(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085876
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】点滅光点の計数方法および計数装置
(51)【国際特許分類】
G06M 11/00 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
G06M11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200172
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】593125104
【氏名又は名称】株式会社システム計画研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】大坂 真希
(72)【発明者】
【氏名】島多 義彦
(72)【発明者】
【氏名】森時 悠
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆司
(72)【発明者】
【氏名】平河 怜
(57)【要約】
【課題】移動する可能性がある点滅光点が散在している状況において動画像から点滅光点の個数を正確にカウント可能な点滅光点計数方法および装置を提供する。
【解決手段】点滅光点計数装置(200)は、所定の第1フレーム数(n)からなる動画像データから光点画像Fhを生成し(301)、第1フレーム数のうち第2フレーム数(p)ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定し(304)、第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として判定し(309)、同一点滅光点と判定されるとこれらの点滅光点を1つと計数し、それ以外は別個の点滅光点として計数する(310)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム画像からなる動画像データから点滅光点を計数する装置であって、
所定の第1フレーム数からなる動画像データを格納する第1記憶部と、
点滅光点に関する情報を格納する第2記憶部と、
前記点滅光点に関する情報に基づいて点滅光点を計数するプロセッサと、
からなり、前記プロセッサが、
前記第1フレーム数のうち第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定し、点滅光点と判定された光点の位置情報を前記第2記憶部に格納し、
前記第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて、前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として前記第2記憶部に登録し、
前記第2記憶部の登録情報に基づいて、前記同一の点滅光点を1つと計数し、前記所定の距離より離れた点滅光点を別個の点滅光点として計数する、
ことを特徴とする点滅光点計数装置。
【請求項2】
前記第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点を含むフレーム数と含まないフレーム数とに基づいて当該光点が点滅光点であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の点滅光点計数装置。
【請求項3】
表示部を更に有し、
前記第1および第2の点滅光点が同一の点滅光点と判定された場合は前記第1および第2の点滅光点が連結されて前記表示部に表示され、別個の点滅光点と判定された場合はそれぞれ別個の光点として前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の点滅光点計数装置。
【請求項4】
前記点滅光点が発光するホタルの明滅点であることを特徴とする請求項1-3のいずれか1項に記載の点滅光点計数装置。
【請求項5】
プロセッサがフレーム画像からなる動画像データから点滅光点を計数する方法であって、
所定の第1フレーム数からなる動画像データを第1記憶部に格納し、
前記第1フレーム数のうち第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して複数の光点を抽出し、
前記複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定し、点滅光点と判定された光点の位置情報を第2記憶部に格納し、
前記第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて、前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として前記第2記憶部に登録し、
前記第2記憶部の登録情報に基づいて、前記同一の点滅光点を1つと計数し、前記所定の距離より離れた点滅光点を別個の点滅光点として計数する、
ことを特徴とする点滅光点計数方法。
【請求項6】
前記第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点を含むフレーム数と含まないフレーム数とに基づいて当該光点が点滅光点であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の点滅光点計数方法。
