(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085800
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20230614BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230614BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20230614BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/25
A61K8/63
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200042
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小田 理加
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB472
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC472
4C083AC782
4C083AC862
4C083AD272
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC41
4C083DD22
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】本発明は、歯周病や口臭予防機能を有する生薬の不快な香りや苦みを抑制しつつ、生薬の薬効感を有する良好な香り立ちを付与する口腔用組成物を提供する。
【解決手段】(A)オウバク、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、及びトウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物
(B)シリカ系研磨剤
(C)グリチルリチン酸、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、及びグリチルレチン酸誘導体から選ばれる1種以上
を含有する口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オウバク、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、及びトウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物
(B)シリカ系研磨剤
(C)グリチルリチン酸、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、及びグリチルレチン酸誘導体から選ばれる1種以上
を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、下記(A1)成分及び(A2)成分を含有する、請求項1記載の口腔用組成物。
(A1)オウバク、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、及びムクロジから選ばれる1種以上
(A2)ローズマリー、セージ、及びトウキから選ばれる1種以上。
【請求項3】
更に、(D)殺菌剤を含有する、請求項1~2記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(A)成分の含有量が0.00001~0.2質量%である、請求項1~3記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)成分の含有量が3~20質量%であることを特徴とする、請求項1~4記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(C)成分の含有量が0.001~0.5質量%であることを特徴とする請求項1~5記載の口腔用組成物
【請求項7】
(D)成分の含有量が0.001~0.5質量%であることを特徴とする請求項3~6記載の口腔用組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生薬を含有する口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨や洗口剤等の口腔用組成物には、歯周病や口臭の予防・改善のため、各種有効成分を配合し、生薬等の天然物も使用されている。しかしながら、生薬は独特の香りや苦みを有しているため、不快な使用感になる課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-126818号公報
【特許文献2】特開2009-290751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、使用時に、オウバクやローズマリー等の歯周病や口臭予防機能を有する生薬の不快な香りや苦みを抑制しつつ、生薬の薬効感を感じる良好な香り立ちを付与する口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、
(A)オウバク、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、トウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物
を含有する口腔用組成物に、
(B)シリカ系研磨剤 及び
(C)グリチルリチン酸、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、及びグリチルレチン酸誘導体から選ばれる1種以上
を併用することによって、口腔用組成物の使用時に課題となる(A)成分の不快な香りや味が抑制され、(A)成分の生薬由来の良好な香り立ちを有し、高い薬効実感が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕(A)オウバク、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、及びトウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物
(B)シリカ系研磨剤
(C)グリチルリチン酸、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、及びグリチルレチン酸誘導体から選ばれる1種以上
を含有する口腔用組成物。
〔2〕(A)成分が、下記(A1)成分及び(A2)成分を含有する、〔1〕記載の口腔用組成物。
(A1)オウバク、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、及びムクロジから選ばれる1種以上
(A2)ローズマリー、セージ、及びトウキから選ばれる1種以上。
〔3〕更に、(D)殺菌剤を含有する、〔1〕~〔2〕記載の口腔用組成物。
〔4〕(A)成分の含有量が0.00001~0.2質量%である、〔1〕~〔3〕記載の口腔用組成物。
〔5〕(B)成分の含有量が3~20質量%であることを特徴とする、〔1〕~〔4〕記載の口腔用組成物。
〔6〕(C)成分の含有量が0.001~0.5質量%であることを特徴とする〔1〕~〔5〕記載の口腔用組成物
〔7〕(D)成分の含有量が0.001~0.5質量%であることを特徴とする〔3〕~〔6〕記載の口腔用組成物
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オウバクやローズマリー等の歯周病や口臭予防機能を有する生薬を含有する口腔用組成物の不快な香味を抑制し、生薬独特の良好な香り立ちによって、使用時に高い薬効実感が得られる口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明につき更に詳述する。
【0009】
本発明の(A)成分は、オウバク、ローズマリー、セージ、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、ムクロジ、及びトウキから選ばれる植物の水及び/又は有機溶媒による抽出物であり、これら抽出物は1種単独でも、2種以上を組み合わせて配合してもよい。このような生薬抽出物は、医薬品や化粧品を始め、食品、雑貨品など広く一般的に使用されるものであり、液状又は粉末状で市販されている。本発明においては市販品を用いることができる。
