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特開2023-85787検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠
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  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図1
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図2
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図3
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図4A
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図4B
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図4C
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図5
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図6A
  • 特開-検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085787
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
E21D11/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200012
(22)【出願日】2021-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】596007979
【氏名又は名称】大栄工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅彦
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BB02
2D155DA08
2D155LA15
(57)【要約】
【課題】覆工コンクリートの高い品質を確保しつつ作業員の作業負担を軽減し苦渋作業を解消可能な検査窓を備えるトンネル覆工用型枠と検査窓の開閉機構を提供すること。
【解決手段】本発明のトンネル覆工用型枠1は、面材本体11と検査窓12と第1軸受13とを有する型枠面材10と、杆本体21と第1ヒンジ部22と第2ヒンジ部23と弾性体24とを有する杆部材20と、遮蔽板31と第2軸受31とを有する遮蔽材30と、を備え、第1ヒンジ部22及び第2ヒンジ部23を第1軸受13及び第2軸受32にそれぞれ軸支し、遮蔽板31が嵌合面部31aを有し、弾性体24が遮蔽板31を第2軸受32の軸周りに回動するように付勢することを特徴とする。本発明のトンネル覆工用型枠Aは、トンネル内を移動可能な基台A1と、基台A1上に架設した型枠体A2であって検査窓の開閉機構1を有する型枠体A2と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工用型枠における検査窓の開閉機構であって、
略半筒状の面材本体と、前記面材本体を内外に貫通する複数の矩形の検査窓と、前記面材本体の内面に設けた第1軸受であって前記面材本体の周方向に沿った方向を軸とする第1軸受と、を有する、型枠面材と、
杆本体と、前記杆本体の一端に設けた第1ヒンジ部と、前記杆本体の他端に設けた第2ヒンジ部と、前記杆本体に設けた弾性体と、を有する、杆部材と、
前記検査窓を遮蔽可能な遮蔽板と、前記遮蔽板の内面に設けた第2軸受であって前記第1軸受と軸平行な第2軸受と、を有する、遮蔽材と、を備え、
前記第1ヒンジ部及び前記第2ヒンジ部を、前記第1軸受及び前記第2軸受にそれぞれ軸支し、
前記遮蔽板が、前記面材本体における前記検査窓の切り抜き部分に相当する外形の嵌合面部を有し、
前記弾性体が、前記遮蔽板を、前記第2軸受の軸周りに回動するように付勢することを特徴とする、
検査窓の開閉機構。
【請求項2】
