(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008604
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】掃除機ノズル
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A47L9/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112286
(22)【出願日】2021-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】509164164
【氏名又は名称】地方独立行政法人山口県産業技術センター
(71)【出願人】
【識別番号】521214517
【氏名又は名称】美栄樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100179729
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 一美
(72)【発明者】
【氏名】藤井 謙治
(72)【発明者】
【氏名】田村 智弘
(72)【発明者】
【氏名】三坂 博文
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA03
3B061AA18
3B061AB01
(57)【要約】
【課題】孔部の底部や隅に溜まった埃等をブラシが十分に掃き出し、可撓管が掃き出された埃等を効率的に吸い込み可能であり、清掃中に持ち変える必要がないために使い勝手が良好で、清掃にかかる手間や時間を減らすことのできる掃除機ノズルを提供する。
【解決手段】掃除機ノズル1は、掃除機の吸込パイプに接続口が接続される本体2と、本体2の先端面3から前方に向かって突出する複数の可撓性を有する可撓管4及びブラシ5を備え、ブラシ5は、先端面3上の基準線L
1に沿って配列される第1の列6と、この第1の列6と交点Oにおいて交わる第2の列7を備え、先端面3は、第1の列6及び第2の列7で区画され、かつ交点Oを中心として区画される複数の区画S
1~S
4が形成され、可撓管4は、その先端に開口する吸込口4aと、先端面3に固定される固定部4bを備え、複数の区画S
1~S
4のすべてに配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の吸込パイプに接続口が接続される本体と、前記本体の先端面から前方に向かって突出する複数の可撓管及びブラシを備える掃除機ノズルであって、
前記ブラシは、前記先端面上の基準線に沿って配列される第1の列と、この第1の列と交点において交わる1以上の第2の列を備え、
前記先端面は、前記第1の列及び前記第2の列で区画され、かつ前記交点を中心として区画される複数の区画が形成され、
前記可撓管は、その先端に開口する吸込口と、前記先端面に固定される固定部を備え、複数の前記区画のうちの少なくともいずれかに配置されることを特徴とする掃除機ノズル。
【請求項2】
前記第2の列は、前記第1の列に対し直交して配列され、
前記可撓管は、複数の前記区画のすべてに配置されることを特徴とする請求項1に記載の掃除機ノズル。
【請求項3】
前記可撓管の長手方向のうち、少なくとも前記固定部寄りの一部に、前記可撓管の横断面上で前記交点寄りに設けられる角部を、少なくとも有する有角部が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の掃除機ノズル。
【請求項4】
前記吸込口の端面は、その全周において前記先端面と平行、または前記先端面上の前記交点から前記先端面の周面へ向かう方向に沿って、前記先端面へより近づくように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の掃除機ノズル。
【請求項5】
複数の前記可撓管の前記先端面からの最大長さは、前記ブラシの前記先端面からの長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の掃除機ノズル。
【請求項6】
複数の前記可撓管は、それぞれ内部の空間が前記固定部から前記吸込口に向かうにつれて狭まる先細形状をなしていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の掃除機ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の可撓管及びブラシを備え、掃除機の吸込パイプに接続される掃除機ノズルに係り、特に、ブラシが清掃対象物の形状にフィットして変形可能なために、ユーザーが掃除機ノズルを持ち変えなくてもブラシの先端が埃等を効率的に掃き出し、さらに可撓管が掃き出した埃等を直ちに吸い込むことができる掃除機ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機ヘッドは、主に平坦な床面を掃除対象としているため、吸込口が開口する下面も平坦をなすように設計されている。よって、部屋、建具、家具等の隅、窓のレールといった溝、長細い段差部分等の複雑な形状をなす細部に溜まった埃やゴミを十分に吸引することが困難である。そのため、吸込口の横断面が単に細長いくちばし状をなしている細部用のノズルが、オプション品として別途市販されている。
しかし、上記のような細部用のノズルは、吸込口が細部の表面へ容易に吸着するため、吸込口から吸い込まれる空気が減少して埃等の吸込効率が低下するという課題があった。
このような課題を解決するため、吸込口にブラシを植設して吸込口が細部の表面に吸着することを防止し、埃等の吸込効率を維持可能な細部用の掃除機ノズルに関する技術が開発されており、それに関してすでにいくつかの発明や考案が開示されている。
【0003】
特許文献1には、「電気掃除機の隙間ノズル」という名称で、塵埃の吸込性がよく捕集性の高い電気掃除機の隙間ノズルに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、幅が狭い平面ほぼ矩形状の筒状で、底面にほぼ矩形状の吸込口を有し、この吸込口からの空気を、連結部を介して掃除機本体に送る吸込風路を備えたノズル部と、このノズル部の長手方向のいずれかの側に設けられ、ノズル部の側壁に設けられる空気取入れ部と、ノズル部の側壁の下端部に設けられ、吸込風路と空気取入れ部を連通する連通口とを備え、空気取入れ部は、その底面に、軟質材からなる複数のブラシ部材が等間隔に設けられたことを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、複数のブラシ部材が空気取入れ部の底面に設けられたことにより、ノズル部の底面が被清掃面に吸着されてもブラシ部材は被清掃面に吸着しない。よって、空気が吸込口付近で流れ、被清掃面に衝突することになる。そのため、被清掃面から細かい塵埃等が舞い上がるので、ノズル部がこの舞い上がった塵埃等を吸い込むことができる。したがって、特許文献1に開示された発明によれば、塵埃の吸引低下を防いで確実に塵埃を捕集することができる。
【0004】