【0010】
オウバク抽出物は、ミカン科植物のオウバクの溶媒抽出物として配合することができ、抽出溶媒として、例えば水、エタノール等の炭素数1又は2の低級アルコールなどが挙げられ、特に水による抽出物が好適である。上記オウバクエキスは、市販品を用いることができ、例えば粉末型の小城製薬株式会社製オウバクエキスを使用することができる。
【0011】
ローズマリー抽出物は、マンネンロウの葉、又は葉及び花から水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールや、これらの混液、あるいは1質量%尿素含有エタノール溶液又は1質量%尿素含有1,3-ブチレングリコール溶液にて抽出して得られたエキスや、マンネロウの新鮮な葉、枝、花などから水蒸気蒸留して得た精油であり、口腔用組成物に配合する抽出物としては、特に水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。ローズマリー抽出物は、市販品を使用することができ、例えばローズマリー抽出液-J(丸善製薬(株))等が挙げられる、
【0012】
セージ抽出物は、セージの花、葉又は全草から、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールや、これらの混液、あるいは1質量%尿素含有エタノール溶液又は1質量%尿素含有1,3-ブチレングリコール溶液にて抽出して得られたエキスや、セージの葉から水蒸気蒸留して得た精油であり、口腔用組成物に配合する抽出物としては、特に水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。また、セージはサルビアに近縁であることから、セージ抽出物として、シソ科サルビアの葉より抽出して得られたものを用いることができる。セージ抽出物は、市販品を使用することができ、例えばサルビア抽出液(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0013】
オウゴン抽出物は、中国北部から東シベリア、朝鮮半島で栽植される多年生草本のコガネバナの周皮を除いた根から水、エタノール、無水エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られたものであり、口腔用組成物に配合する抽出物としては、特に水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。オウゴン抽出物は、市販品を用いることができ、例えばオウゴン抽出液-J(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0014】
ニンジン抽出物は、オタネニンジンの根又は根を蒸して乾燥したものからエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールや、これらの混液、又は無水エタノールにて抽出して得られたものであり、口腔用組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。ニンジン抽出物は、市販品を用いることができ、例えばニンジン抽出液(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0015】
シャクヤク抽出物は、シャクヤク又はその他近縁植物の根から、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られたものであり、口腔用組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。シャクヤク抽出物は、市販品を用いることができ、例えばシャクヤク抽出液-J(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0016】
ムクロジ抽出物は、ムクロジ又はその他近縁植物の果皮から、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られるものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。ムクロジ抽出物は、市販品を用いることができ、例えばムクロジエキスパウダー(丸善製薬(株))等が挙げられる。
【0017】
トウキ抽出物は、トウキ又はその他近縁植物(Umbelliferae)の根から水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混液で抽出して得られたものであり、歯磨剤組成物に配合する抽出物としては、水、エタノール、又はこれらの混液で抽出したものが好ましい。トウキ抽出物は、市販品を用いることができ、例えばトウキ抽出液-JC(丸善製薬(株))等が挙げられる。
本発明の(A)成分は、1種又は2種以上を含有することができ、2種以上を組み合わせることが好ましい。2種以上併用する場合は、下記(A-1)及び(A-2)を組み合わせることが好ましい。
(A1)オウバク、オウゴン、ニンジン、シャクヤク、及びムクロジから選ばれる1種又は2種以上
(A2)ローズマリー、セージ、及びトウキから選ばれる1種又は2種以上
【0018】
(A)成分の配合量は、抽出溶媒を除いた生薬純分(エキス純分)として0.00001~0.2質量%、好ましくは0.00001~0.1質量%である。0.00001質量%未満では薬効実感が発揮されない場合があり、0.2質量%を超えると異味が発現する場合がある。
【0019】
本発明の(B)成分はシリカ系研磨剤である。シリカ系研磨剤としては、シリカゲル、沈降性シリカ等のシリカの他、ジルコニウムやアルミニウム等の他金属を更に含む金属複合シリカ(例えばジルコノシリケート、アルミノシリケート)等の研磨性シリカが挙げられる。前記シリカ系研磨剤は、粒径が1~40μm、BET比表面積が1gあたり80~250平方メートルのものが好ましい。このようなシリカ系研磨剤としては、市販品を使用でき、例えば、HUBER社製のZeodent124、Zeodent113、Rhodia社製のTIXOSIL 73、TIXOSIL 63、Degussa社製のSident 3、Sident 20、多木化学(株)製のジルコノシリケート、アルミノシリケート等が挙げられる。
シリカ系研磨剤の含有量は、好ましくは3~30質量%である。
【0020】
本発明の(C)成分は、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、及びグリチルレチン酸誘導体から選ばれる1種以上である。(C)成分は抗炎症剤として歯肉に作用し、歯周病予防の有効成分である。具体的には、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、0.001~0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.01~0.5%である。0.001%未満ではGCF量増加抑制効果が満足に発現せず、歯周疾患予防効果の向上が十分に得られないことがあり、0.5%を超えて配合すると、苦みを生じる可能性がある。
【0021】
本発明の(D)成分は、殺菌剤である。殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール等のノニオン性殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性殺菌剤、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアニオン性殺菌剤が挙げられる。歯周病予防の観点から、歯肉への浸透殺菌作用が高いイソプロピルメチルフェノールが好ましい。
(D)成分の含有量は、0.001~0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.03~0.15質量%である。0.001質量%以上とすると、歯周病原性バイオフィルムに対して十分な浸透殺菌力を発揮でき、0.5質量%以下とすると、(D)成分由来の刺激が生じにくい。
【0022】