前記弾性体が、前記杆本体の他端において前記第2ヒンジ部より先端側に設けた圧縮ばねであることを特徴とする、請求項1に記載の検査窓の開閉機構。
【請求項3】
前記遮蔽板が、前記嵌合面部を前記検査窓内に嵌合した状態において、前記嵌合面部と前記検査窓の境界の少なくとも一部を内面側から封止する封止部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の検査窓の開閉機構。
【請求項4】
前記嵌合面部を前記検査窓内に嵌合した状態において、前記型枠面材の内面に固定して、前記遮蔽材の内面を押さえる、連結ピンを有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査窓の開閉機構。
【請求項5】
トンネル工事において覆工コンクリートを成型するためのトンネル覆工用型枠であって、
トンネル内を移動可能な基台と、
前記基台上に架設した型枠体であって請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査窓の開閉機構を有する型枠体と、を備えることを特徴とする、
トンネル覆工用型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠に関し、覆工コンクリートの高い品質を確保しつつ、作業員の作業負担を軽減し、苦渋作業を解消可能な検査窓を備えるトンネル覆工用型枠と、当該検査窓の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル工事では、吹付けコンクリート面の内面に覆工コンクリートを成型するため、基台上にトンネル断面に対応した略半筒状の型枠体を架設してなる、移動式のトンネル覆工用型枠が用いられる。
トンネル覆工用型枠には、覆工コンクリート打設用及び打設状況の点検用に、型枠体を貫通する複数の検査窓が設けられる。
従来技術では、例えば鋼製の型枠体を矩形にレーザー切断して検査窓を設け、検査窓の近傍にヒンジ式の遮蔽板を設ける。遮蔽板は、型枠からレーザーで切り出した鋼板(嵌合面部)の背面にコンクリート漏れ止めのための封止部を設け、これを型枠体の内面に軸支して、下方から上方へ閉鎖可能(下開き)に固定する。
検査窓切開時のレーザー切断の切断代は1mm未満であるため、切り出した嵌合面部は検査窓内に隙間なく嵌り込み、型枠体の表面は嵌合面部を含めて面一な型枠面を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-194384号公報
【特許文献2】特開2020-94458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来技術には以下の<1>~<4>のような問題点がある。
【0005】
<1>遮蔽板は型枠体の内面に軸支されるため、厚みのある嵌合面部を回動して検査窓内に嵌め込むには、検査窓におけるヒンジから遠位側の縁を斜めに削りとった切削部を成形する必要がある(図6A)。検査窓の縁が嵌合面部の縁と平行なままでは、遮蔽板の回動閉鎖時に嵌合面部の角が検査窓の角に当たって、遮蔽板を閉じることができないからである。
検査窓の外側にコンクリートを打設する際、検査窓は遮蔽板で封鎖するが、検査窓におけるヒンジから遠位側の縁には切削部があるため、検査窓の内面と遮蔽板の内面との間に断面三角形状の隙間が生じる(図6B)。
このため、型枠体の外側に打設したコンクリートのモルタル分がこの隙間から型枠体の内側に染み出すことで、検査窓付近のコンクリートのモルタル分が不足してジャンカが生じ、覆工コンクリートの品質を低下させるおそれがある。
【0006】
<2>切削部は、検査窓の内面角部をグラインダーで削り取って成形するが、検査窓は1基の覆工型枠に60カ所以上存在し、またその厚みは8~10mm程度あるため、全ての検査窓を1つずつグラインダーで削り取る作業には非常な労力と時間がかかり、製造工場の生産性を低下させると共に、工場作業員の苦渋作業となっている。
【0007】
<3>検査窓より下方へコンクリートを打設する際、遮蔽板を内面側下方に回動して検査窓を開放し、検査窓から外へコンクリートの圧送管を突き出して、打設空間内にコンクリートを打設する。打設後は、圧送管を型枠体内に引き入れ、遮蔽板を持ち上げて検査窓を閉鎖する。
