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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023085998
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】煙感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20230614BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/107 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200354
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 温人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 恭拓
【テーマコード(参考)】
5C085
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AA06
5C085BA33
5C085FA06
5C085FA09
5C085FA11
5C085FA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検煙部への煙の流入性能の流入方向による偏りを低減することができる煙感知器を提供する。
【解決手段】外部から筐体内に流通口を介して流入する煙を検煙部7によって検出する煙感知器1であって、筐体内に、流通口と検煙部7の間に煙流路11を形成する流路壁10を設けると共に、煙流路11内に位置するものとして、煙流路11内を外方に流れる煙の流れを流通口に向けて整流するか、煙流路11内を内方に流れる煙の流れを検煙部7に向けて整流する、流路壁10よりも高さが低い整流板12を設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から筐体内に流通口を介して流入する煙を検煙部によって検出する煙感知器であって、
前記筐体内に、前記流通口と前記検煙部の間に煙流路を形成する流路壁が設けられると共に、前記煙流路内に位置するものとして、前記煙流路内を外方に流れる煙の流れを前記流通向に向けて整流するか、前記煙流路内を内方に流れる煙の流れを前記検煙部に向けて整流する、前記流路壁よりも高さが低い整流板が設けられることを特徴とする煙感知器。
【請求項2】
前記流通口は、前記筐体の外周部に設けられ、前記検煙部は、前記流通口の内方の位置であって、前記筐体の平面視中心に対して偏心した位置に設けられ、前記整流板は、前記検煙部と前記流通口の間の距離が短い側に偏在して設けられることを特徴とする請求項1に記載の煙感知器。
【請求項3】
前記整流板は、前記流通口近傍の位置に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の煙感知器。
【請求項4】
前記流通口には、前記流通口を高さ方向に分割する横板が設けられ、前記整流板の高さは、前記横板が設けられる高さと同程度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の煙感知器。
【請求項5】
前記筐体内には、前面側に前記検煙部と前記煙流路が配置されると共に、背面側に回路基板が配置される中板部が設けられ、前記回路基板は、前記中板部の前面側に頭部が位置する向きで前記中板部の前記検煙部近傍位置を貫通する固定ネジによって固定され、前記固定ネジの頭部は、前記流路壁と前記検煙部の間に位置するか、又は、前記煙流路内に位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の煙感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、煙感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
煙感知器は、光電式のものの場合、煙が導入される検煙部内で受光素子が散乱光を受光し、その受光量に基づいて煙を検出するように構成される。主に火災感知器として用いられ、監視対象の建築物内等の天井や壁等に設けられる。具体的な用例としては、例えば、住宅用火災警報器や自動火災報知設備の火災感知器である。なお、住宅用火災警報器の場合、ガス漏れ(都市ガス等の漏れ)やCO(一酸化炭素)等も検知する複合型の警報器として構成されるものもある。
【0003】
