上に形成された導体で構成されていてもよいし、第2基板200の第1面201、第2面202又は複数の第3面のうちの何れか一つの面上に設けられた金属板で構成されていてもよい。
【0038】
上記導体は、(a)周知の印刷法やフォトリソグラフィーなどによって上記一つ面上に形成されていても良いし、(b)スパッタ、無電解めっき又は蒸着により上記一つ面上に導体膜を形成した後、レーザー又は薬剤のエッチングにより、金属膜不必要な部分を除去して導体が形成されていても良いし、(c)第2基板200の上記一つ面を有する誘電体内に分散された金属錯体をレーザーによって活性化して上記一つ面上にめっき触媒を形成し、めっき触媒上に無電解めっきなどでめっき膜(導体)を形成しても良い。
【0039】
アンテナ300及び第2グランド導体210の双方が、第2基板200の第1面201及び第2面202のうちの何れか一つの同一面上、又は、第2基板200の第1面201、第2面202及び複数の第3面のうちの何れか一つの同一面上に設けられていてもよい。この場合、当該一つ面は、アンテナ300が設けられた第1領域と、第2グランド導体210が設けられた第2領域とを有している。第1領域が第2基板200の当該一つの面のY方向、Y’方向、X方向又はX’方向の端部に設けられており、第2領域が第2基板200の第1面201の第1領域に対してY’方向側の部分、第2基板200の第1面201の第1領域に対してY方向側の部分、第2基板200の第1面201の第1領域に対してX’方向側の部分、第2基板200の第1面201の第1領域に対してX方向側の部分に設けられていてもよい。或いは、第1領域が第2基板200の当該一つの面の中央部に設けられており、第2領域が第2基板200の当該一つの面の第1領域に対してY方向、Y’方向、X方向又はX’方向側の部分に設けられていてもよい。
【0040】
又は、アンテナ300及び第2グランド導体210は、第2基板200の第1面201及び第2面202のうちの異なる面上、又は、第2基板200の第1面201、第2面202及び複数の第3面のうちの異なる面上に設けられていてもよい(図示なし)。この場合、アンテナ300は、第2基板200の第1面201及び第2面202のうちの何れか一つの面、又は、又は、第2基板200の第1面201、第2面202及び複数の第3面のうちの何れか一つの面の全領域又は一部の領域上に設けられている。
【0041】
アンテナ300は、逆F型のアンテナ(
図1A参照)とすることが可能であるが、これに限定されるものではなく、例えば、逆L型のアンテナ、多角形若しくは円形のパッチアンテナ、又はループ状のアンテナ等とすることが可能である。
【0042】
アンテナ300が逆F型のアンテナである場合、アンテナ300は、第1導体部310と、第2導体部320と、第3導体部330とを有している。アンテナ300及び第2グランド導体210の双方が第2基板200の同一面上に設けられている場合、アンテナ300の第2導体部320は、同一面上の第2グランド導体210に接続されている。換言すると、第2導体部320は、同一面上の第2グランド導体210から延びている。アンテナ300及び第2グランド導体210が第2基板200の異なる面上に設けられている場合、アンテナ300の第2導体部320は、第2基板200のバイアホール電極を介して異なる面上の第2グランド導体210に電気的に接続されている。第2基板200の少なくとも一つの第2グランド導体210が設けられておらず且つ第1基板100の少なくとも一つの第1グランド導体110が設けられている場合、アンテナ300の第2導体部320は、第2基板200のバイアホール電極、又は、第2基板200のバイアホール電極及び第1基板100のバイアホール電極を介して第1基板100の少なくとも一つの第1グランド導体110に電気的に接続されている。
【0043】
アンテナ300の第3導体部330は、第1導体部310及び第2導体部320に接続されている。第3導体部330は、本体部を有している。第3導体部330の本体部は、蛇行していてもよいが(
図1A参照)、直線状、円弧状又は渦巻き状に延びていてもよく、その形状は任意に設定できる。第3導体部330は、本体部から延びた延長部331を更に有していてもよいが、有していなくても構わない。
【0044】
第1基板100は、アンテナ300に対するZ’方向側の領域(以下、カット領域とも称する。)を有している。このカット領域は、第2基板200のアンテナ300が設けられた部分によってZ方向側から少なくとも部分的に覆われている。カット領域には、切り欠き103が設けられている。切り欠き103は、第1基板100をZ-Z’方向に貫通した貫通孔であってもよいし、Z方向に開口しており且つZ’方向に底部を有する有底孔であってもよい。カット領域が第1基板100のY方向、Y’方向、X方向又はX’方向の端部に設けられている場合、切り欠き103は、Y方向(
図1A)、Y’方向、X方向又はX’方向にも開口していてもよいが、開口していなくても構わない。カット領域が第1基板100の中央部に設けられている場合、切り欠き103は、前述の貫通孔又は有底孔であり、Z-Z’方向に直交する方向に開口していない構成とすることが可能である。切り欠き103は、カット領域の一部の領域に設けられていてもよい(
図1A及び
図1B参照)し、カット領域の全領域に設けられていてもよい(図示なし)。
【0045】
なお、カット領域には、少なくとも一つの第1グランド導体110の一部が設けられていてもよい(図示なし)が、設けられていなくてもよい(
図1A及び
図1B参照)。カット領域には、少なくとも一つの第1グランド導体110の一部が設けられている場合、切り欠き103が形成されることによって、少なくとも一つの第1グランド導体110の一部の全部又は一部が切り欠かれている。
【0046】
モジュールMは、回路部400を更に備えていてもよい。回路部400は、第1基板100又は第2基板200上に実装されている。例えば、回路部400は、第1基板100の第1面101(図示なし)、第1基板100の第2面102(図示なし)又は第2基板200の第1面201(
図1A参照)上に実装されている。回路部400が第1基板100の第1面101又は第2面102上に実装されている場合、第1基板100の第1面101又は第2面102における回路部400が実装された領域(以下、第1実装領域とも称する。)には、少なくとも一つの第1グランド導体110が設けられていない。回路部400が第2基板200の第1面201上に実装されている場合、第2基板200の第1面201における回路部400が実装された領域(以下、第2実装領域とも称する。)には、少なくとも一つの第2グランド導体210が設けられていない。
【0047】
回路部400は、ICその他の論理回路であって、高周波の送信信号を生成し、アンテナ300に所定の通信方式に従った無線信号として無線送信させる構成及び/又はアンテナ300に受信された無線信号を復調等の処理をし、再現したデータを第1基板100の導電ライン及び/又は第2基板200の導電ラインを通じてモジュールM外に出力する構成を有している。アンテナ300が逆Fアンテナである場合、回路部400は、アンテナ300の第1導体部310に接続されている。アンテナ300が逆L型のアンテナ、パッチアンテナ又はループ状のアンテナである場合、回路部400は、アンテナ300に接続されている。なお、モジュールMは、第1基板100及び/又は第2基板200上に実装された回路部400以外のその他の回路を更に備えていてもよい。
【0048】
モジュールMは、シェル500を更に備えていてもよい。シェル500は、金属等の導電性を有する素材で構成(