圧送管の引き入れ時、ノズル先端に付いた生コンクリートが検査窓の内側や遮蔽板の表面やヒンジに垂れて付着することが頻繁に起こる。このコンクリートは、直ちに拭き取らないと硬化し、検査窓と遮蔽板の間やヒンジの間に噛みこまれて部材を変形させ、遮蔽板の閉鎖不良を起こす。
遮蔽板が閉鎖不良になると、型枠体の表面が面一にならず、覆工コンクリートの硬化後、覆工コンクリートの内面に遮蔽板の形状の凹みや、検査窓と遮蔽板の隙間の跡が残る「目違い」が生じ、覆工コンクリートの品質に悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
<4>重量40kg以上の遮蔽板を工程ごとに上下に開閉する必要があるため、作業員の肉体的負担が非常に大きい。
また、圧送管のノズルから垂れたコンクリートを、硬化する前に迅速に拭き取る作業を検査窓ごとに行う必要があるため、作業員の作業負担が大きい。
【0009】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決するための、検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の検査窓の開閉機構は、略半筒状の面材本体と、面材本体を内外に貫通する複数の矩形の検査窓と、面材本体の内面に設けた第1軸受であって面材本体の周方向に沿った方向を軸とする第1軸受と、を有する、型枠面材と、杆本体と、杆本体の一端に設けた第1ヒンジ部と、杆本体の他端に設けた第2ヒンジ部と、杆本体に設けた弾性体と、を有する、杆部材と、検査窓を遮蔽可能な遮蔽板と、遮蔽板の内面に設けた第2軸受であって第1軸受と軸平行な第2軸受と、を有する、遮蔽材と、を備え、第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部を、第1軸受及び第2軸受にそれぞれ軸支し、遮蔽板が、面材本体における検査窓の切り抜き部分に相当する外形の嵌合面部を有し、弾性体が、遮蔽板を、第2軸受の軸周りに回動するように付勢することを特徴とする。
【0011】
本発明の検査窓の開閉機構は、弾性体が、杆本体の他端において第2ヒンジ部より先端側に設けた圧縮ばねであってもよい。
【0012】
本発明の検査窓の開閉機構は、遮蔽板が、嵌合面部を検査窓内に嵌合した状態において、嵌合面部と検査窓の境界の少なくとも一部を内面側から封止する封止部を有していてもよい。
【0013】
本発明の検査窓の開閉機構は、遮蔽板を検査窓に嵌合した状態において、型枠面材の内面に固定して、遮蔽材の内面を押さえる、連結ピンを有していてもよい。
【0014】
本発明のトンネル覆工用型枠は、トンネル内を移動可能な基台と、基台上に架設した型枠体であって検査窓の開閉機構を有する型枠体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトンネル覆工用型枠は、以上の構成を備えるため、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>検査窓に対して嵌合面部を略面方向に嵌合することができるため、検査窓の内面と嵌合面部の外面との間にほとんど隙間が生じない。
このため、検査窓の隙間からのモルタル分の染み出しが生じにくく、覆工コンクリートの高い品質を確保することができる。
<2>グラインダーによる切削部の成形作業が不要となるため、工場の生産性を高め、工場作業員の苦渋作業を解消することができる。
<3>検査窓をトンネル周方向ではなく、トンネル軸方向に展開する構造であるため、特に型枠体側面の検査窓において、コンクリートの圧送管から垂れる生コンクリートが検査窓の開閉機構に付着しにくい。このため、遮蔽板の閉鎖不良が生じにくく、「目違い」等の覆工コンクリートへの悪影響の発生を防止することができる。
<4>検査窓をトンネル軸方向に展開する構造であるため、特に型枠体側面の検査窓において、重量のある遮蔽板の開閉に大きな力が必要なく、作業員の肉体的負担が小さい。また、遮蔽板が水平方向に展開するため、ノズルから垂れたコンクリートが開閉機構に付着しにくく、拭き取り作業を頻繁に行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る検査窓の開閉機構の説明図。
図2】型枠面材の説明図。
図3】杆部材及び遮蔽材の説明図。
図4A】検査窓の開閉の説明図(1)。
