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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085963
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】荷物受取ボックス
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/00 20060101AFI20230614BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20230614BHJP
   A47G 29/12 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
E05B65/00 D
E05B65/06 A
A47G29/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200308
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 一輝
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA02
3K100CA45
3K100CA49
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】錠装置が不用意に施錠動作しにくく、結果として宅配業者側に施錠のための鍵部材を持たせる必要もない荷物受取ボックスを提供する。
【解決手段】錠装置17に、施錠動作に伴い回転する舌片20を設ける一方、ダイヤル操作部19の施錠操作を規制する規制爪25を有する規制部材22を、錠装置17の施錠動作に伴う舌片20の移動軌跡上に規制爪25が位置して舌片20の姿勢変更を規制する規制姿勢と、規制爪25が舌片20の移動軌跡上から退避して舌片20の姿勢変更、ひいてはダイヤル操作部19の施錠操作を許容する許容姿勢とで姿勢変更可能に設けており、さらに、規制部材22を姿勢変更させるための押し込み操作部27を、ダイヤル操作部19とは別に設けた。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が収納されるボックス本体と、前記ボックス本体の開口を開閉する扉体と、前記扉体を閉じた状態で施錠/解錠するための錠装置とを備え、
解錠状態にある前記錠装置の錠操作部が施錠操作されると、前記錠装置が施錠動作して施錠状態になるとともに、当該施錠状態のまま前記錠操作部の操作がロックされる荷物受取ボックスであって、
前記錠装置に、前記施錠動作に伴い移動する移動部が設けられている一方、
前記錠操作部の施錠操作を規制する規制部を備えた規制部材が、前記移動部の移動軌跡上に前記規制部が位置する規制状態と、前記移動軌跡上から前記規制部が退避する許容状態とで状態変化可能に設けられており、
さらに、前記規制部材の状態を変化させるための規制操作部が、前記錠操作部とは別に設けられていることを特徴とする荷物受取ボックス。
【請求項2】
荷物が収納されるボックス本体と、前記ボックス本体の開口を開閉する扉体と、前記扉体を閉じた状態で施錠/解錠するための錠装置とを備え、
解錠状態にある前記錠装置の錠操作部が施錠操作されると、前記錠装置が施錠動作して施錠状態になるとともに、当該施錠状態のまま前記錠操作部の操作がロックされる荷物受取ボックスであって、
前記錠装置に、前記施錠動作に伴い移動する移動部が設けられている一方、
前記錠操作部の施錠操作を規制する規制部が設けられており、
さらに、前記移動部を、移動時に前記規制部と干渉する規制状態と、移動時に前記規制部と干渉しない許容状態とで状態変化させるための規制操作部が、前記錠操作部とは別に設けられていることを特徴とする荷物受取ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者が配達した荷物が収納される荷物受取ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば宅配業者が荷物を配達した際、居住者が不在であっても荷物を受け取るための荷物受取ボックスが普及しつつある(たとえば特許文献1)。そのような荷物受取ボックスは、宅配業者が扉体を開いて荷物受取ボックス内に荷物を収納した後、扉体を閉じるとともに扉体に設置されている錠装置を施錠動作させて、錠装置を施錠状態のままロックさせるという態様で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-273931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の荷物受取ボックスでは、扉体を閉じる前に不用意に錠装置を施錠動作させてしまい、扉体が閉じられなくなってしまうという事態が生じていた。