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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085743
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20230614BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20230614BHJP
   F16C 17/03 20060101ALI20230614BHJP
   F16C 43/02 20060101ALI20230614BHJP
   F16N 7/02 20060101ALI20230614BHJP
   F16N 39/02 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
F04D29/056 B
F04D29/42 M
F16C17/03
F16C43/02
F16N7/02
F16N39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199943
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉宗 徹
(72)【発明者】
【氏名】小田 貴士
【テーマコード(参考)】
3H130
3J011
3J117
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AA23
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB46
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC01
3H130BA34E
3H130BA38E
3H130DB01X
3H130DB07X
3H130DB15X
3H130EA07A
3H130EA07E
3H130EB01A
3J011AA08
3J011BA14
3J011JA02
3J011KA02
3J011MA02
3J117EA01
3J117FA03
(57)【要約】
【課題】軸受を安定して支持しつつ、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを抑える。
【解決手段】圧縮機は、回転軸をケーシング内で支持可能なティルティングパッド軸と、を備えている。前記ティルティングパッド軸受は、前記回転軸の外周面に摺接する軸受パッドと、前記軸受パッドを揺動自在に支持するピボットと、を備えている。前記ケーシングは、前記軸線方向に窪むとともに前記周方向に延びるように形成された環状溝部と、前記環状溝部の一部を横切るように、前記環状溝部に対して前記径方向の内側の内周領域と前記環状溝部に対して前記径方向の外側の外周領域とを接続する接続部を有し、前記接続部は、前記軸線方向から見た際に、鉛直方向と直交する幅方向の位置が前記ピボットと重なる位置に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の延びている軸線方向に延びた回転軸を有し、前記軸線を中心に回転可能とされたロータと、
前記軸線を基準とする径方向の外側から前記ロータを覆い、作動流体を内部に取り入れる吸込口を有するケーシングと、
前記回転軸を前記ケーシング内で支持可能なティルティングパッド軸受と、を備え、
前記ティルティングパッド軸受は、
前記軸線を中心とする周方向に間隔を開けて複数配置され、前記回転軸の外周面に摺接する軸受パッドと、
前記ケーシングに支持され、前記軸受パッドを揺動自在に支持するピボットと、を備え、
前記ケーシングは、
前記吸込口に近い端部であって前記ティルティングパッド軸受に対して前記径方向の外側に離れた位置で、前記軸線方向に窪むとともに前記周方向に延びるように形成された環状溝部と、
前記軸線方向から見た際に、前記周方向において前記環状溝部の一部を横切るように、前記環状溝部に対して前記径方向の内側の内周領域と前記環状溝部に対して前記径方向の外側の外周領域とを接続する接続部を有し、
前記接続部は、前記軸線方向から見た際に、鉛直方向と直交する幅方向の位置が前記ピボットと重なる位置に配置されている圧縮機。
【請求項2】
前記接続部は、前記軸線方向から見た際に、前記幅方向において、前記ティルティングパッド軸受が前記回転軸の荷重を受ける荷重支持点と重なる位置に配置されている請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記環状溝部は、前記軸線方向から見た際に、前記接続部以外の領域が前記ティルティングパッド軸受を囲むように一つの溝として形成されている請求項1又は2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記ケーシングは、
前記軸線方向に延びる筒状の外部ケーシングと、
前記軸線方向の第一側で、前記外部ケーシングの開口を閉塞するヘッドと、を含み、
前記ヘッドは、前記軸線方向の前記第一側から見た際に、前記軸線を中心とした円形状を形成するように前記軸線方向に窪む凹部を有し、
