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特開2023-86016異常検出装置、バッテリ充電装置、及び異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086016
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】異常検出装置、バッテリ充電装置、及び異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/50 20200101AFI20230614BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20230614BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20230614BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20230614BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230614BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01R31/50
G01R31/52
G01R31/54
H02P9/00 B
H02J7/00 Q
H02J7/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200384
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】及川 崇
(72)【発明者】
【氏名】河村 安里
【テーマコード(参考)】
2G014
5G060
5G503
5H590
【Fターム(参考)】
2G014AB08
2G014AB29
5G060AA10
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA09
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H590AB04
5H590CA07
5H590CA23
5H590CD01
5H590CE05
5H590FA08
5H590FC15
5H590FC17
5H590GA02
5H590GB05
5H590HA02
5H590JA02
5H590JA19
5H590JB04
5H590KK04
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により3相交流信号の異常を検出する。
【解決手段】異常検出装置は、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する矩形波変換部と、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する干渉部と、前記干渉部が出力する各相の前記干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する平滑化部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する矩形波変換部と、
3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する干渉部と、
前記干渉部が出力する各相の前記干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する平滑化部と
を備えることを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
前記平滑化部が平滑化した各相の前記平滑化信号の電圧値に基づいて、前記3相交流信号の異常を検出する検出制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記検出制御部は、各相の前記平滑化信号の電圧値が、前記平滑化部の電源電圧の中間電圧である第1電圧範囲内である場合に、前記3相交流信号が正常であると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記検出制御部は、各相の前記平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲より高い第1閾値以上であり、残りの前記平滑化信号の電圧値のうちの1つが、前記第1電圧範囲より低い第2電圧範囲内である場合に、各相の前記交流信号のうちの1つが、天絡異常、又は地絡異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記検出制御部は、各相の前記平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲より高い第2閾値以上であり、残りの2相の前記平滑化信号の電圧値がいずれも前記第1電圧範囲より低い第3電圧範囲内である場合に、各相の前記交流信号のうちの1つが断線している断線異常、又は、前記残りの2相が短絡している相間短絡異常が発生していると判定する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の異常検出装置。
【請求項6】
前記矩形波変換部は、各相の前記交流信号を論理反転した各相の前記矩形波信号に変換し、
前記干渉部は、
前記3相のうちの第1相の矩形波信号の信号線と、接地線との間に接続され、第3相の矩形波信号の信号線が制御端子に接続され、前記第3相の矩形波信号に応じて導通状態が制御される第1のスイッチを有し、前記第3相の矩形波信号により干渉されたの第1相の干渉信号を出力する第1干渉部と、
前記3相のうちの第2相の矩形波信号の信号線と、接地線との間に接続され、前記第1相の矩形波信号の信号線が制御端子に接続され、前記第1相の矩形波信号に応じて導通状態が制御される第2のスイッチを有し、前記第1相の矩形波信号により干渉されたの第2相の干渉信号を出力する第2干渉部と、
前記第3相の矩形波信号の信号線と、接地線との間に接続され、前記第2相の矩形波信号の信号線が制御端子に接続され、前記第2相の矩形波信号に応じて導通状態が制御される第3のスイッチを有し、前記第2相の矩形波信号により干渉されたの第3相の干渉信号を出力する第3干渉部と
を備え、
前記平滑化部は、
前記第1相の干渉信号、前記第2相の干渉信号、及び前記第3相の干渉信号の各相の論理反転信号を積分して平滑化した各相の前記平滑化信号を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の異常検出装置。
【請求項7】
前記矩形波変換部は、各相の前記交流信号を、前記矩形波変換部の入力耐圧以下の電圧にクランプするツェナーダイオードを有し、前記入力耐圧以下の電圧にクランプされた各相の前記交流信号を各相の前記矩形波信号に変換する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の異常検出装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の異常検出装置と、
回転子の回転に応じて、発電機が出力する前記3相交流信号の各信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相交流信号を整流した直流電力を、充電電力としてバッテリに供給する整流部と、
前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧になるように、前記スイッチ素子の導通を制御する制御部と
を備え、
前記異常検出装置は、前記3相交流信号の異常を検出する
ことを特徴とするバッテリ充電装置。
【請求項9】
矩形波変換部が、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する矩形波変換ステップと、
干渉部が、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する干渉ステップと、
平滑化部が、前記干渉ステップによって出力された各相の前記干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する平滑化ステップと
