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特開2023-85935人力駆動車情報処理装置、人力駆動車情報処理方法、人力駆動車情報処理システム、およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085935
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】人力駆動車情報処理装置、人力駆動車情報処理方法、人力駆動車情報処理システム、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20230614BHJP
   B62M 25/08 20060101ALI20230614BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20230614BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20230614BHJP
【FI】
B62M6/45
B62M25/08
B62J45/00
B62J50/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200263
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田河 賢治
(57)【要約】
【課題】人力駆動車の快適度をライダ個々に最適化し、かつ、ライダが確認できる人力駆動車情報処理装置、人力駆動車情報処理方法、人力駆動車情報処理システム、およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】人力駆動車情報処理装置は、走行中の人力駆動車の状態データを取得する取得部と、前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出する学習部と、前記指標値を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の人力駆動車の状態データを取得する取得部と、
前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出する学習部と、
前記指標値を出力する出力部と、を有する
人力駆動車情報処理装置。
【請求項2】
前記指標値に応じた色、濃度、または輝度の画像を表示部へ表示させる、
請求項1に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記人力駆動車のハンドルバーに設けられたディスプレイである、
請求項2に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記人力駆動車のライダの情報端末装置である、
請求項2に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項5】
前記学習部は、前記状態データと、前記指標値との対応関係を記憶し、
前記ライダの動作に応じて前記指標値を更新する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項6】
前記対応関係は、前記状態データに含まれる前記人力駆動車の駆動機構におけるケイデンスおよびトルクの値に対する、前記指標値のマップである、
請求項5に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項7】
前記マップ上における走行中の前記状態データの履歴を表示部に表示させる
請求項6に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項8】
前記学習部は、状態データを入力した場合に、前記指標値を出力するように学習された学習モデルであり、走行中に学習を実行する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項9】
前記学習部は、前記状態データに対し、前記ライダから操作装置を介して前記人力駆動車に搭載されたデバイスへの操作が行なわれた場合、快適度が低下したとして学習する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項10】
前記操作装置は変速操作装置である、
請求項9に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項11】
前記操作装置はアシスト操作装置である、
請求項9に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項12】
前記学習部は、前記状態データに対し、前記ライダの生体情報に基づき快適度を示す指標値を算出し、学習する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の人力駆動車情報処理装置。
【請求項13】
人力駆動車に搭載されるコンピュータが、
走行中の人力駆動車の状態データを取得し、
前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、
新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出し、
前記指標値を出力する、
人力駆動車情報処理方法。
【請求項14】
表示装置と、
人力駆動車に搭載されたコンピュータとを含み、
前記コンピュータは、
走行中の人力駆動車の状態データを取得する取得部と、
前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出する学習部と、
前記指標値を出力する出力部と、を有する
人力駆動車情報処理システム。
【請求項15】
人力駆動車に搭載されるコンピュータに、
走行中の人力駆動車の状態データを取得し、
前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、
新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出し、
前記指標値を出力する、
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車情報処理装置、人力駆動車情報処理方法、人力駆動車情報処理システム、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に搭載されているデバイスを自動的に制御するシステムが実用化されている(特許文献1等)。人力駆動車における自動制御は、ライダがより快適に走行できるように、クランクにおけるケイデンス、トルク等を基準に実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-095384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車の走行中に快適と感じる基準は、ライダによって個々に異なる。例えば、ケイデンスが60rpm付近であることが快適であると一般的に言われているとしても、50rpmを快適と感じるライダもいれば、61rpmでも不快と感じるライダもいる。
【0005】
本発明は、人力駆動車の快適度をライダ個々に最適化し、かつ、ライダが確認できる人力駆動車情報処理装置、人力駆動車情報処理方法、人力駆動車情報処理システム、およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に従う人力駆動車情報処理装置は、走行中の人力駆動車の状態データを取得する取得部と、前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出する学習部と、前記指標値を出力する出力部と、を有する。
【0007】
上記第1側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に最適化された快適度の指標値を出力できる。
【0008】
本発明の第2側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第1側面の人力駆動車情報処理装置において、前記指標値に応じた色、濃度、または輝度の画像を表示部へ表示させる。
【0009】
