(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008573
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 9/012 20060101AFI20230112BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20230112BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01G9/012 303
H01G9/15
H01G9/00 290E
H01G9/00 290D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112244
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】高田 一志
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏昌
(57)【要約】
【課題】陽極端子の母材として銅を用いたとしても問題なく抵抗溶接できる固体電解コンデンサの製造方法及びその製造方法により製造される固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】固体電解コンデンサ100は、コンデンサ素子200と、陽極端子400と、陰極端子500とを備えている。コンデンサ素子200は、陽極体210と、陽極体210から水平方向に延びる陽極リードワイヤ300とを備えている。薄肉部320の下面324と厚肉部310の下面314とは同一面上にある一方、水平方向と直交する上下方向において薄肉部320の上面322は厚肉部310の上面312よりも下方に位置している。陽極端子400の一端410が陽極リードワイヤ300の薄肉部320上に位置すると共に陽極端子400の重複部450が陽極リードワイヤ300の厚肉部310と重複した状態で、陽極端子400は、陽極リードワイヤ300に接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁作用金属からなる陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層上に形成された導電体層と、前記陽極体に部分的に埋設されると共に前記陽極体から水平方向に延びる陽極リードワイヤとを備えるコンデンサ素子であって、前記陽極リードワイヤは、厚肉部と、前記水平方向において前記厚肉部よりも前記陽極体側に位置する薄肉部とを有しており、前記薄肉部の下面と前記厚肉部の下面とは同一面上にある一方、前記水平方向と直交する上下方向において前記薄肉部の上面は前記厚肉部の上面よりも下方に位置している、コンデンサ素子を形成する工程と、
陽極端子の一端を前記薄肉部の上方に位置させると共に前記陽極端子の前記一端より他端側に位置する重複部が前記厚肉部と重複するように、前記陽極端子を部分的に前記陽極リードワイヤ上に配置する工程と、
上側電極と下側電極の双方を前記水平方向において前記陽極リードワイヤの前記厚肉部に対応する領域を占めると共に前記陽極リードワイヤの前記薄肉部に対応する領域を部分的に占めるように配置して、前記上側電極と前記下側電極との間に前記陽極端子の前記一端と前記陽極リードワイヤの前記薄肉部とを挟み込むと共に前記陽極端子の前記重複部と前記陽極リードワイヤの前記厚肉部とを挟み込んで前記上下方向において加圧しながら電流を流して抵抗溶接し、前記陽極端子と前記陽極リードワイヤとを接合する工程と
を備える固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項2】
コンデンサ素子と、陽極端子と、陰極端子とを備えた固体電解コンデンサであって、
前記コンデンサ素子は、弁作用金属からなる陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層上に形成された導電体層と、前記陽極体に部分的に埋設されると共に前記陽極体から水平方向に延びる陽極リードワイヤとを備えており、
前記陽極リードワイヤは、厚肉部と、前記水平方向において前記厚肉部よりも前記陽極体側に位置する薄肉部とを有しており、
前記薄肉部の下面と前記厚肉部の下面とは同一面上にある一方、前記水平方向と直交する上下方向において前記薄肉部の上面は前記厚肉部の上面よりも下方に位置しており、
前記陽極端子は、一端と、他端と、前記一端より前記他端側に位置する重複部とを少なくとも有しており、
前記陽極端子の前記一端が前記薄肉部上に位置すると共に前記陽極端子の前記重複部が前記厚肉部と重複した状態で、前記陽極端子は、前記陽極リードワイヤに接合されており、
前記陽極端子の前記一端の上面と前記陽極端子の前記重複部の上面とは同一面上にある
固体電解コンデンサ。
【請求項3】
請求項2記載の固体電解コンデンサであって、
前記厚肉部の前記水平方向におけるサイズをSt、前記陽極端子と前記陽極リードワイヤとの接合部分の前記水平方向におけるサイズをScとしたとき、St/Sc≦0.5を満たしている
固体電解コンデンサ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、前記薄肉部と前記厚肉部とを連結する連結部を有しており、
前記連結部は、前記薄肉部の前記上面と前記厚肉部の前記上面とを連結する交差面であって前記上下方向と交差する交差面を有している
固体電解コンデンサ。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、タンタルで構成されており、
前記陽極端子の母材は、銅である