を含むことを特徴とする異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出装置、バッテリ充電装置、及び異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3相交流信号の異常を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、別の従来の3相交流信号の異常検出技術として、例えば、3相交流信号の各相の信号を抵抗で分圧した電圧の波形を、ADC(Analog-to-Digital Converter)により検出して異常を検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-131721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ADCにより3相交流信号の各相の信号を抵抗で分圧した電圧の波形を検出する上述のような従来技術では、3相交流信号の周期よりも十分に短いサンプリング周期で、電圧を検出する必要があった。そのため、上述した従来技術では、高速なサンプリングが可能なADC、及び高速なサンプリングに対応したソフト設計が必要となるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、簡易な構成により3相交流信号の異常を検出することができる異常検出装置、バッテリ充電装置、及び異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する矩形波変換部と、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する干渉部と、前記干渉部が出力する各相の前記干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する平滑化部とを備えることを特徴とする異常検出装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の異常検出装置において、前記平滑化部が平滑化した各相の前記平滑化信号の電圧値に基づいて、前記3相交流信号の異常を検出する検出制御部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の異常検出装置において、前記検出制御部は、各相の前記平滑化信号の電圧値が、前記平滑化部の電源電圧の中間電圧である第1電圧範囲内である場合に、前記3相交流信号が正常であると判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の異常検出装置において、前記検出制御部は、各相の前記平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲より高い第1閾値以上であり、残りの前記平滑化信号の電圧値のうちの1つが、前記第1電圧範囲より低い第2電圧範囲内である場合に、各相の前記交流信号のうちの1つが、天絡異常、又は地絡異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の異常検出装置において、前記検出制御部は、各相の前記平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲より高い第2閾値以上であり、残りの2相の前記平滑化信号の電圧値がいずれも前記第1電圧範囲より低い第3電圧範囲内である場合に、各相の前記交流信号のうちの1つが断線している断線異常、又は、前記残りの2相が短絡している相間短絡異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の異常検出装置において、前記矩形波変換部は、各相の前記交流信号を論理反転した各相の前記矩形波信号に変換し、前記干渉部は、前記3相のうちの第1相の矩形波信号の信号線と、接地線との間に接続され、第3相の矩形波信号の信号線が制御端子に接続され、前記第3相の矩形波信号に応じて導通状態が制御される第1のスイッチを有し、前記第3相の矩形波信号により干渉されたの第1相の干渉信号を出力する第1干渉部と、前記3相のうちの第2相の矩形波信号の信号線と、接地線との間に接続され、前記第1相の矩形波信号の信号線が制御端子に接続され、前記第1相の矩形波信号に応じて導通状態が制御される第2のスイッチを有し、前記第1相の矩形波信号により干渉されたの第2相の干渉信号を出力する第2干渉部と、前記第3相の矩形波信号の信号線と、接地線との間に接続され、前記第2相の矩形波信号の信号線が制御端子に接続され、前記第2相の矩形波信号に応じて導通状態が制御される第3のスイッチを有し、前記第2相の矩形波信号により干渉されたの第3相の干渉信号を出力する第3干渉部とを備え、前記平滑化部は、前記第1相の干渉信号、前記第2相の干渉信号、及び前記第3相の干渉信号の各相の論理反転信号を積分して平滑化した各相の前記平滑化信号を生成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の異常検出装置において、前記矩形波変換部は、各相の前記交流信号を、前記矩形波変換部の入力耐圧以下の電圧にクランプするツェナーダイオードを有し、前記入力耐圧以下の電圧にクランプされた各相の前記交流信号を各相の前記矩形波信号に変換することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記に記載の異常検出装置と、回転子の回転に応じて、発電機が出力する前記3相交流信号の各信号線に接続されたスイッチ素子の導通により、前記3相交流信号を整流した直流電力を、充電電力としてバッテリに供給する整流部と、前記整流部が出力する前記直流電力の電圧が、所定の電圧になるように、前記スイッチ素子の導通を制御する制御部とを備え、前記異常検出装置は、前記3相交流信号の異常を検出することを特徴とするバッテリ充電装置である。
【0014】
また、本発明の一態様は、矩形波変換部が、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する矩形波変換ステップと、干渉部が、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する干渉ステップと、平滑化部が、前記干渉ステップによって出力された各相の前記干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する平滑化ステップとを含むことを特徴とする異常検出方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、矩形波変換部が、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換し、干渉部が、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する。また、平滑化部が、各相の前記干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する。これにより、異常検出装置は、平滑化した各相の平滑化信号の電圧を検出することで、3相交流信号の異常を検出することができる。よって、異常検出装置は、高速なサンプリングが可能なADC、及び高速なサンプリングに対応したソフト設計を必要とせずに、簡易な構成により3相交流信号の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態によるバッテリ充電装置及び異常検出装置の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態による異常検出装置の正常時の動作一例を示すタイミングチャートである。
図3】本実施形態による異常検出装置の天絡状態の動作一例を示すタイミングチャートである。
図4】本実施形態による異常検出装置の地絡状態の動作一例を示すタイミングチャートである。
図5】本実施形態による異常検出装置の相関短絡状態の動作一例を示すタイミングチャートである。
図6】本実施形態による異常検出装置の異常判定処理の動作一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による異常検出装置、バッテリ充電装置、及び異常検出方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるバッテリ充電装置100及び異常検出装置1の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、バッテリ充電装置100は、発電機2と、整流部10と、U相ドライバ13と、V相ドライバ14と、W相ドライバ15と、矩形波変換部20と、干渉部30と、平滑化部40と、制御部50と、バッテリ3とを備える。
バッテリ充電装置100は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載され、発電機2で発電した交流電力を整流して、バッテリ3に充電する装置である。また、バッテリ充電装置100には、不図示の負荷部が接続され、発電機2が発電した電力、又はバッテリ3の出力電力を負荷部に供給する。
【0019】
発電機2は、例えば、3相交流発電機であり、回転子(不図示)の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた3相の交流電力(3相の交流信号)を出力する。ここで、回転子は、例えば、自動二輪車の内燃機関(エンジン)の回転軸に接続されたクランクシャフトなどである。また、ここでの3相の交流信号(3相交流信号)は、例えば、U相、V相、及びW相の交流信号である。
【0020】
ここで、発電機2が発電したU相の交流信号の信号線は、ノードN1に接続され、発電機2が発電したV相の交流信号の信号線は、ノードN2に接続される。また、発電機2が発電したW相の交流信号の信号線は、ノードN3に接続される。
【0021】
バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池であり、整流部10の出力電圧Voutを出力する信号線L1と、GND線L2(接地線)との間に接続されている。バッテリ3の+(プラス)電極(正極)が出力電圧Voutの信号線L1に接続され、-(マイナス)電極(負極)がGND線L2に接続されている。バッテリ3は、信号線L1を介して供給された発電機2の発電電力により充電されるとともに、充電した電力を、信号線L1を介して、負荷部(不図示)に供給する。
【0022】
