(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085972
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】電動機ユニットおよび自走式電動車両
(51)【国際特許分類】
H02K 9/04 20060101AFI20230614BHJP
B62M 7/02 20060101ALI20230614BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230614BHJP
【FI】
H02K9/04 A
B62M7/02 A
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200321
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 薫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大石 栄幸
【テーマコード(参考)】
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP01
5H609QQ02
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609RR12
5H609RR24
5H609RR52
5H611AA09
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】電動機の作動を制御するコントローラについても効果的に冷却することができる電動機ユニットおよびこの電動機ユニットを搭載した自走式電動車両を提供する。
【解決手段】自走式電動車両100は、前輪103および後輪108を支持するフレーム101に電動機ユニット120が取り付けられている。電動機ユニット120は、電動機121、制御装置132および送風機140を備えている。電動機121は、メインハウジング124の内部にロータ収容空間126が形成されているとともにメインハウジング124の一部を第2ハウジング130が覆って制御装置収容空間131が形成されている。送風機140は、メインハウジング124および第2ハウジング130を介してロータ収容空間126と制御装置収容空間131とに跨った状態で配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式車両における駆動輪を駆動するためのロータを収容するロータ収容空間を形成するメインハウジングを有する電動機と、
前記ロータ収容空間の外側に前記電動機の作動を制御する制御装置を収容する制御装置収容空間を形成する第2ハウジングと、
前記メインハウジングおよび前記第2ハウジングを介して前記ロータ収容空間と前記制御装置収容空間とに跨った状態で配置されて前記ロータ収容空間および前記制御装置収容空間の各外側の空気を流動させた冷却風を生じさせるための送風機とを備えることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載した電動機ユニットにおいて、
前記メインハウジングと前記第2ハウジングとは、互いに同じ材質で構成されていることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載した電動機ユニットにおいて、
前記メインハウジングと前記第2ハウジングとは、互いに異なる材質で構成されていることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、
前記ロータ収容空間は、
前記制御装置収容空間よりも下方に形成されていることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、
前記送風機は、
前記ロータの軸方向に沿って延びる前記メインハウジングおよび前記第2ハウジングに対向配置されていることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、
前記制御装置は、
前記送風機の作動を制御することを特徴とする電動機ユニット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、
前記メインハウジングおよび前記第2ハウジングのうちの少なくとも一方は、
前記送風機が対向する外表面の少なくとも一部が前記送風機から離隔するに従って前記冷却風の流動方向から離隔する方向に湾曲する曲面を有していることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、
前記メインハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方は、
冷却液が流通する冷却液流路を有しており、
前記送風機は、
前記冷却液流路に面して配置されていることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載した電動機ユニットにおいて、さらに、
前記冷却液を冷却するためのラジエターを備え、
前記ラジエターは、
前記送風機の風上側または風下側に配置されていることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、さらに、
前記メインハウジングおよび前記第2ハウジングと前記送風機との間に前記冷却風の流れを規制する冷却風規制部を備えることを特徴とする電動機ユニット。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットにおいて、
前記送風機は、
前記電動機の作動音よりも大きな作動音を発することを特徴とする電動機ユニット。
【請求項12】
運転者が着座するシートと、
前記シートに対向して設けられて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を操舵するためのハンドルと、