前記環状溝部は、前記軸線方向の前記第一側から見た際に、前記凹部内に配置されるように前記ヘッドに形成されている請求項1から3の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記ティルティングパッド軸受に潤滑油を供給する潤滑油供給部をさらに備え、
前記潤滑油供給部により前記ティルティングパッド軸受に供給された前記潤滑油は、前記凹部内に排出される請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記吸込口は、前記ケーシングにおいて前記鉛直方向の下方から、前記ケーシングの外部から前記作動流体を取り入れ、
前記接続部は、前記軸線方向から見た際に、前記吸込口と重なる位置に形成されている請求項1から5の何れか一項に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機等の圧縮機において、例えばエチレンガスやプロピレンガス等の0℃以下の低温の作動流体を圧縮することがある。低温の作動流体が圧縮機の流路内を流通すると、流路の周囲に配置された圧縮機のケーシングや、回転軸を支持する軸受等の部材の温度低下が生じる。その結果、これらの部材では熱収縮が生じる。熱収縮が生じることで、回転軸と軸受とのクリアランスが減少し、軸受で焼き付きが発生してしまう可能性がある。
【0003】
これに対し、特許文献1には、遠心圧縮機のケーシングの一端部で、軸受の径方向外側に位置し、鉛直方向及び回転軸の長手方向に沿って延びる溝が形成された構成が開示されている。このような構成では、低温の作動流体を吸い込むことによるケーシングの熱収縮が、溝により遮断され、回転軸と軸受とのクリアランスの減少が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4980699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の遠心圧縮機のケーシングは水平分割型で、上半ケーシングと下半ケーシングとに上下に分割されている。軸受は、下半ケーシングに対して軸受ホルダーを介して保持されている。このような構成では、軸受は、上半ケーシングに直接接触しておらず、上半ケーシングの熱収縮の影響を受けにくい。このため、溝は、下半ケーシングにのみ形成されている。
【0006】
一方、圧縮機のケーシングが垂直分割型である場合、ケーシングは、ヘッドやダイアフラム等の円環状の部材の水平方向に並ぶように、分割されている。このような構成の場合、軸受は、円環状のヘッドに形成された半円状の軸受支持部によって支持される。このため、軸受は、ヘッドの熱収縮の影響を、軸受の全周のわたって受けることになる。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、軸受を安定して支持しつつ、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを抑えることが可能な圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る圧縮機は、軸線の延びている軸線方向に延びた回転軸を有し、前記軸線を中心に回転可能とされたロータと、前記軸線を基準とする径方向の外側から前記ロータを覆い、作動流体を内部に取り入れる吸込口を有するケーシングと、前記回転軸を前記ケーシング内で支持可能なティルティングパッド軸受と、を備え、前記ティルティングパッド軸受は、前記軸線を中心とする周方向に間隔を開けて複数配置され、前記回転軸の外周面に摺接する軸受パッドと、前記ケーシングに支持され、前記軸受パッドを揺動自在に支持するピボットと、を備え、前記ケーシングは、前記吸込口に近い端部であって前記ティルティングパッド軸受に対して前記径方向の外側に離れた位置で、前記軸線方向に窪むとともに前記周方向に延びるように形成された環状溝部と、前記軸線方向から見た際に、前記周方向において前記環状溝部の一部を横切るように、前記環状溝部に対して前記径方向の内側の内周領域と前記環状溝部に対して前記径方向の外側の外周領域とを接続する接続部を有し、前記接続部は、前記軸線方向から見た際に、鉛直方向と直交する幅方向の位置が前記ピボットと重なる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の圧縮機によれば、軸受を安定して支持しつつ、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る遠心圧縮機の構成を示す模式図である。
図2】第一軸受部の拡大図である。
図3図2に示した第一軸受部を示す断面図である。
図4】本実施形態の変形例における第一軸受部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示による圧縮機を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
(圧縮機の構成)
本実施形態の圧縮機である遠心圧縮機(圧縮機)1は、作動流体Gとして、0℃以下の低温のガスを圧縮する。本実施形態の遠心圧縮機1は、例えば、エチレンガスやプロピレンガスを圧縮する、一軸多段式の遠心圧縮機(多段遠心圧縮機)である。図1に示すように、遠心圧縮機1は、ケーシング2と、ロータ3と、シール部5と、第一軸受部91と、第二軸受部92と、を主に備えている。