図1A参照)されていてもよいし、絶縁樹脂の内面又は外面に金属等の導体が蒸着された構成(図示なし)であってもよい。何れの構成であっても、シェル500は、Z’方向に開放された箱型のシェル本体を有している。シェル本体が、第1基板100又は第2基板200に固定されており且つ少なくとも回路部400を覆っている。その他の回路が設けられている場合、シェル本体は、回路部400だけでなくその他の回路も覆う構成とすることが可能である。少なくとも一つの第2グランド導体210が第2基板200の第1面201上の第2グランド導体210を含む場合、シェル500は、第1面201上の第2グランド導体210上に載置されており且つ半田や導電接着剤等で接続されている(
図1A参照)。少なくとも一つの第2グランド導体210が、第2基板200の第1面201上の第2グランド導体210を含まず且つ第2基板200の第2面202、又は、第2面202及び複数の第3面のうちの少なくとも一つの面上に設けられた第2グランド導体210を含む場合、シェル500は、シェル本体からZ’方向に延びる複数の脚部を有しており、複数の脚部が第2基板200の複数のバイアホール電極に挿入され且つ半田や導電接着剤等で接続されていると共に、複数のバイアホール電極を介して第2面202又は前記少なくとも一つの面上の第2グランド導体210に接続されている(図示なし)。少なくとも一つの第2グランド導体210が設けられておらず且つ少なくとも一つの第1グランド導体110が設けられている場合、シェル500は、シェル本体からZ’方向に延びる複数の脚部を有しており、複数の脚部が第2基板200の複数のバイアホール電極及び第1基板100の複数のバイアホール電極に挿入され且つ半田や導電接着剤等で接続されていると共に、少なくとも一つの第1グランド導体110に接続されている(図示なし)。
【0049】
なお、回路部400及びシェル500は省略可能である。この場合、アンテナ300は、モジュールMが搭載される電子機器の回路部等に電気的に接続されているとよい。又は、回路部400が設けられている一方、シェル500が省略された構成とすることも可能である。その他の導体及び/又はその他の回路も省略可能である。
【0050】
以下、上記した何れかの構成を有するモジュールMの使用時に、モジュールMの周囲に配置される誘電体及び/又は導体について説明する。例えば、モジュールMは、電子機器等の筐体10の収容空間内に収容されて使用される(
図2A~
図3C)。
図2A~
図3Cでは、実施例1のモジュールMが筐体10の収容空間内に収容された状態が示されている。なお、
図2A及び
図2Bには、Z-Z’方向、X-X’方向及びY-Y’方向が示されており、
図2Cには、Z-Z’方向及びX-X’方向が示されている。
【0051】
筐体10は、絶縁樹脂等の誘電体で構成されている。筐体10は、Z方向側の第1壁11と、Z’方向側の第2壁12と、X’方向側の第3壁13と、X方向側の第4壁14と、Y方向側の第5壁15とを有している。第3壁13は、第1壁11のX’方向側の端部と第2壁12のX’方向側の端部とを連結している。第4壁14は、第1壁11のX方向側の端部と第2壁12のX方向側の端部とを連結している。第5壁15は、第1壁11のY方向側の端部と第2壁12のY方向側の端部とを連結している。第1壁11、第2壁12、第3壁13、第4壁14及び第5壁15が筐体10の収容空間Sを区画している。収容空間SはY’方向側が開口されている。
【0052】
筐体10には図示しない金属部品等の導体が取り付けられている及び/又は筐体10の収容空間Sには金属部品等の導体が収容されていてもよい。この場合、モジュールMが筐体10内に収容された状態(使用時の状態)で、筐体10及び金属部品等の導体がモジュールMの周囲に位置する。金属部品等の導体は省略可能である。この場合、モジュールMが筐体10内に収容された状態(使用時の状態)で、筐体10がモジュールMの周囲に位置する。
【0053】
又は、モジュールMは、金属筐体の収容空間に収容されて使用されるようになっていてもよい。金属筐体には図示しない金属部品等の導体が取り付けられている及び/又は金属筐体の収容空間には金属部品等の導体が収容されていてもよい。この場合、使用時に、モジュールMの周囲に金属筐体である導体及び金属部品等の導体が位置する。金属部品等の導体は省略可能である。この場合、モジュールMが金属筐体内に収容された状態(使用時の状態)で、金属筐体である導体がモジュールMの周囲に位置する。
【0054】
以下、上記した何れかの構成を有するモジュールMのアンテナ特性を調整する方法について、
図4~
図9Dを参照しつつ詳しく説明する。
図4は、同方法の工程を示すフローチャートである。
図5Aは、モジュールMのアンテナ300のサイズを調整する前の状態を示す部分拡大図であり、
図5Bは、モジュールMのアンテナ300のサイズを調整した後の状態を示す部分拡大図である。
図6Aは、モジュールMの第1基板100のカット領域に切り欠き103aが形成された状態を示す部分拡大図であり、
図6Bは、モジュールMのアンテナ300の第1基板100のカット領域における切り欠き103の寸法を拡大させた状態を示す部分拡大図である。
図7Aは、前記フローチャートの第3電磁界シミュレーションの実施によって得られた第3シミュレーション情報と、第2基準情報とを示すグラフである。
図7Bは、前記フローチャートの第4電磁界シミュレーションの実施によって得られた第4シミュレーション情報と、第2基準情報とを示すグラフである。
図7Cは、前記フローチャートの第1電磁界シミュレーションの実施によって得られた第1シミュレーション情報と、基準情報とを示すグラフである。
図7Dは、前記フローチャートの第2電磁界シミュレーションの実施によって得られた第2シミュレーション情報と、基準情報とを示すグラフである。
図8A及び
図8Bは、
図7A~
図7Dに示されるシミュレーション情報を得るための第1基板100の構成を示す図である。
図9A~
図9Dは、
図7A~
図7Dに示されるシミュレーション情報を得るための第2基板200の構成を示す図である。
【0055】
この方法においては、高周波シミュレータが使用される。高周波シミュレータは、例えば、ムラタソフトウェア株式会社製のプログラムであるFemtet(登録商標)又はANSYS,Inc製のプログラムであるAnsys HFSS(「Ansys」は登録商標)がメモリに記録された(インストールされた)汎用コンピュータであって、当該コンピュータの制御部が前記プログラムを処理することによって、高周波シミュレータとしての機能を発揮するようになっている。高周波シミュレータは、CAD(computer-aided design)データを作成可能な構成及び/又はCADデータ等が入力可能な構成を有している。また、この方法においては、CADデータを作成可能なCADプログラムがメモリに記録された(インストールされた)汎用コンピュータ(以下、「CADコンピュータ」と称する。)も使用される場合がある。CADコンピュータは、当該コンピュータの制御部が前記CADプログラムを処理することによって、CADコンピュータとしての機能を発揮するようになっている。CADコンピュータは、CADデータ等が入出力可能な構成を有している。
【0056】
まず、使用者が、高周波シミュレータの入力部を通じて、アンテナ300のサイズが調整されておらず(例えば、アンテナ300の延長部331が設けられておらず)且つ第1基板100に切り欠き103が形成されていない点(
図5A参照)を除き、上記した何れかの構成を有するモジュールMに関する情報(以下、「第1モジュール情報」と称する。)を高周波シミュレータに入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。そして、使用者は、第1モジュール情報に基づいて当該モジュールMをモデル化した第3モデル情報を高周波シミュレータに生成させる(S1)。生成された第3モデル情報は、高周波シミュレータのメモリに記録される。第1モジュール情報は、アンテナ300のサイズが調整されておらず(例えば、アンテナ300の延長部331が設けられておらず)且つ第1基板100に切り欠き103が形成されていない点(
