IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

<>
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図1
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図2
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図3
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図4
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図5
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図6
  • 特開-タイヤ・ホイール組立体及びホイール 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085860
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】タイヤ・ホイール組立体及びホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 21/00 20060101AFI20230614BHJP
   B60C 19/00 20060101ALN20230614BHJP
【FI】
B60B21/00 Z
B60C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200145
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】助川 新
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕紀
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA20
3D131LA24
(57)【要約】
【課題】タイヤに設けられた通信装置の位置の把握しやすくする、タイヤ・ホイール組立体及びホイールを提供することにある。
【解決手段】本開示に係るタイヤ・ホイール組立体は、通信装置を備えるタイヤと、前記タイヤが組み付けられている、ホイールと、を備えるタイヤ・ホイール組立体であって、前記ホイールは、前記ホイールの表面に、前記通信装置のタイヤ周方向位置を示す第1表示部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置を備えるタイヤと、
前記タイヤが組み付けられている、ホイールと、
を備えるタイヤ・ホイール組立体であって、
前記ホイールは、前記ホイールの表面に、前記通信装置のタイヤ周方向位置を示す第1表示部を備える、タイヤ・ホイール組立体。
【請求項2】
前記第1表示部の少なくとも一部は、前記ホイールのリムのフランジのホイール幅方向外側の表面に設けられている、請求項1に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項3】
前記フランジは、前記リムから取り外し可能である、請求項2に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項4】
前記第1表示部の色は、前記ホイールの前記表面の色の補色である、請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項5】
前記第1表示部は、長手状の形状を有し、ホイール径方向に沿って設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項6】
前記第1表示部のホイール径方向における長さは、前記ホイールの半径の半分以上である、請求項5に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項7】
前記ホイールは、前記ホイールの前記表面に、前記通信装置のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示す第2表示部を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項8】
前記ホイールの前記表面において、前記第2表示部は、前記第1表示部の一部と重なるように設けられ、
前記第2表示部は、前記第1表示部の長手方向における、前記第1表示部と前記第2表示部とが重なっている部分の位置により、前記通信装置のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示す、請求項7に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項9】
通信装置を備えるタイヤが組み付けられるホイールであって、
前記タイヤが組付けられた状態において、前記通信装置のタイヤ周方向位置を示す第1表示部を備える、ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ・ホイール組立体及びホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