【0013】
なお、以下では、後述するロータ3の軸線Oが延びている方向を軸線方向Daとする。軸線Oを基準にした径方向を単に径方向Drとする。また、軸線Oを中心とするロータ3周りの方向を周方向Dcとする。
【0014】
(ケーシングの構成)
ケーシング2は、ロータ3を径方向Drの外側Droから覆っている。本実施形態のケーシング2は、外部ケーシング21と、複数のダイアフラム22と、一対のヘッド23とを有している。
【0015】
外部ケーシング21は、ロータ3の軸線Oと同一に配置される中心軸を中心とする円筒状をなしている。外部ケーシング21の軸線方向Daの第一側Da1(一方側)は、後述するバンドル100が挿通可能な大きさで開口されている。外部ケーシング21の軸線方向Daの第二側Da2(他方側)には、端板210が形成されている。端板210は、軸線方向Daに直交するように広がる板状をなしている。
【0016】
複数のダイアフラム22は、ロータ3を径方向Drの外側Droから覆うように配置されている。複数のダイアフラム22は、外部ケーシング21の内部に配置されている。ダイアフラム22は、軸線Oを中心として環状をなしている。複数のダイアフラム22は、軸線方向Daに延びる筒状となるように積層されている。隣接するダイアフラム22同士では、外周面が溶接やボルトによって互いに固定されている。複数のダイアフラム22が相互に固定されることで、インペラ32に導入するケーシング流路25が内部に形成されている。また、複数のダイアフラム22は、ヘッド23、ロータ3、シール部5、第一軸受部91、及び第二軸受部92と共にバンドル100を構成している。バンドル100は、外部ケーシング21内に収容されている。バンドル100では、ロータ3、複数のダイアフラム22、複数のヘッド23、シール部5、第一軸受部91、及び第二軸受部92は一体をなすように、共に移動可能な状態とされている。
【0017】
ケーシング2の内部には圧縮させる作動流体Gを流通させるケーシング流路25が形成されている。軸線方向Daの第一側Da1には、作動流体Gを外部からケーシング2の内部に形成されたケーシング流路25に流入させる吸込口7が形成されている。本実施形態において、吸込口7は、ケーシング2において鉛直方向Dvの下方から、ケーシング2の下半部に作動流体Gを取り入れる。吸込口7における作動流体Gの温度は、例えば0℃以下である。また、ケーシング2の軸線方向Daの第二側Da2には、ケーシング流路25に連続して、作動流体Gを外部に流出させる吐出口8が形成されている。吐出口8は、ケーシング2において鉛直方向Dvの下方から、ケーシング流路25を流通して圧縮された作動流体Gがケーシング2の外部に吐出される。
【0018】
一対のヘッド23は、円環状の部材であって、外部ケーシング21の内部に配置されている。ヘッド23は、外部ケーシング21の両端の開口を閉塞可能な大きさで形成されている。本実施形態のヘッド23として、複数のダイアフラム22に対して軸線方向Daの第一側Da1に配置される吸込側ヘッド231と、複数のダイアフラム22に対して軸線方向Daの第二側Da2に配置される吐出側ヘッド232とを有している。
【0019】
吸込側ヘッド231は、吐出側ヘッド232よりも吸込口7に近い位置に配置されている。吸込側ヘッド231は、最も軸線方向Daの第一側Da1に配置されたダイアフラム22と共に吸込口7を形成している。吸込側ヘッド231は、一体化された複数のダイアフラム22と、ボルト等によって固定されている。これにより、吸込側ヘッド231は、ダイアフラム22と一体化されている。
【0020】
本実施形態の吸込側ヘッド231は、凹部237を有している。凹部237は、軸線方向Daの第一側Da1から見た際に、軸線Oを中心とした円形状を形成するように軸線方向Daの第二側Da2に向かって窪んでいる。凹部237の底面237bは、軸線Oに対して直交する平面となっている。
【0021】
吐出側ヘッド232は、吸込側ヘッド231よりも吐出口8に近い位置に配置されている。吐出側ヘッド232は、最も軸線方向Daの第二側Da2に配置されたダイアフラム22と共に吐出口8を形成している。吐出側ヘッド232は、一体化された複数のダイアフラム22に対して、ボルト等によって固定されている。これにより、吐出側ヘッド232は、ダイアフラム22と一体化されている。
【0022】
(ロータの構成)
ロータ3は、ケーシング2の内部に収容されている。ロータ3は、軸線Oを中心として回転可能とされている。本実施形態のロータ3は、回転軸31と、複数のインペラ32と、を有している。
【0023】
回転軸31は、軸線Oを中心として、軸線方向Daに円柱状に延びている。回転軸31の軸線方向Daの両端部31a及び31bは、ケーシング2に対して軸線方向Daの外側に突出している。回転軸31の軸線方向Daの第一側Da1の端部である第一端部31aは、吸込側ヘッド231に対して軸線方向Daに突出している。回転軸31の軸線方向Daの第二側Da2である第二端部31bは、吐出側ヘッド232に対して軸線方向Daに突出している。
【0024】
