(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008596
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/64 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H01H13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112275
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 敬久
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
(72)【発明者】
【氏名】三浦 充紀
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS45H
5G206AS52K
5G206FS34K
5G206FU03
5G206KS06
5G206KS15
5G206KU15
5G206QS08
5G206RS02
5G206RS24
(57)【要約】
【課題】オン状態とオフ状態とを確実に切替可能であり、かつ、ユーザの指先がスイッチに触れることを可及的に防止することを可能とするスイッチを提供する。
【解決手段】スイッチは、非接触型スイッチと接触型スイッチとを混載したスイッチであって、ユーザの動作を非接触で検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて、非接触型スイッチがオン状態であることを示す第1信号を出力する第1出力部と、押圧部と、押圧部に対するユーザの押圧操作に基づいて、接触型スイッチがオン状態であることを示す第2信号を出力する第2出力部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型スイッチと接触型スイッチとを混載したスイッチであって、
ユーザの動作を非接触で検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて、前記非接触型スイッチがオン状態であることを示す第1信号を出力する第1出力部と、
押圧部と、
前記押圧部に対するユーザの押圧操作に基づいて、前記接触型スイッチがオン状態であることを示す第2信号を出力する第2出力部と、
を有することを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記第1出力部が前記第1信号を出力した場合に、前記非接触型スイッチがオン状態となったことをユーザに報知する報知部を更に有する、請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記検出部が配置される基板と、
開口部を有し、前記開口部の内側に前記検出部が位置するように前記基板に配置される弾性体と、をさらに有し、
前記第2出力部は、前記押圧操作による前記弾性体の反転動作に基づいて前記第2信号を出力する、請求項1又は2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記基板には上下を貫通する貫通孔が形成され、
前記検出部は、前記基板の下面に配置され、前記貫通孔を介して前記ユーザの指先を非接触で検出する、請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記押圧部は、前記検出部の指向性を制御する指向性制御部を有する、請求項1-4の何れか一項に記載のスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生上、指先がスイッチに触れることを避けたいという要望から、非接触型スイッチが求められている。非接触型スイッチとしては、発光素子を備え、発光素子から放射されて指先で反射した光を受光素子で検出することによりスイッチ機構を動作させるものがある(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような発光素子を備えるスイッチには、発光素子を動作させるための消費電力が大きい、近接して複数のスイッチを配置した場合に他のスイッチが反射光を検出して誤動作するといった問題点があった。
【0003】
また、非接触型スイッチとしては、発光素子を備えることなく、指先から放射される赤外線を検出してスイッチ機構を動作させるものがある(例えば、特許文献2)。しかしながら、このようなスイッチには、指先から放射される赤外線の検出精度が高くないためスイッチ機構が動作しづらいといった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-259715号公報