上記第2側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に最適化された快適度の指標値を、ライダが直感的に把握できる態様で表示できる。
【0010】
本発明の第3側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第2側面の人力駆動車情報処理装置において、前記表示部は、前記人力駆動車のハンドルバーに設けられたディスプレイである。
【0011】
上記第3側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に最適化された快適度の指標値を、ライダが走行中に確認できる位置に表示できる。
【0012】
本発明の第4側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第2側面の人力駆動車情報処理装置において、前記表示部は、前記人力駆動車のライダの情報端末装置である。
【0013】
上記第4側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に最適化された快適度の指標値を、ライダが所有する情報端末装置で確認できる。
【0014】
本発明の第5側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第1側面から第4側面のいずれか1つの人力駆動車情報処理装置において、前記学習部は、前記状態データと、前記指標値との対応関係を記憶し、前記ライダの動作に応じて前記指標値を更新する。
【0015】
上記第5側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に、走行中の人力駆動車の状態データと、ライダの走行中の動作との対応関係によって、快適度の指標値の算出方法が最適化される。
【0016】
本発明の第6側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第5側面の人力駆動車情報処理装置において、前記対応関係は、前記状態データに含まれる前記人力駆動車の駆動機構におけるケイデンスおよびトルクの値に対する、前記指標値のマップである。
【0017】
上記第6側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に最適化された快適度の指標値を、ケイデンスおよびトルクと指標値とのマップで学習できる。
【0018】
本発明の第7側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第6側面の人力駆動車情報処理装置において、前記マップ上における走行中の前記状態データの履歴を表示部に表示させる。
【0019】
上記第7側面の人力駆動車情報処理装置によれば、快適度の指標値の変遷の履歴をライダが確認でき、ライダは学習が進むことを実感できる。
【0020】
本発明の第8側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第1側面から第4側面のいずれか1つの人力駆動車情報処理装置において、前記学習部は、状態データを入力した場合に、前記指標値を出力するように学習された学習モデルであり、走行中に学習を実行する。
【0021】
上記第8側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々に、快適度の指標値を、ケイデンスおよびトルクを含む多変数によって学習できる。
【0022】
本発明の第9側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第1側面から第8側面のいずれか1つの人力駆動車情報処理装置において、前記学習部は、前記状態データに対し、前記ライダから操作装置を介して前記人力駆動車に搭載されたデバイスへの操作が行なわれた場合、快適度が低下したとして学習する。
【0023】
上記第9側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々の操作装置を介したデバイスへの操作の有無によって、走行中の人力駆動車の快適度を学習できる。デバイスへの操作がある場合は、人力駆動車の走行を、ライダが、より楽に、あるいはより安定した運転をしようとしている可能性が高い。デバイスへの操作があった場合には、操作後よりも比較的快適度は低いはずであるため、これを学習の根拠とすることができる。
【0024】
本発明の第10側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第9側面の人力駆動車情報処理装置において、前記操作装置は変速操作装置である。
【0025】
上記第10側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々の変速操作装置への操作の有無によって、走行中の人力駆動車の快適度を学習できる。
【0026】
本発明の第11側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第9側面の人力駆動車情報処理装置において、前記操作装置はアシスト操作装置である。
【0027】
上記第11側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々のアシスト操作装置への操作の有無によって、走行中の人力駆動車の快適度を学習できる。
【0028】
本発明の第12側面に従う人力駆動車情報処理装置は、上記第1側面から第8側面のいずれか1つの人力駆動車情報処理装置において、前記学習部は、前記状態データに対し、前記ライダの生体情報に基づき快適度を示す指標値を算出し、学習する。
【0029】
上記第12側面の人力駆動車情報処理装置によれば、ライダ個々の生体情報によって、走行中の人力駆動車の快適度を学習できる。
【0030】
本発明の第13側面に従う人力駆動車情報処理方法は、人力駆動車に搭載されるコンピュータが、走行中の人力駆動車の状態データを取得し、前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出し、前記指標値を出力する。
【0031】
上記第13側面の人力駆動車情報処理方法によれば、ライダ個々に最適された快適度の指標値を出力できる。
【0032】
本発明の第14側面に従う人力駆動車情報処理システムは、表示装置と、人力駆動車に搭載されたコンピュータとを含み、前記コンピュータは、走行中の人力駆動車の状態データを取得する取得部と、前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出する学習部と、前記指標値を出力する出力部と、を有する。
【0033】
上記第14側面の人力駆動車情報処理システムによれば、ライダ個々に最適された快適度の指標値を出力できる。
【0034】
本発明の第15側面に従うコンピュータプログラムは、人力駆動車に搭載されるコンピュータに、走行中の人力駆動車の状態データを取得し、前記状態データに対応する前記人力駆動車の走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する前記快適度を示す指標値を学習結果から算出し、前記指標値を出力する、処理を実行させる。
【0035】
上記第15側面のコンピュータプログラムによれば、ライダ個々に最適された快適度の指標値を出力できる。
【発明の効果】
【0036】
本開示によれば、人力駆動車に乗るライダが快適だと感じる快適度の指標値を、人力駆動車の状態データに対し、ライダ個々に最適化させることが可能になる。また、快適であると感じる快適度の指標値がライダに適合していく過程を、ライダが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第1実施形態における制御装置が適用される人力駆動車の側面図である。
図2】制御装置の構成を説明するブロック図である。
図3】制御装置による快適度の学習処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】制御装置による快適度の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態における出力部での表示例を示す。
図6】指標値のマップの例を示す。
