(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085926
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】透明なミスト式化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20230614BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230614BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230614BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230614BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230614BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/02
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/44
A61Q13/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200246
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】飯田 香苗
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC582
4C083CC01
4C083DD01
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
4C083KK02
(57)【要約】
【課題】本発明は透明なミスト式化粧料組成物に関し、特に20℃および40℃における透明度が高く、ミスト状に噴霧でき、べたつきがなく、エタノール臭を感じることなく香りを感じられるミスト式化粧料組成物を提供する。
【解決手段】透明なミスト式化粧料組成物であって、(A)オレンジ油、ベルガモット果実油、レモン果実油、ハッカ油、ユーカリ油、ローズマリー油、スペアミント油、イランイラン花油およびラベンダー油から選ばれる1種以上、(B)POE・POPアルキルエーテルから選ばれる1種以上、(C)プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはエチレングリコールから選ばれる1種以上、(D)エタノール、(E)トリメチルグリシンを含有することを特徴とする透明なミスト式化粧料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なミスト式化粧料組成物であって、
(A)オレンジ油、ベルガモット果実油、レモン果実油、ハッカ油、ユーカリ油、ローズマリー油、スペアミント油、イランイラン花油またはラベンダー油から選ばれる1種以上
(B)POE・POPアルキルエーテルから選ばれる1種以上
(C)プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはエチレングリコールから選ばれる1種以上
(D)エタノール
(E)トリメチルグリシン
を含有することを特徴とする透明なミスト式化粧料組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量が0.001~1.2質量%であることを特徴とする請求項1に記載の透明なミスト式化粧料組成物。
【請求項3】
前記(B)成分がPOE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテルまたはPOE(20)POP(8)セチルエーテルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明なミスト式化粧料組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量が0.8~4質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の透明なミスト式化粧料組成物。
【請求項5】
前記(C)成分の含有量が1~40質量%であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の透明なミスト式化粧料組成物。
【請求項6】
前記(D)成分の含有量が1~25質量%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の透明なミスト式化粧料組成物。
【請求項7】
前記(E)成分の含有量が0.1~5質量%であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の透明なミスト式化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明なミスト式化粧料組成物に関し、特に20℃および40℃における透明度が高く、ミスト状に噴霧でき、べたつきがなく、エタノール臭を感じることなく香りを感じられる透明なミスト式化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
