(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085827
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】オンライン葬祭における自分史生成装置および自分史生成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230614BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200096
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】512175292
【氏名又は名称】株式会社出版のススメ研究会
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりする故人史生成システム及び故人史データ生成装置を提供する。
【解決手段】オンライン葬祭における故人史生成システムにおいて、故人史生成装置が有する故人史データ生成装置110は、故人の葬祭にオンラインで参列するための参列入力部と、葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメントと、故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報と、を少なくとも含む縁故情報を登録する縁故情報登録部と、参列者が登録した画像又はコメントを故人の生前経過に合わせて年表形式の故人史関連データに変換する変換部と、変換部が変換した故人史関連データに基づいて、故人の生前記録をまとめた故人史を出力する故人史出力部と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を取得する参列者情報取得部と、
前記葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメント、および前記故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録する縁故情報登録部と、
前記参列者が登録した前記画像又はコメントを前記故人の生前経過に合わせて年代ごとに紐づけた故人史関連データに変換するデータ変換部と、
前記データ変換部によって変換された前記故人史関連データに基づいて、前記故人の生前記録をまとめた年表形式の故人史データを出力する故人史データ出力部と、
を含むことを特徴とする、オンライン葬祭における故人史データ生成装置。
【請求項2】
前記縁故情報登録部は、複数の参列者ごとに前記画像又は前記コメントを登録し、
前記故人史データ出力部は、前記故人に対する親密度に応じて前記故人史データにおける前記参列者の掲載ページ数および掲載位置の少なくとも1つを調整する、
請求項1に記載のオンライン葬祭における故人史データ生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の故人史データ作成装置と、
前記故人史データ作成装置と電気的に接続された印刷機と、
前記印刷装置と電気的に接続された製本機と、を含み、
前記故人史データ出力部は、前記印刷機および前記製本機に対して前記故人史データを出力して印刷および製本処理を実行させる、
ことを特徴とする、オンライン葬祭における故人史生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故人の葬祭に参列した参列者やオンラインで参列したオンライン参列者などによって提供された縁故情報に基づいて生成される故人史生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
古来より、故人の葬祭においては自宅や葬儀(葬祭)場等の斎場でその親族や縁故者が集まって故人を偲ぶものである。一方で近年では、例えば下記の特許文献に示されるように、故人の葬祭に対して斎場から離れた遠隔地よりオンラインにて参列することを可能にする仮想葬儀システムやオンライン葬儀システムが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、仮想葬儀場をインターネット上に公開し、遺族からの情報に基づき、関係者にメール又は郵便で上記仮想葬儀場の存在を通知し、現場の葬儀場には来ないが前記仮想葬儀場に参加希望者のコンピュータ端末からの操作によって、香典、花、果物、蝋燭、線香等の供物を仮想葬儀空間上に追加することができ、その供物の追加費用はインターネット上で決算ができ、前記疑似参加者のコンピュータ端末からの前記疑似参加者自身の画像が少なくとも1人分前記メインコンピュータに送信され、前記疑似参加者自身の画像を、葬儀場の画面上で所定の位置に着席しているように前記仮想葬儀場に組み込み、さらに、前記疑似参加者自身の画像を一定の処理をして焼香をしている姿に加工し、所定時間経過後、一定の順序により画面上で焼香しているように表示することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