【特許文献2】特開2002-163962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、オン状態とオフ状態とを確実に切替可能であり、かつ、ユーザの指先がスイッチに触れることを可及的に防止することを可能とするスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスイッチは、非接触型スイッチと接触型スイッチとを混載したスイッチであって、ユーザの動作を非接触で検出する検出部と、検出部による検出結果に基づいて、非接触型スイッチがオン状態であることを示す第1信号を出力する第1出力部と、押圧部と、押圧部に対するユーザの押圧操作に基づいて、接触型スイッチがオン状態であることを示す第2信号を出力する第2出力部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るスイッチは、第1出力部が第1信号を出力した場合に、非接触型スイッチがオン状態となったことをユーザに報知する報知部を更に有する、ことが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るスイッチは、検出部が配置される基板と、開口部を有し、開口部の内側に検出部が位置するように基板に配置される弾性体と、をさらに有し、第2出力部は、押圧操作による弾性体の反転動作に基づいて第2信号を出力する、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るスイッチにおいて、基板には上下を貫通する貫通孔が形成され、検出部は、基板の下面に配置され、貫通孔を介してユーザの指先を非接触で検出する、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るスイッチにおいて、押圧部は、検出部の指向性を制御する指向性制御部を有する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスイッチは、オン状態とオフ状態とを確実に切替可能であり、かつ、ユーザの指先がスイッチに触れることを可及的に防止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】制御システム100の機能ブロック図である。
【
図8】制御システム200の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る制御システム100の概略構成図である。制御システム100は、処理装置101と、処理装置101に接続された、それぞれが非接触型スイッチと接触型スイッチとを混載した複数のスイッチ1を有する。処理装置101は、スイッチ1がオン状態であるかオフ状態であるかに応じて、所定の処理を実行する。
【0015】
図2はスイッチ1の斜視図であり、
図3はスイッチ1の分解斜視図であり、
図4及び
図5はスイッチ1の断面図である。
図4及び
図5は、
図2のIV-IV断面における断面図である。
図4はスイッチ1が押下されていない状態を示した図であり、
図5はスイッチ1が押下されている状態を示した図である。スイッチ1は、基板11、検出部12、報知部13、弾性体14、第1枠部15、第2枠部16、押圧部17を有する。なお、以降の説明では、上下方向とは
図2における上下方向をいうものとする。
【0016】
基板11は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やポリアミド樹脂等の絶縁性の樹脂により形成される矩形の略平板状の部材である。基板11の中央部には上下を貫通する矩形の貫通孔が形成される。貫通孔は、円形などの矩形とは異なる形状に形成されてもよいが、基板11の配線可能なスペースが減り配線しにくくなるので、矩形に形成されることが好ましい。基板11の上面には、貫通孔を円形に囲むように導電性の第1配線111が形成されるとともに、第1配線111の外側に、第1配線111と離間して導電性の第2配線112が形成される。第1配線111及び第2配線112は、金、銀、銅等の金属で形成される。
【0017】
基板11の下面には貫通孔を囲むように下向きに凹部が形成される。凹部の底面には、相互に離間して、検出部12が接続される第1電極113及び第2電極114が配置される。基板11の四つの側面のうちの一つの側面には、第1出力端子115、第2出力端子116、第3出力端子117及び第4出力端子118が形成される。第1出力端子115及び第2出力端子116は、基板11の内層に設けられた不図示の配線を介して第1配線111及び第2配線112とそれぞれ接続される。第3出力端子117及び第4出力端子118は、基板11の内層に設けられた不図示の配線を介して第1電極113及び第2電極114とそれぞれ接続される。
