(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085929
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
B60J 7/05 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
B60J7/05 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200251
(22)【出願日】2021-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 隆太
(72)【発明者】
【氏名】西場 保
(57)【要約】
【課題】カム溝が有底の構成であっても可動パネルがチルトアップ位置にあるときに振動を減衰することができるサンルーフ装置を提供する。
【解決手段】サンルーフ装置(1)は、可動パネル(11)をスライダ(27)に連結する連結部材(29)と、可動パネルの後端を昇降させる昇降機構(30)とを備える。昇降機構は、スライダに設けられ、側方に開放された有底のカム溝(35)と、連結部材に設けられ、カム溝に側方から突入するガイドピン(36)とを備える。スライダのカム溝を画定する底壁(46)には、底壁を貫通し、且つカム溝の長さよりも小さな長さをもってカム溝の延在方向に延在するスロット(47)が形成される。スロットは、可動パネルがチルトアップ位置にあるときにガイドピンが位置する底壁の部分に設けられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成された開口を可動パネルによって少なくとも部分的に開閉するサンルーフ装置であって、
前記開口に整合するように前記ルーフの下方に配置される枠状のフレームと、
前記フレームに前後方向にスライド可能に設けられるスライダと、
前記可動パネルを前記スライダに連結する連結部材と、
前記スライダ及び前記連結部材間に設けられ、前記開口を閉じる閉位置と後部が前記開口の上方に位置するチルトアップ位置との間で前記可動パネルを傾動させるべく、前記可動パネルの後端を昇降させる昇降機構とを備え、
前記昇降機構が、
前記スライダ及び前記連結部材の一方に設けられ、側方に開放された有底のカム溝と、
前記スライダ及び前記連結部材の他方に設けられ、前記カム溝に側方から突入する少なくとも1つのガイドピンとを備え、
前記スライダ及び前記連結部材の前記一方の前記カム溝を画定する底壁に、前記底壁を貫通し、且つ前記カム溝の長さよりも小さな長さをもって前記カム溝の延在方向に延在する少なくとも1つのスロットが形成され、少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記チルトアップ位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられているサンルーフ装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられている請求項1に記載のサンルーフ装置。
【請求項3】
前記可動パネルが、前記閉位置と前記閉位置に対して平面視で前記スライダの移動方向に位置する開位置との間を移動可能に前記フレームに支持され、
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記開位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられていない請求項1又は2に記載のサンルーフ装置。
【請求項4】
前記連結部材が、前記可動パネルに回動可能に連結された一端を有するリンク部材を含み、
前記ガイドピンが、前記カム溝の前記延在方向において互いに離間する位置で前記リンク部材に設けられた2つの前記ガイドピンを含み、
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記チルトアップ位置にあるときに2つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分のそれぞれに互いに離間して設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載のサンルーフ装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに2つの前記ガイドピンのうちの一方が位置する前記底壁の部分に設けられ、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに2つの前記ガイドピンのうちの他方が位置する前記底壁の部分には設けられていない請求項4に記載のサンルーフ装置。
【請求項6】
前記スライダが、板金部材と、前記板金部材に一体形成された樹脂部材とを含み、
前記カム溝が前記板金部材を板厚方向に貫通するように前記樹脂部材によって画定されている請求項4又は5に記載のサンルーフ装置。
【請求項7】
前記スライダが、前記リンク部材の両側に配置され、互いに連結された1対の縦壁部を含み、1対の前記縦壁部のそれぞれに前記カム溝が形成され、
少なくとも1つの前記ガイドピンが、前記カム溝に突入するべく前記リンク部材から両側方へ突出しており、