主に体臭のマスキングや気分を高めるために用いられるフレグランス化粧料は、練り香水、スティックタイプや芳香パウダー等様々な剤形が存在するが、使用時の手軽さから、エタノールと香料を混合させたミストタイプの香水が多く存在する。このような香水は、持続時間が長く、香りが強い傾向にある。しかし、近年ではナチュラル嗜好の高まりに伴い、精油のような天然香料を用いたほのかに香る水系のフレグランスミストの人気が高まっており、特に暑い時期の体臭のマスキングとしても好まれている。
【0003】
水系のフレグランスミストは香りをつけるために精油だけでなく合成香料も用いられており、美的観点から透明系にすることが好まれている。しかし、精油や香料は可溶化させるのが困難なため、これまでに様々な界面活性剤や有機溶媒を用いた透明化粧料が検討されている。
【0004】
例えば、精油や香料等の油溶性成分を可溶化させた化粧料として、特許文献1では、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とポリオキシエチレンジオレエートまたはポリオキシエチレンジイソステアレートを組み合わせることで、長期間安定な油溶性成分を含んだ化粧料が得られている。特許文献2では、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの配合量比を調整することで、多量の香料を可溶化した化粧料が得られている。特許文献3では、油溶性成分とフェノキシエタノールを予め混合均一化してから配合することで、界面活性剤量を増やすことなく透明な化粧料が得られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-83496号公報
【特許文献2】国際公開第2020/095429号公報
【特許文献3】特開2008-195676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、どの上記特許文献においても、透明な外観の化粧料を得ることについては解決できているが、界面活性剤によるべたつきやミスト式製剤での検討はなされていない。また地球温暖化に伴い、真夏では40℃を超える暑さになることもあり、油性成分の種類によっては40℃における透明度の維持が困難なものもあるため、40℃における透明度の維持も、外観の美しさの観点から求められている。
【0007】
したがって本発明は、常温(20℃)だけでなく40℃においても透明度が高く、ミスト状に噴霧でき、べたつきがなく、エタノール臭を感じることなく香りを感じられる透明なミスト式化粧料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意研究した結果、透明なミスト式化粧料組成物であって、(A)オレンジ油、ベルガモット果実油、レモン果実油、ハッカ油、ユーカリ油、ローズマリー油、スペアミント油、イランイラン花油またはラベンダー油から選ばれる1種以上、(B)POE・POPアルキルエーテルから選ばれる1種以上、(C)プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはエチレングリコールから選ばれる1種以上、(D)エタノール、(E)トリメチルグリシンを含有することで20℃および40℃における透明度が高く、ミスト状に噴霧でき、べたつきがなく、エタノール臭を感じることなく香りを感じられる透明なミスト式化粧料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、20℃および40℃における透明度が高く、ミスト状に噴霧でき、べたつきがなく、エタノール臭を感じることなく香りを感じられる透明なミスト式化粧料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0011】
本発明におけるPOEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンのことを表す。
【0012】
本発明は、透明なミスト式化粧料組成物であって、(A)オレンジ油、ベルガモット果実油、レモン果実油、ハッカ油、ユーカリ油、ローズマリー油、スペアミント油、イランイラン花油またはラベンダー油から選ばれる1種以上、(B)POE・POPアルキルエーテルから選ばれる1種以上、(C)プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはエチレングリコールから選ばれる1種以上、(D)エタノール、(E)トリメチルグリシンを含有することを特徴とする透明なミスト式化粧料組成物に関するものである。
【0013】
本発明は、着香の観点から、(A)オレンジ油、ベルガモット果実油、レモン果実油、ハッカ油、ユーカリ油、ローズマリー油、スペアミント油、イランイラン花油またはラベンダー油から選ばれる1種以上を含有する。
【0014】
本発明で用いられる前記(A)成分のうち、40℃における透明度を向上させる観点からオレンジ油、ベルガモット果実油、レモン果実油、ハッカ油、ユーカリ油およびローズマリー油がより好ましい。
【0015】
本発明で用いられるオレンジ油の市販品としては、オレンジ油(株式会社永廣堂本店製)等があげられる。
【0016】
本発明で用いられるベルガモット果実油の市販品としては、ベルガモット果実油(株式会社永廣堂本店製)等があげられる。
【0017】
本発明で用いられるレモン果実油の市販品としては、LEMON OIL FOUROCOUMARINE FREE(香栄興業株式会社製)等があげられる。