RFタグなどの通信装置が取り付けられたタイヤにおいて、通信装置の位置の把握しやすくする技術が知られている。例えば、特許文献1には、タイヤの外表面に、タイヤに配置されたトランスポンダの位置を示す識別標識が設けられたタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-56443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通信装置の位置を示す表示部のタイヤの外表面における位置によっては、タイヤが使用されていく中で、汚れの付着又は摩耗等により、視認しづらくなる場合がある。そのため、依然として、タイヤに設けられた通信装置の位置の把握しやすくすることが求められている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、タイヤに設けられた通信装置の位置の把握しやすくする、タイヤ・ホイール組立体及びホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体は、通信装置を備えるタイヤと、前記タイヤが組み付けられている、ホイールと、を備えるタイヤ・ホイール組立体であって、前記ホイールは、前記ホイールの表面に、前記通信装置のタイヤ周方向位置を示す第1表示部を備える。
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体によれば、タイヤに設けられた通信装置の位置を把握しやすくなる。
【0007】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記第1表示部の少なくとも一部は、前記ホイールのリムのフランジのホイール幅方向外側の表面に設けられていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、ホイールにおいて第1表示部が視認しやすい。
【0008】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記フランジは、前記リムから取り外し可能であることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、タイヤに設けられた通信装置の位置と第1表示部の位置とを調整しやすい。
【0009】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記第1表示部の色は、前記ホイールの前記表面の色の補色であることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、ホイールにおいて第1表示部が視認しやすい。
【0010】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記第1表示部は、長手状の形状を有し、ホイール径方向に沿って設けられていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、第1表示部の一部に泥等が付着した場合でも第1表示部が視認しやすい。
【0011】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記第1表示部のホイール径方向における長さは、前記ホイールの半径の半分以上であることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、第1表示部の一部に泥等が付着した場合でも第1表示部が視認しやすい。
【0012】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記ホイールは、前記ホイールの前記表面に、前記通信装置のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示す第2表示部を更に備えることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、タイヤに設けられた通信装置の位置をより詳細に把握することができる。
【0013】
本開示に係るタイヤ・ホイール組立体では、前記ホイールの前記表面において、前記第2表示部は、前記第1表示部の一部と重なるように設けられ、前記第2表示部は、前記第1表示部の長手方向における、前記第1表示部と前記第2表示部とが重なっている部分の位置により、前記通信装置のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示すことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体によれば、タイヤに設けられた通信装置の位置をさらに把握しやすくなる。
【0014】
本開示に係るホイールは、通信装置を備えるタイヤが組み付けられるホイールであって、前記タイヤが組付けられた状態において、前記通信装置のタイヤ周方向位置を示す第1表示部を備える。
本開示に係るホイールによれば、タイヤに設けられた通信装置の位置を把握しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、タイヤに設けられた通信装置の位置の把握しやすくする、タイヤ・ホイール組立体及びホイールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の側面図である。
図2図2は、図1に示されるタイヤ・ホイール組立体の、タイヤ幅方向断面図である。