前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を駆動するための前記請求項1ないし前記請求項11のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットとを備えたことを特徴とする自走式電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機を駆動源として自走する自走式電動車両に搭載される電動機ユニットおよび電動機ユニットを搭載した自走式電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、両足を揃えた状態でシートに着座するまたはシートに跨った状態で着座して運転する自動二輪車などの自走式電動車両においては、電動機を冷却するために冷却装置が設けられている。例えば、下記特許文献1には、発熱する電動機を液体フロンなどの冷媒を用いて冷却する所謂水冷方式の自走式二輪電動車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された自走式二輪電動車両においては、電動機の作動を制御するコントローラについては自走式二輪電動車両のカウル内に配置されているため、発熱するコントローラの冷却が効果的に行われ難いという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、電動機の作動を制御するコントローラについても効果的に冷却することができる電動機ユニットおよびこの電動機ユニットを搭載した自走式電動車両を提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、自走式車両における駆動輪を駆動するためのロータを収容するロータ収容空間を形成するメインハウジングを有する電動機と、ロータ収容空間の外側に電動機の作動を制御する制御装置を収容する制御装置収容空間を形成する第2ハウジングと、メインハウジングおよび第2ハウジングを介してロータ収容空間と制御装置収容空間とに跨った状態で配置されてロータ収容空間および制御装置収容空間の各外側の空気を流動させた冷却風を生じさせるための送風機とを備えることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、電動機ユニットは、電動機におけるロータ収容空間の外側に電動機の作動を制御する制御装置を収容する制御装置収容空間が形成されるとともに、これらのロータ収容空間と制御装置収容空間とに跨った状態でロータ収容空間および制御装置収容空間の各外側の空気を流動させた冷却風を生成する送風機が設けられているため、この送風機によって電動機および制御装置がそれぞれ効率的に冷却することができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、メインハウジングと第2ハウジングとは、互いに同じ材質で構成されていることにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、メインハウジングと第2ハウジングとが互いに同じ材質で構成されているため、メインハウジングと第2ハウジングとの間で熱膨張および熱収縮の差を抑えて耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、メインハウジングと第2ハウジングとは、互いに異なる材質で構成されていることにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、メインハウジングと第2ハウジングとが互いに異なる材質で構成されているため、メインハウジングと第2ハウジングとの間で熱膨張および熱収縮の差を送風機による冷却によって抑えることができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、ロータ収容空間は、制御装置収容空間よりも下方に形成されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、ロータ収容空間が制御装置収容空間よりも下方に形成されているため、電動機を構成するロータおよびステータなどの重量物が制御装置よりも下方に位置することで電動機ユニット全体の重心を下げて安定性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、送風機は、ロータの軸方向に沿って延びるメインハウジングおよび第2ハウジングに対向配置されていることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、送風機がロータの軸方向に沿って延びるメインハウジングおよび第2ハウジングに対向配置されているため、電動機を軸方向に沿って冷却することで電動機および制御装置の全体を効果的に冷却することができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、制御装置は、送風機の作動を制御することにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、制御装置が送風機の作動を制御しているため、送風機用の制御装置を別途設ける必要がなく構成を簡単化することができる。
【0018】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、メインハウジングおよび第2ハウジングのうちの少なくとも一方は、送風機が対向する外表面の少なくとも一部が送風機から離隔するに従って冷却風の流動方向から離隔する方向に湾曲する曲面を有していることにある。
【0019】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、メインハウジングおよび第2ハウジングのうちの少なくとも一方は、送風機が対向する外表面の一部が送風機から離隔する方向に湾曲する曲面を有しているため、ロータ収容空間および制御装置収容空間の各外側の冷却風の流れを円滑にして冷却効果を高めることができる。
【0020】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、メインハウジングおよび第2ハウジングの少なくとも一方は、冷却液が流通する冷却液流路を有しており、送風機は、冷却液流路に面して配置されていることにある。
【0021】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、メインハウジングおよび第2ハウジングの少なくとも一方は、冷却液が流通する冷却液流路に面して送風機が配置されているため、冷却液を冷却することで電動機および/または制御装置を効率的に冷却することができる。
【0022】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、さらに、冷却液を冷却するためのラジエターを備え、ラジエターは、送風機の風上側または風下側に配置されていることにある。
