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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085854
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230614BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C13/00 C
B60C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200139
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】助川 新
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕紀
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC47
3D131GA01
3D131GA03
3D131LA20
(57)【要約】
【課題】電子タグの位置をわかりやすく示すことのできるタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ100は、凸部30を含むトレッド部3と、サイドウォール部2と、外表面よりも内側に配置された電子タグ7と、電子タグ7の位置を示す表示部8と、を備え、表示部8は、凸部30に配置され、周方向Cにおける、電子タグ7と同じ位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏面を含むトレッド部と、
サイドウォール部と、
外表面よりも内側に配置された電子タグと、
前記電子タグの位置を示す表示部と、を備え、
前記表示部は、
前記踏面に配置され、
周方向における、前記電子タグと同じ位置に配置されているタイヤ。
【請求項2】
前記表示部は、
前記踏面において、他の部分とは異なる色の素材で形成されており、
前記外表面から径方向内側にかけて形成されている請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記表示部は、前記タイヤの幅方向における、前記電子タグの位置を指し示す請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記表示部は、前記サイドウォール部から前記踏面にかけて延在している請求項1から3の何れか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記表示部は、
前記周方向における、前記電子タグとは異なる位置に配置され、
前記周方向における、前記電子タグの位置を指し示す請求項1から4の何れか一項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランスポンダを備えた空気入りタイヤが記載されている。トランスポンダは、タイヤに関する種々の情報や使用中のタイヤのデータを提供可能としている。このタイヤでは、トランスポンダは、送受信機能及び記憶機能を有し、例えばサイドウォール部に配置される。そして、トランスポンダが配置されたサイドウォールのタイヤ外表面又はトランスポンダが配置されたサイドウォール部とは逆側のサイドウォール部のタイヤ外表面に、トランスポンダの位置を示す識別標識が設けられている。トランスポンダの位置を示す識別標識は、色又は形状に基づいて他の部位から区別される。識別標識の色がタイヤ外表面の色とは異なる場合には、色彩、明度、色相のいずれかが異なる場合が含まれる。識別標識が立体形状である場合は、タイヤ外表面から窪んだ凹形状、タイヤ外表面から突出した凸形状、或いは、凹形状と凸形状とを組み合わせた形状等が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-056443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載されるように、トランスポンダとして機能する電子チップ(いわゆる電子タグ又はRFIDタグ、以下、単に電子タグと記載する)をタイヤの内部又は内表面に設ける場合がある。そして、電子チップとの通信により、タイヤに関する情報を外部端末に提供可能とする場合がある。これにより、タイヤの型式、流通販売に係る情報、使用履歴やタイヤを取り付けた車両の走行情報等を把握したり、タイヤのリサイクル時における必要情報(例えば、タイヤの構成材料に係る情報)をタイヤから取得したり、タイヤの適正な廃棄、リサイクルに係るトレーサビリティの管理が容易となる。電子タグの位置がタイヤの外表面に表示されていると、電子タグから情報を取得する端末装置によって情報を取得する場合に、センサをかざす位置をその表示によって把握することができるため便利である。また、タイヤを廃棄又はリサイクルする際の分別処理において電子タグをタイヤから分別する際に、その電子タグの位置を知ることができるため便利である。
【0005】