【請求項7】
前記第1フレーム数ごとに点滅光点の個数の複数回計数し、
前記複数回の計数により得られた点滅光点の個数を統計処理することで前記点滅光点の個数を決定することを特徴とする請求項5または6に記載の点滅光点計数方法。
【請求項8】
前記点滅光点が発光するホタルの明滅点であることを特徴とする請求項5-7のいずれか1項に記載の点滅光点計数方法。
【請求項9】
コンピュータを、フレーム画像からなる動画像データから点滅光点を計数する装置として機能させるプログラムであって、
所定の第1フレーム数からなる動画像データを第1記憶部に格納する機能と、
前記第1フレーム数のうち第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して複数の光点を抽出する機能と、
前記複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定する機能と、
点滅光点と判定された光点の位置情報を第2記憶部に格納する機能と、
前記第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として判定する機能と、
前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として前記第2記憶部に登録する機能と、
前記第2記憶部の登録情報に基づいて、前記同一の点滅光点を1つと計数し、前記所定の距離より離れた点滅光点を別個の点滅光点として計数する機能と、
を前記コンピュータに実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動する可能性がある点滅光点の個数をカウントする方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光するホタルの個体数は里地の生態系または自然環境の状態を示す指標の代表例である。しかしながら、点滅発光するホタルをカウントすることは容易ではなく、特に飛翔していないホタルのカウントは困難である。そこで、通常、ゲンジボタルやヘイケボタルの場合、ホタルが飛翔する日没後2時間以内に人が区画内を目視でカウントする方法が採用されている(非特許文献1を参照)。
【0003】
また、画像を用いて個体数をカウントする方法も提案されている。たとえば特許文献1には、撮像画面を複数個の小領域に分割し小領域に存在する個体数の和から画面全体の個体数を求める個体数カウント装置が開示されている。また特許文献2には、輝度が低い被写体を動画撮像する際の輝点ノイズを除去するために、同一又は相違する露光時間で複数回受光した画像データを累積的に加算し、加算された画像データに基づいて被写体の個体数をカウントする方法が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、所定の通路を通過する人を動画で撮影し、動画像から移動方向を特定して通過人数をカウントする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-108822号公報
【特許文献2】特開2005-215711号公報
【特許文献3】特開2005-148863号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】モニタリングサイト1000里地調査マニュアル「ホタル類」ver.3.1(2015.Feb.)環境省自然環境局 生物多様性センター発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示されている個体数カウント方法は撮像画面に被写体が写っている場合を前提としている。このために、ホタルのように明滅する個体を動画撮像した場合、撮像フレームによって光点が存在する場合としない場合とがあり、撮像画面から正確な個体数をカウントすることができない。
【0008】
また上記特許文献3に開示されているカウント方法では、カウントされる個体を一定の方向に移動させるための装置が必要となるために、個体が所定の領域に散在している状況には適用できない。
【0009】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、移動する可能性がある点滅光点が散在している状況において動画像から点滅光点の個数を正確にカウント可能な点滅光点計数方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため本発明の一実施の形態による点滅光点計数装置は、フレーム画像からなる動画像データから点滅光点を計数する装置であって、所定の第1フレーム数からなる動画像データを格納する第1記憶部と、点滅光点に関する情報を格納する第2記憶部と、前記点滅光点に関する情報に基づいて点滅光点を計数するプロセッサと、からなり、前記プロセッサが、前記第1フレーム数のうち第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定し、点滅光点と判定された光点の位置情報を前記第2記憶部に格納し、前記第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて、前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として前記第2記憶部に登録し、前記第2記憶部の登録情報に基づいて、前記同一の点滅光点を1つと計数し、前記所定の距離より離れた点滅光点を別個の点滅光点として計数する、ことを特徴とする。
