(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085853
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】電力変換装置、バッテリ充電装置、及び電力変換方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20230614BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230614BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H02M7/12 M
H02J7/10 B
H02J7/00 P
H02M7/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200136
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】及川 崇
(72)【発明者】
【氏名】河村 安里
【テーマコード(参考)】
5G503
5H006
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB01
5G503GD03
5G503GD06
5H006BB01
5H006CA03
5H006CB01
5H006CB08
5H006CC05
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
5H006DC07
5H006FA01
5H006FA03
5H006GA04
(57)【要約】
【課題】発熱を低減する。
【解決手段】電力変換装置は、回転子の回転に応じて、発電機が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相の交流電力を整流した直流電力を出力する整流部と、前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧以上になった場合に、前記スイッチ素子の導通を停止する停止信号を出力する制御部と、前記制御部が出力する前記停止信号に基づいて、前記3相の各相で、前記スイッチ素子が、一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の制御信号を調整する調整処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子の回転に応じて、発電機が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相の交流電力を整流した直流電力を出力する整流部と、
前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧以上になった場合に、前記スイッチ素子の導通を停止する停止信号を出力する制御部と、
前記制御部が出力する前記停止信号に基づいて、前記3相の各相で、前記スイッチ素子が、一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の制御信号を調整する調整処理部と
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記調整処理部は、前記回転子の回転数が、閾値以上である場合に、各相の前記スイッチ素子の前記制御信号を調整する調整処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記スイッチ素子がサイリスタであり、
前記調整処理部は、前記サイリスタの導通期間が、各相で一定の導通状態で固定されないように、前記サイリスタを非導通にする前記制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記調整処理部は、
前記3相の各相で、前記スイッチ素子が一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の非導通期間を調整する出力信号を出力する信号出力部と、
前記制御部が出力する停止信号と、前記信号出力部が出力する前記出力信号とを論理演算して、前記制御信号を生成する論理回路部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記論理回路部が、OR回路であることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力変換装置を備え、
前記整流部は、前記3相の交流電力を整流した直流電力を、充電電力としてバッテリに供給する
ことを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項7】
回転子の回転に応じて、発電機が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相の交流電力を整流した直流電力を出力する整流部を備える電力変換装置の電力変換方法であって、
制御部が、前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧以上になった場合に、前記スイッチ素子の導通を停止する停止信号を出力する制御ステップと、
調整処理部が、前記制御ステップによって出力された前記停止信号に基づいて、前記3相の各相で、前記スイッチ素子が一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の制御信号を調整する調整ステップと