図3図3は、図2に示される第2表示部と通信装置のタイヤ径方向位置との関係を模式的に示した図である。
図4図4は、図2に示される第2表示部と通信装置のタイヤ幅方向位置との関係を模式的に示した図である。
図5図5は、図1に示されるタイヤ・ホイール組立体の第1の変形例を示す、タイヤ幅方向断面図である。
図6図6は、図1に示されるタイヤ・ホイール組立体の第2の変形例の側面図である。
図7図7は、図6に示されるタイヤ・ホイール組立体の第2の変形例の、タイヤ幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係るタイヤ・ホイール組立体の実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
【0018】
本開示において、「タイヤ幅方向」とは、タイヤの回転軸と平行な方向をいう。「タイヤ径方向」とは、タイヤの回転軸と直交する方向をいう。「タイヤ周方向」とは、タイヤの回転軸を中心にタイヤが回転する方向をいう。
【0019】
また、本開示において、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と称する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤの赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤの赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
【0020】
さらに、本開示において、「ホイール幅方向」とは、ホイールの回転軸と平行な方向をいう。「ホイール径方向」とは、ホイールの回転軸と直交する方向をいう。「ホイール周方向」とは、ホイールの回転軸を中心にホイールが回転する方向をいう。本実施形態では、タイヤがホイールに組付けられた状態において、ホイール径方向はタイヤ径方向と平行であり、ホイール幅方向はタイヤ幅方向と平行であり、ホイール周方向はタイヤ周方向と平行であるものとする。ただし、タイヤがホイールに組付けられた状態において、ホイール径方向、ホイール幅方向、又はホイール周方向が、それぞれタイヤ径方向、タイヤ幅方向、又はタイヤ周方向と平行でなくてもよい。
【0021】
また、本開示において、ホイール径方向に沿ってホイールの回転軸に近い側を「ホイール径方向内側」と称し、ホイール径方向に沿ってホイールの回転軸から遠い側を「ホイール径方向外側」と称する。一方、ホイール幅方向に沿ってホイールの赤道面CLに近い側を「ホイール幅方向内側」と称し、ホイール幅方向に沿ってホイールの赤道面CLから遠い側を「ホイール幅方向外側」と称する。本実施形態では、ホイールの赤道面CLは、タイヤの赤道面CLと同一であるものとする。ただし、ホイールの赤道面CLは、タイヤの赤道面CLと同一でなくてもよい。
【0022】
本開示において、特に断りのない限り、タイヤの各要素の位置関係等は、基準状態で測定されるものとする。「基準状態」とは、タイヤを適用リムであるホイールのリムに組み付け、規定内圧を充填し、無負荷とした状態である。以下において、タイヤは、内腔に空気が充填され、ホイールローダ又はダンプカー等、建設車両に装着されるものとして説明する。ただし、タイヤの内腔には空気以外の流体が充填されていてもよく、タイヤは建設車両以外の車両に装着されてもよい。
【0023】
本開示において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organization)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、或いは、将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTOのSTANDARDS MANUAL2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられる。
【0024】
本開示において、「規定内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。さらに、本開示において、「規定荷重」とは、上記産業規格に記載されている適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する荷重をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合には、「規定荷重」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0025】
はじめに、図1を参照して、本開示の一実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体1の概略構成を説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体1を、ホイール幅方向から見た側面図である。タイヤ・ホイール組立体1は、タイヤ10と、ホイール20と、を備える。図1において、タイヤ10は、タイヤ10を適用リムであるホイール20に組み付け、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で示されている。タイヤ10には、通信装置30が設けられている。ホイール20の表面には、通信装置30のタイヤ周方向位置を示す第1表示部40が設けられている。ホイール20の表面は、タイヤ10の表面に比べて、泥等の汚れが付着しにくく、洗浄することで付着した汚れが取れやすい。また、ホイール20の表面は、タイヤ10の表面に比べて、摩耗しにくい。このため、タイヤ・ホイール組立体1において、タイヤ10に設けられた通信装置30の位置を把握しやすくなる。