図5A参照)を除き、上記した何れかの構成を有するモジュールMのCADデータを含む。このCADデータは、第1基板100の一の又は複数の誘電体層の外形寸法、第1基板100の一又は複数の第1グランド導体110の外形寸法、第1基板100のその他の導体(例えば、バイアホール電極、導電ライン及び電極(バイアホール電極以外)等)のそれぞれの外形寸法、第2基板200の一の又は複数の誘電体層の外形寸法、第2基板200の一又は複数の第2グランド導体210の外形寸法、第2基板200のその他の導体(例えば、バイアホール電極、導電ライン及び電極(バイアホール電極以外)等)のそれぞれの外形寸法、アンテナ300の外形寸法、回路部400の外形寸法、第1基板100及び/又は第2基板200上のその他の回路の外形寸法、及び、シェル500の外形寸法等に関する情報を含む。第1モジュール情報は、第1基板100の一又は複数の誘電体層の誘電率、第1基板100の一又は複数の第1グランド導体110の素材、第1基板100のその他の導体のそれぞれの素材、第2基板200の一又は複数の誘電体層の誘電率、第2基板200の一又は複数の第2グランド導体210の素材、第2基板200のその他の導体のそれぞれの素材、アンテナ300の素材、回路部400の素材、第1基板100及び/又は第2基板200上のその他の回路の素材、及び、シェル500の素材等に関する情報を更に含む。なお、第1基板100の一又は複数の第1グランド導体110、第1基板100のその他の導体、第2基板200の一又は複数の第2グランド導体210、第2基板200のその他の導体、回路部400、その他の回路、及び、シェル500の少なくとも一つが省略される場合、第1モジュール情報から省略された構成要素に関する情報が除かれる。使用者は、高周波シミュレータを使用してモジュールMのCADデータの作成等をすることによって、モジュールMのCADデータを高周波シミュレータに入力してもよい。又は、使用者は、CADコンピュータを使用して作成されたモジュールMのCADデータをCADコンピュータの出力部を通して外部に出力し、高周波シミュレータの入力部を通じて高周波シミュレータに入力してもよい。入力されたモジュールMのCADデータは、高周波シミュレータのメモリに記録される。
【0057】
S1の前後に、使用者は、高周波シミュレータを操作して第3モデル情報のアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数等の諸条件(設定情報)を高周波シミュレータに設定する。なお、以下、設定された無線信号の周波数からその周波数の後0.08GHzの範囲を「無線信号の周波数帯域」と称するが、これは一例に過ぎず、無線信号の周波数帯域の幅は任意に設定できる。そして、高周波シミュレータに、第3モデル情報及び設定情報に基づいて電磁界シミュレーション(以下、「第3電磁界シミュレーション」と称する。)を実施させて、モジュールMのアンテナ300のアンテナ特性を示す第3シミュレーション情報を生成させる(S2)。例えば、高周波シミュレータは、無線信号の周波数に対するアンテナ300の放射効率、インピーダンス、Sパラメータ及びトータル効率の少なくとも一つを示す第3シミュレーション情報を生成できる。
図7Aでは、第3シミュレーション情報は、横軸を無線信号の周波数、縦軸をアンテナ300の放射効率としたグラフに破線で表されている。生成された第3シミュレーション情報は、高周波シミュレータのメモリに記録させてもよいし、高周波シミュレータの出力部を通じて外部に出力させてもよい。
【0058】
なお、
図7Aに示す第3シミュレーション情報は、高周波シミュレータとしてemtet(登録商標)がインストールされた汎用コンピュータを使用して、第1モジュール情報に基づいて生成された第3モデル情報に基づいて生成されている。
第1モジュール情報は、第1基板100、第2基板200、アンテナ300及びシェル500を有する
図1A及び1Bに示すモジュールM(但し、回路部400は省略されている。)に関するCADデータを含み且つ下記情報を含む。
第1基板100は、一の誘電体層を有する基板であって、第1基板100に切り欠き103が形成されていない(
図1A~
図1B及び
図8A~
図8B参照)。第1基板100の誘電体層のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)が、55mm×50mm×1.6mmである。第1基板100の誘電体層の誘電率は4.5である。第1基板100の第1面101上には、
図8Aに示す第1グランド導体110が、第2面102上には、
図8Bに示す別の第1グランド導体110が、それぞれ設けられている。この二つの第1グランド導体110のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)は、それぞれ、50mm×49mm×0.018mmである。二つの第1グランド導体110の素材は銅箔である。二つの第1グランド導体110は、第1基板100の複数のバイアホール電極によって互いに接続されている。
図8A及び
図8Bにおいて、複数のバイアホール電極は、□のマークで表されている。
第2基板200は、三層の誘電体層を有する基板であって、第2基板200のY方向側の端が第1基板100のY方向側の端に一致するように、第1基板100上に実装されている。第2基板200の三層の誘電体層のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)が、20mm×12.5mm×0.8mmである。第2基板200の三層の誘電体層の誘電率は4.4である。第2基板200の三層の誘電体層のうちの最もZ方向側に位置する第1誘電体層のZ方向側の面(第1面201)上には、
図9Aに示すように、アンテナ300と、第2グランド導体210とが設けられている。第2基板200の三層の誘電体層のうちの最もZ’方向側に位置する第2誘電体層のZ’方向側の面(第2面202)上には、
図9Dに示すように、別の第2グランド導体210が設けられている。第2基板200の誘電体層のうちの第1誘電体層と第2誘電体層との間に位置する第3誘電体層のZ方向側の面(第3面)上には、
図9Bに示すように、別の第2グランド導体210が設けられており、第3誘電体層のZ’方向側の面(第3面)上には、
図9Cに示すように、別の第2グランド導体210が設けられている。この四つの第2グランド導体210のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)は、それぞれ、15.05mm×11.5mm×0.018mmである。四つの第2グランド導体210の素材は銅箔である。四つの第2グランド導体210は、第2基板200の複数のバイアホール電極で互いに接続されている。
図9A~
図9Dにおいて、複数のバイアホール電極は、□のマークで表されている。第2基板200の複数のバイアホール電極のうち矢印で示すバイアホール電極は、第1基板100の第1面101上の第1グランド導体110に接続されている。
アンテナ300は、銅箔で構成された
図8Aに示す形状の逆F型のアンテナであって、延長部331が設けられていない。アンテナ300の第1導体部310のY’方向側の端部に周波数が2.4GHzの無線信号が印加されるように設定されている。
シェル500は、洋白で構成されており且つ第2基板200の第1面201上の第2グランド導体210上に実装されており且つ接続されている。シェル500のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)は、それぞれ、14.45mm×10.65mm×2.1mmである。
【0059】