この種の煙感知器において、筐体前面中央部に検煙部用の突出部分のない、筐体全体が扁平な薄型の形状を有しているものがある。そのような薄型の煙感知器の場合、検煙部は、筐体内の平面視偏心位置に設けられており、また、その周囲には、筐体外周部の煙の流通口から検煙部に向けて煙を誘導する煙流路を形成する流路壁が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-226657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検煙部が前記のように偏心位置に設けられていると、検煙部への煙の流入性能に流入方向による偏りが生じることになる。そのため、流入方向により煙の検知感度に偏りが生じるという問題がある。例えば、筐体外周部の検煙部に遠い側からの煙は、検煙部に近い側からの煙に比べて検煙部に流れ難くなるため、流入方向により煙の検知感度に偏りが生じることになる。
【0006】
この発明は、前記の事情に鑑み、検煙部への煙の流入性能の流入方向による偏りを低減することができる煙感知器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、外部から筐体内に流通口を介して流入する煙を検煙部によって検出する煙感知器であって、前記筐体内に、前記流通口と前記検煙部の間に煙流路を形成する流路壁が設けられると共に、前記煙流路内に位置するものとして、前記煙流路内を外方に流れる煙の流れを前記流通口に向けて整流するか、前記煙流路内を内方に流れる煙の流れを前記検煙部に向けて整流する、前記流路壁よりも高さが低い整流板が設けられることを特徴とする煙感知器、である。
【0008】
この発明において、前記整流板は、平面視で前記流通口と前記検煙部を結ぶ直線に沿って延びる向きで設けられるものとすることができる。前記流通口は、前記筐体の外周部に設けられ、前記検煙部は、前記流通口の内側の位置であって、前記筐体の平面視中心に対して偏心した位置に設けられ、前記整流板は、前記検煙部と前記流通口の間の距離が短い側の前記煙流路内に偏在して設けられるものとすることができる。また、前記整流板は、前記流通口近傍の位置に設けられるものとすることができる。また、前記流通口には、前記流通口を高さ方向に分割する横板が設けられ、前記整流板の高さは、前記横板が設けられる高さと同程度であるものとすることができる。また、前記筐体内には、前面側に前記検煙部と前記煙流路が配置されると共に、背面側に回路基板が配置される中板部が設けられ、前記回路基板は、前記中板部の前面側に頭部が位置する向きで前記中板部の前記検煙部近傍位置を貫通する固定ネジによって固定され、前記固定ネジの頭部は、前記流路壁と前記検煙部の間に位置するか、又は、前記煙流路内に位置するものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明においては、整流板が煙流路内を外方に流れる煙の流れを流通口に向けて整流する際に、整流板により、煙の流出側になる煙流路内の、流通口への煙の流れを良くして、流通口から筐体外部に煙を流出し易くすることができるので、煙の流れ全体を良くすることができ、煙の流入側になる煙流路内の、検煙部への煙の流れを良くすることができる。逆に、整流板が煙流路内を内方に流れる煙の流れを検煙部に向けて整流する際には、整流板の、煙の流れに対する抵抗が大きいと、検煙部への煙の流れを阻害してしまう可能性があるが、整流板を流路壁よりも高さの低いものとしていることにより、煙の流れに対する整流板の抵抗を抑えることができるので、検煙部への煙の流れが検煙部によって返って悪くなるのを防ぐことができる。
【0010】
これにより、例えば、検煙部が煙の流入性能に流入方向による偏りを生じさせる配置で設けられていたとしても、整流板が検煙部への煙の流れが良い側に設けられていれば、整流板が煙流路内を外方に流れる煙の流れを流通口に向けて整流することになる際に、整流板により、検煙部への煙の流れが良い側で、流通口から筐体外部に煙を流出し易くすることで、検煙部への煙の流れが良くない側の、検煙部への煙の流れを良くすることができ、煙の流入性能の流入方向による偏りを低減することができる。そして、そのようにすることができつつも、整流板の、煙の流れに対する抵抗を抑えることができるので、整流板が煙流路内を外方に流れる煙の流れを流通口に向けて整流することになる際には、検煙部への煙の流れが整流板によって返って悪くなるのを防ぐことができる。
【0011】
したがって、この発明によれば、検煙部への煙の流入性能の流入方向による偏りを低減することができる煙感知器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の煙感知器の実施形態の一例を示したものであり、感知器全体の前面側の斜視図である。