本発明の一実施の形態によれば、前記第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点を含むフレーム数と含まないフレーム数とに基づいて当該光点が点滅光点であるか否かを判定することができる。
本発明の一実施の形態によれば、表示部を更に有し、前記第1および第2の点滅光点が同一の点滅光点と判定された場合は前記第1および第2の点滅光点が連結されて前記表示部に表示され、別個の点滅光点と判定された場合はそれぞれ別個の光点として前記表示部に表示されてもよい。
本発明の一実施の形態によれば、前記点滅光点が発光するホタルの明滅点であってもよい。
前記目的を達成するため本発明の一実施の形態による点滅光点計数方法は、プロセッサがフレーム画像からなる動画像データから点滅光点を計数する方法であって、所定の第1フレーム数からなる動画像データを第1記憶部に格納し、前記第1フレーム数のうち第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して複数の光点を抽出し、前記複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定し、点滅光点と判定された光点の位置情報を第2記憶部に格納し、前記第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて、前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として前記第2記憶部に登録し、前記第2記憶部の登録情報に基づいて、前記同一の点滅光点を1つと計数し、前記所定の距離より離れた点滅光点を別個の点滅光点として計数する、ことを特徴とする。
本発明の一実施の形態による点滅光点計数方法によれば、前記第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して得られた複数の光点の各々について、その光点を含むフレーム数と含まないフレーム数とに基づいて当該光点が点滅光点であるか否かを判定することができる。
本発明の一実施の形態による点滅光点計数方法によれば、前記第1フレーム数ごとに点滅光点の個数の複数回計数し、前記複数回の計数により得られた点滅光点の個数を統計処理することで前記点滅光点の個数を決定することができる。
本発明の一実施の形態による点滅光点計数方法によれば、前記点滅光点が発光するホタルの明滅点であってもよい。
前記目的を達成するため本発明の一実施の形態によるプログラムは、コンピュータを、フレーム画像からなる動画像データから点滅光点を計数する装置として機能させるプログラムであって、所定の第1フレーム数からなる動画像データを第1記憶部に格納する機能と、前記第1フレーム数のうち第2フレーム数ごとに動画像を順次重畳して複数の光点を抽出する機能と、前記複数の光点の各々について、その光点が点滅光点であるか否かを判定する機能と、点滅光点と判定された光点の位置情報を第2記憶部に格納する機能と、前記第2フレーム数ごとに得られた第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた第2の点滅光点の位置情報とに基づいて前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として判定する機能と、前記第1および第2の点滅光点が所定の距離以内であれば同一の点滅光点として前記第2記憶部に登録する機能と、前記第2記憶部の登録情報に基づいて、前記同一の点滅光点を1つと計数し、前記所定の距離より離れた点滅光点を別個の点滅光点として計数する機能と、を前記コンピュータに実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施の形態によれば、動画像を順次重畳して抽出された複数の光点の各々について点滅光点であるか否かを判定し、重畳画像における第1の点滅光点の位置情報とそれ以前に得られた重畳画像における第2の点滅光点の位置情報とに基づいて同一の点滅光点か否かを判定する。これにより点滅光点を抽出し、単一光点の移動により複数の光点が撮影されている場合であっても同一光点か複数光点かを判別することができ、より正確な点滅光点数のカウントが可能となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、複数の光点の各々について当該光点を含むフレーム数と含まないフレーム数とに基づいて当該光点が点滅光点であるか否かを判定するので、フレーム数の比較だけで点滅光点であるか否かを正確に判定することができる。
本発明の一実施の形態によれば、同一の点滅光点と判定された場合は、それらの点滅光点が連結されて表示部に表示され、別個の点滅光点と判定された場合はそれぞれ別個の光点として表示されるので、ユーザが点滅光点の移動を認識しやすくなる。
本発明の一実施の形態によれば、発光するホタルの動画像からホタルの個体数を正確にカウントすることが可能となる。
本発明の一実施の形態によれば、点滅光点の個数を複数回計数し、得られた複数の点滅光点数を統計処理することで、異常な値を除外して点滅光点の個数をより正確に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による点滅光点計数装置の概略的構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における点滅光点計数方法の流れを概略的に示す図である。
