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  • 特開-紛失防止システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085824
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】紛失防止システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20230614BHJP
   H04M 1/72412 20210101ALI20230614BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G08B21/24
H04M1/72412
H04M1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200088
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】石橋 徳保
【テーマコード(参考)】
5C086
5K127
【Fターム(参考)】
5C086AA21
5C086AA52
5C086BA13
5C086BA20
5C086CA01
5C086CA06
5C086CA25
5C086CB27
5C086EA41
5C086FA17
5K127AA25
5K127BA03
5K127BB26
5K127BB33
5K127DA13
5K127GA14
5K127GD03
5K127JA14
5K127JA23
(57)【要約】
【課題】紛失のおそれを適正に知らせることが可能な紛失防止システムを提供する。
【解決手段】所員Mが携帯し、自己の位置を検出する機能を備えたスマートフォン3と、通門証20に設けられ、スマートフォン3と通信可能な通信機2と、を備え、スマートフォン3は、通信機2との通信が途絶えた場合、あるいは、通信機2と所定距離以上離れた場合であって、スマートフォン3が所定の場所以外に位置する場合に、警報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯し、自己の位置を検出する機能を備えた携帯端末と、
紛失防止対象物に設けられ、前記携帯端末と通信可能な通信機と、
を備え、前記携帯端末は、前記通信機との通信が途絶えた場合、あるいは、前記通信機と所定距離以上離れた場合であって、該携帯端末が所定の場所以外に位置する場合に、警報を出力する、
ことを特徴とする紛失防止システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記ユーザが頻繁に滞在する場所を前記所定の場所として設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の紛失防止システム。
【請求項3】
前記携帯端末から前記所定の場所を任意に設定可能となっている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の紛失防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通門証などの紛失を防止する紛失防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば,発電所では、日々入構する者に対して通門証(IDカード)を発行しており、通門証を受けとった者は、紛失しないように個人で厳重に管理している。例えば、吊下げ紐が付いているカードケースに通門証を入れて、構内ではこれを首にかけて携帯したり、構外に出た際には、カードケースごとカバン等に入れて保管したりしている。しかしながら、何らかの事情で通門証を自分の手元から離してしまい、通門証を紛失してしまう場合があり得る。
【0003】
このような事情から、物品の置き忘れをより確実に防止できる、という置き忘れ防止システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、スマートフォンなどの親機が、置き忘れ防止対象のカバンなどに取り付けられた子機との距離を監視し、その距離が予め設定された設定距離以上になった場合に、警報音を出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-111559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発電所の所員などは、通門証が不要な家などでは、通門証を家の机などに保管して過ごす場合が多い。しかしながら、特許文献1に記載の置き忘れ防止システムでは、スマートフォンなどの親機と置き忘れ防止対象のカバン(子機)とが設定距離以上離れると、常に警報音が出力される。このために、所員が意識的に通門証を家の机などに保管した場合であっても、警報音が出力され、煩わしいばかりでなく、都度警報音を止めなければならず、労力と時間を要してしまう。
【0006】