また、特許文献2には、「電気掃除機の吸塵具」という名称で、吸塵操作が有効に機能する吸塵具に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示された考案は、電気掃除機の吸引管に接続できる吸い込み接続口を一端に備えて他端部を吸塵ヘッドが嵌挿できる大きな口径にされた内部が空洞の吸塵本体と、この吸塵本体の大きな口径部に嵌合保持される多数の可撓性の吸引チューブを備える吸塵ヘッドと、この吸塵ヘッドの周囲を取り囲むようにして吸塵本体の外周部に基部を被嵌装着されるリングブラシとを含み、このリングブラシに植設されるブラシは吸塵ヘッドに設けられる吸引チューブより長くされていることを特徴とする。
このような特徴を有する考案においては、可撓性の吸引チューブの先端の開口部から吸塵される。しかし、吸引チューブの周囲に、リングブラシに植設されるブラシが設けられることにより、吸引チューブの開口部が被清掃面に吸着しない。よって、特許文献1に開示された発明と同様に、埃等の吸込効率が低下することを防止できる。
また、吸塵ヘッドを被清掃面の状態に応じて押し付けると、屈曲したブラシによって、被清掃面に付着している埃等が掻き起こされて、吸引チューブから吸塵本体内に吸い込まれる。したがって、特許文献2に開示された考案によれば、細部の清掃効率も向上させることができる。
【0005】
さらに、特許文献3には、「電気掃除機の先端吸込具」という名称で、部屋の隅等にこびりついた塵埃を効率よく掻き出し吸い込ませる先端吸込具に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、ブラシホルダーと、このブラシホルダーの開口部に固着されかつ周縁に植設したブラシを設けたハウジングと、ハウジングの内壁の一部より中心方向に延設された保持体部に複数の細管体を設けるとともに、ハウジングの内壁と保持体部の外周との間に形成された吸込口で構成し、ブラシを、植設された面からの長さを徐々に変化させてなることを特徴とする。
このような特徴を有する発明においては、ブラシの植設された面からの長さが徐々に変化しているため、部屋の隅、溝の奥、狭い隙間等にブラシの先端を容易に接触させることができる。よって、こびりついた塵埃、あるいは細かな塵埃を掻き出し、細管体を通じて吸引することができる。
また、ブラシを吸込口の周縁に設けたため、掃除作業を行ったとき、ブラシがその弾性により吸込具の吸込口に向け塵埃を掃き出すことができる。したがって、より確実に素早く掃除を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-93361号公報
【特許文献2】実開平6-85648号公報
【特許文献3】特開平8-182640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、複数のブラシ部材は、空気取入れ部の底面のみに設けられ、ノズル部の底面全体に設けられていない。よって、例えば、清掃対象物が底部と壁部を有する孔部である場合に、この孔部の底部や、底部と壁部との隅に溜まった塵埃を十分に掃き出すためには、孔部に隙間ノズルを差し込んだ後に、ブラシ部材を少なくとも隅の全周に接触させる必要がある。そのためには、ブラシ部材が隅の形状に沿うように、ユーザーが清掃中に隙間ノズルを幾度も持ち変える必要があり、隙間ノズルが連結される掃除機の吸い込みホースや掃除機本体の取り回しが面倒である。したがって、特許文献1に開示された発明においては、使い勝手が良好でなく、そのために清掃にかかる手間や時間が増えるという課題があると考えられる。
【0008】
また、特許文献2に開示された考案においては、ブラシが吸塵ヘッドの周囲を取り囲むように設けられているため、上記のような底部と壁部を有する孔部を清掃する際の吸塵本体を持ち変える頻度は、特許文献1に開示された発明の場合と比べて減少するようにも考えられる。しかし、リング状に植設されたブラシの径の大きさと底部の径の大きさが一致しない限り、この底部と壁部との隅に接触するブラシの周方向の長さが短くなるので、ユーザーが吸塵本体を持ち変える頻度は、特許文献1に開示された発明の場合と比べて大きく減少するとは考え難い。したがって、特許文献2に開示された考案においても、使い勝手が良好でない等の課題があると考えられる。
また、吸引チューブがリング状のブラシの内側に配置されていることから、吸引チューブがブラシの外側に存在する埃等を吸い込み困難である。
さらに、複数の吸引チューブが吸塵本体の口径部に面状に分布しているため、吸塵本体を孔部へ差し込んだ後にやや傾斜させ、ブラシとこのブラシ寄りに分布する吸引チューブの各一部分を同時に隅に接触させようとしても、この各一部分以外のブラシと吸引チューブの存在が妨げとなる。よって、特許文献2に開示された考案においては、ブラシが孔部の隅に溜まった埃等を十分に掃き出し、掃き出した埃等をブラシの内側においても効率的に吸い込むことができないという課題もあると考えられる。
【0009】
次に、特許文献3に開示された発明においては、細管体は略リング状のブラシの内側に配置されていることから、特許文献3に開示された発明においても、特許文献2に開示された考案と同様に、ブラシの外側に存在する埃等の吸込効率が良好でないという課題があると考えられる。
一方、ブラシの植設された面からの長さが徐々に変化しているため、ブラシと細管体を同時に孔部の隅に接触させることができる。よって、特許文献3に開示された発明においては、孔部の隅に溜まった埃等を十分に掃き出し、掃き出した埃等をブラシの内側において吸い込む効率は、特許文献2に開示された考案の場合よりも高いと考えられる。
しかし、ブラシは、ハウジングに沿って略リング状に設けられていることから、特許文献2に開示された考案と同様に、ユーザーが吸塵本体を持ち変える頻度は、特許文献1に開示された発明の場合と比べて大きく減少するとは考え難い。したがって、特許文献3に開示された発明においても、使い勝手が良好でない等の課題があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、清掃対象物が例えば孔部である場合に、その底部や隅に溜まった埃等をブラシが十分に掃き出し、可撓管が掃き出された埃等を効率的に吸い込み可能であることに加え、ユーザーが清掃中に持ち変える必要がないために使い勝手が良好で、清掃にかかる手間や時間を減らすことのできる掃除機ノズルを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、第1の発明は、掃除機の吸込パイプに接続口が接続される本体と、本体の先端面から前方に向かって突出する複数の可撓管及びブラシを備える掃除機ノズルであって、ブラシは、先端面上の基準線に沿って配列される第1の列と、この第1の列と交点において交わる1以上の第2の列を備え、先端面は、第1の列及び第2の列で区画され、かつ交点を中心として区画される複数の区画が形成され、可撓管は、その先端に開口する吸込口と、先端面に固定される固定部を備え、複数の区画のうちの少なくともいずれかに配置されることを特徴とする。
このような構成の発明においては、「第1の列」として、1本の完全な直線状をなして基準線に沿っているもののほか、波状やジグザグ状に変化しながら、ほぼ基準線に沿っているものが考えられる。「第2の列」も、1本の完全な直線状をなすほか、波状やジグザグ状に変化していてもよい。