【0023】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、さらに、冷却液を冷却するためのラジエターを備えるとともに、このラジエターが送風機の風上側または風下側に配置されているため、ラジエターに対して空気を送るまたは吸い込むことでラジエターによる冷却液の冷却効果を高めることができる。
【0024】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、さらに、メインハウジングおよび第2ハウジングと送風機との間に冷却風の流れを規制する冷却風規制部を備えることにある。
【0025】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、さらに、メインハウジングおよび第2ハウジングと送風機との間に冷却風の流れを規制する冷却風規制部を備えているため、メインハウジングおよび第2ハウジングの各表面上を流れる冷却風の流れを規制することでロータ収容空間および制御装置収容空間の冷却効率を調整または向上させることができる。
【0026】
また、本発明の他の特徴は、前記電動機ユニットにおいて、送風機は、電動機の作動音よりも大きな作動音を発することにある。
【0027】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電動機ユニットは、送風機が電動機の作動音よりも大きな作動音を発するため、電動機の不快な作動音を紛らわせることができるとともに電動機ユニットまたは電動機ユニットを搭載した自走式電動車両が近付いてきたことを送風機の作動音で周囲に認識させることができる。
【0028】
また、本発明は電動機ユニットの発明として実施できるばかりでなく、自走式電動車両の発明としても実施できるものである。
【0029】
具体的には、自走式電動車両は、運転者が着座するシートと、シートに対向して設けられて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を操舵するためのハンドルと、前輪および後輪のうちの少なくとも一方を駆動するための請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載した電動機ユニットとを備えるとよい。このように構成した自走式電動車両によれば、前記電動機ユニットと同様の作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自走式電動車両の全体構成の概略を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示す自走式電動車両に搭載される電動機ユニットの全体構成の概略を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す電動機ユニットの全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両の左側から見た側面図である。
【
図4】
図1に示す自走式電動車両の制御システムの概略を示すブロック図である。
【
図5】
図2に示す電動機ユニットの内部構成の概略を示す断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る電動機ユニットの全体構成の概略を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す電動機ユニットを構成するメインハウジングおよび第2ハウジングの内部構成の概略を示すための部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る自走式電動車両の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る自走式電動車両100の全体構成の概略を模式的に示す側面図である。また、
図2は、
図1に示す自走式電動車両100に搭載される電動機ユニット120の全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両100の右側から見た斜視図である。
図3は、
図1に示す自走式電動車両100に搭載される電動機ユニット120の全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両100の左側から見た斜視図である。また、
図4は、
図1に示す自走式電動車両100の制御システムの概略を示すブロック図である。また、
図5は、
図1に示す自走式電動車両100に搭載される電動機ユニット120の内部構成の概略を示す断面図である。この自走式電動車両100は、運転者Uが両足を揃えた状態でシート110上に着座して運転を行う小型の自動二輪車(所謂スクータ)である。
【0032】
(自走式電動車両100の構成)
自走式電動車両100は、フレーム101を備えている。フレーム101は、自走式電動車両100の形を維持する骨格を構成する部品であり、複数の鉄製のパイプまたは板材を組み合わせて構成されている。このフレーム101は、主として、ヘッドパイプ102、メインフレーム106およびシートレール109をそれぞれ備えて構成されている。
【0033】
ヘッドパイプ102は、自走式電動車両100の前輪103をフロントフォーク104を介して支持する筒状の部分である。フロントフォーク104は、前輪103の両側に棒状に延びて形成されてヘッドパイプ102に対して前輪103を自走式電動車両100の左右方向に転舵可能に支持する部品であり、サスペンション機構(図示せず)を備えて構成されている。このフロントフォーク104の上端部には、ハンドル105が設けられている。ハンドル105は、自走式電動車両100の進行方向を操舵するための部品であり、自走式電動車両100の左側および右側の幅方向にそれぞれ棒状に延びて形成されている。ハンドル105は、左右一対で構成されているとともに、これらの左右の一方が自走式電動車両100を加速させるためのアクセルグリップ105aを構成している。
【0034】
メインフレーム106は、電動機ユニット120および二次電池115をそれぞれ支持してフレーム101の強度を決定づけるフレーム101の中枢部分であり、自走式電動車両100の前方から後方に向かって斜め下方に延びた後水平に延びて再び斜め上方に延びる屈曲した形状に形成されている。このメインフレーム106は、この水平に延びる部分においてステップフロア114および二次電池115をそれぞれ支持するとともに、斜め上方に延びる部分付近でスイングアーム107および電動機ユニット120をそれぞれ支持している。スイングアーム107は、自走式電動車両100の後輪108をメインフレーム106との連結部であるピボット106aを基点として上下動自在な状態で支持している。