そのため、扉体の錠装置を施錠動作させるための鍵部材を別途準備するという方法も考えられるが、宅配業者側で住戸毎に鍵部材を管理するということは、その煩雑さを考慮すると現実的でない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、錠装置が不用意に施錠動作しにくく、結果として宅配業者側に施錠のための鍵部材を持たせる必要もない荷物受取ボックスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、荷物が収納されるボックス本体と、前記ボックス本体の開口を開閉する扉体と、前記扉体を閉じた状態で施錠/解錠するための錠装置とを備え、解錠状態にある前記錠装置の錠操作部が施錠操作されると、前記錠装置が施錠動作して施錠状態になるとともに、当該施錠状態のまま前記錠操作部の操作がロックされる荷物受取ボックスであって、前記錠装置に、前記施錠動作に伴い移動する移動部が設けられている一方、前記錠操作部の施錠操作を規制する規制部を備えた規制部材が、前記移動部の移動軌跡上に前記規制部が位置する規制状態と、前記移動軌跡上から前記規制部が退避する許容状態とで状態変化可能に設けられており、さらに、前記規制部材の状態を変化させるための規制操作部が、前記錠操作部とは別に設けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、荷物が収納されるボックス本体と、前記ボックス本体の開口を開閉する扉体と、前記扉体を閉じた状態で施錠/解錠するための錠装置とを備え、解錠状態にある前記錠装置の錠操作部が施錠操作されると、前記錠装置が施錠動作して施錠状態になるとともに、当該施錠状態のまま前記錠操作部の操作がロックされる荷物受取ボックスであって、前記錠装置に、前記施錠動作に伴い移動する移動部が設けられている一方、前記錠操作部の施錠操作を規制する規制部が設けられており、さらに、前記移動部を、移動時に前記規制部と干渉する規制状態と、移動時に前記規制部と干渉しない許容状態とで状態変化させるための規制操作部が、前記錠操作部とは別に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、錠装置に、施錠動作に伴い移動する移動部を設ける一方、錠操作部の施錠操作を規制する規制部を備えた規制部材を、移動部の移動軌跡上に規制部が位置する規制状態と、移動軌跡上から規制部が退避する許容状態とで状態変化可能に設けており、さらに、規制部材の状態を変化させるための規制操作部を、錠操作部とは別に設けているため、錠操作部を施錠操作する、すなわち錠装置を施錠動作させる際には、錠操作部とは別に設けられている規制操作部を操作し、規制部材を許容状態としなければならない。したがって、錠装置が不用意に施錠動作しにくく、結果として宅配業者側に施錠のための鍵部材を持たせる必要もない荷物受取ボックスとすることができる。
一方、請求項2に記載の発明によれば、錠装置に、施錠動作に伴い移動する移動部を設ける一方、錠操作部の施錠操作を規制する規制部を設けており、さらに、移動部を、移動時に規制部と干渉する規制状態と、移動時に規制部と干渉しない許容状態とで状態変化させるための規制操作部を、錠操作部とは別に設けているため、錠操作部を施錠操作する、すなわち錠装置を施錠動作させる際には、錠操作部とは別に設けられている規制操作部を操作し、移動部を許容状態としなければならない。したがって、請求項1に記載の発明と同様、錠装置が不用意に施錠動作しにくく、結果として宅配業者側に施錠のための鍵部材を持たせる必要もない荷物受取ボックスとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】荷物受取ボックスを前側から示した斜視説明図である。
図2】カバー体が取り外された状態にある施解錠ユニットを前側から示した斜視説明図である。
図3】カバー体が取り外された状態にある施解錠ユニットを後側から示した斜視説明図である。
図4】分解状態にある錠装置及び規制装置を前側から示した斜視説明図である。
図5】分解状態にある錠装置及び規制装置を後側から示した斜視説明図である。
図6】錠装置及び規制装置が取り外されたユニットケースを前側から示した説明図である。