図7】第2実施形態の制御装置による快適度の学習処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】マップ上での指標値の更新を示す図である。
図9】マップの学習結果の一例を示す図である。
図10】マップの学習結果の他の一例を示す。
図11】第2実施形態の制御装置による快適度の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態における出力部での表示例を示す。
図13】第3実施形態における情報端末装置7構成を示すブロック図である。
図14】第3実施形態の人力駆動車用制御システムにおける快適度の学習処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15】第2実施形態における表示手順の一例を示すフローチャートである。
図16】情報端末装置の表示部における指標値の表示例を示す。
図17】情報端末装置の表示部に表示される状態データの履歴を示す。
図18】情報端末装置の表示部に表示される状態データの履歴の他の一例を示す。
図19】第4実施形態における制御装置の構成を説明するブロック図である。
図20】学習モデルの概要図である。
図21】学習処理手順の一例を示すフローチャートである。
図22】第4実施形態における快適度の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
図23】第4実施形態の変形例における制御装置の構成を示すブロック図である。
図24】情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の各実施形態に関する説明は、本発明に関する人力駆動車情報処理装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する人力駆動車情報処理装置は、各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態等のように各実施形態とは異なる形態を取り得る。
【0039】
以下の各実施形態に関する説明において、前、後、前方、後方、左、右、横、上、および、下等の方向を表す言葉は、ライダが人力駆動車のサドルに着座した状態における方向を基準として用いられる。
【0040】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における制御装置100が適用される人力駆動車1の側面図である。人力駆動車1は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両である。内燃機関または電動機のみを原動力に用いる車両は、本実施形態の人力駆動車1から除外される。人力駆動車1は、例えば、マウンテンバイク、ロードバイク、クロスバイク、シティサイクル、電動アシストバイク(e-bike)等を含む自転車である。
【0041】
人力駆動車1は、車両本体11、ハンドルバー12、前輪13、後輪14、およびサドル15を備える。人力駆動車1は、駆動機構20、デバイス30(31~32)、操作装置33、バッテリ40、およびセンサ50(51~56)を備える。
【0042】
制御装置100の制御部110は、人力駆動車1に搭載されている変速装置31、アシスト装置32を含むデバイスを制御する。制御装置100は、一例では、人力駆動車1のバッテリ40、サイクルコンピュータ、ドライブユニット等に搭載される。
【0043】
制御装置100は、デバイス30、操作装置33、バッテリ40と接続されている。接続形態および制御装置100の詳細は後述する。
【0044】
車両本体11は、フレーム11A、およびフロントフォーク11Bを備える。前輪13は、フロントフォーク11Bに回転可能に支持される。後輪14は、フレーム11Aに回転可能に支持される。ハンドルバー12は、前輪13の進行方向を変更できるようにフレーム11Aに支持される。
【0045】
駆動機構20は、人力駆動力を後輪14へ伝達する。駆動機構20は、クランク21、第1スプロケットアセンブリ22、第2スプロケットアセンブリ23、チェーン24、および、一対のペダル25を含む。
【0046】
クランク21は、クランク軸21A、右クランク21B、および左クランク21Cを含む。クランク軸21Aは、フレーム11Aに回転可能に支持される。右クランク21Bおよび左クランク21Cは、それぞれクランク軸21Aに連結される。一対のペダル25の一方は、右クランク21Bに回転可能に支持される。一対のペダル25の他方は、左クランク21Cに回転可能に支持される。
【0047】
第1スプロケットアセンブリ22は、クランク軸21Aと一体回転可能に連結されている。第1スプロケットアセンブリ22は、1または複数のスプロケット22Aを含む。第1スプロケットアセンブリ22は、一例では、外径が異なる複数のスプロケット22Aを含む。
【0048】
第2スプロケットアセンブリ23は、後輪14のリアハブに回転可能に支持される。第2スプロケットアセンブリ23は、1または複数のスプロケット23Aを含む。第2スプロケットアセンブリ23は、一例では、外径が異なる複数のスプロケット23Aを含む。
【0049】
チェーン24は、第1スプロケットアセンブリ22のいずれかのスプロケット22A、および第2スプロケットアセンブリ23のいずれかのスプロケット23Aに巻き掛けられる。ペダル25に加えられる人力駆動力によってクランク21が前転すると、スプロケット23Aがクランク21とともに前転し、スプロケット23Aの回転がチェーン24を介して第2スプロケットアセンブリ23に伝達し、この回転が後輪14を回転させる。チェーン24の代わりに、ベルトまたはシャフトが用いられてもよい。
【0050】
人力駆動車1は、バッテリ40から供給される電力によって動作し、制御装置100によって動作が制御されるデバイス30を備える。デバイス30は、変速装置31、アシスト装置32を含む。変速装置31およびアシスト装置32は基本的に、操作装置33における操作に従った制御装置100による制御によって動作する。
【0051】
変速装置31は、クランク21の回転速度に対する後輪14の回転速度の比率、即ち、人力駆動車1の変速比を変更する。変速比は、変速装置31に入力される入力回転速度に対する、変速装置31が出力する出力回転速度の比率によって表される。変速比を式によって表すと、“変速比=出力回転速度/入力回転速度”である。第1例では、変速装置31は、第2スプロケットアセンブリ23とチェーン24との連結状態を変更する外装変速機(リアディレーラ)である。第2例では、変速装置31は、第1スプロケットアセンブリ22とチェーン24との連結状態を変更する外装変速機(フロントディレーラ)である。第3例では、後輪14のハブに設けられる内装変速機である。変速装置31は、無段変速機であってもよい。
【0052】
アシスト装置32は、人力駆動車1の人力駆動力を助力する装置である。アシスト装置32は、例えば、モータを含む。一例では、アシスト装置32は、クランク軸21Aおよびフレーム11Aとの間に介在し、第1スプロケットアセンブリ22へトルクを伝達して人力駆動車1への人力駆動力を助力する。より具体的には、アシスト装置32は、クランク軸21A近傍に設けられるドライブユニット(図示せず)内部に配置される。なお、ドライブユニットは、ケースを有し、ケース内部にアシスト装置32が配置される。アシスト装置32は、人力駆動車1の後輪14に駆動力を伝達するチェーン24を駆動させてもよい。
【0053】
操作装置33は、ハンドルバー12に設けられる。操作装置33は、例えば、ライダによって操作される操作部33Aを含む。操作部33Aの一例は、1または複数のボタンである。操作部33Aの他の例は、ブレーキレバーである。操作部33Aは、左右のハンドルに設けられているブレーキバーを左右に倒すことで操作が可能である。操作部33Aとして、ライダが所持する情報端末装置7を用いてもよい。情報端末装置7が含むディスプレイパネルに操作ボタンが表示され、情報端末装置7は操作ボタンが操作されることを検出すると制御装置100へ通知する。
【0054】
操作装置33は、変速操作装置33Bを含む。変速操作装置33Bは、操作部33Aに含まれる複数のボタンである。変速操作装置33Bは、ブレーキバーに取り付けられた装置である。ライダが変速操作装置33Bに対しブレーキバーを倒すか、ブレーキバーに設けられたボタンを押下するといった操作の都度、変速装置31に対するマニュアル操作、変速比のアップ、あるいは変速比のダウンが可能である。