1対の前記縦壁部のそれぞれの前記底壁に前記スロットが形成されている請求項4~6のいずれか1項に記載のサンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のルーフに形成された開口を可動パネルによって少なくとも部分的に開閉するサンルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフにはサンルーフ装置が設けられることがある。サンルーフ装置では、例えば、カバー(可動パネル)は、ルーフの開口部を完全に又は部分的に開放するか、後端を持ち上げる(チルトアップする)ことでファン位置(換気位置)をとる。可動パネルを移動させるためには、例えば、ガイドピンが移動できるスライドトラック(カム溝)を備えたガイドリンクが用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のサンルーフ装置は、ガイドピンがカム溝を移動し、可動パネルが固定ルーフの外板の下方を移動するスライド/チルト式ルーフである。可動パネルの下面にはガイドスロット(ステー)が取り付けられ、ステーには後部スライダのガイドピンが変位可能に係合するカム溝が設けられている。ステーは、鋼製の支持部と、支持部にオーバーモールドされた樹脂ライニングとを備える。カム溝は、樹脂ライニングによって画定され、カム溝の上縁の一部には、長溝が形成された樹脂ライニングの肉厚部によって減衰セクションが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202004016557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のサンルーフ装置では、ガイドピンが減衰セクションに位置するときに、ガイドピンが樹脂ライニングによって柔軟に上下方向に保持されるため、可動パネルの振動減衰効果が期待できる。しかしながら、カム溝が側方に開放された有底形状とされ、ガイドピンがカム溝を貫通しない構成の場合には、減衰セクションによって樹脂ライニングに肉厚部に柔軟性を付与することができない。したがって、振動減衰効果を得ることができない。
【0006】
可動パネルの振動は可動パネルがチルトアップ位置にあるときに大きくなる傾向にある。しかしながらこのサンルーフ装置では、可動パネルがチルトアップ位置にあるときに、ガイドピンがカム溝の端部に位置し、カム溝の端部は鍵穴開口部になっている。そのため、この構成では可動パネルがチルトアップ位置にあるときに振動減衰効果を得ることができない。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑み、カム溝が有底の構成であっても可動パネルがチルトアップ位置にあるときに振動を減衰することができるサンルーフ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明のある実施形態は、車両(1)のルーフ(2)に形成された開口(3)を可動パネル(11、111)によって少なくとも部分的に開閉するサンルーフ装置(10、110)であって、前記開口に整合するように前記ルーフの下方に配置される枠状のフレーム(20)と、前記フレームに前後方向にスライド可能に設けられるスライダ(27、125)と、前記可動パネルを前記スライダに連結する連結部材(29、32、129)と、前記スライダ及び前記連結部材間に設けられ、前記開口を閉じる閉位置と後部が前記開口の上方に位置するチルトアップ位置との間で前記可動パネルを傾動させるべく、前記可動パネルの後端を昇降させる昇降機構(30、130)とを備え、前記昇降機構が、前記スライダ及び前記連結部材の一方に設けられ、側方に開放された有底のカム溝(35、135)と、前記スライダ及び前記連結部材の他方に設けられ、前記カム溝に側方から突入する少なくとも1つのガイドピン(36、136)とを備え、前記スライダ及び前記連結部材の前記一方の前記カム溝を画定する底壁(46、146)に、前記底壁を貫通し、且つ前記カム溝の長さよりも小さな長さをもって前記カム溝の延在方向に延在する少なくとも1つのスロット(47、147)が形成され、少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記チルトアップ位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられている。
【0009】
この構成によれば、可動パネルがチルトアップ位置にあるときに、可動パネルを支持する昇降機構の少なくとも1つのガイドピンが、スロットによって剛性が低下したカム溝の部分により支持される。そのため、チルトアップ位置にある可動パネルが振動したときに、可動パネルの振動が昇降機構によって減衰される。よって、可動パネルの振動音が抑制される。なお、少なくとも1つのスロットの長さはカム溝の長さよりも小さいため、底壁にスロットが設けられても、カム溝全体の剛性を確保することができる。
【0010】
上記の態様において、少なくとも1つの前記スロット(47、147)が、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられているとよい。
【0011】