図7】規制装置により錠装置の施錠動作が規制/許容される状態を示した説明図であり、(a)は規制状態、(b)は許容状態を夫々示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる荷物受取ボックスについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、荷物受取ボックス1を前側から示した斜視説明図である。図2は、カバー体12が取り外された状態にある施解錠ユニット10を前側から示した斜視説明図である。図3は、カバー体12が取り外された状態にある施解錠ユニット10を後側から示した斜視説明図である。図4は、分解状態にある錠装置17及び規制装置18を前側から示した斜視説明図である。図5は、分解状態にある錠装置17及び規制装置18を後側から示した斜視説明図である。図6は、錠装置17及び規制装置18が取り外されたユニットケース11を前側から示した説明図である。図7は、規制装置18により錠装置17の施錠動作が規制/許容される状態を示した説明図であり、(a)は規制状態、(b)は許容状態を夫々示している。
【0011】
荷物受取ボックス1は、前面に開口を有し、当該開口から図示しない荷物が出し入れされるボックス本体2と、ボックス本体2に対して片開き可能に取り付けられ、ボックス本体2の前面開口を開閉する扉体3とを備えてなる。また、扉体3には、扉体3をボックス本体2に対して施錠/解錠するための錠装置17を備えた施解錠ユニット10が設置されている。
【0012】
ここで、本発明の要部となる施解錠ユニット10について詳細に説明する。
施解錠ユニット10は、後方に膨出する方形箱状で、前面が開口するユニットケース11と、ユニットケース11の前面の開口を開閉するカバー体12とを有している。また、ユニットケース11の前面開口縁に沿っては、外方へ突出するリブ状の鍔部11aが設けられている。そして、そのような施解錠ユニット10は、扉体3の前方から扉体3に開設されている取付口(図示せず)にユニットケース11を差し込み、鍔部11aを扉体3の前面における取付口周縁に当接させた状態で、扉体3に設置されている。なお、40は、カバー体12の後面上端部に設置され、ユニットケース11に対しカバー体12を左右方向を軸として回動可能に取り付けるためのカバー側軸支部材である。
【0013】
また、ユニットケース11の後面上部には、カバー体12を左右方向を軸として回動可能に軸支するためのケース側軸支部材13が設置されている。さらに、ユニットケース11の後面下部には、左右方向へスライド可能な掛止部14、及び掛止部14をスライドさせるための操作部15を備えた掛止装置16が、掛止部14の先端(左端)をユニットケース11よりも後方、且つ、左方へ突出させるとともに、操作部15をユニットケース11内に露出させた状態で設置されている。加えて、ユニットケース11の後面には、錠装置17及び錠装置17での施錠動作を可能な状態とするための規制装置18が、錠装置17のダイヤル操作部19や規制装置18の押し込み操作部27をケース側軸支部材13と掛止装置16との間となる箇所に夫々露出させた状態で設置されている。
【0014】
錠装置17は、図示しない鍵部材を差し込み可能な鍵穴を前面に有するとともに、前後方向を軸として回転操作可能なダイヤル操作部19と、ダイヤル操作部19の回転操作に応じて前後方向を軸として回転する舌片20と、ダイヤル操作部19が所定の施錠姿勢にあるとダイヤル操作部19の回転操作、ひいては舌片20の回転をロックするロック機構部21とを備えてなる。このような錠装置17は、ダイヤル操作部19がユニットケース11内に、舌片20がユニットケース11の後方に夫々突出するような状態で設置されている。そして、錠装置17では、ダイヤル操作部19が解錠姿勢にあって舌片20が鉛直上方へ延びる解錠状態から、ダイヤル操作部19が所定方向へ回転操作されて(施錠操作されて)施錠姿勢とされると、舌片20が左側へ90度傾倒して(施錠動作して)舌片20の先端がユニットケース11よりも左方へ突出するとともに、その状態のままダイヤル操作部19の回転操作がロックされる施錠状態となる。なお、そのようにして施錠状態とした後、再び解錠状態とするにあたっては、図示しない鍵部材をダイヤル操作部19に差し込めばダイヤル操作部19の回転操作が可能となる。そこで、差し込んだ鍵部材をひねってダイヤル操作部19を反所定方向へ回転操作し(解錠操作し)解錠姿勢とすれば、舌片20が鉛直上方へ延びる解錠状態へと復帰する。また、舌片20の右上部は、後述するような規制部材22の姿勢変更時に規制部材22との干渉を避けるために切り欠かれている。
【0015】