インペラ32は、軸線O回りに回転可能に回転軸31に支持されている。複数のインペラ32は、回転軸31の軸線方向Daに間隔を空けて配置されている。なお、図1において、インペラ32が6つ形成されている場合の一例を示しているが、インペラ32は、少なくとも1つ以上設けられていればよい。各インペラ32は、回転することによって遠心力を利用してガスを圧縮する。インペラ32は、軸線方向Daの第一側Da1から吸い込んだ作動流体Gを圧縮し、径方向Drの外側Droに吐出する。
【0025】
このような遠心圧縮機1において、作動流体Gは、軸線方向Daにおいて回転軸31の中心位置よりも第一端部31aに近い吸込口7から、ケーシング流路25に導入される。作動流体Gは、回転軸31とともに軸線O回りに回転するインペラ32のそれぞれにおいて圧縮され、径方向Drの内側Driから径方向Drの外側Droに流れてケーシング流路25に吐出される。ケーシング流路25は、軸線方向Daの第一側Da1に位置する上流側のインペラ32から吐出される作動流体Gを、軸線方向Daの第二側Da2に位置する下流側のインペラ32に導く。作動流体Gは、ケーシング2内に複数段に設けられたインペラ32とケーシング流路25とを経ることで圧縮される。その後、作動流体Gは、軸線方向Daにおいて回転軸31の中心位置よりも第二端部31bに近い吐出口8から送り出される。
【0026】
(シール部の構成)
シール部5は、ロータ3とケーシング2との間をシールしている。本実施形態のシール部5は、軸線方向Daにおいて吸込口7よりも第一端部31aに近い位置に配置されている第一シール部51と、軸線方向Daにおいて吐出口8よりも第二端部31bに近い位置に配置されている第二シール部52とを有している。第一シール部51は、吸込側ヘッド231に固定されている。第一シール部は、吸込側ヘッド231と回転軸31との間をシールしている。第二シール部52は、吐出側ヘッド232に固定されている。第二シール部は、吐出側ヘッド232と回転軸31との間をシールしている。
【0027】
(第一軸受部及び第二軸受部の構成)
第一軸受部91及び第二軸受部92は、ケーシング2の軸線方向Daの両端部で、ロータ3を軸線O回りに回転可能に支持している。本実施形態における軸受部としての第一軸受部91は、軸線方向Daにおいて吸込口7よりも第一端部31aに近い位置に配置されている。第一軸受部91は、吸込側ヘッド231に対して、回転軸31を回転可能に支持している。第二軸受部92は、軸線方向Daにおいて吐出口8よりも第二端部31bに近い位置に配置されている。第二軸受部92は、吐出側ヘッド232に対して、回転軸31を回転可能に支持している。第一軸受部91及び第二軸受部92のいずれか一方は、後述するティルティングパッド軸受95に加えてスラスト軸受(不図示)を有している。
【0028】
図2及び図3に示すように、第一軸受部91及び第二軸受部92は、ティルティングパッド軸受95を有している。ティルティングパッド軸受95は、ロータ3の径方向Drの荷重(ラジアル荷重) を支持している。ティルティングパッド軸受95は、複数の軸受パッド96と、複数のピボット97と、軸受ハウジング98とを備えている。以下、本実施形態では、第一軸受部91のティルティングパッド軸受95を例に挙げて説明するが、第二軸受部92のティルティングパッド軸受95も吐出側ヘッド232に固定されている以外の構成は、同一となっている。
【0029】
各軸受パッド96は、図示しない潤滑油を介して回転軸31の外周面に摺接している。軸受パッド96は、回転軸31の軸線Oに直交する断面視(軸線方向Daから見た断面)において円弧状に形成されている。軸受パッド96は、周方向に幅広な湾曲板形状をなしている。軸受パッド96は、径方向Drの内側Driを向くパッド面96fと、径方向Drの外側Droを向くパッド背面96gと、を有する。パッド面96fは、回転軸31の外周面よりも曲率が小さな湾曲面である。そのため、パッド面96fは、回転軸31の外周面に線接触又は点接触で摺接可能とされている。複数の軸受パッド96は、周方向Dcに同じ間隔を開けて配置されている。本実施形態では、軸受パッド96は、周方向Dcに等間隔を開けて、5つ配置されている。本実施形態において、複数の軸受パッド96のうち、最下部の軸受パッド96が、回転軸31に対して鉛直方向Dvの真下(軸線Oの真下)に位置している。
【0030】
ピボット97は、軸受パッド96を揺動自在に支持している。一つのピボット97は、一つの軸受パッド96に対応して、軸受パッド96に対して径方向Drの外側Droに配置されている。ピボット97は、軸受ハウジング98に固定されている。つまり、ピボット97は、軸受ハウジング98を介して間接的にケーシング2に支持されている。ピボット97は、軸受パッド96のパッド背面96gを点支持又は線支持している。また、回転軸31に対して鉛直方向Dvの真下(軸線Oの真下)に位置する軸受パッド96を支持するピボット97は、軸線Oの真下に位置している。また、回転軸31の重心は、鉛直方向Dvと直交する幅方向Dwの中心である軸線Oの真下となる。したがって、ティルティングパッド軸受95において鉛直方向Dvの最も下方に位置するピボット97が、このティルティングパッド軸受95が回転軸31の荷重を受ける荷重支持点となっている。
【0031】