固体電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ素子と、陽極端子とを備える固体電解コンデンサとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の固体電解コンデンサ900を開示している。
図10に示されるように、特許文献1の固体電解コンデンサ900は、コンデンサ素子910と、外装樹脂920と、陽極端子930と、陰極端子940とを備えている。コンデンサ素子910は、陽極体912と、固体電解質層914と、導電体層916と、陽極リードワイヤ918とを備えている。陽極体912は、弁作用金属からなる。陽極体912の表面には誘電体層913が形成されており、固体電解質層914は、その誘電体層913上に形成されている。導電体層916は、固体電解質層914上に形成されている。陽極リードワイヤ918は、陽極体912の一端を引き出してなる。具体的には、陽極リードワイヤ918は、陽極体912に部分的に埋設されると共に陽極体912から水平方向に延びている。外装樹脂920は、コンデンサ素子910を覆っている。陽極端子930は、陽極リードワイヤ918に接続されている。陰極端子940は、導電体層916に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の出願時においては、陽極端子の母材として鉄ニッケルを用いることが主流であった。一方、低ESR化を更に進めたいとの要望から、近年では、陽極端子の母材として銅を用いるようになってきている。ここで、銅は鉄ニッケルよりも融点が低いため、抵抗溶接の際に陽極端子が溶融しやすい。また、一般的に、溶融すると金属は抵抗が高くなる。そのため、特許文献1の構成では抵抗溶接の際に陽極端子と陽極リードワイヤとの接合部で銅の溶融に起因して抵抗が高くなりすぎ、それによって異常発熱が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、陽極端子の母材として銅を用いたとしても問題なく抵抗溶接できる固体電解コンデンサの製造方法及びその製造方法により製造される固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の固体電解コンデンサの製造方法として、
弁作用金属からなる陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層上に形成された導電体層と、前記陽極体に部分的に埋設されると共に前記陽極体から水平方向に延びる陽極リードワイヤとを備えるコンデンサ素子であって、前記陽極リードワイヤは、厚肉部と、前記水平方向において前記厚肉部よりも前記陽極体側に位置する薄肉部とを有しており、前記薄肉部の下面と前記厚肉部の下面とは同一面上にある一方、前記水平方向と直交する上下方向において前記薄肉部の上面は前記厚肉部の上面よりも下方に位置している、コンデンサ素子を形成する工程と、
陽極端子の一端を前記薄肉部の上方に位置させると共に前記陽極端子の前記一端より他端側に位置する重複部が前記厚肉部と重複するように、前記陽極端子を部分的に前記陽極リードワイヤ上に配置する工程と、
上側電極と下側電極の双方を前記水平方向において前記陽極リードワイヤの前記厚肉部に対応する領域を占めると共に前記陽極リードワイヤの前記薄肉部に対応する領域を部分的に占めるように配置して、前記上側電極と前記下側電極との間に前記陽極端子の前記一端と前記陽極リードワイヤの前記薄肉部とを挟み込むと共に前記陽極端子の前記重複部と前記陽極リードワイヤの前記厚肉部とを挟み込んで前記上下方向において加圧しながら電流を流して抵抗溶接し、前記陽極端子と前記陽極リードワイヤとを接合する工程と
を備える固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、第1の固体電解コンデンサとして、
コンデンサ素子と、陽極端子と、陰極端子とを備えた固体電解コンデンサであって、
前記コンデンサ素子は、弁作用金属からなる陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層上に形成された導電体層と、前記陽極体に部分的に埋設されると共に前記陽極体から水平方向に延びる陽極リードワイヤとを備えており、
前記陽極リードワイヤは、厚肉部と、前記水平方向において前記厚肉部よりも前記陽極体側に位置する薄肉部とを有しており、
前記薄肉部の下面と前記厚肉部の下面とは同一面上にある一方、前記水平方向と直交する上下方向において前記薄肉部の上面は前記厚肉部の上面よりも下方に位置しており、
前記陽極端子は、一端と、他端と、前記一端より前記他端側に位置する重複部とを少なくとも有しており、
前記陽極端子の前記一端が前記薄肉部上に位置すると共に前記陽極端子の前記重複部が前記厚肉部と重複した状態で、前記陽極端子は、前記陽極リードワイヤに接合されており、
前記陽極端子の前記一端の上面と前記陽極端子の前記重複部の上面とは同一面上にある
固体電解コンデンサを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2の固体電解コンデンサとして、第1の固体電解コンデンサであって、
前記厚肉部の前記水平方向におけるサイズをSt、前記陽極端子と前記陽極リードワイヤとの接合部分の前記水平方向におけるサイズをScとしたとき、St/Sc≦0.5を満たしている
固体電解コンデンサを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3の固体電解コンデンサとして、第1又は第2の固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、前記薄肉部と前記厚肉部とを連結する連結部を有しており、