しかし、電子タグの位置を示す表示が、サイドウォール部などのタイヤの側部に設けられている場合、サイドウォールを視認することが困難となる場合がある。例えば、タイヤを平積みして保管している場合又はタイヤを横並びにして保管している場合には、隣接するタイヤによって、タイヤのサイドウォール部が隠れてしまう。もちろん、タイヤを保管位置から移動させるなどすれば、サイドウォールを視認することも可能となる。しかし、例えば大量にタイヤを保管する環境や、大型タイヤである場合には、そのようなタイヤの移動は、作業者にとって大きな負担となる。そこで、タイヤに設けられた電子タグの位置をわかりやすく示すことが望まれる。
【0006】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、電子タグの位置をわかりやすく示すことのできるタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るタイヤは、
踏面を含むトレッド部と、
サイドウォール部と、
外表面よりも内側に配置された電子タグと、
前記電子タグの位置を示す表示部と、を備え、
前記表示部は、
前記踏面に配置され、
周方向における、前記電子タグと同じ位置に配置されている。
【0008】
上記構成によれば、タイヤに設けられた電子タグの位置をわかりやすく示すことができる。すなわち、タイヤの電子タグとの通信を行おうとする作業者(以下、単に作業者と記載する)は、タイヤのトレッド部の踏面が露出した状態において、タイヤの周方向における、電子タグと同じ位置に配置された表示部を目印として、タイヤの周方向における電子タグの位置を容易に把握することができる。
【0009】
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記表示部は、
前記踏面において、他の部分とは異なる色の素材で形成されており、
前記外表面から径方向内側にかけて形成されてもよい。
【0010】
上記構成によれば、表示を色の違いで分かりやすく識別することができる。この場合において、表示部がタイヤの外表面から径方向内側にかけて形成されていることで、タイヤがある程度使用されて踏面が摩耗した状態であっても、表示部の識別性の低下を回避することができる。
【0011】
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記表示部は、前記タイヤの幅方向における、前記電子タグの位置を指し示してもよい。
【0012】
上記構成によれば、作業者は、タイヤの幅方向におけるどちら側に電子タグが配置されているのかを容易に把握することができる。
【0013】
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記表示部は、前記サイドウォール部から前記踏面にかけて延在していてもよい。
【0014】
上記構成によれば、タイヤのトレッド部の踏面又はサイドウォールが露出していれば、作業者は、タイヤの周方向における電子タグの位置を容易に把握することができる。
【0015】
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記表示部は、
前記周方向における、前記電子タグとは異なる位置に配置され、
前記周方向における、前記電子タグの位置を指し示してもよい。
【0016】
上記構成によれば、作業者は、タイヤの周方向におけるどちら側に電子タグが配置されているのかを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係るタイヤの斜視図である。
図2】第一実施形態に係るタイヤにおける周方向に交差する断面であって、表示部を含む部分の断面図である。
図3】第二実施形態に係るタイヤの斜視図である。
図4】第二実施形態に係るタイヤにおける周方向に交差する断面であって、表示部を含む部分の断面図である。
図5】第三実施形態に係るタイヤの斜視図である。
図6】変形例1のタイヤのトレッド部の表面を示す図である。
図7】変形例2のタイヤの斜視図である。
図8】変形例3のタイヤのトレッド部の表面を示す図である。
図9】別の表示部が形成された場合のタイヤのトレッド部の表面を示す図である。
図10】タグの配置が異なる場合のタイヤの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係るタイヤについて説明する。
【0019】
(第一実施形態)
図1には本実施形態に係るタイヤ100を示している。タイヤ100は、タイヤ100の外表面よりも内側に配置された電子タグ7(以下、タグ7と記載する)と、タグ7の位置を示す表示部8と、を備えている。タグ7の一例は、いわゆるRFIDタグであり、通信を行うためのアンテナ回路、記憶回路及び制御回路を含む電子回路装置や電子チップである。以下、タイヤ100について詳述する。
【0020】
タイヤ100は、タイヤ100の側部に配置され、タイヤ100をリムに固定させるビード部1、タイヤ100の側部であるサイドウォール部2及び路面と接するトレッド部3を備えている。
【0021】
