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  • 特開-コンデンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008579
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/228 20060101AFI20230112BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01G4/228 Q
H01G4/32 531
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112250
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】390022460
【氏名又は名称】株式会社指月電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】大橋 光
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082BC19
5E082BC35
5E082CC04
5E082CC06
5E082CC13
5E082EE07
5E082EE37
5E082FG06
5E082FG34
5E082GG08
5E082GG27
5E082HH03
5E082HH28
5E082HH46
5E082HH47
5E082HH48
5E082JJ04
5E082JJ12
5E082JJ22
(57)【要約】
【課題】コンデンサ内への水分の取り込みを抑制するとともに、低ESL化を図ることができるコンデンサを提供する。
【解決手段】第1バスバー3は、樹脂6内で第1電極面21に接続される第1基板部31と、第1基板部31から樹脂6外に延出される第1接続部32とを備え、第2バスバー4は、樹脂6内で第2電極面22に接続され、且つ第1基板部31に近接対向する第2基板部41と、第2基板部41から樹脂6外に延出される第2接続部42とを備え、第1基板部31と第2基板部41との間には、樹脂6内において第1絶縁部材7が介在しており、第1接続部32と第2接続部42との間には、樹脂6内から樹脂6外にかけて第2絶縁部材8が介在しており、第2絶縁部材8は、第1絶縁部材7よりも厚く、吸湿性が低く、樹脂6内において第1絶縁部材7と重なり合っている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極面と第2電極面とを有するコンデンサ素子と、第1電極面に接続される第1バスバーと、第2電極面に接続される第2バスバーとをケースに収容し樹脂を充填してなるコンデンサであって、
第1バスバーは、樹脂内で第1電極面に接続される第1基板部と、第1基板部から樹脂外に延出される第1接続部とを備え、
第2バスバーは、樹脂内で第2電極面に接続され、且つ第1基板部に近接対向する第2基板部と、第2基板部から樹脂外に延出される第2接続部とを備え、
第1基板部と第2基板部との間には、樹脂内において第1絶縁部材が介在しており、
第1接続部と第2接続部との間には、樹脂内から樹脂外にかけて第2絶縁部材が介在しており、
第2絶縁部材は、第1絶縁部材よりも厚く、吸湿性が低く、樹脂内において第1絶縁部材と重なり合っていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
第1基板部と第2基板部とが近接対向している部分のうち、第1絶縁部材が介在し第2絶縁部材が介在していない箇所に、第1基板部と第2基板部とを近接させるための段差が設けられている、請求項1記載のコンデンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂内から樹脂外にかけて絶縁部材が設けられるコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
正負バスバーの間や、バスバーとコンデンサ素子の電極部との間の絶縁を図るために、例えば特許文献1の図4のように絶縁紙を介在させることがある。また、絶縁紙に代えて樹脂等からなる絶縁板を用いることもあるし、特許文献2のように、絶縁紙と絶縁板の両方を用いることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-59572号公報
【特許文献2】国際公開公報2019/107128