S2の後に、使用者は、第3シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、モジュールMのアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数帯域において最適化されているか否かについて判断する(S3)。以下、この判断を「第3判断」と称する。例えば、第3シミュレーション情報に示されるアンテナ300の放射効率の最大時の周波数が、無線信号の周波数帯域の中央値に略一致しているか否かについて判断する。
図7Aでは、破線で示される第3シミュレーション情報のアンテナ300の放射効率最大時の周波数が、破線で示す無線信号の2.4GHz帯域(無線信号の2.4GHzから2.48GHzの範囲)から外れている(右側に位置する)ことが看取される。
【0060】
第3判断の結果(S3)、第3シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されないと判断された場合、モジュールMのアンテナ300のサイズを調整する(S4)。以下、この調整を「第1調整」と称する。例えば、使用者が、高周波シミュレータを操作して高周波シミュレータのメモリに記録されたモジュールMのCADデータを修正し、モジュールMのアンテナ300を長くしたり(
図5B参照)短くしたりすることによって、アンテナ300のサイズを調整する。修正したCADデータが高周波シミュレータのメモリに記録される。又は、使用者が、CADコンピュータを操作してCADコンピュータのメモリに記録されたモジュールMのCADデータを修正し、モジュールMのアンテナ300を長くしたり(
図5B参照)短くしたりすることによって、アンテナ300のサイズを調整する。使用者が、修正されたモジュールMのCADデータをCADコンピュータの出力部を通じて外部に出力させ、高周波シミュレータの入力部を通じて入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。
【0061】
使用者は、アンテナ300のサイズが調整されたモジュールMに関する情報(以下、「第2モジュール情報」と称する。)に基づいて当該モジュールMをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させる(S5)。第4モデル情報の生成は、S4直後に行われる一回目の第4モデル情報の生成を含む。一回目の第4モデル情報の生成は、第1調整によってアンテナ300のサイズが調整されたモジュールMの第2モジュール情報に基づいて当該モジュールMをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含む。一回目の第4モデル情報の生成に使用される第2モジュール情報は、S4において、CADデータが修正される(第1調整によってモジュールMのアンテナ300のサイズが調整される)ことによって生成されて高周波シミュレータのメモリに記録されており、且つ、CADデータが修正されている点(第1調整によってモジュールMのアンテナ300のサイズが調整されている)以外、第1モジュール情報と同じ情報である。
【0062】
S5の前後に、使用者は、高周波シミュレータを操作して第4モデル情報のアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数等の諸条件(設定情報)を高周波シミュレータに設定する。そして、高周波シミュレータに、第4モデル情報及び設定情報に基づいて電磁界シミュレーション(以下、「第4電磁界シミュレーション」と称する。)を実施させて、モジュールMのアンテナ300のアンテナ特性を示す第4シミュレーション情報を生成させる(S6)。例えば、高周波シミュレータは、無線信号の周波数に対するアンテナ300の放射効率、インピーダンス、Sパラメータ及びトータル効率の少なくとも一つを示す第4シミュレーション情報を生成できる。
図7Aでは、第4シミュレーション情報が、横軸を無線信号の周波数、縦軸をアンテナ300の放射効率としたグラフに実線で表されている。生成された第4シミュレーション情報は、高周波シミュレータのメモリに記録させてもよいし、高周波シミュレータの出力部を通じて外部に出力させてもよい。
【0063】
S6の後に、使用者が、第4シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、モジュールMのアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数帯域において最適化されているか否かについて判断する(S7)。以下、この判断を「第4判断」と称する。例えば、第4シミュレーション情報に示されるアンテナ300の放射効率最大時の周波数が、無線信号の周波数帯域の中央値に略一致しているか否かについて判断する。
【0064】
第4判断の結果(S7)、第4シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されないと判断された場合、モジュールMのアンテナ300のサイズを更に調整する(S8)。以下、この調整を「第2調整」と称する。第2調整の実施は、一回目の第2調整の実施を含む。一回目の第2調整の実施は、第1調整によって調整されたモジュールMのアンテナ300のサイズを更に調整することを含む。例えば、使用者が、高周波シミュレータを操作して高周波シミュレータのメモリに記録されたCADデータを修正し、第1調整によって調整されたモジュールMのアンテナ300を長くしたり短くしたりすることによって、アンテナ300のサイズを調整する。修正されたモジュールMのCADデータが高周波シミュレータのメモリに記録される。又は、使用者が、CADコンピュータを操作してCADコンピュータのメモリに記録されたモジュールMのCADデータを修正し、第1調整によって調整されたモジュールMのアンテナ300を長くしたり短くしたりすることによって、アンテナ300のサイズを調整する。使用者が、修正されたモジュールMのCADデータをCADコンピュータから出力させ、高周波シミュレータの入力部を通じて入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。
【0065】
第4判断の結果(S7)、第4シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、モジュールMのアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数帯域において最適化されたと判断されるまで、第2調整(S8)、第4モデル情報の生成(S5)、第4電磁界シミュレーション(S6)及び第4判断(S7)をこの順で繰り返し実施する。このようにして第4シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、モジュールMのアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数帯域において最適化される。
図7Aでは、実線で示される第4シミュレーション情報のアンテナ300の放射効率最大時の周波数が、無線信号の周波数帯域(2.4GHz帯域)の中央値(2.45GHz)に略一致しており、アンテナ300の放射効率が最適化されていることが看取される。
【0066】