2のインターネットを利用した仮想式典提供装置では、情報端末から送信された式典主催者に関する情報を受け付ける受付手段と、ホームページ構成要素が記憶された構成要素記憶手段と、前記式典主催者に関する情報と前記ホームページ構成要素とを用いて仮想式典画面を表示するホームページを作成するホームページ作成手段と、前記作成されたホームページを保存し、インターネット上に公開するサーバと、前記ホームページ上で式典主催者に対する祝儀金又は不祝儀金を納金するのに必要な納金情報を入力させる納金情報入力手段と、前記納金情報を外部の決済機関に送信して認証を行う納金情報送受信手段を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-191692号公報
【特許文献2】特開2002-222278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した各特許文献に限らず現在の技術では、市場のニーズを適切に満たしているとは言えず、以下に述べるごとき課題が存在する。
【0007】
上記した特許文献1や特許文献2を含む従来のオンライン葬祭では、あくまでも故人の葬祭をオンライン形式でも許容することで遠方の参列者などにも便宜を図るシステムであった。たしかにこのようなオンライン葬祭は、何らかの事情で故人の葬祭に直接参列できない人に対しては一定の便宜を図ることが出来ていた。
【0008】
しかしこのような形式で行われる実際の葬祭においては、実際に参列した場合においても普段とは勝手が違うことから慌ただしく時間が過ぎ、葬祭に参列したものの故人の生前における生き様などをじっくり聞きたくてもそのような配慮を受けられるとは言い難い。また、実際に葬祭に参列した者であるかオンラインで参列した者であるかを問わず、故人と参列者との関連なども知りたい場合もある。
【0009】
上記した課題を一例に鑑みて、本発明は、オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりすることが可能なシステムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のオンライン葬祭における故人史データ生成装置は、(1)故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を取得する参列者情報取得部と、前記葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメント、および前記故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録する縁故情報登録部と、前記参列者が登録した前記画像又はコメントを前記故人の生前経過に合わせて年代ごとに紐づけた故人史関連データに変換するデータ変換部と、前記データ変換部によって変換された前記故人史関連データに基づいて、前記故人の生前記録をまとめた年表形式の故人史データを出力する故人史データ出力部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
なおこのとき、上記した(1)に記載のオンライン葬祭における故人史データ生成装置においては、(2)前記縁故情報登録部は、複数の参列者ごとに前記画像又は前記コメントを登録し、前記故人史データ出力部は、前記故人に対する親密度に応じて前記故人史データにおける前記参列者の掲載ページ数および掲載位置の少なくとも1つを調整することが好ましい。
【0012】
また上記した課題を解決するため、本発明のオンライン葬祭における故人史生成システムは、(3)上記した(1)又は(2)に記載の故人史データ作成装置と、前記故人史データ作成装置と電気的に接続された印刷機と、前記印刷装置と電気的に接続された製本機と、を含み、前記故人史データ出力部は、前記印刷機および前記製本機に対して前記故人史データを出力して印刷および製本処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態のオンライン葬祭における故人史生成システムを示す模式図である。
【
図2】故人史生成システムを構成する故人史生成装置の詳細な構成を示す模式図である。
【
図3】実施形態のオンライン葬祭における故人史生成方法を示すフローチャートである。
【
図4】オンライン葬祭システムへのログイン画面(一例)である。
【
図5】オンライン葬祭システムにおけるメニュー画面(一例)である。
【
図6】オンライン葬祭システムにおける縁故情報の入力画面(一例)である。
【
図7】故人史生成システムで生成された故人史(一例)の説明図である。
【
図8】変形例で用いられる親密度データ(一例)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明を実施するための実施形態について説明する。なお以下で説明する構成以外については、例えば上記した特許文献を含む公知のオンライン葬祭システムを適宜補完して本発明を実施してもよい。
【0016】
[故人史生成システム400]
