(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085883
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】車両のパネル構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
B62D25/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200185
(22)【出願日】2021-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】三根 康平
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB06
3D203BB22
3D203BB56
3D203BB76
3D203CA57
3D203CB07
(57)【要約】
【課題】剛性の低下や外観上の見栄えの低下を招くことなく、インナパネルに膨出部を形成することが可能な車両のパネル構造の提供。
【解決手段】車両外側のアウタパネル18と車両内側のインナパネル19とが所定方向に連続して延びる閉断面20を形成し、車両外側に膨出するように凹む膨出部32がインナパネル19に部分的に形成される。インナパネル19は、各々がアウタパネル18との間に閉断面20を形成するように所定方向に並ぶ第1インナパネル25と第2インナパネル26とを備える。第1インナパネル25は、膨出部32が形成される第1インナ端部25Aを、所定方向の一側の端部に有する。第2インナパネル26は、第1インナ端部25Aに車両内側から重なる第2インナ端部26Aを、所定方向の他側の端部に有する。第2インナ端部26Aは、膨出部32を車両内側から覆う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外側のアウタパネルと車両内側のインナパネルとが所定方向に連続して延びる閉断面を形成し、車両外側に膨出するように凹む膨出部が前記インナパネルに部分的に形成される車両のパネル構造であって、
前記インナパネルは、各々が前記アウタパネルとの間に前記閉断面を形成するように前記所定方向に並ぶ第1インナパネルと第2インナパネルとを備え、
前記第1インナパネルは、前記膨出部が形成される第1インナ端部を、前記所定方向の一側の端部に有し、
前記第2インナパネルは、前記第1インナ端部に車両内側から重なる第2インナ端部を、前記所定方向の他側の端部に有し、
前記第2インナ端部は、前記膨出部を車両内側から覆う
ことを特徴とする車両のパネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右のサイドパネルが車室の左右の側方を区画する車両のキャブの側部構造が記載されている。サイドパネルは、キャブの車幅方向側部で前後方向に沿って起立するボディサイドアウタパネルと、ボディサイドアウタパネルの車幅方向内側で前後方向に沿って起立するボディサイドインナパネルとを有する。ボディサイドアウタパネルは、ドア開口の上方を区画する開口上方アウタ部と、ドア開口の前方を区画する開口前方アウタ部と、ドア開口の後方を区画する開口後方アウタ部と、ドア開口の下方を区画する開口下方アウタ部とを有する。ボディサイドインナパネルは、開口上方インナ部と、開口前方インナ部と、開口後方インナ部と、開口下方インナ部とを有する。ボディサイドアウタパネルの開口上方アウタ部、開口前方アウタ部、開口後方アウタ部及び開口下方アウタ部と、ボディサイドインナパネルの開口上方インナ部、開口前方インナ部、開口後方インナ部及び開口下方インナ部との間には、それぞれ閉断面が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、車両外側のアウタパネルと車両内側のインナパネルとが所定方向に連続して延びる閉断面を形成するパネル構造において、車両外側に膨出するように凹む膨出部をインナパネルに部分的に形成する場合がある。例えばアウタパネルの端縁とインナパネルの端縁との隙間をシーリング材によって密閉する構造において、シーリング材の受け面(シーリング受け面)をアウタパネルに形成することができない場合、車両外側に膨出するように凹む膨出部をシーリング受け面としてインナパネルに形成する。
【0005】
しかし、インナパネルに膨出部を形成すると、アウタパネルとインナパネルとの間で所定方向に連続して延びる閉断面の面積は、膨出部を含む範囲で急減する。このため、膨出部を含む範囲で応力集中が生じ易く、剛性の低下を招くおそれがある。また、インナパネルが車室に露出する場合、膨出部によって外観上の見栄えが低下する。
【0006】