【0018】
検出部12は、第1電極113及び第2電極114と接続されて、基板11の貫通孔を被覆するように基板11の凹部の底面に配置され、ユーザの動作を非接触で検出する。検出部12は、受光素子と検出回路とを有する。受光素子は、例えばフォトダイオードである。受光素子は、4μm-10μmの波長を有する遠赤外線を受光可能な素子であることが好ましい。受光素子は、ユーザの指先から放射されて押圧部17を透過した遠赤外線を、基板11の貫通孔及び検出部12の上面に配置された受光面121を介して受光し、受光した遠赤外線の強度に応じた電流を出力することにより、ユーザの動作を検出する。人体は、体温が約36℃のとき、ピーク波長が約9.4μmとなる遠赤外線領域の電磁波を発するため、受光素子の遠赤外線の受光感度が高い場合に、ユーザの指先から放射された遠赤外線の検出精度がよくなる。検出回路は、受光素子から出力される電流に基づいて、ユーザの動作が非接触で検出されたか否かを示す検出信号を生成して、第1電極113及び第2電極114から出力する。検出回路は、例えば、電流の大きさが所定時間以上継続して所定閾値以上であった場合に、ユーザの指先が非接触で検出されたことを示す検出信号を生成する。
【0019】
図3に示すように、受光面121は、上方から見たときに基板11の貫通孔の内部に位置するように矩形に形成される。基板11の貫通孔の形状と受光面121の形状とが相似することにより、貫通孔の大きさを最小限とすることができ、基板11の上面に配線可能なスペースが増える。なお、受光面121は円形等の他の形状を有してもよい。
【0020】
報知部13は、基板11の上面の第1配線111の内側に配置され、スイッチ1がオン状態となったことをユーザに報知する。報知部13は、発光素子及び駆動回路を備える。発光素子は、可視光を出射するLED(Light Emitting Diode)である。駆動回路は、検出部12と接続され、検出部12から検出信号が出力されたことに応じて発光素子を駆動して可視光を出射させる。出射された可視光は押圧部17を透過してユーザに視認される。なお、報知部13はLEDに限られず、例えば音を発するブザー等の、スイッチ1がオン状態となったことをユーザに報知可能な任意の装置であってもよい。また、報知部13は、スイッチ1の外部に設けられてもよい。
【0021】
弾性体14は、導電体により形成される皿ばねである。弾性体14は、中央に開口部141を有する。弾性体14は、平面視したときに開口部141の内側に検出部12及び報知部13が位置し、外周部142が基板11の第2配線112に接触するように基板11に配置される。このとき、開口部141の内周部143は第1配線111と離間して第1配線111の上方に位置する。これにより、弾性体14が上方から押圧されて内周部143が下方に移動する反転動作をしたときに、内周部143が第1配線111と接触し、第1配線111と第2配線112とが弾性体14を介して導通する。なお、弾性体14は、反転動作がシャープに行われるように、金属により形成されることが好ましい。開口部141は、弾性体14の外周と同心であり、かつ、基板11の貫通孔の径よりも大きい径を有する円形に形成される。基板11の貫通孔及び検出部12の受光面121は、開口部141の内側であれば、開口部141の中心以外の任意の位置に配置されてもよい。これにより、報知部13を基板11の上面に配置しても報知部13と弾性体14とが接触しないようにすることが容易になる。また、基板11の配線の自由度が増し、設計が容易になる。また、報知部13の配置スペースの確保が容易になる。
【0022】
第1枠部15は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やポリアミド樹脂等の絶縁性の樹脂で平板状に形成される。第1枠部15には、その上下を貫通し、弾性体14の外径よりも大きい内径を有する開口部151が形成され、開口部151に弾性体14が収容されるように基板11の上面に配置される。なお、第1枠部15は、基板11と一体化されていてもよい。
【0023】
第2枠部16は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やポリアミド樹脂等の絶縁性の樹脂で形成される。第2枠部16には、その上下を貫通する開口部161が形成され、開口部161が第1枠部15の開口部151と重なるように、第1枠部15に重ねられて配置される。なお、第2枠部16は、第1枠部15が基板11と一体化されていないとき、第1枠部15と一体化されていてもよい。