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、外部端子間に絶縁紙が介在していないため、外部端子同士の近接配置が困難である。外部端子間に絶縁紙を介在させようとして絶縁紙を樹脂外に露出させると、絶縁紙は吸湿性が高いため、そこからコンデンサ内に水分を取り込んでしまう可能性がある。
【0005】
絶縁紙に代えて絶縁板を用いることも考えられるが、絶縁板は絶縁紙に比べて厚みがあるため、異極部材同士を近接させることで生じるESL(等価直流インダクタンス)の低減効果が薄れてしまう可能性がある。
【0006】
特許文献2では、絶縁紙と絶縁板とが互いに離れて設けられており、絶縁紙と絶縁板との連続性が考慮されていない。
【0007】
本発明は、コンデンサ内への水分の取り込みを抑制するとともに、低ESL化を図ることができるコンデンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンデンサは、第1電極面21と第2電極面22とを有するコンデンサ素子2と、第1電極面21に接続される第1バスバー3と、第2電極面22に接続される第2バスバー4とをケース5に収容し樹脂6を充填してなるコンデンサであって、第1バスバー3は、樹脂6内で第1電極面21に接続される第1基板部31と、第1基板部31から樹脂6外に延出される第1接続部32とを備え、第2バスバー4は、樹脂6内で第2電極面22に接続され、且つ第1基板部31に近接対向する第2基板部41と、第2基板部41から樹脂6外に延出される第2接続部42とを備え、第1基板部31と第2基板部41との間には、樹脂6内において第1絶縁部材7が介在しており、第1接続部32と第2接続部42との間には、樹脂6内から樹脂6外にかけて第2絶縁部材8が介在しており、第2絶縁部材8は、第1絶縁部材7よりも厚く、吸湿性が低く、樹脂6内において第1絶縁部材7と重なり合っていることを特徴としている。
【0009】
上記コンデンサにおいては、第1基板部31と第2基板部41とが近接対向している部分のうち、第1絶縁部材7が介在し第2絶縁部材8が介在していない箇所に、第1基板部31と第2基板部41とを近接させるための段差46が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンデンサは、第1接続部と第2接続部との間に、樹脂内から樹脂外にかけて、吸湿性の低い第2絶縁部材が介在しているため、第1接続部と第2接続部との間の絶縁を確保するために樹脂外に第1絶縁部材を露出させる必要がなく、第1絶縁部材を介してのコンデンサ内への水分の取り込みを抑制することができる。また、第1基板部と第2基板部との間には第1絶縁部材を介在させているため、第1基板部と第2基板部とが近接対向する部分全体にわたって第2絶縁部材を介在させる必要がなく、第1絶縁部材のみを設けた部分においては、第1基板部と第2基板部とを近接させることができ、低ESL化を図ることができる。さらに、第2絶縁部材が樹脂内において第1絶縁部材と重なり合っているため、2つの絶縁部材を使用しているにもかかわらず、樹脂内から樹脂外にかけて途切れることなく絶縁をすることができる。
【0011】
また、第1基板部と第2基板部とが近接対向している部分のうち、第1絶縁部材が介在し第2絶縁部材が介在していない箇所に、第1基板部と第2基板部とを近接させるための段差が設けられている場合、より一層の低ESL化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態に係るコンデンサを示す分解斜視図である。
図2】コンデンサの要部断面図である。
図3】コンデンサの斜視図である。
図4】外部接続部の絶縁部材として絶縁紙を用いたときと絶縁板を用いたときの漏れ電流を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明のコンデンサの一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明のコンデンサ1は、図1及び図2に示すように、コンデンサ素子2と、第1バスバー3と、第2バスバー4と、第1絶縁部材7と、第2絶縁部材8と、これらを収容するケース5と、ケース5内に充填される樹脂6とを備えている。以下、上記各部品について説明するが、「上下」の概念は、製造時、より具体的には樹脂充填時におけるものであって、必ずしも使用時の上下を規定するものではない。
【0014】