この構成によれば、可動パネルが閉位置にあるときにも、少なくとも1つのガイドピンが、スロットによって剛性が低下したカム溝の部分によって支持される。よって、閉位置にある可動パネルが振動したときにも、可動パネルの振動が昇降機構によって減衰される。
【0012】
上記の態様において、前記可動パネル(11、111)が、前記閉位置と前記閉位置に対して平面視で前記スライダの移動方向に位置する開位置との間を移動可能に前記フレームに支持され、少なくとも1つの前記スロット(47、147)が、前記可動パネルが前記開位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられていないとよい。
【0013】
スロットが設けられたカム溝の部分により少なくとも1つのガイドピンが支持されると、可動パネルの振動が減衰される一方、可動パネルが振動し易くなる。この構成によれば、可動パネルが開位置にあるときに可動パネルを振動し難くすることができる。
【0014】
上記の態様において、前記連結部材が、前記可動パネルに回動可能に連結された一端を有するリンク部材(32)を含み、前記ガイドピン(36)が、前記カム溝の前記延在方向において互いに離間する位置で前記リンク部材に設けられた2つの前記ガイドピン(36)を含み、少なくとも1つの前記スロット(47)が、前記可動パネルが前記チルトアップ位置にあるときに2つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分のそれぞれに互いに離間して設けられているとよい。
【0015】
この構成によれば、可動パネルがチルトアップ位置にあるときに、2つのガイドピンの一方が位置する底壁の部分のみにスロットが設けられた場合に比べ、低い支持剛性をもってリンク部材がカム溝により支持される。そのため、チルトアップ位置にある可動パネルが振動したときに、可動パネルの振動が昇降機構によってより効果的に減衰される。
【0016】
上記リンク部材を含む態様において、少なくとも1つの前記スロット(47)が、前記可動パネル(11)が前記閉位置にあるときに2つの前記ガイドピン(36)のうちの一方が位置する前記底壁(46)の部分に設けられ、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに2つの前記ガイドピンのうちの他方が位置する前記底壁の部分には設けられていないとよい。
【0017】
この構成によれば、可動パネルが閉位置にあるときに、2つのガイドピンが位置する底壁の部分の両方にスロットが設けられた場合に比べ、高い支持剛性をもってリンク部材がカム溝により支持される。そのため、可動パネルが閉位置にあるときに可動パネルを振動し難くすることができる。
【0018】
上記リンク部材を含む態様において、前記スライダ(27)が、板金部材(43)と、前記板金部材に一体形成された樹脂部材(44)とを含み、前記カム溝(35)が前記板金部材を板厚方向に貫通するように前記樹脂部材によって画定されているとよい。
【0019】
この構成によれば、カム溝が樹脂部材によって画定されることにより、ガイドピンの摺動抵抗を小さくすることができる。また、カム溝が板金部材を板厚方向に貫通するように画定されることにより、ガイドピンから入力される力に対するカム溝の剛性が板金部材によって補われる。
【0020】
上記リンク部材を含む態様において、前記スライダ(27)が、前記リンク部材(32)の両側に配置され、互いに連結された1対の縦壁部(41)を含み、1対の前記縦壁部のそれぞれに前記カム溝(35)が形成され、少なくとも1つの前記ガイドピン(36)が、前記カム溝に突入するべく前記リンク部材から両側方へ突出しており、1対の前記縦壁部(46)のそれぞれの前記底壁に前記スロット(47)が形成されているとよい。
【0021】
この構成によれば、1対の縦壁部のカム溝によってガイドピンの両端が支持されることにより、ガイドピンのパネル支持力を大きくすることができる。また、1対の縦壁部のそれぞれの底壁にスロットが設けられることにより、ガイドピンが鉛直荷重をバランスよく支持することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の態様によれば、カム溝が有底の構成であっても可動パネルがチルトアップ位置にあるときに振動を減衰することができるサンルーフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係るサンルーフ装置の閉状態を示す斜視図
【
図2】
図1に示されるサンルーフ装置のチルトアップ状態を示す斜視図
【
図3】
図1に示されるサンルーフ装置の開状態を示す斜視図
【
図6】
図4に示される昇降機構の(a)閉状態、(b)チルトアップ状態、(c)開状態を示す動作説明図
【
図7】
図6に対応する(a)閉状態、(b)チルトアップ状態、(c)開状態を示す、後部スライダの動作説明図
【
図8】第2実施形態に係るサンルーフ装置の開状態を示す斜視図
【
図9】
図8に示されるサンルーフ装置の(a)チルトアップ状態、(b)閉状態、(c)開状態を示す動作説明図
【
図11】
図9に対応する(a)チルトアップ状態、(b)閉状態、(c)開状態を示す、昇降機構の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