【0024】
押圧部17は、ユーザの押圧操作(押圧部17を押下する操作をいう)により変形するように、第2枠部16よりも小さい弾性を有するポリイミド樹脂やシリコン樹脂等の絶縁性の樹脂で形成される。押圧部17の中央部、すなわち検出部12及び報知部13の上方には、上方に突出した突出部171が形成され、ユーザの押圧操作を容易にする。突出部171は、赤外線を透過しやすい材料で構成すると検出部12による検出精度がよくなるため好ましく、可視光を透過しやすい材料で構成すると報知部13から出射された光が視認しやすくなるため好ましい。また、押圧部17の上面は、突出部171が形成されずに平坦であってもよい。
【0025】
押圧部17の外周には、第2枠部16と係合する係合部172が形成される。係合部172の上下方向における中央部の外径は第2枠部16の開口部161の内径と略同一に形成され、押圧部17は、係合部172が第2枠部16に内側から係合することにより、第2枠部16に支持される。係合部172の上面と第2枠部16の上面とは相補的な形状に形成され、
図2に示すように、押圧部17が第2枠部16に支持された状態で、係合部172の上面と第2枠部16の上面とが略同一平面を形成する。
【0026】
突出部171と係合部172との間には、部分的に薄く形成され、突出部171と係合部172とを接続する接続部173が形成される。突出部171の下面には、弾性体14の内周部143と対向するように、弾性体14と接触する円環形状の接触部174が形成される。突出部171の下面の、接触部174の内側には、上方に窪む凹部175が形成される。接続部173が薄く形成されることにより、接触部174と弾性体14との接触面積が小さくなり、押圧部17が押下された際に、弾性体14に効率的に力を伝えることができる。また、凹部175が形成されることにより、接触部174が弾性体14を押下したときに報知部13が凹部175に収容されるため、報知部13が押圧されて破損することがなくなる。なお、
図4及び
図5に示す例では凹部175の側面は傾斜面であるが、鉛直面であってもよい。
【0027】
ユーザがスイッチ1を操作していない場合には、
図4に示すように、弾性体14の内周部143は第1配線111と離間する。この状態では、第1配線111と第2配線112との間は絶縁されている。
【0028】
ユーザがスイッチ1を操作するために、押圧部17に指先を近付けると、検出部12がユーザの指先から放射された遠赤外線を検出する。このとき、基板11はユーザの指先から放射された遠赤外線を吸収するため、検出部12は、ユーザの指先が基板11の貫通孔の上方に位置する場合に遠赤外線を検出しやすくなり、それ以外の場所に位置する場合には遠赤外線を検出しにくくなる。これにより、ユーザが意図せずに押圧部17に接近した場合に、検出部12がユーザの指先が検出されたと誤って判定する可能性が小さくなり、スイッチ1の誤作動が防止される。すなわち、基板11は、検出部12の受光素子の上方への指向性を高めるように制御する指向性制御部としても機能する。指向性を制御することにより、検出部12がユーザの垂直方向の動きを検出しやすくすると共に水平方向の動きを検出しにくくなる。つまり、例えばボタンを押すなどの狭い範囲の動きでも検出しやすいと言える。
【0029】
なお、基板11の遠赤外線に対する遮光性を高めて検出部12の上方への指向性をより高めるために、基板11の上面又は内層に、貫通孔を囲むように、遠赤外線を反射する金属配線を配置してもよい。金属配線は、基板11に配線を実装するために一般的に用いられるサブトラクティブ法、アディティブ法等を用いて配置することができるため、容易に検出部12の指向性を高めることができる。このとき、金属配線に流れる電流によって検出部12の受光素子が受光し、動作してしまうことがあるから、金属配線は、第1配線111、第2配線112等の、スイッチ1の動作時に電流が流れる配線と電気的に接続されないように配置されることが好ましい。また、弾性体14が金属で形成されることにより、弾性体14は、開口部141の上方以外の場所から放射された遠赤外線を反射して、検出部12の指向性をより高めることを可能とする。すなわち、弾性体14も、検出部12の上方への指向性を高めるように制御する第2の指向性制御部として機能する。つまり、基板11の貫通孔と弾性体14の開口部141とが小さい開口径に形成されることにより、検出部12の指向性が制御される。
【0030】