軸受ハウジング98は、軸線Oを中心とする環状に形成されている。軸受ハウジング98は、ケーシング2の吸込側ヘッド231に全周にわたって固定されている。軸受ハウジング98は、軸線方向Daから見た際に、凹部237の底面237bから窪んだ孔内に収容されている。つまり、ティルティングパッド軸受95は、軸線方向Daから見た際に、凹部237内に収まるように配置されている。軸受ハウジング98の内周面には、ピボット97が固定されている。軸受ハウジング98には、回転軸31と軸受パッド96との間に潤滑油を供給する給油路981が形成されている。給油路981は、ティルティングパッド軸受95に潤滑油を供給する潤滑油供給部70と接続されている。潤滑油供給部70は、ケーシング2の外部の潤滑油の供給源(不図示)と接続されている。潤滑油供給部70から給油路981を介して回転軸31と軸受パッド96との間に供給された潤滑油は、凹部237内に排出される。
【0032】
(環状溝部及び接続部の構成)
ケーシング2は、環状溝部40Aと接続部42Aとをさらに有している。本実施形態の環状溝部40Aは、ケーシング2において吸込口7に近い端部を形成する吸込側ヘッド231のみに形成されている。環状溝部40Aは、ティルティングパッド軸受95に対して径方向Drの外側Droに離れた位置に形成されている。環状溝部40Aは、吸込側ヘッド231の軸線方向Daの第一側Da1を向く面に対して、軸線方向Daに窪むとともに周方向Dcに延びるように形成されている。これにより、環状溝部40Aは、軸線方向Daから見た際の吸込側ヘッド231の端面を、環状溝部40Aに対して径方向Drの内側Driの内周領域27と、環状溝部40Aに対して径方向Drの外側Droの外周領域28と区画している。
【0033】
本実施形態の環状溝部40Aは、軸線方向Daの第一側Da1から見た際に、凹部237内に配置されるように吸込側ヘッド231に形成されている。したがって、環状溝部40Aは、凹部237の底面237bから軸線方向Daに窪んでいる。環状溝部40Aは、軸線方向Daから見た際に、軸線Oを中心とする円弧状をなすように形成されている。環状溝部40Aは、凹部237内の空間と連通するように、底面237bで開口している。
【0034】
接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、周方向Dcにおいて、環状溝部40Aの一部を横切るように形成されている。接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、環状溝部40Aによって区画された内周領域27と外周領域28とを接続している。接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、周方向Dcに延びる環状溝部40Aの延長線上に位置する領域であって、環状溝部40Aが形成されていない領域である。つまり、環状溝部40Aは、軸線方向Daから見た際に、底面237bにおいて、接続部42A以外の領域がティルティングパッド軸受95を囲むように一つの溝として形成されている。そのため、底面237bは、接続部42Aのみを介して、内周領域27と外周領域28とが繋がっている。接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、軸線Oに対して鉛直方向Dvの下方に位置している。
【0035】
また、接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、幅方向Dwの位置がピボット97と重なる位置に配置されている。より具体的には、接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、幅方向Dwにおいて、ティルティングパッド軸受95の荷重支持点であるピボット97と重なる位置に配置されている。さらに、接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、吸込口7と重なる位置に形成されている。つまり、接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、吸込側ヘッド231の下半(軸線Oよりも下方)に形成されている。
【0036】
(作用効果)
上記構成の圧縮機1では、吸込口7から流入した低温の作動流体Gの温度の影響により、吸込側ヘッド231にティルティングパッド軸受95を内側に押し込むように全周で熱収縮が生じる。しかしながら、第一軸受部91に対して径方向Drに離間した位置に、環状溝部40Aが形成されている。これにより、熱収縮による影響が、環状溝部40Aにより遮られ、環状溝部40Aに対して径方向Drの内側Driの領域での収縮が抑えられる。そのため、吸込側ヘッド231において、外周領域28に比べて、ティルティングパッド軸受95を固定している内周領域27での収縮が抑えられる。したがって、吸込側ヘッド231の収縮の影響がティルティングパッド軸受95に及んでしまい、ティルティングパッド軸受95において、軸受クリアランスが狭まって、焼き付きが発生してしまうリスクを低減することができる。また、周方向Dcにおいて環状溝部40Aの一部を横切るように、内周領域と外周領域とを接続する接続部42Aが形成されている。そのため、接続部42Aが形成されている領域は、環状溝部40Aが形成されている領域に比べて剛性が高くなる。