整流部10は、発電機2が出力する3相交流信号のそれぞれの信号線に接続されたサイリスタ(11、12)の導通により、3相の交流電力を整流した直流電力を出力する。整流部10は、上側のサイリスタ11(11-1~11-3)と、下側のサイリスタ12(12-1~12-3)とを備える。サイリスタ11及びサイリスタ12は、スイッチ素子の一例である。
【0023】
なお、本実施形態において、サイリスタ11-1、サイリスタ11-2、及びサイリスタ11-3のそれぞれは、上側のサイリスタ(上側のスイッチ素子)を示し、整流部10が備える任意の上側のサイリスタを示す場合、又は特に区別しない場合に、サイリスタ11と表記する。
【0024】
また、サイリスタ12-1、サイリスタ12-2、及びサイリスタ12-3のそれぞれは、下側のサイリスタ(上側のスイッチ素子)を示し、整流部10が備える任意の下側のサイリスタを示す場合、又は特に区別しない場合に、サイリスタ12と表記する。
【0025】
サイリスタ11-1は、U相用の上側のスイッチ素子であり、アノード端子がノードN1に接続され、カソード端子が信号線L1に接続され、制御端子(ゲート端子)がU相ドライバ13の上側制御信号の信号線に接続されている。
【0026】
また、サイリスタ11-2は、V相用の上側のスイッチ素子であり、アノード端子がノードN2に接続され、カソード端子が信号線L1に接続され、制御端子がV相ドライバ14の上側制御信号の信号線に接続されている。
【0027】
また、サイリスタ11-3は、W相用の上側のスイッチ素子であり、アノード端子がノードN3に接続され、カソード端子が信号線L1に接続され、制御端子がW相ドライバ15の上側制御信号の信号線に接続されている。
【0028】
また、サイリスタ12-1は、U相用の下側のスイッチ素子であり、アノード端子がGND線L2に接続され、カソード端子がノードN1に接続され、制御端子がU相ドライバ13の下側制御信号の信号線に接続されている。
【0029】
また、サイリスタ12-2は、V相用の下側のスイッチ素子であり、アノード端子がGND線L2に接続され、カソード端子がノードN2に接続され、制御端子がV相ドライバ14の下側制御信号の信号線に接続されている。
【0030】
また、サイリスタ12-3は、W相用の下側のスイッチ素子であり、アノード端子がGND線L2に接続され、カソード端子がノードN3に接続され、制御端子がW相ドライバ15の下側制御信号の信号線に接続されている。
【0031】
U相ドライバ13は、サイリスタ11-1及びサイリスタ12-1の制御信号せ生成するドライバである。U相ドライバ13は、後述する制御部50から出力されるOFF信号(停止信号)に基づいて、サイリスタ11-1の制御信号及びサイリスタ12-1の制御信号を生成する。
【0032】
V相ドライバ14は、サイリスタ11-2及びサイリスタ12-2の制御信号せ生成するドライバである。V相ドライバ14は、後述する制御部50から出力されるOFF信号に基づいて、サイリスタ11-2の制御信号及びサイリスタ12-2の制御信号を生成する。
【0033】
W相ドライバ15は、サイリスタ11-3及びサイリスタ12-3の制御信号せ生成するドライバである。W相ドライバ15は、後述する制御部50から出力されるOFF信号に基づいて、サイリスタ11-3の制御信号及びサイリスタ12-3の制御信号を生成する。
【0034】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサなどであり、バッテリ充電装置100を制御する。制御部50は、整流部10が出力する直流電力の電圧(出力電圧Vout)が、所定の電圧以上(閾値電圧以上)になった場合に、サイリスタ(11、12)の導通を停止するOFF信号(停止信号)を出力する。ここで、OFF信号(停止信号)とは、出力信号をH状態(ハイ論理状態)にした状態を示す。また、所定の電圧(閾値電圧以上)は、例えば、バッテリ3が過充電にならない電圧値である。
【0035】
制御部50は、出力電圧Voutが、所定の電圧未満になるように、整流部10のサイリスタ(11、12)の導通を制御する。ここで、OFF信号の信号線が、L状態(ロウ論理状態)の場合に、サイリスタ(11、12)をオン状態(導通状態)に制御し、H状態(OFF信号の出力状態)の場合に、サイリスタ(11、12)を停止状態に制御する。制御部50は、例えば、出力電圧Voutが所定の電圧未満(閾値電圧未満)である場合に、OFF信号の信号線をL状態にし、出力電圧Voutが所定の電圧以上である場合に、OFF信号の信号線をH状態にして、OFF信号を出力する。
【0036】
また、制御部50は、ADC部51と、検出制御部52とを備える。ADC部51及び検出制御部52は、異常検出装置1の一部であり、詳細を後述する。
【0037】
異常検出装置1は、3相交流信号の異常を検出する装置であり、本実施形態では、発電機2が出力する3相交流信号の異常を検出する。
異常検出装置1は、矩形波変換部20と、干渉部30と、平滑化部40と、ADC部51と、検出制御部52とを備える。
【0038】
矩形波変換部20は、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する。矩形波変換部20は、U相交流信号を2値化したU相矩形波信号を生成するとともに、V相交流信号を2値化したV相矩形波信号を生成する。また、矩形波変換部20は、W相交流信号を2値化したW相矩形波信号を生成する。また、矩形波変換部20は、各相の交流信号を論理反転した各相の矩形波信号(U相矩形波信号、V相矩形波信号、及びW相矩形波信号)に変換する。
また、矩形波変換部20は、抵抗21(21-1~21-3)と、ツェナーダイオード22(22-1~22-3)と、インバータ回路23(23-1~23-3)とを備える。
【0039】
なお、本実施形態において、抵抗21-1~21-3のそれぞれは、同一の構成であり、矩形波変換部20が備える任意の抵抗を示す場合、又は特に区別しない場合に、抵抗21として説明する。
【0040】
また、本実施形態において、ツェナーダイオード22-1~22-3のそれぞれは、同一の構成であり、矩形波変換部20が備える任意のツェナーダイオードを示す場合、又は特に区別しない場合に、ツェナーダイオード22として説明する。
【0041】
また、本実施形態において、インバータ回路23-1~23-3のそれぞれは、同一の構成であり、矩形波変換部20が備える任意のインバータ回路を示す場合、又は特に区別しない場合に、インバータ回路23として説明する。
【0042】
抵抗21-1は、U相交流信号の信号線(ノードN1)と、ノードN4との間に接続される。
ツェナーダイオード22-1は、アノード端子がGND端子(接地線)に接続され、カソード端子がノードN4に接続されている。ツェナーダイオード22-1は、インバータ回路23-1の入力耐圧を超える電圧が供給された場合に導通し、U相交流信号を、インバータ回路23-1の入力耐圧以下の電圧に制限する。
【0043】
インバータ回路23-1は、反転出力回路であり、入力端子がノードN4に接続され、出力端子がノードN5に接続されている。インバータ回路23-1は、U相交流信号を2値化してU相矩形波信号に変換する。すなわち、インバータ回路23-1は、U相交流信号を論理反転した矩形波信号を、U相矩形波信号として出力する。
【0044】
抵抗21-2は、V相交流信号の信号線(ノードN2)と、ノードN8との間に接続される。
ツェナーダイオード22-2は、アノード端子がGND端子(接地線)に接続され、カソード端子がノードN9に接続されている。ツェナーダイオード22-2は、インバータ回路23-2の入力耐圧を超える電圧が供給された場合に導通し、V相交流信号を、インバータ回路23-2の入力耐圧以下の電圧に制限する。
【0045】
インバータ回路23-2は、反転出力回路であり、入力端子がノードN9に接続され、出力端子がノードN10に接続されている。インバータ回路23-2は、V相交流信号を2値化してV相矩形波信号に変換する。すなわち、インバータ回路23-2は、V相交流信号を論理反転した矩形波信号を、V相矩形波信号として出力する。
【0046】
抵抗21-3は、W相交流信号の信号線(ノードN3)と、ノードN12との間に接続される。
ツェナーダイオード22-3は、アノード端子がGND端子(接地線)に接続され、カソード端子がノードN13に接続されている。ツェナーダイオード22-3は、インバータ回路23-3の入力耐圧を超える電圧が供給された場合に導通し、W相交流信号を、インバータ回路23-3の入力耐圧以下の電圧に制限する。
【0047】
インバータ回路23-3は、反転出力回路であり、入力端子がノードN13に接続され、出力端子がノードN14に接続されている。インバータ回路23-3は、W相交流信号を2値化してW相矩形波信号に変換する。すなわち、インバータ回路23-3は、W相交流信号を論理反転した矩形波信号を、W相矩形波信号として出力する。
【0048】
このように、矩形波変換部20は、各相の交流信号を、矩形波変換部20の入力耐圧以下の電圧にクランプ(制限)するツェナーダイオード22を有し、入力耐圧以下の電圧にクランプされた各相の交流信号を各相の矩形波信号に変換する。
【0049】
干渉部30は、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する。干渉部30は、例えば、U相矩形波信号に、W相矩形波信号を干渉させたU相干渉信号を生成するとともに、V相矩形波信号に、U相矩形波信号を干渉させたV相干渉信号を生成する。また、干渉部30は、例えば、W相矩形波信号に、V相矩形波信号を干渉させたW相干渉信号を生成する。