図2】同上の例の、前面カバーを外した状態における筐体本体の前面側の斜視図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4】同上の例の、前面カバーを透視して示した筐体本体の前面側の平面図である。
図5】同上の例の、感知器全体の側面図である。
図6】同上の例の、感知器全体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態の一例について、図1乃至6を参照しつつ、COの検知も可能な煙感知器1として説明する。なお、この発明の煙感知器は、建築物内等を監視対象として設けられる火災感知器として用いることができるものであり、具体的には、例えば、住宅用火災警報器(ガス漏れやCO等の検知機能を有する複合型のものを含む)や、自動火災報知設備の火災感知器等として用いることができるものである。
【0014】
ここで、この発明を説明するのに用いている、「前」、「背」等の位置や方向等を示す語は、煙感知器1の設置される際の位置や方向等に従ったものである。
【0015】
[全体構成]
煙感知器1は、前面に検煙部用の突出部分のない、全体として扁平な薄型の形状の筐体2を有し、煙とCOの検知が可能な複合型の住宅用火災警報器として用いられるものである。筐体2は、本体3と、その前面側に取り付けられる前面カバー4からなる。本体3は、基台部5と、その前面側に取り付けられる中板部6からなる。前面カバー4は、より詳細には、本体2の中板部6の前面側に取り付けられる。
【0016】
中板部6の背面側には、検煙部7とCO検知部8が設けられる回路基板9が設けられる(図6参照)。検煙部7とCO検知部8は、中板部6が基台部5に取り付けられている状態で、中板部6に設けられる貫通口を介して背面側から前面側に露出して、中板部6の前面側の、前面カバー4との間の後記で説明する煙流路10が形成される空間部内に位置する(図6参照)。その空間部の周りを囲む前面カバー4の外周部には、煙やCOが流入する流通口4aが設けられる。
【0017】
検煙部7は、中板部6の前面上、平面視中心位置から偏心して位置するように設けられる(図4参照)。これは電池ケース等を筐体2内に収めるためにそのように設けられるものである。検煙部7の周囲には、中板部6の前面上に高さ方向に立設されるものとして、前面カバー4外周部に設けられる流通口4a側から検煙部7側に至り、流通口4aから筐体2内に流入する煙を検煙部7に向けてガイドする複数の煙流路11を間に形成する複数の流路壁10が設けられる。CO検知部8は、検煙部7が設けられる煙流路11近傍の別の煙流路11内に設けられる。検煙部7とCO検知部8は、流通口4aを介して筐体2内に流入し、煙流路11内を流れて到達する煙とCOを検知する。
【0018】
前面カバー4は、より詳細には、図示の例の場合、前壁部4bと、周壁部4cと、複数の支柱部4dを有し、前壁部4bが周壁部4cの前端上に複数の支柱部4dによって支持されている(図5参照)。流通口4aは、前壁部4bと周壁部4c前端の間に周方向に沿って設けられるが、複数の支柱部4dによって縦方向(前後方向)に仕切られており、また、各支柱部4d間に横架されて設けられる横板4eによって横方向(周方向)に仕切られている(図5参照)。すなわち、流通口4aは、複数の支柱部4dと複数の横板4eによって縦横に仕切られている。そして、流通口4aは、前面カバー4の前壁部4bと周壁部4cの間に設けられ、内方に検煙部7、CO検知部8、複数の煙流路11を形成する複数の流路壁10等が設けられている(図5参照)。それにより、流通口4aから流入する煙やCOが内方の煙流路11に流れ込むようになっている。
【0019】
そして、煙感知器1は、筐体2の背面側が取り付けられる取付ベース(図示省略)を介して監視対象の建築物内等の天井や壁等に取り付けられ、監視対象の建築物内等で発生する所定の濃度を超える煙やCOを検知した際に、その警報を発する。
【0020】
[整流板]
煙感知器1は、煙流路11内に、中板部6の前面上に高さ方向に立設されるものとして、煙流路11内を外方に流れる煙の流れを流通口4aに向けて整流するか、煙流路11内を内方に流れる煙の流れを検煙部7に向けて整流する、高さ(頂部の高さ)が流路壁10よりも低い整流板12が設けられる。整流板12は、筐体2に対して偏心して設けられた検煙部7に対し周壁部4cに近い側の煙流路11に設けられる。
【0021】
ここで、筐体2内部には、その周囲全方向から流通口4aを介して煙が流入する。いずれかの側の流通口4aから筐体2内部に流入した煙は、その流通口4aに連続する煙流路11内を内方に流れて検煙部7内に流入する。検煙部7内に流入した煙は、検煙部7を通過した後、流入したのとは反対側等の煙流路11内を外方に流れ、その煙流路11に連続する流通口4aから筐体2外部に流出する。整流板12が、煙流路11内を外方に流れる煙の流れを流通口4aに向けて整流するか、煙流路11内を内方に流れる煙の流れを検煙部7に向けて整流するかは、煙の流入方向によって変わることになる。