≪第1実施形態≫
まず、
図1~
図7を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、自動車1のルーフ2に搭載されたサンルーフ装置10の閉状態を示す斜視図である。自動車1のルーフ2には矩形状の開口3が形成されており、この開口3を塞ぐようにサンルーフ装置10がルーフ2に搭載される。以下、サンルーフ装置10がルーフ2に搭載された自動車1を基準として、前後、左右、上下の方向を定める。サンルーフ装置10は、概ね左右対称とされており、左右対称の構造の詳細については右側を図示して説明する。
【0026】
サンルーフ装置10は、開口3の前部を閉じるフロントパネル11と、開口3の後部を閉じるリヤパネル12とを有している。フロントパネル11及びリヤパネル12は、それらの上面がルーフ2の上面に整合するようにルーフ2に沿って配置される。フロントパネル11は、ルーフ2に対して移動可能な可動パネルであり、リヤパネル12は、ルーフ2に対して移動不能な固定パネルである。
【0027】
フロントパネル11は、ガラス板からなるフロントパネル本体部13と、フロントパネル本体部13の外周縁に設けられた樹脂製の環状のフロントモール部14とを有している。フロントモール部14の外周縁と開口3の縁部との間には、弾性材からなるフロントシール部15が設けられている。リヤパネル12は、ガラス板からなるリヤパネル本体部16と、リヤパネル本体部16の外周縁に設けられた樹脂製の環状のリヤモール部17とを有している。リヤモール部17の外周縁と開口3の縁部との間には弾性材からなるリヤシール部18が設けられている。フロントシール部15とリヤシール部18とは、協働して、フロントパネル11及びリヤパネル12の外周に環状のシール部を形成すると共に、フロントパネル11とリヤパネル12との間にシール部を形成する。
【0028】
フロントパネル11は、公知のスライド機構によって開方向に駆動されると、
図1に示される開口3の前部を閉じる閉位置から、
図2に示される後部を跳ね上げたチルトアップ位置へ移動する。更に開方向に駆動されると、フロントパネル11は、リヤパネル12の上側を後方へスライドし、
図3に示される、リヤパネル12の上側に重なって開口3の前部を開く開位置へ移動する。一方、フロントパネル11は、スライド機構によって閉方向へ駆動されると、
図3に示される開位置から、リヤパネル12の上側を前方へスライドし、
図2に示されるチルトアップ位置を経由して、
図1に示される閉位置へ移動する。このように、フロントパネル11は、
図1に示される閉位置と
図3に示される開位置との間をスライド可能とされており、サンルーフ装置10は開口3の前部を部分的に開閉することができる。本実施形態のサンルーフ装置10は、フロントパネル11がルーフ2の上方(外側)を移動するアウタスライド式サンルーフである。
【0029】
図3に示されるように、ルーフ2の下方には、フロントパネル11やリヤパネル12を支持する枠状のフレーム20がルーフ2の開口3に整合するように取り付けられている。フレーム20は、開口3に沿う矩形環状とされており、開口3の側縁部に沿って前後方向に延在する左右のサイドメンバ21と、左右のサイドメンバ21の前端同士及び後端同士を連結するフロントクロスメンバ22及びリヤクロスメンバとを有している。各サイドメンバ21には、前後方向に延在するガイドレール24が一体に設けられている。
【0030】
リヤクロスメンバの左右方向の中間部には、電気モータ及び減速機構を有する駆動源が取り付けられている。駆動源の出力端には、フロントパネル11を駆動するための左右のプッシュプルケーブルが係合している。プッシュプルケーブルは、駆動源の出力端からリヤクロスメンバを車外方向へ延び、左右のガイドパイプを通って前方へ湾曲した後、左右のガイドレール24内を前方へ延びている。
【0031】
図4は、
図2中のIV-IV断面図である。
図4に示すように、ガイドレール24には、スライダ25が前後方向にスライド可能に設けられている。スライダ25にはプッシュプルケーブルが結合されている。スライダ25は、前部スライダ26、前部スライダ26の後方に配置された後部スライダ27、及び、前部スライダ26と後部スライダ27とを連結する連結スライダ28を備えている。前部スライダ26及び後部スライダ27は、連結スライダ28によって横方向の軸線周りに互いに回動可能且つ前後方向に互いに離反不能に連結されている。よって、前部スライダ26及び後部スライダ27は、プッシュプルケーブルによって押し引きされることにより、互いに同期して前後に摺動する。
【0032】
フロントパネル11の下面には、フロントパネル11をスライダ25に連結するための左右のステー29が固定されている。各ステー29は、前後方向に延在する金属製の板材によって構成されている。ステー29はフロントパネル11をスライダ25に連結する連結部材として機能する。スライダ25及びステー29間には、フロントパネル11を昇降させる昇降機構30が設けられている。
【0033】