そこで本開示は、剛性の低下や外観上の見栄えの低下を招くことなく、インナパネルに膨出部を形成することが可能な車両のパネル構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本開示は、車両外側のアウタパネルと車両内側のインナパネルとが所定方向に連続して延びる閉断面を形成し、車両外側に膨出するように凹む膨出部がインナパネルに部分的に形成される車両のパネル構造であって、インナパネルは、各々がアウタパネルとの間に閉断面を形成するように所定方向に並ぶ第1インナパネルと第2インナパネルとを備える。第1インナパネルは、膨出部が形成される第1インナ端部を、所定方向の一側の端部に有する。第2インナパネルは、第1インナ端部に車両内側から重なる第2インナ端部を、所定方向の他側の端部に有する。第2インナ端部は、膨出部を車両内側から覆う。
【0008】
上記構成では、インナパネルを第1インナパネルと第2インナパネルとに分割して構成し、第1インナパネルに膨出部を形成し、膨出部を含む範囲の断面では、第2インナパネルの第2インナ端部がアウタパネルとの間に閉断面を形成するので、膨出部を含む範囲で閉断面の面積が急減することがなく、膨出部によって剛性の低下を招くこともない。
【0009】
第2インナ端部が膨出部を車両内側から覆うので、インナパネルが車室に露出する場合であっても、外観上の見栄えが低下することがない。
【0010】
従って、剛性の低下や外観上の見栄えの低下を招くことなく、インナパネルに膨出部を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示のパネル構造によれば、剛性の低下や外観上の見栄えの低下を招くことなく、インナパネルに膨出部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパネル構造を備えた車両の側面図である。
【
図2】
図1のII部を車幅方向外側から視た拡大斜視図である。
【
図4】(a)は
図2のIVa-IVa矢視断面図、(b)は
図2のIVb-IVb矢視断面図である。
【
図5】(a)は
図2のVa-Va矢視断面図、(b)は
図2のVb-Vb矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。図中の矢印FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。各部材に関する方向は、車両に組付けられた状態での方向である。また、左側と同様の右側の構成については、図示及び説明を適宜省略する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る車両のキャブ1は、矩形箱状に形成されて内部に車室2を形成する。車室2の車幅方向両側は、車両前後方向に沿って起立する左右のキャブサイドパネル3によって区画され、車室2の下方及び後方は、フロアパネル4及びバックパネル5によって区画される。
【0015】
キャブ1の左右の側面には、車室2への乗降口となる前後2箇所のドア開口6が設けられている。キャブサイドパネル3は、車室2の後端の車幅方向両側で起立して後側のドア開口6の後方を区画する支柱状の左右のリアピラー7と、車室2の車幅方向両側下部で車両前後方向に延びてドア開口6の下方を区画する左右のフロアサイド8とを含む。リアピラー7の下端部は、フロアサイド8の後端部に固定される。なお、
図1には、前後2箇所のドア開口6を設けたキャブ1を図示しているが、ドア開口6の数は2箇所に限定されず、1箇所又は3箇所以上であってもよい。
【0016】
図2及び
図3に示すように、フロアパネル4の後端部の下面には、車幅方向に延びるボルスター10が固定される。ボルスター10の両端部(左右の端部)は、リアピラー7の下端部に固定される。ボルスター10は、上方に開口するハット状断面であり、フロアパネル4の後端部との間に閉断面11(
図5(b)参照)を形成してフロアパネル4を補強する。ボルスター10の前板部の上端縁部には、ボルスター前上フランジ部12が形成されている。ボルスター前上フランジ部12は、車両前方に曲折して上下方向と交叉し、フロアパネル4に固定される。ボルスター10の後板部の車幅方向外端縁部と上端縁部とには、ボルスター後外フランジ部13とボルスター後上フランジ部14とが形成されている。ボルスター後外フランジ部13は、車両後方に曲折して車幅方向と交叉し、リアピラー7に固定される。ボルスター後上フランジ部14は、車両後方に曲折して上下方向と交叉し、フロアパネル4に固定される。
【0017】
図3に示すように、フロアサイド8は、車幅方向外側のフロアサイドアウタ15と、車幅方向内側のフロアサイドインナ16とから構成される。フロアサイドインナ16の上端縁部及び下端縁部は、フロアサイドアウタ15の上端縁部及び下端縁部にそれぞれ接合され、フロアサイドアウタ15とフロアサイドインナ16とによって、車両前後方向に連続して延びる閉断面(図示省略)が形成される。フロアサイドインナ16の後端縁部には、車幅方向と交叉するフロアサイドインナ後フランジ部17が形成されている。