規制装置18は、舌片20の回転、ひいてはダイヤル操作部19の回転操作を規制する規制部材22、及び規制部材22を保持する保持カバー23を備えてなる。規制部材22は、上下方向へ軸孔が穿設された軸部24と、軸部24から左方向へ延設された規制爪25と、軸部24の右側に設けられた被押圧部26と、被押圧部26から前方へ突出する押し込み操作部27とを有する。規制爪25は、その先端後面が矢尻状に形成されている。また、被押圧部26には、該被押圧部26の上端から上方へ突出する案内突起28と、被押圧部26の前面から前方へ突出する位置決め突起29とが設けられている。なお、軸部24、規制爪25、及び被押圧部26は、合成樹脂により一体成形されてなる。また、押し込み操作部27は、たとえばゴム等の弾性変形可能な部材であって、被押圧部26等とは別部材とされ、被押圧部26の前面に取り付けられている。
【0016】
一方、保持カバー23は、上下方向へ延びる板体を側面視略コ字状に折り曲げてなるもので、上面部、後面部、及び下面部を有する。上面部には、上下方向を軸として規制部材22を回動可能に取り付けるための第1軸孔30が穿設されているとともに、規制部材22の案内突起28が遊挿可能で、規制部材22の回動時に案内突起28を案内する案内孔31が穿設されている。また、上面部には、下方へ切り起こされた切り起こし部32が設けられている。さらに、上面部の前端は、下方へ折り曲げられた後に後方へ折り返されていて、その折り返された箇所である折り返し部33であって、第1軸孔30と対向する箇所には、上下方向を軸として規制部材22を回動可能に取り付けるための第2軸孔34が穿設されている。なお、35は、保持カバー23をユニットケース11の後面にネジ止めするためのネジ孔である。
【0017】
そして、上述したような規制装置18は、以下のようにして組み立てられ、またユニットケース11の後面に設置される。
まず規制部材22の軸部24を保持カバー23の折り返し部33上に載置し、案内突起28を案内孔31内に位置させるとともに、第1軸孔30から軸部24を介して第2軸孔34まで軸41を挿通させて、規制部材22と保持カバー23とを一体化する。また、軸41の挿通に際して軸部24と保持カバー23の上面部との間にトーションばね42を介在させ、該トーションばね42の一端が切り起こし部32の右側部を、他端が案内突起28の後側を夫々押圧するような状態として、規制部材22が上面視で右回り方向へ付勢される(後述する許容姿勢から規制姿勢へ姿勢変更する側へ付勢される)ようにすれば、規制装置18の組み立ては完了となる。さらに、そのようにして組み立てられた規制装置18は、ユニットケース11の後面に開設された操作窓36を介して、押し込み操作部27をユニットケース11内へ突出させた状態で、ユニットケース11の後方からユニットケース11の後面にネジ止めして設置すればよい。
【0018】
また、上記の如く設置された規制装置18において、規制部材22は、被押圧部26の前面及び位置決め突起29の先端がユニットケース11の後面に当接して、それ以上の左回り方向への回転が阻止された姿勢にある。そして、当該姿勢は、規制爪25が舌片20の左側(すなわち、錠装置17の施錠動作に伴う舌片20の移動軌跡上)に突出して、舌片20の姿勢変更、ひいてはダイヤル操作部19の施錠操作を規制する規制姿勢となっている。また、押し込み操作部27が後方へ押し込み操作されると、トーションばね42の付勢力に抗して規制部材22は左回り方向へ回動し、規制爪25が舌片20の前方へ退避して、舌片20の姿勢変更、ひいてはダイヤル操作部19の施錠操作を許容する許容姿勢へと姿勢変更することになる。さらに、押し込み操作部27の押し込み操作を解除すると、許容姿勢にあった規制部材22は、トーションばね42の付勢力によって自動的に規制姿勢へと復帰する。
【0019】
そして、上述したような施解錠ユニット10が設置された荷物受取ボックス1は、次のようにして使用される。
荷物が収納されていない状況では、扉体3は閉じているものの、錠装置17は、ダイヤル操作部19が解錠姿勢にあって舌片20が鉛直上方へ延びる解錠状態にある。そこで、宅配業者は、まず掛止装置16を操作する等して扉体3を開き、配達する荷物をボックス本体2に収納する。次に扉体3を閉じてからダイヤル操作部19を施錠操作して錠装置17を施錠状態にすることになるが、ダイヤル操作部19の施錠操作のみを行おうとしても規制装置18によってダイヤル操作部19の施錠操作は規制される。そこで、押し込み操作部27を押し込み操作して規制部材22を許容姿勢とし、規制装置18による規制を解除した状態のままダイヤル操作部19を施錠操作すればよい。すると、錠装置17が施錠動作して施錠状態になり、舌片20の先端がボックス本体2側に設けられた被係止部(図示せず)に係止するとともに、当該施錠状態のまま錠装置17がロックされて扉体3が閉状態のまま施錠される。
【0020】