【0022】
・整流板による効果
煙感知器1においては、整流板12が煙流路11内を外方に流れる煙の流れを流通口4aに向けて整流することになる際に、整流板12により、煙の流出側になる煙流路11内の、流通口4aへの煙の流れを良くして、流通口4aから煙を筐体2外部に流出し易くすることができる。そのため、煙の流れ全体を良くすることができ、煙の流入側になる煙流路11内の、検煙部7への煙の流れを良くすることができる。
【0023】
逆に、整流板12が煙流路11内を内方に流れる煙の流れを検煙部7に向けて整流することになる際には、検煙部7に向けての整流効果を期待できる一方で、整流板12の、煙の流れに対する抵抗が大きいと、検煙部7への煙の流れを阻害してしまう可能性がある。しかしながら、整流板12を流路壁10よりも高さ(頂部の高さ)の低いものとしていることにより、煙の流れに対する抵抗を抑えることができるので、検煙部7への煙の流れが整流板12によって返って悪くなるのを防ぐことができる。
【0024】
これにより、例えば、煙感知器1のように検煙部7が偏心位置に設けられていると、本来、検煙部7への煙の流入性能に流入方向による偏りが生じることになるが、整流板12が検煙部7への煙の流れが良い側の煙流路11内に設けられていれば、整流板12が煙流路11内を外方に流れる煙の流れを流通口4aに向けて整流することになる際に、整流板12により、検煙部7への煙の流れが良い側で、流通口4aから筐体外部に煙を流出し易くすることで、検煙部7への煙の流れが良くない側の、検煙部7への煙の流れを良くすることができ、検煙部7への煙の流入性能の流入方向による偏りを低減することができる。そして、そのようにすることができつつも、整流板12の、煙の流れに対する抵抗を抑えることができるので、整流板12が煙流路11内を内方に流れる煙の流れを検煙部7に向けて整流することになる際に、検煙部7への煙の流れが整流板12によって返って悪くなるのを防ぐことができる。
【0025】
・整流板の配置の具体例(検煙部への流れが良い側への偏在配置)
整流板12は、検煙部7が偏心して設けられる側の、検煙部7と流通口4aの間の距離が短い側の煙流路11内に偏在して設けられる(図4参照)。図示の例の場合、その検煙部7と流通口4aの間の距離が短い側の煙流路11内にのみ整流板12が設けられている。煙感知器1のように検煙部7が偏心して設けられるものの場合、整流板12が設けられていなければ、検煙部7との距離が長い側の流通口4aから流入する煙の流れは、検煙部7との距離が短い側の流通口4aから流入する煙の流れに比べて煙流路11の距離が長い分、乱れやすく、良くない。そのため、煙の流入性能に流入方向による偏りが生じることになるが、整流板12が検煙部7への煙の流れが良い側(検煙部7と流通口4aの間の距離が短い側)の煙流路11内に設けられていれば、その整流板12により、前記の通り、検煙部7への煙の流れが良くない側(検煙部7と流通口4aの距離の長い側)の、検煙部7への煙の流れを良くすることができ、検煙部7への煙の流入性能の流入方向による偏りを低減することができる。
【0026】
・整流板の形状等の具体例
・・形状、配置等
整流板12は、煙の流れに対する抵抗を抑えつつ、煙の流れを流通口4a又は検煙部7に向けて整流するのに好適な形状、厚さ、高さ、長さ、数、配置等で設けられる。例えば、図示の例の場合、それぞれ厚さの薄い平板状の形状をなすものとし、煙流路11内に位置すると共に、平面視で、検煙部7に対して流路壁10等と共に放射状に並びつつ、検煙部7と流通口4aを結ぶ直線に沿って延びる向きで設けられるものとしている(図4参照)。整流板12の厚さは、流路壁10よりも薄い方がその効果をより得られるが、流路壁10と同程度の厚さでも十分に効果を得ることができる。高さ(頂部の高さ)は、流路壁10よりも低いものとしており、その高さの詳細については、後記でさらに説明するが、長さ(検煙部7側と流通口4a側の両端部間の長さ)についても、流路壁10の長さよりも短いものとしている。より詳細には、隣接する流路壁10の長さの1/2或いは1/3程度の短尺のものとしている(図4参照)。各煙流路11内における数は、各煙流路11の幅の大小等に応じて1個又は複数個設けられる。配置は、検煙部7と流通口4aの間の距離が短い側の煙流路11内に偏在しつつ、いずれも各煙流路11内の流通口4a近傍に位置するものとしている。これにより、整流板12が煙流路11内を外方に流れる煙の流れを流通口4aに向けて整流する際に、流通口4aから煙を筐体2外部により流出し易くすることができる。