【0018】
図3、
図6及び
図7に示すように、リアピラー7は、車幅方向外側のリアピラーアウタ(アウタパネル)18と、車幅方向内側のリアピラーインナ(インナパネル)19とから構成される。リアピラーアウタ18は、車幅方向外側へ膨出するようにU状に曲折し、車幅方向内側に開口する。リアピラーインナ19の前端縁部及び後端縁部は、リアピラーアウタ18の前端縁部及び後端縁部にそれぞれ接合され、リアピラーアウタ18とリアピラーインナ19とによって、上下方向(所定方向)に連続して延びる閉断面20が形成される(
図4参照)。
【0019】
リアピラーアウタ18の前端縁部には、車幅方向と交叉するアウタ前フランジ部21が形成されている(
図4参照)。リアピラーアウタ18の後端縁部の形状は、ボルスター10の車幅方向の外端部が固定されるリアピラーアウタ18の下端部と、下端部の上方の中間部とで形状が相違する。中間部と下端部とで後端縁部の形状を相違させているのは、下端部にボルスター10との接合面を形成するためである。
【0020】
ボルスター10よりも上側の中間部では、リアピラーアウタ18の後端縁部に車両前後方向と交叉するアウタ後上フランジ部22が形成され、ボルスター10と同高さ以下の下端部では、リアピラーアウタ18の後端縁部に車幅方向と交叉するアウタ後下フランジ部23が形成される。
【0021】
アウタ後下フランジ部23は、アウタ後上フランジ部22に対して略直角に切り起されている。このため、アウタ後上フランジ部22とアウタ後下フランジ部23との間には、切欠き(スリット)24が存在する。
【0022】
リアピラー7の下部のリアピラーインナ19は、上側のリアピラーインナセンタ(第1インナパネル)25と下側のリアピラーインナロア(第2インナパネル)26とによって構成される。リアピラーインナセンタ25とリアピラーインナロア26とは、上下方向に並んで配置され、各々がリアピラーアウタ18との間に閉断面20を形成する。リアピラーインナロア26の上端部(第2インナ端部)26Aは、リアピラーインナセンタ25の下端部(第1インナ端部)25Aに車幅方向内側から重なり、例えばビスなどの締結部材27によってリアピラーインナセンタ25の下端部25Aに締結固定される。リアピラーインナロア26の下部は、フロアサイドインナ16に車幅方向外側から重なって接合される。なお、リアピラーインナセンタ25とリアピラーインナロア26とを締結以外(例えば溶接等)によって固定してもよい。
【0023】
リアピラーインナロア26の上端縁はリアピラーアウタ18の切欠き24よりも上方に位置し、リアピラーインナセンタ25の下端縁はリアピラーアウタ18の切欠き24よりも下方に位置する。すなわち、リアピラーインナセンタ25とリアピラーインナロア26が重なる領域の上下範囲に切欠き24の高さ位置が含まれる。
【0024】
リアピラーインナセンタ25の前端縁部には、車幅方向と交叉するインナセンタ前フランジ部28が形成され、リアピラーインナセンタ25の下端部25Aを除く上部の後端縁部には、車幅方向内側に曲折されて車両前後方向と交叉するインナセンタ後フランジ部29が形成されている。
【0025】
リアピラーインナロア26の上端部26Aを含む上部の前端縁部には、車幅方向と交叉するインナロア前フランジ部30が形成され、リアピラーインナロア26の上部の後端縁部には、車幅方向内側に曲折されて車両前後方向と交叉するインナロア後フランジ部31が形成されている。
【0026】
リアピラーインナセンタ25の下端部25Aの後端部には、車幅方向外側に膨出するように凹む膨出部32が形成されている。膨出部32の後面は、後述するように、リアピラーアウタ18の後端縁との隙間をシーリング材33によって密閉する際に、シーリング材33の受け面(シーリング受け面)となる(
図4(b)参照)。リアピラーインナロア26の上端部26Aは、リアピラーインナセンタ25の膨出部32を車幅方向内側から覆う。膨出部32を含む(横断する)任意の水平断面において、リアピラーインナロア26の上端部26Aはリアピラーアウタ18との間に閉断面20を形成し、リアピラーインナセンタ25とリアピラーインナロア26とは、リアピラーアウタ18の前端縁部と後端縁部との間を閉止する平板状の領域を上下方向の全域に亘って形成する。
【0027】
切欠き24よりも上方では、
図4(a)に示すように、リアピラーインナ19のうちリアピラーインナセンタ25が配置される。リアピラーインナセンタ25のインナセンタ前フランジ部28は、リアピラーアウタ18のアウタ前フランジ部21に車幅方向内側から重なって接合される。リアピラーインナセンタ25のインナセンタ後フランジ部29は、リアピラーアウタ18のアウタ後上フランジ部22に車両前方から重なって接合される。アウタ後上フランジ部22には、バックパネル5の車幅方向外端縁部の前面が車両後方から重なって接合され、アウタ後上フランジ部22とバックパネル5の端縁との間には、間隙を密閉するためのシーリング材33が上下方向に沿って線状に塗布(充填)される。