【0026】
以下、図2を参照して、タイヤ・ホイール組立体1における、タイヤ10及びホイール20の構成の一例について、詳細に説明する。図2は、図1に示されるタイヤ・ホイール組立体1をタイヤ幅方向に沿って切断した、タイヤ幅方向断面図である。
【0027】
(タイヤの構成)
図2に示されるように、タイヤ10は、一対のビード部11と、一対のサイドウォール部12と、トレッド部13とを有している。サイドウォール部12は、トレッド部13とビード部11との間に延在している。
【0028】
本実施形態において、タイヤ10は、タイヤの赤道面CLに対して対称な構成であるものとして説明する。しかしながら、タイヤ10は、タイヤの赤道面CLに対して非対称な構成とされていてもよい。
【0029】
タイヤ10は、ビード部11に配置された一対のビードコア14と、一対のビードコア14間にトロイダル状に延在する1枚以上のプライから成るカーカス15と、カーカス15のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置された1層以上のベルト層から成るベルト16と、を備えている。
【0030】
ビードコア14は、タイヤ周方向に延在する環状のケーブルビードからなっている。ケーブルビードは、例えば、高炭素の鋼線をゴム被覆して構成されている。ビードコア14の延在方向に直交する断面の形状(タイヤ幅方向断面の形状)は、円形とされている。ただし、ビードコア14のタイヤ幅方向断面の形状は、六角形等、任意の形状とされていてもよい。ビードコア14のタイヤ径方向外側には、ゴム材料等で形成されたビードフィラー17が設けられている。本実施形態において、ビードコア14及びビードフィラー17は、タイヤ幅方向断面において、カーカス15によって周囲を囲まれている。ただし、タイヤ10は、ビードフィラー17を備えない構成とされてもよい。
【0031】
カーカス15は、一対のビードコア14間にトロイダル状に延在する1枚以上(本実施形態では1枚)のプライからなる。プライは、複数のコードをゴム被覆して構成されている。プライを構成するコードは、例えば、スチールコードであるが、レーヨン又はPET(ポリエチレンテレフタレート)などで構成された有機繊維コードであってもよい。本実施形態において、コードは、トレッド部13においてタイヤ幅方向に延在するように配置されている。即ち、カーカス15は、ラジアル構造とされている。ただし、カーカス15は、ラジアル構造に限られず、バイアス構造等、任意の構造とされていてもよい。
【0032】
カーカス15は、一対のビードコア14に係止されている。具体的には、カーカス15は、一対のビードコア14間をトロイダル状に延在するカーカス本体部15Aと、カーカス本体部15Aから延び、ビードコア14の周りでタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されているカーカス折返し部15Bと、を備える。本実施形態では、カーカス折返し部15Bは、基準状態におけるタイヤ最大幅の位置の近傍で終端している。ここで、「タイヤ最大幅の位置」とは、タイヤ幅方向断面におけるタイヤ10のタイヤ幅方向の長さが最も長くなるタイヤ径方向の位置である。ただし、カーカス15は、カーカス折返し部15Bを有していない構造又はカーカス折返し部15Bがビードコア14に巻きつけられている構造とされてもよい。
【0033】
ベルト16は、カーカス15のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置されている。ベルト16は、タイヤの赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された1層以上(本実施形態では3層)のベルト層によって構成されている。ベルト層は、例えば、スチールコード等のベルトコードを含む。ベルト16は、トレッド部13において、カーカス15をタイヤ径方向外側から覆うように設けられている。
【0034】
タイヤ10は、インナーライナー18を有している。インナーライナー18は、タイヤ10のタイヤ内壁面を構成している。インナーライナー18は、タイヤの赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された複数のインナーライナー層によって構成されていてもよい。本実施形態では、インナーライナー18は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成されている。しかしながら、インナーライナー18は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマで構成されていてもよい。
【0035】