前記連結部は、前記薄肉部の前記上面と前記厚肉部の前記上面とを連結する交差面であって前記上下方向と交差する交差面を有している
固体電解コンデンサを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4の固体電解コンデンサとして、第1から第3までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、タンタルで構成されており、
前記陽極端子の母材は、銅である
固体電解コンデンサを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、溶接が進むにつれて溶融した陽極端子に対して陽極リードワイヤが押し付けられ、厚肉部だけでなく薄肉部においても陽極端子と陽極リードワイヤとが接触する。即ち、溶接が進むにつれて陽極端子と陽極リードワイヤとの間の接触面積が大きくなる。これにより、接合部における抵抗が高くなりすぎることを避けることができ、高熱になりすぎることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の固体電解コンデンサを示す断面図である。
【
図2】
図1の破線Cで囲まれた部分を拡大して示す図である。
【
図3】
図1の固体電解コンデンサの製造工程を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の固体電解コンデンサの製造方法における配置工程を説明するための断面図である。
【
図5】
図1の固体電解コンデンサの製造方法における接合工程を説明するための別の断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態の固体電解コンデンサを示す断面図である。
【
図7】
図6の破線Dで囲まれた部分を拡大して示す図である。
【
図8】
図6の固体電解コンデンサの製造方法における配置工程を説明するための断面図である。
【
図9】
図6の固体電解コンデンサの製造方法における接合工程を説明するための別の断面図である。
【
図10】特許文献1の固体電解コンデンサを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1に示されるように、本発明の第1の実施の形態による固体電解コンデンサ100は、コンデンサ素子200と、陽極端子400と、陰極端子500と、導電性樹脂580と、外装絶縁部材590とを備えている。固体電解コンデンサ100の作製方法については、後述する。
【0014】
図1に示されるように、本実施の形態のコンデンサ素子200は、陽極体210と、誘電体層220と、陰極層240と、陽極リードワイヤ300とを備えている。
【0015】
図1を参照して、本実施の形態の陽極体210は、弁作用金属からなるものである。具体的には、陽極体210は、焼結された弁作用金属粉末からなる多孔質焼結体である。即ち、本実施の形態の陽極体210は、焼結された弁作用金属粉末と、多数の空孔とを有している。ここで弁作用金属粉末は、タンタル粉末である。
【0016】
図1を参照して、本実施の形態の誘電体層220は、陽極酸化皮膜、即ち酸化タンタルからなる。誘電体層220は、陽極体210の表面に形成されている。詳しくは、誘電体層220は、陽極体210上と陽極リードワイヤ300上の一部に形成されている。
【0017】
図1に示されるように、本実施の形態の陰極層240は、固体電解質層230と導電体層570とを含んでいる。固体電解質層230は、誘電体層220上に形成され、導電体層570は、固体電解質層230上に形成されている。但し、本発明はこれに限定されるわけではない。陰極層240は、固体電解質層230を含んでいる限り、他の構造を有していてもよい。陰極層240は、陽極体210の全体を包むように誘電体層220上に形成されている。換言すると、誘電体層220は、陽極体210と固体電解質層230との間に位置している。
【0018】
本実施の形態の固体電解質層230はポリエチレンジオキシチオフェンからなるものである。即ち、本実施の形態の固体電解質層230は導電性ポリマーからなる。固体電解質層230は、誘電体層220が形成された陽極体210を導電性高分子溶液に浸漬させ、取り出して乾燥させることを繰り返すことで形成される。導電性高分子溶液は、エチレンジオキシチオフェンの水溶液と、酸化剤と、ドーパントを含む溶液である。酸化剤として、無機酸又は有機酸の鉄塩をはじめ様々な物質を用いることができる。また、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を始めとする様々な物質を用いることができる。
【0019】
本実施の形態の導電体層570は、カーボン層と導電性ペースト層の積層体である。但し、本発明はこれに限られない。導電体層570は、カーボン層と導電性ペースト層の積層体以外の構成を有してもよい。本実施の形態において、導電体層570は固体電解質層230上に形成されている。カーボン層は、カーボンブラックと、グラファイトフィラーと、バインダーとを含む溶液に固体電解質層230が形成された陽極体210を浸漬させ、取り出して乾燥させて形成される。また、導電性ペースト層は、カーボン層の表面上に銀ペーストを塗布し、乾燥させて形成される。
【0020】
図1を参照して、本実施の形態の陽極リードワイヤ300は、タンタルで構成されている。陽極リードワイヤ300は、陽極体210に部分的に埋設されると共に陽極体210から水平方向に延びている。本実施の形態において、水平方向はX方向である。また、水平方向は、前後方向でもある。ここで、前方を+X方向とし、後方を-X方向とする。陽極リードワイヤ300の後方部分は、陽極体210に埋設されている。陽極リードワイヤ300は、陽極体210から前後方向における前方に延びている。