図4B】検査窓の開閉の説明図(2)。
図4C】検査窓の開閉の説明図(3)。
図5】本発明に係るトンネル覆工用型枠の説明図。
図6A】従来技術の説明図(1)
図6B】従来技術の説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の検査窓の開閉機構及びトンネル覆工用型枠について詳細に説明する。
【実施例0018】
[検査窓の開閉機構]
<1>全体の構成(図1
本発明の検査窓の開閉機構1は、トンネル覆工用型枠Aにおいて、コンクリート打設状況を確認するための検査窓12を開閉するための機構である。
ここで、検査窓12とは、トンネル覆工用型枠Aの外側にコンクリート圧送管を突出して覆工コンクリートを打設したり、覆工コンクリートの打設状況を確認するために使用する開口である。
検査窓の開閉機構1は、トンネル覆工用型枠Aの型枠体A2に設けられ、型枠面材10と、杆部材20と、遮蔽材30と、を少なくとも備える。
杆部材20は、型枠面材10に回動可能に軸支し、遮蔽材30は、杆部材20に回動可能に軸支する。各部材の回動軸は型枠面材10の周方向に沿う。
ここで「周方向に沿う」とは、回動軸は直線、周方向は曲線であるところ、回動軸の傾きの方向が型枠面材10の周方向に近似することを意味する。
これによって、遮蔽材30が型枠面材10に対して、半筒状の型枠面材10の軸方向に開閉するため、特に型枠体A2の側面において検査窓12の開閉に大きな力が必要なく、作業員の肉体的負担が軽い。
また、型枠体A2内において検査窓12の周辺が、高さ方向に広く開放されるため、コンクリートの打設に係る作業性が高い。
【0019】
<2>型枠面材(図2
型枠面材10は、型枠体A2の外殻である。
型枠面材10は、面材本体11と、複数の検査窓12と、第1軸受13と、を少なくとも備える。
面材本体11は、外周に円滑な型枠面を有する略半筒状の部材である。
本例では、面材本体11として、SS400の鋼製型枠を採用する。但し面材本体11の素材はこれに限らず、ステンレス製、FRP製等であってもよい。
検査窓12は、矩形を呈し、面材本体11を内外に貫通する。
検査窓12の位置と数は、トンネル覆工用型枠Aの設計に応じて適宜設定する。
本例では、検査窓12の上下を挟むように、面材本体11の内側にリブ14を付設し、リブ14上に型枠面材10の周方向に沿う方向に連通する固定孔15を設ける。
覆工コンクリートの打設時には、検査窓12を遮蔽材30で塞ぎ、固定孔15内に連結ピン16を挿入することで、連結ピン16で遮蔽材30の背面を押さえて、遮蔽材30が開くのを防ぐことができる。
第1軸受13は、面材本体11の内面において検査窓12の近傍に設置する。
第1軸受13の回動軸は、型枠面材10の周方向に沿う。
【0020】
<3>杆部材(図3
杆部材20は、遮蔽材30を型枠面材10に軸支する部材である。
杆部材20は、長尺状の杆本体21と、杆本体21の一端に設けた第1ヒンジ部22と、杆本体21の他端に設けた第2ヒンジ部23と、杆本体21に付設した弾性体24と、を少なくとも備える。
杆部材20は、一端が第1ヒンジ部22を介して、型枠面材10の第1軸受13に回動自在に軸支し、他端が第2ヒンジ部23を介して、遮蔽材30の第2軸受32に回動自在に軸支する。
本例では、杆本体21に開閉操作用の把手25を設ける。この他、把手は後述する遮蔽材30に直接設けてもよい。
【0021】
<3.1>弾性体
弾性体24は、遮蔽材30を第2軸受32の軸周りに回動するように付勢する部材である。
本例では、弾性体24として金属製の圧縮ばねを採用し、杆本体21上において第2ヒンジ部23より先端側に付設する。
弾性体24を、杆本体21と遮蔽材30の遮蔽板31の間に介在させることで、遮蔽板31を、第2ヒンジ部の反対側に回動するように押圧付勢する。
なお、弾性体24は圧縮ばねに限らず、第2軸受32を第2ヒンジ部23に対して回動させるように直接付勢するトーションばねであってもよい。あるいは、杆本体21の先端側に付設した他の圧縮弾性体や、杆本体21の基端側に付設した引張ばね等であってもよい。
【0022】
<4>遮蔽材(図3
遮蔽材30は、検査窓12を閉鎖するための面状体である。
遮蔽材30は、検査窓12を遮蔽可能な大きさの遮蔽板31と、遮蔽板の内面に設けた第2軸受32と、を少なくとも有する。