そこで本発明は、紛失のおそれを適正に知らせることが可能な紛失防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ユーザが携帯し、自己の位置を検出する機能を備えた携帯端末と、紛失防止対象物に設けられ、前記携帯端末と通信可能な通信機と、を備え、前記携帯端末は、前記通信機との通信が途絶えた場合、あるいは、前記通信機と所定距離以上離れた場合であって、該携帯端末が所定の場所以外に位置する場合に、警報を出力する、ことを特徴とする紛失防止システムである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の紛失防止システムにおいて、前記携帯端末は、前記ユーザが頻繁に滞在する場所を前記所定の場所として設定する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の紛失防止システムにおいて、前記携帯端末から前記所定の場所を任意に設定可能となっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、携帯端末が所定の場所以外に位置して、携帯端末と通信機との通信が途絶えた場合、あるいは、携帯端末と通信機とが所定距離以上離れた場合には、携帯端末から警報が出力されるため、紛失防止対象物が紛失するおそれがあるのを知らせることができる。一方、携帯端末が所定の場所、例えば、ユーザの家に位置する場合には、携帯端末と通信機との通信が途絶えたり、携帯端末と通信機とが所定距離以上離れたりしても、携帯端末から警報は出力されない。このため、ユーザが家などにいるときにも警報が出力される、という煩わしさを防止することができる。このようにして、適正な場合にのみ紛失のおそれを知らせることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ユーザが頻繁に滞在する場所、例えば、ユーザの家が所定の場所として携帯端末で自動的に設定されるため、ユーザの設定負担が削減されるばかりでなく、頻繁に滞在する場所、つまり、警報を出力する必要がない場所を適正に設定することが可能となる。この結果、より適正な場合にのみ紛失のおそれを知らせることが可能となる。一方、ユーザの家など(頻繁に滞在する場所)で紛失防止対象物を見失ったとしても、容易かつ確実に見つけることが可能なため、紛失には至らない。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、携帯端末から所定の場所を任意に設定可能なため、ユーザの行動範囲や事情などに応じた任意の場所を警報出力しない場所に設定することができる。この結果、ユーザの行動範囲や事情などに応じて、より適正な場合にのみ紛失のおそれを知らせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態に係る紛失防止システムを示す概略構成図である。
図2図1の紛失防止システムのスマートフォンの概略構成ブロック図である。
図3図1の紛失防止システムにおいて、所員・ユーザが自宅にいる場面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
図1図3は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る紛失防止システム1を示す概略構成図である。この紛失防止システム1は、紛失防止対象物の紛失(置き忘れ)を防止するためのシステムであり、紛失防止対象物とは、ユーザが普段携帯したり身近に置いたりするもので、紛失すると業務や生活に支障を生じ得るものである。この実施の形態では、発電所に日々入構する所員(ユーザ)Mに発行された通門証・社員証(IDカード)20を紛失防止対象物とする場合について、主として説明する。
【0016】
紛失防止システム1は、カード状の通門証20に配設された通信機2と、所員Mが携帯するスマートフォン(携帯端末)3と、を備える。
【0017】
通信機2は、スマートフォン3などの外部と通信可能な小型通信媒体であり、スマートフォン3と定期的に無線信号を送受信するようになっている。すなわち、後述するように、スマートフォン3から定期的に無線信号が送信され、これを受信すると、通信機2の識別情報を含む無線信号をスマートフォン3に送信する。
【0018】
このような無線通信は、近距離無線通信によって行われ、近距離無線通信の通信可能距離以上に通信機2とスマートフォン3とが離れた場合には、通信が途絶える。また、通信機2とスマートフォン3との距離が長くなるにつれて、それぞれにおいて受信する無線信号の電波強度が低下する。従って、受信信号の電波強度を測定することで、通信機2とスマートフォン3との距離を推定できるようになっている。
【0019】
ここで、このような通信機2をICタグなどのRFID(Radio Frequency IDentifier)で構成し、後述するスマートフォン3にRFIDリーダー(ICタグリーダー)を組み込んだり、スマートフォン3に代ってRFIDリーダーを携帯端末にしたりしてもよい。
【0020】
スマートフォン3は、自己の位置を検出する機能などを備えた多機能携帯端末で、後述する紛失防止機能を除いて、通常のスマートフォンと同等の構成となっている。このため、紛失防止機能に関連する構成について、主として以下に説明する。このスマートフォン3は、図2に示すように、タッチパネル31と、通信部32と、GPS部33と、記憶部34と、監視部35と、これらを制御などする中央処理部36と、を備える。
【0021】
タッチパネル31は、各種情報や画像を表示したり、各種情報や指令を入力したりするための表示部および入力部である。例えば、後述する警報メッセージを表示したり、警報不要場所を入力したりする。ここで、警報不要場所とは、通信機2とスマートフォン3との通信が途絶えた場合や、通信機2とスマートフォン3とが所定距離以上離れた場合であっても、スマートフォン3から警報を発しない場所であり、後述するように、警報を発する必要がないと想定される場所や所員Mが任意に設定した場所である。
【0022】