また、基準線とは、先端面上に仮想される直線であって、先端面の面積を均等または不均等に二分割するものである。よって、第1の列と第2の列との交点は、必ずしも本体の先端面の中心点に配置されなくてもよい。さらに、第1の列の中点と、第2の列の中点が重なって交点となっているほか、第1の列の端部と、第2の列の端部が重なって交点となっていてもよい。そして、区画には、1本以上の可撓管が配置されてもよい。
なお、本願における固定部とは、可撓管が先端面に固定される部分を意味するが、固定は先端面と一体に固定されてもよいし、先端面に接続するように固定されてもよく、可撓管が先端面と隙間を生じないような固定であればその固定方法は問わない概念である。
【0012】
上記構成の発明においては、第1の列の中点と、第2の列の中点が重なって交点となっている場合、掃除機ノズルを、例えば、底部と壁部を有する孔部に差し込んで、ブラシの第1の列の先端を底部と壁部との隅に沿わせるように押し当てると、第2の列の両端寄りの部分がそれぞれ底部と壁部に当接し、この両端寄りの部分の先端同士が接近する方向へ屈曲する。よって、第1及び第2の列の各先端が、すべて隅に集められ、この隅に沿って一列に配列される。
なお、底部に対する壁部の構造、例えば隅の走行方向や、掃除機ノズルを隅に対して押し当てる向きによって、隅に沿って一列に配列されるものは、主に、第1の列か、第2の列か、または第1の列と第2の列の双方か、が異なってくる。しかし、ユーザーがブラシを隅へ無造作に押し当てた場合でも、上記の三通りのいずれかの作用が起こり、第1及び第2の列の各先端はすべて隅に沿って一列に集められる。
【0013】
また、可撓管は、複数の区画のうちの少なくともいずれかに配置されるから、底部の形状や掃除機ノズルの底部に対する差し込み位置が異なっていても、可撓管の吸込口は隅に集められた第1及び第2の列の各先端と重ならないように位置する場合が多い。よって、底部の形状等に関わらず、掃き出された埃等が可撓管によって直ちに吸い込まれる。
【0014】
次に、第2の発明は、第1の発明において、第2の列は、第1の列に対し直交して配列され、可撓管は、複数の区画のすべてに配置されることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、可撓管は、複数の区画のすべてに配置されるから、第1の列と第2の列との交点を中心として、先端面の周方向について略均等に配置される。よって、清掃対象物が孔部である場合に、その底部の形状等に関わらず、隅の全周に亘って略均等に可撓管を隅へ接近させることができる。
【0015】
さらに、第3の発明は、第1又は第2の発明において、可撓管の長手方向のうち、少なくとも固定部寄りの一部に、可撓管の横断面上で交点寄りに設けられる角部を、少なくとも有する有角部が形成されることを特徴とする。
このような構成の発明において、有角部は、可撓管の横断面上で、例えば二等辺三角形、扇形、しずく形をなすものが考えられる。なお、可撓管の横断面とは、先端面と平行をなす断面をいう。
上記構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、角部において、可撓管が過度に屈曲することが防止される。また、屈曲した可撓管が元の直線的な形状に戻る復元力は、角部の方が角部以外の箇所よりも強い。そのため、角部が第1の列と第2の列との交点寄りに配置されることにより、屈曲した可撓管は、交点を通り先端面に直交する線方向に沿うように戻る。その結果、屈曲した可撓管は、屈曲前の本体の先端面から前方に向かって突出した形状へと確実に復元する。
【0016】
そして、第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、吸込口の端面は、その全周において先端面と平行、または先端面上の交点から先端面の周面へ向かう方向に沿って、先端面へより近づくように傾斜していることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加えて、吸込口の端面がその全周において先端面と平行する場合では、例えば前述の孔部の隅へブラシを押し付けることで可撓管も屈曲するときに、端面と底部及び壁部との間に、それぞれ隙間が形成される。よって、吸込口が、この隙間を介して埃等を効率的に吸い込み可能である。
一方、吸込口の端面が傾斜している場合では、端面を底部及び壁部へより接近させることができるので、吸込口が、ブラシが隅へ接触する際の妨げになり難い。
【0017】
そして、第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、複数の可撓管の先端面からの最大長さは、ブラシの先端面からの長さよりも短いことを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明の作用に加えて、第1及び第2の列の各先端がすべて隅に集められた場合において、可撓管の吸込口が、第1及び第2の列の各先端、さらに孔部の底部や壁部といった清掃対象物によって閉止されることが防止される。したがって、第1及び第2の列の各先端が掃き出した埃等を、可撓管が直ちに吸い込むことができる。
なお、吸込口の端面が、先端面上の交点から先端面の周面へ向かう方向に沿って、先端面へより近づくように傾斜している場合において、可撓管の先端面からの最大長さとは、先端面から、先端面上の交点に最も近い端面までの長さをいう。
【0018】
続いて、第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、複数の可撓管は、それぞれ内部の空間が固定部から吸込口に向かうにつれて狭まる先細形状をなしていることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第5のいずれかの発明の作用に加えて、複数の可撓管がそれぞれ先細形状をなしているため、吸込口から吸い込まれた埃等が可撓管の内部の空間に詰まることがない。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、清掃対象物が例えば底部と壁部を有する孔部である場合に、この孔部に掃除機ノズルを差し込んで、例えばブラシの第1の列の先端を底部と壁部との隅に沿わせるように押し当てると、第1の列の先端が隅に沿って一列に配列されるとともに、第2の列の先端が隅に集められる。つまり、第1及び第2の列の各先端が、すべて隅に集められ、この隅に沿って配列される。したがって、掃除機ノズルを隅に沿って移動させることで、第1及び第2の列の各先端によって、隅に溜まった埃等を十分に掃き出すことができる。
また、底部の形状等に関わらず、第1及び第2の列の各先端は隅に押し付けられるのみで自然に一列になり隅に集められることになるので、ユーザーが清掃中に底部の形状等に応じて掃除機ノズルを意識的に持ち変える必要がない。そのため、掃除機ノズルが連結される掃除機の吸い込みホース等の取り回しに煩わされることがなく使い勝手が良好であり、清掃にかかる手間や時間を減らすことができる。
さらに、底部の形状等に関わらず、可撓管が隅に集められた第1及び第2の列の各先端と重ならないように位置する場合が多いから、埃等の掃き出し方向に関わらず、可撓管が埃等を効率的に吸い込み可能である。