を含むことを特徴とする電力変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、バッテリ充電装置、及び電力変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリの充電などに用いられる電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような従来の電力変換装置は、例えば、発電機から出力される3相交流電力を、サイリスタなどのスイッチ素子を用いて整流して、バッテリを充電する直流電力に変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発電機は、回転数に応じて出力する電力が変動するため、従来の電力変換装置では、スイッチ素子をオン状態の期間を制御することで整流動作を調整して、最適な充電電圧になるように制御している。しかしながら、発電機が高回転になると、発電機からの出力電力が多くなるため、スイッチ素子のオン状態の期間が短くなり、3相の整流期間にバラツキが生じて、特定の相に整流が集中する電流偏りが発生することがある。この電流偏りが発生すると、特定の相に集中して電流が流れて発熱するため、従来の電力変換装置では、例えば、発熱低減のための素子や構成が必要になり、装置が大型化する問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、発熱を低減することができる電力変換装置、バッテリ充電装置、及び電力変換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、回転子の回転に応じて、発電機が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相の交流電力を整流した直流電力を出力する整流部と、前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧以上になった場合に、前記スイッチ素子の導通を停止する停止信号を出力する制御部と、前記制御部が出力する前記停止信号に基づいて、前記3相の各相で、前記スイッチ素子が、一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の制御信号を調整する調整処理部とを備えることを特徴とする電力変換装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電力変換装置において、前記調整処理部は、前記回転子の回転数が、閾値以上である場合に、各相の前記スイッチ素子の前記制御信号を調整する調整処理を実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の電力変換装置において、前記スイッチ素子がサイリスタであり、前記調整処理部は、前記サイリスタの導通期間が、各相で一定の導通状態で固定されないように、前記サイリスタを非導通にする前記制御信号を生成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の電力変換装置において、前記調整処理部は、前記3相の各相で、前記スイッチ素子が一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の非導通期間を調整する出力信号を出力する信号出力部と、前記制御部が出力する停止信号と、前記信号出力部が出力する前記出力信号とを論理演算して、前記制御信号を生成する論理回路部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の電力変換装置において、前記論理回路部が、OR回路であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記に記載の電力変換装置を備え、前記整流部は、前記3相の交流電力を整流した直流電力を、充電電力としてバッテリに供給することを特徴とするバッテリ充電装置である。
【0012】
また、本発明の一態様は、回転子の回転に応じて、発電機が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相の交流電力を整流した直流電力を出力する整流部を備える電力変換装置の電力変換方法であって、制御部が、前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧以上になった場合に、前記スイッチ素子の導通を停止する停止信号を出力する制御ステップと、調整処理部が、前記制御ステップによって出力された前記停止信号に基づいて、前記3相の各相で、前記スイッチ素子が一定の導通状態で固定されないように、各相の前記スイッチ素子の制御信号を調整する調整ステップとを含むことを特徴とする電力変換方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力変換装置は、調整処理部が、制御部が出力する停止信号に基づいて、3相の各相で、スイッチ素子が一定の導通状態で固定されないように、各相のスイッチ素子の制御信号を調整するため、特定の相に整流が集中する電流偏りの発生を低減することができる。よって、電力変換装置は、発熱を低減することができ、発熱低減のための素子や構成を追加する必要がないため、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態によるバッテリ充電装置及び電力変換装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による電力変換装置の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態による電力変換装置の調整処理部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態による電力変換装置の高回転域の動作の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態による電力変換装置の低回転域の動作の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態による電力変換装置の中回転域の動作の一例を示す図である。