また、周方向において、隣り合う他の整流板12や流路壁10、後記で説明するアンテナ13の支持部材14等との間に一定の間隔を置いて並ぶものとしている(図4参照)。さらに、形状については、より詳細には、検煙部7側と流通口4a側にそれぞれ面して、煙の流れに対して対向する面となる長さ方向の両側端面がハ字状に僅かに傾斜するものとしている(図3参照)。これにより検煙部7方向に向かって煙の流れを作ることができる。なお、整流板12の形状、厚さ、高さ(後記で説明する流通口の横板の高さとの関係を含む)、長さ、数、配置等については、ここで例示のものに限られるわけではなく、適宜変更してもよいことはもちろんである。
【0027】
・・整流板の高さと流通口の横板の設置高さの関係
図示の例において、流通口4aは、より詳細には、前面カバー4外周部の横板4eによって高さ方向中間位置で前後二段(図面上、上下二段)に仕切られている(図5参照)。整流板12は、高さ(頂部の高さ)が横板4eの設置高さと同程度になるものとしている(図5参照)。整流板12を流通口4a近傍の位置に設ける場合、流通口4aの部分における煙の流入が整流板12によって阻害される可能性がある。しかしながら、整流板12の高さを流路壁10よりも低くするだけでなく、横板4eの設置高さと同程度になるものとして、流通口4aの前段側の開口部分(天井面に取り付けられている状態で下段側となる開口部分であり、図5の上段側の開口部分)を内方近傍に整流板11が位置しないものとすれば、その前段側の開口部分を、整流板12によって煙の流入が阻害されない開口部分として確保することができる。
【0028】
[アンテナの支持部材]
煙感知器1は、筐体2内に無線通信用のアンテナ13が設けられるものとしている(図3参照)。アンテナ13は、中板部6の前面上に立設される支持部材14によって、流通口4aを越える高さ位置に周方向に沿って架設される。支持部材14は、厚さの薄い平板状の形状をなすものとして、煙流路11内に位置しつつ、整流板12と同様の向きで設けられるものとしている(図4参照)。すなわち、煙の流れに対する流通口4aに向けてか、検煙部7に向けての整流効果を期待できるものとしている。
【0029】
[回路基板用の固定ネジ]
中板部6の背面側に設けられる回路基板9は、中板部6の前面側に頭部が位置する向きで中板部6の検煙部7近傍位置を貫通し、さらに回路基板9を貫通して基台部5に設けられるネジ穴16に螺挿される固定ネジ15によって固定されている(図6参照)。固定ネジ15の固定位置は、より詳細には、検煙部7と前面カバー4外周部との距離が長い側の検煙部7近傍位置に設けられている(図4参照)。検煙部7が偏心位置に設けられるものの場合、前面カバー4外周部との距離が長い側に広い空間が形成されるため、中板部6に経年等による変形(ゆがみ、たわみ等)が生じ易い。しかしながら、固定ネジ15の固定位置を、検煙部7と前面カバー4外周部との距離が長い側の検煙部7近傍位置としていれば、中板部6の広い空間が形成される側を固定ネジ15によって固定することができ、中板部6の経年等による変形を防ぎつつ、中板部6を回路基板9と共に基台部5に安定的に固定することができる。
【0030】
さらに、固定ネジ15の固定位置は、図示の例の場合、検煙部7と流路壁10の間の、流路壁10の延長線上の位置としている(図4参照)。すなわち、固定ネジ15の頭部に対し、煙の流れを阻害しない位置としており、より詳細には、流路壁10と共に、煙の流れのガイド効果も期待できる位置としている。なお、この固定ネジ15の固定位置については、流路壁10の延長線上の位置とするのに代えて、煙流路11内の位置としてもよい。すなわち、固定ネジ15の頭部に対し、煙の流れの整流効果も期待できる位置としてもよい。なお、固定ネジ15の頭部の形状については、煙の流れを阻害しないために、さら形等の低頭タイプのものとすることができるし、煙の流れのガイド効果や整流効果を得ることを期待するのであれば、なべ形等の固定面上に突出するタイプのものとすることができる。
【0031】
[構成の変更例]
以上、この発明の実施形態について、図1乃至6を参照しつつ説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1:煙感知器 2:筐体 3:本体 4:前面カバー 4a:流通口
4b:前壁部 4c:周壁部 4d:支柱部 4e:横板部
5:基台部 6:中板部 7:検煙部 8:CO検知部 9:回路基板
10:流路壁 11:煙流路 12:整流板 12a:頂部
13:アンテナ 14:支持部材 15:固定ネジ 16:ネジ穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6