通信部32は、外部と通信するためのインターフェイスであり、電話網やインターネット網を介して長距離通信を行うためのインターフェイスと、通信機2などと近距離無線通信を行うためのインターフェイスなどを備える。GPS部33は、自己の位置を検出するための機能部であり、GPS衛星から時刻信号電波を受信して、スマートフォン3の現在の位置情報(緯度、経度)をリアルタイムに演算、取得するものである。記憶部34は、各種情報・データを記憶するメモリであり、例えば、後述する警報不要場所を記憶する。
【0023】
監視部35は、通門証20の紛失を防止する紛失防止機能を実行するための機能部であり、次のような処理を行う。
【0024】
まず、所員Mが頻繁に滞在する場所を警報不要場所(所定の場所)として、自動設定して記憶部34に記憶する。すなわち、GPS部33で取得された位置情報に基づいて、所員Mが頻繁にある程度の時間滞在する位置・場所を警報不要場所として自動設定する。例えば、毎日数時間過ごす所員Mの自宅Hや、勤務帰りにほぼ毎日通って1時間程度運動するトレーニングジムなどを、警報不要場所として設定して記憶部34に記憶する。従って、定期的に訪問、滞在することがない食堂Dや電車などは、警報不要場所としては設定されない。
【0025】
ここで、警報不要場所の設定に際して、同一建物・施設内と想定される範囲・領域を警報不要場所と設定してもよい。例えば、所員Mが自宅H内で動いて滞在する場合、動く範囲全体を警報不要場所と設定してもよい。
【0026】
また、監視部35は、所員Mが選定した任意の場所を警報不要場所として設定する処理を行う。すなわち、この実施の形態では、所定のアプリケーションが起動されて、警報不要場所として設定したい場所で設定ボタンがクリックされると、その場所を警報不要場所として設定して記憶部34に記憶する。この他、地図上で指定された場所を警報不要場所として設定、記憶するようにしてもよい。
【0027】
そして、監視部35は、通信機2との通信が途絶えた場合、あるいは、通信機2と所定距離以上離れた場合であって、スマートフォン3つまり所員Mが警報不要場所以外に位置する場合に、警報を出力する。すなわち、定期的に通信部32を介して通信機2に無線信号を送信し、まず、通信機2からの無線信号を受信できない場合には、警報対象とする。この場合、通信機2とスマートフォン3とが通信可能距離以上に離れたことで無線信号を受信できない場合や、通信機2が無線信号を送受信できない環境にある場合、通信機2に何らかの障害が生じた場合などが挙げられる。
【0028】
また、通信機2から無線信号を受信したが、その電波強度に基づいて通信機2との距離を推定した結果、その距離が所定距離(例えば、5m)以上ある場合には、警報対象とする。
【0029】
そして、警報対象とした場合に、GPS部33による位置情報に基づいて、所員Mが警報不要場所にいるか否かを判定する。その結果、警報不要場所にいない場合、例えば、図1に示すように、食堂Dにいる場合には警報を出力する。一方、警報不要場所にいる場合、例えば、図3に示すように、所員Mの自宅Hにいる場合には警報を出力しない。ここで、警報は、所員Mに注意を喚起できればどのようなものであってもよく、例えば、タッチパネル31に警報メッセージを表示したり、警報音を発したりする。
【0030】
以上のように、この紛失防止システム1によれば、スマートフォン3つまり所員Mが警報不要場所以外に位置して、スマートフォン3と通信機2との通信が途絶えた場合、あるいは、スマートフォン3と通信機2とが所定距離以上離れた場合には、スマートフォン3から警報が出力されるため、通門証20が紛失するおそれがあるのを知らせることができる。一方、スマートフォン3が警報不要場所、例えば、所員Mの自宅Hに位置する場合には、スマートフォン3と通信機2との通信が途絶えたり、スマートフォン3と通信機2とが所定距離以上離れたりしても、スマートフォン3から警報は出力されない。このため、所員Mが自宅Hなどにいるときにも警報が出力される、という煩わしさを防止することができる。このようにして、適正な場合にのみ紛失のおそれを知らせることが可能となる。
【0031】
また、所員Mが頻繁に滞在する場所、例えば、所員Mの自宅Hが警報不要場所としてスマートフォン3で自動的に設定されるため、所員Mの設定負担が削減されるばかりでなく、頻繁に滞在する場所、つまり、警報を出力する必要がない場所を適正に設定することが可能となる。この結果、より適正な場合にのみ紛失のおそれを知らせることが可能となる。一方、所員Mの自宅Hなど(頻繁に滞在する場所)で通門証20を見失ったとしても、容易かつ確実に見つけることが可能なため、紛失には至らない。
【0032】
さらに、スマートフォン3から警報不要場所を任意に設定可能なため、所員Mの行動範囲や事情などに応じた任意の場所を警報不要場所に設定することができる。例えば、所員Mがここでは警報を出力させたくない、あるいは不要である、今は警報を出力させたくない、といった事情がある場合に、その場所を警報不要場所に設定することができる。この結果、所員Mの行動範囲や事情などに応じて、より適正な場合にのみ紛失のおそれを知らせることが可能となる。
【0033】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、通門証20を紛失防止対象物とする場合について説明したが、その他の紛失防止対象物、例えば、財布や定期券などにも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 紛失防止システム
2 通信機
20 通門証(紛失防止対象物)
3 スマートフォン(携帯端末)
M 所員(ユーザ)
D 食堂(所定の場所以外の場所)
H 自宅(所定の場所)
図1
図2
図3