検出部12によってユーザの指先が正常に検出された場合、報知部13が可視光を出射するため、ユーザはスイッチ1を操作できたことを確認することができる。この場合、ユーザはスイッチ1に接触することなくスイッチ1に対する操作を終了する。他方で、検出部12によってユーザの指先が正常に検出されなかった場合、ユーザは、スイッチ1の突出部171を指先で押圧操作する。ユーザがスイッチ1の突出部171を指先で押圧操作した場合には、
図5に示すように、押圧部17が第2枠部16に支持された状態のまま、接触部174が弾性体14を押下して反転動作させ、弾性体14の内周部143は第1配線111と接触する。この状態では、第1配線111と第2配線112との間は弾性体14を介して導通する。このように、弾性体14は、ユーザのスイッチ1に対する押圧操作に応じて第1配線111と第2配線112との間の導通状態を変更することにより、押圧操作を検出可能とする。
【0031】
なお、
図4に示す例では、押圧操作がされていないときの接続部173は水平面を形成しているが、このような例に限られない。接続部173は、押圧操作がされていない状態で、突出部171と接続する中央部が係合部172と接続する外周部よりも上方に位置するような円錐台形状となるように形成されてもよい。この場合、押圧操作により突出部171が押下される際に接続部173が座屈するため、押圧部17自体からクリック感が得られる。ただし、この場合は、
図4に示す例よりも突出部171が上方に位置し、押圧部17の高さ方向の寸法が大きくなるため、スイッチ1が大型化する。したがって、スイッチ1を小型化する場合には、接続部173を水平にして押圧部17がクリック感を有しないようにすることが好ましい。
【0032】
図6は、制御システム100の機能ブロック図である。スイッチ1は、第1出力部181、第2出力部182及び制御部19をさらに有する。また、処理装置101は、複数の判定回路102、記憶部103及び処理部104を有する。
【0033】
第1出力部181は、検出部12と第3出力端子117及び第4出力端子118とを接続し、検出部12から検出信号が出力されているか否かを判定する電気回路である。第1出力部181は、基板11の上面、下面又は内層に実装されてもよく、検出部12又は報知部13と一体として実装されてもよい。第1出力部181は、検出部12が検出信号を出力している場合に、スイッチ1がオン状態であることを示す第1信号を生成し、第3出力端子117及び第4出力端子118から出力する。すなわち、第1出力部181は、ユーザの動作が非接触で検出された場合に、第1信号を出力する。このように、検出部12及び第1出力部181は、非接触型スイッチとして動作する。
【0034】
第2出力部182は、第1配線111及び第2配線112と第1出力端子115及び第2出力端子116とを接続し、第1配線111と第2配線112とが導通しているか否かを判定する電気回路である。第2出力部182は、基板11の上面、下面又は内層に実装されてもよく、検出部12又は報知部13と一体として実装されてもよい。第2出力部182は、第1配線111と第2配線112とが導通している場合に、スイッチ1がオン状態であることを示す第2信号を生成し、第1出力端子115及び第2出力端子116から出力する。すなわち、第2出力部182は、ユーザの押圧操作に基づいて第1配線111と第2配線112とが導通した場合に、第2信号を出力する。このように、押圧部17及び第2出力部182は、接触型スイッチとして動作する。
【0035】
制御部19は、第1出力部181及び第2出力部182と接続されるように基板11に実装された制御回路である。制御部19は、不図示のIC(Integrated Circuit)チップとして基板11に実装されてもよい。制御部19は、第1出力部181から第1信号が出力された場合に、制御信号を第2出力部182に出力し、第2出力部182が第2信号を出力しないように制御する。また、制御部19は、第2出力部182から第2信号が出力された場合に、制御信号を第1出力部181に出力し、第1出力部181が第1信号を出力しないように制御する。すなわち、制御部19は、第1出力部181が第1信号を出力した場合に、その後に第2出力部182が第2信号を出力することを妨げ、第2出力部182が第2信号を出力した場合に、その後に第1出力部181が第1信号を出力することを妨げる。
【0036】
判定回路102は、スイッチ1の第1出力端子115、第2出力端子116、第3出力端子117及び第4出力端子118(
図2、