コンデンサ素子2は、例えば絶縁性のフィルム上に金属を蒸着した金属化フィルムを巻回することでなるフィルムコンデンサであって、図1及び図2に示すように、軸方向の一方の端面に第1電極面21が設けられ、他方の端面に第2電極面22が設けられている。これら電極面は、例えば金属を溶射することで形成される。このコンデンサ素子2は、軸方向から見ると俵状、具体的には、4つのコーナー部にR(アール)が設けられており、第1電極面21と第2電極面22の間(周囲面)に平坦部23aと曲面部23bとからなる側面23を有している。そして、第1電極面21を上に、第2電極面22を下に向けるとともに、平坦部23a同士を互いに対向させるようにして複数、具体的には2行2列の4つ並設されて、コンデンサ素子群を形成している。なお、コンデンサ素子2としてはフィルムコンデンサに限らず、電解コンデンサやセラミックコンデンサなど種々のコンデンサ素子を用いても良い。形状についても円柱状や角柱状など種々の形状を採用し得る。個数においても適宜変更可能である。
【0015】
第1バスバー3は、アルミニウムや銅等の導電性の金属板を所定形状に切り抜き、適宜折曲加工することで形成されており、第1電極面21に重なる(当接する)第1基板部31と、この第1基板部31から立ち上がり、図示しない外部機器との接続に供される第1接続部32とを備えている。
【0016】
第1基板部31は、図1に示すように平面視略T字状であって、全てのコンデンサ素子2の第1電極面21と重なっている。具体的には、「T」の1画目(縦)に相当する延出部31aが平面視、コンデンサ素子群の長手方向の略中心に位置し、2つのコンデンサ素子2の第1電極面21に重なっている。「T」の2画目(横)に相当する基部31bは、コンデンサ素子群の長手方向と略平行に設けられて、4つのコンデンサ素子2の第1電極面21に重なっている。第1基板部31の外縁からは第1電極面21と接続するための舌状の接続部33が設けられている。
【0017】
第1接続部32は、第1電極面21上で延出されている。また、基部31bの外縁のうち、延出部31a側の外縁から延出されている。そのため、第1バスバー3は側面視では略逆T字状になっている。
【0018】
第2バスバー4は、アルミニウムや銅等の導電性の金属板を所定形状に切り抜き、適宜折曲加工することで形成されており、第2電極面22に重なる第2基板部41と、この第2基板部41から立ち上がり、図示しない外部機器との接続に供される第2接続部42とを備えている。
【0019】
第2基板部41は、図1及び図2に示すように、下から第2電極面22に重なる(当接する)下水平部41aと、下水平部41aの一辺から上に向かって延び、コンデンサ素子2の側面23と近接対向する垂直部41bと、垂直部41bの一辺から第1電極面21に向かって横方向に延び、上から第1電極面21と第1基板部31とに近接対向する上水平部41cとを備えている。そのため、第2基板部41の断面形状は略コ字状となっており、コンデンサ素子2の周囲を覆っている。
【0020】
下水平部41aの平面形状は略長方形状であって、全てのコンデンサ素子2の第2電極面22と重なっている。この下水平部41aは、後述するケース5の底部51と対向している。また、下水平部41aには、第2電極面22と接続するための舌状の接続部43が設けられている。垂直部41bは、図2に示すように、後述するケース5の側壁部52とも近接対向している。上水平部41cは、全てのコンデンサ素子2の第1電極面21と近接対向している。なお、上水平部41cと第1電極面21との間には第1基板部31が介在している。従って、上水平部41cは第1基板部31とも近接対向している。また、上水平部41cには、第1基板部31とより近接するための段差46が設けられており、上水平部41cは、段差46を境界にして上段部46aと下段部46bとに区画されている。なお、上段部46aは第2接続部42側に位置し、下段部46bは垂直部41b側に位置している。また、上水平部41cには、第1基板部31の接続部33と近接対向する部分に、接続部33を上方に露出させるための孔44または切欠45が設けられている。
【0021】
第2接続部42は、第1電極面21上で且つ第1基板部31の延出部31aと第2基板部41の上水平部41cの上段部46aとが近接対向した部分から延出されている。また、第1接続部32と同じ方向に立ち上がっている。この第2接続部42は、第1接続部32とは対向しておらず、第1接続部32と板厚方向と直交する方向に並んでいる。上段部46aの外縁のうち、第1接続部32と対向する部分には、第1接続部32と略平行に延びる立ち上がり部47が設けられている。この立ち上がり部は樹脂6から突出せず、樹脂6内に埋設される。
【0022】