以下で詳述する故人史生成システム400は、一例として、インターネット等のネットワークを介してリモート参列者も含めて行われるオンライン葬祭に用いられる。ここで、オンライン葬祭とは、遠く離れた場所にいる家族や親戚あるいは故人と親しかった者であって何らかの理由で葬祭に参加出来ない者に対し、パソコンやスマートフォン等の通信端末からリモートで故人の葬祭に参列を可能とする葬祭サービス事業を言う。
【0017】
かようなオンライン葬祭に対し、以下で詳述する実施形態の故人史生成システム400を適用することで、オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式によって故人史として出力することができる。
【0018】
すなわち本実施形態の故人史生成システム400は、故人史作成装置100、葬儀社端末200、および葬祭会場300を含み、これらがインターネット等の公知のネットワークNETを介して相互に情報通信可能に構成されている。
【0019】
<葬儀社端末200>
葬儀社端末200は、主として現実の葬祭が実施可能な葬祭会場300を有する葬儀社が所有するコンピュータなどの公知の情報端末である。葬儀社端末200は、
図1に示すように、例えば葬祭会場300に設置された中継カメラ320や中継モニター330を含む葬祭通信設備310から葬祭情報を取得する。そして、葬儀社端末200は、それぞれで開発あるいは取得した葬祭アプリケーションを利用して、葬祭に参加出来ない縁故者等に対して公知のビデオ通話アプリケーションを介して葬儀の様子をライブ映像で配信するサービスを実施し得る。
【0020】
<葬祭会場300>
葬祭会場300は、
図1に示すように、公知の葬儀(葬祭)が実施可能な公知の葬祭会場に対して更に上述の葬祭通信設備310を具備して構成されている。なお、葬祭通信設備310としては、上記した公知のネットワークカメラなどの中継カメラ320や公知の液晶モニターなどの中継カメラ320の他にも、例えば公知のスピーカなど音声情報も情報通信可能なように構成されていてもよい。
【0021】
オンライン葬祭においては、例えばオンライン葬儀を実施している葬儀社のスタッフが故人の葬祭に参列を希望する者と情報通信を行い、オンライン参列者は自身の端末にリモート参列するためのアプリケーションをダウンロードする。そして葬祭の当日には、実際の葬祭に参列する者に加え、葬祭の開始時間になると上記した葬祭通信設備310及び葬儀社端末200を介して葬祭がオンライン参列者に対してもライブ配信されることで、オンライン上からも葬祭に参加して弔問することが可能となっている。
【0022】
<故人史作成装置100>
次に
図2も参照しつつ、本実施形態の故人史生成システム400における故人史作成装置100について説明する。
同図から理解されるとおり、故人史生成システム400は、故人史データ生成装置110と、印刷・製本機120と、を含んで構成されている。
【0023】
故人史データ生成装置110は、上記したオンライン葬祭にネットワークNETを介して参列したオンライン参列者OPに対して、参列者が投稿した思い出や写真などのデータを、故人の時間経過に合わせて年表形式の故人史データとして出力する機能を有して構成されている。一例として、故人史データ生成装置110としては、ネットワークNETに接続して情報通信が可能な公知の通信装置CD、上記した参列者の情報など各種情報やアプリケーションを保持可能なメモリMRやハードディスクHDDなどを含む公知の記憶装置MD、これら通信装置や記憶装置HDを制御して情報処理が可能な公知のCPU(Central Processing Unit)を含む公知の汎用コンピュータが適用できる。
【0024】
かような故人史データ生成装置110は、上記したCPUで構成された、参列者情報取得部10と、縁故情報登録部20と、データ変換部30と、故人史データ出力部40と、を含んで構成されている。
【0025】
参列者情報取得部10は、葬儀社端末200の上記したアプリケーションで実行される故人のオンライン葬祭に対してオンラインで参列するための情報を取得する機能を有する。この参列者情報取得部10によって取得された参列者情報に基づいて後述する故人史データが作成される。
【0026】
縁故情報登録部20は、上記した故人の葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメントと、故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報と、を少なくとも含む縁故情報を登録する機能を有して構成されている。例えば
図1に示すように、ネットワークNETに接続されたオンライン参列者OP1は、後述する縁故情報登録画面を介して故人とのゆかりや思い出を内包する画像データやコメント(文字データ)を登録することができる。このとき、コメント(文字データ)には、故人の生前における接触時期(いつの頃か)やその具体的な年代が判別可能なキーワード(例えば「19〇〇年頃」、「2000年初め」、「学友」など)の入力がなされているか選択されていることが好ましい。
【0027】