昇降機構30は、フロントパネル11を、開口3を閉じる閉位置と後部が開口3の上方に位置するチルトアップ位置との間を傾動させる。この際の傾動中心はフロントパネル11の前端近傍である。即ち、昇降機構30は、フロントパネル11の後端を昇降させる。また、昇降機構30は、フロントパネル11を、チルトアップ位置と前部及び後部が共に開口3の上方に位置する上昇位置との間を傾動させる。この際の傾動中心はフロントパネル11の後端近傍である。即ち、昇降機構30は、フロントパネル11の前端を昇降させる。昇降機構30は、フロントパネル11が上昇位置と開位置との間にあるとき、フロントパネル11を上昇させた位置に保持する。なお、開位置は、平面視で閉位置に対してスライダ25の移動方向である後方に位置する。
【0034】
前部スライダ26は前部リンク部材31を介してステー29の前部に連結される。後部スライダ27は後部リンク部材32を介してステー29の後部に連結される。前部リンク部材31はステー29に対して横方向の軸線周りに回動可能に接続されている。前部スライダ26には側方に開放された有底の前部カム溝33が形成されている。前部カム溝33は前後方向及び上下方向に長さを有している。前部リンク部材31は側方へ突出する前部ガイドピン34を一体に備えている。前部リンク部材31は、前部ガイドピン34が側方から前部カム溝33に突入することで前部スライダ26に摺動可能に接続されている。前部スライダ26はフロントパネル11をスライダ25に連結する連結部材として機能する。
【0035】
後部リンク部材32はステー29に対して横方向の軸線周りに回動可能に接続されている。後部スライダ27には側方に開放された有底の後部カム溝35が形成されている。後部カム溝35は前後方向及び上下方向に長さを有している。後部リンク部材32は側方へ突出する2つの後部ガイドピン36を一体に備えている。後部リンク部材32は、後部ガイドピン36が側方から後部カム溝35に突入することで後部スライダ27に摺動可能に接続されている。2つの後部ガイドピン36は後部カム溝35の延在方向に互いに離間する位置に配置されている。後部リンク部材32はフロントパネル11をスライダ25に連結する連結部材として機能する。
【0036】
図5は
図4中のV-V断面図である。
図5に示すように、後部スライダ27は、後部リンク部材32を挟むように横方向に互いに離間して配置された1対の縦壁部41を備えている。1対の縦壁部41は互いに結合されている。各縦壁部41は、L字断面形状を有し、前後方向に延在する板金部材43と、板金部材43に一体形成された樹脂部材44とを含んでいる。板金部材43の後部カム溝35が配置される部分には、後部カム溝35の幅(高さ)よりも広い幅を有する開口部が貫通形成されており、後部カム溝35は、樹脂部材44によって画定され、この開口部にて板金部材43を板厚方向に貫通している。
【0037】
後部カム溝35は、1対の縦壁部41の対向面に、開放端が互いに対向するように形成されている。後部リンク部材32には2つのピン保持孔32aが左右方向に貫通するように形成されている。各ピン保持孔32aには後部ガイドピン36が嵌合される。後部ガイドピン36は、後部リンク部材32の両側面から両側方へ突出し、突出端36aを両縦壁部41の後部カム溝35に突入させている。
【0038】
各後部カム溝35の底壁46、即ち後部カム溝35の底を画定する樹脂部材44の薄肉部分には、後部カム溝35の幅(高さ)よりも狭い幅を有するスロット47が形成されている。スロット47は後部カム溝35の延在方向に延在している。スロット47はスロット47の延在方向の長さよりも小さな長さを有している。各後部カム溝35の底壁46には、複数のスロット47が後部カム溝35の延在方向に間隔を空けて形成されている(
図7参照)。本実施形態では、3つのスロット47が各後部カム溝35の底壁46に形成されている。両縦壁部41の各3つのスロット47は、互いに整合する位置に形成されている。
【0039】
図6は、
図4に示される昇降機構30の(a)閉状態、(b)チルトアップ状態、(c)開状態を示す動作説明図である。
図6(a)に示すように、サンルーフ装置10の閉状態は、スライダ25が最も前方に位置した状態である。前部ガイドピン34は前部カム溝33の後部に位置し、2つの後部ガイドピン36は後部カム溝35の後ろ側に位置している。前部リンク部材31及び後部リンク部材32は最も倒れた姿勢をとっている。フロントパネル11は最も低い位置でルーフ2に平行に延在する。
【0040】
図6(b)に示すように、サンルーフ装置10のチルトアップ状態は、
図6(a)の状態に比べ、スライダ25が後方に位置している。前部ガイドピン34は前部カム溝33の中間部に位置し、2つの後部ガイドピン36は後部カム溝35の中間部に位置している。前部リンク部材31は倒れた姿勢をとっている一方、後部リンク部材32は
図6(a)の状態に比べて起き上がっている。フロントパネル11は後部を跳ね上げ、ルーフ2に対して傾斜している。
【0041】
図6(c)に示すように、サンルーフ装置10の開状態は、スライダ25が最も後方に位置した状態である。前部ガイドピン34は前部カム溝33の前部に位置し、2つの後部ガイドピン36は後部カム溝35の前側に位置している。前部リンク部材31は起き上がっており、後部リンク部材32は
図6(b)の状態に比べて更に起き上がっている。フロントパネル11は最も高い位置でルーフ2に平行に延在する。なお、フロントパネル11が上昇位置にあるとき、フロントパネル11のルーフ2に対する高さ及び延在方向は