第2調整の実施は、二回目の第2調整の実施を更に含むことが可能である。第2調整の実施は、三回目以降の第2調整の実施を更に含むことが可能である。二回目の第2調整の実施は、第1調整及び一回目の第2調整によって調整されたモジュールMのアンテナ300のサイズを更に調整することを含む。例えば、使用者が、一回目の第2調整と同様に、高周波シミュレータ又はCADコンピュータを操作してモジュールMのCADデータを修正して、アンテナ300のサイズを更に調整する。三回目以降の第2調整の実施は、第1調整及び複数回の第2調整(一回目及び二回目の第2調整を含む。)によって調整されたモジュールMのアンテナ300のサイズを更に調整することを含む。例えば、使用者が、一回目の第2調整と同様に、高周波シミュレータ又はCADコンピュータを操作してモジュールMのCADデータを修正して、アンテナ300のサイズを更に調整する。なお、高周波シミュレータを使用して第2調整がなされた場合、修正されたモジュールMのCADデータが高周波シミュレータのメモリに記録される。CADコンピュータを使用して第2調整がなされた場合、使用者が、修正されたモジュールMのCADデータをCADコンピュータから出力させ、高周波シミュレータの入力部を通じて入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。
【0067】
第1調整、第1調整及び一回の第2調整、又は第1調整及び複数回の第2調整によって、調整後のアンテナ300を調整前のアンテナ300よりも長くする場合、アンテナ300に延長部331が形成される(
図5B参照)。一方、第1調整、第1調整及び一回の第2調整、又は第1調整及び複数回の第2調整によって、調整後のアンテナ300を調整前のアンテナ300よりも短くする場合には、アンテナ300に延長部331が形成されない。
【0068】
第4モデル情報の生成は、二回目の第4モデル情報の生成を更に含むことが可能である。第4モデル情報の生成は、三回目以降の第4モデル情報の生成を更に含むことが可能である。二回目の第4モデル情報の生成は、第1調整及び一回目の第2調整によって調整されたアンテナ300のサイズが調整された第2モジュール情報に基づいて当該モジュールMをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含む。二回目の第4モデル情報の生成に使用される第2モジュール情報は、S8において、CADデータが修正される(第1調整及び一回目の第2調整によってアンテナ300のサイズが調整される)ことによって生成されて高周波シミュレータのメモリに記録されており、且つ、CADデータが修正されている点(第1調整及び一回目の第2調整によってアンテナ300のサイズが調整されている)以外、第1モジュール情報と同じ情報である。三回目以降の第4モデル情報の生成は、第1調整及び複数回の第2調整によって調整されたアンテナ300のサイズが調整された第2モジュール情報に基づいて当該モジュールMをモデル化した第4モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含む。三回目の第4モデル情報の生成に使用される第2モジュール情報は、S8において、CADデータが修正される(第1調整及び複数回の第2調整によってアンテナ300のサイズが調整される)ことによって生成されて高周波シミュレータのメモリに記録されており、且つ、CADデータが修正されている点(第1調整及び複数回の第2調整によってアンテナ300のサイズが調整されている)以外、第1モジュール情報と同じ情報である。
【0069】
第4判断の結果(S7)、第4シミュレーション情報に示されるアンテナ特性が、無線信号の周波数帯域において最適化されたと判断された場合(例えば、第4シミュレーション情報に示されるアンテナ300の放射効率最大時の周波数が、無線信号の周波数帯域の中央値に略一致すると判断された場合(
図7A参照))、後述する第1~第4構造体の何れか一つの構造体に関する情報(以下、「第1構造体情報」と称する。)を高周波シミュレータに入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。そして、第1構造体情報に基づいて当該一つの構造体をモデル化した第1モデル情報を高周波シミュレータに生成させる(S9)。例えば、使用者は、高周波シミュレータを操作して、アンテナ300のサイズが上記した何れかのとおりに調整されており(最適化されており)且つ切り欠き103が設けられていない点を除き、上記した何れかの構成を有するモジュールMのCADデータを修正して、当該モジュールMが収容される筐体10又は金属筐体と、筐体10又は金属筐体に取り付け又は収容された金属部品とを追加して、又は、当該モジュールMが収容される筐体10又は金属筐体を追加して、第1~第4構造体の何れか一つの構造体のCADデータを作成する。作成された一つの構造体のCADデータは高周波シミュレータのメモリに記録される。そして、一つの構造体のCADデータを含む一つの構造体に関する第1構造体情報に基づいて当該一つの構造体をモデル化した第1モデル情報を高周波シミュレータに生成させる。又は、使用者が、CADコンピュータを操作してアンテナ300のサイズが上記した何れかのとおりに調整されており(最適化されており)且つ切り欠き103が設けられていない点を除き、上記した何れかの構成を有するモジュールMのCADデータを修正して、モジュールMが収容される筐体10又は金属筐体と、筐体10又は金属筐体に取り付け又は収容された金属部品とを追加して、又は、モジュールMが収容される筐体10又は金属筐体を追加して、第1~第4構造体の何れか一つの構造体のCADデータを作成させる。使用者が、作成された一つの構造体のCADデータをCADコンピュータの出力部を通じて外部に出力させ、高周波シミュレータの入力部を通じて入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。そして、一つの構造体のCADデータを含む一つの構造体に関する第1構造体情報に基づいて当該一つの構造体をモデル化した第1モデル情報を高周波シミュレータに生成させる。
【0070】
第1構造体は、アンテナ300のサイズが上記した何れかのとおりに調整されており(最適化されており)且つ切り欠き103が設けられていない点を除き、上記した何れかの構成を有するモジュールMと、このモジュールMが収容された筐体10と、筐体10に取り付け又は収容された金属部品とを備えている。第1構造体に関する第1構造体情報は、第1構造体のCADデータを含む。第1構造体のCADデータは、第1基板100の一の又は複数の誘電体層の外形寸法、第1基板100の一又は複数の第1グランド導体110の外形寸法、第1基板100のその他の導体(例えば、バイアホール電極、導電ライン及び電極(バイアホール電極以外)等)のそれぞれの外形寸法、第2基板200の一の又は複数の誘電体層の外形寸法、第2基板200の一又は複数の第2グランド導体210の外形寸法、第2基板200のその他の導体(例えば、バイアホール電極、導電ライン及び電極(バイアホール電極以外)等)のそれぞれの外形寸法、アンテナ300の外形寸法、回路部400の外形寸法、第1基板100及び/又は第2基板200上のその他の回路の外形寸法、シェル500の外形寸法、筐体10の外形寸法、筐体10の収容空間Sの寸法、金属部品の外形寸法、モジュールMと筐体10との距離、及び、モジュールMと金属部品との距離等に関する情報を含む。第1構造体に関する第1構造体情報は、第1基板100の一又は複数の誘電体層の誘電率、第1基板100の一又は複数の第1グランド導体110の素材、第1基板100のその他の導体のそれぞれの素材、第2基板200の一又は複数の誘電体層の誘電率、第2基板200の一又は複数の第2グランド導体210の素材、第2基板200のその他の導体のそれぞれの素材、アンテナ300の素材、回路部400の素材、第1基板100及び/又は第2基板200上のその他の回路の素材、シェル500の素材、筐体10の誘電率、及び、金属部品の素材等に関する情報を更に含む。
【0071】
第2構造体は、金属部品が除去されている以外、第1構造体と同じ構成である。したがって、第2構造体に関する第1構造体情報は、金属部品に関する情報が除去されている以外、第1構造体に関する第1構造体情報と同じである。
【0072】