したがって、接続部42Aが形成されていることで、ティルティングパッド軸受95を全周にわたって囲むように溝を形成する場合に比べて、ティルティングパッド軸受95を安定した状態で支持できる。また、ティルティングパッド軸受95では、回転軸31から受ける荷重は、ピボット97が配置されている位置で、吸込側ヘッド231に対して最も大きく作用する。そのようなピボット97が配置されている位置に対して重ねるように接続部42Aが配置されている。その結果、回転軸31から受ける荷重を支持するために吸込側ヘッド231に必要な剛性を接続部42Aで効率的に確保できる。これらのより、軸受を安定して支持しつつ、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを抑えることができる。
【0037】
また、接続部42Aは、幅方向Dwにおいて、荷重支持点である鉛直方向Dvの最も下方に位置するピボット97と重なる位置に配置されている。鉛直方向Dvの最も下方に位置するピボット97は、荷重支持点であることで、回転軸31から受ける荷重が最も大きくなる。そのような最下端のピボット97に対して重ねるように接続部42Aが配置されている。その結果、回転軸31から受ける荷重を支持するために吸込側ヘッド231に必要な剛性を接続部42Aでより効率的に確保できる。これにより、軸受をより安定して支持できる。
【0038】
また、環状溝部40Aは、軸線方向Daから見た際に、底面237bにおいて、接続部42A以外の領域がティルティングパッド軸受95を囲むように一つの溝として形成されている。つまり、環状溝部40Aは、軸線方向Daから見た際に、周方向Dcにおいて、接続部42A以外の領域でティルティングパッド軸受95を囲んでいる。そのため、ティルティングパッド軸受95の全周での吸込側ヘッド231の熱収縮の影響が、周方向Dcの多くの領域でティルティングパッド軸受95に及びにくくなる。これにより、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを効果的に抑えることができる。
【0039】
また、環状溝部40Aは、軸線方向Daの第一側Da1から見た際に、凹部237内に配置されるように形成されている。凹部237が形成された吸込側ヘッド231の面である底面237bは、ケーシング2の外部に面して軸線方向Daの第一側Da1を向いている。このため、凹部237を形成する内表面は、圧縮機1が設置されている外部の雰囲(外部の空気)に曝されている。その結果、ケーシング2内に比較して温度が高くなっている。さらに、このような凹部237と繋がっている環状溝部40A内にも、ケーシング2内の作動流体Gよりも温度が高い外部の空気が流入する。その結果、吸込側ヘッド231において環状溝部40Aが形成されている周辺の領域の温度が下がりづらくなり、熱収縮が抑えられる。したがって、ケーシング2の熱収縮による影響が軸受に及ぶことを、より効果的に抑えることができる。
【0040】
また、圧縮機1は、潤滑油供給部70をさらに備えている。給油路981を介して潤滑油供給部70によりティルティングパッド軸受95には潤滑油が供給されている。供給された潤滑油は、ティルティングパッド軸受95で使用後に、回転軸31とティルティングパッド軸受95との隙間から、凹部237内に排出される。この排出された潤滑油は、圧縮機1の作動時に高速で回転する回転軸31に曝されてきたことで、回転軸31とティルティングパッド軸受95との間で生じる熱によって、作動流体Gよりも高い温度まで上昇している。このように温度上昇した潤滑油が、凹部237内に排出されていることで、凹部237の内表面の温度が、より高くなる。その結果、ケーシング2の熱収縮による影響が軸受に及ぶことを、より一層効果的に抑えることができる。
【0041】
また、吸込口7は、鉛直方向Dvの下方かケーシング2内に作動流体Gを取り入れている。これにより、作動流体Gが低温である場合、吸込口7が位置する吸込側ヘッド231の下部でより熱収縮が大きくなる。一方で、接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、軸線Oに対して鉛直方向Dvの下方の最下端のピボット97の下方に位置している。つまり、接続部42Aは、軸線方向Daから見た際に、吸込口7と重なる位置に形成されている。そのため、熱収縮が最も大きくなる領域に対して、接続部42Aによって剛性を向上させることができる。これにより、軸受をより一層安定して支持できる。
【0042】
また、作動流体Gは、吸込口7における流体温度が0℃以下である。温度が0℃以下の作動流体Gをケーシング2内に取り入れることにより、ケーシング2、特に吸込側ヘッド231の熱収縮は大きくなる。このような圧縮機1において、環状溝部40Aを備えることで、ケーシング2の熱収縮による影響が軸受に及ぶことを有効に抑えることができる。
【0043】
(実施形態の変形例)
なお、上記実施形態では、ティルティングパッド軸受95の複数の軸受パッド96のうち、一つの軸受パッド96が、鉛直方向Dvにおいて軸線Oの真下に位置する、ように配置されていたが、軸受パッド96の配置はこのような配置に限定されるものではない。
【0044】