【0020】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、清掃対象物が孔部である場合に、その底部の形状等に関わらず、隅の全周に亘って略均等に可撓管を隅へ接近させることができるので、隅に溜まった埃等をまんべんなく吸い込むことができる。よって、掃除機ノズルを持ち変えることなく清掃の良好な仕上がり状態を得ることが困難であるという従来技術が有する課題を、十分に解決可能である。
【0021】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、角部において、可撓管が過度に屈曲することが防止されるため、可撓管が途中で折れ曲がることを防止できる。よって、可撓管の内部に吸い込まれた埃等を確実に本体へ移送することができる。
また、角部が先端面の中心点寄りに配置されることにより、屈曲した可撓管が屈曲前の本体の先端面から前方に向かって突出した形状へ確実に復元するため、復元後に複数の可撓管のすべての開口方向が揃い易い。よって、掃除機ノズルを連続して異なる移動方向に移動させた後であっても、掃除機ノズルを中心としてムラなく埃等を吸い込むことができる。
【0022】
第4の発明によれば、第1乃至第3のいずれかの発明の効果に加えて、吸込口の端面がその全周において先端面と平行する場合では、端面と底部、及び端面と壁部との間にそれぞれ隙間が形成されるため、吸込口がこの隙間を介して埃等を効率的に吸い込み可能である。
また、吸込口の端面が傾斜している場合では、吸込口が底部及び壁部に接触し難くなるため、ブラシが隅に届き易くなって隅に溜まった埃等を一層掃き出し易くなる。
【0023】
第5の発明によれば、第1乃至第4のいずれかの発明の効果に加えて、可撓管の吸込口が、第1及び第2の列の各先端等によって閉止されることが防止され、この各先端が掃き出した埃等を、可撓管が直ちに吸い込むことができるので、清掃対象物から埃等を十分に除去することができる。
【0024】
第6の発明によれば、第1乃至第5のいずれかの発明の効果に加えて、吸込口から吸い込まれた埃等が可撓管の内部の空間に詰まることがないので、埃等の吸込効率や清掃時間の短縮といった清掃効率を高い状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施例に係る掃除機ノズルの外観を示す斜視図である。
【
図2】(a)は実施例に係る掃除機ノズルを、
図1におけるA方向からみた場合の平面図であり、(b)は同掃除機ノズルを構成する可撓管及びブラシの側面図である。
【
図3】(a)は、実施例に係る掃除機ノズルの試作品を側方向から撮影した画像であり、(b)は、同試作品を上斜め方向から撮影した画像である。
【
図4】(a)乃至(d)は、それぞれ実施例に係る掃除機ノズルの作用を説明するための側面図である。
【
図5】(a)乃至(d)は、それぞれ実施例に係る掃除機ノズルの作用を説明するための、
図1におけるA方向からみた場合の平面図である。
【
図6】(a)乃至(d)は、それぞれ実施例に係る掃除機ノズルの試作品を、上斜め方向から撮影した画像である。
【
図7】実施例に係る掃除機ノズルの使用方法を説明するための説明図である。
【
図8】実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの外観を示す斜視図である。
【
図9】(a)は実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの側面図であり、(b)及び(c)は、それぞれ(a)におけるD線矢視図及びE-E線矢視断面図である。
【
図10】(a)及び(c)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品を、側方向から撮影した画像であり、(b)及び(d)は、それぞれ同試作品を、上斜め方向から撮影した画像である。
【
図11】(a)乃至(d)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像である。
【
図12】(a)乃至(d)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像である。
【
図13】(a)乃至(c)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像である。
【
図14】(a)乃至(c)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像である。
【
図15】実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの使用方法を説明するための説明図である。
【
図16】(a)及び(b)は、それぞれ実施例の第2及び第3の変形例に係る掃除機ノズルを、
図1におけるA方向と同方向からみた場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0026】
本発明の実施の形態に係る掃除機ノズルについて、
図1乃至
図7を用いて説明する。
図1は、実施例に係る掃除機ノズルの外観を示す斜視図である。
図2(a)は実施例に係る掃除機ノズルを、
図1におけるA方向からみた場合の平面図であり、
図2(b)は同掃除機ノズルを構成する可撓管及びブラシの側面図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る掃除機ノズル1は、掃除機の吸込パイプ(図示せず)に接続口2aが接続される本体2と、本体2の円形をなす先端面3から前方に向かって突出する4本の可撓性を有する可撓管4及びブラシ5を備える。なお、前方とは、先端面3に対して直交する方向(図中Z方向)である。また、A方向は、Z方向の逆方向である。
【0027】
このうち、本体2は、硬質の合成樹脂製であって、接続口2aを備える下方部2Aと、先端面3を備える上方部2Bが連結されて形成される。なお、下方部2Aと、上方部2Bは、いずれも略円筒形状をなす。
また、可撓管4は、柔軟性と復元力を有する合成樹脂製であって、その先端に開口する吸込口4aと、本体2の先端面3に固定される固定部4bを備える。そして、可撓管4は、その内部の空間が固定部4bから吸込口4aに向かうにつれて狭まる先細形状をなしている。
さらに、ブラシ5は、埃やゴミを掃き出すために必要な適度な硬さと復元力を有する合成樹脂製であって、先端5aと、先端面3に植設される基端5bを備える。また、ブラシ5は、先端面3上の基準線L
1に沿って配列される第1の列6と、この第1の列6と交点O(
図2(a)参照)において交わる1本の第2の列7を備える。なお、第2の列7は、基準線L
1と直交する直交線L
2に沿って配列される。また、Z方向は、基準線L
1と直交し、かつ直交線L
2と直交する方向である。
【0028】
次に、
図2(a)に示すように、第2の列7は、第1の列6に対し直交して配列される。なお、第1の列6及び第2の列7は、それぞれ複数のブラシ小束5cが一列に配列されたものである。