上記成分に加えて、通常、口腔用組成物に使用されている各種成分を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合できる。配合できる任意成分としては、粘結剤、界面活性剤、湿潤剤、甘味剤、香料、pH調整剤、防腐剤、薬効成分等が挙げられる。
【0023】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ビーガム、アルギン酸プロピレングリコール等の有機粘結剤、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等の無機粘結剤が配合できる。これらは1種又は2種以上で使用できる。これら粘結剤の配合量は、組成物全体の1.0~10質量%、特に1.4~7質量%が好ましい。
【0024】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性活性剤があげられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩等のN-アシルタウレート、N-アシル-L-グルタミン酸塩等のアシルアミノ酸塩などが挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。中でも、泡立ち、泡質の良さの点で、スルホン酸基を含有するアニオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩である。前記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。アルキル硫酸塩は、アルキル基の炭素数が好ましくは12~14であり、具体的には、アルキル硫酸塩としてラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムが挙げられる。α-オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が14~16のα-オレフィンスルホン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)を用いることができ、中でも炭素数14のα-オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。アニオン性界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.6~2.5質量%であり、好ましくは1~2.5質量%である。
【0025】
湿潤剤は、ソルビット、キシリット等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の5~50%、特に20~45%である。
【0026】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペルラルチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
【0027】
香料としては、公知の香料、例えばメントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テレピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等が挙げられる。
【0028】
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸等の有機酸やその塩類;塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機化合物などが挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
薬効成分としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ等の酵素;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アラントイン、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン等の抗炎症剤;塩化ナトリウム;ビタミン類等の細胞賦活剤;塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤;ゼオライト等の歯石予防剤;ビタミンE等の血行促進剤;アラニン、グリシン、プロリン等のアミノ酸類などを配合できる。なお、薬効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0030】
更に、任意成分として、雲母チタン、酸化チタン、ベントナイト等の無機化合物;結晶性セルロース等のセルロース系の有機粉末;寒天、ゼラチン、デンプン、グルコマンナン等の天然高分子化合物;ポリ酢酸ビニル、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン末、ポリエチレン末等の合成高分子化合物又はそれらの共重合体;カルナバワックス、ロジン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、パラフィンワックス等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ウレタン、シリコン、天然ゴムなどを、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0031】
本発明の口腔用組成物は、液体、液状、ペースト状などの形態として調製され、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤などとして調製でき、これらは通常の方法で調製することができる。
【実施例0032】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示し、配合量は純分量を示す。
【0033】
表1に示す口腔用組成物(練歯磨)を定法により調製し、香味立ちの評価を行った。
<香味立ちの良さの評価>
パネラー10人を対象に実施した。調製した歯磨剤をチューブ容器から押出して歯ブラシ上に約1cm(約1g)載せ、通常と同じように3分間歯磨きした時の香味(味・香り・清涼感)について、下記の評点基準に基づき評価した。対照品としては、シリカ系研磨剤の代わりに炭酸カルシウムを配合した組成を用いた。
【0034】
(評価基準)
4点:対照品に比べて味・香り・清涼感が顕著に増強された
3点:対照品に比べて味・香り・清涼感がやや増強された
2点:対照品に比べて味・香り・清涼感がわずかに増強された
1点:対照品と同等
10人の評価点の平均点を出し、下記の判定基準に従い香味立ちの良さを評価し、◎、○、△、×で示した。
(判定基準)
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
また、実施例の歯磨剤は、(A)成分由来の不快な香りや味が抑制された。
【0035】
【0036】
表1において、ソルビット液はソルビット液の配合量である。
【0037】
(A)成分
・オウバクエキス:小城製薬(株)(商品名:オウバクエキスS)
・オウゴンエキス:丸善製薬(株)(商品名:オウゴン抽出液-J(オウゴンエキス2.0%、エタノール49%、水49%))
・ニンジンエキス:丸善製薬(株)(商品名:ニンジン抽出液(オタネニンジン根エキス2.5%、エタノール48.75%、水48.75%))
・シャクヤクエキス:丸善製薬(株)(商品名:シャクヤク抽出液-J(シャクヤク根エキス3.5%、エタノール48.25%、水48.25%))
・ムクロジエキス:丸善製薬(株)(商品名:ムクロジエキスパウダー(ムクロジエキス100%))
・ローズマリーエキス:丸善製薬(株)(商品名:ローズマリー抽出液-J(ローズマリー葉エキス0.96%、エタノール49.52%、水49.52%))
・セージエキス:丸善製薬(株)(商品名:サルビア抽出液(セージ葉エキス1%、エタノール49.5%、水49.5%))
・トウキエキス:丸善製薬(株)(商品名:トウキ抽出液-JC(トウキ根エキス2.5%、エタノール48.75%、水48.75%))
【0038】
(B)成分
・シリカ系研磨剤:HUBER(株)(商品名:Zeodent113)
(C)成分
・グリチルリチン酸ジカリウム:丸善製薬(株)(商品名:グリチルリチン酸ジカリウム)
(D)成分
・イソプロピルメチルフェノール:大阪化成(株)(商品名:ビオゾール)