例えば、図4に示すように、複数の軸受パッド96のうち、最下方に位置する二つの軸受パッド96が、鉛直方向Dvにおいて軸線Oの真下に対し、幅方向Dwの両側にずれて配置されていてもよい。つまり、複数の軸受パッド96は、軸線Oの真下の領域と重ならないように配置されている。その結果、変形例では、複数の軸受パッド96のうち、最下方の軸受パッド96は、幅方向Dwにおいて軸線Oから等間隔離れた位置に二つ配置されている。
【0045】
このようにティルティングパッド軸受95が配置されている場合には、接続部42Bは、軸線方向Daから見た際に、複数のティルティングパッド軸受95のうち、最下方に位置する二つの軸受パッド96と重なる位置に形成されていることが好ましい。なお、接続部42Bは、軸線方向Daから見た際に、最下方に位置する二つの軸受パッド96を支持するピボット97と重なる位置に形成されていることがより好ましい。したがって、変形例の環状溝部40Bは、実施形態の環状溝部40Aに比べて周方向Dcの長さが短くなる。
【0046】
このような構成においても、上記実施形態と同様に、軸受を安定して支持しつつ、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを抑えることができる。
【0047】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0048】
なお、上記実施形態では、圧縮機として遠心圧縮機1を例示したが、圧縮機は、遠心圧縮機1以外の軸流の圧縮機等の他の構造の圧縮機にも適用可能である。また、遠心圧縮機であっても、ダイアフラム22やインペラ32の数等は本実施形態に構造に限定されるものではない。
【0049】
また、本実施形態の環状溝部40A及び40Bの構造は、本実施形態の構造に限定されるものでない。例えば、接続部42A及び42Bが形成されている領域が最下方のピボット以外の他のピボットと重なる位置であってもよい。
【0050】
また、吸込側ヘッド231の構造は本実施形態の構造に限定されるものではない。例えば、吸込側ヘッド231には、凹部237が形成されていなくてもよい。
【0051】
また、第二軸受部92にティルティングパッド軸受95を配置し、環状溝部40Aや、40bや接続部42A、42Bを吐出側ヘッド23に形成してもよい。その際、吐出側ヘッド23には、凹部237が形成されていてもよい。
【0052】
<付記>
実施形態に記載の圧縮機1は、例えば以下のように把握される。
【0053】
(1)第1の態様に係る圧縮機1は、軸線Oの延びている軸線方向Daに延びた回転軸31を有し、前記軸線Oを中心に回転可能とされたロータ3と、前記軸線Oを基準とする径方向Drの外側Droから前記ロータ3を覆い、作動流体Gを内部に取り入れる吸込口7を有するケーシング2と、前記回転軸31を前記ケーシング2内で支持可能なティルティングパッド軸受95と、を備え、前記ティルティングパッド軸受95は、前記軸線Oを中心とする周方向Dcに間隔を開けて複数配置され、前記回転軸31の外周面に摺接する軸受パッド96と、前記ケーシング2に支持され、前記軸受パッド96を揺動自在に支持するピボット97と、を備え、前記ケーシング2は、前記吸込口7に近い端部であって前記ティルティングパッド軸受95に対して前記径方向Drの外側Droに離れた位置で、前記軸線方向Daに窪むとともに前記周方向Dcに延びるように形成された環状溝部40A、40Bと、前記軸線方向Daから見た際に、前記周方向Dcにおいて前記環状溝部40A、40Bの一部を横切るように、前記環状溝部40A、40Bに対して前記径方向Drの内側Driの内周領域27と前記環状溝部40A、40Bに対して前記径方向Drの外側Droの外周領域28とを接続する接続部42Aとを有し、前記接続部42Aは、前記軸線方向Daから見た際に、鉛直方向と直交する幅方向Dwの位置が前記ピボット97と重なる位置に配置されている。
【0054】
これにより、熱収縮による影響が、環状溝部40Aにより遮られ、環状溝部40Aに対して径方向Drの内側Driの領域での収縮が抑えられる。そのため、ケーシング2において、外周領域28に比べて、ティルティングパッド軸受95を固定している内周領域27での収縮が抑えられる。したがって、ケーシング2の収縮の影響がティルティングパッド軸受95に及んでしまい、ティルティングパッド軸受95において、軸受クリアランスが狭まって、焼き付きが発生してしまうリスクを低減することができる。また、接続部42Aが形成されている領域は、環状溝部40Aが形成されている領域に比べて剛性が高くなる。したがって、ティルティングパッド軸受95を全周にわたって囲むように溝を形成する場合に比べて、ティルティングパッド軸受95を安定した状態で支持できる。また、ティルティングパッド軸受95では、回転軸31から受ける荷重は、ピボット97が配置されている位置で、ケーシング2に対して最も大きく作用する。そのようなピボット97が配置されている位置に対して重ねるように接続部42Aが配置されている。その結果、回転軸31から受ける荷重を支持するために、ケーシング2に必要な剛性を接続部42Aで効率的に確保できる。これらのより、軸受を安定して支持しつつ、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを抑えることができる。