【0035】
シートレール109は、主として、シート110、荷台112およびテールランプ113をそれぞれ支持する部分であり、メインフレーム106の後方に向かって斜め上方に延びて形成されている。シート110は、自走式電動車両100の運転者Uが両足を揃えた状態で着座するための部品であり、クッション部材で構成されている。このシート110は、開閉自在に構成されており、シート110の下方にはヘルメットなどの小物を収容できる収納スペース111が空洞状に形成されている。
【0036】
この場合、収納スペース111の底部は、開閉自在に構成されており、電動機ユニット120にアクセスできるように構成されている。荷台112は、荷物を載せるための部分であり、金属製の棒体を枠状に形成して構成されている。テールランプ113は、運転者Uによるブレーキ操作、ウィンカー操作または夜間などにおけるヘッドランプの点灯操作によって点灯する照明器具である。
【0037】
ステップフロア114は、シート110に着座した運転者Uが両足を揃えた状態で載置するための部分であり、シート110の前方の下方で前記メインフレーム106の上方に平坦な床面として形成されている。
【0038】
二次電池115は、電動機121および自走式電動車両100が備える電気電子機器に電力を供給する装置であり、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの充放電可能な電池で構成されている。また、二次電池115は、自走式電動車両100の減速時に電動機121が発生させる回生電気エネルギを蓄える。この二次電池115は、ステップフロア114の下方でメインフレーム106に支持されている。
【0039】
また、ステップフロア114の後端部からシート110に向かって立ち上がって電動機ユニット120を覆う筒状のユニットカバー116には、後述する送風機140の前方に格子状の通気口117が開口している。た、電動機ユニット120は、電動機121の回転速度を減速する減速機118aおよびチェーン118bを介して後輪108に接続されている。
【0040】
電動機ユニット120は、前記した後輪108を回転駆動させるための駆動力を発生させる動力源を構成する装置群である。具体的には、電動機ユニット120は、主として、電動機121、制御装置132および送風機140をそれぞれ備えて構成されている。なお、
図1においては、電動機ユニット120は、自走式電動車両100の内部に配置されるため破線で描かれるべきであるが、理解を容易にするため敢えて実線で示している。
【0041】
電動機121は、自走式車両の駆動輪を回転駆動するための回転駆動力を発生させる駆動源である。本実施形態においては、電動機121は、自走式二輪車を駆動させる同期モータで構成されている。なお、電動機121は、直流モータで構成してもよいことは当然である。
【0042】
電動機121は、主として、ステータ122、ロータ123およびメインハウジング124をそれぞれ備えて構成されている。ステータ122は、三相交流によって回転磁界を生じさせるための部品であり、鉄心の外周部に巻線が設けられて筒状に形成されている。このステータ122は、メインハウジング124を構成する胴体125内に固定的に取り付けられている。
【0043】
ロータ123は、ステータ122が発生させる回転磁界によって回転する部品であり、棒状に延びるシャフトの外周部に永久磁石が取り付けられて構成されている。このロータ123は、ステータ122を貫通した状態で胴体125内に配置されている。この場合、ロータ123における一方の端部側は、出力側蓋体127を貫通した状態で回転自在に支持されている。この場合、ロータ123における出力側蓋体127を貫通して露出した部分には出力歯車123aが設けられている。つまり、ロータ123は、電動機121の出力軸として機能する。また、ロータ123における他方側の端部が後部側蓋体128に回転自在な状態で支持されている。
【0044】
メインハウジング124は、電動機121の外筐を構成しつつロータ収容空間126および制御装置収容空間131をそれぞれ形成する部品であり、主として、胴体125、出力側蓋体127および後部側蓋体128をそれぞれ備えて構成されている。胴体125は、ロータ収容空間126を形成する部品であり、アルミニウムなどの非鉄系金属または樹脂材料などの非磁性材料を筒状に形成して構成されている。この胴体125は、円筒状に形成された内部空間であるロータ収容空間126においてステータ122を支持しているとともに、出力側蓋体127および後部側蓋体128によって回転自在に支持されたロータ123が貫通した状態で配置されている。
【0045】
一方、胴体125の外表面は、主として、収容空間形成部125a、第1側面部125bおよび第2側面部125cをそれぞれ有して構成されている。収容空間形成部125aは、ロータ収容空間126および後述する制御装置収容空間131をそれぞれ形成する部分であり、平坦面状に形成されている。第1側面部125bは、電動機121の側面を構成する部分であり、ロータ123の軸方向に延びる収容空間形成部125aの両端部からそれぞれ平坦面状に延びて形成されている。第2側面部125cは、半円形状のドーム状に形成されて前記2つの第1側面部125bを繋ぐ部分である。ロータ収容空間126は、ステータ122およびロータ123の各主要部を収容する空間部分であり、ロータ123の軸方向に延びる円筒状に形成されている。
【0046】
出力側蓋体127は、筒状に形成された胴体125の一方の端部に取り付けられる部品であり、アルミニウムなどの非鉄系金属または樹脂材料などの非磁性材料を周縁部が起立した板状体に形成して構成されている。この出力側蓋体127は、筒状に形成された胴体125の一方の端部を塞ぐとともにロータ123における一方の端部を回転自在に支持する。また、出力側蓋体127は、制御装置収容空間131に面するように延びてこの制御装置収容空間131の一部も形成している。そして、この出力側蓋体127は、胴体125に対してボルト(図示せず)によって取り付けられている。
【0047】