【0018】
本発明で用いられるハッカ油の市販品としては、ペパーミントオイル EKD(株式会社永廣堂本店製)等があげられる。
【0019】
本発明で用いられるユーカリ油の市販品としては、ユーカリオイル(株式会社永廣堂本店製)等があげられる。
【0020】
本発明で用いられるローズマリー油の市販品としては、ローズマリーオイル(株式会社永廣堂本店製)等があげられる。
【0021】
本発明で用いられるスペアミント油の市販品としては、スペアミント油(香栄興業株式会社製)等があげられる。
【0022】
本発明で用いられるイランイラン花油の市販品としては、YLANG YLANG-CO OIL C(小川香料株式会社製)等があげられる。
【0023】
本発明で用いられるラベンダー油の市販品としては、ラベンダーオイル(株式会社永廣堂本店製)等があげられる。
【0024】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、好ましくは0.001~1.2%、より好ましくは0.005~1%、さらに好ましくは0.01~0.8%がよい。前記(A)成分が0.001%未満の場合、香りを感じにくい恐れがある。前記(A)成分が1.2%を超える場合、20℃および40℃における透明度を保てない恐れがある。
【0025】
本発明は、20℃および40℃における透明度の観点から(B)POE・POPアルキルエーテルから選ばれる1種以上を含有する。
【0026】
本発明で用いられる前記(B)成分の具体例としては、POE(26)POP(26)ブチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル等があげられる。なお、POE後の括弧の中の数字はエチレンオキシド、POP後の括弧の中の数字はプロピレンオキシドの平均付加モル数を表している。
【0027】
本発明で用いられる前記(B)成分のうち、さらにべたつきのなさの観点から、POE・POPデシルテトラデシルエーテルが好ましく、POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテルがより好ましい。
【0028】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、好ましくは0.8~4%、より好ましくは1~3.5%、さらに好ましくは1.2~3%がよい。前記(B)成分が0.8%未満の場合、20℃および40℃における透明度を保てない恐れがある。前記(B)成分が4%を超える場合、40℃における透明度を保てない恐れ、ミスト性能が劣る恐れやべたつきを感じる恐れがある。
【0029】
本発明は、20℃および40℃における透明度の観点から、(C)プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはエチレングリコールから選ばれる1種以上を含有する。
【0030】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、好ましくは1~40%、より好ましくは2~30%、さらに好ましくは3~20%がよい。前記(C)成分が1%未満の場合、20℃および40℃における透明度を保てない恐れがある。前記(C)成分が40%を超える場合、ミスト性能が劣る恐れやべたつきを感じる恐れがある。
【0031】
本発明は、40℃における透明度の観点から、(D)エタノールを含有する。
【0032】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、好ましくは1~25%、より好ましくは3~20%、さらに好ましくは5~15%がよい。前記(D)成分が1%未満の場合、40℃における透明度を保てない恐れがある。前記(D)成分が25%を超える場合、エタノール臭による不快感が生じる恐れがある。
【0033】
本発明は、べたつきのなさの観点から、(E)トリメチルグリシンを含有する。
【0034】
本発明で用いられる前記(E)成分の含有量は、好ましくは0.1~5%、より好ましくは0.5~4%、さらに好ましくは1~3%がよい。前記(E)成分が0.1%未満の場合、べたつきを感じる恐れがある。前記(E)成分が5%を超える場合、20℃および40℃における透明度を保てない恐れがある。
【0035】
本発明のミスト式化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記成分の他、通常化粧品に用いられる成分として、皮膜形成樹脂、界面活性剤、シリコーン油、油性成分、アルコール類、pH調整剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、清涼剤、増粘剤、ビタミン類、植物抽出物、タンパク質加水分解物、着色剤等を含有することが可能であり、これらは1種以上含有してもよい。
【0036】
本発明におけるミスト式化粧料組成物の外観は、透明である。
【0037】
本発明における「透明」とは、常法にて調製して得られたミスト式化粧料組成物を光路長10mmの石英セルに高さ40mmとなるまで充填し、紫外可視分光光度計(型番:UV-1280、株式会社島津製作所製)で測定した660nmの波長における透過率が90%以上のものである。
【0038】