図2に示されるように、陽極リードワイヤ300は、厚肉部310と、薄肉部320とを有している。
【0021】
図2に示されるように、本実施の形態の厚肉部310は、陽極リードワイヤ300の水平方向における端部に位置している。より詳しくは、厚肉部310は、陽極リードワイヤ300の前後方向における前端に位置している。水平方向と直交する上下方向において、厚肉部310のサイズは、薄肉部320のサイズよりも大きい。本実施の形態における上下方向は、Z方向である。ここで、上方を+Z方向とし、下方を-Z方向とする。厚肉部310は、上下方向において上面312及び下面314を有している。
【0022】
図1及び
図2から理解されるように、本実施の形態の薄肉部320は、水平方向において厚肉部310よりも陽極体210側に位置している。薄肉部320は、上下方向において上面322及び下面324を有している。薄肉部320の下面324と厚肉部310の下面314とは同一面上にある。水平方向と直交する上下方向において、薄肉部320の上面322は厚肉部310の上面312よりも下方に位置している。
【0023】
図2に示されるように、陽極リードワイヤ300は、連結部330を有している。なお、本発明はこれに限定されず、陽極リードワイヤ300は、連結部330を有なくてもよい。即ち、薄肉部320と厚肉部310との間に段差が生じるように、薄肉部320と厚肉部310とが直接連結されていてもよい。
【0024】
図2に示されるように、本実施の形態の連結部330は、水平方向において薄肉部320と厚肉部310との間に位置している。連結部330は、前後方向において厚肉部310の後方に位置している。連結部330は、前後方向において薄肉部320の前方に位置している。連結部330は、薄肉部320と厚肉部310とを連結している。連結部330は、交差面332と、下面334と有している。交差面332は、上下方向と交差している。交差面332は、水平方向、即ち前後方向と交差している。なお、本発明はこれに限定されず、交差面332は、水平方向と交差していなくてもよい。また、交差面332は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。加えて、交差面332は、段差を有していてもよいし、凹凸を有していてもよい。交差面332は、薄肉部320の上面322と厚肉部310の上面312とを連結している。連結部330の下面334と、薄肉部320の下面324と、厚肉部310の下面314とは同一面上にある。
【0025】
図1及び
図2を参照して、本実施の形態の陽極端子400の母材は、銅である。即ち、陽極端子400は、銅の母材にNiめっきを施してなるものである。陽極端子400は、一端410と、他端420と、一端410より他端420側に位置する重複部450と、一端410と重複部450との間に位置する付加的重複部460とを有している。なお、本発明はこれに限定されず、陽極端子400は、一端410と、他端420と、一端410より他端420側に位置する重複部450とを少なくとも有していればよい。即ち、陽極端子400は、付加的重複部460を有さなくてもよい。
【0026】
図1及び
図2に示されるように、本実施の形態の一端410及び他端420の夫々は、自由端である。一端410は、上下方向において上面412及び下面414を有している。
【0027】
図2に示されるように、本実施の形態の重複部450は、前後方向において一端410の前方に位置している。重複部450は、前後方向において付加的重複部460の前方に位置している。重複部450は、上下方向において上面452及び下面454を有している。
【0028】
図2に示されるように、本実施の形態の付加的重複部460は、水平方向において一端410と重複部450との間に位置している。付加的重複部460は、前後方向において一端410の前方に位置している。付加的重複部460は、上下方向において上面462及び斜面464を有している。
【0029】
図2に示されるように、陽極端子400の一端410が薄肉部320上に位置すると共に陽極端子400の重複部450が厚肉部310と重複した状態で、陽極端子400は、陽極リードワイヤ300に接合されている。より詳しくは、陽極端子400の一端410が薄肉部320上に位置し且つ陽極端子400の付加的重複部460が連結部330上に位置すると共に陽極端子400の重複部450が厚肉部310と重複した状態で、陽極端子400は、陽極リードワイヤ300に接合されている。陽極端子400の一端410の上面412と陽極端子400の重複部450の上面452とは同一面上にある。より詳しくは、陽極端子400の一端410の上面412と、陽極端子400の付加的重複部460の上面462と、陽極端子400の重複部450の上面452とは同一面上にある。厚肉部310の上面312は、上下方向において重複部450の下面454と接している。連結部330の交差面332は、上下方向において付加的重複部460の斜面464と接している。薄肉部320の上面322は、上下方向において一端410の下面414と接している。
【0030】
図2を参照して、厚肉部310の水平方向におけるサイズをSt、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との接合部分の水平方向におけるサイズをScとしたとき、St/Sc≦0.5を満たしている。これにより、陽極リードワイヤ300に対して溶接された陽極端子400の溶融箇所を特定することが容易となっている。
【0031】