【0055】
操作装置33は、アシスト操作装置33Cを含む。アシスト操作装置33Cは例えば、操作部33Aに含まれるボタンである。アシスト操作装置33Cに対する押下により、アシストのモードを複数の段階(高/中/低)からいずれかの設定が可能である。操作装置33は、動作状態を報知する報知部を備えてもよい。
【0056】
操作装置33は、出力部33Dを備える。出力部33Dは、液晶パネル、有機EL、LED等、文字、または画像を表示できるディスプレイデバイスを含む。出力部33Dは後述する制御装置100により算出された指標値を、文字、または画像で出力する。操作部33Aのボタンは、出力部33Dに表示されるボタンであってもよい。
【0057】
操作装置33は、操作部33A、変速操作装置33Bおよびアシスト操作装置33Cの操作に応じた信号を、制御装置100へ送信できるように、制御装置100と通信接続される。操作装置33は、操作部33A、変速操作装置33Bおよびアシスト操作装置33Cの操作に応じた信号を、変速装置31またはアシスト装置32へ送信できるように、変速装置31およびアシスト装置32と通信接続されてもよい。第1例では、操作装置33は、通信線、または、PLC(Power Line Communication)が可能な電線によって制御装置100と通信する。操作装置33は、通信線、または、PLCが可能な電線によって変速装置31、アシスト装置32および制御装置100と通信してもよい。第2例では、操作装置33は、無線通信によって制御装置100と通信する。操作装置33は、無線通信によって変速装置31、アシスト装置32および制御装置100と通信してもよい。
【0058】
バッテリ40は、バッテリ本体41およびバッテリホルダ42を含む。バッテリ本体41およびバッテリホルダ42を含む。バッテリ本体41は、1または複数のバッテリセルを含む蓄電池である。バッテリホルダ42は、人力駆動車1のフレーム11Aに固定される。バッテリ本体41は、バッテリホルダ42に着脱可能である。バッテリ40は、デバイス30、操作装置33および制御装置100に電気的に接続され、必要に応じて電力を供給する。バッテリ40は、制御装置100と通信するための制御部を含むことが好ましい。制御部は、CPUを用いたプロセッサを含むことが好ましい。
【0059】
人力駆動車1は、ライダの状態、走行環境を検出するためのセンサ50を各所に備える。センサ50は、速度センサ51、加速度センサ52、トルクセンサ53、ケイデンスセンサ54、ジャイロセンサ55、および、着座センサ56を含む。
【0060】
速度センサ51は、例えば、前輪13に設けられ、前輪13の単位時間当たりの回転数に対応する信号を制御装置100へ送信する。速度センサ51の出力に基づいて、制御装置100は、人力駆動車1の車速および移動距離を算出できる。
【0061】
加速度センサ52は、例えば、フレーム11Aに固定される。加速度センサ52は、フレーム11Aを基準として三軸(前後方向、左右方向、上下方向)の人力駆動車1の振動を出力するセンサであり、人力駆動車1の動きおよび振動を検出するために設けられている。加速度センサ52は、動きおよび振動の大きさに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0062】
トルクセンサ53は、例えば、右クランク21Bおよび左クランク21Cに掛かるトルクをそれぞれ測定するように設けられる。トルクセンサ53は、右クランク21Bおよび左クランク21Cの少なくとも一方において測定されたトルクに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0063】
ケイデンスセンサ54は、例えば、右クランク21Bおよび左クランク21Cのいずれかのケイデンスを測定するように設けられる。ケイデンスセンサ54は、測定したケイデンスに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0064】
ジャイロセンサ55は、例えば、フレーム11Aに固定される。ジャイロセンサ55は人力駆動車1のヨー、ロール、ピッチの回転を検出するために設けられている。ジャイロセンサ55は、三軸それぞれの回転量に対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0065】
着座センサ56は、サドル15の内面に、サドル15にライダが着座しているか否かを測定するように設けられる。着座センサ56は、例えば圧電センサを用い、サドル15に掛けられる重みに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0066】
図2は、制御装置100の構成を説明するブロック図である。制御装置100は、制御部110、および記憶部112を備える。
【0067】
制御部110は、CPUを用いたプロセッサである。制御部110は、内蔵するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリを用いる。制御部110は、制御プログラムP1に従って、決定した制御データに基づいて人力駆動車1に搭載されている制御対象の動作、制御対象への給電、および制御対象との通信を制御する。
【0068】
記憶部112は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部112は、制御プログラムP1を記憶する。制御プログラムP1は、非一時記憶媒体200に記憶された制御プログラムP2を、制御部110が読み出して記憶部112に複製したものであってもよい。
【0069】
記憶部112は、快適度の学習データを記憶する。快適度の学習データは、状態データと、快適度の指標値との対応関係を示すデータである。状態データは、人力駆動車1の走行速度、加速度、駆動機構20におけるトルク、ケイデンス、および人力駆動車1の車両本体11の傾きのいずれかを含む。状態データは、ライダが着座しているか否か、あるいは、ライダの生体情報であってもよい。快適度の学習データは、状態データが得られた場合に、快適度の指標値を出力できるように、対応関係が学習される。快適度の指標値は、第1例では、「0,1,2,3,4,5」の6段階の数値であり、数値が大きいほど快適であることを示す。快適度の指標値は、第2例では10段階の数値である。段階数は「6」「10」に限られない。快適度の指標値は、第3例では、「S,A,B,C,D,E」の文字であり、「S,A,B,C,D,E」の順で快適度の大きさを示す。快適度の指標値はこれらの表現に限られない。
【0070】
制御部110は、制御対象と通信を行なう。この場合、制御部110自体が制御対象向けの通信部(図示せず)を有してもよいし、制御部110が制御装置100内部に設けられる制御対象向けの通信部と接続されてもよい。制御部110は、制御対象または通信部と通信を行なうための接続部を有することが好ましい。
【0071】
制御部110は、PLCおよびCAN通信の少なくとも1つによって制御対象と通信を行なうことが好ましい。制御部110が制御対象と行なう通信は、有線通信に限らず、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線通信でもよい。
【0072】
制御部110は、信号線を介してセンサ50と接続される。制御部110は、信号線を介してセンサ50によって出力される信号から、人力駆動車1の走行に関する状態データを取得する。
【0073】
制御部110は、ライダの情報端末装置7と、アンテナを有する無線通信デバイス60を介して通信し得る。無線通信デバイス60は、制御装置100に内蔵されていてもよい。無線通信デバイス60は、所謂インターネットを介した通信を実現するデバイスである。無線通信デバイス60は、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標) 、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信用のデバイスでもよい。無線通信デバイス60は、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット回線、専用回線、衛星回線等の通信ネットワークに準拠してもよい。制御部110は、情報端末装置7へデータを出力できる。