後部側蓋体128は、筒状に形成された胴体125の他方の端部に取り付けられる部品であり、アルミニウムなどの非鉄系金属または樹脂材料などの非磁性材料を板状に形成して構成されている。この後部側蓋体128は、筒状に形成された胴体125の他方の端部を塞ぐとともにロータ123における他方の端部を回転自在に支持する。この後部側蓋体128は、胴体125に対してボルト(図示せず)によって取り付けられている。また、後部側蓋体128の外側面は、空間を介して後部側カバー129で覆われており、この空間内にはロータ123の回転角度を検出する検出装置(図示せず)が設けられている。
【0048】
このメインハウジング124の外表面の一部には、第2ハウジング130が設けられている。第2ハウジング130は、メインハウジング124の外表面の一部との間で制御装置収容空間131を形成するための部品であり、炭素鋼などの鉄系金属またはアルミニウムなどの非鉄系金属などの金属板を胴体125の軸線方向に延びる半円のドーム状に湾曲させて形成されている。この場合、第2ハウジング130は、前記出力側蓋体127側が開口するとともに出力側蓋体127とは反対側が閉塞されている。本実施形態においては、第2ハウジング130は、メインハウジング124と同じ材料(例えば、アルミニウム材)で構成されている。そして、この第2ハウジング130は、ボルトを介して胴体125の一部に着脱自在に取り付けられている。
【0049】
制御装置収容空間131は、制御装置132を収容するための空間部分であり、胴体125の外表面の一部が出力側蓋体127の一部と第2ハウジング130で覆われて形成されている。すなわち、ロータ収容空間126と制御装置収容空間131とは、互いに隣接して形成されている。
【0050】
制御装置132は、電動機121の作動を制御するとともに自走式電動車両100の作動も総合的に制御する電気電子機器である。より具体的には、制御装置132は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されるとともに、電動機121の作動を直接制御するためのインバータ、昇圧コンバータおよびDCDCコンバータなどからなるパワーコントールユニット(PCU)などを備えて構成されている。
【0051】
ここで、インバータは、二次電池115から出力される直流電流を交流電流に変換して電動機121に出力するとともに、電動機121から出力される交流電流を直流電流に変換して二次電池115に出力する。また、昇圧コンバータは、二次電池115から出力される電圧を昇圧して電動機121に供給する。また、DCDCコンバータは、電動機121から出力される電圧を降圧して二次電池115に供給する。
【0052】
この制御装置132は、ROMなどの記憶装置に記憶させている制御プログラムを実行することでハンドル105に設けられたアクセルグリップ105aまたはウィンカーなどの操作子の操作に応じて電動機121および送風機140の各回転駆動の制御、計器類の作動制御および灯火類の点灯制御をそれぞれ行う。また、制御装置132は、外部の機器に電気的に接続するためのインターフェース端子132aが第2ハウジング130の外表面に露出した状態で設けられている。
【0053】
また、制御装置収容空間131内には、制御装置132とともに電源部133が収容されている。電源部133は、電動機121に供給する三相交流を生成してステータ122に供給するための電気機器であり、基板上に複数のコンデンサを備えて構成されている。この電源部133は、第2ハウジング130を貫通した状態で電源接続部133aが外部に露出しており、自走式車両の二次電池115から電力供給を受ける。
【0054】
送風機140は、電動機121および制御装置132を冷却するための空気からなる冷却風を発生させる機械装置であり、制御装置132によって作動が制御されるプロペラファン141を備えて構成されている。この送風機140は、メインハウジング124および第2ハウジング130を介してロータ収容空間126と制御装置収容空間131とに跨った状態で配置されるように設けられている。本実施形態においては、送風機140は、メインハウジング124と第2ハウジング130との境界部分に跨った状態でメインハウジング124における第1側面部125bにボルトを介して取り付けられている。この場合、送風機140は、メインハウジング124および第2ハウジング130側が風上側となるように取り付けてもよいが、本実施形態においては、送風機140はメインハウジング124および第2ハウジング130側が風下側となるように取り付けられている。
【0055】
この送風機140は、筒状のケーシング142内にプロペラファン141およびこのプロペラファン141を回転駆動する電動機(図示せず)が一体的に収容されて構成されている。この場合、ケーシング142は、送風機140をメインハウジング124に取り付けるためのボルトが貫通する平板状の2つの取付部142aがケーシング142の外表面から張り出して形成されている。また、ケーシング142は、メインハウジング124の第1側面部125bに対向する部分が凹状に切り欠かれた切欠き部142bが形成されており、冷風が第1側面部125b上に円滑に流れるように形成されている。また、この送風機140は、作動音が電動機121の作動音よりも大きな音を発するように構成されている。具体的には、送風機140は、プロペラファン141の風切り音が電動機121が作動する際の磁歪の音(高周波音)よりも大きな音が生じるように構成されている。
【0056】
この電動機ユニット120は、メインハウジング124の一部がフレーム101に対してボルトを介して固定的に取り付けられている。この場合、電動機ユニット120は、制御装置収容空間131がロータ収容空間126の上方に位置する姿勢でフレーム101に取り付けられる。
【0057】
(自走式電動車両100の作動)
次に、このように構成した自走式電動車両100の作動について説明する。この自走式電動車両100の運転者Uは、自走式電動車両100のシート110上に着座した状態でスイッチ操作を介して制御装置132を起動した後、アクセルグリップ105aの回動操作によるアクセル操作によって自走式電動車両100を走行させることができる。
【0058】
この場合、制御装置132は、自身の起動と同時に送風機140の作動を開始させて電動機121および制御装置132の冷却を開始する。具体的には、送風機140が発生させた冷却風は、一部がメインハウジング124の第1側面部125bに衝突するとともに、他の一部が第2ハウジング130に衝突する。
【0059】