【
図3】本実施形態による点滅光点計数方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3における同一光点判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態による点滅光点計数方法におけるフレーム重畳の一例を示す模式図である。
【
図6】本実施形態による点滅光点計数装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による点滅光点計数装置の構成および動作について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1に例示するように、撮像部101は点滅光点G1、G2、G3・・・を被写体として動画像を撮像する。本実施形態による点滅光点計数装置200は有線または無線のインタフェース201により撮像部101と接続される。点滅光点計数装置200はコンピュータ上に実装され、後述する点滅光点判定部および同一光点判定部を実装したプロセッサ202と、動画像メモリ203(第1記憶部)と、プログラムメモリ204と、入力部205と、表示部206と、各種データを登録するメモリ207(第2記憶部)と、からなる。プロセッサ202は、プログラムメモリ204のプログラムを実行することにより、後述する点滅光点判定部および同一光点判定部の機能を含む点滅光点計数機能を実現する。
【0015】
動画像メモリ203は撮像部101からインタフェース201を通して入力した動画像データを格納する。動画像データは一定のフレームレートを有する周知のファイル形式であればよい。以下、動画像に複数(m個)の点滅光点G1、G2、G3・・・Gmが撮像されているものとして説明する。
【0016】
入力部205はキーボード等の入力デバイスである。表示部206はモニタであり、後述するようにカウントされた点滅光点数と共に点滅光点および点滅光点の移動軌跡が画面表示される。
【0017】
なお、ホタルの個体数を計測する場合は日没から夜間にかけての撮像を行うので、カメラ101は低雑音の高感度ビデオカメラを用いることが望ましい。それによって目視では確認できない微弱な点滅発光するホタルの個体数を動画像から精度良くカウントすることが可能となる。
【0018】
<点滅光点カウント処理の概要>
次に本実施形態による点滅光点計数装置のカウント処理の概要について
図2を参照しながら説明する。
【0019】
図2において、動画像メモリ203からN秒分のフレーム画像F
0~F
nが順次読み込まれ、各フレーム画像Fから所定の閾値以上の輝度を有する光点を抽出することで光点画像Fh
0~Fh
nが順次生成される。
【0020】
所定フレーム数pの光点画像が生成される毎に、pフレームの光点画像を重ね合わせ、各光点に関して、それが写っているフレーム数が所定閾値Hth以下であれば点滅光点として判定する。たとえばp=18、Hth=5であれば、18フレーム中5フレーム以下で光っていて他のフレームでは光っていない光点を点滅光点と判定する。所定閾値Hthの大きさは、動画像のフレームレート、フレーム数p、点滅光点の点滅周期、点滅パターン等により決定することができる。また、対象の点滅光点が所定数のフレーム(たとえばpフレーム)中に写っている割合に基づいて所定閾値Hthを決定することもできる。詳しくは後述するが、点滅光点判定は点滅していない光点を除去する処理であり、これにより点滅光点のみからなる点滅光点重畳画像Fsが生成される。
図2では、pフレーム毎に重畳されて点滅光点判定が行われ、点滅光点重畳画像Fs
0~Fs
mが順次生成される。
【0021】
続いて、点滅光点重畳画像Fs0~Fsmの各々が生成される毎に同一光点判定が行われ、一つの点滅光点の移動か別の点滅光点かを判定する。詳しくは後述するが、任意の重畳画像Fsiが生成されると、過去の重畳画像Fsi-1との間で各光点の座標(位置)が比較され、所定距離以下の移動量であれば同一の点滅光点(同一個体)と判定される。同一の点滅光点であれば1つとカウントされ、そうでなければ別々の光点としてカウントされる。こうしてN秒間の動画像から点滅光点の個数(個体数)がカウントされる。
【0022】
以上の点滅光点カウント処理がN秒ごとに行われ、それらの結果を集計あるいは統計処理することで妥当な点滅光点の個数を決定することができる。実際にはN秒毎に複数回のカウント処理を行い、最高値と最低値を除去した残りの数値の平均あるいは中央値をとるといった統計処理を行う事が望ましい。以下、N秒毎に実行される点滅光点カウント処理の一例を
図3~
図5を参照しながら説明する。
【0023】
<点滅光点判定>
図3において、プロセッサ202は動画像メモリ203からN秒分のフレーム画像F
0~F
nを読み込み、各フレーム画像Fから所定の閾値以上の輝度を有する光点を抽出することで光点画像Fh
0~Fh
nを順次生成する(ステップ301)。
【0024】
続いてプロセッサ202は、光点画像Fh0~Fhnを所定フレーム数p毎に重畳し、重畳画像内の光点Gを順次抽出する(ステップ303)。pフレームのうち、抽出された光点Gが光っているフレーム数が所定閾値Hth以下であるか否かを判定する(ステップ304)。ただし所定閾値Hthは0より大きくpより小さい値である。所定閾値Hthより多くのフレームで光っていれば(ステップ304のNO)、当該光点Gは点滅光点ではないと判断され、ステップ303に戻って次の光点Gが抽出される。所定閾値Hth以下であれば(ステップ304のYES)、当該光点Gは点滅光点であると判断され、その画面内の位置情報(座標)がメモリ207に登録される(ステップ305)。