干渉部30は、抵抗31(31-1~31-3)と、スイッチ部32(32-1~32-3)とを備える。
【0050】
なお、本実施形態において、抵抗31-1~31-3のそれぞれは、同一の構成であり、干渉部30が入力部分に備える任意の抵抗を示す場合、又は特に区別しない場合に、抵抗21として説明する。
【0051】
また、本実施形態において、スイッチ部32-1~スイッチ部32-3のそれぞれは、同一の構成であり、干渉部30が備える任意のスイッチ部を示す場合、又は特に区別しない場合に、スイッチ部32として説明する。
【0052】
抵抗31-1は、U相矩形波信号の信号線(ノードN5)と、ノードN6との間に接続される。
スイッチ部32-1(第1のスイッチの一例)は、例えば、NPN型のバイポーラトランジスタであり、コレクタ端子がノードN6に接続され、ベース端子が抵抗を介して、W相矩形波信号の信号線(ノードN13)に接続され、コレクタ端子がGND端子(接地線)に接続されている。また、ベース端子とコレクタ端子とが抵抗(プルダウン抵抗)を介して接続されている。
【0053】
スイッチ部32-1は、U相矩形波信号(第1相の矩形波信号)の信号線(ノードN6)と、GND端子(接地線)との間に接続され、W相矩形波信号(第3相の矩形波信号)の信号線(ノードN13)が制御端子(ベース端子)に接続され、W相矩形波信号に応じて導通状態が制御される。
【0054】
なお、本実施形態において、抵抗31-1とスイッチ部32-1とは、第1干渉部に対応する。第1干渉部は、スイッチ部32-1(第1のスイッチ)を有し、W相矩形波信号により干渉されたのU相干渉信号(第1相の干渉信号)を出力する。
【0055】
抵抗31-2は、V相矩形波信号の信号線(ノードN9)と、ノードN10との間に接続される。
スイッチ部32-2(第2のスイッチの一例)は、例えば、NPN型のバイポーラトランジスタであり、コレクタ端子がノードN10に接続され、ベース端子が抵抗を介して、U相矩形波信号の信号線(ノードN5)に接続され、コレクタ端子がGND端子(接地線)に接続されている。また、ベース端子とコレクタ端子とが抵抗(プルダウン抵抗)を介して接続されている。
【0056】
スイッチ部32-2は、V相矩形波信号(第2相の矩形波信号)の信号線(ノードN10)と、GND端子(接地線)との間に接続され、U相矩形波信号(第1相の矩形波信号)の信号線(ノードN6)が制御端子(ベース端子)に接続され、U相矩形波信号に応じて導通状態が制御される。
【0057】
なお、本実施形態において、抵抗31-2とスイッチ部32-2とは、第2干渉部に対応する。第2干渉部は、スイッチ部32-2(第2のスイッチ)を有し、U相矩形波信号により干渉されたのV相干渉信号(第2相の干渉信号)を出力する。
【0058】
抵抗31-3は、W相矩形波信号の信号線(ノードN13)と、ノードN14との間に接続される。
スイッチ部32-3(第3のスイッチの一例)は、例えば、NPN型のバイポーラトランジスタであり、コレクタ端子がノードN14に接続され、ベース端子が抵抗を介して、V相矩形波信号の信号線(ノードN9)に接続され、コレクタ端子がGND端子(接地線)に接続されている。また、ベース端子とコレクタ端子とが抵抗(プルダウン抵抗)を介して接続されている。
【0059】
スイッチ部32-3は、W相矩形波信号(第3相の矩形波信号)の信号線(ノードN14)と、GND端子(接地線)との間に接続され、V相矩形波信号(第2相の矩形波信号)の信号線(ノードN9)が制御端子(ベース端子)に接続され、V相矩形波信号に応じて導通状態が制御される。
【0060】
なお、本実施形態において、抵抗31-3とスイッチ部32-3とは、第3干渉部に対応する。第3干渉部は、スイッチ部32-3(第3のスイッチ)を有し、V相矩形波信号により干渉されたのW相干渉信号(第3相の干渉信号)を出力する。
【0061】
平滑化部40は、干渉部30が出力する各相の干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する。平滑化部40は、例えば、U相干渉信号を積分して平滑化したU相平滑化信号を生成するとともに、V相干渉信号を積分して平滑化したV相平滑化信号を生成する。また、平滑化部40は、例えば、W相干渉信号を積分して平滑化したW相平滑化信号を生成する。
平滑化部40は、インバータ回路41(41-1~41-3)と、抵抗42(42-1~42-3)と、コンデンサ43(43-1~43-3)とを備える。
【0062】
なお、本実施形態において、インバータ回路41-1~41-3のそれぞれは、同一の構成であり、平滑化部40が備える任意のインバータ回路を示す場合、又は特に区別しない場合に、インバータ回路41として説明する。
【0063】
また、本実施形態において、抵抗42-1~42-3のそれぞれは、同一の構成であり、平滑化部40が備える任意の抵抗を示す場合、又は特に区別しない場合に、抵抗42として説明する。
【0064】
また、本実施形態においてコンデンサ43-1~43-3のそれぞれは、同一の構成であり、平滑化部40が備える任意のコンデンサを示す場合、又は特に区別しない場合に、コンデンサ43として説明する。
【0065】
インバータ回路41-1は、例えば、反転出力回路であり、入力端子がノードN6に接続され、出力端子が抵抗42-1を介して、ノードN7に接続されている。インバータ回路41-1は、U相干渉信号を論理反転した矩形波信号を出力する。
【0066】
抵抗42-1は、インバータ回路41-1の出力端子と、ノードN7との間に接続され、RC積分回路の一部として機能する。
コンデンサ43-1は、ノードN7とGND端子(接地線)との間に接続され、RC積分回路の一部として機能する。
なお、抵抗42-1及びコンデンサ43-1は、RC積分回路を構成し、インバータ回路41-1の出力を積分して平滑化して、ノードN7にU相平滑化信号を出力する。
【0067】
インバータ回路41-2は、例えば、反転出力回路であり、入力端子がノードN10に接続され、出力端子が抵抗42-2を介して、ノードN11に接続されている。インバータ回路41-2は、V相干渉信号を論理反転した矩形波信号を出力する。
【0068】
抵抗42-2は、インバータ回路41-2の出力端子と、ノードN11との間に接続され、RC積分回路の一部として機能する。
コンデンサ43-2は、ノードN11とGND端子(接地線)との間に接続され、RC積分回路の一部として機能する。
なお、抵抗42-2及びコンデンサ43-2は、RC積分回路を構成し、インバータ回路41-2の出力を積分して平滑化して、ノードN11にV相平滑化信号を出力する。
【0069】
インバータ回路41-3は、例えば、反転出力回路であり、入力端子がノードN14に接続され、出力端子が抵抗42-3を介して、ノードN15に接続されている。インバータ回路41-3は、W相干渉信号を論理反転した矩形波信号を出力する。
【0070】
抵抗42-3は、インバータ回路41-3の出力端子と、ノードN15との間に接続され、RC積分回路の一部として機能する。
コンデンサ43-3は、ノードN15とGND端子(接地線)との間に接続され、RC積分回路の一部として機能する。
なお、抵抗42-3及びコンデンサ43-3は、RC積分回路を構成し、インバータ回路41-3の出力を積分して平滑化して、ノードN15にW相平滑化信号を出力する。
【0071】
このように、平滑化部40は、U相干渉信号(第1相の干渉信号)、V相干渉信号(第2相の干渉信号)、及びW相干渉信号(第3相の干渉信号)の各相の論理反転信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する。
【0072】
ADC部51は、各相の平滑化信号の電圧を検出して、各電圧のデジタル値に変換する。ADC部51は、例えば、U相平滑化信号の電圧(ノードN7の電圧)を検出して、U相平滑化信号の電圧値を取得する。また、ADC部51は、例えば、V相平滑化信号の電圧(ノードN11の電圧)を検出して、V相平滑化信号の電圧値を取得する。また、ADC部51は、例えば、W相平滑化信号の電圧(ノードN15の電圧)を検出して、W相平滑化信号の電圧値を取得する。
【0073】
検出制御部52は、平滑化部40が平滑化した各相の平滑化信号の電圧値に基づいて、3相交流信号の異常を検出する。検出制御部52は、各相の平滑化信号の電圧値が、平滑化部40の電源電圧VDDの中間電圧である第1電圧範囲内である場合に、3相交流信号が正常であると判定する。ここで、正常時の各相の平滑化信号の電圧値の理論値は、(2/3VDD)であり、第1電圧範囲は、例えば、(2/3VDD±10%)である。検出制御部52は、ADC部51から取得した各相の平滑化信号の電圧値が全て、第1電圧範囲(例えば、2/3VDD±10%)内である場合に、3相交流信号が正常であると判定する。
【0074】
また、検出制御部52は、各相の平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲(2/3VDD±10%)内より高い第1閾値以上であり、残りの平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲より低い第2電圧範囲内である場合に、各相の交流信号のうちの1つが、天絡異常、又は地絡異常が発生していると判定する。ここで、第1閾値は、例えば、(VDD-10%)であり、第2電圧範囲は、例えば、(1/2VDD±10%)である。また、天絡とは、例えば、電源電圧VDDの信号線と短絡していることを示し、地絡とは、例えば、GND線(接地線)と短絡していることを示す。
【0075】