図3参照)と接続される。判定回路102は、第3出力端子117及び第4出力端子118から第1信号を取得する。また、判定回路102は、第1出力端子115及び第2出力端子116から第2信号を取得する。判定回路102は、第1信号又は第2信号が取得された場合に、スイッチ1がオン状態であることを示すオン状態信号を処理部104に供給する。判定回路102は、第1信号及び第2信号の何れもが取得されない場合に、スイッチ1がオフ状態であることを示すオフ状態信号を処理部104に供給する。
【0037】
記憶部103は、プログラム又はデータを記憶するためのデバイスであり、例えば、半導体メモリ装置を備える。記憶部103は、処理部104による処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部103にインストールされる。
【0038】
処理部104は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を備え、処理装置101の動作を統括的に制御する。処理部104は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等でもよい。処理部104は、記憶部103に記憶されているプログラムに基づいて、各判定回路102がオン状態信号を出力しているかオフ状態信号を出力しているかを検出し、検出結果に応じて所定の処理を実行する。
【0039】
図7は、スイッチ1によって実行される切替処理の流れを示すフロー図である。切替処理は、スイッチ1が動作している間、継続的に実行される。
【0040】
まず、第1出力部181は、ユーザの指先が非接触で検出されたか否かを判定する(ステップS101)。第1出力部181は、検出部12から検出信号が出力された場合に、ユーザの指先が非接触で検出されたと判定する。
【0041】
ユーザの指先が非接触で検出された場合(ステップS101-Yes)、第1出力部181は、スイッチ1がオン状態であることを示す第1信号を出力する(ステップS102)。
【0042】
続いて、報知部13は、検出部12から検出信号が出力されたことに応じて、発光素子を点灯させる(ステップS103)。
【0043】
続いて、制御部19は、第2出力部182が第2信号を出力することを妨げる(ステップS104)。制御部19は、第1出力部181が第1信号を出力したことを検出した場合に、制御信号を第2出力部182に出力し、第2出力部182が第2信号を出力しないように制御する。
【0044】
続いて、第1出力部181は、検出部12から出力された検出信号に基づいてユーザの指先が非接触で検出されなくなるまで待機する(ステップS105)。第1出力部181は、検出信号が検出部12から出力されなくなった場合に、ユーザの指先が非接触で検出されなくなったと判定する。
【0045】
ユーザの指先が非接触で検出されなくなった場合(ステップS105-Yes)、第1出力部181は、第1信号の出力を停止する(ステップS106)。
【0046】
続いて、報知部13は、検出部12から検出信号が出力されなくなったことに応じて、発光素子を消灯させる(ステップS107)。
【0047】
続いて、制御部19は、第2出力部182が第2信号を出力することを許可し(ステップS108)、処理をステップS101に戻す。制御部19は、第1出力部181が第1信号の出力を停止したことを検出した場合に、制御信号を第2出力部182に出力し、第2出力部182が第2信号を出力可能となるように制御する。
【0048】
ステップS101においてユーザの指先が非接触で検出されなかった場合(ステップS101-No)、第2出力部182は、押圧操作が検出されたか否かを判定する(ステップS109)。第2出力部182は、第1配線111と第2配線112との間が導通していない状態から導通している状態に変化した場合に、押圧操作が検出されたと判定する。押圧操作が検出されない場合(ステップS109-No)、処理をステップS101に戻す。すなわち、スイッチ1は、第1出力部181がユーザの指先を非接触で検出するか、又は、第2出力部182が押圧操作を検出するまで待機する。
【0049】
押圧操作が検出された場合(ステップS109-Yes)、第2出力部182は、スイッチ1がオン状態であることを示す第2信号を出力する(ステップS110)。
【0050】
続いて、制御部19は、第1出力部181が第1信号を出力することを妨げる(ステップS111)。制御部19は、第2出力部182が第2信号を出力したことを検出した場合に、制御信号を第1出力部181に出力し、第1出力部181が第1信号を出力しないように制御する。
【0051】
続いて、第2出力部182は、ユーザの押圧操作が検出されなくなるまで待機する(ステップS112)。第2出力部182は、第1配線111と第2配線112との間が導通している状態から導通していない状態に変化した場合に、押圧操作が検出されなくなったと判定する。