【0074】
このように構成される制御装置100による制御内容を説明する。制御装置100の制御部110は、センサ50から取得される入力情報に基づいてデバイス30を制御する。第1実施形態の制御部110は、デバイス30の制御に加え、制御プログラムP1により、人力駆動車1の状態データを取得し、状態データに対応する走行の快適度を、ライダの走行中の動作に基づいて学習し、新たに取得した状態データに対応する快適度を示す指標値を学習結果から算出し、前記指標値を出力する処理を実行する、「人力駆動車情報処理装置」として機能する。
【0075】
第1実施形態では、制御装置100は、人力駆動車1の状態データとして、駆動機構20におけるケイデンスおよびトルクを取得する。制御装置100は、ケイデンスおよびトルクに対応する快適度を、ライダが走行中に操作装置33を操作する動作に基づいて学習する。第1実施形態において制御装置100は、ケイデンスおよびトルクに影響する変速装置31に対する変速操作装置33Bを操作したか否かによって快適度を学習する。
【0076】
第1実施形態の制御部110は、記憶部112に、快適度の学習データとして、ケイデンスおよびトルクである状態データと、「0」から「5」の6段階の数値で示す指標値との対応関係を記憶する。初期的には、ケイデンスおよびトルクに対応付けられている指標値は全て「5」としてよい。記憶部112には例えば、(T=t1,C=c1,指標値=5)、(T=t2,C=c2,指標値=4)、…といったデータが、学習データとして蓄積される。制御部110は、同一のケイデンスおよびトルクでの操作の有無に応じて指標値を更新する。
【0077】
図3は、制御装置100による快適度の学習処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100の制御部110は、制御プログラムP1に基づき、以下に示す処理手順を繰り返し実行する。
【0078】
制御部110は、トルクセンサ53からトルクを取得し(ステップS101)、ケイデンスセンサ54からケイデンスを取得する(ステップS103)。ステップS101およびステップS103の処理が「取得部」に相当する。
【0079】
制御部110は、ステップS101およびS103における状態データの取得タイミングから所定時間待機し(ステップS105)、所定期間以内に変速操作装置33Bへの操作が行なわれたか否かを判断する(ステップS107)。所定期間は例えば1秒、2秒等、ある状態から、ライダが操作を欲すると感じた場合に実際に操作をするまでに要する時間である。
【0080】
所定期間の中で、変速操作装置33Bへの操作が行なわれたと判断された場合(S107:YES)、制御部110は、ステップS101およびステップS103で取得したトルクおよびケイデンスに対応付けて記憶されている快適度の指標値を、快適度を低下させるように更新する(ステップS109)。制御部110は、1回の学習処理を終了する。
【0081】
所定期間の中で、変速操作装置33Bへの操作が行なわれなかったと判断された場合(S107:NO)、制御部110は、ステップS101およびステップS103で取得したトルクおよびケイデンスに対応付けて記憶されている快適度の指標値を、快適度を維持させるか、または、上昇させるように更新する(ステップS111)。制御部110は、1回の学習処理を終了する。
【0082】
第1実施形態では、上述したステップS107において変速操作装置33Bへの操作が行なわれたか否かを判断した。制御部110は、ステップS107において、アシスト装置32へのアシスト操作装置33Cへの操作が行なわれたか否かを判断し、操作が行なわれた場合に、快適度が低下したとして学習してもよい。
【0083】
制御部110は、図3のフローチャートに示した処理と並行して、以下の処理を実行する。図4は、制御装置100による快適度の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部110は、制御プログラムP1に基づき、人力駆動車1の走行中に、以下に示す処理手順を継続して実行する。
【0084】
制御部110は、トルクセンサ53からトルクを取得し(ステップS201)、ケイデンスセンサ54からケイデンスを取得する(ステップS203)。
【0085】
制御部110は、記憶部112に記憶されている学習データから、ステップS201およびS203で取得したトルクおよびケイデンスに対応する快適度の指標値を算出する(ステップS205)。
【0086】
ステップS205において制御部110は、ステップS201およびS203で取得したトルクおよびケイデンスの組み合わせが、記憶部112の学習データに存在する場合は、その組み合わせに対応付けて記憶されている快適度を読み出してよい。ステップS201およびS203で取得したトルクおよびケイデンスの組み合わせが記憶部112の学習データに存在しない場合、制御部110は、近傍のトルクおよびケイデンスの組み合わせから、算出する。例えば、ステップS201およびS203で取得したトルクおよびケイデンスの組み合わせが、(T=42,C=62)であり、記憶部112には、(T=40,C=60,指標値=4)、(T=44,C=64,指標値=5)である場合、制御部110は、指標値を5(=四捨五入((4+5)/2))と算出できる。快適度の指標値は、「0」-「5」の整数に丸められて出力されてもよいし、「0」-「5」の範囲の小数によって出力されてもよい。
【0087】
制御部110は、ステップS205で算出した指標値を、出力部33Dに出力し(ステップS207)、処理を終了する。
【0088】
図5は、第1実施形態における出力部33Dでの表示例を示す。図5には、ハンドルバー12に設けられたディスプレイである出力部33Dを示す。図5に示すように、ディスプレイには、指標値が数字で示される。図5に示したように可視化された指標値をライダは確認できる。ライダは人力駆動車1で操作装置33を操作しながら走行中に、快適さの実感と、出力部33Dに表示される快適度の指標値とが、徐々に合致していくことを確認できる。
【0089】
(第2実施形態)
第2実施形態の制御装置100では、記憶部112は、状態データと、快適度の指標値との対応関係として、状態データに含まれる人力駆動車1の駆動機構20におけるケイデンスおよびトルクの値に対する、指標値のマップを記憶する。第2実施形態における制御装置100の構成は、後述する処理以外の構成は第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態の制御装置100の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
図6は、指標値のマップ114の例を示す。図6のマップ114は、横軸にケイデンスを示し、縦軸にトルクを示す。マップ中の右側がケイデンスが大きく、上側がトルクが大きい。図6に示すマップ114は、格子状である。マップ114は、ケイデンスおよびトルクの範囲を区分けし、ケイデンスおよびトルクが、いずれの範囲に入るかによって、指標値が特定可能である。図6のマップ114では、ケイデンスおよびトルクの組み合わせに対応する「0」-「5」の6段階の指標値の高さを数値で示している。図6は、学習前の初期的な学習データを示す。図6に示すように、初期的にはケイデンスおよびトルクの両方が小さい場合も、両方が大きい場合も、快適度の指標値は「5」に設定されている。
【0091】
図7は、第2実施形態の制御装置100による快適度の学習処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100の制御部110は、制御プログラムP1に基づき、以下に示す処理手順を繰り返し実行する。図7のフローチャートに示す処理手順のうち、第1実施形態の図3のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0092】
第2実施形態の制御装置100の制御部110は、変速操作装置33Bへの操作が行なわれたと判断された場合(S107:YES)、マップ114において、取得されたトルクおよびケイデンスが該当する範囲に対応付けられて記憶されている指標値を、快適度を低下させるように更新する(ステップS121)。
【0093】