第3構造体は、筐体10に代えて、アンテナ300のサイズが上記した何れかのとおりに調整されており(最適化されており)且つ切り欠き103が設けられていない点を除き、上記した何れかの構成を有するモジュールMを収容する金属筐体を備えている以外、第1構造体と同じ構成である。第3構造体に関する第1構造体情報は、第3構造体のCADデータを含む。第3構造体のCADデータは、筐体10の外形寸法、筐体10の収容空間Sの寸法及びモジュールMと筐体10との距離に関する情報の代わりに、金属筐体の外形寸法、金属筐体の収容空間の寸法、モジュールMと金属筐体との距離に関する情報が含まれている。第3構造体に関する第1構造体情報は、筐体10の誘電率に関する情報の代わりに、金属筐体の素材に関する情報を更に含む。上記以外については、第3構造体に関する第1構造体情報は、第1構造体に関する第1構造体情報と同じ情報である。
【0073】
第4構造体は、金属部品が除去されている以外、第3構造体と同じ構成である。したがって、第4構造体に関する第1構造体情報は、金属部品に関する情報が除去されている以外、第3構造体に関する第4情報と同じである。
【0074】
なお、第1~第4構造体のモジュールMにおいて、第1基板100の一又は複数の第1グランド導体110、第1基板100のその他の導体、第2基板200の一又は複数の第2グランド導体210、第2基板200のその他の導体、回路部400、その他の回路、及び、シェル500の少なくとも一つが省略される場合、上記した何れかの第1構造体情報から省略された構成要素に関する情報が除かれる。
【0075】
S9の前後に、使用者は、高周波シミュレータを操作して第1モデル情報のアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数等の諸条件(設定情報)を高周波シミュレータに設定する。そして、使用者は、高周波シミュレータに、第1モデル情報及び設定情報に基づいて電磁界シミュレーション(以下、「第1電磁界シミュレーション」と称する。)を実施させて、第1~第4構造体の何れか一つの構造体のアンテナ300のアンテナ特性を示す第1シミュレーション情報を生成させる(S10)。例えば、高周波シミュレータは、無線信号の周波数に対するアンテナ300の放射効率、インピーダンス、Sパラメータ及びトータル効率の少なくとも一つを示す第1シミュレーション情報を生成できる。
図7Bでは、第1シミュレーション情報が、横軸を無線信号の周波数、縦軸をアンテナ300の放射効率としたグラフに破線で表されている。生成された第1シミュレーション情報は、高周波シミュレータのメモリに記録させてもよいし、高周波シミュレータの出力部を通じて外部に出力させてもよい。
【0076】
なお、
図7Bに示す第1シミュレーション情報は、高周波シミュレータとしてemtet(登録商標)がインストールされた汎用コンピュータを使用して、第2構造体に関する第1構造体情報に基づいて第2構造体をモデル化した第1モデル情報に基づいて生成されている。
第1構造体情報は、
図2A~
図3Cに示す第2構造体(但し、回路部400は省略されている。)のCADデータを含み且つ下記情報を含む。
第1基板100は、一の誘電体層を有する基板であって、第1基板100に切り欠き103が形成されていない(
図2A~
図3C及び
図8A~
図8B参照)。第1基板100の誘電体層のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)が、55mm×50mm×1.6mmである。第1基板100の誘電体層の誘電率は4.5である。第1基板100の第1面101上には、
図8Aに示す第1グランド導体110が、第2面102上には、
図8Bに示す別の第1グランド導体110が、それぞれ設けられている。この二つの第1グランド導体110のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)は、それぞれ、50mm×49mm×0.018mmである。二つの第1グランド導体110の素材は銅箔である。二つの第1グランド導体110は、第1基板100の複数のバイアホール電極によって互いに接続されている。
図8A及び
図8Bにおいて、複数のバイアホール電極は、□のマークで表されている。
第2基板200は、三層の誘電体層を有する基板であって、第2基板200のY方向側の端が第1基板100のY方向側の端に一致するように、第1基板100上に実装されている。第2基板200の三層の誘電体層のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)が、20mm×12.5mm×0.8mmである。第2基板200の三層の誘電体層の誘電率は4.4である。第2基板200の三層の誘電体層のうちの最もZ方向側に位置する第1誘電体層のZ方向側の面(第1面201)上には、
図9Aに示すように、アンテナ300と、第2グランド導体210とが設けられている。第2基板200の三層の誘電体層のうちの最もZ’方向側に位置する第2誘電体層のZ’方向側の面(第2面202)上には、
図9Dに示すように、別の第2グランド導体210が設けられている。第2基板200の誘電体層のうちの第1誘電体層と第2誘電体層との間に位置する第3誘電体層のZ方向側の面(第3面)上には、
図9Bに示すように、別の第2グランド導体210が設けられており、第3誘電体層のZ’方向側の面(第3面)上には、
図9Cに示すように、別の第2グランド導体210が設けられている。この四つの第2グランド導体210のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)は、それぞれ、15.05mm×11.5mm×0.018mmである。四つの第2グランド導体210の素材は銅箔である。四つの第2グランド導体210は、第2基板200の複数のバイアホール電極で互いに接続されている。
図9A~
図9Dにおいて、複数のバイアホール電極は、□のマークで表されている。第2基板200の複数のバイアホール電極のうち矢印で示すバイアホール電極は、第1基板100の第1面101上の第1グランド導体110に接続されている。
アンテナ300は、銅箔で構成された
図8Aに示す形状の逆F型のアンテナであって、延長部331が設けられていない。アンテナ300の第1導体部310のY’方向側の端部に周波数2.4GHzの無線信号が印加されるように設定されている。
シェル500は、洋白で構成されており且つ第2基板200の第1面201上の第2グランド導体210上に実装されており且つ接続されている。シェル500のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)は、それぞれ、14.45mm×10.65mm×2.1mmである。
筐体10は、ABS樹脂で構成されている。筐体10の誘電率は、3.1である。筐体10のY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)が、57mm×53mm×9.05mmである。筐体10の収容空間SのY-Y’方向の寸法×X-X’方向の寸法×Z-Z’方向の寸法(外形寸法)が、55.5mm×50mm×6.05mmである。筐体10の第1壁11から第1基板100の第1面101までのZ-Z’方向の直線距離が、3.05mmであり、筐体10の第2壁12から第1基板100の第2面102までのZ-Z’方向の直線距離が、0.5mmであり、筐体10の第3壁13から第1基板100のX’方向側の側面までのX-X’方向の直線距離が、0.5mmであり、筐体10の第4壁14から第1基板100のX方向側の側面までのX-X’方向の直線距離が、0.5mmであり、筐体10の第5壁15から第1基板100のY方向側の側面までのY-Y’方向の直線距離が、0.5mmである。
【0077】