遮蔽板31は、少なくとも検査窓12内に嵌合可能な外形の嵌合面部31aを有する。
嵌合面部31aは、面材本体11における検査窓12の切り抜き部分に相当する外形を有する。ただし、必ずしも実際に面材本体11を切り抜いた残材から構成する必要はない。
嵌合面部31aの外面は、面材本体11の外周面と同じ曲率の平滑面である。
本例では遮蔽板31が更に、嵌合面部31aの内側に付設した封止部31bを有する。
封止部31bは、遮蔽板31の正面視において、嵌合面部31aより外側に張り出して、嵌合面部31aを検査窓12内に嵌合した状態において、嵌合面部31aと検査窓12の境界を内面側から封止する。
第2軸受32の回動軸は、型枠面材10の第1軸受13の回動軸と平行である。
【0023】
<5>検査窓の閉鎖
本発明の検査窓の開閉機構1によれば、検査窓12を次の手順で閉鎖する。
【0024】
<5.1>検査窓が開いた状態(図4A
検査窓12が開いた状態、すなわち検査窓12が遮蔽板31に塞がれていない状態では、弾性体24が遮蔽板31を押圧して外側に付勢する。
ここで、本例では、弾性体24が、杆本体21上において第2ヒンジ部23より先端側に付設されているため、遮蔽板31は、第2ヒンジ部23と第2軸受32の連結軸を中心に、弾性体24の反対側(図における反時計回り)へ回動するように付勢される。
【0025】
<5.2>遮蔽板の接触(図4B
続いて、検査窓12を閉鎖すべく、遮蔽板31を第1ヒンジ部22周りに検査窓12方向へ回動すると、まず遮蔽板31の封止部31bが検査窓12の内面に接触する。
この際、封止部31bにおける第1ヒンジ部22から遠位の遠位端efが、近位の近位端ecより先に検査窓12に接触する。これは、弾性体24によって、遠位端efの方が近位端ecより外側に押し出されているからである。
仮に、弾性体24が存在せず、かつ近位端ecの方が遠位端efより外側に出ている場合、封止部31bの近位端ecが遠位端efより先に検査窓12に接触する。この場合、遮蔽板31をそれ以上押し込んでも、嵌合面部31a又は封止部31bの遠位端efが検査窓12の縁に当たってしまい、検査窓12内に嵌合面部31aを嵌め込むことができない。
【0026】
<5.3>嵌合面部の嵌め込み(図4C
この状態から、更に遮蔽板31を検査窓12側に押し込むと、遠位端efを支点に嵌合面部31aが近位端ec方向に回動し、嵌合面部31aが検査窓12内に面一に嵌り込む。
本例では、嵌合面部31aと検査窓12の境界が、封止部31bによって内面側から封止されるため、隙間からのモルタル分の滲出が防止される。
検査窓12の閉鎖後は、連結ピン16で遮蔽板31の背面を押さえるなどして固定する。
以上の通り、本発明の検査窓の開閉機構1は、ダブルヒンジ機構と弾性体24の組み合わせによって、作業員が片手で遮蔽板31を押し込むだけの操作で容易に検査窓12を閉鎖することができる。また、特に型枠体A2の側面の検査窓12において、重量のある遮蔽板31を小さな力で閉鎖することができる。
なお、検査窓12を開放するには、全ての連結ピン16を固定孔15から抜いて、把手25を掴んで遮蔽板31を引き開けるだけでよい。
【0027】
<6>トンネル覆工用型枠(図5
トンネル覆工用型枠Aは、トンネル内を少なくともトンネル延長方向に移動可能な基台A1と、基台A1上に昇降自在に架設した型枠体A2と、を少なくとも備える。
基台A1は、概ね門形に組んだ複数の鋼材をトンネル延長方向に連結してなる枠状体である。
基台A1内には、コンクリートを打設するためのコンクリート配管などの圧送手段(不図示)を備える。
基台A1の下部には移動用の車輪を備える。
基台A1と型枠体A2の間には、覆工コンクリートの打設時に型枠体A2を展開する展開装置を備える。
型枠体A2には、本発明の検査窓の開閉機構1を備える。
【符号の説明】
【0028】
1 検査窓の開閉機構
10 型枠面材
11 面材本体
12 検査窓
13 第1軸受
14 リブ
15 固定孔
16 連結ピン
20 杆部材
21 杆本体
22 第1ヒンジ部
23 第2ヒンジ部
24 弾性体
25 把手
30 遮蔽材
31 遮蔽板
31a 嵌合面部
31b 封止部
32 第2軸受
A トンネル覆工用型枠
A1 基台
A2 型枠体
ec 近位端
ef 遠位端
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B