制御部110は、マップ114上で、取得されたトルクおよびケイデンスに該当する範囲の周囲の他の範囲(マス)における指標値を、快適度を低下させるように更新し(ステップS123)、処理を終了する。
【0094】
ステップS123において制御部110は、快適度を低下させた範囲(マス)に該当するケイデンスおよびトルクに対し、いずれも小さい範囲、あるいは、いずれも大きい範囲の快適度の指標値を、低下させるように更新する。ステップS121で快適度を低下させた範囲に隣り合う範囲の快適度は、ステップS121で低下させた後の指標値よりも小さくなるように低下させる、階調的に低下させてもよい。
【0095】
ステップS123における指標値の更新では、変速操作装置33への操作内容に応じて低下させてもよい。例えば、操作内容が、変速比を大きくするようにOW(Outward )へ変更する操作であった場合、ライダはペダル25が軽いと感じている。したがって、制御部110は、該当範囲のトルクより小さい側のトルクの範囲と、該当範囲のケイデンスよりも大きいケイデンスの快適度を低下させるように、指標値を低下させる。
【0096】
操作内容が、変速比を小さくするようにIW(Inward)へ変更する操作であった場合、ライダはペダル25が重いと感じている。したがって、制御部110は、該当範囲のトルクより大きい側のトルクの範囲と、該当範囲のケイデンスよりも小さいケイデンスの快適度を低下させるように、指標値を低下させてもよい。
【0097】
操作内容が、変速比を大きくするために2段階以上変速比を変更する操作であった場合、快適度の低下の幅を、大きくしてもよい。同様に操作内容が、変速比を小さくするために2段階以上変速比を変更する操作であった場合、快適度の低下の幅を、大きくしてもよい。
【0098】
第2実施形態の制御装置100の制御部110は、変速操作装置33Bへの操作が行なわれなかったと判断された場合(S107:NO)、マップ114において、取得されたトルクおよびケイデンスが該当する範囲に対応付けられて記憶されている指標値を、快適度を維持または上昇させるように更新する(ステップS125)。
【0099】
制御部110は、マップ114上で、取得されたトルクおよびケイデンスに該当する範囲の周囲の他の範囲(マス)における指標値を、快適度を維持または上昇させるように更新し(ステップS127)、処理を終了する。
【0100】
ステップS127において制御部110は、快適度を上昇させた範囲(マス)に隣接する範囲の快適度の指標値が、ステップS125で更新した指標値と乖離している場合、値が連続するように更新する。
【0101】
図8は、マップ114上での指標値の更新を示す図である。図8に示すマップ114は、図6に示したマップ114に対し、ケイデンスが小さく、かつ、トルクが大きい太枠で示す状態データが取得されたタイミングで、変速操作装置33Bへ操作があった場合の例を示す。制御部110は、取得したケイデンスおよびトルクが該当する範囲における快適度の指標値を「5」から「4」へ更新する(S121)。制御部110は、ケイデンスがより小さく、トルクがより大きい範囲における指標値を、該当範囲から諧調的に「3」、「2」、「1」へと更新する(S123)。
【0102】
図9は、マップ114の学習結果の一例を示す図である。図9に示すマップ114は、図8に示した更新によって学習が済んだ後の指標値の分布を示す。更新後のマップ114により、制御部110は、ケイデンスおよびトルクの組み合わせを特定できれば、その状態でライダが快適と感じる程度を特定できる。
【0103】
図10は、マップ114の学習結果の他の一例を示す。図10に示すマップ114は、図9に示した格子状のマップから、コンター図化されている。制御部110は、格子状のマップにおける同一の指標値の格子の境界を曲線化し、滑らかな等高線を描画してコンター図とする。境界は回帰式によって判定可能とする。図10に示すマップ114では、快適度の指標値の数値が大きいほど、濃度が高く示されている。
【0104】
図11は、第2実施形態の制御装置100による快適度の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートに示す処理手順のうち、第1実施形態の図4のフローチャートに示した処理手順と共通する手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0105】
制御部110は、ステップS201およびステップS203で取得したトルクおよびケイデンスに対応する快適度の指標値を、マップ114から読み取る(ステップS215)。
【0106】
制御部110は、読み出した指標値を出力部33Dに出力し(ステップS217)、処理を終了する。
【0107】
図12は、第2実施形態における出力部33Dでの表示例を示す。図12には、ハンドルバー12に設けられたディスプレイである出力部33Dを示す。第2実施形態における出力部33Dのディスプレイには、指標値が数字および色の濃度で示されている。出力部33Dのディスプレイには、指標値に応じた色、輝度の画像が表示されてもよい。第2実施形態の人力駆動車1では、図12に示したように可視化された指標値を、ライダは直感的に確認できる。ライダは人力駆動車1で操作装置33を操作しながら走行中に、快適さの実感と、出力部33Dに表示される快適度の指標値とが、徐々に合致していくことを確認できる。
【0108】
(第3実施形態)
第3実施形態の制御装置100では、ライダの情報端末装置7経由でライダの生体情報を用いて指標値を算出する。生体情報は、呼吸数、血流量を含んでもよい。
【0109】
図13は、第3実施形態における情報端末装置7の構成を示すブロック図である。情報端末装置7は、制御部70、記憶部72、表示部74、通信部76、および生体センサ78を備える。情報端末装置7は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、およびサイクルコンピュータの少なくとも1つである。情報端末装置7は、制御部、表示部(操作部)および通信部を備え、人力駆動車1と連携させる装置であればスマートフォンまたはタブレット端末には限られない。情報端末装置7は、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイスであってもよい。
【0110】
制御部70は、CPUを用いたプロセッサである。制御部70は、内蔵するROMおよびRAM等のメモリを用いる。制御部70は、後述するアプリプログラムP7に従って、人力駆動車1の制御装置100との通信を制御する。
【0111】
記憶部72は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部72は、アプリプログラムP7を記憶する。アプリプログラムP7は、非一時記憶媒体200に記憶されたアプリプログラムP7を、制御部70が読み出して記憶部72に複製したものであってもよいし、公衆網を通じてダウンロードされたものであってもよい。
【0112】
表示部74は、液晶パネルまたは有機ELディスプレイ等の表示装置である。表示部74は、制御部70から出力される情報を表示する。第3実施形態で表示部74は、人力駆動車1のライダの快適度を含む画面をアプリプログラムP7に基づき表示する。
【0113】
通信部76は、アンテナを有し、制御装置100と無線により通信し得る。通信部76は、制御装置100との通信が可能なプロトコルに準じた無線通信デバイス60に対応するデバイスである。
【0114】
生体センサ78は、例えば光学式の心拍センサである。生体センサ80は、ライダの手首に装着され、心拍に対応する信号を制御部70へ送信する。
【0115】
第3実施形態では、情報端末装置7と、制御装置100とを含む人力駆動車情報処理システムが、走行中の人力駆動車1の状態データに対し、ライダの生体情報に基づき快適度を示す指標値を算出し、学習する。第3実施形態では、指標値に応じた色、濃度、または輝度の画像を表示する表示部は、人力駆動車1のライダの情報端末装置7の表示部74である。
【0116】
図14は、第3実施形態の人力駆動車用制御システムにおける快適度の学習処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100の制御部110、および、情報端末装置7の制御部70はそれぞれ、制御プログラムP1およびアプリプログラムP7に基づき、以下に示す処理手順を繰り返し実行する。