【0055】
(2)第2の態様に係る圧縮機1は、(1)の圧縮機1であって、前記接続部42Aは、前記軸線方向Daから見た際に、前記幅方向Dwにおいて、前記ティルティングパッド軸受95が前記回転軸31の荷重を受ける荷重支持点と重なる位置に配置されている。
【0056】
これにより、荷重支持点であるピボット97に対して重ねるように接続部42Aが配置されている。その結果、回転軸31から受ける荷重を支持するためにケーシング2に必要な剛性を接続部42Aでより効率的に確保できる。これにより、軸受をより安定して支持できる。
【0057】
(3)第3の態様に係る圧縮機1は、(1)又は(2)の圧縮機1であって、前記環状溝部40A、40Bは、前記軸線方向Daから見た際に、前記接続部42A以外の領域が前記ティルティングパッド軸受95を囲むように一つの溝として形成されている。
【0058】
これにより、環状溝部40Aは、軸線方向Daから見た際に、周方向Dcにおいて、接続部42A以外の領域でティルティングパッド軸受95を囲んでいる。そのため、ティルティングパッド軸受95の全周でのケーシング2の熱収縮の影響が、周方向Dcの多くの領域でティルティングパッド軸受95に及びにくくなる。したがって、軸受の全周で生じる熱収縮の影響が軸受に及ぶことを効果的に抑えることができる。
【0059】
(4)第4の態様に係る圧縮機1は、(1)から(3)の何れか一つの圧縮機1であって、前記ケーシング2は、前記軸線方向Daに延びる筒状の外部ケーシング21と、前記軸線方向Daの第一側Da1で、前記外部ケーシング21の開口を閉塞するヘッド231と、を含み、前記ヘッド231は、前記軸線方向Daの前記第一側Da1から見た際に、前記軸線Oを中心とした円形状を形成するように前記軸線方向Daに窪む凹部237を有し、前記環状溝部40Aは、前記軸線方向Daの前記第一側Da1から見た際に、前記凹部237内に配置されるように前記ヘッド231に形成されている。
【0060】
これにより、凹部237が形成されたヘッド231の面は、ケーシング2の外部に面して軸線方向Daの第一側Da1を向いている。このため、凹部237を形成する内表面は、圧縮機1が設置されている外部の雰囲(外部の空気)に曝されている。これにより、ケーシング2内に取り込まれる作動流体Gが低温である場合、凹部237の内表面は、ケーシング2内に比較して温度が高くなっている。さらに、凹部237と繋がっている環状溝部40A内にも、ケーシング2内の作動流体Gよりも温度が高い外部の空気が流入する。その結果、ヘッド231において環状溝部40Aが形成されている周辺の領域の温度が下がりづらくなり、熱収縮が抑えられる。したがって、ケーシング2の熱収縮による影響が軸受に及ぶことを、より効果的に抑えることができる。
【0061】
(5)第5の態様に係る圧縮機1は、(4)の圧縮機1であって、前記ティルティングパッド軸受95に潤滑油を供給する潤滑油供給部70をさらに備え、前記潤滑油供給部70により前記ティルティングパッド軸受95に供給された前記潤滑油は、前記凹部237内に排出される。
【0062】
これにより、供給された潤滑油は、ティルティングパッド軸受95で使用後に、凹部237内に排出される。この排出された潤滑油は、圧縮機1の作動時に高速で回転する回転軸31に曝されてきたことで、回転軸31とティルティングパッド軸受95との間で生じる熱によって、作動流体Gよりも高い温度まで上昇している。このように温度上昇した潤滑油が、凹部237内に排出されていることで、凹部237の内表面の温度が、より高くなる。その結果、ケーシング2の熱収縮による影響が軸受に及ぶことを、より一層効果的に抑えることができる。
【0063】
(6)第6の態様に係る圧縮機1は、(1)から(5)の何れか一つの圧縮機1であって、前記吸込口7は、前記ケーシング2において前記鉛直方向Dvの下方から、前記ケーシング2の外部から前記作動流体Gを取り入れ、前記接続部42Aは、前記軸線方向Daから見た際に、前記吸込口7と重なる位置に形成されている。
【0064】
これにより、作動流体Gが低温である場合、吸込口7が位置するケーシング2の下部でより熱収縮が大きくなる。このような熱収縮が最も大きくなる領域に対して、接続部42Aによって剛性を向上させることができる。これにより、軸受をより一層安定して支持できる。
【符号の説明】
【0065】
1…遠心圧縮機(圧縮機)
2…ケーシング
3…ロータ
5…シール部
51…第一シール部
52…第二シール部
7…吸込口
8…吐出口
100…バンドル
21…外部ケーシング
210…端板
22…ダイアフラム
23…ヘッド
231…吸込側ヘッド
232…吐出側ヘッド
237…凹部
237b…底面
27…内周領域
28…外周領域
25…ケーシング流路
31…回転軸
31a…第一端部
31b…第二端部
32…インペラ
40A、40B…環状溝部
42A、42B…接続部
70…潤滑油供給部
91…第一軸受部
92…第二軸受部
95…ティルティングパッド軸受
96…軸受パッド
96f…パッド面
96g…パッド背面
97…ピボット
98…軸受ハウジング
981…給油路
Da…軸線方向
Da1…第一側
Da2…第二側
Dc…周方向
Dr…径方向
Dri…内側
Dro…外側
Dw…幅方向
G…作動流体
O…軸線
図1
図2
図3
図4