【
図7】従来技術における高回転域の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による電力変換装置、バッテリ充電装置、及び電力変換方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるバッテリ充電装置100及び電力変換装置1の一例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、バッテリ充電装置100は、発電機2及びバッテリ3に接続され、電力変換装置1を備える。
バッテリ充電装置100は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載され、発電機2で発電した交流電力を整流して、バッテリ3に充電する装置である。また、バッテリ充電装置100には、不図示の負荷部が接続され、発電機2が発電した電力、又はバッテリ3の出力電力を負荷部に供給する。
【0017】
発電機2は、例えば、3相交流発電機であり、回転子(不図示)の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた3相の交流電力(3相の交流信号)を出力する。ここで、回転子は、例えば、自動二輪車の内燃機関(エンジン)の回転軸に接続されたクランクシャフトなどである。また、ここでの3相の交流電力は、例えば、U相、V相、及びW相の交流信号である。
【0018】
ここで、発電機2が発電したU相の交流電力の信号線は、ノードN1に接続され、発電機2が発電したV相の交流電力の信号線は、ノードN2に接続される。また、発電機2が発電したW相の交流電力の信号線は、ノードN3に接続される。
【0019】
また、発電機2は、回転数センサ21を備えている。回転数センサ21は、回転数を示す信号を出力する。なお、本実施形態において、「回転数」とは、単位時間当たりの回転数のことであり、回転速度のことである。発電機2は、回転数が大きくなると、回転数に応じて、発電する電力量(発電電力量)が増大するものとする。
【0020】
バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池であり、電力変換装置1の出力電圧Voutを出力する信号線L1と、GND線L2(接地線)との間に接続されている。バッテリ3の+(プラス)電極(正極)が出力電圧Voutの信号線L1に接続され、-(マイナス)電極(負極)がGND線L2に接続されている。バッテリ3は、信号線L1を介して供給された発電機2の発電電力により充電されるとともに、充電した電力を、信号線L1を介して、負荷部(不図示)に供給する。
【0021】
電力変換装置1は、例えば、3相サイリスタオープン式のレギュレータであり、発電機2が出力する3相(U相、V相、W相)の交流電力を、予め定められた定電圧に変換する。電力変換装置1は、整流部10と、U相ドライバ部13と、V相ドライバ部14と、W相ドライバ部15と、調整処理部30と、制御部40とを備えている。
【0022】
整流部10は、発電機2が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたサイリスタ(11、12)の導通により、3相の交流電力を整流した直流電力を出力する。整流部10は、上側のサイリスタ11(11-1~11-3)と、下側のサイリスタ12(12-1~12-3)とを備える。サイリスタ11及びサイリスタ12は、スイッチ素子の一例である。
【0023】
なお、本実施形態において、サイリスタ11-1、サイリスタ11-2、及びサイリスタ11-3のそれぞれは、上側のサイリスタ(上側のスイッチ素子)を示し、電力変換装置1が備える任意の上側のサイリスタを示す場合、又は特に区別しない場合に、サイリスタ11と表記する。
【0024】
また、サイリスタ12-1、サイリスタ12-2、及びサイリスタ12-3のそれぞれは、下側のサイリスタ(上側のスイッチ素子)を示し、電力変換装置1が備える任意の下側のサイリスタを示す場合、又は特に区別しない場合に、サイリスタ12と表記する。
【0025】
サイリスタ11-1は、U相用の上側のスイッチ素子であり、アノード端子がノードN1に接続され、カソード端子が信号線L1に接続され、制御端子(ゲート端子)がU相ドライバ部13の上側制御信号の信号線に接続されている。
【0026】
また、サイリスタ11-2は、V相用の上側のスイッチ素子であり、アノード端子がノードN2に接続され、カソード端子が信号線L1に接続され、制御端子がV相ドライバ部14の上側制御信号の信号線に接続されている。
【0027】
また、サイリスタ11-3は、W相用の上側のスイッチ素子であり、アノード端子がノードN3に接続され、カソード端子が信号線L1に接続され、制御端子がW相ドライバ部15の上側制御信号の信号線に接続されている。
【0028】
また、サイリスタ12-1は、U相用の下側のスイッチ素子であり、アノード端子がGND線L2に接続され、カソード端子がノードN1に接続され、制御端子がU相ドライバ部13の下側制御信号の信号線に接続されている。
【0029】
また、サイリスタ12-2は、V相用の下側のスイッチ素子であり、アノード端子がGND線L2に接続され、カソード端子がノードN2に接続され、制御端子がV相ドライバ部14の下側制御信号の信号線に接続されている。
【0030】
また、サイリスタ12-3は、W相用の下側のスイッチ素子であり、アノード端子がGND線L2に接続され、カソード端子がノードN3に接続され、制御端子がW相ドライバ部15の下側制御信号の信号線に接続されている。
【0031】
U相ドライバ部13は、サイリスタ11-1及びサイリスタ12-1の制御信号せ生成するドライバである。U相ドライバ部13は、後述する調整処理部30から出力されるU相の制御信号Soff1に基づいて、サイリスタ11-1の制御信号及びサイリスタ12-1の制御信号を生成する。