【0117】
情報端末装置7の制御部70は、生体センサ78からの信号に基づき、心拍を取得し(ステップS301)、取得した心拍のデータを通信部76から制御装置100へ送信する(ステップS303)。
【0118】
ステップS301において制御部70は、瞬間的な心拍の間隔から単位時間(例えば1分間)当たりの心拍数を予測して導出し、ステップS303において算出した単位時間当たりの心拍数のデータを送信してもよい。制御部70は、心拍の間隔そのものを心拍数のデータとして送信してもよい。
【0119】
制御装置100の制御部110は、トルクセンサ53からトルクを取得し(ステップS131)、ケイデンスセンサ54からケイデンスを取得する(ステップS133)。
【0120】
制御部110は、無線通信デバイス60を介して心拍のデータを受信し(ステップS135)、心拍のデータに基づき快適度を示す指標値を算出する(ステップS137)。
【0121】
ステップS137において制御部110は、一例では、心拍数の多少によって快適度を算出する。制御部110は、心拍数が多いほど、快適度を低く算出し、所定の小さな心拍数以下である場合も逆に、快適度を低く算出する。制御部110は、他の一例では、直近の所定第1期間(例えば2,3分)における心拍数の間隔の変化の大きさに基づいて快適度を算出する。心拍数が急に上昇した場合、身体への負荷が大きいとして制御部110は、快適度が低くなるように算出する。心拍数の制御部110は、他の一例では、直近所定期間(例えば2分)における心拍の間隔のばらつきの大きさが小さいほどに快適度が高くなるように算出する。制御部110は、急に心拍数が上昇して戻った場合など、ばらつきが大きい場合には、ストレスが増加しているとして快適度を低く算出してもよい。
【0122】
制御部110は、ステップS137で算出した指標値を、取得されたトルクおよびケイデンスと対応付けて記憶部112に記憶し(ステップS139)、一回の学習処理を終了する。
【0123】
上述したように、生体情報に基づいて快適度が算出され、トルクおよびケイデンスと、快適度との対応関係が学習され、学習データとして記憶部112に記憶される。
【0124】
図15は、第2実施形態における表示手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100および情報端末装置7はそれぞれ、制御プログラムP1およびアプリプログラムP7に基づき、人力駆動車1の走行中に、以下に示す処理手順を継続して実行する。
【0125】
制御装置100の制御部110は、トルクセンサ53からトルクを取得し(ステップS231)、ケイデンスセンサ54からケイデンスを取得する(ステップS233)。
【0126】
制御部110は、記憶部112に記憶されている学習データから、ステップS231およびS233で取得したトルクおよびケイデンスに対応する快適度の指標値を算出する(ステップS235)。
【0127】
制御部110は、算出した指標値および状態データを含むデータを、無線通信デバイス60を介して情報端末装置7へ送信する(ステップS237)。制御部110はステップS237において、状態データとして、ケイデンスおよびトルクを送信する。制御部110は、状態データとして、走行速度、加速度のデータについても、情報端末装置7へ送信してもよい。
【0128】
情報端末装置7の制御部70は、通信部76を介して指標値および状態データを含むデータを受信し(ステップS331)、指標値のデータおよび状態データを時系列に記憶する(ステップS333)。制御部70は、状態データを表示部74に表示させ(ステップS335)、指標値のデータに基づき、指標値に対応する色、濃度、または輝度の画像を表示部74に表示させ(ステップS337)、表示処理を終了する。ステップS335において制御部70は、指標値のデータと共に受信した状態データから、走行距離等を求めてから、表示部74に表示させてもよい。
【0129】
図16は、情報端末装置7の表示部74における指標値の表示例を示す。図16は、ハンドルバー12に固定された情報端末装置7(スマートフォン)における表示例を示す。図16には、表示部74に表示されているアプリプログラムP7に基づく走行中の人力駆動車1の状態を示す画面740が示されている。画面740は、状態データのテキスト742、および、快適度の指標値の大小に応じた濃度の画像744が表示されている。
【0130】
ライダは、図16に示したように可視化された指標値を、ライダは直感的に確認できる。ライダは人力駆動車1で操作装置33を操作しながら走行中に、快適さの実感と、情報端末装置7の表示部74に表示される快適度の指標値とが、徐々に合致していくことを確認できる。
【0131】
情報端末装置7は、図15のフローチャートに示したように、状態データを受信する都度、記憶している(S333)。したがって、制御部70は、人力駆動車1の走行履歴として、走行中の状態データの履歴を表示部74に表示させることができる。図17は、情報端末装置7の表示部74に表示される状態データの履歴を示す。図17の例では、指標値のマップ上に、走行中に取得された状態データの履歴を、線で結んで示している。図17に示す画面により、ライダは、人力駆動車1の走行の振り返りとして、ケイデンスおよびトルクと快適度との変遷を視覚的に確認することができる。
【0132】
図18は、情報端末装置7の表示部74に表示される状態データの履歴の他の一例を示す。図18の例では、横軸に走行距離を示し、縦軸に指標値および状態データの履歴を示す。制御部70は、走行速度の履歴を更に重ねて表示させてもよいし、標高を重ねて表示させてもよい。図18に示す画面により、ライダは、人力駆動車1の走行の振り返りとして、ケイデンスおよびトルクと快適度との変遷を視覚的に確認することができる。
【0133】
(第4実施形態)
第1実施形態から第3実施形態における制御装置100は、状態データと、快適度の指標値との対応関係、マップ114を記憶部112に記憶して使用した。第4実施形態では、制御装置100は学習部として、状態データを入力した場合に、指標値を出力するように学習された学習モデルを使用する。
【0134】
図19は、第4実施形態における制御装置100の構成を説明するブロック図である。第4実施形態における制御装置100は、記憶部112に、学習モデルM1を記憶する。学習モデルM1が記憶されていること、学習モデルM1を使用した処理手順以外、第4実施形態における制御装置100の構成は、第1実施形態と同様である。したがって、第4実施形態の制御装置100の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0135】
記憶部112に記憶される学習モデルM1は、非一時記憶媒体200に記憶された学習モデルM2を、制御部110が読み出して記憶部112に複製したものであってもよい。
【0136】
図20は、学習モデルM1の概要図である。学習モデルM1は、ニューラルネットワーク(Neural Network)を用いた深層学習により学習される学習モデルである。学習モデルM1は、リカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)により学習されるモデルであってもよい。学習モデルM1は、センサ50により取得される走行中の人力駆動車1の状態データを入力した場合に、快適度の指標値を出力するように学習される。
【0137】
学習モデルM1は、入力情報を入力する入力層M11と、快適度の指標値を出力する出力層M12と、1または複数の層からなるノード群を含む中間層M13とを備える。出力層M12とつながる中間層M13は、多数のノードを出力層M12のノード数に集約させる結合層である。出力層M12のノード数は1つである。中間層M13のノードはそれぞれ、前段の層のノードとの関係において重みおよびバイアスの少なくとも一方を含むパラメータを持つ。学習モデルM1は、人力駆動車1の走行中に、ケイデンスおよびトルクに加えて、走行速度、加速度、車両本体11の傾き、ライダの着座状態等のセンサ50から取得できる状態データ(入力)と、状態データが取得された所定時間後におけるライダの変速操作装置33B(またはアシスト操作装置33C)への操作の有無を出力のラベル(0:無、1:有)とを含む教師データにより学習される。学習モデルM1は、状態データ(入力情報)を入力層M11へ入力した場合に出力層M12から出力される指標値と、状態データに対応するラベルとの誤差を、中間層M13へ逆伝播させて中間層M13のノードにおけるパラメータを更新して学習される。