S10の後に、使用者は、第1シミュレーション情報と、予め用意されたアンテナ特性に関する基準情報とを比較し、第1シミュレーション情報と基準情報とが略一致するか否か(例えば、第1シミュレーション情報における放射効率最大時の周波数と、基準情報における放射効率の最大時の周波数とが略一致するか、又は、設定された無線信号の周波数帯域において、第1シミュレーション情報の周波数に対する放射効率と、基準情報の周波数に対する放射効率とが略一致するか)又は第1シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるか否か(例えば、第1シミュレーション情報の放射効率最大時の周波数が、基準情報の放射効率最大時の周波数を基準として前後0.02GHzの範囲内に含まれるか否か)について判断する(S11)。以下、この判断を「第1判断」と称する。例えば、高周波シミュレータに、横軸を無線信号の周波数、縦軸をアンテナ300の放射効率としたグラフに、破線で示す第1シミュレーション情報と、実線で示す基準情報とを表示させて比較し、上記第1判断を実施してもよい(
図7B参照)。基準情報は、無線信号の周波数に対するアンテナ300の放射効率(例えば、S7において、第4シミュレーション情報と第2基準情報とが略一致すると判断された場合又は第4シミュレーション情報が第2基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断された場合の第4シミュレーション情報)、インピーダンス、Sパラメータ及びトータル効率の少なくとも一つとすることができる。基準情報は、S11の前に、高周波シミュレータのメモリに記録されていてもよい。
【0078】
第1判断の結果(S11)、第1シミュレーション情報と基準情報とが略一致しないと判断された場合又は第1シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれないと判断された場合、第1基板100のカット領域に切り欠き103aを形成する(S12)(
図6A参照)。例えば、使用者が、高周波シミュレータを操作して第1~第4構造体の何れか一つの構造体のCADデータを修正し、第1基板100のカット領域のうちの一部分を切り欠いて切り欠き103aを形成する。修正された一つの構造体のCADデータは、高周波シミュレータのメモリに記録される。又は、使用者が、CADコンピュータを操作して第1~第4構造体の何れか一つの構造体のCADデータを修正し、第1基板100のカット領域のうちの一部分を切り欠いて切り欠き103aを形成する。使用者が、修正された一つの構造体のCADデータをCADコンピュータの出力部を通じて外部に出力させ、高周波シミュレータの入力部を通じて入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。
【0079】
使用者は、S12において、修正された一つの構造体のCADデータを含む一つの構造体に関する情報(以下、「第2構造体情報」と称する。)に基づいて当該一つの構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させる(S13)。第2モデル情報の生成は、S12直後に行われる一回目の第2モデル情報の生成を含む。一回目の第2モデル情報の生成は、第1基板100のカット領域に切り欠き103aが形成された第1~第4構造体の何れか一つの構造体に関する第2構造体情報に基づいて当該一つの構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含む。一回目の第2モデル情報の生成に使用される第1、第2、第3、第4構造体に関する第2構造体情報は、S12において、第1、第2、第3、第4構造体のCADデータが修正されている点(第1基板100のカット領域に切り欠き103aが形成されている)以外、第1、第2、第3、第4構造体に関する第1構造体情報と同じ情報である。
【0080】
S13の前後に、使用者は、高周波シミュレータを操作して第2モデル情報のアンテナ300に送信及び/又は受信させる無線信号の周波数等の諸条件(設定情報)を高周波シミュレータに設定する。そして、高周波シミュレータに、第2モデル情報及び設定情報に基づいて電磁界シミュレーション(以下、「第2電磁界シミュレーション」と称する。)を実施させて、第1~第4構造体の何れか一つの構造体のアンテナ300のアンテナ特性を示す第2シミュレーション情報を生成させる(S14)。例えば、高周波シミュレータは、無線信号の周波数に対するアンテナ300の放射効率、インピーダンス、Sパラメータ及びトータル効率の少なくとも一つを示す第2シミュレーション情報を生成できる。
図7Cでは、第2シミュレーション情報が、横軸を無線信号の周波数、縦軸をアンテナ300の放射効率としたグラフに破線で表されている。生成された第2シミュレーション情報は、高周波シミュレータのメモリに記録させてもよいし、高周波シミュレータの出力部を通じて外部に出力させてもよい。
【0081】
使用者が、第2シミュレーション情報と基準情報とを比較し、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致するか否か(例えば、第1シミュレーション情報における放射効率最大時の周波数と、基準情報における放射効率の最大時の周波数とが略一致するか、又は、設定された無線信号の周波数帯域において、第1シミュレーション情報の周波数に対する放射効率と、基準情報の周波数に対する放射効率とが略一致するか)又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるか否か(例えば、第1シミュレーション情報の放射効率最大時の周波数が、基準情報の放射効率最大時の周波数を基準として前後0.02GHzの範囲内に含まれるか否か)について判断する(S15)。以下、この判断を「第2判断」と称する。例えば、高周波シミュレータに、横軸を無線信号の周波数、縦軸をアンテナ300の放射効率としたグラフに、破線で示す第2シミュレーション情報と、実線で示す基準情報とを表示させて比較し、上記第2判断を実施してもよい(
図7C参照)。第2シミュレーション情報は、第1基板100のカット領域に少なくとも切り欠き103aが形成された第1~第4構造体の何れか一つの構造体をモデル化した第2モデル情報に基づいて生成されているので、第1シミュレーション情報よりも基準情報に近づく(
図7B及び
図7C参照)。
【0082】
第2判断の結果(S15)、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致しないと判断された場合又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれないと判断された場合(
図7C参照)、第1基板100のカット領域における切り欠き103aの寸法を拡大又は縮小して調整する(S16)。例えば、使用者が、高周波シミュレータを操作して第1基板100のカット領域に切り欠き103aが形成された第1~第4構造体の何れか一つの構造体のCADデータを修正し、第1基板100のカット領域における切り欠き103aの寸法をY-Y’方向、X-X’方向及びZ-Z’方向の少なくとも一つの方向において拡大又は縮小して調整する。修正された一つの構造体のCADデータは、高周波シミュレータのメモリに記録される。又は、使用者が、CADコンピュータを操作して第1基板100のカット領域に切り欠き103aが形成された第1~第4構造体の何れか一つの構造体のCADデータを修正し、第1基板100のカット領域における切り欠き103aの寸法をY-Y’方向、X-X’方向及びZ-Z’方向の少なくとも一つの方向において拡大又は縮小して調整する。使用者が、修正された一つの構造体のCADデータをCADコンピュータの出力部を通じて外部に出力させ、高周波シミュレータの入力部を通じて入力し、高周波シミュレータのメモリに記録させる。ただし、切り欠き103aが第1基板100をZ-Z’方向に貫通している場合、切り欠き103aの寸法をZ-Z’方向に拡大することはできないことに留意されたい。