検出制御部52は、ADC部51から取得した各相の平滑化信号の電圧値のうちの1相の電圧値が、第1閾値(例えば、VDD-10%)以上であり、残りの平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第2電圧範囲(例えば、1/2VDD±10%)内である場合に、各相の交流信号のうちの1つが、天絡異常、又は地絡異常が発生していると判定する。
【0076】
また、検出制御部52は、各相の平滑化信号の電圧値のうちの1つが、第1電圧範囲(2/3VDD±10%)内より高い第2閾値以上であり、残りの2相の平滑化信号の電圧値がいずれも第1電圧範囲より低い第3電圧範囲内である場合に、各相の交流信号のうちの1つが断線している断線異常、又は、残りの2相が短絡している相間短絡異常が発生していると判定する。
【0077】
ここで、第2閾値は、例えば、(VDD-10%)であり、第3電圧範囲は、例えば、(1/2VDD±10%)である。なお、本実施形態では、第2閾値が、第1閾値と等しく設定される例を説明したが、第2閾値と第1閾値とは、異なった値が設定されてもよい。また、本実施形態では、第3電圧範囲が第2電圧範囲と等しく設定される例を説明したが、第3電圧範囲と第2電圧範囲とは、異なった範囲が設定されてもよい。
【0078】
検出制御部52は、ADC部51から取得した各相の平滑化信号の電圧値の1相の電圧値が、第2閾値(例えば、VDD-10%)以上であり、残りの2相の平滑化信号の電圧値がいずれも第3電圧範囲(例えば、1/2VDD±10%)内である場合に、各相の交流信号のうちの1つが断線している断線異常、又は、残りの2相が短絡している相間短絡異常が発生していると判定する。
【0079】
次に、図面を参照して、本実施形態による異常検出装置1の動作について説明する。
ここでは、まず、図2を参照して、本実施形態による異常検出装置1の正常時の平滑化信号について説明する。
【0080】
図2は、本実施形態による異常検出装置1の正常時の動作一例を示すタイミングチャートである。
図2において、波形W1~波形W3は、3相交流信号の波形を示し、上から順に、U相交流信号(ノードN1の電圧)、V相交流信号(ノードN2の電圧)、W相交流信号(ノードN2の電圧)を示している。また、波形W4~波形W6は、矩形波変換部20の出力である各相の矩形波信号の波形を示し、上から順に、U相矩形波信号(ノードN5の電圧)、V相矩形波信号(ノードN9の電圧)、W相矩形波信号(ノードN13の電圧)を示している。
【0081】
また、波形W7~波形W9は、干渉部30の出力である各相の干渉信号の波形を示し、上から順に、U相干渉信号(ノードN6の電圧)、V相干渉信号(ノードN10の電圧)、W相干渉信号(ノードN14の電圧)を示している。また、波形W10~波形W12は、インバータ回路41の出力である各相の反転信号の波形を示し、上から順に、U相反転信号、V相反転信号、W相反転信号を示している。
【0082】
また、波形W13~波形W15は、平滑化部40の出力である各相の平滑化信号の波形を示し、上から順に、U相平滑化信号(ノードN7の電圧)、V相平滑化信号(ノードN11の電圧)、W相平滑化信号(ノードN15の電圧)を示している。
なお、各グラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。
【0083】
図2の波形W1~波形W3に示すように、3相交流信号(U相交流信号(ノードN1の電圧)、V相交流信号(ノードN2の電圧)、W相交流信号(ノードN2の電圧))は、120度ずつ位相のズレた正弦波信号である。
【0084】
まず、矩形波変換部20は、U相交流信号(波形W1)に基づいて、時刻T2及び時刻T8において立下り、時刻T5において立上るU相矩形波信号を生成する(波形W4)。また、矩形波変換部20は、V相交流信号(波形W2)に基づいて、時刻T1及び時刻T7において立上り、時刻T4及び時刻T10において立下るV相矩形波信号を生成する(波形W5)。また、矩形波変換部20は、W相交流信号(波形W3)に基づいて、時刻T3及び時刻T9において立上り、時刻T6において立下るW相矩形波信号を生成する(波形W6)。
【0085】
なお、3相交流信号(U相交流信号(ノードN1の電圧)、V相交流信号(ノードN2の電圧)、W相交流信号(ノードN2の電圧))は、波形W1~波形W3に示すように、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(1:1)(デューティ比50%)の矩形波信号である。
【0086】
次に、干渉部30は、U相矩形波信号(波形W4)のH状態の期間のうち、W相矩形波信号(波形W6)がH状態の期間をL状態に変更したU相干渉信号を生成する(波形W7)。例えば、時刻T5から時刻T6の期間において、W相矩形波信号がH状態であるため、干渉部30は、この時刻T5から時刻T6の期間、U相矩形波信号のH状態をL状態に変換して、U相干渉信号を生成する。
【0087】
また、干渉部30は、V相矩形波信号(波形W5)のH状態の期間のうち、U相矩形波信号(波形W4)がH状態の期間をL状態に変更したV相干渉信号を生成する(波形W8)。例えば、時刻T1から時刻T2の期間、及び時刻T7から時刻T8の期間において、U相矩形波信号がH状態であるため、干渉部30は、この期間、V相矩形波信号のH状態をL状態に変換して、V相干渉信号を生成する。
【0088】
また、干渉部30は、W相矩形波信号(波形W6)のH状態の期間のうち、V相矩形波信号(波形W5)がH状態の期間をL状態に変更したW相干渉信号を生成する(波形W9)。例えば、時刻T3から時刻T4の期間、及び時刻T9から時刻T10の期間において、V相矩形波信号がH状態であるため、干渉部30は、この期間、W相矩形波信号のH状態をL状態に変換して、W相干渉信号を生成する。
【0089】
次に、平滑化部40のインバータ回路41(41-1~41-3)が、U相干渉信号、V相干渉信号、及びW相干渉信号のそれぞれを論理反転して、波形W10~波形W12に示すような反転信号(U相判定信号、V相反転信号、及びW相反転信号)を生成する。
ここで、U相判定信号(波形W10)、V相反転信号(波形W11)、及びW相反転信号(波形W12)は、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(2:1)(デューティ比約66%)の矩形波である。
【0090】
次に、平滑化部40は、U相判定信号(波形W10)、V相反転信号(波形W11)、及びW相反転信号(波形W12)を積分して平滑化した信号(U相平滑化信号、V相平滑化信号、及びW相平滑化信号)を出力する。平滑化部40は、波形W13に示すように、(2/3VDD)付近の電圧のU相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W14に示すように、(2/3VDD)付近の電圧のV相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W15に示すように、(2/3VDD)付近の電圧のW相平滑化信号を出力する。
【0091】
このように、3相交流信号が正常である場合、平滑化部40は、各相の平滑化信号全てに、ほぼ(2/3VDD)の電圧の平滑化信号を出力する。
この場合、検出制御部52は、(2/3VDD±10%)の電圧範囲VR1を第1電圧範囲として、U相判定信号、V相反転信号、及びW相反転信号が全て、電圧範囲VR1内である場合に、3相交流信号が正常であると判定する。
【0092】
次に、図3を参照して、本実施形態による異常検出装置1の天絡状態の平滑化信号について説明する。
図3は、本実施形態による異常検出装置1の天絡状態の動作一例を示すタイミングチャートである。
【0093】
図3において、波形W21~波形W23は、V相交流信号が天絡した3相交流信号の波形を示し、上から順に、U相交流信号(ノードN1の電圧)、V相交流信号(ノードN2の電圧)、W相交流信号(ノードN2の電圧)を示している。また、波形W24~波形W26は、矩形波変換部20の出力である各相の矩形波信号の波形を示し、上から順に、U相矩形波信号(ノードN5の電圧)、V相矩形波信号(ノードN9の電圧)、W相矩形波信号(ノードN13の電圧)を示している。
【0094】
また、波形W27~波形W29は、干渉部30の出力である各相の干渉信号の波形を示し、上から順に、U相干渉信号(ノードN6の電圧)、V相干渉信号(ノードN10の電圧)、W相干渉信号(ノードN14の電圧)を示している。また、波形W30~波形W32は、インバータ回路41の出力である各相の反転信号の波形を示し、上から順に、U相反転信号、V相反転信号、W相反転信号を示している。
【0095】
また、波形W33~波形W35は、平滑化部40の出力である各相の平滑化信号の波形を示し、上から順に、U相平滑化信号(ノードN7の電圧)、V相平滑化信号(ノードN11の電圧)、W相平滑化信号(ノードN15の電圧)を示している。
なお、各グラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。
【0096】
図3の波形W22に示すように、V相交流信号は、天絡している状態で、所定の電圧に固定されている。波形W21及び波形W23は、上述した図2の波形W1及び波形W3と同様である。
【0097】