図6(c)の開状態と同様である。
【0042】
図7は、
図6に対応する(a)閉状態、(b)チルトアップ状態、(c)開状態を示す、後部スライダ27の動作説明図である。
図7(a)に示すように、サンルーフ装置10が閉状態であるときに、前側の後部ガイドピン36が位置する後部カム溝35の底壁46の部分には、スロット47は設けられていない。一方、後ろ側の後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分には、スロット47が設けられている。
【0043】
図7(b)に示すように、サンルーフ装置10がチルトアップ状態であるときに、2つの後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分のそれぞれには、スロット47が設けられている。
図7(c)に示すように、サンルーフ装置10が開状態であるときに、2つの後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分には、スロット47は設けられていない。
【0044】
つまり、後部カム溝35の底壁46には、後部カム溝35の延在方向に互いに離間する3カ所に、3つのスロット47が形成されている。これらのスロット47は、後部カム溝35の長さよりも小さな長さをもって後部カム溝35の延在方向に延在している。
【0045】
サンルーフ装置10は以上のように構成されている。次に、サンルーフ装置10の作用効果について説明する。
【0046】
図7(b)に示すように、フロントパネル11がチルトアップ位置にあるときに後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分にスロット47が設けられている。これにより、フロントパネル11がチルトアップ位置にあるときに、フロントパネル11を支持する昇降機構30の後部ガイドピン36が、スロット47によって剛性が低下した後部カム溝35の部分により支持される。そのため、チルトアップ位置にあるフロントパネル11が振動したときに、フロントパネル11の振動が昇降機構30によって減衰される。よって、フロントパネル11の振動音が抑制される。なお、少なくとも1つのスロット47の長さは後部カム溝35の長さよりも小さいため、底壁46にスロット47が設けられても、後部カム溝35全体の剛性は確保される。
【0047】
図7(a)に示すように、フロントパネル11が閉位置にあるときに後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分にもスロット47が設けられている。これにより、フロントパネル11が閉位置にあるときにも、後部ガイドピン36が、スロット47によって剛性が低下した後部カム溝35の部分によって支持される。よって、閉位置にあるフロントパネル11が振動したときにも、フロントパネル11の振動が昇降機構30によって減衰される。
【0048】
上記のように、フロントパネル11は、閉位置と閉位置に対して平面視で後部スライダ27の移動方向に位置する開位置との間を移動可能にフレーム20に支持されている。スロット47が設けられた後部カム溝35の部分によって後部ガイドピン36が支持されると、フロントパネル11の振動が減衰される一方、フロントパネル11は振動し易くなる。本実施形態では、
図7(c)に示すように、フロントパネル11が開位置にあるときに後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分にはスロット47は設けられていない。これにより、フロントパネル11が開位置にあるときにはフロントパネル11は振動し難い。
【0049】
図5~
図7に示すように、フロントパネル11をスライダ25に連結する連結部材として、フロントパネル11に回動可能に連結された一端を有する後部リンク部材32が設けられている。また、2つの後部ガイドピン36が、後部カム溝35の延在方向において互いに離間する位置で後部リンク部材32に設けられている。そして
図7(b)に示すように、フロントパネル11がチルトアップ位置にあるときに2つの後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分のそれぞれにスロット47が互いに離間して設けられている。これにより、フロントパネル11がチルトアップ位置にあるときに、2つの後部ガイドピン36の一方が位置する底壁46の部分のみにスロット47が設けられた場合に比べ、低い支持剛性をもって後部リンク部材32が後部カム溝35により支持される。そのため、チルトアップ位置にあるフロントパネル11が振動したときに、フロントパネル11の振動が昇降機構30によってより効果的に減衰される。
【0050】
図7(a)に示すように、フロントパネル11が閉位置にあるときに一方(本実施形態では後ろ側)の後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分にはスロット47が設けられている。一方、フロントパネル11が閉位置にあるときに他方(本実施形態では前側)の後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分にはスロット47は設けられていない。これにより、フロントパネル11が閉位置にあるときに、2つの後部ガイドピン36が位置する底壁46の部分の両方にスロット47が設けられた場合に比べ、高い支持剛性をもって後部リンク部材32が後部カム溝35により支持される。そのため、フロントパネル11が閉位置にあるときにフロントパネル11が振動し難くなる。