【0083】
第2判断の結果(S15)、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致すると判断されるまで又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断されるまで、切り欠き103aの寸法の調整(S16)、第2モデル情報の生成(S13)、第2電磁界シミュレーション(S14)及び第2判断(S15)をこの順で繰り返し実施する。
【0084】
以上の通り、第1~第4構造体の何れか一つの構造体の第1基板100のカット領域に、切り欠き103aが形成、又は、切り欠き103aの寸法が調整されることによって、第1~第4構造体の何れか一つの構造体の第1基板100のカット領域に、切り欠き103が形成される。
【0085】
第2モデル情報の生成は、二回目以降の第2モデル情報の生成を更に含むことが可能である二回目以降の第2モデル情報の生成は、第1基板100のカット領域の切り欠き103aの寸法が拡大又は縮小されて調整された第1~第4構造体の何れか一つの構造体に関する第2構造体情報に基づいて当該一つの構造体をモデル化した第2モデル情報を高周波シミュレータに生成させることを含む。二回目以降の第2モデル情報の生成に使用される第1、第2、第3、第4構造体に関する第2構造体情報は、S16において、CADデータが修正されている点(第1基板100のカット領域における切り欠き103aの寸法が拡大又は縮小されている)以外、第1、第2、第3、第4構造体に関する第1構造体情報と同じ情報である。
【0086】
図7Cに示す第2シミュレーション情報は、高周波シミュレータとしてemtet(登録商標)がインストールされた汎用コンピュータを使用して、第2構造体に関する第2構造体情報に基づいて生成された第2モデル情報に基づいて生成されている。
この第2構造体情報は、第2構造体の第1基板100に切り欠き103aが形成されている点で相違する以外、
図7Bに示す第1シミュレーション情報を生成するために使用した第1構造体情報と同じ情報である。この切り欠き103aは第1基板100のカット領域の一部分をZ-Z’方向に貫通しており且つY方向に開口している(
図6A参照)。切り欠き103aのX-X’方向の寸法は、13.5mmであり、Y-Y’方向の寸法は、1.0mmであり、Z-Z’方向の寸法は0.8mmである。
【0087】
図7Dに示す第2シミュレーション情報は、高周波シミュレータとしてemtet(登録商標)がインストールされた汎用コンピュータを使用して、第2構造体に関する第2構造体情報に基づいて生成された第2モデル情報に基づいて生成されている。
この第2構造体情報は、第2構造体の第1基板100における切り欠き103aの寸法がY-Y’方向において拡大されている点で相違する以外、
図7Cに示す第2シミュレーション情報を生成するために使用した第2構造体情報と同じ情報である。この拡大された切り欠き103aのX-X’方向の寸法は、13.5mmであり、Y-Y’方向の寸法は、2.0mmであり、Z-Z’方向の寸法は0.8mmである(
図6B参照)。
【0088】
S16を経ずに、第2判断の結果(S15)、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致すると判断された場合(
図7D参照)又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断された場合、(1)アンテナ300のアンテナ特性(例えば、放射効率等)が無線信号の周波数帯域で最適化されるように、切り欠き103aが形成された第1~第4構造体の何れか一つの構造体をモデル化した第2モデル情報が得られる。一又は複数回のS16を経て、第2判断の結果(S15)、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致すると判断された場合(
図7D参照)又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれると判断された場合、(2)アンテナ300のアンテナ特性(例えば、放射効率等)が無線信号の周波数帯域で最適化されるように、切り欠き103aの寸法が調整された第1~第4構造体の何れか一つの構造体をモデル化した第2モデル情報が得られる。
【0089】
なお、モジュールMのアンテナ300のアンテナ特性が最適化されたアンテナ300のサイズが、予め判明している場合には、上記調整方法のS1~S8を省略することが可能である。第1基板100のカット領域に切り欠き103aが形成されるだけで、第2シミュレーション情報と基準情報とが略一致する場合又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれる場合、上記した何れかの態様の調整方法のS16を省略することが可能である。
【0090】
以上のような調査方法による場合、使用時に、モジュールMの周囲に配置される誘電体及び/導体のアンテナ300に対する影響を考慮してアンテナ300のアンテナ特性を向上させることができる。その理由は以下の通りである。上記した調整方法では、上記(1)又は(2)の第2モデル情報が得られる。得られた第2モデル情報は、アンテナ300アンテナ特性を示す第2シミュレーション情報が基準情報と略一致する又は第2シミュレーション情報が基準情報を基準とする所定範囲内に含まれるように、第1基板100のカット領域に切り欠き103が形成されたモジュールMと、その周囲に配置された誘電体及び/又は導体とを備える構造体をモデル化した情報である。このように第2モデル情報においては、モジュールMの周囲に誘電体及び/又は導体が配置された状態で、第1基板100のカット領域に切り欠き103が形成又は形成された切り欠き103aの寸法が調整されることによって、モジュールMのアンテナ特性が基準情報に略一致又は所定範囲内に含まれるように補正されている。そのため、第2モデル情報にしたがって、第1基板100のカット領域に切り欠き103が形成されたモジュールMを製造することによって、モジュールMが、使用時にその周囲に誘電体及び/導体が配置されたときに、当該誘電体及び/導体の影響によってモジュールMのアンテナ300のアンテナインピーダンスに不整合が生じる可能性が低減される。よって、モジュールMのアンテナ特性が向上する。
【0091】
また、第1基板100のカット領域に切り欠き103が形成されることによって、モジュールMが、使用時にその周囲に誘電体及び/導体が配置されたときに、アンテナ300に対する影響が低減されるので、使用時にモジュールMとその周囲に配置された誘電体及び/導体との距離を小さくし易くなる。しかも、モジュールMの周囲に配置される誘電体及び/導体のアンテナ300に対する影響に応じて、切り欠き103の寸法を事前に調整することができるので、モジュールMを様々な誘電体及び/導体の周囲に配置し易くなる。換言すると、モジュールMの汎用性が向上する。
【0092】
なお、上記したモジュールM、構造体及び調査方法は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0093】
上記した何れかの態様のアンテナは、第2基板の第2面上に設けられていてもよい。
【0094】
上記した何れかの態様の誘電体及び/又は導体は、使用時に上記した何れかの態様の無線通信モジュールの周囲に配置されるものであればよい。例えば、誘電体は、上記した何れかの態様の無線通信モジュールの周囲に配置される樹脂パーツ等とすることが可能である。導体は、上記した何れかの態様の無線通信モジュールの周囲に配置される金属フレーム等とすること可能である。
【0095】
上記した何れかの態様の回路部は、上記した何れかの態様のアンテナに電力を送電及び/又は受電させるための構成とすることが可能である。