さらに、本体2の先端面3は、第1の列6及び第2の列7で区画され、かつ交点Oを中心として、放射状に均等の面積となるように区画される複数の区画S
1~S
4が形成される。
そして、可撓管4は、複数の区画S
1~S
4のすべてに、それぞれ1本ずつ配置される。なお、交点Oは、基準線L
1の中点と、直交線L
2の中点とが交わる点であり、先端面3の中心点に位置している。
また、
図2(b)に示すように、複数の可撓管4の先端面3からの最大長さL
4は、ブラシ5の先端面3からの長さL
5よりも短い。具体的には、最大長さL
4と長さL
5の比率は、9:10であるが、これ以外の比率、例えば7:10や8:10であってもよい。また、可撓管4の吸込口4aの端面E
4は、その全周において先端面3と平行をなしている。
【0029】
続いて、実施例に係る掃除機ノズルの試作品の外観について、
図3を用いて説明する。
図3(a)は、実施例に係る掃除機ノズルの試作品を側方向から撮影した画像であり、
図3(b)は、同試作品を上斜め方向から撮影した画像である。なお、
図1及び
図2で示した構成要素については、
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、掃除機ノズル1の試作品においては、可撓管4の吸込口4aの端面E
4は、円形状の全周において先端面3と平行をなしている。しかし、可撓管4の長手方向(すなわち、Z方向)のうち、固定部4b寄りの一部は、
図9(c)に示すような、横断面上で扇状をなす有角部8が形成されている。これ以外の試作品の構成は、
図1及び
図2に示した掃除機ノズル1の構成と同様である。
【0030】
続いて、掃除機ノズル1の作用について、
図4乃至
図7を用いて説明する。
図4(a)乃至
図4(d)は、それぞれ実施例に係る掃除機ノズルの作用を説明するための側面図であって、
図4(a)及び
図4(b)は
図2(a)におけるB方向からみた場合であり、
図4(c)及び
図4(d)は
図2(a)におけるC方向からみた場合である。また、
図2(a)におけるB方向とは、基準線L
1に対して平行、かつ直交線L
2に対して直交する方向であり、C方向とは、基準線L
1及び直交線L
2に対していずれも45°をなす方向である。なお、
図1及び
図2で示した構成要素については、
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
掃除機ノズル1を用いて、底部50aと、壁部50bを備える孔部50を清掃する場合を想定する。まず、
図4(a)に示すように、掃除機ノズル1の可撓管4及びブラシ5を、例えば底部50aと壁部50bとの隅50cに押し付ける前においては、可撓管4、第1の列6及び第2の列7は、いずれも先端面3に対して直交する方向、すなわちZ方向に向かって突出した状態にある。なお、底部50aと壁部50bがなす角度は、90°である。
また、第1の列6の先端6aと、第2の列7の先端7aは、いずれも先端面3からの長さが等しい。
【0031】
その後、
図4(b)に示すように、可撓管4及びブラシ5を隅50cに押し付けると、先端6aが隅50cに当接し、先端7aが底部50aと壁部50bにそれぞれ当接する。このとき、第2の列7は、先端面3の周面3aに近い部分ほど隅50cに向かって屈曲する。その結果、先端6aと、先端7aは、すべて隅50cに向かって集められた状態になる。一方、可撓管4,4は、互いの吸込口4a,4aが向かい合って接近するようにわずかに屈曲する。しかし、
図2(b)で説明したとおり、可撓管4の先端面3からの最大長さL
4がブラシ5の先端面3からの長さL
5よりも短いことから、吸込口4aと隅50cとの間には隙間が発生している。また、この隙間の大きさは、吸込口4aの端面E
4(
図2(b)参照)がその全周において先端面3と平行であることで、より広めとなる。
【0032】
そして、
図4(c)に示すように、掃除機ノズル1を
図2(a)におけるC方向からみた場合においても、掃除機ノズル1の可撓管4及びブラシ5を隅50cに押し付ける前の、可撓管4、第1の列6及び第2の列7の状態は、
図4(a)で説明した状態と同様である。
次に、
図4(d)に示すように、可撓管4及びブラシ5を隅50cに押し付けると、第1の列6と、第2の列7は先端面3の周面3aに近い部分ほど隅50cに向かってそれぞれ屈曲するため、先端6aと、先端7aは、すべて隅50cに向かって集められた状態になる。このとき、可撓管4はわずかに屈曲するが、吸込口4aと隅50cとの間には、やはり隙間が発生している。
【0033】
さらに、掃除機ノズル1の作用について、
図5を用いて説明する。
図5(a)乃至
図5(d)は、それぞれ実施例に係る掃除機ノズルの作用を説明するための、
図1におけるA方向からみた場合の平面図である。なお、
図1乃至
図4で示した構成要素については、
図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)に示すように、可撓管4及びブラシ5を、底部50aと壁部50bとの隅50c(
図4参照)に押し付ける前は、可撓管4S
1~4S
4、第1の列6及び第2の列7は、
図4(a)に示したとおり、いずれも先端面3に対して直交するZ方向(
図1参照)に向かって突出した状態にある。また、第1の列6及び第2の列7は、それぞれ基準線L
1及び直交線L
2に沿って配列されている。なお、可撓管4S
1~4S
4とは、それぞれ区画S
1~S
4に配置される可撓管4を意味している。
次に、
図5(b)に示すように、第1の列6を隅50cに沿わせるように、可撓管4S
1~4S
4、第1の列6及び第2の列7を隅50cに押し付けると、第1の列6の先端6aは、基準線L
1方向の長さが変化することなく、隅50cに集められる。ここで、隅50cの走行方向をL
3とすると、この走行方向L
3は、区画S
1と区画S
4、及び区画S
2と区画S
3を形成する基準線L
1と重複する。よって、区画S
1と区画S
4を形成する基準線L
1に対する走行方向L
3の角度をθとすると、θは0°である。
これに対し、第2の列7は、その先端7aが底部50aと壁部50bとに当接するため、Z方向に対して屈曲する。よって、先端7aの直交線L
2方向の長さが狭められて、先端7aが隅50cへ集められる。したがって、先端6a及び先端7aのいずれもが、隅50cへ集められる。
【0034】
続いて、
図5(c)に示すように、第2の列7を隅50cに沿わせるように、可撓管4S
1~4S
4、第1の列6及び第2の列7を隅50cに押し付けると、第2の列7の先端7aは直交線L
2方向の長さが変化することなく、隅50cに集められる。このとき、θは交点Oを中心として反時計回りに90°である。
これに対し、第1の列6は、その先端6aが底部50aと壁部50bとに当接して隅50cへ集められる。よって、先端6aの基準線L
1方向の長さが狭められる。したがって、
図5(b)の場合と同様に、先端6a及び先端7aのいずれもが、隅50cへ集められる。
【0035】
さらに、
図5(d)に示すように、第1の列6と第2の列7の双方を隅50cに沿わせないように、可撓管4S
1~4S
4、第1の列6及び第2の列7をそれぞれ底部50a及び壁部50bに押し付けると、先端6aの基準線L
1方向の長さと、先端7aの直交線L