図1を参照して、本実施の形態の陰極端子500は、42合金からなる基体に半田めっきを形成してなるものである。但し、陰極端子500は、他の金属からなるものであってもよい。
【0032】
図1を参照して、本実施の形態による導電性樹脂580は、銀ペーストからなるものである。陰極端子500は、導電性樹脂580を用いてコンデンサ素子200の導電体層570上に接着されている。なお、導電性樹脂580の代わりに他の導電性接着剤を用いてもよい。
【0033】
図1を参照して、本実施の形態の外装絶縁部材590は、陽極端子400の一部と陰極端子500の一部を包含し且つコンデンサ素子200の全体を包むように形成されている。本実施の形態の外装絶縁部材590は、エポキシ樹脂からなるものであり、所定形状の金型を用いて射出成型を行って硬化させることにより形成されている。但し、外装絶縁部材590は、他の絶縁材料からなるものであってもよい。このようにして、コンデンサ素子200は、外装絶縁部材590によって外部から封止される。
【0034】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、以下のように製造される。
【0035】
図3に示されるように、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、step1(形成工程)、step2(配置工程)、step3(接合工程)を経て製造される。換言すれば、固体電解コンデンサ100の製造方法は、形成工程と、配置工程と、接合工程とを備えている。
【0036】
まず、
図1及び
図2を参照して、本実施の形態のコンデンサ素子200を形成する形成工程を遂行する。具体的には、この形成工程において、弁作用金属からなる陽極体210と、陽極体210の表面に形成された誘電体層220と、誘電体層220上に形成された固体電解質層230と、固体電解質層230上に形成された導電体層570と、陽極体210に部分的に埋設されると共に陽極体210から水平方向に延びる陽極リードワイヤ300とを備えるコンデンサ素子200であって、陽極リードワイヤ300は、厚肉部310と、水平方向において厚肉部310よりも陽極体210側に位置する薄肉部320とを有しており、薄肉部320の下面324と厚肉部310の下面314とは同一面上にある一方、水平方向と直交する上下方向において薄肉部320の上面322は厚肉部310の上面312よりも下方に位置している、コンデンサ素子200を形成する。ここで、コンデンサ素子200において、陽極リードワイヤ300は、薄肉部320と厚肉部310とを連結し、且つ、上下方向と交差する交差面332を有する連結部330を有している。陽極リードワイヤ300における厚肉部310、薄肉部320及び連結部330は、金型により圧延成形されている。なお、陽極リードワイヤ300を含めたコンデンサ素子200の形成方法は、特に限定されず、公知の方法により形成すればよい。
【0037】
次に、形成工程の遂行後、
図4を参照して、配置工程を遂行する。具体的には、この配置工程において、陽極端子400の一端410を薄肉部320の上方に位置させると共に陽極端子400の一端410より他端420側に位置する重複部450が厚肉部310と重複するように、陽極端子400を部分的に陽極リードワイヤ300上に配置する。より詳しくは、陽極端子400の一端410を薄肉部320の上方に位置させ、且つ陽極端子400の付加的重複部460が連結部330上に位置させると共に陽極端子400の一端410より他端420側に位置する重複部450が厚肉部310と重複するように、陽極端子400を部分的に陽極リードワイヤ300上に配置する。
【0038】
次に、配置工程の遂行後、
図4及び
図5を参照して、接合工程を遂行する。具体的には、この接合工程において、上側電極700と下側電極800の双方を水平方向において陽極リードワイヤ300の厚肉部310に対応する領域A1を占めると共に陽極リードワイヤ300の薄肉部320に対応する領域A2を部分的に占めるように配置して、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400の一端410と陽極リードワイヤ300の薄肉部320とを挟み込むと共に陽極端子400の重複部450と陽極リードワイヤ300の厚肉部310とを挟み込んで上下方向において加圧しながら電流を流して抵抗溶接し、陽極端子400と陽極リードワイヤ300とを接合する。
【0039】
即ち、この接合工程においては、まず、上側電極700と下側電極800の双方を水平方向において陽極リードワイヤ300の厚肉部310に対応する領域A1を占めると共に陽極リードワイヤ300の薄肉部320に対応する領域A2を部分的に占めるように配置する。より詳しくは、上側電極700と下側電極800の双方を水平方向において陽極リードワイヤ300の厚肉部310及び連結部330に対応する領域A3を占めると共に陽極リードワイヤ300の薄肉部320に対応する領域A2を部分的に占めるように配置する。次に、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400の一端410と陽極リードワイヤ300の薄肉部320とを挟み込むと共に陽極端子400の重複部450と陽極リードワイヤ300の厚肉部310とを挟み込む。より詳しくは、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400の一端410と陽極リードワイヤ300の薄肉部320とを挟み込み、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400の付加的重複部460と陽極リードワイヤ300の連結部330とを挟み込み、且つ、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400の重複部450と陽極リードワイヤ300の厚肉部310とを挟み込む。このとき、上側電極700と、一端410の上面412(