また、V相交流信号の信号線が天絡している場合、矩形波変換部20は、V相交流信号(波形W22)に基づいて、L状態に固定のV相矩形波信号を生成する(波形W25)。なお、矩形波変換部20は、U相交流信号(波形W21)に基づいて、時刻T11及び時刻T15において立下り、時刻T13において立上るU相矩形波信号を生成する(波形W24)。また、矩形波変換部20は、W相交流信号(波形W23)に基づいて、時刻T12及び時刻T16において立上り、時刻T14において立下るV相矩形波信号を生成する(波形W26)。
【0098】
次に、干渉部30は、U相矩形波信号(波形W24)のH状態の期間のうち、W相矩形波信号(波形W26)がH状態の期間をL状態に変更したU相干渉信号を生成する(波形W27)。例えば、時刻T13から時刻T14の期間において、W相矩形波信号がH状態であるため、干渉部30は、この時刻T13から時刻T14の期間、U相矩形波信号のH状態をL状態に変換して、U相干渉信号を生成する。
【0099】
また、干渉部30は、V相矩形波信号(波形W25)のH状態の期間のうち、U相矩形波信号(波形W24)がH状態の期間をL状態に変更したV相干渉信号を生成する(波形W28)。ここでは、V相矩形波信号(波形W25)がL状態で固定のため、干渉部30は、波形W28に示すように、L状態で固定のV相干渉信号を生成する。
【0100】
また、干渉部30は、W相矩形波信号(波形W26)のH状態の期間のうち、V相矩形波信号(波形W25)がH状態の期間をL状態に変更したW相干渉信号を生成する(波形W29)。ここでは、V相矩形波信号(波形W25)がL状態で固定のため、干渉部30は、波形W29に示すように、W相矩形波信号をそのまま、W相干渉信号として生成する。
【0101】
次に、平滑化部40のインバータ回路41(41-1~41-3)が、U相干渉信号、V相干渉信号、及びW相干渉信号のそれぞれを論理反転して、波形W30~波形W32に示すような反転信号(U相判定信号、V相反転信号、及びW相反転信号)を生成する。
ここで、U相判定信号(波形W30)は、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(2:1)(デューティ比約66%)の矩形波である。また、V相反転信号(波形W31)は、H状態固定である。また、W相判定信号(波形W32)は、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(1:1)(デューティ比約50%)の矩形波である。
【0102】
次に、平滑化部40は、U相判定信号(波形W30)、V相反転信号(波形W31)、及びW相反転信号(波形W32)を積分して平滑化した信号(U相平滑化信号、V相平滑化信号、及びW相平滑化信号)を出力する。平滑化部40は、波形W33に示すように、(2/3VDD)付近の電圧のU相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W34に示すように、VDD付近の電圧のV相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W35に示すように、(1/2VDD)付近の電圧のW相平滑化信号を出力する。
【0103】
このように、3相交流信号のうちの1つが天絡している場合、平滑化部40は、各相の平滑化信号のうちの1つに、ほぼVDDの電圧の平滑化信号を出力するともに、残りのうちの1つに、電圧範囲VR1より低い(1/2VDD)の電圧の平滑化信号を出力する。
この場合、検出制御部52は、(1/2VDD±10%)の電圧範囲VR2を第2電圧範囲とする。
【0104】
次に、図4を参照して、本実施形態による異常検出装置1の地絡状態の平滑化信号について説明する。
図4は、本実施形態による異常検出装置1の地絡状態の動作一例を示すタイミングチャートである。
【0105】
図4において、波形W41~波形W43は、V相交流信号が地絡した3相交流信号の波形を示し、上から順に、U相交流信号(ノードN1の電圧)、V相交流信号(ノードN2の電圧)、W相交流信号(ノードN2の電圧)を示している。また、波形W44~波形W46は、矩形波変換部20の出力である各相の矩形波信号の波形を示し、上から順に、U相矩形波信号(ノードN5の電圧)、V相矩形波信号(ノードN9の電圧)、W相矩形波信号(ノードN13の電圧)を示している。
【0106】
また、波形W47~波形W49は、干渉部30の出力である各相の干渉信号の波形を示し、上から順に、U相干渉信号(ノードN6の電圧)、V相干渉信号(ノードN10の電圧)、W相干渉信号(ノードN14の電圧)を示している。また、波形W50~波形W52は、インバータ回路41の出力である各相の反転信号の波形を示し、上から順に、U相反転信号、V相反転信号、W相反転信号を示している。
【0107】
また、波形W53~波形W55は、平滑化部40の出力である各相の平滑化信号の波形を示し、上から順に、U相平滑化信号(ノードN7の電圧)、V相平滑化信号(ノードN11の電圧)、W相平滑化信号(ノードN15の電圧)を示している。
なお、各グラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。
【0108】
図4の波形W42に示すように、V相交流信号は、地絡している状態で、L状態の電圧(接地電圧)に固定されている。波形W41及び波形W43は、上述した図2の波形W1及び波形W3と同様である。
【0109】
また、V相交流信号の信号線が地絡している場合、矩形波変換部20は、V相交流信号(波形W42)に基づいて、H状態に固定のV相矩形波信号を生成する(波形W45)。なお、矩形波変換部20は、U相交流信号(波形W41)に基づいて、時刻T21及び時刻T25において立下り、時刻T23において立上るU相矩形波信号を生成する(波形W44)。また、矩形波変換部20は、W相交流信号(波形W43)に基づいて、時刻T22及び時刻T26において立上り、時刻T24において立下るW相矩形波信号を生成する(波形W46)。
【0110】
次に、干渉部30は、U相矩形波信号(波形W44)のH状態の期間のうち、W相矩形波信号(波形W46)がH状態の期間をL状態に変更したU相干渉信号を生成する(波形W47)。例えば、時刻T23から時刻T24の期間において、W相矩形波信号がH状態であるため、干渉部30は、この時刻T23から時刻T24の期間、U相矩形波信号のH状態をL状態に変換して、U相干渉信号を生成する。
【0111】
また、干渉部30は、V相矩形波信号(波形W45)のH状態の期間のうち、U相矩形波信号(波形W44)がH状態の期間をL状態に変更したV相干渉信号を生成する(波形W48)。ここでは、V相矩形波信号(波形W45)がH状態で固定のため、干渉部30は、波形W48に示すように、U相矩形波信号(波形W44)の論理反転信号をV相干渉信号として生成する。
【0112】
また、干渉部30は、W相矩形波信号(波形W46)のH状態の期間のうち、V相矩形波信号(波形W45)がH状態の期間をL状態に変更したW相干渉信号を生成する(波形W29)。ここでは、V相矩形波信号(波形W45)がH状態で固定のため、干渉部30は、波形W49に示すように、L状態固定のW相干渉信号として生成する。
【0113】
次に、平滑化部40のインバータ回路41(41-1~41-3)が、U相干渉信号、V相干渉信号、及びW相干渉信号のそれぞれを論理反転して、波形W50~波形W52に示すような反転信号(U相判定信号、V相反転信号、及びW相反転信号)を生成する。
ここで、U相判定信号(波形W50)は、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(2:1)(デューティ比約66%)の矩形波である。また、V相反転信号(波形W51)は、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(1:1)(デューティ比約50%)の矩形波である。また、W相判定信号(波形W52)は、H状態固定である。
【0114】
次に、平滑化部40は、U相判定信号(波形W50)、V相反転信号(波形W51)、及びW相反転信号(波形W52)を積分して平滑化した信号(U相平滑化信号、V相平滑化信号、及びW相平滑化信号)を出力する。平滑化部40は、波形W53に示すように、(2/3VDD)付近の電圧のU相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W54に示すように、(1/2VDD)付近の電圧のW相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W55に示すように、VDD付近の電圧のV相平滑化信号を出力する。
【0115】
このように、3相交流信号のうちの1つが地絡している場合、平滑化部40は、各相の平滑化信号のうちの1つに、ほぼVDDの電圧の平滑化信号を出力するともに、残りのうちの1つに、電圧範囲VR1より低い(1/2VDD)の電圧の平滑化信号を出力する。
この場合、検出制御部52は、(1/2VDD±10%)の電圧範囲VR2を第2電圧範囲とする。
【0116】
次に、図5を参照して、本実施形態による異常検出装置1の相間短絡の状態の平滑化信号について説明する。
図5は、本実施形態による異常検出装置1の相間短絡の状態の動作一例を示すタイミングチャートである。
【0117】
図5において、波形W61~波形W63は、V相とW相の間で交流信号が短絡した3相交流信号の波形を示し、上から順に、U相交流信号(ノードN1の電圧)、V相交流信号(ノードN2の電圧)、W相交流信号(ノードN2の電圧)を示している。また、波形W64~波形W66は、矩形波変換部20の出力である各相の矩形波信号の波形を示し、上から順に、U相矩形波信号(ノードN5の電圧)、V相矩形波信号(ノードN9の電圧)、W相矩形波信号(ノードN13の電圧)を示している。