第1側面部125bに衝突した冷却風W1は、送風機140の切欠き部142bを介してケーシング142内から流出した後、第1側面部125bの外表面に沿って流動する。これにより、メインハウジング124の内側に形成されたロータ収容空間126内が冷却されて電動機121の温度上昇が抑制される。
【0060】
一方、第2ハウジング130に衝突した冷却風W2は、この第2ハウジング130の外表面に沿って流動する。これにより、第2ハウジング130の内側に形成された制御装置収容空間131内が冷却されて制御装置132の温度上昇が抑制される。
【0061】
ここで、ロータ収容空間126内の冷却効果の程度は、第1側面部125b上を流動する冷却風W1の流量によって規定される。そして、第1側面部125b上を流動する冷却風W1の流量は、送風機140に形成された切欠き部142bの切欠き量によって規定されるケーシング142の端部と第1側面部125bの外表面との間の隙間量によって規定される。すなわち、切欠き部142bは、本発明に係る冷却風規制部としても機能する。
【0062】
また、ロータ収容空間126内の冷却効果の程度は、第2ハウジング130上を流動する冷却風W2の流量によって規定される。この場合、第2ハウジング130は、送風機140から遠ざかるに従って冷却風自体から離隔する方向に湾曲する曲面を有して構成されているため、送風機140から出力された冷却風W2が円滑に第2ハウジング130上を流動する。
【0063】
上記作動説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、自走式電動車両100は、電動機121におけるロータ収容空間126の外側に電動機121の作動を制御する制御装置132を収容する制御装置収容空間131が形成されるとともに、これらのロータ収容空間126と制御装置収容空間131とに跨った状態でロータ収容空間126および制御装置収容空間131の各外側の空気を流動させた冷却風を生成する送風機140が設けられているため、この送風機140によって電動機121および制御装置132がそれぞれ効率的に冷却することができる。
【0064】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記に示す各変形例においては、上記第1実施形態における自走式電動車両100と同様の構成部分には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0065】
例えば、上記第1実施形態においては、電動機ユニット120は、メインハウジング124と第2ハウジング130とを同じ材料で構成した。これにより、電動機ユニット120は、メインハウジング124と第2ハウジング130との間で熱膨張および熱収縮の差を抑えて耐久性を向上させることができる。しかし、電動機ユニット120は、メインハウジング124と第2ハウジング130とを互いに異なる材料で構成してもよいことは当然である。この場合、電動機ユニット120は、メインハウジング124と第2ハウジング130との間で熱膨張および熱収縮の差を送風機140による冷却によって抑えることができる。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0066】
また、上記第1実施形態においては、電動機ユニット120は、ロータ収容空間126を制御装置収容空間131よりも下方に位置する姿勢でフレーム101上に配置した。しかし、電動機ユニット120は、後述する第2実施形態における電動機ユニット120とのように、ロータ収容空間126を制御装置収容空間131よりも上方に位置する姿勢でフレーム101上に配置することもできる。
【0067】
また、上記第1実施形態においては、電動機ユニット120は、送風機140をロータ123の軸方向に沿って延びるメインハウジング124および第2ハウジング130に対向配置して構成されている。これにより、電動機ユニット120は、電動機121を軸方向に沿って冷却することで電動機121および制御装置132の全体を効果的に冷却することができる。しかし、電動機ユニット120は、送風機140をロータ123の軸方向以外の方向、例えば、同軸方向に直交する方向(例えば、後部側蓋体128側)に対向配置するように構成することもできる。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0068】
また、上記第1実施形態においては、送風機140は、制御装置132によって作動制御されるように構成した。これにより、電動機ユニット120は、送風機140用の制御装置を別途設ける必要がなく構成を簡単化することができる。しかし、送風機140は、制御装置132とは別の制御装置によって作動制御されるようにしてもよいことは当然である。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0069】
また、上記第1実施形態においては、メインハウジング124および第2ハウジング130は、送風機140が対向する外表面の一部が送風機140から離隔する方向に湾曲する曲面を有してドーム状に構成した。これにより、電動機ユニット120は、ロータ収容空間126および制御装置収容空間131の各外側の冷却風の流れを円滑にして冷却効果を高めることができる。しかし、メインハウジング124および第2ハウジング130は、冷却風が流れる外表面形状について曲面形状を排して単なる平坦面のみで構成してもよいことは当然である。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0070】
また、上記第1実施形態においては、送風機140は、メインハウジング124に取り付けて構成した。しかし、送風機140は、ロータ収容空間126と制御装置収容空間131とに跨った状態で配置されていればよい。したがって、送風機140は、メインハウジング124に代えてまたは加えて第2ハウジング130に取り付けることができる。また、送風機140は、メインハウジング124および第2ハウジング130以外の部品、例えば、フレーム101に直接的または間接的に取り付けられていても良い。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0071】