【0028】
切欠き24の下方であってボルスター10の上部が配置される高さ位置では、
図5(a)に示すように、リアピラーインナ19のうちリアピラーインナロア26が配置される。リアピラーインナロア26のインナロア前フランジ部30は、リアピラーアウタ18のアウタ前フランジ部21に車幅方向内側から重なって接合される。リアピラーインナロア26のインナロア後フランジ部31は、ボルスター10の後板部の車幅方向外端部の前面上部に車両前方から重なって接合される。ボルスターのボルスター後外フランジ部13の上部は、リアピラーアウタ18のアウタ後下フランジ部23に車幅方向内側から重なって接合される。アウタ後下フランジ部23の端縁とボルスター後外フランジ部13の端縁との間には、間隙を密閉するためのシーリング材33が上下方向に沿って線状に塗布(充填)される。
【0029】
切欠き24の下方であってボルスター10の下部が配置される高さ位置では、特に図示していないが、リアピラーインナ19のうちリアピラーインナロア26が配置される。リアピラーインナロア26のインナロア前フランジ部30は、リアピラーアウタ18のアウタ前フランジ部21に車幅方向内側から重なって接合される。ボルスター10のボルスター後外フランジ部13の下部は、フロアサイドインナ16のフロアサイドインナ後フランジ部17に車幅方向内側から重なって接合される。
【0030】
切欠き24を含む高さ位置では、
図4(b)に示すように、リアピラーインナセンタ25とリアピラーインナロア26の双方が配置される。リアピラーインナロア26の上端部26Aは、リアピラーインナセンタ25の下端部25Aに車幅方向内側から重なって締結固定される。リアピラーインナセンタ25のインナセンタ前フランジ部28は、リアピラーアウタ18のアウタ前フランジ部21に車幅方向内側から重なって接合され、リアピラーインナロア26のインナロア前フランジ部30は、リアピラーインナセンタ25のインナセンタ前フランジ部28に車幅方向内側から重なって接合される。インナセンタ後フランジ部29の下方のリアピラーインナセンタ25の後端縁部は、切欠き24の近傍に位置し、リアピラーインナロア26のインナロア後フランジ部31には、バックパネル5の車幅方向外端縁部の前面が車両後方から重なって接合される。
【0031】
切欠き24をシーリング材33によって密閉するためには、切欠き24の車両前方の近傍にシーリング受け面を設ける必要がある。切欠き24が形成されたリアピラーアウタ18にはシーリング受け面を設けることができないため、リアピラーインナ19にシーリング受け面が設けられる。本実施形態では、リアピラーインナセンタ25の下端部25Aの後端部に、車幅方向外側に膨出するように凹む膨出部32が形成されている。膨出部32の後面がシーリング受け面となり、リアピラーアウタ18の端縁(切欠き24を形成する端縁)と膨出部32の後面との間に、間隙を密閉するためのシーリング材33が塗布(充填)される。シーリング受け面を設けているので、シーリング材33を切欠き24で途切れることなく連続して塗布することができる。
【0032】
なお、車室2の後端の車幅方向中間位置では、
図5(b)に示すように、ボルスター10がフロアパネル4及びバックパネル5に固定される。ボルスター前上フランジ部12は、フロアパネル4の下面に下方から重なって接合される。ボルスター10の後板部の上部前面は、フロアパネル4の後端部の後面に車両後方から重なって接合される。ボルスター後上フランジ部14は、バックパネル5の後端縁部の下面に下方から重なって接合される。フロアパネル4の後端縁とバックパネル5及びボルスター10との間、及びボルスター後上フランジ部14の後端縁とバックパネル5との間には、間隙を密閉するためのシーリング材33が車幅方向に沿ってそれぞれ線状に塗布(充填)される。
【0033】
本実施形態によれば、リアピラーインナ19をリアピラーインナセンタ25とリアピラーインナロア26とに分割して構成し、リアピラーインナセンタ25に膨出部32を形成し、膨出部32を含む範囲の水平断面では、リアピラーインナロア26の上端部26Aがリアピラーアウタ18との間に閉断面20を形成するので、膨出部32を含む範囲で閉断面20の面積が急減することがなく、膨出部32によって剛性の低下を招くこともない。
【0034】
また、リアピラーインナロア26の上端部26Aが膨出部32を車両内側から覆うので、リアピラーインナ19が車室2に露出する場合であっても、外観上の見栄えが低下することがない。
【0035】