第1絶縁部材7は絶縁紙や絶縁布であって、繊維質であり、可撓性を有している。具体的には、植物や樹脂の繊維からなる、もしくは繊維に油や樹脂を含浸させてなり、液体状の樹脂をシート状や板状に成形したものに比べて高い吸湿性を有している。また、繊維間に連続した空隙を有し、液体状の樹脂をシート状や板状に成形したものに比べて高い通気性を備えるものであってもよい。厚みは例えば0.1~1mmである。
【0023】
この第1絶縁部材7は、コンデンサ素子2の第1電極面21と第2バスバー4との絶縁を図るため、図2に示すように、コンデンサ素子2の側面23と第2バスバー4の垂直部41bとの間、第1電極面21と上水平部41cとの間に介在している。大きさは、平面視、上水平部41cよりも大とされることが好ましい。第1バスバーの孔44や切欠45と対向する位置には、同じく孔71や切欠72が設けられている(図1参照)。また、上水平部41cと第1バスバー3の第1基板部31とが近接対向する部分では、両者の絶縁を図るために、両者間に介在している。なお、第1基板部31と第1電極面21との間には介在していない。また、この第1絶縁部材7は、第2接続部42や立ち上がり部47とは対向しておらず、樹脂6外に露出することはない。
【0024】
第2絶縁部材8は絶縁板である。絶縁板は、例えば液体状の樹脂を板状に成形したものであって、自重では変形しない程度の硬さを有している。また、内部に連続した空隙はなく、透水性を備えない。吸湿性は、第1絶縁部材7に比べて低い。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂であって例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)である。厚みは第1絶縁部材7よりも厚く、例えば0.5~2mmである。
【0025】
この第2絶縁部材8は、図1及び図2に示すように、縦部81と、縦部81の下端から横方向に延びる横部82とからなる側面視略L字状であって、縦部81が樹脂6内から樹脂6外にかけて、第1接続部32と第2接続部42との間に介在している。具体的には、縦部81は平面視略Z字状に折れ曲がっており、板厚方向と直交する方向で並ぶ第1接続部32と第2接続部42の間に、折れ曲がり部81aが位置している(図3参照)。縦部81のうち、第1接続部32と対向する部分は、第1接続部32と立ち上がり部47との間に位置している。第2接続部42と対向する部分は、第2接続部42と第1電極面21との間や、第2接続部42と延出部31aとの間の絶縁を確保している。横部82は、平面視、第1バスバー3の第1基板部31や上水平部41cより小とされており、主として第1基板部31の基部31bと上水平部41cの上段部46aとの間に介在し、第1絶縁部材7の一部と重なっている。重なり代は、例えば3~6mmである。第2絶縁部材8の厚みより大とされていることが好ましい。また、平面視、重なり代と直交する方向の重なり幅は、第1基板部31や上段部46aの幅よりも大とされている。なお、第2絶縁部材8は、延出部31bと下段部46bとの間には介在していない。第2バスバー4の段差46は、この第1絶縁部材7が介在し第2絶縁部材8が介在していない箇所に設けられている。なお、下段部46bでは、第1絶縁部材7によって、第1バスバー3や第1電極面21との絶縁が確保されている。
【0026】
ケース5は、図1に示すように、平面視略矩形状の底部51と、底部51の4つの辺からそれぞれ上方に向かって立ち上がる側壁部52とを備えている。ケース5の上方には開口53が設けられており、この開口53を通じてコンデンサ素子2や第1バスバー3、第2バスバー4がケース5内に収容される。また、この開口53から第1接続部32や第2接続部42がケース5外に延出される。このケース5は、例えば合成樹脂製等の非導電性材料からなる。ただ、金属製のものを用いてもよい。
【0027】
ケース5内に充填される樹脂6は、例えばエポキシ樹脂である。ただ、これに限らず、ウレタン樹脂等の公知の種々の樹脂を使用可能であるが、耐湿性に優れた樹脂や熱伝導性の高い樹脂を採用することが好ましい。樹脂6は、コンデンサ素子2に加えて、第1基板部31や第2基板部41が埋没するように充填される。なお、第1接続部32や第2接続部42の上部は樹脂6外に突出している。樹脂厚(樹脂表面からコンデンサ素子2までの距離)については、用いる樹脂の種類や特性に応じて適宜変更される。
【0028】