本発明におけるミスト式化粧料組成物の660nmの波長における透過率は、特に限定されないが、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上がよい。
【0039】
本発明におけるミスト式化粧料組成物の20℃条件下での粘度は、特に限定されないが、好ましくは1000mPa・s未満であり、より好ましくは100mPa・s未満がよい。
【0040】
本発明におけるミスト式化粧料組成物の20℃条件下での粘度は、常法にて調製して得られたミスト式化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に130mL充填し、20℃条件下で24時間調温した後に、B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、粘度が1mPa・s以上100mPa・s未満の場合は、M1号ローターを用いて60rpmで1分間、粘度が100mPa・s以上1000mPa・s未満の場合は、M2号ローターを用いて30rpmで1分間回転させた後に測定したものである。
【0041】
本発明におけるミスト式化粧料組成物の20℃条件下でのpHは、特に限定されないが、好ましくは4.0~6.0、より好ましくは4.5~5.5がよい。
【0042】
本発明におけるミスト式化粧料組成物の20℃条件下でのpHは、常法にて調製して得られたミスト式化粧料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に130mL充填し、20℃条件下で24時間調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)により測定したものである。
【0043】
本発明におけるミスト式化粧料組成物が用いられる部位は、特に限定されないが、皮膚または毛髪に用いられることが好ましく、皮膚に用いられることがより好ましい。
【0044】
本発明におけるミスト式とは、容器内に化粧料組成物が充填されており、ポンプ式ディスペンサーまたはトリガー式ディスペンサーにより化粧料組成物がミスト状に噴霧されることを意味する。
【0045】
本発明の前記ポンプ式ディスペンサーは、特に限定されないが、例えば、Z-100(噴霧量:0.1mL/1プッシュ、株式会社三谷バルブ製)、Z-155(噴霧量:0.15mL/1プッシュ、株式会社三谷バルブ製)、Z-205(噴霧量:0.2mL/1プッシュ、株式会社三谷バルブ製)等を使用することができる。
【0046】
本発明の前記トリガー式ディスペンサーは、特に限定されないが、例えば、Z-305(噴霧量:0.3mL/1プッシュ、株式会社三谷バルブ製)、T-305(噴霧量:0.3mL/1プッシュ、株式会社三谷バルブ製)等を使用することができる。
【実施例0047】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0048】
本明細書に示す評価試験において、ミスト式化粧料組成物に含まれる成分、およびその含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0049】
本明細書に示す評価試験において、実施例および比較例のミスト式化粧料組成物はポンプ式ディスペンサーにて塗布し、ポンプ式ディスペンサーはZ-155(株式会社三谷バルブ製)を用い、ノズルはND-921(株式会社三谷バルブ製)を用いた。
【0050】
本明細書に示す評価試験において、「20℃における透明度」、「40℃における透明度」、「ミスト性能」、「べたつきのなさ」、「香りの強さ」および「エタノール臭のなさ」について下記の方法で評価した。
【0051】
「20℃における透明度」
ミスト式化粧料組成物を、光路長10mmの石英セルに高さ40mmとなるまで充填し、20℃条件下で24時間調温した後に、紫外可視分光光度計(型番:UV-1280、株式会社島津製作所製)にて透過率を測定した。なお本明細書における透過率は、同様の石英セルに充填し、20℃条件下で24時間調温した精製水の透過率を100%とした。20℃における透明度を、660nmの波長における透過率から下記判定基準に従って、◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階で評価した。
(判定基準)
◎:98%以上
○:95%以上98%未満
△:90%以上95%未満
×:90%未満
【0052】
「40℃における透明度」
ミスト式化粧料組成物を、光路長10mmの石英セルに高さ40mmとなるまで充填し、40℃条件下で24時間放置した後に、紫外可視分光光度計(型番:UV-1280、株式会社島津製作所製)にて透過率を測定した。なお本明細書における透過率は、同様の石英セルに充填し、40℃条件下で24時間調温した精製水の透過率を100%とした。40℃における透明度を、660nmの波長における透過率から下記判定基準に従って、◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階で評価した。
(判定基準)
◎:98%以上
○:95%以上98%未満
△:90%以上95%未満
×:90%未満
【0053】
「ミスト性能」
赤色106号で着色したミスト式化粧料組成物を紙から20cm離したところより地面に並行に噴霧し、霧の状態を確認した。なお、実験を行う際には空調設備による風の影響等を受けない場所で行った。霧が噴霧され着色した範囲の中で、描ける最大円の直径にて霧の状態を、下記判定基準に従って、◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階で評価した。