あるいは上記の他の態様として、縁故情報登録部20は、まず入力者がどの時代に縁故者と接触したかを選択させた後に、その時代の縁故情報として区分けされた投稿用画面を表示させることで当該投稿用画面を介して上記画像データやコメント(文字データ)を入力させる形態であってもよい。
【0028】
データ変換部30は、上記した縁故情報登録部20を介して参列者が登録した上記画像又は上記コメント(文字データ)を、故人の生前経過に合わせて年代ごとに紐づけた故人史関連データに変換する機能を有している。ここで「故人史関連データ」とは、故人の生前経過に合わせて例えば「小学以前」、「学生」、「社会人」、「退職以降」といった年代でそれぞれ紐づけ(カテゴライズ)された画像データ又はコメント(文字)データを言う。
【0029】
なお本実施形態では、オンライン参列者OP1やOP2からの上記画像又は上記コメント(文字データ)に基づいて変換する例を示しているが、故人との縁故情報の提供は、オンライン参列者OPに限られず現実に葬祭会場300に参加し現実の葬祭参列者PPから提供を受けたものであってもよい。
【0030】
故人史データ出力部40は、前記したデータ変換部30によって変換された故人史関連データに基づいて、故人の生前記録をまとめた年表形式(すなわち年代順に区分けして整理された)の故人史データを出力する機能を有して構成されている。これにより、故人の葬祭に参列した参列者と故人とのつながりや思い出などが内包された故人の足跡をデータとして記録や保存することが可能となる。
【0031】
古来よりも葬祭は故人を偲んで行われているが、旧来の手法ではどうしても一方通行で形式的な儀式となりがちであり、葬祭当日を過ぎて雑多な日常に戻ると偲ぶ気持ちも薄らぎやすい。しかしながら本実施形態によれば、現実に参列した者かオンライン上で参列した者かを問わず、故人の葬祭に参列した参列者と故人とのつながりや思い出などが内包された故人の足跡を故人史データとして遺すことから、参列者はその傍らに故人との縁故を再現しやすい形態で半永久的に遺すことが可能となる。
なお後述するとおり、本実施形態で作成された故人史データは、印刷機や製本機で出力することができる。このように故人史データの出力の形態は、データとして記録したり保存したりすることに加え、例えば印刷処理して印刷物として製本する態様も含まれる。
【0032】
印刷・製本機120は、上記した故人史データ生成装置110とネットワークNETを介して通信可能に構成された、それぞれ公知の印刷機と製本機が例示できる。なお
図2では故人史データ生成装置110と分離されて図示されているが、故人史データ生成装置110と印刷・製本機120とは、同一の事業者が所有して敷地内にまとまって設置されていてもよいし、これらが別々の事業者によって運営される形で互いに離れた場所にそれぞれ設置されていてもよい。
【0033】
このように本実施形態における故人史生成システム400は、上記した故人史作成装置100と、この故人史作成装置100と電気的に接続された印刷機と、この印刷装置と電気的に接続された製本機と、を含んでいてもよい。そして故人史作成装置100の故人史データ出力部40は、前記した印刷機および製本機(印刷・製本機120)に対して故人史データを出力して印刷および製本処理を実行させることが可能となっている。
【0034】
[オンライン葬祭における故人史生成方法]
次いで
図3も参照しつつ、本実施形態におけるオンライン葬祭における故人史生成方法について説明する。以下で説明する故人史作成方法は、オンライン参列者OP、上記した故人史作成装置100、葬儀社端末200、および葬祭会場300がネットワークNETを介して情報通信可能とされて、故人史作成装置100の上記CPUによって実行されてもよい。
【0035】
まずステップ1において、故人の葬祭にオンラインで出席するか否かが判定される。具体的には故人の葬祭にオンライン上で参列を希望する希望者は、自身のPCやスマートフォンなどの情報端末を介してオンライン葬祭システムにアクセスする。
【0036】
希望者がオンライン参列者OPとして故人の葬祭にオンライン上で参加を希望する場合、次いでステップ2ではログイン処理と参列情報の入力を行う。一例として、
図4に示すログイン画面60を用いてログイン処理を行い、
図5に示すメニュー画面70を用いて参列情報の入力を行うことができる。
【0037】
なお図示されるように、ログイン画面60は、一例として、URL情報61、ユーザー名入力欄62、パスワード入力欄63、ENTER(入力)ボタン64を含んで構成することができる。このうちユーザー名やパスワードは、公知の初期設定画面/新規登録画面(不図示)などを介して適宜設定することができる。
【0038】
また、メニュー画面70は、一例として、URL情報71、ID情報72(ユーザー画像72a、ユーザー名72b)、葬祭参列ボタン73、縁故情報入力ボタン74、ユーザー情報編集ボタン75などを含んで構成することができる。このうちユーザー情報編集ボタン75は、例えば既に登録したパスワードや上記ID情報72などの個人情報を編集するためのボタンである。
【0039】