【0032】
V相ドライバ部14は、サイリスタ11-2及びサイリスタ12-2の制御信号せ生成するドライバである。V相ドライバ部14は、後述する調整処理部30から出力されるV相の制御信号Soff2に基づいて、サイリスタ11-2の制御信号及びサイリスタ12-2の制御信号を生成する。
【0033】
W相ドライバ部15は、サイリスタ11-3及びサイリスタ12-3の制御信号せ生成するドライバである。W相ドライバ部15は、後述する調整処理部30から出力されるW相の制御信号Soff3に基づいて、サイリスタ11-3の制御信号及びサイリスタ12-3の制御信号を生成する。
【0034】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサなどであり、電力変換装置1を制御する。制御部40は、整流部10が出力する直流電力の電圧(出力電圧Vout)が、所定の電圧以上(閾値電圧以上)になった場合に、サイリスタ(11、12)の導通を停止するOFF信号(停止信号)を出力する。ここで、OFF信号(停止信号)とは、出力信号Soff0をH状態(ハイ論理状態)にした状態を示す。また、所定の電圧(閾値電圧以上)は、例えば、バッテリ3が過充電にならない電圧値である。
【0035】
制御部40は、出力電圧Voutが、所定の電圧未満になるように、整流部10のサイリスタ(11、12)の導通を制御する。ここで、出力信号Soff0は、L状態(ロウ論理状態)の場合に、サイリスタ(11、12)をオン状態(導通状態)に制御し、H状態(OFF信号の出力状態)の場合に、サイリスタ(11、12)を停止状態に制御する。制御部40は、例えば、出力電圧Voutが所定の電圧未満(閾値電圧未満)である場合に、出力信号Soff0をL状態にし、出力電圧Voutが所定の電圧以上である場合に、出力信号Soff0をH状態にして、OFF信号を出力する。
【0036】
調整処理部30は、制御部40が出力するOFF信号(又は出力信号Soff0)に基づいて、3相(U相、V相、W相)の各相で、サイリスタ(11、12)が、一定の導通状態で固定されないように、各相のサイリスタ(11、12)の制御信号を調整する。調整処理部30は、回転子の回転数が、閾値以上である場合に、各相のサイリスタ(11、12)の制御信号を調整する調整処理を実行する。ここで、閾値は、例えば、各相の電流に偏りが生じても発熱を許容できる上限の回転数である。
【0037】
また、調整処理部30は、サイリスタ(11、12)の導通期間が、各相で一定の導通状態で固定されないように、サイリスタ(11、12)をオフ状態(非導通状態)にする制御信号(Soff1、Soff2、Soff3)を生成する。
また、調整処理部30は、回転数検出部31と、信号出力部32と、論理回路部33とを備えている。
【0038】
回転数検出部31は、回転数センサ21の出力に基づいて、発電機2(回転子)の回転数を検出する。回転数検出部31は、例えば、回転数センサ21が出力する回転数を示す信号に基づいて、発電機2の回転数を検出する。
【0039】
信号出力部32は、回転数検出部31が検出した回転数が閾値以上である場合(高回転域の場合)に、3相(U相、V相、W相)の各相で、サイリスタ(11、12)が一定の導通状態で固定されないように、各相のサイリスタ(11、12)のオフ期間(非導通期間)を調整する出力信号(S1、S2、S3)を出力する。ここで、出力信号S1は、U相の出力信号であり、出力信号S2は、V相の出力信号である。また、出力信号S3は、W相の出力信号である。
【0040】
信号出力部32は、例えば、各相でずらしたタイミングで、且つ、3相の周期に同期してOFF期間が固定化されたないタイミングで、各相の出力信号(S1、S2、S3)を出力する。
また、信号出力部32は、回転数が閾値未満である場合(中回転域、又は低回転域の場合)に、出力信号(S1、S2、S3)を出力しない。
【0041】
論理回路部33は、制御部40が出力する出力信号Soff0と、信号出力部32が出力する出力信号(S1、S2、S3)とを論理演算して、制御信号(Soff1、Soff2、Soff3)を生成する。論理回路部33は、OR回路331、OR回路332、及びOR回路333を含む。すなわち、論理回路部33は、3つのOR回路(331、332、331)である。
【0042】
OR回路331は、例えば、論理和演算回路であり、出力信号Soff0と、出力信号S1との論理和演算結果(OR演算結果)を、U相の制御信号Soff1として、U相ドライバ部13に出力する。なお、U相の制御信号Soff1は、L状態の場合に、サイリスタ11-1及びサイリスタ12-1をオン状態にし、H状態の場合に、サイリスタ11-1及びサイリスタ12-1をオフ状態にする。
【0043】
また、OR回路332は、例えば、論理和演算回路であり、出力信号Soff0と、出力信号S2とのOR演算結果を、V相の制御信号Soff2として、V相ドライバ部14に出力する。なお、V相の制御信号Soff2は、L状態の場合に、サイリスタ11-2及びサイリスタ12-2をオン状態にし、H状態の場合に、サイリスタ11-2及びサイリスタ12-2をオフ状態にする。
【0044】
また、OR回路333は、例えば、論理和演算回路であり、出力信号Soff0と、出力信号S3とのOR演算結果を、W相の制御信号Soff3として、W相ドライバ部15に出力する。なお、W相の制御信号Soff3は、L状態の場合に、サイリスタ11-3及びサイリスタ12-3をオン状態にし、H状態の場合に、サイリスタ11-3及びサイリスタ12-3をオフ状態にする。
【0045】
次に、図面を参照して、本実施形態による電力変換装置1の動作について説明する。
図2は、本実施形態による電力変換装置1の制御部40の動作の一例を示すフローチャートである。
【0046】