タイヤ100は、軸心Gを中心とする、およそ円形状の環状に形成されている。すなわち、トレッド部3、サイドウォール部2及びビード部1は、軸心Gを共通の中心とする、およそ円形状の環状である。
【0022】
以下の説明では、タイヤ100の幅方向W、周方向C及び径方向R(図2参照)は、トレッド部3の幅方向、周方向及び径方向と同じ意味である。径方向Rにおいて、環状の外側を径方向外側、環状の内側を径方向内側と称する。
【0023】
図2には、周方向Cに交差するタイヤ100の断面、すなわち、周方向Cに沿って見たタイヤ100の断面であって、表示部8を含む部分の断面を示している。タイヤ100は、図2に示すように、内部構造として、タイヤ100の骨格を形成するコード層であるカーカス5、ビード部1の内部骨格となり、カーカス5を支持するビードコア4及びトレッド部3の表面とカーカス5の間において周方向Cに沿って張られた補強帯であるベルト6を有している。
【0024】
ビード部1、サイドウォール部2及びトレッド部3はそれぞれ合成ゴムを含む。ビード部1及びサイドウォール部2の合成ゴムをサイドゴムと称する。トレッド部3の合成ゴムをトレッドゴムと称する。ビードコア4、カーカス5及びベルト6はサイドゴム及びトレッドゴムに包埋されている。タイヤ100では、トレッド部3の幅方向Wにおける両端部に、サイドウォール部2の径方向外側の端部が一体に接続されている。サイドウォール部2の径方向内側の端部にはビード部1が一体に接続されている。すなわち、周方向Cに交差するタイヤ100の断面は、アルファベットのC字形状となっている。本実施形態における、タイヤ100の外表面とは、タイヤ100のC字形状における、C字の弧の外側の表面のことをいう。また、タイヤ100の内表面とは、タイヤ100のC字形状における、C字の弧の内側の表面のことをいう。
【0025】
本実施形態におけるタイヤ100は、上述のごとく、タグ7と表示部8とを更に備えて
いる。
【0026】
トレッド部3には、トレッドパターンが形成されており、外周面が路面に接する複数の凸部30(踏面の一例)と、凸部30に対して相対的に径方向内側に凹んだ複数の凹部31とが形成されている。凹部31は、例えば、周方向溝である。なお、外周面とは、タイヤ100における、トレッド部3の径方向外側の面のことである。
【0027】
図1図2では、タグ7が、一方のサイドウォール部2のビード部1に近い側における、タイヤ100の内部であって、タイヤ100の幅方向Wにおける、カーカス5(図2参照)よりも外側に配置されている場合を例示している。すなわち、タグ7は、タイヤ100の側部に位置している。なお、幅方向Wにおける外側とは、トレッド部3からみてサイドウォール部2の側と同じ側である。
【0028】
表示部8は、トレッド部3における、凸部30の一部分に形成されている。
【0029】
表示部8は、図1に示すように、タイヤ100の周方向Cにおける、タグ7と同じ位置に配置されている。これにより、表示部8は、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置を示すことができる。ここで、表示部8及びタグ7が「周方向Cにおいて同じ位置に配置される」とは、表示部8及びタグ7の少なくとも一部が周方向Cにおいて同じ位置に配置されることを意味し、表示部8及びタグ7の全体が周方向Cにおいて同じ位置に配置される構成に限られない。
【0030】
タグ7がタイヤ100の側部に位置している場合、例えばタイヤ100が平積みされた場合においては、タイヤ100の外表面であって、タグ7が配置されている部分の外表面は、隣接する別のタイヤにより隠れてしまう場合がある。しかし、表示部8が凸部30の部分に設けられていることで、トレッド部3の凸部30が露出して目視できる状態であれば、作業者は、タイヤ100の周方向Cにおける、タグ7と同じ位置に配置された表示部8を目印として、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置を容易に把握することができる。なお、表示部8を凸部30に形成することで、表示部8を凹部31に形成するよりも、目視で確認しやすくなる。
【0031】
表示部8は、トレッド部3における他の部分とは異なる色の素材(異色素材)で形成するとよい。これにより、表示部8の表示を色の違いで分かりやすく識別することができる。なお、異なる色とは、色彩、色調、明度、模様、光沢など、目視によって相違を把握できる違いがあること、すなわち、目視による識別性を有することを意味する。異色素材には、発光又は蓄光する素材も含まれる。本実施形態では、表示部8として、異色部81(第一表示部と称する場合がある)が形成されている場合を例示している。異色素材は、他の部分とは異なる色の顔料をゴムに添加したものを用いたり、ゴムからカーボンを除いたりしたものを用いてよい。
【0032】
表示部8としての異色部81は、図2に示すように、外表面から径方向Rの内側にかけて形成されているとよい。例えば、異色素材が凸部30内に埋め込まれたような状態で表示部8が凸部30に形成されているとよい。これにより、タイヤ100がある程度使用されて凸部30が摩耗した状態であっても、表示部8の識別性の低下を回避することができる。