タイヤ10は、通信装置30を備える。本実施形態では、通信装置30は、タイヤ10のサイドウォール部12に、カーカス15のタイヤ幅方向外側に位置するように埋設されている。ただし、通信装置30は、タイヤ10の任意の位置に設けられていてもよい。通信装置30は、タイヤ10の内部の別の位置に埋設されていてもよく、或いは、タイヤ10の内側表面に張り付けられていてもよい。本開示において、通信装置30がタイヤに埋設されていることは、通信装置30がタイヤ10に完全に埋設されていることに加え、部分的に埋設されていることを含む。
【0036】
通信装置30は、無線通信を行うことができる。通信装置30は、例えば、RF(Radio Frequency)タグである。RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグともいう。通信装置30は、制御部及び記憶部を構成するIC(Integrated Circuit)チップ30Aと、ICチップ30Aに接続された1つ以上のアンテナ30Bと、を備える。ICチップ30Aは、タイヤ10の識別情報、製造年月日など、タイヤ10に関する任意の情報を記憶してもよい。本実施形態では、図1に示されるように、通信装置30は、直線状、波状、又は螺旋状に延びる2つのアンテナ30BがICチップ30Aから互いに反対方向に延びるように設けられ、装置全体として長手状の形状を有している。ただし、通信装置30の構成は、図示例に限られない。例えば、通信装置30は、1つ又は3つ以上のアンテナ30BがICチップ30Aから直線状、波状、又は螺旋状に延びるように設けられた構成とされていてもよい。或いは、通信装置30は、ICチップ30Aから延びる1つのアンテナ30BがICチップ30Aの周囲を囲むように螺旋状に配置された構成とされていてもよい。
【0037】
ICチップ30Aは、1つ以上のアンテナ30Bで受信する電磁波により発生する誘電起電力により動作してもよい。すなわち、通信装置30は、パッシブ型の通信装置であってもよい。或いは、通信装置30は、電池を更に備え、自らの電力により電磁波を発生して通信可能であってもよい。すなわち、通信装置30は、アクティブ型の通信装置であってもよい。
【0038】
(ホイールの構成)
図2に示されるように、ホイール20は、円筒状のリム21と、リム21のホイール径方向内側に設けられ、車両2(例えば、車両2のハブ)にボルト等により支持固定されるディスク22と、を有している。リム21には、ホイール径方向外側からタイヤ10が組付けられる。
【0039】
リム21には、ホイール幅方向外側から、1対のフランジ23と、1対のビードシート24と、ウェル25と、が設けられている。ビードシート24には、タイヤ10のビード部11が組み付けられる。フランジ23は、タイヤ10のビード部11をタイヤ幅方向外側から支えるために、ビードシート24からホイール幅方向外側かつホイール径方向外側に延びている。ウェル25は、1対のビードシート24の間でホイール径方向内側に向かって凹形状を呈している。そのため、ウェル25は、ビードシート24との境界からウェル25の底面まで、ホイール幅方向内側に向かうほど、ホイール径方向内側に向かって下がっていく傾斜面を有している。ただし、リム21の形状は、図示例に限れない。例えば、1対のビードシート24のそれぞれには、タイヤ10のビード部11がビードシート24からウェル25に落ちるのを防ぐために、ホイール径方向外側に突出するハンプが設けられていてもよい。
【0040】
ディスク22は、ホイール径方向外端において、リム21のホイール径方向内側の表面と連結している。本実施形態では、ディスク22は、ホイール径方向外端において、リム21のウェル25のホイール径方向内側の表面と連結している。
【0041】
ホイール20は、ホイール20の表面に、通信装置30のタイヤ周方向位置を示す第1表示部40を備える。本実施形態では、第1表示部40のホイール周方向位置と通信装置30のタイヤ周方向位置が揃うように、タイヤ10がホイール20に組付けられている。本開示において、「第1表示部40のホイール周方向位置と通信装置30のタイヤ周方向位置が揃う」とは、図1に示されるように、ホイール幅方向からの平面視にて、第1表示部40のホイール径方向(図指例ではホイール径方向外側)に通信装置30が位置していることをいう。ただし、第1表示部40及び通信装置30は、互いのタイヤ周方向位置の少なくとも一部が揃っていればよく、互いのタイヤ周方向位置が完全に揃っていることに限られない。これにより、ホイール20に設けられた第1表示部40の位置により、タイヤに設けられた通信装置の位置を把握することができる。
【0042】
なお、第1表示部40のホイール周方向位置と通信装置30のタイヤ周方向位置が揃うように、タイヤ10をホイール20に組付けることを容易にするために、タイヤ10の表面にも、通信装置30のタイヤ周方向位置を示す表示部が設けられていてもよい。
【0043】
第1表示部40は、任意の方法により、ホイール20の表面に設けられていてもよい。例えば、第1表示部40は、ホイール20の表面に塗装されていてもよい。また例えば、第1表示部40は、ホイール20の表面を突出させることにより形成されていてもよい。或いは、第1表示部40は、磁石又は接着剤等により、ホイール20の表面に張り付けられていてもよい。第1表示部40が、ホイール20の表面に対して、立体的に設けられていることにより、第1表示部40に泥等が付着して汚れた場合でも、タイヤ10外部から把握することができる。この観点では、第1表示部40は、泥等が付着し難い突出部により形成されていることが好ましい。
【0044】