図2に示すように、電力変換装置1の制御部40は、まず、出力電圧Voutが閾値電圧以上であるか否かを判定する(ステップS101)。制御部40は、出力電圧Voutが閾値電圧以上である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、制御部40は、出力電圧Voutが閾値電圧未満である場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS103に進める。
【0047】
ステップS102において、制御部40は、OFF信号(停止信号)を出力する。制御部40は、OFF信号として、例えば、出力信号Soff0をH状態にする。ステップS102の処理後に、制御部40は、処理をステップS101に戻す。
【0048】
ステップS103において、制御部40は、例えば、出力信号Soff0をL状態にする。ステップS103の処理後に、制御部40は、処理をステップS101に戻す。
【0049】
次に、
図3を参照して、本実施形態による電力変換装置1の調整処理部30の動作について説明する。
図3は、本実施形態による電力変換装置1の調整処理部30の動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図3に示すように、電力変換装置1の調整処理部30は、まず、回転数が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS201)。調整処理部30の信号出力部32は、回転数検出部31が検出した回転数が閾値以上であるか否か(高回転域であるか否か)を判定する。信号出力部32は、回転数が閾値以上(高回転域)である場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、信号出力部32は、回転数が閾値未満(中回転域又は低回転域)である場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS203に進める。
【0051】
ステップS202において、信号出力部32は、調整処理を実行する。すなわち、信号出力部32は、各相のサイリスタ(11、12)が一定の導通状態で固定されないように、各相のサイリスタ(11、12)のオフ期間(非導通期間)を調整する出力信号(S1、S2、S3)を出力する。そして、OR回路331が、出力信号Soff0と、出力信号S1とをOR演算して、U相の制御信号Soff1をU相ドライバ部13に出力する。また、OR回路332が、出力信号Soff0と出力信号S2とをOR演算して、V相の制御信号Soff2をV相ドライバ部14に出力する。また、OR回路333が、出力信号Soff0と出力信号S3とをOR演算して、W相の制御信号Soff3をW相ドライバ部15に出力する。ステップS202の処理後に、信号出力部32は、処理をステップS201に戻す。
【0052】
また、ステップS203において、信号出力部32は、調整処理を停止する。この場合、信号出力部32は、出力信号(S1、S2、S3)をL状態に固定する。これにより、OR回路331、OR回路332、及びOR回路333が、出力信号Soff0をそのまま、U相の制御信号Soff1、V相の制御信号Soff2、及びW相の制御信号Soff3として、それぞれ、U相ドライバ部13、V相ドライバ部14、及びW相ドライバ部15に出力する。ステップS203の処理後に、信号出力部32は、処理をステップS201に戻す。
【0053】
次に、
図4を参照して、上述した
図3のステップS202の処理である高回転域である場合の処理を詳細に説明する。
図4は、本実施形態による電力変換装置1の高回転域の動作の一例を示す図である。
【0054】
図4において、波形W1~波形W10は、上から順番に、出力信号S
off0、U相の出力信号S1、V相の出力信号S2、W相の出力信号S2、U相の制御信号S
off1、V相の制御信号S
off2、W相の制御信号S
off3、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwの波形を示している。また、横軸は、時間を示し、縦軸は、波形W1~波形W7が論理状態を示し、波形W8~波形W10が電流値を示している。
【0055】
図4の波形W2~波形W4に示すように、信号出力部32は、回転数が閾値以上である高回転域の場合に、U相の出力信号S1、V相の出力信号S2、及びW相の出力信号S3を出力する。そして、調整処理部30(論理回路部33)は、波形W5~波形W7に示すように、制御部40が出力する出力信号S
off0と、出力信号S1~出力信号S3とのOR演算したU相の制御信号S
off1、V相の制御信号S
off2、及びW相の制御信号S
off3を出力する。
【0056】
例えば、時刻T1において、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ11-1がON状態になり、U相電流Iuが流れる(波形W8参照)。また、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ12-3がオン状態になり、W相電流Iwが流れる(波形W10参照)。なお、サイリスタ11-1は、U相電流Iuの“0”(ゼロ点)でオフ状態になり、サイリスタ12-3は、W相電流Iwの“0”でオフ状態になる。
【0057】
また、時刻T2において、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ11-2がON状態になり、V相電流Ivが流れる(波形W9参照)。また、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ11-3がオン状態になり、W相電流Iwが流れる(波形W10参照)。なお、サイリスタ11-2は、V相電流Ivの“0”でオフ状態になり、サイリスタ11-3は、W相電流Iwの“0”でオフ状態になる。
【0058】