【0051】
図4に示すように、後部スライダ27は、板金部材43と、板金部材43に一体形成された樹脂部材44とを含む。そして、後部カム溝35は板金部材43を板厚方向に貫通するように樹脂部材44によって画定されている。後部カム溝35が樹脂部材44によって画定されることにより、後部ガイドピン36の摺動抵抗を小さくなる。また、後部カム溝35が板金部材43を板厚方向に貫通するように画定されることにより、後部ガイドピン36から入力される力に対する後部カム溝35の剛性が板金部材43によって補われる。
【0052】
後部スライダ27は、後部リンク部材32の両側に配置され、互いに連結された1対の縦壁部41を含む。後部カム溝35は1対の縦壁部41のそれぞれに形成され、後部ガイドピン36は、後部カム溝35に突入するべく後部リンク部材32から両側方へ突出している。そして、1対の縦壁部41のそれぞれの底壁46にスロット47が形成されている。このように1対の縦壁部41の後部カム溝35によって後部ガイドピン36の両端が支持されることにより、後部ガイドピン36のパネル支持力が大きくなる。また、1対の縦壁部41のそれぞれの底壁46にスロット47が設けられることにより、鉛直荷重が後部ガイドピン36によってバランスよく支持される。
【0053】
≪第2実施形態≫
次に、
図8~
図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同一又は同様の要素には同一の符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0054】
図8は、第2実施形態に係るサンルーフ装置110の開状態を示す斜視図である。サンルーフ装置110は、開口3を閉じる1枚の可動ルーフパネル111を備えている。本実施形態のサンルーフ装置110は、可動ルーフパネル111がルーフ2の下方(内側)を移動するインナスライド式サンルーフである。可動ルーフパネル111は、閉位置に対して平面視で後方に位置する開位置に移動するときには、図示されるように後部を下方へ沈めるように回動したチルトダウン姿勢をとる。一方、可動ルーフパネル111は、閉位置から後部を跳ね上げたチルトアップ姿勢をもとり得るように構成されている。
【0055】
図9は、
図8に示されるサンルーフ装置110の(a)チルトアップ状態、(b)閉状態、(c)開状態を示す動作説明図である。
図9(b)に示すように、ガイドレール24には、スライダ125が前後方向にスライド可能に設けられている。可動ルーフパネル111の下面には、フロントパネル11をスライダ125に連結するための左右のステー129が固定されている。ステー129は可動ルーフパネル111をスライダ125に連結する連結部材として機能する。スライダ125及びステー129間には、フロントパネル11を昇降させる昇降機構130が設けられている。
【0056】
図10は、
図9中のX-X断面図である。
図10に併せて示すように、各ステー129は、前後方向に延在する板金部材143と、板金部材143に一体形成された樹脂部材144とを含んでいる。ステー129の樹脂部材144には側方に開放された有底のカム溝135が形成されている。カム溝135は前後方向及び上下方向に長さを有している。スライダ125は側方へ突出する1つのガイドピン136と、ガイドピン136の突出方向からステー129に当接すべくステー129に対向する当接部材137とを一体に備えている。スライダ125は、ガイドピン136が側方からカム溝135に突入することでステー129に摺動可能に接続されている。スライダ125は、1つの片持ちのガイドピン136によってステー129を支持する。
【0057】
図9(b)に示すサンルーフ装置110の閉状態では、スライダ125がステー129に対して前後方向の中間部に位置している。ガイドピン136はカム溝135の前後方向の中間部に位置している。
図9(a)に示すサンルーフ装置110のチルトアップ状態では、スライダ125が最も前方に位置し、ステー129に対しても最も前方に位置している。ガイドピン136はカム溝135の前端部に位置している。
図9(c)に示すサンルーフ装置110の開状態では、スライダ125が最も後方に位置し、ステー129に対しても最も後方に位置している。ガイドピン136はカム溝135の後端部に位置している。
【0058】
図11は、
図9に対応する(a)チルトアップ状態、(b)閉状態、(c)開状態を示す、昇降機構130の動作説明図である。
図11(b)に示すように、サンルーフ装置110が閉状態であるときに、ガイドピン136が位置する底壁146の部分には、スロット147が設けられている。
図11(a)に示すように、サンルーフ装置110がチルトアップ状態であるときに、ガイドピン136が位置する底壁146の部分にも、スロット147が設けられている。
図11(c)に示すように、サンルーフ装置110が開状態であるときに、ガイドピン136が位置する底壁146の部分には、スロット147は設けられていない。
【0059】