2方向の長さのいずれもが、押し付け前に比べてほぼ変化することなく、先端6a,7aが隅50cに集められる。なお、隅50cの走行方向L
3は、基準線L
1及び直交線L
2に対してそれぞれ傾斜しており、θは区画S
1において反時計周りに45°である。
したがって、
図5(b)及び
図5(c)の場合と同様に、先端6a及び先端7aが、隅50cへ集められる。すなわち、θが交点Oを中心として反時計回りに0°、45°、90°のいずれであっても、先端6a及び先端7aが、隅50cへ集められる。これは、θが、135°、180°、225°、270°、315°の場合と、これら以外の場合においても同様である。
このように、第1の列6が配列される基準線L
1に対する隅50cの走行方向L
3の角度θの大きさに関わらず、先端6a及び先端7aが隅50cへ集められることが分かる。
【0036】
続いて、掃除機ノズル1の試作品の作用について、
図6を用いて説明する。
図6(a)乃至
図6(d)は、それぞれ実施例に係る掃除機ノズルの試作品を、上斜め方向から撮影した画像である。なお、
図1乃至
図5で示した構成要素については、
図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)は、
図5(a)に対応する画像であって、可撓管4S
1~4S
4と、第1の列6及び第2の列7を、底部50aと壁部50bとの隅50cに押し付ける前のものである。
次に、
図6(b)は、
図5(b)に対応する押し付け後の画像であって、第1の列6の先端6aは、基準線L
1方向の長さが変化することなく、隅50cに集められる。
【0037】
これに対し、第2の列7の先端7aは、底部50aと壁部50bとに当接して直交線L
2方向の長さが狭められ、隅50cへ集められる。このように、押し付け後には、実際に、先端6a及び先端7aのいずれもが、隅50cへ集められることが分かる。このとき、隅50cを挟んだ一対の可撓管4S
1,4S
4と、もう一対の可撓管4S
2,4S
3は、それぞれ隅50cに向かって各吸込口4aがやや傾いた状態となっている。しかし、
図2(b)で説明したように、複数の可撓管4の先端面3からの最大長さL
4は、ブラシ5の先端面3からの長さL
5よりも短いことに加え、可撓管4の吸込口4aの端面E
4は、その全周において先端面3と平行をなしていることから、先端6a及び先端7aを隅50cに押し付けた場合であっても、底部50a及び壁部50bとの間に隙間S
p1が形成される。そのため、四個すべての吸込口4aは、第1の列6及び第2の列7によって閉止されない。
【0038】
さらに、
図6(c)は、
図5(c)に対応する画像であって、第1の列6の先端6aが、底部50aと壁部50bとに当接して基準線L
1方向の長さが狭められ、隅50cへ集められる。また、第2の列7は、直交線L
2方向の長さが変化することなく隅50cに集められる。
このように、やはり第1の列6及び第2の列7のいずれもが、隅50cへ集められることが分かる。このとき、隅50cを挟んだ一対の可撓管4S
1,4S
2と、もう一対の可撓管4S
3,4S
3の各吸込口4aは、それぞれ隅50cに向かってやや傾いた状態となっていることに加えて、底部50a及び壁部50bとの間に隙間S
p1が形成されていることを確認できる。よって、四個すべての吸込口4aは、やはり第1の列6及び第2の列7によって閉止されない。
そして、
図6(d)は、
図5(d)に対応する画像であって、第1の列6と第2の列7の双方を隅50cに沿わせないように、それぞれ底部50a及び壁部50bに押し付けると、実際に、その先端6a,7aが隅50cにほぼ集められることが分かる。このとき、隅50cを挟んで一対の可撓管4S
2,4S
4の各吸込口4aは、それぞれ隅50cに向かって傾いた状態となっており、底部50a及び壁部50bとの間に隙間S
p1が形成されるため、第1の列6及び第2の列7によって閉止されない。また、残りの一対の可撓管4S
1,4S
3の各吸込口4aは、隅50cの直下に配列されているが、やはり隅50cとの間に隙間S
p1が形成されるため、第1の列6及び第2の列7によって閉止されない。
【0039】
次に、掃除機ノズル1の使用方法について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施例に係る掃除機ノズルの使用方法を説明するための説明図である。なお、
図1乃至
図6で示した構成要素については、
図7においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
掃除機ノズル1を用いて、
図4及び
図5に示した孔部50を清掃する場合を想定する。孔部50は、円形かつ平面状の底部50aと、壁部50bと、底部50aと壁部50bとの隅50cを備える。このうち、底部50aは水平であり、底部50aに対し壁部50bがなす角度は90°である。
図7に示すように、孔部50に対する掃除機ノズル1の使用方法は、まず、掃除機ノズル1を孔部50へ差し込んだ後、可撓管4と、第1の列6及び第2の列7を、隅50cの(1)で示す位置に押し付ける。次いで、そのまま掃除機ノズル1を持ち変えることなく(1)から(3)のように、この隅50cに沿わせてスライド移動させるとよい。
詳細には、(1)の区画S
1と区画S
4を形成する基準線L
1に対する隅50cの走行方向L
3の角度θが0°の場合では、
図5(b)で説明したとおり、第1の列6の先端6aが隅50cに集められる。また、第2の列7の先端7aは、直交線L
2に沿った長さが狭まり、隅50cに集められる。
したがって、隅50cに集められた先端6a及び先端7aによって、隅50cに溜まった埃等が掃き出される。掃き出された埃等は、可撓管4S
1,4S
4の各吸込口4aと、可撓管4S
2,4S
3の各吸込口4aが、いずれも第1の列6及び第2の列7を挟んで開口し、かつ隙間S
p1(
図6参照)が形成されているため、直ちに可撓管4S
1~4S
4によって吸い込まれる。
【0040】
次に、掃除機ノズル1を反時計回りにスライドさせると、(2)の場合のように、区画S
1と区画S
4を形成する基準線L
1に対する走行方向L
3の角度θが変化して45°となる。このとき、
図5(d)で説明したとおり、第1の列6が隅50cの走行方向L
3が曲がるに従って徐々に屈曲し、その先端6aが隅50cに集められる。一方、屈曲した第2の列7は徐々にZ方向に沿った直線状に戻り、先端7aは、直交線L
2方向に沿った元の長さを徐々に取り戻しながら隅50cに集められる。
したがって、隅50cに集められた先端6a及び先端7aによって、隅50cに溜まった埃等が掃き出される。掃き出された埃等は、可撓管4S
2,4S
4の各吸込口4aが走行方向L
3に接近するように開口し、かつ隙間S
p1が形成されているため、直ちに可撓管4S
2,4S
4によって吸い込まれる。なお、可撓管4S
1,4S
3の各吸込口4aは、走行方向L
3の直上に開口しているが、隙間S
p1が形成されているため、各吸込口4aが先端6aと先端7aによって閉止されるおそれはない。よって、先端6aと先端7aの間に存在する埃等も、直ちに可撓管4S
1,4S
3によって吸い込まれる。
【0041】
さらに、掃除機ノズル1を反時計回りにスライドさせると、(3)の場合のように、区画S