(判定基準)
◎:直径15cm以上
○:直径10cm以上15cm未満
△:直径5cm以上10cm未満
×:直径5cm未満
【0054】
「べたつきのなさ」
パネラー16名が、20℃に調温したミスト式化粧料組成物を20℃、湿度60%の条件下で、内腕に1プッシュ塗布し手で馴染ませた直後のべたつきのなさを、官能にて下記判定基準に従って、◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階で評価した。
(判定基準)
◎:16人中13人以上がべたつきを感じなかった。
○:16人中9人から12人がべたつきを感じなかった。
△:16人中5人から8人がべたつきを感じなかった。
×:16人中4人以下がべたつきを感じなかった。
【0055】
「香りの強さ」
パネラー16名が、20℃に調温したミスト式化粧料組成物を20℃、湿度60%の条件下で、内腕に1プッシュ塗布し手で馴染ませた直後の香りの強さを、官能にて下記判定基準に従って、◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階で評価した。
(判定基準)
◎:16人中13人以上が香りを感じた。
○:16人中9人から12人が香りを感じた。
△:16人中5人から8人が香りを感じた。
×:16人中4人以下が香りを感じた。
【0056】
「エタノール臭のなさ」
パネラー16名が、20℃に調温したミスト式化粧料組成物を20℃、湿度60%の条件下で、内腕に1プッシュ塗布し手で馴染ませた直後のエタノール臭のなさを、官能にて下記判定基準に従って、◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや良好)、×(不良)の4段階で評価した。
(判定基準)
◎:16人中13人以上がエタノール臭を感じなかった。
○:16人中9人から12人がエタノール臭を感じなかった。
△:16人中5人から8人がエタノール臭を感じなかった。
×:16人中4人以下がエタノール臭を感じなかった。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
比較例2はオレンジ油が本発明のミスト式化粧料組成物に均一に溶解しなかったため、評価項目を評価しなかった。
【0061】
【0062】
比較例4~6はオレンジ油が本発明のミスト式化粧料組成物に均一に溶解しなかったため、評価項目を評価しなかった。
【0063】
【0064】
【0065】
表1~6に示す実施例1~44から、「20℃における透明度」、「40℃における透明度」、「ミスト性能」、「べたつきのなさ」、「香りの強さ」および「エタノール臭のなさ」について良好な結果を得ることが確認された。
【0066】
以下の実施例45および実施例46を使用して各種評価試験を行っても、「20℃における透明度」、「40℃における透明度」、「ミスト性能」、「べたつきのなさ」、「香りの強さ」および「エタノール臭のなさ」のいずれの評価も良好であった。
【0067】
実施例45
成 分 含有量(質量%)
(A)ハッカ油 0.01
(B)POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル 2.00
(C)プロピレングリコール 5.00
(D)エタノール 10.00
(E)トリメチルグリシン 2.00
1,3-ブチレングリコール 2.00
クエン酸 0.12
クエン酸ナトリウム 0.10
エデト酸二ナトリウム 0.01
安息香酸ナトリウム 0.40
アルニカエキス 0.01
キューカンバーエキス(1) 0.01
セイヨウキズタエキス 0.01
セイヨウニワトコエキス 0.01
ゼニアオイエキス 0.01
パリエタリアエキス 0.01
イノンド種子エキス 0.01
オリブ油 0.01
ヒポファエラムノイデス種子油 0.01
香料 1.00
精製水 77.27
合計 100.00
粘度(20℃):7.0mPa・s
pH(20℃):5.2
【0068】
実施例46
成 分 含有量(質量%)
(A)オレンジ油 0.01
(B)POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル 2.00
(C)プロピレングリコール 5.00
(D)エタノール 10.00
(E)トリメチルグリシン 2.00
1,3-ブチレングリコール 2.00
クエン酸 0.12
クエン酸ナトリウム 0.10
エデト酸二ナトリウム 0.01
安息香酸ナトリウム 0.40
アルニカエキス 0.01
キューカンバーエキス(1) 0.01
セイヨウキズタエキス 0.01
セイヨウニワトコエキス 0.01
ゼニアオイエキス 0.01
パリエタリアエキス 0.01
イノンド種子エキス 0.01
キイチゴエキス 0.01
カンゾウ葉エキス 0.01
オリブ油 0.01
ヒポファエラムノイデス種子油 0.01
香料 0.55
精製水 77.70
合計 100.00
粘度(20℃):7.1mPa・s
pH(20℃):5.2
本発明は透明なミスト式化粧料組成物に関し、特に20℃および40℃における透明度が高く、ミスト状に噴霧でき、べたつきがなく、エタノール臭を感じることなく香りを感じられる透明なミスト式化粧料組成物を得ることができる。