また、時刻T3において、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ12-1がON状態になり、U相電流Iuが流れる(波形W8参照)。また、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ12-2がオン状態になり、V相電流Ivが流れる(波形W9参照)。なお、サイリスタ12-1は、U相電流Iuの“0”でオフ状態になり、サイリスタ12-2は、V相電流Ivの“0”でオフ状態になる。
【0059】
また、時刻T4における電力変換装置1の動作は、上述した時刻T1の場合と同様であり、時刻T5における電力変換装置1の動作は、上述した時刻T2の場合と同様である。また、時刻T6における電力変換装置1の動作は、上述した時刻T3の場合と同様である。
【0060】
このように、電力変換装置1では、調整処理部30が、各相のサイリスタ(11、12)の導通タイミングを調整して、波形W8~波形W10に示すように、3相(U相、V相、W相)の一定の導通状態で固定されないように、ほぼ均等な導通状態になるようにする。
【0061】
次に、
図5及び
図6を参照して、上述した
図3のステップS203の処理である低回転域及び中回転域である場合の処理を詳細に説明する。
図5は、本実施形態による電力変換装置1の低回転域の動作の一例を示す図である。
【0062】
図5において、波形W11~波形W20は、上から順番に、出力信号S
off0、U相の出力信号S1、V相の出力信号S2、W相の出力信号S3、U相の制御信号S
off1、V相の制御信号S
off2、W相の制御信号S
off3、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwの波形を示している。また、横軸は、時間を示し、縦軸は、波形W11~波形W17が論理状態を示し、波形W18~波形W20が電流値を示している。
【0063】
図5における低回転域では、出力電圧Voutが、常に所定の電圧未満(閾値電圧未満)であるため、制御部40は、波形W11に示すように、出力信号Soff0を、常にL状態にする。
【0064】
また、波形W12~波形W14に示すように、信号出力部32は、回転数が閾値未満であるため、U相の出力信号S1、V相の出力信号S2、及びW相の出力信号S3の出力を停止し、L状態に固定する。そのため、調整処理部30(論理回路部33)は、波形W15~波形W17に示すように、U相の制御信号Soff1、V相の制御信号Soff2、及びW相の制御信号Soff3にL状態を出力する。
【0065】
その結果、低回転域では、波形W18~波形W20に示すように、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwには、発電機2の出力する交流電力そのままの電流波形となる。
【0066】
なお、例えば、時刻T11において、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ11-1がON状態になる。
また、時刻T12において、V相電流Ivの“0”でV相のサイリスタ12-2がオフ状態になるとともに、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ11-2がオン状態になる。
【0067】
また、時刻T13において、W相電流Iwの“0”でW相のサイリスタ12-3がオフ状態になるとともに、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ11-3がオン状態になる。
【0068】
また、時刻T14において、U相電流Iuの“0”でU相のサイリスタ11-1がオフ状態になるとともに、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ12-1がオン状態になる。
【0069】
また、時刻T15において、V相電流Ivの“0”でV相のサイリスタ11-2がオフ状態になるとともに、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ12-2がオン状態になる。
【0070】
また、時刻T16において、W相電流Iwの“0”でW相のサイリスタ11-3がオフ状態になるとともに、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ12-3がオン状態になる。
【0071】
次に、
図6を参照して、本実施形態による電力変換装置1の中回転域の動作について説明する。
図6は、本実施形態による電力変換装置1の中回転域の動作の一例を示す図である。
【0072】
図6において、波形W21~波形W30は、上から順番に、出力信号S
off0、U相の出力信号S1、V相の出力信号S2、W相の出力信号S3、U相の制御信号S
off1、V相の制御信号S
off2、W相の制御信号S
off3、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwの波形を示している。また、横軸は、時間を示し、縦軸は、波形W21~波形W27が論理状態を示し、波形W28~波形W30が電流値を示している。
【0073】
図6における中回転域では、出力電圧Voutが、所定の電圧以上(閾値電圧以上)になる期間があるため、制御部40は、波形W21に示すように、出力信号Soff0を出力する。
【0074】
また、波形W22~波形W24に示すように、信号出力部32は、回転数が閾値未満であるため、U相の出力信号S1、V相の出力信号S2、及びW相の出力信号S3の出力を停止し、L状態に固定する。そのため、調整処理部30(論理回路部33)は、波形W25~波形W27に示すような、U相の制御信号Soff1、V相の制御信号Soff2、及びW相の制御信号Soff3を出力する。
【0075】