【0033】
本実施形態において、表示部8は、トレッド部3において、幅方向Wにおける、タグ7に寄せた側に配置している。これにより、表示部8は、タイヤ100の幅方向Wにおける、タグ7の位置を指し示している。すなわち、表示部8が寄せてある側の側部にタグ7が配置されていることを示すことができる。これにより、作業者は、タイヤ100の幅方向
Wにおけるどちら側にタグ7が配置されているのかを容易に把握することができる。
【0034】
(第二実施形態)
第二実施形態に係るタイヤ100は、第一実施形態に係るタイヤ100と、表示部8の配置が異なり、その他は同じである。
【0035】
本実施形態におけるタイヤ100では、図3図4に示すように、トレッド部3の複数の凸部30のそれぞれに、表示部8が形成されている。それぞれの表示部8は、タイヤ100の周方向Cにおける、タグ7と同じ位置に、幅方向Wに沿って並べて配置されている。これにより、表示部8は、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置をより分かりやすく示すことができる。
【0036】
(第三実施形態)
第三実施形態に係るタイヤ100は、上述の実施形態に係るタイヤ100と、表示部8の配置及び態様が異なり、その他は同じである。
【0037】
本実施形態におけるタイヤ100では、図5に示すように、トレッド部3の複数の凸部30のそれぞれに、表示部8が形成されていると共に、更に、サイドウォール部2からビード部1に至る範囲に表示部8が形成されている。それぞれの表示部8は、タイヤ100の周方向Cにおける、タグ7と同じ位置に、幅方向Wに沿ってタイヤ100の外表面に並べて配置されている。すなわち、表示部8は、タイヤ100におけるビード部1及びサイドウォール部2からトレッド部3の凸部30にかけて、凹部31で途切れながらも、全体として延在している。これにより、表示部8は、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置をより分かりやすく示すことができる。なお、表示部8を凹部31にも形成して、表示部8をタイヤ100におけるビード部1及びサイドウォール部2からトレッド部3の凸部30にかけて延在させてもかまわない。
【0038】
本実施形態では、サイドウォール部2からビード部1に至る範囲に形成された表示部8が、周囲とは異なる色の素材をタイヤ100の外表面にプリント又は貼付されたプリント部82(第二表示部と称する場合がある)である場合を例示している。すなわち、表示部8は、第一表示部としての異色部81と第二表示部としてのプリント部82とを有してもよい。
【0039】
本実施形態のような表示部8であれば、タイヤ100のトレッド部3の凸部30又はサイドウォール部2やビード部1が露出していれば、作業者は、タイヤ100の周方向C及び幅方向Wにおけるタグ7の位置を容易に把握することができる。
【0040】
(変形例の説明)
以下では、上記実施形態の変形例を説明する。
【0041】
(変形例1)
図6では、トレッド部3のトレッドパターンが周方向Cに沿って形成されたジグザグ状である場合を例示している。なお、図6は、トレッド部3の外表面を平面上に展開した図である。この場合、凸部30には、幅方向Wの一方に向けて凸形状になる頂部30aと、幅方向Wの一方に向けて凹形状になる谷部30bとが形成される。
【0042】
図6では、トレッドパターンの形状を利用して、表示部8により、タグ7の位置を指し示すようにしている。詳述すると、タイヤ100の周方向Cにおける、タグ7と同じ位置に形成されているトレッドパターンの凸部30であって、頂部30aがタグ7を指し示す方向に向く凸部30に、表示部8を形成している。これにより、表示部8が矢印のような
形状となって、タグ7の位置を指し示すことができる。これにより、作業者は、タイヤ100の幅方向Wにおけるどちら側にタグ7が配置されているのかを容易に把握することができる。なお、トレッド部3のトレッドパターンがジグザグ形状でない場合にあっては、凹部31である周方向溝の側面にある凸部、すなわち、凸部30における、凸部30の側面から溝側に突出する凸部であって、タグ7を指し示す凸部に表示部8を形成することができる。
【0043】
(変形例2)
図7では、表示部8として、タグ7から最も近いタイヤ100の外表面に向けて下した当該外表面に対する垂線が外表面と交差する位置に、位置表示部87が形成されている場合を例示している。位置表示部87は、例えば、凹部などの形状による表示や、外表面にプリント又は貼付して形成した異色の表示であってよい。作業者が端末装置を用いてタグ7との通信を行う場合は、表示部8はタグ7の大まかな位置を示すことができれば足りるものの、例えばタイヤ100の廃棄に当たって、分別処理(タグ7を分別する、すなわち、タグ7をタイヤ100から取り除く)を行いたい場合には、位置表示部87により、正確にタグ7の位置が表示されているとよい。
【0044】