以上のような構成を有する荷物受取ボックス1によれば、錠装置17に、施錠動作に伴い回転する舌片20を設ける一方、ダイヤル操作部19の施錠操作を規制する規制爪25を有する規制部材22を、錠装置17の施錠動作に伴う舌片20の移動軌跡上に規制爪25が位置して舌片20の姿勢変更を規制する規制姿勢と、規制爪25が舌片20の移動軌跡上から退避して舌片20の姿勢変更、ひいてはダイヤル操作部19の施錠操作を許容する許容姿勢とで姿勢変更可能に設けており、さらに、規制部材22を姿勢変更させるための押し込み操作部27を、ダイヤル操作部19とは別に設けている。そのため、ダイヤル操作部19を施錠操作する、すなわち錠装置17を施錠動作させる際には、ダイヤル操作部19とは別に押し込み操作部27を操作し、規制部材22を許容姿勢へと姿勢変更させなければならない。したがって、錠装置17が不用意に施錠動作しにくく、結果として宅配業者側に施錠のための鍵部材を持たせる必要もない荷物受取ボックス1とすることができる。
【0021】
また、規制部材22を規制姿勢側へ付勢するトーションばね42を設けているため、押し込み操作部27の押し込みを解除することで、規制部材22を自動的に規制姿勢へと復帰させることができ、使い勝手のよい荷物受取ボックス1とすることができる。
【0022】
なお、本発明の荷物受取ボックスに係る構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、荷物受取ボックスの全体的な構造は勿論、錠装置の施錠動作を規制する構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0023】
たとえば、上記実施形態では押し込み操作部を弾性変形可能に構成しているが、操作孔を押し込み操作部よりも大きな孔とし、押し込み操作した際に押し込み操作部が左右にがたつき可能とするというような構成を採用すれば、押し込み操作部を合成樹脂製として被押圧部等と一体成形することができる。
また、規制操作部を規制部材とは独立して動作する別部材とし、たとえば押し込み操作時に、規制操作部の先端が規制部材の表面上をすべるような構成を採用することも可能であって、そのような規制操作部とする場合にも、規制操作部が弾性変形しないとすることができる。
【0024】
さらに、上記実施形態では、規制操作部を押し込み操作部としているが、押し込み操作ではなく、たとえば所定方向へのスライド操作により規制部材の状態を変化させたり、回転操作により規制部材の状態を変化させたりするような規制操作部を設けるとしても何ら問題はない。
さらにまた、上記実施形態では、規制部材の状態変化に係り規制部材が姿勢変更するとしているが、姿勢変更するのではなく、たとえば規制操作部の操作に伴い規制部材が変形したり(撓んだり)、上下方向へスライドしたりすることによって、規制部材の状態が規制状態と許容状態とで変化するというような構成を採用することも可能である。
またさらに、上記実施形態では、トーションばねによって規制部材を規制姿勢側へ付勢するとしているが、別の付勢部材を採用することは勿論可能であるし、そのような付勢部材を設けないとしてもよい。
【0025】
加えて、上記実施形態では、規制部材の状態変化により移動部の移動が規制/許容されるように構成しているが、移動部の状態変化により移動部の移動が規制/許容されるように構成することも可能である。
たとえば、錠装置17に舌片20とは異なる方向へ突出するとともに、ダイヤル操作部19の施錠操作に伴って舌片20と共に回転する規制板を移動部として設ける一方、ユニットケース11の後面に、後方へ突出する規制リブを設ける。また、押し込み操作に伴い上記規制板の先端を後方へ撓ませる規制操作部を設ける。そして、規制操作部を押し込み操作しない状況にあっては、規制板が規制リブと干渉してダイヤル操作部19が施錠操作できないようにする。しかしながら、規制操作部を操作することで規制板が後方へ撓んで規制リブと干渉しなくなり、ダイヤル操作部19の施錠操作が可能となるというような構成が考えられる。このような構成であっても、ダイヤル操作部19を施錠操作する、すなわち錠装置17を施錠動作させる際には、ダイヤル操作部19とは別に設けられている規制操作部を操作し、規制板を許容状態としなければならないため、上記実施形態の荷物受取ボックス1と同様、錠装置17が不用意に施錠動作しにくく、結果として宅配業者側に施錠のための鍵部材を持たせる必要もない荷物受取ボックスとすることができる。
【符号の説明】
【0026】
1・・荷物受取ボックス、2・・ボックス本体、3・・扉体、17・・錠装置、18・・規制装置、19・・ダイヤル操作部(錠操作部)、20・・舌片(移動部)、22・・規制部材、24・・軸部、25・・規制爪(規制部)、27・・押し込み操作部(規制操作部)、28・・案内突起、30・・第1軸孔、31・・案内孔、32・・切り起こし部、34・・第2軸孔、41・・軸、42・・トーションばね(付勢部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7