例えば、時刻T21において、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ11-1がON状態になり、U相電流Iuが流れる(波形W28参照)。また、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ12-2がオン状態になり、W相電流Iwが流れる(波形W29参照)。また、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ12-3がオン状態になり、W相電流Iwが流れる(波形W30参照)。
【0076】
なお、時刻T22において、V相電流Ivの“0”でV相のサイリスタ12-2がオフ状態になるとともに、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ11-2がオン状態になる。
【0077】
また、時刻T23において、W相電流Iwの“0”でW相のサイリスタ12-3がオフ状態になるとともに、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ11-3がオン状態になる。
【0078】
また、時刻T24において、U相電流Iuの“0”でU相のサイリスタ11-1がオフ状態になるとともに、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ12-1がオン状態になる。
【0079】
また、時刻T25において、V相電流Ivの“0”でV相のサイリスタ11-2がオフ状態になるとともに、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ12-2がオフ状態を維持する。
【0080】
また、時刻T26において、W相電流Iwの“0”でW相のサイリスタ11-3がオフ状態になるとともに、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ12-3がオフ状態を維持する。
【0081】
また、時刻T27において、U相電流Iuの“0”でU相のサイリスタ12-1がオフ状態になるとともに、U相の制御信号Soff1によって、U相のサイリスタ11-1がオン状態になる(波形W28参照)。また、V相の制御信号Soff2によって、V相のサイリスタ12-2がオン状態になる(波形W29参照)。また、W相の制御信号Soff3によって、W相のサイリスタ12-3がオン状態になる(波形W30参照)。
【0082】
このように、中回転域では、波形W28~波形W30に示すように、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwは、一部に停止期間があるものの、特定の相の導通に固定されることはない。
【0083】
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置1は、整流部10と、制御部40と、調整処理部30とを備える。整流部10は、回転子の回転に応じて、発電機2が出力する3相(U相、V相、W相)の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたスイッチ素子(サイリスタ(11、12))の導通により、3相の交流電力を整流した直流電力を出力する。制御部40は、整流部10が出力する直流電力の電圧(出力電圧Vout)が、所定の電圧以上(閾値電圧以上)になった場合に、スイッチ素子(サイリスタ(11、12))の導通を停止するOFF信号(停止信号)を出力する。調整処理部30は、制御部40が出力するOFF信号に基づいて、3相の各相で、スイッチ素子(サイリスタ(11、12))が、一定の導通状態で固定されないように、各相のスイッチ素子(サイリスタ(11、12))の制御信号(Soff1、Soff2、Soff3)を調整する。
【0084】
これにより、本実施形態による電力変換装置1は、調整処理部30が、3相(U相、V相、W相)の各相で、スイッチ素子(サイリスタ(11、12))が一定の導通状態で固定されないように、各相のスイッチ素子の制御信号を調整するため、特定の相に整流が集中する電流偏りの発生を低減することができる。よって、本実施形態による電力変換装置1は、発熱を低減することができ、発熱低減のための素子や構成を追加する必要がないため、装置を小型化することができる。
【0085】
ここで、本実施形態による電力変換装置1との比較のために、調整処理部30を備えない従来技術の動作について説明する。
図7は、従来技術における高回転域の動作の一例を示す図である。
【0086】
図7において、波形W31~波形W34は、上から順番に、出力信号S
off0、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwの波形を示している。また、横軸は、時間を示し、縦軸は、波形W31が論理状態を示し、波形W32~波形W34が電流値を示している。
なお、従来技術では、制御部40の出力信号S
off0をそのままサイリスタ(11、12)の制御信号として用いるものとする。
【0087】
図7に示すように、従来技術では、高回転域において、各相の導通状態にバラツキが生じて、波形W32のU相が主に導通状態になり、波形W33のV相及び波形W34のW相がほとんど導通しない状態になる。このように、従来技術では、各相の電流に偏りが生じて、特定の相の導通状態で固定され、特定の相のスイッチ素子(サイリスタ(11、12))や発電機2の巻線が発熱する問題が生じる。
【0088】
これに対して、本実施形態による電力変換装置1では、調整処理部30が、各相の導通タイミングを調整するため、例えば、
図4の波形W8~波形W10に示すように、各相でほぼ均等に導通させることができる。すなわち、本実施形態による電力変換装置1は、電流の偏りを低減することで、発電機2の巻線の発熱を均等化できる。これにより、本実施形態による電力変換装置1は、冷却に必要な外部システム追加の検討が不要となる。
【0089】