【0118】
また、波形W67~波形W69は、干渉部30の出力である各相の干渉信号の波形を示し、上から順に、U相干渉信号(ノードN6の電圧)、V相干渉信号(ノードN10の電圧)、W相干渉信号(ノードN14の電圧)を示している。また、波形W70~波形W72は、インバータ回路41の出力である各相の反転信号の波形を示し、上から順に、U相反転信号、V相反転信号、W相反転信号を示している。
【0119】
また、波形W73~波形W75は、平滑化部40の出力である各相の平滑化信号の波形を示し、上から順に、U相平滑化信号(ノードN7の電圧)、V相平滑化信号(ノードN11の電圧)、W相平滑化信号(ノードN15の電圧)を示している。
なお、各グラフの縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。
【0120】
図5の波形W62及び波形W63に示すように、V相交流信号及びW相交流信号は、短絡している状態で、U相交流信号を反転した交流信号になっている。波形W61は、上述した図2の波形W1と同様である。
【0121】
また、V相交流信号の信号線とW相交流信号の信号線とが短絡している場合、矩形波変換部20は、U相交流信号(波形W61)に基づいて、時刻T31及び時刻T33において立下り、時刻T32において立上るU相矩形波信号を生成する(波形W64)。また、矩形波変換部20は、V相交流信号(波形W62)及びW相交流信号(波形W63)のそれぞれに基づいて、時刻T31及び時刻T33において立上り、時刻T32において立下るV相矩形波信号及びW相矩形波信号を生成する(波形W65及び波形W66)。
【0122】
次に、干渉部30は、U相矩形波信号(波形W64)のH状態の期間のうち、W相矩形波信号(波形W66)がH状態の期間をL状態に変更したU相干渉信号を生成する(波形W67)。ここでは、干渉部30は、U相矩形波信号をそのまま、U相干渉信号として出力する。
【0123】
また、干渉部30は、V相矩形波信号(波形W65)のH状態の期間のうち、U相矩形波信号(波形W64)がH状態の期間をL状態に変更したV相干渉信号を生成する(波形W68)。ここでは、干渉部30は、V相矩形波信号をそのまま、V相干渉信号として出力する。
【0124】
また、干渉部30は、W相矩形波信号(波形W66)のH状態の期間のうち、V相矩形波信号(波形W65)がH状態の期間をL状態に変更したW相干渉信号を生成する(波形W69)。ここでは、V相矩形波信号とW相矩形波信号とが同様の信号であるため、干渉部30は、波形W69に示すように、L状態固定のW相干渉信号として生成する。
【0125】
次に、平滑化部40のインバータ回路41(41-1~41-3)が、U相干渉信号、V相干渉信号、及びW相干渉信号のそれぞれを論理反転して、波形W70~波形W72に示すような反転信号(U相判定信号、V相反転信号、及びW相反転信号)を生成する。
ここで、U相判定信号(波形W70)及びV相反転信号(波形W71)は、H状態の期間とL状態の期間とがほぼ(1:1)(デューティ比約50%)の矩形波である。また、W相判定信号(波形W72)は、H状態固定である。
【0126】
次に、平滑化部40は、U相判定信号(波形W70)、V相反転信号(波形W71)、及びW相反転信号(波形W72)を積分して平滑化した信号(U相平滑化信号、V相平滑化信号、及びW相平滑化信号)を出力する。平滑化部40は、波形W73に示すように、(1/2VDD)付近の電圧のU相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W74に示すように、(1/2VDD)付近の電圧のW相平滑化信号を出力する。また、平滑化部40は、波形W75に示すように、VDD付近の電圧のV相平滑化信号を出力する。
【0127】
このように、3相交流信号のうちの2相が短絡している場合、平滑化部40は、各相の平滑化信号のうちの1つに、ほぼVDDの電圧の平滑化信号を出力するともに、残りのうち2つに、電圧範囲VR1より低い(1/2VDD)の電圧の平滑化信号を出力する。
この場合、検出制御部52は、(1/2VDD±10%)の電圧範囲VR2を第3電圧範囲とする。
【0128】
なお、各相の交流信号のうちの1つが断線している場合も、平滑化部40は、上述した2相が短絡している場合と同様の波形W73~波形W75に示すような平滑化信号を出力する。本実施形態では、発電機2からの3相中性点は浮いており、アース等の接地も行われていない。そのため、1つの相が断線している断線異常がある場合に、2相が短絡している相間短絡異常の場合と同様の波形となる。
【0129】
次に、図6を参照して、本実施形態による異常検出装置1の異常判定処理について説明する。
図6は、本実施形態による異常検出装置1の異常判定処理の動作一例を示すフローチャートである。
【0130】
図6に示すように、異常検出装置1の検出制御部52は、まず、各相の平滑化信号の電圧値を取得する(ステップS101)。検出制御部52は、ADC部51が検出した各相の平滑化信号の電圧値を取得する。
【0131】
次に、検出制御部52は、3相全ての電圧値が、電圧範囲VR1の範囲内(第1電圧範囲)であるか否かを判定する(ステップS102)。ここで、電圧範囲VR1は、例えば、(2/3VDD±10%)の範囲である。検出制御部52は、上述した図2の波形W13から波形W15のように、3相全ての電圧値が、電圧範囲VR1の範囲内である場合(ステップS102:YES)に、処理をステップS103に進める。また、検出制御部52は、少なくとも3相の電圧値のいずれかが、電圧範囲VR1の範囲内でない場合(ステップS102:NO)に、処理をステップS104に進める。
【0132】
ステップS103において、検出制御部52は、3相交流信号が正常であると判定する。ステップS103の処理後に、検出制御部52は、処理をステップS101に戻す。
【0133】
ステップS104において、検出制御部52は、1相の電圧値が閾値Vth1以上(第1閾値電圧以上)、且つ、残りのうちの1相の電圧値が電圧範囲VR2の範囲内である否かを判定する。ここで、閾値Vth1は、例えば、(VDD-10%)である。また、電圧範囲VR2は、例えば、(1/2VDD±10%)の範囲である。検出制御部52は、上述した図3の波形W33から波形W35(又は図4の波形W53から波形W55)のように、1相の電圧値が閾値Vth1以上(第1閾値電圧以上)、且つ、残りのうちの1相の電圧値が電圧範囲VR2の範囲内である場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、検出制御部52は、1相の電圧値が閾値Vth1未満、又は、残りのうちの1相の電圧値が電圧範囲VR2の範囲内でない場合(ステップS104:NO)に、処理をステップS106に進める。
【0134】
ステップS105において、検出制御部52は、3相交流信号に天絡異常、又は地絡異常が発生していると判定する。ステップS104の処理後に、検出制御部52は、処理をステップS101に戻す。
【0135】
ステップS106において、検出制御部52は、1相の電圧値がVth1以上(第2閾値電圧以上)、且つ、残りの2相の電圧値が電圧範囲VR2の範囲内(第3電圧範囲内)であるか否かを判定する。検出制御部52は、上述した図5の波形W73から波形W75のように、1相の電圧値が閾値Vth1以上、且つ、残りの2相の電圧値が電圧範囲VR2の範囲内である場合(ステップS106:YES)に、処理をステップS107に進める。また、検出制御部52は、1相の電圧値が閾値Vth1未満、又は、残りの2相の電圧値が電圧範囲VR2の範囲内でない場合(ステップS106:NO)に、処理をステップS108に進める。
【0136】
ステップS107において、検出制御部52は、断線異常、又は、相間短絡異常が発生していると判定する。ステップS107の処理後に、検出制御部52は、処理をステップS101に戻す。
【0137】
ステップS108において、検出制御部52は、その他の異常が発生していると判定する。ステップS108の処理後に、検出制御部52は、処理をステップS101に戻す。
【0138】
以上説明したように、本実施形態による異常検出装置1は、矩形波変換部20と、干渉部30と、平滑化部40とを備える。矩形波変換部20は、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する。干渉部30は、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する。平滑化部40は、干渉部30が出力する各相の干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する。
【0139】
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、平滑化した各相の平滑化信号の電圧を検出することで、3相交流信号の異常を検出することができる。よって、本実施形態による異常検出装置1は、高速なサンプリングが可能なADC、及び高速なサンプリングに対応したソフト設計を必要とせずに、簡易な構成により3相交流信号の異常を検出することができる。
【0140】
また、本実施形態による異常検出装置1は、平滑化部40が平滑化した各相の平滑化信号の電圧値に基づいて、3相交流信号の異常を検出する検出制御部52を備える。
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、簡易な構成により、各相の平滑化信号の電圧値から3相交流信号の異常を適切に検出することができる。