また、図7では、表示部8として、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7とは異なる位置に、周方向Cにおけるタグ7の位置を指し示す方向表示部89を含む場合を例示している。図7では、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7と同じ位置に対して、タイヤ100の周方向Cの前後にひとつずつ方向表示部89,89を配置した場合を例示している。方向表示部89は、例えば三角形状に形成された矢印のような表示として形成されており、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置を指し示すようになっている。これにより、作業者は、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7と同じ位置のトレッド部3が露出していない場合でも、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置を知ることができる。なお、方向表示部89も、凸部30に形成してよい。
【0045】
(変形例3)
図8では、トレッド部3のトレッドパターンがジグザグ状である場合を例示している。なお、図8は、トレッド部3の外表面を平面上に展開した図である。この場合、凸部30には、幅方向W又は周方向Cに対して傾斜した形状となる第一傾斜部30Aと、第一傾斜部30Aとは反対側に傾斜する第二傾斜部30Bとが含まれる。
【0046】
図8に示した例では、タイヤ100の周方向Cにおける、タグ7とは異なる位置の第一傾斜部30Aや第二傾斜部30Bに、異色素材などで形成された方向表示部89を形成し、第一傾斜部30Aや第二傾斜部30Bの向きによって、タイヤ100の周方向Cにおけるタグ7の位置を指し示している。具体的には、凸部30における、タグ7に対向する(辺を有する)第一傾斜部30A又は第二傾斜部30Bに方向表示部89を形成して、タグ7の位置を指し示すようにしている。すなわち、トレッドパターンの形状によりタグ7の位置を指し示すことができるのである。なお、トレッド部3のトレッドパターンがジグザグ形状でない場合にあっては、周方向溝の側面にある凸部、すなわち、凸部30の側面から溝側に突出する凸部であって、タグ7に対向する部分に異形部38を形成すればよい。
【0047】
以上のようにして、タイヤに設けられた電子タグの位置をわかりやすく示すことができる。
【0048】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、表示部8として異色部81が形成されている場合を例示して説明した。しかし、表示部8は異色部81として形成される場合に限られない。図9には、トレッド部3のトレッドパターンがジグザグ状である場合を例示している。なお、図9
、トレッド部3の外表面を平面上に展開した図である。図9の例では、トレッドパターンのジグザグ形状における、例えば頂部30aとなる部分に面取りした異形部38を形成した場合を例示している。異形部38を周方向Cにおけるタグ7と同じ位置に配置することで、異形部38を表示部8として利用することもできる。なお、図9に示す例では、異形部38における面取りされた面が幅方向Wにおけるタグ7に向く(タグ7に対向する)ように形成している。これにより、異形部38は、幅方向Wにおけるタグ7の位置も指し示すことができるようになっている。なお、トレッド部3のトレッドパターンがジグザグ形状でない場合にあっては、周方向溝の側面にある凸部、すなわち、凸部30の側面から溝側に突出する凸部に異形部38を形成すればよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、タグ7がタイヤ100の側部に配置されている場合を例示して説明したが、タグ7は、図10に示すように、トレッド部3における、タイヤ100の径方向内側に配置してもよい。例えば、トレッド部3におけるタイヤ100の内周面にタグ7を配置してもよい。図10では、タグ7から最も近いタイヤ100の外表面に向けて下した垂線が外表面と交差するトレッド部3の凸部30の位置に、異色部81が形成されている場合を例示している。
【0050】
(3)上記実施形態では、タグ7がタイヤ100の内部に配置されている場合を例示して説明したが、タグ7は、タイヤ100の内表面に貼付等により配置される場合も有る。
【0051】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、タイヤに適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 :ビード部
100 :タイヤ
2 :サイドウォール部
3 :トレッド部
30 :凸部(踏面)
30A :第一傾斜部
30B :第二傾斜部
30a :頂部
30b :谷部
31 :凹部
38 :異形部
4 :ビードコア
5 :カーカス
6 :ベルト
7 :タグ(電子タグ)
8 :表示部
81 :異色部
82 :プリント部
87 :位置表示部
89 :方向表示部
C :周方向
R :径方向
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10