【0052】
押圧操作が検出されなくなった場合(ステップS112-Yes)、第2出力部182は、第2信号の出力を停止する(ステップS113)。
【0053】
続いて、制御部19は、第1出力部181が第1信号を出力することを許可し(ステップS114)、処理をステップS101に戻す。制御部19は、第2出力部182が第2信号の出力を停止したことを検出した場合に、制御信号を第1出力部181に出力し、第1出力部181が第1信号を出力可能となるように制御する。
【0054】
なお、切替処理において、ステップS101-S108の処理とステップS109-S114の処理とは並行して行われてもよい。この場合でも、制御部19によって、第1信号及び第2信号のうちの何れか一方が出力されている場合に、他方が出力されることが妨げられるため、スイッチ1の状態が適切に制御される。
【0055】
以上説明したように、スイッチ1は、検出部12による検出結果に基づいて第1信号を出力する第1出力部181と、押圧操作に基づいて第2信号を出力する第2出力部182と、を有する。これにより、スイッチ1は、ユーザの指先がスイッチ本体に触れることを可及的に防止することを可能とする。
【0056】
また、スイッチ1は、報知部13を有する。これにより、ユーザは、突出部171に指先を近付けた時点でスイッチ1がオン状態となったことを確認することができる。そして、ユーザは、突出部171に指先を近付けてもスイッチ1がオン状態とならない場合にのみ、突出部171を押圧することとなる。したがって、スイッチ1は、ユーザの指先がスイッチに触れることを最小限に抑えることを可能とする。
【0057】
また、スイッチ1は、制御部19を有する。これにより、スイッチ1は、ユーザの指先が非接触で検出された状態でさらに押圧操作がされた場合であっても、スイッチ1の状態を適切に制御する。
【0058】
上述した説明では、スイッチ1は報知部13を有するものとしたが、報知部13を有しなくてもよい。スイッチ1がオン状態となったことに応じて処理装置101が所定の処理を実行する場合には、それにより、ユーザはスイッチ1がオン状態となったことを確認することができるため、ユーザの指先がスイッチに触れることが最小限に抑えられる。
【0059】
上述した説明では、検出部12の受光素子は遠赤外線を受光可能な素子であるものとしたが、このような例に限られない。例えば、受光素子は、780nm-4μmの波長を有する近赤外線又は中赤外線を受光可能な素子でもよい。この場合、検出部12は、近赤外線又は中赤外線を上方に出射するLED等の発光素子をさらに備える。また、押圧部17は近赤外線及び中赤外線を透過する樹脂により形成される。受光素子は、発光素子から出射され、押圧部17を透過してユーザの指先で反射された近赤外線又は中赤外線を受光し、近赤外線又は中赤外線の強度に応じた電流を出力する。すなわち、受光素子は、赤外線を受光可能な素子であればよい。
【0060】
上述した説明では、検出部12は基板11の凹部の底面に配置されるものとしたが、このような例に限られない。検出部12は、基板11の凹部の底面と離間して配置されてもよい。すなわち、検出部12は、基板11の上面よりも下方に配置されていればよい。
【0061】
図8は、他の実施形態に係る制御システム200の機能ブロック図である。制御システム200は、処理装置201と、処理装置201に接続された複数のスイッチ2とを有する。スイッチ2は、第1出力部181、第2出力部182及び制御部19を有しない点でスイッチ1と相違する。スイッチ2の他の構成はスイッチ1の対応する構成と同様であるため、説明を省略する。すなわち、スイッチ2において、検出部12は第3出力端子117及び第4出力端子118と接続される。また、第1配線111及び第2配線112は、第1出力端子115及び第2出力端子116とそれぞれ接続される。
【0062】
処理装置201は、判定回路102に代えて判定回路202を有する点で処理装置101と相違する。処理装置201の他の構成は処理装置101の対応する構成と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
判定回路202は、第3出力端子117及び第4出力端子118を介して、検出部12から出力された検出信号を取得する。また、判定回路202は、第1出力端子115及び第2出力端子116を介して、第1配線111と第2配線112との導通を検出する。判定回路202は、検出信号が取得された場合、又は、第1配線111と第2配線112との導通が検出された場合に、スイッチ2がオン状態であることを示すオン信号を処理部104に供給する。判定回路202は、検出信号が取得されず、且つ、第1配線111と第2配線112との導通が検出されない場合に、スイッチ2がオフ状態であることを示すオフ信号を処理部104に供給する。