次に、コンデンサ1の組み立てについて説明する。まず、第1バスバー3の第1基板部31をコンデンサ素子2の第1電極面21に重ねてはんだ付け等で接続する。続いて、第2絶縁部材8の縦部81と横部82とをそれぞれ、第1バスバー3の上段部46aと第1接続部32とに重ねる。また、第1絶縁部材7を、第2絶縁部材8の横部82と、コンデンサ素子2の第1電極面21と側面23とに重ねる。
【0029】
そして、断面略コ字状とされた第2バスバー4の内部に、コンデンサ素子2と第1基板部31とを入れるようにして、第2基板部41の下水平部41aをコンデンサ素子2の第2電極面22に重ね、はんだ付け等で接続することでコンデンサモジュールを形成する。この状態で、第2基板部41の上水平部41cは、第1基板部31を介して第1電極面21と近接対向する。また、第1接続部32と第2接続部42とは同じ方向に突出する。
【0030】
続いて、コンデンサモジュールを上方の開口53からケース5内に収容する。この際、第1接続部と第2接続部とが開口53からケース5外に延出されるように、第1接続部32と第2接続部42を上にして収容する(図3参照)。また、第2バスバー4の垂直部41bをケース5の側壁部52と近接対向させる。そして、ケース5内に樹脂6を充填し、コンデンサ素子2を封止することでコンデンサの製造を完了する。なお、樹脂6の充填を完了した状態において、第2絶縁部材8の縦部81の上端部近傍は樹脂6外に露出しているが、第1絶縁部材7は樹脂6外に露出していない。
【0031】
上記構成のコンデンサ1では、樹脂6外に延出される絶縁部材として、吸湿性の低い第2絶縁部材8を用いているため、吸湿性が高い絶縁紙を用いる場合に比べて、コンデンサ1内への水分の入り込みを抑制することができ、コンデンサ素子2の絶縁性能や耐圧性能の低下を抑制することができる。上記構成は、一般的に吸湿しやすい性質を持つフィルムコンデンサの電極面を、図2に示すようにケース5の開口53(樹脂表面)方向に向け、外気との距離が短くなっている場合に特に有効である。
【0032】
図4は、樹脂外に延出される絶縁部材として、絶縁板を用いたときと絶縁紙とを用いたときの漏れ電流の違いについて表したグラフである。なお、試験数は、絶縁板と絶縁紙とでそれぞれ3つであり、グラフはその平均値を表している。試験条件は、温湿度が85℃/85%、電圧は420VDCとした。グラフの通り、樹脂外に延出される絶縁部材として絶縁紙を用いたもの(破線)の方が、絶縁板を用いたもの(実線)と比べて所定時間経過後における漏れ電流が小さいことが分かる。
【0033】
また、樹脂6内については、主として第2絶縁部材8に比べて厚みの薄い第1絶縁部材7を用いており、加えて第1バスバー3と第2バスバー4とを近接させるための段差46を設けていることから、第1バスバー3の基部31bと第2バスバー4の下段部46bとを近接させることができ、コンデンサ1の小型化や低ESL化を図ることができる。また、第1絶縁部材7と第2絶縁部材8とを一部重ね合わせているため、絶縁の連続性を保つことができる。また、重ね代を利用して第2絶縁部材8に第1絶縁部材7を固定すれば、第1絶縁部材7の位置ずれ防止の効果も得られる。固定方法としては、両面テープ、接着剤、圧着等種々の方法を採用することができる。なお、第2絶縁部材8については、折れ曲がり部81aが第1接続部32と第2接続部42との間で挟み込まれている、または横部82が第1基板部31と上水平部41cとの間で挟み込まれていることによって固定されている。
【0034】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、段差46を第2バスバー4に設けていたが、第1バスバー3に設けてもよく、また第1バスバー3と第2バスバー4の両方に設けてもよい。また、第1絶縁部材7を第2絶縁部材8の横部82の上に重ね合わせていたが、下に重ね合わせるようにしてもよい。また、コンデンサ素子2の第1電極面21が上に向けられていたが、横に向けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 コンデンサ
2 コンデンサ素子
21 第1電極面
22 第2電極面
23 側面
23a 平坦部
23b 曲面部
3 第1バスバー
31 第1基板部
31a 延出部
31b 基部
32 第1接続部
33 接続部
4 第2バスバー
41 第2基板部
41a 下水平部
41b 垂直部
41c 上水平部
42 第2接続部
43 接続部
44 孔
45 切欠
46 段差
46a 上段部
46b 下段部
47 立ち上がり部
5 ケース
51 底部
52 側壁部
53 開口
6 樹脂
7 第1絶縁部材
71 孔
72 切欠
8 第2絶縁部材
81 縦部
81a 折れ曲がり部
82 横部

図1
図2
図3
図4