つまり、カム溝135の底壁146には、カム溝135の延在方向に互いに離間する位置に、2つのスロット147が形成されている。これらのスロット147は、カム溝135の長さよりも小さな長さをもってカム溝135の延在方向に延在している。
【0060】
サンルーフ装置110は以上のように構成されている。サンルーフ装置110はこのように構成されていても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、本発明が自動車1のルーフ2に適用されたが、鉄道車両や路面電車、トレーラー等に適用されてもよい。各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 自動車
2 ルーフ
3 開口
10 サンルーフ装置
11 フロントパネル(可動パネル)
20 フレーム
24 ガイドレール
25 スライダ
27 後部スライダ
29 ステー(連結部材)
30 昇降機構
32 後部リンク部材(連結部材)
35 後部カム溝
36 後部ガイドピン
41 縦壁部
43 板金部材
44 樹脂部材
46 底壁
47 スロット
110 サンルーフ装置
111 可動ルーフパネル
125 スライダ
129 ステー(連結部材)
130 昇降機構
135 カム溝
136 ガイドピン
146 底壁
147 スロット
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成された開口を可動パネルによって少なくとも部分的に開閉するサンルーフ装置であって、
前記開口に整合するように前記ルーフの下方に配置される枠状のフレームと、
前記フレームに前後方向にスライド可能に設けられるスライダと、
前記可動パネルを前記スライダに連結する連結部材と、
前記スライダ及び前記連結部材間に設けられ、前記開口を閉じる閉位置と後部が前記開口の上方に位置するチルトアップ位置との間で前記可動パネルを傾動させるべく、前記可動パネルの後端を昇降させる昇降機構とを備え、
前記昇降機構が、
前記スライダ及び前記連結部材の一方に設けられたカム溝であって、その全長にわたって一側方に開放された有底の該カム溝と、
前記スライダ及び前記連結部材の他方に設けられ、前記カム溝に側方から突入する少なくとも1つのガイドピンとを備え、
前記スライダ及び前記連結部材の前記一方の前記カム溝を画定する底壁に、前記底壁を貫通し、且つ前記カム溝の長さよりも小さな長さをもって前記カム溝の延在方向に延在する少なくとも1つのスロットが形成され、少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記チルトアップ位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられているサンルーフ装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられている請求項1に記載のサンルーフ装置。
【請求項3】
前記可動パネルが、前記閉位置と前記閉位置に対して平面視で前記スライダの移動方向に位置する開位置との間を移動可能に前記フレームに支持され、
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記開位置にあるときに少なくとも1つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分に設けられていない請求項1又は2に記載のサンルーフ装置。
【請求項4】
前記連結部材が、前記可動パネルに回動可能に連結された一端を有するリンク部材を含み、
前記ガイドピンが、前記カム溝の前記延在方向において互いに離間する位置で前記リンク部材に設けられた2つの前記ガイドピンを含み、
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記チルトアップ位置にあるときに2つの前記ガイドピンが位置する前記底壁の部分のそれぞれに互いに離間して設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載のサンルーフ装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記スロットが、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに2つの前記ガイドピンのうちの一方が位置する前記底壁の部分に設けられ、前記可動パネルが前記閉位置にあるときに2つの前記ガイドピンのうちの他方が位置する前記底壁の部分には設けられていない請求項4に記載のサンルーフ装置。
【請求項6】
前記スライダが、板金部材と、前記板金部材に一体形成された樹脂部材とを含み、
前記カム溝が前記板金部材を板厚方向に貫通するように前記樹脂部材によって画定されている請求項4又は5に記載のサンルーフ装置。
【請求項7】
前記スライダが、前記リンク部材の両側に配置され、互いに連結された1対の縦壁部を含み、1対の前記縦壁部のそれぞれに前記カム溝が形成され、
少なくとも1つの前記ガイドピンが、前記カム溝に突入するべく前記リンク部材から両側方へ突出しており、
1対の前記縦壁部のそれぞれの前記底壁に前記スロットが形成されている請求項4~6のいずれか1項に記載のサンルーフ装置。