1と区画S
4を形成する基準線L
1に対する走行方向L
3の角度θが45°を超えて90°となる。このとき、
図5(c)で説明したとおり、第2の列7の先端7aが隅50cに集められる。また、第1の列6の先端6aは、基準線L
1に沿った長さが狭まり、隅50cに集められる。
よって、隅50cに集められた先端6a及び先端7aによって、隅50cに溜まった埃等が掃き出される。掃き出された埃等は、可撓管4S
1~4S
4によって直ちに吸い込まれる。
そして、掃除機ノズル1を持ち変えることなく(3)から(1)へ戻るよう、隅50cに沿わせて反時計回りにスライドさせるとき、可撓管4、先端6a及び先端7aの変化は、θが180°の場合に(1)と同様であり、θが135°、225°及び315°の場合に(2)と同様であり、θが270°の場合に(3)と同様である。
なお、掃除機ノズル1を用いて、先端面3の面積に対して広めの面積を有する底部50aを清掃する場合においても、
図11及び
図12で説明する掃除機ノズル1Aの作用と同様に、この底部50aを効率的に清掃できる。
【0042】
以上説明したように、掃除機ノズル1によれば、孔部50を清掃する際に、先端6a及び先端7aが隅50cに溜まった埃等を十分に掃き出し、可撓管4S1~4S4が掃き出した埃等を効率的に吸い込むことができる。したがって、従来技術のような吸込ホースの取り回しをする必要がなく、容易に孔部50のような細部の底部50aや隅50cを清掃することができる。そのため、屋内の細部の清掃のほか、凹凸の多い車内の清掃に、特に好適に用いることができる。
また、角度θの大きさがいずれであっても、ユーザーが掃除機ノズル1を持ち変える必要がないため、使い勝手が良好で、清掃にかかる手間や時間を減らすことができる。
【0043】
さらに、可撓管4S
1~4S
4は、複数の区画S
1~S
4のすべてに配置されるから、交点Oを中心として、先端面3の周方向について略均等に配置される。よって、底部50aの面積の大小に関わらず、隅50cの全周に亘って略均等に可撓管4S
1~4S
4を隅50cへ接近させることができる。そのため、可撓管4S
1~4S
4によって、隅50cに溜まった埃等をまんべんなく吸い込むことができる。
加えて、
図7から分かるように、可撓管4S
1~4S
2の吸込口4aのうち、少なくとも二個の吸込口4aが、常に第1の列6及び第2の列7を挟んで開口していることから、第1の列6及び第2の列7の外側及び内側に存在する埃等を、確実に吸い込むことができる。
【0044】
さらに、
図2(b)で説明したとおり、可撓管4の先端面3からの最大長さL
4がブラシ5の先端面3からの長さL
5よりも短いことによって吸込口4aと隅50cとの間に隙間S
p1が形成され、加えて吸込口4aの端面E
4がその全周において先端面3と平行であることによって隙間S
p1が広めとなるため、埃等を吸い込むための空気の流れを一定量確保できる。よって、吸込口4aが底部50a、壁部50b及び隅50cに吸着することがなく、掃除機ノズル1を移動し易いとともに、埃等の可撓管4S
1~4S
4への流入が妨げられない。
そして、可撓管4S
1~4S
4へ流入した埃等は、可撓管4S
1~4S
4の内部の空間が固定部4bから吸込口4aに向かうにつれて狭まる先細形状をなしているため、埃等は可撓管4S
1~4S
4の内部の空間に詰まることがなく、掃除機本体へ速やかに移送される。よって、掃除機ノズル1によれば、埃等の吸込効率や清掃時間の短縮といった清掃効率を高い状態に維持することができる。
【0045】
続いて、実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルについて、
図8乃至
図15を用いて説明する。
図8は、実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの外観を示す斜視図である。
図9(a)は実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの側面図であり、
図9(b)及び
図9(c)は、それぞれ
図9(a)におけるD線矢視図及びE-E線矢視断面図である。
図8に示すように、実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズル1Aは、実施例に係る掃除機ノズル1が備える可撓管4の代わりに、可撓管9を備える。可撓管9は、その先端に開口する吸込口9aと、先端面3に固定される固定部9bを備え、複数の区画S
1~S
4(
図9(b)参照)のすべてにそれぞれ1本ずつ配置される。これ以外の掃除機ノズル1Aの構成は、掃除機ノズル1の構成と同様である。
【0046】
次に、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、可撓管9の吸込口9aの端面E
9は、先端面3上の交点Oから先端面3の周面3aへ向かう半径方向Rに沿って、可撓管9の長手方向(すなわち、Z方向)について先端面3へより近づくように傾斜している。
また、
図9(a)に示すように、複数の可撓管9の先端面3からの最大長さL
9は、ブラシ5の先端面3からの長さL
5よりも短い。
さらに、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、可撓管9の長手方向のすべてに亘って、可撓管9の横断面上で交点O寄りに設けられる角部K
1を有する有角部10が形成される。この有角部10は、可撓管9の横断面上で、角部K
1のほかにも角部K
2,K
2を備える。すなわち、可撓管9は、固定部9b寄りの横断面上で略扇状をなしており、角部K
1が扇形の中心角、角部K
2と角部K
2間の辺が扇形の円弧に相当する。これ以外にも、有角部10は、可撓管9の長手方向のうち、固定部9b寄りの一部に形成されてもよい。
【0047】
続いて、実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の外観について、
図10を用いて説明する。
図10(a)及び
図10(c)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品を、側方向から撮影した画像であり、
図10(b)及び
図10(d)は、それぞれ同試作品を、上斜め方向から撮影した画像である。なお、
図1乃至
図9で示した構成要素については、
図10においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図10(a)乃至
図10(d)に示すように、掃除機ノズル1Aの試作品においては、可撓管9の長手方向のすべてに亘って、有角部10が形成されている。ただし、角部K
2,K
2の角度は、吸込口9aに近いほどより大きくなっている。
また、
図10(a)に示すように、可撓管9の先端面3から角部K
1における端面E
9までの長さが最大長さL
9である。これ以外の試作品の構成は、
図1及び
図2に示した掃除機ノズル1の構成と同様である。
【0049】
続いて、掃除機ノズル1Aの作用について、
図11乃至
図15を用いて説明する。
図11(a)乃至
図11(d)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像であって、