【0064】
このように、スイッチ2は、ユーザの指先がスイッチ本体に接触することを可及的に防止することを可能とする。また、スイッチ2は第1出力部181、第2出力部182及び制御部19を有しないため、スイッチ本体の製造コスト及び消費電力が低減される。
【0065】
図9は、他の実施形態に係るスイッチ3の断面図である。
図9は、
図2のIV-IV断面における断面図である。スイッチ3は、基板11、検出部12及び押圧部17に代えて基板31、検出部32及び押圧部37をそれぞれ有する点でスイッチ1と相違する。基板31、検出部32及び押圧部37以外のスイッチ3の構成はスイッチ1の対応する構成と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
基板31は、貫通孔を有さず、第1電極113及び第2電極114に代えて第1電極313及び第2電極314を有する点で基板11と相違する。第1電極313及び第2電極314は、基板31の上面の第1配線111の内側に、相互に離間して配置される。
【0067】
検出部32は、第1電極313及び第2電極314と接続されて、基板11の上面に、弾性体14の開口部141の内側に位置し且つ押圧部37の凹部175と対向するように配置される。
図9に示す例では、検出部32は、上面が弾性体14の上面よりも下方に位置するように配置されているが、このような例に限られず、上面が弾性体14の上面より上方に位置するように配置されてもよい。検出部32は、検出部12と同様に受光素子と検出回路とを有し、ユーザの指先を非接触で検出して検出信号を出力する。
【0068】
押圧部37は、指向性制御部376を有する点で押圧部17と相違する。指向性制御部376は、赤外線を遮光する材料により形成され、弾性体14の開口部141より内側に位置するように、押圧部37の凹部175の側面に配置される。赤外線を遮光する材料は、例えば、赤外線を反射するアルミニウム等の金属である。指向性制御部376は、スパッタ、印刷などの方法により凹部175の側面に配置されてもよく、金属板を凹部175の側面に接着させることにより配置されてもよい。指向性制御部376が赤外線を遮光することにより、検出部12は、凹部175の底面の上方以外の場所から放射される遠赤外線を検出しにくくなり、スイッチ1の誤作動が防止される。なお、指向性制御部376は、第1配線111、第2配線112等の、スイッチ3の動作時に電流が流れる配線と電気的に接続されていない。
【0069】
このように、スイッチ3において、基板31の上面に検出部32が配置されることにより、基板31の下面に凹部を形成する必要がなくなるため、スイッチ3の厚さを薄くすることができる。また、スイッチ3において、検出部32の上方に指向性制御部376が配置されることにより、検出部32が基板31の上面に配置されていても、検出部32は上方に高い指向性を有し、スイッチ3の誤作動を防止することができる。このことは、検出部32の上面が弾性体14の上面よりも上方に位置するように配置されていても、同様である。
【0070】
なお、指向性制御部376は、凹部175の側面に代えて、又は凹部175の側面に加えて、係合部172及び接続部173の下面に配置されてもよい。これにより、スイッチ3の誤作動がより適切に防止される。また、指向性制御部376は、押圧部37の上面に、突出部171を囲むように配置されてもよい。
【0071】
また、指向性制御部376を設けることに代えて、二色成形により、押圧部37の突出部171と係合部172及び接続部173とが異なる材料により形成されてもよい。この場合、突出部171は可視光及び赤外線を透過しやすい材料により形成され、係合部172及び接続部173は少なくとも赤外線を遮光する材料により形成される。このようにしても、検出部32が突出部171の上方以外の場所から放射された遠赤外線を検出しにくくなるため、スイッチ3の誤作動が防止される。また、ユーザが報知部13から出射された可視光を視認しやすくなり、ユーザの指先がスイッチ3に触れる機会が最小限に抑えられる。
【0072】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 スイッチ
11 基板
12 検出部
13 報知部
14 弾性体
141 開口部
17 押圧部
181 第1出力部
182 第2出力部
19 制御部