【0025】
以上のステップ303~305を全ての光点Gについて実行し(ステップ306のNO)、全光点について処理が終了すると(ステップ306のYES)、プロセッサ202は点滅光点として登録された座標とフレーム番号とを点滅光点重畳画像Fsとしてメモリ207に登録する(ステップ307)。続いてプロセッサ202は、上記ステップ302へ戻りpフレーム毎に上記ステップ303~307の処理を繰り返す(ステップ308のNO)。nフレームの全てで当該処理が終了すると(ステップ308のYES)、プロセッサ202は以下に述べる同一光点判定(ステップ309)を実行した後、点滅光点重畳画像Fsの系列で同一個体と判定された点滅光点を1つとしてカウントすることで、nフレーム(N秒)間に撮像された点滅光点の総数を決定する(ステップ310)。
【0026】
<同一光点判定>
図4において、プロセッサ202は上記ステップ307で登録された点滅光点重畳画像Fs(i)と、それより過去に登録された点滅光点重畳画像Fs(i-1)とをメモリ207からを順次読み出す(ステップ401)。ただしi=2,・・・mであり、i=1の場合は過去の点滅光点画像Fs(i-1)として同じFs(i)が用いられるものとする。プロセッサ202はメモリ207に格納された点滅光点の座標を参照することで、点滅光点重畳画像Fs(i)に含まれる点滅光点のうち過去の点滅光点重畳画像Fs(i-1)にない新たな光点が存在するか否かを判断する(ステップ402)。含まれなければ(ステップ402のNO)、ステップ401へ戻り、次に登録された点滅光点重畳画像Fs(i+1)と過去に登録された点滅光点重畳画像Fs(i)とをメモリ207からを順次読み出す処理を繰り返す。
【0027】
点滅光点重畳画像Fs(i)に新たな光点が存在する場合(ステップ402のYES)、プロセッサ202は当該新たな光点の座標と最も近接した過去の光点との距離Δを画像のピクセル数で計測し、その距離Δが所定の閾値Δth以下であるか否かを判断する(ステップ403)。所定の閾値Δthはたとえば100ピクセルである。新たな光点が過去の近接光点から所定の閾値Δth以内の位置に現れた場合には(ステップ403のYES)、プロセッサ202は同一の点滅光点(同一個体)が前回の位置から移動したものと判断し、当該2つの近接光点を同一個体としてメモリ207に登録する(ステップ404)。以上、全ての点滅光点重畳画像Fsについて同一光点判定が行われるまで上記ステップ401~404が繰り返され(ステップ405のNO)、全て終了すると(ステップ405のYES)、プロセッサ202は上述した
図3のステップ310へ戻り、同一個体の移動と判定された複数の点滅光点は1つとしてカウントされ、nフレーム(N秒)間に撮像された点滅光点の総数を決定する。
【0028】
以上の処理(ステップ301~310)がN秒ごとに実行され、それらの結果を集計あるいは統計処理することで妥当な点滅光点の個数を求めることができる。すなわちN秒に相当するnフレーム分の動画像に対して上述した点滅光点判定および同一光点判定を実行することで動画像に写っている点滅光点の個体数を推定するので、たとえばホタルの個体数を観測する場合、N=30秒とすれば、人がフィールドを30秒間観察し、ホタルの個体数をカウントする調査と同様のカウント結果を得ることが可能となる。
【0029】
図5に例示するように、光点画像Fhに撮像された光点G1~G5のうち光点G3は点滅光点判定により点滅していないノイズと判定されてカウント対象から除外される。点滅光点と判定された光点G1、G2、G4、G5のうち光点G5は点滅光点重畳画像Fs(i)で新たに現れた光点であるから、過去の点滅光点重畳画像Fs(i-1)n光点G4との間の距離Δをピクセル数で計測し、その距離Δを所定の閾値Δthと比較することで点滅光点G4とG5とが同一個体であるか否かを判定することができる。たとえば点滅光点G4とG5との距離ΔがΔth=100ピクセル以下であれば、これらは同一個体が移動することで別々の像として現れたものと判断できる。同一個体と判断されれば、これら2つの光点G4とG5とは1つとカウントされる。以下同様にして、光点G5と光点G6(図示せず。)との距離Δが100ピクセル以下であれば、これら2つの光点も1つとカウントされる。このように光点G4,G5、G6は総合的に1つの点滅光点が移動したものと判断され、3つの光点があっても1つにカウントされる。
【0030】
図6に例示するように、点滅光点計数装置200の表示部206には撮像した動画像から検出された点滅光点の位置を同一光点判定の結果に基づいて表示する。
図5の例に従えば、点滅光点G1、G2はそれぞれ独立した別個の光点として表示され、点滅光点G4、G5、G6は1つの光点が移動したものと判断されるので、たとえば直線で連結して表示する。これによりユーザは点滅光点G4からG6までの1つの点滅光点の移動軌跡を知ることができる。
【符号の説明】
【0031】
101 撮像部
200 点滅光点計数装置
201 インタフェース
202 プロセッサ
203 動画像メモリ
204 プログラムメモリ
205 入力部
206 表示部
207 メモリ