葬祭参列ボタン73は、故人の葬祭にオンラインで参列するための情報を入力するボタンである。このオンライン上で参列を希望する者は、この葬祭参列ボタン73を押下することで不図示の情報入力画面に遷移して各種の参列者情報を入力する。なお「参列者情報」とは、故人の葬祭および当該葬祭に参列する者を特定するための情報であり、一例として故人の氏名、葬祭の日時や会場の情報、オンラインで参列する者の個人情報(氏名やE-mailアドレスを含む連絡先など)が例示できる。
【0040】
この参列者情報が故人史データ生成装置110から葬儀社端末200に送信されることで、葬儀社端末200側でオンライン参列者OPに対してビデオ通話アプリケーションを利用したオンライン葬祭の開催通知などが通知可能となる。従ってオンライン参列者OPは、葬祭の当日となったら自身の情報端末からオンラインで葬祭に参加することで、例えば葬祭会場300に設置された中継モニター330上にライブ映像で表示される。一方でオンライン参列者OPの情報端末上には、葬祭会場300に設置された中継カメラ320によって実際の葬祭の様子が中継されることになる。
【0041】
次いでステップ3では、故人史作成への情報提供を希望するか否かが判定される。このうちオンライン上から葬祭に参列する者であっても故人史作成への情報提供までは希望しない者も存在し得ることから、かような場合(Step3でNo)にはステップ7へ移行して受付処理を完了させる。一方、オンライン上にて参列を希望する者がさらに故人史作成への情報提供も希望する場合(Step3でYes)には、上記したメニュー画面70において縁故情報入力ボタン74を押下する。
【0042】
縁故情報入力ボタン74は、前記した葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像又はコメント、および故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報、を少なくとも含む縁故情報を登録するためのボタンである。故人史作成への情報提供も希望する者がこの縁故情報入力ボタン74を押下すると、例えば
図6に例示する縁故情報入力画面80に遷移する。
【0043】
同図に示すように、一例として、縁故情報入力画面80は、URL情報81、対象葬祭選択ボタン82、故人関連時期入力ボタン83、関係入力ボタン84、画像登録ボタン85、コメント登録ボタン86などを含んで構成することができる。
【0044】
このうち対象葬祭選択ボタン82は、オンライン上から参列を希望する葬祭を選択する機能を有して構成されている。なお対象葬祭選択の入力態様としては、日付や場所及び故人名などを直接入力する形態であってもよいし、葬儀社端末200から情報提供を受けて故人名を選択するプルダウン形式など、公知の種々の選択方法を適用できる。
【0045】
故人関連時期入力ボタン83は、故人との関わり時期を特定する縁故時期特定情報を入力する機能を有して構成されている。かような縁故時期特定情報としては、例えば上記した故人の生前経過に合わせた「小学以前」、「学生」、「社会人」、「退職以降」といった年代枠をプルダウン形式で選択する形態であってもよいし、入力者が具体的な年代を特定して入力してもよいし、例えば10年毎に区切られた年代や年号から選択する形態であってもよい。
【0046】
関係入力ボタン84は、故人に対する関係を特定するための機能を有する。一例として、故人に対する関係としては、例えば
図8に示すような、「家族」、「友人」、「親族」および「その他」などにカテゴライズして区分けしてもよい。従って、入力者は、例えば関係入力ボタン84を押下することで、上記した各カテゴリーの中から自身が当てはまる項目を選択することができる。なお、関係入力ボタン84を押下した場合に、上記したカテゴリーから選択することに代えて、故人との関係を直接的に文字データで入力する形態とされていてもよい。
【0047】
画像登録ボタン85は、葬祭に参列する参列者における故人との関連を示す画像情報を登録する機能を有して構成されている。上記した希望者がこの画像登録ボタン85を押下することで、不図示の画像登録画面などを介して自身の端末などで保存された故人との関連を示す画像を登録できる。なお、本実施形態では画像登録ボタン85を介して故人との縁故を示す画像を登録する例を示したが、画像に代えて圧縮等が適宜施された映像情報を登録する形態であってもよい。
【0048】
コメント登録ボタン86は、葬祭に参列する参列者における故人との関連を示すコメント(文字)情報を登録する機能を有して構成されている。上記した希望者がこのコメント登録ボタン86を押下することで、不図示の文字情報入力画面などを介して自身の入力手段(キーボードやタッチパネルなど)で故人に対する思いや偲びを登録できる。なお、このとき、入力されるコメント(文字)情報には、故人との関わり時期がいつ頃かを特定できる情報がさらに入力されることが好ましい。
以上で説明した縁故情報の入力が完了した場合には、完了ボタン87を押下することで縁故情報の入力処理が完了する。
【0049】