【0138】
学習モデルM1には、ケイデンスおよびトルクを含むセンサ50から取得できる状態データを各時点でそのまま入力層M11へ入力するのみならず、直近数秒間(例えば2秒間)における変化量を入力してもよい。学習モデルM1は、リカレントニューラルネットワークによって過去へ入力された入力情報の影響も受けながら指標値を出力するように学習されてもよい。
【0139】
学習モデルM1は、ライダ毎に学習される必要があるため、制御装置100の出荷前に、ある程度学習された状態で記憶部112に記憶されている。制御部110は、人力駆動車1が出荷され、購入された後、以下のように学習モデルM1を学習する。
【0140】
図21は、学習処理手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100の制御部110は、人力駆動車1の走行中に、制御プログラムP1に基づいて以下の処理を実行する。
【0141】
制御部110は、トルクセンサ53からトルク、ケイデンスセンサ54からのケイデンスを含む状態データをセンサ50から取得する(ステップS141)。
【0142】
制御部110は、ステップS141における状態データの取得タイミングから所定時間待機し(ステップS143)、所定期間以内に変速操作装置33Bへの操作が行なわれたか否かを判断する(ステップS145)。所定期間は例えば1秒、2秒等、ある状態から、ライダが操作を欲すると感じた場合に実際に操作をするまでに要する時間である。
【0143】
変速操作装置33Bが操作されたと判断された場合(S145:YES)、制御部110は、直後(例えば2秒以内)に変速操作装置33Bにて、ステップS145における操作と逆の操作が行なわれたか否かを判断する(ステップS147)。
【0144】
逆の操作が行なわれなかったと判断された場合(S147:NO)、制御部110は、操作が行なわれた(操作あり、ラベル=1)と確定させる(ステップS149)。
【0145】
ステップS145で、変速操作装置33Bが操作されなかったと判断された場合(S145:NO)、制御部110は、操作が行なわれなかった(操作なし、ラベル=0)と確定させ(ステップS151)、処理をステップS153へ進める。
【0146】
制御部110は、ステップS141で取得した状態データを、入力情報として学習モデルM1の入力層M11へ入力する(ステップS153)。制御部110は、ステップS153の処理に応じて学習モデルM1の出力層M12から出力される快適度の指標値を取得する(ステップS155)。制御部110は、ステップS155の学習モデルM1の出力と、操作が行なわれたか否かの確定内容との間の誤差を、所定の誤差関数によって算出する(ステップS157)。
【0147】
制御部110は、算出した誤差によって第2制御部116は、中間層M13のパラメータを更新し(ステップS159)、学習条件が満たされたか否かを判断する(ステップS161)。
【0148】
制御部110は、学習条件が満たされたと判断された場合(S161:YES)、学習処理を終了する。
【0149】
学習条件が満たされないと判断された場合(S161:NO)、処理をステップS141へ戻し、学習を続行する。
【0150】
制御部110は、ステップS147にて逆の操作が行なわれたと判断された場合(S147:YES)、処理をステップS161へ進める。誤った操作がされた場合の学習を回避するためである。
【0151】
学習が完了した学習モデルM1を用いて制御装置100は、快適度を算出して出力する。図22は、第4実施形態における快適度の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部110は、制御プログラムP1に基づき、人力駆動車1の走行中に、以下に示す処理手順を継続して実行する。
【0152】
制御部110は、トルクセンサ53からトルク、ケイデンスセンサ54からのケイデンスを含む状態データをセンサ50から取得する(ステップS241)。
【0153】
制御部110は、取得した状態データを、学習済みの学習モデルM1へ入力し(ステップS243)、学習モデルM1から出力される快適度の指標値を取得する(ステップS245)。
【0154】
制御部110は、取得した指標値を出力部33Dに出力し(ステップS247)、処理を終了する。
【0155】
第4実施形態における出力例は、第1実施形態と同様であるから図示および詳細な説明を省略する。
【0156】
(変形例)
第4実施形態では、制御装置100は、学習モデルM1を用いて快適度の指標値を算出することとした。学習モデルM1を用いた学習は、ライダの情報端末装置7にて実行してもよい。図23は、第4実施形態の変形例における制御装置100の構成を示すブロック図である。
【0157】
第4実施形態の変形例における制御装置100の構成は、学習モデルを記憶していないことと後述する処理以外は、第4実施形態と同様である。したがって、第4実施形態の変形例の制御装置100の構成のうち、第4実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0158】
図24は、情報端末装置7の構成を示すブロック図である。情報端末装置7の構成は、生体センサ78を備えなくてもよい点、学習モデルM3を記憶し、学習モデルM3を用いた処理を行なうこと以外は、第3実施形態で説明した情報端末装置7の構成と同様であるから、第3実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0159】
第4実施形態の変形例の情報端末装置7は、制御部70、記憶部72、表示部74、および通信部76を備える。記憶部72には、学習モデルM3が記憶されている。学習モデルM3は、ライダ向けに学習が行なわれる。
【0160】
変形例では、図21に示した第4実施形態における学習モデルM1の学習手順のうち、ステップS141からS151までは、制御装置100で実施し、ステップS153からS161までを情報端末装置7で実施する。
【0161】
制御装置100の制御部110は、操作が行なわれたか否かを確定し(S149,S151)、ステップS141で取得した状態データと、確定された操作の有無のデータとを情報端末装置7へ送信する。
【0162】
情報端末装置7の制御部70は、状態データと、確定された操作の有無のデータとを受信すると、状態データと操作の有無のデータとによって学習モデルM3を学習する(S153からS157)。
【0163】
変形例で説明したように、学習処理の演算を情報端末装置7で実行してもよい。情報端末装置7の演算資源が、制御装置100よりも豊富である場合、学習処理及び学習モデルM3の演算を情報端末装置7で実行することにより、制御装置100の演算負荷を低減できる。
【0164】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0165】
1…人力駆動車、11…車両本体、11A…フレーム、11B…フロントフォーク、11C…ライト、12…ハンドルバー、13…前輪、14…後輪、15…サドル、20…駆動機構、21…クランク、21A…クランク軸、21B…右クランク、21C…左クランク、22…第1スプロケットアセンブリ、22A…スプロケット、23…第2スプロケットアセンブリ、23A…スプロケット、24…チェーン、25…ペダル、30…デバイス、31…変速装置、32…アシスト装置、33…操作装置、33A…操作部、33B…変速操作装置、33C…アシスト操作装置、33D…出力部、40…バッテリ、41…バッテリ本体、42…バッテリホルダ、50…センサ、51…速度センサ、52…加速度センサ、53…トルクセンサ、54…ケイデンスセンサ、55…ジャイロセンサ、56…着座センサ、60…無線通信デバイス、100…制御装置、110…制御部、112…記憶部、P1…制御プログラム、M1…学習モデル、200…非一時記憶媒体、P2…制御プログラム、M2…学習モデル、7…情報端末装置、70…制御部、72…記憶部、74…表示部、76…通信部、78…生体センサ、P7…アプリプログラム、M3…学習モデル
図1
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