また、本実施形態による電力変換装置1は、スイッチ素子(例えば、サイリスタ(11、12))の発熱も均等化され、発熱低減のための素子や構成を追加が不要となる。さらに、本実施形態による電力変換装置1は、高回転域において、スイッチ素子(例えば、サイリスタ(11、12))の発熱によって引き起こされる過充電の可能性も低下し、品質及び信頼性を向上させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、調整処理部30は、回転子の回転数が、閾値以上である場合に、各相のサイリスタ(11、12)の制御信号を調整する調整処理を実行する。
これにより、本実施形態による電力変換装置1では、回転数の閾値のみで調整処理の実行と停止を行うため、3相(U相、V相、W相)の各相の交流波形を取得する手法に比べて、本制御の実装が容易となるという効果を得られる。また、本実施形態による電力変換装置1は、より構成を簡略化することができる。
【0091】
また、本実施形態では、スイッチ素子)がサイリスタ(11、12であり、調整処理部30は、サイリスタ(11、12)の導通期間が、各相で一定の導通状態で固定されないように、サイリスタ(11、12)を非導通にする制御信号(Soff1、Soff2、Soff3)を生成する。
【0092】
これにより、本実施形態による電力変換装置1は、サイリスタ(11、12)を用いた簡易な構成により、発熱を低減することができる。
【0093】
また、本実施形態では、調整処理部30は、信号出力部32と、論理回路部33とを備える。信号出力部32は、3相の各相で、サイリスタ(11、12)が一定の導通状態で固定されないように、各相のサイリスタ(11、12)の非導通期間を調整する出力信号(S1、S2、S3)を出力する。論理回路部33は、制御部40が出力するOFF信号(出力信号Soff0)と、信号出力部32が出力する出力信号(S1、S2、S3)とを論理演算して、制御信号(Soff1、Soff2、Soff3)を生成する。
【0094】
これにより、本実施形態による電力変換装置1は、信号出力部32と論理回路部33とを用いた簡易な構成により、各相のサイリスタ(11、12)の導通の偏りを調整し、均等化することができる。
【0095】
また、本実施形態では、論理回路部33が、OR回路(331、332、333)である。
これにより、本実施形態による電力変換装置1は、OR回路(331、332、333)を用いることで、複雑な論理回路を必要とせずに、構成をさらに簡略化及び小型化することができる。
【0096】
また、本実施形態によるバッテリ充電装置100は、上述した電力変換装置1を備え、整流部10は、3相の交流電力を整流した直流電力を、充電電力としてバッテリ3に供給する。
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置100は、上述した電力変換装置1と同様の効果を奏し、発熱を低減することができ、装置を小型化することができる。
【0097】
また、本実施形態による電力変換方法は、回転子の回転に応じて、発電機2が出力する3相の交流電力のそれぞれの信号線に接続されたサイリスタ(11,12)の導通により、3相の交流電力を整流した直流電力を出力する整流部10を備える電力変換装置1の電力変換方法であって、制御ステップと、調整ステップとを含む。制御ステップにおいて、制御部40が、整流部10が出力する直流電力の電圧(出力電圧Vout)が、所定の電圧以上になった場合に、サイリスタ(11、12)の導通を停止するOFF信号(停止信号)を出力する。調整ステップにおいて、調整処理部30が、制御ステップによって出力されたOFF信号(停止信号)に基づいて、3相の各相で、サイリスタ(11、12)が一定の導通状態で固定されないように、各相のサイリスタ(11、12)の制御信号を調整する。
【0098】
これにより、本実施形態による電力変換方法は、上述した電力変換装置1及びバッテリ充電装置100と同様の効果を奏し、発熱を低減することができ、装置を小型化することができる。
【0099】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、電力変換装置1をバッテリ充電装置100に用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、電力変換装置1を他の装置(他の用途)に適用してもよい。
【0100】
また、上記の実施形態において、電力変換装置1は、3相サイリスタオープン式のレギュレータである例を説明したが、これに限定されるものではなく、3相の交流信号(交流電力)を整流する電力変換装置であれば、他の装置であってもよい。
【0101】
また、上記の実施形態において、スイッチ素子が、サイリスタ(11、12)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)など他のスイッチ素子であってもよい。
【0102】
また、上記の実施形態において、論理回路部33が、OR回路(331、332、333)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の論理回路を用いてもよい。
【0103】
また、上記の実施形態において、調整処理部30、及び制御部40は、回路手段により実現されてもよいし、CPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させるソフトウェア処理により実現されてもよい。
【0104】
また、上述の調整処理部30、及び制御部40の機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 電力変換装置
2 発電機
3 バッテリ
10 整流部
11、11-1、11-2、11-3、12、12-1、12-2、12-3 サイリスタ
13 U相ドライバ部
14 V相ドライバ部
15 W相ドライバ部
21 回転数センサ
30 調整処理部
31 回転数検出部
32 信号出力部
33 論理回路部
40 制御部
100 バッテリ充電装置
331、332、333 OR回路