【0141】
また、本実施形態では、検出制御部52は、各相の平滑化信号の電圧値が、平滑化部40の電源電圧の中間電圧である第1電圧範囲内(例えば、(2/3VDD±10%)の電圧範囲VR1内)である場合に、3相交流信号が正常であると判定する。
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、簡易な構成により、3相交流信号が正常であることを適切に検出することができる。
【0142】
また、本実施形態では、検出制御部52は、各相の平滑化信号の電圧値のうちの1つが、電圧範囲VR1より高い第1閾値以上(例えば、閾値Vth1以上)であり、残りの平滑化信号の電圧値のうちの1つが、電圧範囲VR1より低い第2電圧範囲内(例えば、(1/2VDD±10%)の電圧範囲VR2内)である場合に、各相の交流信号のうちの1つが、天絡異常、又は地絡異常が発生していると判定する。
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、簡易な構成により、3相交流信号に天絡異常、又は地絡異常が発生しているを適切に検出することができる。
【0143】
また、本実施形態では、検出制御部52は、各相の平滑化信号の電圧値のうちの1つが、電圧範囲VR1より高い第2閾値以上(例えば、閾値Vth1以上)であり、残りの2相の平滑化信号の電圧値がいずれも電圧範囲VR1より低い第3電圧範囲内(例えば、(1/2VDD±10%)の電圧範囲VR2内)である場合に、各相の交流信号のうちの1つが断線している断線異常、又は、残りの2相が短絡している相間短絡異常が発生していると判定する。
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、簡易な構成により、3相交流信号に断線異常、又は相間短絡異常が発生しているを適切に検出することができる。
【0144】
また、本実施形態では、矩形波変換部20は、各相の交流信号を論理反転した各相の矩形波信号に変換する。干渉部30は、第1干渉部(抵抗31-1及びスイッチ部32-1)と、第2干渉部(抵抗31-2及びスイッチ部32-2)と、第3干渉部(抵抗31-3及びスイッチ部32-3)とを備える。第1干渉部は、3相のうちの第1相の矩形波信号(U相矩形波信号)の信号線と、接地線(GND端子)との間に接続され、第3相の矩形波信号(W相矩形波信号)の信号線が制御端子(ベース)に接続され、第3相の矩形波信号に応じて導通状態が制御されるスイッチ部32-1(第1のスイッチ)を有し、第3相の矩形波信号(W相矩形波信号)により干渉されたの第1相の干渉信号(U相干渉信号)を出力する。第2干渉部は、3相のうちの第2相の矩形波信号(V相矩形波信号)の信号線と、接地線(GND端子)との間に接続され、第1相の矩形波信号(U矩形波信号)の信号線が制御端子(ベース端子)に接続され、第1相の矩形波信号(U相矩形波信号)に応じて導通状態が制御されるスイッチ部32-2(第2のスイッチ)を有し、第1相の矩形波信号(U相矩形波信号)により干渉されたの第2相の干渉信号(V相干渉信号)を出力する。第3干渉部は、第3相の矩形波信号(W相矩形波信号)の信号線と、接地線(GND端子)との間に接続され、第2相の矩形波信号(V相矩形波信号)の信号線が制御端子(ベース端子)に接続され、第2相の矩形波信号(V相矩形波信号)に応じて導通状態が制御されるスイッチ部32-3(第3のスイッチ)を有し、第2相の矩形波信号(V相矩形波信号)により干渉されたの第3相の干渉信号(W相干渉信号)を出力する。平滑化部40は、第1相の干渉信号(U相干渉信号)、第2相の干渉信号(V相干渉信号)、及び第3相の干渉信号(W相干渉信号)の各相の論理反転信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する。
【0145】
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、スイッチ部32-1~スイッチ部32-3という簡易な構成により容易に干渉信号を生成することができ、より簡易な構成により3相交流信号の異常を検出することができる。
【0146】
また、本実施形態では、矩形波変換部20は、各相の交流信号を、矩形波変換部20の入力耐圧以下の電圧にクランプするツェナーダイオード22を有し、入力耐圧以下の電圧にクランプされた各相の交流信号を各相の矩形波信号に変換する。
【0147】
これにより、本実施形態による異常検出装置1は、例えば、発電機2が生成する3相交流信号のように、回転数に応じて交流電圧値が大きく変化する場合であっても、容易に入力耐圧以下の電圧にできるため、安全に3相交流信号の異常を検出することができる。
【0148】
また、本実施形態によるバッテリ充電装置100は、上述した異常検出装置1と、整流部10と、制御部50とを備える。整流部10は、回転子の回転に応じて、発電機2が出力する3相交流信号の各信号線に接続されたスイッチ素子(サイリスタ(11、12))の導通により、3相交流信号を整流した直流電力を、充電電力としてバッテリ3に供給する。制御部50は、整流部10が出力する直流電力の電圧が、所定の電圧になるように、スイッチ素子(サイリスタ(11、12))の導通を制御する。そして、異常検出装置1は、3相交流信号の異常を検出する。
これにより、本実施形態によるバッテリ充電装置100は、上述した異常検出装置1と同様の効果を奏し、簡易な構成により3相交流信号の異常を検出することができる。
【0149】
また、本実施形態による異常検出方法は、矩形波変換ステップと、干渉ステップと、平滑化ステップとを含む。矩形波変換ステップにおいて、矩形波変換部20が、3相交流信号の各相の交流信号を2値化した矩形波信号に変換する。干渉ステップにおいて、干渉部30が、3相のうちの各相の矩形波信号に、当該相と異なる他相の1つの矩形波信号を干渉させた干渉信号を出力する。平滑化ステップにおいて、平滑化部40が、干渉ステップによって出力された各相の干渉信号を積分して平滑化した各相の平滑化信号を生成する。
これにより、本実施形態による異常検出方法は、上述した異常検出装置1と同様の効果を奏し、簡易な構成により3相交流信号の異常を検出することができる。
【0150】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、異常検出装置1をバッテリ充電装置100に用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、異常検出装置1を他の装置(他の用途)に適用してもよい。
【0151】
また、上記の実施形態において、第1閾値と第2閾値とに同一の閾値Vtjh1を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、第1閾値と第2閾値とに異なる値を用いるようにしてもよい。
【0152】
また、上記の実施形態において、第2電圧範囲とと第3電圧範囲とに同一の電圧範囲VR2を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく第2電圧範囲とと第3電圧範囲とに異なる電圧範囲を用いるようにしてもよい。
【0153】
また、上記の実施形態において、矩形波変換部20にツェナーダイオード22を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、3相交流信号の交流電圧が固定である場合なとには、抵抗分圧した3相交流信号を2値化してもよい。
【0154】
また、上記の実施形態において、異常検出装置1は、3相交流信号の異常を検出する例を説明したが、これに限定されるものではなく、4相以上の交流信号の異常検出に適用してもよい。
【0155】
また、上記の実施形態において、異常検出装置1は、3相交流信号の異常を検出する例を説明したが、これに限定されるものではなく、4相以上の交流信号の異常検出に適用してもよい。
【0156】
また、上記の実施形態において、干渉部30のスイッチ部32に、バーポーラトラジスタを用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの他のスイッチ素子を用いるようにしてもうよい。
【0157】
また、上述の異常検出装置1、及びバッテリ充電装置100は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した3相交流信号の異常検出処理の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0158】
また、上述の異常検出装置1、及びバッテリ充電装置100の機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 異常検出装置
2 発電機
3 バッテリ
10 整流部
11、11-1~11-3、12、12-1~12-3 サイリスタ
13 U相ドライバ
14 V相ドライバ
15 W相ドライバ
20 矩形波変換部
21、21-1~21-3、31、31-1~31-3、42、42-1~42-3 抵抗
22、22-1~22-3 ツェナーダイオード
23、23-1~23-3、41、41-1~41-3 インバータ回路
30 干渉部
32、32-1~32-3 スイッチ部
40 平滑化部
43、43-1~43-3 コンデンサ
50 制御部
51 ADC部
52 検出制御部
100 バッテリ充電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6