次いでステップ5では、故人史を受領するか否かが選択される。そして故人の葬祭に参列した参列者が故人史の受領を希望する場合(Step5でYes)には、続くステップ6で受領方法の選択処理がなされる。かような受領方法としては、故人史データをダウンロードする形態であってもよいし、上記した印刷・製本機120によって印刷と製本がなされて参列者の上記連絡先に対して配布される形態であってもよい。
【0050】
そしてステップ6で受領方法の選択が為された後は、ステップ7で受付完了処理が実行されて、上記した各種の入力情報が保存される。
次いでステップ8では、葬儀社端末200に向けてオンライン葬祭の開催に必要な上記各種の情報(例えばオンライン上で参列する参列者の情報や縁故情報など)がネットワークNETを介して送信される。
【0051】
以上説明した本実施形態のオンライン葬祭における故人史生成システムによれば、オンライン葬祭の形を基調としつつ、オンライン又は実際に葬祭へ参列した参列者と故人との繋がりを年表形式の故人史として残したり出力したりすることが可能となる。これにより、故人の葬祭に参列した参列者と故人とのつながりや思い出などが内包された故人の足跡を故人史データとして半永久的に遺すことが可能となる。
【0052】
図7に、本実施形態における故人史の例を示す。
同図から明らかなとおり、本実施形態の故人史生成システムで作成された故人史は、故人と参列者とが共に掲載された画像ImやコメントCtが年代順に沿って各年代に紐付けられて掲載されている。なお年代順の表示例としては、例えば上記した「小学以前」/「学生」/「社会人」/「退職以降」といった年代枠としてもよいし、あるいは「幼児期」/「少年少女期」/「青年期」/「中年期」/「壮年期」などの区分けでもよい。
【0053】
さらに年代順の表示例としては、各時代を定義せず単年~十数年毎といった形で故人の生誕年からの年を区分けしてもよい。
このように本実施形態の故人史としては次のごとき特徴の少なくとも1つを備えることができる。
(α)年代順に各時代が区分けされてその時期における画像やコメントが掲載
(β)レイアウト例:時代ごとの出来事や画像が整理された『年表形式』も可
(γ)親族や友人と故人が共に掲載
(δ)故人史は複数の冊子でも構成可(複数冊子の場合は時代毎に各冊子を設定可)
【0054】
なお、以上で説明した実施形態は本発明を実施する上で好適な形態であって、これらに限定されるものではなく、上記した特許文献を含む公知の手法の一部を活用して適宜変形してもよい。かような変形例としては、例えば次に示すように実施形態を変形することができる。
【0055】
<変形例>
上記実施形態では関係入力ボタン84を用いて故人に対する関係を特定する情報を登録していたが、変形例においてはこの故人に対する関係を利用して親密度を設定してもよい。すなわち、例えば
図8に例示するように、登録した故人の関係を示すカテゴリー毎に親密度を順位付けしてもよい。
【0056】
故人史作成装置100における縁故情報登録部20は、複数の参列者(現実の葬祭参列者PP又はオンライン参列者OP)ごとに上記した故人との縁故を示す画像又はコメントを登録する。そして故人史データ出力部40は、この故人に対する親密度に応じて故人史データにおける参列者の掲載ページ数および掲載位置の少なくとも1つを調整してもよい。
【0057】
これにより、例えば親密度が高い(
図8の例では親密度第1位の家族や第2位の友人)カテゴリーの参列者が登録した上記画像やコメントがより多く故人史へ掲載されることになる。あるいは、作成される故人史において同じページに複数の参列者からの画像やコメントが掲載される場合には、例えばより見やすい中央位置に親密度が上位の参列者による画像やコメントが配置されたり、相対的に掲載領域が大きな状態で親密度上位の参列者による画像やコメントが配置されたりできる。
【0058】
なお本変形例では序列が第1位から第4位まで階段状に設定されているが、同列の順位を設定してもよいし、他のカテゴリーを設けてより細分化してもよい。
かような変形例によっても、上記した実施形態の効果を奏することに加え、参列者の故人に対する親密度(関係の深さとも言える)に応じて故人史への掲載比重に傾斜をつけることができる。これにより、故人の足跡をより現実的に近い形態で後世に遺すことが可能となる。
【0059】
なお上述のとおり添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。すなわち当業者であれば上記した実施形態に対して更なる変形を試みることは明らかであり、これらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、オンライン葬祭を経て参列者とともに歩んだ故人の足跡を故人史として遺すことが可能なシステムに資することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 故人史作成装置
10 参列者情報取得部
20 縁故情報登録部
30 データ変換部
40 故人史出力部
200 葬儀社端末
300 葬儀会場
310 葬祭通信設備
320 中継カメラ
330 中継モニター
400 故人史生成システム