本実施形態では、第1表示部40は、ホイール20のリム21のフランジ23のホイール幅方向外側の表面に設けられている。第1表示部40が、ホイール20においてホイール幅方向外側に位置するフランジ23に設けられることによって、ホイール20において第1表示部40が視認しやすくなる。ただし、第1表示部40は、フランジ23に限られず、ディスク22等、ホイール20の任意の部分の表面に設けられていてもよい。或いは、第2の変形例として詳細は後述するが、図6に示されるように、第1表示部40は、ホイール20のリム21とディスク22に亘って設けられていてもよい。
【0045】
第1表示部40の色は、第1表示部40が設けられているホイール20の表面と異なる色とされる。これにより、ホイール20において第1表示部40が視認しやすくなる。好ましくは、第1表示部40の色は、第1表示部40が設けられているホイール20の表面の色の補色とされる。例えば、タイヤ・ホイール組立体1が建設車両に取り付けられる場合、ホイール20の表面の色がオレンジとされ、第1表示部40の色がオレンジの補色である青とされてもよい。これにより、ホイール20において第1表示部40がさらに視認しやすくなる。
【0046】
さらに、第1表示部40の色は、タイヤ10における通信装置30の位置に応じて変更されてもよい。例えば、タイヤ・ホイール組立体1の赤道面CLを中心に、通信装置30が第1表示部40と同じ側に設けられている場合と、第1表示部40と異なる側に設けられている場合とで、第1表示部40に異なる色が付けられていてもよい。これにより、第1表示部40は、通信装置30のタイヤ周方向位置に加え、タイヤ幅方向位置を示すことができる。
【0047】
再び図1を参照して、本実施形態では、第1表示部40は、長手状の形状を有し、ホイール径方向に沿って設けられている。これにより、第1表示部40の一部に泥等が付着した場合でも第1表示部40が視認しやすい。さらに、ホイール幅方向からタイヤ・ホイール組立体1を見た場合に、第1表示部40の長手方向を目で追いやすくなり、通信装置30の位置が把握しやすくなる。ただし、第1表示部40の形状は、タイヤ・ホイール組立体1の用途等に応じて、任意に定められていてもよい。
【0048】
ホイール20は、ホイール20の表面に、通信装置30のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示す第2表示部41を更に備えていてもよい。これにより、タイヤに設けられた通信装置30の位置をより詳細に把握することができる。
【0049】
例えば、図1に示されるように、ホイール20の表面において、第2表示部41は、第1表示部40の一部と重なるように設けられている。第2表示部41は、第1表示部40の長手方向における、第1表示部40と第2表示部41とが重なっている部分の位置により、通信装置30のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示すことができる。
【0050】
図3及び図4を参照して、第2表示部41によって示される通信装置30のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置について説明する。図3は、第2表示部41と通信装置30のタイヤ径方向位置との関係を模式的に示した図である。図4は、第2表示部41と通信装置30のタイヤ幅方向位置との関係を模式的に示した図である。例えば、図3に示されるように、第1表示部40の長手方向の最大長が、タイヤ10のタイヤ径方向における最大長と対応付けられてもよい。かかる場合、第1表示部40の長手方向において、第1表示部40と第2表示部41とが重なっている部分の位置が、通信装置30のタイヤ径方向位置と対応するように、第2表示部41が配置されていてもよい。或いは、図4に示されるように、第1表示部40の長手方向の最大長が、タイヤ10のタイヤ幅方向における最大長と対応付けられてもよい。かかる場合、第1表示部40の長手方向において、第1表示部40と第2表示部41とが重なっている部分の位置が、通信装置30のタイヤ幅方向位置と対応するように、第2表示部41が配置されていてもよい。これにより、タイヤ10に設けられた通信装置30の位置を視覚的に把握しやすくなる。
【0051】
第2表示部41は、任意の方法により、ホイール20の表面に設けられていてもよい。例えば、第2表示部41は、ホイール20の表面に設けられた第1表示部40に塗装されていてもよい。或いは、第2表示部41は、磁石又は接着剤等により、ホイール20の表面に設けられた第1表示部40に張り付けられていてもよい。ただし、第2表示部41は、ホイール20の表面において、第1表示部40と重なっていなくてもよい。かかる場合、第2表示部41は、第1表示部40との相対的な位置により、通信装置30のタイヤ径方向位置又はタイヤ幅方向位置を示してもよい。
【0052】
第1表示部40及び第2表示部41の少なくとも一方は、発光領域を含んでいてもよい。発光領域は、光を外部に放出可能な領域である。第1表示部40及び第2表示部41の少なくとも一方が発光領域を含むことで、夜間又は暗所等の暗い環境において、第1表示部40及び第2表示部41の少なくとも一方をタイヤ・ホイール組立体1の外部から容易に視認することができる。そのため、暗い環境における、通信装置30の位置の特定が容易になる。
【0053】