従って、剛性の低下や外観上の見栄えの低下を招くことなく、リアピラーインナ19に膨出部32を形成することができる。
【0036】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0037】
例えば、上記実施形態では、第1インナパネルを上側に、第2インナパネルを下側に配置したが、両者の位置関係はこれに限定されず、他の配置(例えば、第1インナパネルを下側に、第2インナパネルを上側に配置するなど)であってもよい。
【0038】
シーリング受け面を設ける目的でインナパネルに膨出部32を設ける場合について説明したが、他の目的でインナパネルに膨出部32を設ける場合であっても本発明を適用することができる。
【0039】
また、リアピラー7に膨出部32が形成される場合について説明したが、膨出部32が形成される部材はリアピラー7以外であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、アウタパネルとインナパネルとが閉断面を形成し、車両外側に膨出するように凹む膨出部がインナパネルに部分的に形成されるパネル構造を備えた車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:キャブ
2:車室
3:キャブサイドパネル
4:フロアパネル
5:バックパネル
6:ドア開口
7:リアピラー
8:フロアサイド
10:ボルスター
11,20:閉断面
12:ボルスター前上フランジ部
13:ボルスター後外フランジ部
14:ボルスター後上フランジ部
15:フロアサイドアウタ
16:フロアサイドインナ
17:フロアサイドインナ後フランジ部
18:リアピラーアウタ(アウタパネル)
19:リアピラーインナ(インナパネル)
21:アウタ前フランジ部
22:アウタ後上フランジ部
23:アウタ後下フランジ部
24:切欠き(スリット)
25:リアピラーインナセンタ(第1インナパネル)
25A:リアピラーインナセンタの下端部(第1インナ端部)
26:リアピラーインナロア(第2インナパネル)
26A:リアピラーインナロアの上端部(第2インナ端部)
27:締結部材
28:インナセンタ前フランジ部
29:インナセンタ後フランジ部
30:インナロア前フランジ部
31:インナロア後フランジ部
32:膨出部
33:シーリング材
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外側のアウタパネルと車両内側のインナパネルとが所定方向に連続して延びる閉断面を形成し、車両外側に膨出するように凹む膨出部が前記インナパネルに部分的に形成される車両のパネル構造であって、
前記インナパネルは、各々が前記アウタパネルとの間に前記閉断面を形成するように前記所定方向に並ぶ第1インナパネルと第2インナパネルとを備え、
前記第1インナパネルは、前記膨出部が形成される第1インナ端部を、前記所定方向の一側の端部に有し、
前記第2インナパネルは、前記第1インナ端部に車両内側から重なる第2インナ端部を、前記所定方向の他側の端部に有し、
前記第2インナ端部は、前記膨出部を車両内側から覆い、
前記アウタパネルの前記所定方向の中間位置の端縁部には、前記インナパネルの端縁部と重ならず、前記閉断面の内部空間を外部に開口するスリットが部分的に形成され、
前記第1インナ端部と前記第2インナ端部とが重なる前記所定方向の範囲には、前記スリットの前記所定方向の位置が含まれ、
前記膨出部は、前記スリットの前記内部空間側に配置されて、前記スリットを密閉するシーリング材の受け面を構成する
ことを特徴とする車両のパネル構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成すべく、本開示は、車両外側のアウタパネルと車両内側のインナパネルとが所定方向に連続して延びる閉断面を形成し、車両外側に膨出するように凹む膨出部がインナパネルに部分的に形成される車両のパネル構造であって、インナパネルは、各々がアウタパネルとの間に閉断面を形成するように所定方向に並ぶ第1インナパネルと第2インナパネルとを備える。第1インナパネルは、膨出部が形成される第1インナ端部を、所定方向の一側の端部に有する。第2インナパネルは、第1インナ端部に車両内側から重なる第2インナ端部を、所定方向の他側の端部に有する。第2インナ端部は、膨出部を車両内側から覆う。アウタパネルの所定方向の中間位置の端縁部には、インナパネルの端縁部と重ならず、閉断面の内部空間を外部に開口するスリットが部分的に形成される。第1インナ端部と第2インナ端部とが重なる所定方向の範囲には、スリットの所定方向の位置が含まれる。膨出部は、スリットの内部空間側に配置されて、スリットを密閉するシーリング材の受け面を構成する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】削除
【補正の内容】