図2参照)、付加的重複部460の上面462(
図2参照)及び重複部450の上面452(
図2参照)の夫々は、上下方向において接している。また、このとき、下側電極800と、薄肉部320の下面324(
図2参照)、連結部330の下面334(
図2参照)及び厚肉部310の下面314(
図2参照)の夫々は、上下方向において接している。最後に、この挟み込んだ状態において、上側電極700と下側電極800とが上下方向に接近するように加圧しながら上側電極700及び下側電極800に電流を流して、陽極端子400と陽極リードワイヤ300とを抵抗溶接により接合する。
【0040】
図2を参照して、この接合工程を経て製造された固体電解コンデンサ100においては、厚肉部310の水平方向におけるサイズStと、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との接合部分の水平方向におけるサイズScとは、St/Sc≦0.5を満たしている。これにより、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との抵抗溶接の開始時の陽極端子400と陽極リードワイヤ300との接触面積が大きくなりすぎないため、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との溶接性が高められる。
【0041】
本実施の形態の製造方法によれば、上記接合工程において、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との溶接が進むにつれて溶融した陽極端子400に対して陽極リードワイヤ300が押し付けられ、厚肉部310だけでなく薄肉部320においても陽極端子400と陽極リードワイヤ300とが接触する。即ち、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との溶接が進むにつれて陽極端子400と陽極リードワイヤ300との間の接触面積が大きくなる。これにより、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との接合部における抵抗が高くなりすぎることを避けることができ、陽極端子400が高熱になりすぎることを防止することができる。これらのことから、本実施の形態の製造方法においては、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との抵抗溶接の際、陽極端子400の一部が溶融して陽極体210側の領域まで拡散することが抑制されている。
【0042】
特に、本実施の形態の製造方法によれば、上記接合工程において、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との溶接が進むにつれて溶融した陽極端子400に対して陽極リードワイヤ300が押し付けられ、交差面332においても陽極端子400と陽極リードワイヤ300とが接触する。即ち、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との溶接が進むにつれて陽極端子400と陽極リードワイヤ300との間の接触面積が徐々に拡大することとなる。これにより、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との接合部における抵抗が高くなりすぎることをより避けることができ、陽極端子400が高熱になりすぎることを、より防止することができる。これらのことから、本実施の形態の製造方法においては、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との抵抗溶接の際、陽極端子400の一部が溶融して陽極体210側の領域まで拡散することが特に抑制されている。
【0043】
上記接合工程において、陽極端子400の溶融により球状の溶融物が発生する場合を想定する。本実施の形態の製造方法においては、陽極端子400と陽極リードワイヤ300との溶接が陽極体210から離れた厚肉部310から開始されるため、仮に上述の球状溶融物が発生したとしても、陽極体210から離れた場所に発生することとなる。これにより、本実施の形態の製造方法により製造された固体電解コンデンサ100においては、高温高湿下で球状溶融物から生じうる金属イオンの陰極層240側へのマイグレーションのパス長が長くなっており、絶縁不良の発生が抑制されている。
【0044】
以上の工程の後、陰極端子500のコンデンサ素子200への接続及び外装絶縁部材590のよるコンデンサ素子200の封止を経て、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は製造される。
【0045】
(第2の実施形態)
図6に示されるように、本発明の第2の実施の形態による固体電解コンデンサ100Xは、コンデンサ素子200Xと、陽極端子400Xと、陰極端子500と、導電性樹脂580と、外装絶縁部材590とを備えている。ここで、コンデンサ素子200X及び陽極端子400X以外の構成については、第1の実施の形態と同様である。よって、第1の実施の形態と同様の構成については同様の参照符号を用い、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態における方位及び方向は、第1の実施の形態のものと同じ表現を以下において使用する。
【0046】