発光領域は、光を外部に放出可能な領域であれば、特に限定されない。発光領域は、例えば、蓄光材を含む蓄光塗料により構成されてもよい。蓄光材には、例えば、組成式:SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、SrAl2O4:Eu,Dy+Sr4Al14O25:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy+CaAl2O4:Eu,Nd、CaAl2O4:Eu,Nd、ZnS:Cu,Mn,Co、ZnS:Cu等が挙げられる。或いは、発光領域は、ブラックライト等の紫外線を照射されることにより発光する蛍光物質を含む蛍光塗料により構成されてもよい。
【0054】
以下、タイヤ・ホイール組立体1の変形例について、図5図6及び図7を参照して説明する。図5は、図1に示されるタイヤ・ホイール組立体1の第1の変形例を示す、タイヤ幅方向断面図である。
【0055】
タイヤ・ホイール組立体1の第1の変形例において、フランジ23は、リム21から取り外し可能とされていてもよい。本実施形態では、図5に示されるように、1対のフランジ23A及び23Bのうち、第1表示部40が設けられたフランジ23Aがリム21から取り外し可能とされている。
【0056】
具体的には、図5において、ホイール20のリム21は、第1表示部40が設けられたフランジ23A及びそれに連なるビードシート24を含むサイドリング26と、他方のフランジ23B、ビードシート24及びウェル25を含むリム本体部27と、ロックリング28と、を備える。図5に示されるように、サイドリング26がリム本体部27に嵌入された状態で、ロックリング28がサイドリング26のホイール幅方向外側に当接するようにリム本体部27に取付けられることで、サイドリング26がリム本体部27に固定される。一方で、ロックリング28をリム本体部27から取り外すことで、サイドリング26がリム本体部27から取り外し可能になる。これにより、タイヤ・ホイール組立体1に対して、サイドリング26をタイヤ周方向に回転させることができ、タイヤ10に設けられた通信装置30の位置と第1表示部40の位置とを調整しやすい。
【0057】
図6は、図1に示されるタイヤ・ホイール組立体1の第2の変形例の側面図である。図7は、図6に示されるタイヤ・ホイール組立体1の第2の変形例の、タイヤ幅方向断面図である。
【0058】
タイヤ・ホイール組立体1の第2の変形例では、図6及び図7に示されるように、第1表示部40が、ホイール20のリム21とディスク22に亘って、ホイール径方向に沿って設けられている。これにより、第1表示部40を長くすることができ、第1表示部40の一部に泥等が付着した場合でも第1表示部40が視認しやすくなる。
【0059】
好ましくは、第1表示部40のホイール径方向における長さが、ホイール20の半径の半分以上とされていてもよい。これにより、汚れの付着又は摩耗等により、第1表示部40が完全に視認できなくなる蓋然性を低下させることができる。ただし、第1表示部40は、ホイール20のリム21のフランジ23のホイール幅方向外側の表面のみに設けられたままとし、フランジ23のホイール径方向の長さをホイール20の半径の半分以上とすることにより、第1表示部40のホイール径方向における長さがホイール20の半径の半分以上とされてもよい。
【0060】
以上述べたように、本開示の一実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体1は、通信装置30を備えるタイヤ10と、タイヤ10が組み付けられている、ホイール20と、を備えるタイヤ・ホイール組立体1であって、ホイール20は、ホイール20の表面に、通信装置30のタイヤ周方向位置を示す第1表示部40を備える。
【0061】
かかる構成を有するタイヤ・ホイール組立体1によれば、タイヤ10に設けられた通信装置30の位置を把握しやすくなる。特に、ホイール20の表面は、タイヤ10の表面に比べて、汚れが付着しにくく、また、摩耗しにくいため、第1表示部40の視認性が低下しにくいという点で、タイヤ10に設けられた通信装置30の位置を把握しやすくなる。
【0062】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、タイヤ10に設けられる通信装置30は1つであるものとして説明した。しかしながら、タイヤ10には、複数の通信装置30が設けられていてもよい。かかる場合、ホイール20の表面に、それぞれの通信装置30のタイヤ周方向位置を示す第1表示部40が複数設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示はタイヤ・ホイール組立体及びホイールに関する。
【符号の説明】
【0065】
1:タイヤ・ホイール組立体、 2:車両、 10:タイヤ、 11:ビード部、 12:サイドウォール部、 13:トレッド部、 14:ビードコア、 15:カーカス、 15A:カーカス本体部、 15B:カーカス折返し部、 16:ベルト、 17:ビードフィラー、 18:インナーライナー、 20:ホイール、 21:リム、 22:ディスク、 23(23A、23B):フランジ、 24:ビードシート、 25:ウェル、 26:サイドリング、 27:リム本体部、 28:ロックリング、 30:通信装置、 30A:ICチップ、 30B:アンテナ、 40:第1表示部、 41:第2表示部、 CL:赤道面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7