また、上記第1実施形態においては、電動機ユニット120は、1つの送風機140を備えて構成した。しかし、電動機ユニット120は2つ以上の送風機140を備えて構成することもできる。この場合、2つ目以降の送風機140は、ロータ収容空間126と制御装置収容空間131とに跨った状態でメインハウジング124および/または第2ハウジング130に取り付けられていてもよいし、ロータ収容空間126および制御装置収容空間131のうちの一方にのみ対向するようにメインハウジング124および/または第2ハウジング130に取り付けられていてもよい。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0072】
また、上記第1実施形態においては、送風機140は、電動機121および制御装置132側に向けて空気をふい出すことで冷却風を吹き付けるように構成した。しかし、送風機140は、電動機121および制御装置132側から空気を吸引することで冷却風を発生させるように構成することもできる。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0073】
また、上記第1実施形態においては、送風機140は、作動音が電動機121の作動音よりも大きな音を発するように構成されている。これにより、電動機ユニット120は、電動機121の不快な作動音を紛らわせることができるとともに電動機ユニット120または電動機ユニット120を搭載した自走式電動車両100が近付いてきたことを送風機140の作動音で周囲に認識させることができる。つまり、送風機140が発する作動音は、電動機ユニット120または自走式電動車両100の周囲に存在する者に聞こえる程度の大きさの音である。しかし、送風機140は、電動機ユニット120または自走式電動車両100の周囲に存在する者に聞こえる程度の大きさの音以下の音量の作動音を発するように構成できることは当然である。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0074】
また、上記第1実施形態においては、送風機140は、プロペラファン141を備えて構成した。しかし、送風機140は、空気の吹き出しまたは吸引によって空気の流れからなる冷却風を生じさせることができように構成されていればよい。したがって、送風機140は、空気を流動させる羽根のなどの回転体の軸方向に空気を流動させるプロペラファン141などの軸流ファン以外に、複数の羽根が円筒を構成するように配置された回転体の遠心方向に空気を吹き出す遠心ファン、または前記回転体の外周面の一部から空気を吸引してこの外周面の他の一部から空気を吹き出す横流ファンなどで構成することができる。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0075】
また、上記第1実施形態においては、制御装置収容空間131内には、制御装置132のほかに電源部133を設けて構成した。これにより、電動機ユニット120は、発熱量が多い電源部133を制御装置収容空間131内に収容することで電源部133を効果的に冷却しながら電動機ユニット120全体をコンパクトに構成することができる。しかし、制御装置収容空間131内には、必ずしも電源部133を設ける必要はなく電源部133は制御装置収容空間131の外部に設けることもできる。なお、この変形例は、後述する第2実施形態においても同様に採用できる。
【0076】
<第2実施形態>
(電動機ユニット120の構成)
次に、本発明に係る電動機ユニッの第2実施形態について
図6および
図7をそれぞれ用いて説明する。この第2実施形態の説明においては、主として、上記第1実施形態と異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付してそれらの説明は適宜省略する。上記第1実施形態においては、電動機ユニット120は、電動機121および制御装置132をそれぞれ送風機140によって空冷した。
【0077】
しかし、第2実施形態に係る電動機ユニット120においては、送風機140による空冷に加えて、電動機121および制御装置132をそれぞれ水または油などの冷却液を用いて水冷する点において上記第1実施例における電動機ユニット120と異なる。具体的には、電動機ユニット120は、ラジエター200、送液ポンプ202および冷却液タンク203をそれぞれ備えている。
【0078】
ラジエター200は、電動機121および制御装置132をそれぞれ冷却する冷却液(図示せず)を熱交換によって冷却するための装置である。このラジエター200は、冷却液を導入する上流側がメインハウジング124の冷却液流路205に管路201aを介して接続されているとともに冷却液を排出する下流側が管路201bを介して送液ポンプ202に接続されている。また、ラジエター200には、冷却液タンク203が管路201cを介して接続されている。このラジエター200は、連結具204を介してメインハウジング124および第2ハウジング130にそれぞれ取り付けられている。
【0079】
送液ポンプ202は、メインハウジング124とラジエター200との間で冷却液を循環させるための機械装置であり、制御装置132によって作動が制御される。この送液ポンプ202は、冷却液を排出する下流側が管路202aを介してメインハウジング124の冷却液流路205に接続されている。また、送液ポンプ202は、連結具202bを介してラジエター200に取り付けられている。
【0080】
冷却液タンク203は、電動機121、制御装置132および電源部133をそれぞれ冷却するための冷却液を貯留するための容器であり、樹脂材または金属材によって構成されている。すなわち、冷却液タンク203は、リザーバータンクである。この冷却液タンク203は、電動機121のメインハウジング124にボルトを介して直接取り付けられている。
【0081】
連結具204は、メインハウジング124および第2ハウジング130に対して離隔した位置で送風機140およびラジエター200をそれぞれ支持するための部品であり、帯状に延びる金属製の板状体を屈曲させて形成されている。この場合、連結具204は、送風機140およびラジエター200を両側から挟むように互いに対象形状をした2つの金属板で構成されている。この連結具204は、一方の端部がラジエター200にボルトを介して取り付けられているとともに他方の端部がボルトを介してメインハウジング124に取り付けられている。そして、連結具204は、両端部の間の部分で送風機140をボルトによって支持している。
【0082】