図6に示されるように、本実施の形態のコンデンサ素子200Xは、陽極体210と、誘電体層220と、陰極層240と、陽極リードワイヤ300Xとを備えている。ここで、陽極リードワイヤ300X以外の構成については、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
図6及び
図7を参照して、本実施の形態の陽極リードワイヤ300Xは、タンタルで構成されている。陽極リードワイヤ300Xは、陽極体210に部分的に埋設されると共に陽極体210から水平方向に延びている。陽極リードワイヤ300Xの後方部分は、陽極体210に埋設されている。陽極リードワイヤ300Xは、陽極体210から前後方向における前方に延びている。陽極リードワイヤ300Xは、厚肉部310と、薄肉部320とを有している。本実施の形態の陽極リードワイヤ300Xは、第1の実施の形態の陽極リードワイヤ300と異なり、連結部330を有していない。即ち、本実施の形態の陽極リードワイヤ300Xにおいては、薄肉部320と厚肉部310との間に段差が生じるように、薄肉部320と厚肉部310とが直接連結されている。
【0048】
図6及び
図7を参照して、本実施の形態の陽極端子400Xの母材は、銅である。即ち、陽極端子400Xは、銅の母材にNiめっきを施してなるものである。陽極端子400Xは、一端410と、他端420と、一端410より他端420側に位置する重複部450とを有している。即ち、本実施の形態の陽極端子400Xは、第1の実施の形態の陽極端子400と異なり、付加的重複部460を有していない。
【0049】
図6及び
図7に示されるように、本実施の形態の一端410及び他端420の夫々は、自由端である。一端410は、上下方向において上面412及び下面414を有している。
【0050】
図7に示されるように、本実施の形態の重複部450は、前後方向において一端410の前方に位置している。重複部450は、上下方向において上面452及び下面454を有している。
【0051】
図7に示されるように、陽極端子400Xの一端410が薄肉部320上に位置すると共に陽極端子400Xの重複部450が厚肉部310と重複した状態で、陽極端子400Xは、陽極リードワイヤ300Xに接合されている。陽極端子400Xの一端410の上面412と陽極端子400Xの重複部450の上面452とは同一面上にある。厚肉部310の上面312は、上下方向において重複部450の下面454と接している。薄肉部320の上面322は、上下方向において一端410の下面414と接している。
【0052】
図7を参照して、厚肉部310の水平方向におけるサイズをSt、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの接合部分の水平方向におけるサイズをScとしたとき、St/Sc≦0.5を満たしている。これにより、陽極リードワイヤ300Xに対して溶接された陽極端子400Xの溶融箇所を特定することが容易となっている。
【0053】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100Xは、以下のように製造される。
【0054】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100Xは、上述の第1の実施の形態の固体電解コンデンサ100と同様に、step1(形成工程)、step2(配置工程)、step3(接合工程)を経て製造される。換言すれば、固体電解コンデンサ100Xの製造方法は、形成工程と、配置工程と、接合工程とを備えている。
【0055】
まず、
図6及び
図7を参照して、本実施の形態のコンデンサ素子200Xを形成する形成工程を遂行する。具体的には、この形成工程において、弁作用金属からなる陽極体210と、陽極体210の表面に形成された誘電体層220と、誘電体層220上に形成された固体電解質層230と、固体電解質層230上に形成された導電体層570と、陽極体210に部分的に埋設されると共に陽極体210から水平方向に延びる陽極リードワイヤ300Xとを備えるコンデンサ素子200Xであって、陽極リードワイヤ300Xは、厚肉部310と、水平方向において厚肉部310よりも陽極体210側に位置する薄肉部320とを有しており、薄肉部320の下面324と厚肉部310の下面314とは同一面上にある一方、水平方向と直交する上下方向において薄肉部320の上面322は厚肉部310の上面312よりも下方に位置している、コンデンサ素子200Xを形成する。ここで、コンデンサ素子200Xの陽極リードワイヤ300Xは、薄肉部320と厚肉部310との間に段差が生じるように、薄肉部320と厚肉部310とが直接連結されている。陽極リードワイヤ300Xにおける厚肉部310及び薄肉部320は、金型により圧延成形されている。なお、陽極リードワイヤ300Xを含めたコンデンサ素子200Xの形成方法は、特に限定されず、公知の方法により形成すればよい。
【0056】
次に、形成工程の遂行後、
図8を参照して、配置工程を遂行する。具体的には、この配置工程において、陽極端子400Xの一端410を薄肉部320の上方に位置させると共に陽極端子400Xの一端410より他端420側に位置する重複部450が厚肉部310と重複するように、陽極端子400Xを部分的に陽極リードワイヤ300X上に配置する。
【0057】
次に、配置工程の遂行後、
図8及び