一方、メインハウジング124には、胴体125を構成する筒状部分の内部に冷却液流路205が形成されている。冷却液流路205は、メインハウジング124のロータ収容空間126を含む内部空間および制御装置収容空間131をそれぞれ冷却するための冷却液を液密的かつ気密的に流通させるための管路であり、前記筒状部分の長手方向および周方向にそれぞれ延びて形成されている。この冷却液流路205は、ロータ収容空間126を外側から覆うように形成されている。すなわち、冷却液流路205は、前記筒状部分の全体に略均等に形成されている。また、冷却液流路205は、胴体125を軸線方向に貫通しており、出力側蓋体127および後部側蓋体128の各壁面によって塞がれている。
【0083】
そして、送風機140は、冷却液流路205に面するようにメインハウジング124および第2ハウジング130に対して対向配置されている。この場合、送風機140は、風上側にラジエター200が位置するとともに風下側に電動機121および制御装置132がそれぞれ位置する向きで配置される。また、送風機140は、ロータ収容空間126と制御装置収容空間131とに跨った状態でメインハウジング124および第2ハウジング130にそれぞれ取り付けられている。なお、
図7においては、理解を容易にするため、ロータ収容空間126内に収容されるステータ122およびロータ123などの電動機121の構成部品および制御装置収容空間131内に収容される制御装置132および電源部133の図示を省略している。また、
図7においては、理解を容易にするため、メインハウジング124および第2ハウジング130の断面図を示し、送風機140は断面図としていない。
【0084】
このように構成した第2実施形態に係る電動機ユニット120においては、制御装置132は自身の起動と同時に送風機140および送液ポンプ202の各作動を開始させて電動機121および制御装置132の冷却を開始する。これにより、送液ポンプ202は、冷却液をメインハウジング124とラジエター200との間で循環させる。これにより、送液ポンプ202は、ロータ収容空間126内および制御装置収容空間131内をそれぞれ冷却することができる。
【0085】
一方、送風機140は、電動機121および制御装置132に対して送風を開始する。この場合、送風機140は、ラジエター200を通過した空気を冷却風W1,W2としてメインハウジング124および第2ハウジング130をそれぞれ介して電動機121および制御装置132(電源部133を含む)に吹き付ける。これにより、送風機140は、メインハウジング124内の冷却液流路205に対向配置されているため、冷却液流路205内の冷却液を冷却することができる。また、送風機140は、上記第1実施形態と同様に、ロータ収容空間126内および制御装置収容空間131内をそれぞれ冷却する。
【0086】
また、この送風機140の作動時においては、送風機140から出力される冷却風は、連結具204によってロータ123の軸方向側への冷却風の流出を規制して同軸方向に直交する方向(具体的には、冷却液タンク203側および制御装置132側)への流量の減少を抑えている。すなわち、連結具204は、本発明に係る冷却風規制部としても機能する。
【0087】
なお、この第2実施形態においても、種々の変更が可能である。具体的には、上記第2実施形態においては、送風機140は、冷却液流路205に対向する位置に配置した。しかし、送風機140は、冷却液流路205に対向しない位置に配置することもできる。
【0088】
また、上記第2実施形態においては、ラジエター200は、送風機140の風上側に配置した。しかし、ラジエター200は、送風機140の風下側に配置することもできる。すなわち、送風機140は、電動機121および制御装置132側から空気を吸引することで冷却風を発生させるとともに、この冷却風をラジエター200に吹き付けることもできる。
【0089】
また、上記第2実施形態においては、連結具204は、送風機140から出力された冷却風がロータ123の軸方向側に流出することを規制して本発明に係る冷却風規制部としても機能した。しかし、連結具204は、ラジエター200および送風機140を支持する部品であり、必ずしも冷却風規制部としての機能を併せ持つ必要はない。すなわち、上記第1実施形態も含めて、冷却風規制部を省略して構成できることは当然である。
【0090】
また、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、運転者Uが両足を揃えた状態でシート110上に着座して運転を行う小型の自動二輪車(所謂スクータ)に搭載した。しかし、電動機ユニット120は、二輪または三輪のオートバイクほか、四輪のカートなどの自走式電動車両に広く搭載することができる。この場合、例えば、電動機ユニット120は、シート110に跨って着座する鞍乗り形の二輪車、三輪車または四輪車に搭載することができる。また、電動機ユニット120は、後輪駆動車のほか、前輪駆動車または全輪駆動車に搭載することもできる。また、電動機ユニット120は、前輪103を操舵する自走式電動車両のほか、後輪108を操舵する自走式電動車両に搭載することもできる。また、自走式電動車両100は、二次電池115をステップフロア114の下方以外の場所、例えは、シート110の下方またはカウルの内側に配置することもできる。
【符号の説明】
【0091】
U…運転者、W1,W2…冷却風、
100…自走式電動車両、101…フレーム、102…ヘッドパイプ、103…前輪、104…フロントフォーク、105…ハンドル、105a…アクセルグリップ、106…メインフレーム、106a…ピボット、107…スイングアーム、108…後輪、109…シートレール、
110…シート、111…収納スペース、112…荷台、113…テールランプ、114…ステップフロア、115…二次電池、116…ユニットカバー、117…通気口、118a…減速機、118b…チェーン、
120…電動機ユニット、121…電動機、122…ステータ、123…ロータ、123a…出力歯車、124…メインハウジング、125…胴体、125a…収容空間形成部、125b…第1側面部、125c…第2側面部、126…ロータ収容空間、127…出力側蓋体、128…後部側蓋体、129…後部側カバー、
130…第2ハウジング、131…制御装置収容空間、132…制御装置、132a…インターフェース端子、133…電源部、133a…電源接続部、
140…送風機、141…プロペラファン、142…ケーシング、142a…取付部、142b…切欠き部、
200…ラジエター、201a,201b,201c…管路、202…送液ポンプ、202a…管路、202b…連結具、203…冷却液タンク、204…連結具、205…冷却液流路。