図9を参照して、接合工程を遂行する。具体的には、この接合工程において、上側電極700と下側電極800の双方を水平方向において陽極リードワイヤ300Xの厚肉部310に対応する領域AX1を占めると共に陽極リードワイヤ300Xの薄肉部320に対応する領域AX2を部分的に占めるように配置して、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400Xの一端410と陽極リードワイヤ300Xの薄肉部320とを挟み込むと共に陽極端子400Xの重複部450と陽極リードワイヤ300Xの厚肉部310とを挟み込んで上下方向において加圧しながら電流を流して抵抗溶接し、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとを接合する。
【0058】
即ち、この接合工程においては、まず、上側電極700と下側電極800の双方を水平方向において陽極リードワイヤ300Xの厚肉部310に対応する領域AX1を占めると共に陽極リードワイヤ300Xの薄肉部320に対応する領域AX2を部分的に占めるように配置する。次に、上側電極700と下側電極800との間に陽極端子400Xの一端410と陽極リードワイヤ300Xの薄肉部320とを挟み込むと共に陽極端子400Xの重複部450と陽極リードワイヤ300Xの厚肉部310とを挟み込む。このとき、上側電極700と、一端410の上面412(
図7参照)及び重複部450の上面452(
図7参照)の夫々は、上下方向において接している。また、このとき、下側電極800と、薄肉部320の下面324(
図7参照)及び厚肉部310の下面314(
図7参照)の夫々は、上下方向において接している。最後に、この挟み込んだ状態において、上側電極700と下側電極800とが上下方向に接近するように加圧しながら上側電極700及び下側電極800に電流を流して、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとを抵抗溶接により接合する。
【0059】
図7を参照して、この接合工程を経て製造された固体電解コンデンサ100Xにおいては、厚肉部310の水平方向におけるサイズStと、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの接合部分の水平方向におけるサイズScとは、St/Sc≦0.5を満たしている。これにより、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの抵抗溶接の開始時の陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの接触面積が大きくなりすぎないため、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの溶接性が高められる。
【0060】
本実施の形態の製造方法によれば、上記接合工程において、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの溶接が進むにつれて溶融した陽極端子400Xに対して陽極リードワイヤ300Xが押し付けられ、厚肉部310だけでなく薄肉部320においても陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとが接触する。即ち、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの溶接が進むにつれて陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの間の接触面積が大きくなる。これにより、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの接合部における抵抗が高くなりすぎることを避けることができ、陽極端子400Xが高熱になりすぎることを防止することができる。これらのことから、本実施の形態の製造方法においても、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの抵抗溶接の際、陽極端子400Xの一部が溶融して陽極体210側の領域まで拡散することが抑制されている。
【0061】
上記接合工程において、陽極端子400Xの溶融により球状の溶融物が発生する場合を想定する。本実施の形態の製造方法においては、陽極端子400Xと陽極リードワイヤ300Xとの溶接が陽極体210から離れた厚肉部310から開始されるため、仮に上述の球状溶融物が発生したとしても、陽極体210から離れた場所に発生することとなる。これにより、本実施の形態の製造方法により製造された固体電解コンデンサ100Xにおいても、高温高湿下で球状溶融物から生じうる金属イオンの陰極層240側へのマイグレーションのパス長が長くなっており、絶縁不良の発生が抑制されている。
【0062】
以上の工程の後、陰極端子500のコンデンサ素子200Xへの接続及び外装絶縁部材590のよるコンデンサ素子200Xの封止を経て、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Xは製造される。
【0063】
以上、本発明について実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
100,100X 固体電解コンデンサ
200,200X コンデンサ素子
210 陽極体
220 誘電体層
230 固体電解質層
240 陰極層
300,300X 陽極リードワイヤ
310 厚肉部
312 上面
314 下面
320 薄肉部
322 上面
324 下面
330 連結部
332 交差面
334 下面
400,400X 陽極端子
410 一端
412 上面
414 下面
420 他端
450 重複部
452 上面
454 下面
460 付加的重複部
462 上面
464 斜面
500 陰極端子
570 導電体層
580 導電性樹脂
590 外装絶縁部材
700 上側電極
800 下側電極
A1,AX1 領域
A2,AX2 領域
A3 領域
St サイズ
Sc サイズ