図11(a)は
図9(b)におけるF方向からみた場合の画像であり、
図11(b)乃至
図11(d)はいずれも
図11(a)におけるH方向からみた場合の画像である。また、
図9(b)におけるF方向は、
図2(a)におけるB方向と同一の方向である。なお、
図1乃至
図10で示した構成要素については、
図11においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図11及び
図12に示すように、掃除機ノズル1Aを用いて、底部50aと、壁部50bを備える孔部50を清掃する場合を想定する。まず、
図11(a)及び
図11(c)に示すように、可撓管9、第1の列6及び第2の列7を、底部50aと壁部50bとの隅50cに押し付ける前は、これらは、それぞれ
図6(a)で説明した実施例に係る掃除機ノズル1の場合と同様の作用を有する。
【0050】
そして、
図11(b)及び
図11(d)に示すように、可撓管9、第1の列6及び第2の列7を、隅50cに押し付ける場合では、可撓管9の先端面3からの最大長さL
9がブラシ5の先端面3からの長さL
5よりも短いことから、吸込口9aと隅50cとの間には隙間S
p2が発生する。また、吸込口9aの端面E
9が前述したように傾斜していることで、端面E
9のうち、角部K
2,K
2間の辺部分が、それぞれ底部50aや壁部50bに接触してしまい、その結果掃除機ノズル1が隅50cへ接近し難くなることが防止される。
よって、第1の列6及び第2の列7が隅50cに集められる場合に、4本の可撓管9の各端面E
9が、いずれも隅50cから必要以上に遠ざかることなく、かつ底部50a及び壁部50bに密着することのない位置に配置され易くなる。
なお、図示は省略するが、掃除機ノズル1Aを
図9(b)におけるG方向と、Z方向に対し、ともに直交する方向(基準線L
1及び直交線L
2に対していずれも45°をなす方向)からみた場合の、角部K
1における可撓管9の外周面に対する端面E
9の角度は、およそ50°である。また、この場合における端面E
9は、やや下に凸の屈曲した線形状となっている。
【0051】
また、
図12(a)乃至
図12(d)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像であって、
図12(a)及び
図12(b)は、
図9(b)におけるG方向からみた場合の画像であり、
図12(c)及び
図12(d)は、
図12(a)におけるI方向からみた場合の画像である。なお、
図1乃至
図11で示した構成要素については、
図12においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12(a)及び
図12(c)に示すように、可撓管9、第1の列6及び第2の列7を、底部50aと壁部50bとの隅50cに押し付ける前は、これらの状態は
図6(a)で説明した実施例に係る掃除機ノズル1の状態と同様である。
次に、
図12(c)及び
図12(d)に示すように、第1の列6と第2の列7の双方を隅50cに沿わせないように隅50cに押し付ける場合でも、やはり吸込口9aと隅50cとの間には隙間S
p2が発生する。また、
図12(d)に示すように、第1の列6の先端6aと第2の列7の先端7aに挟まれる吸込口9aの端面E
9は、その全周に亘って先端6aと先端7aによって取り囲まれているわけではない。そのため、先端6aと先端7aに挟まれている吸込口9aであっても、隅50cに溜まった埃等を十分に吸い込み可能である。
【0052】
さらに、
図13(a)乃至
図13(c)と、
図14(a)乃至
図14(c)は、それぞれ実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの試作品の作用を説明するための画像であって、同試作品を平面上で進行方向へ向かって移動させた場合の画像である。なお、
図1乃至
図12で示した構成要素については、
図13及び
図14においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、
図13に示す進行方向X
1は
図9(b)におけるF方向と逆の方向であり、
図14に示す進行方向X
2は
図9(b)におけるG方向と逆の方向である。
図13(a)に示すように、掃除機ノズル1Aを平面51上で、X
1方向へ移動させた場合において、
図13(b)及び
図13(c)に示すように、主に先端6a全体のうち、X
1方向寄りの前方に位置する半分と、先端7aの全体が、平面51上に接触し、平面51上に溜まった埃等をX
1方向へ掃き出すことができる。
また、
図13(b)に示すように、先端6a,7a,7aよりも方向X
1寄りの前方には二つの吸込口9aが存在するため、この二つの吸込口9aが掃き出された埃等を直ちに吸い込むことができる。
さらに、掃除機ノズル1Aを平面51上で、X
1方向と逆の方向や、X
1方向と直交する二方向へ移動させた場合においても、各方向寄りの前方には、常に二つの吸込口9aが存在することから、進行方向がいずれであるかに関わらず二つの吸込口9aが掃き出された埃等を直ちに吸い込むことができる。
加えて、四つの吸込口9aと平面51の間には隙間S
p2が発生しているため、可撓管9が、掃き出された埃等を隙間S
p2を介して吸い込むことができる。
【0053】
さらに、
図14(a)に示すように、掃除機ノズル1Aを平面51上でX
1方向に対して45°をなすX
2方向へ移動させると、
図14(b)及び
図14(c)に示すように、吸込口9a、先端6a及び先端7aがX
2方向と逆の方向に向かうように、可撓管9、第1の列6及び第2の列7が屈曲する。そのため、主に先端6a,7a全体のうち、X
2方向寄りの前方に位置する各半分が、それぞれ平面51上に接触し、平面51上に溜まった埃等をX
2方向へ掃き出すことができる。
また、
図14(b)に示すように、先端6a,7aよりも方向X
2寄りの前方には一つの吸込口9aが存在するため、この一つの吸込口9aが掃き出された埃等を直ちに吸い込むことができる。
さらに、掃除機ノズル1Aを平面51上で、X
2方向と逆の方向や、X
2方向と直交する二方向へ移動させた場合においても、各方向寄りの前方には、常に一つの吸込口9aが存在することから、進行方向がいずれであるかに関わらず一つの吸込口9aが掃き出された埃等を直ちに吸い込むことができる。
加えて、可撓管9の最大長さL
9がブラシ5の長さL
5よりも短いことと、吸込口9aの端面E
9が傾斜していることから、四つの吸込口9aと平面51の間には隙間S
p2が発生する。よって、可撓管9が、掃き出された埃等を隙間S
p2を介して吸い込むことができる。
【0054】
前述したように、X1,X2以外の方向に掃除機ノズル1Aを移動させる場合においても、掃除機ノズル1Aは上記と同様の作用及び効果を発揮する。このように、孔部50の隅50cのほか、平面51上においても、掃除機ノズル1Aを移動させる方向に関わらず、先端6a,7aが平面51上に溜まった埃等を掃き出すことができる。さらに、掃除機ノズル1Aを移動させる方向に関わらず、常に一つ以上の吸込口9aが存在することから、一つ以上の可撓管9が掃き出された埃等を、隙間Sp2を介して直ちに吸い込むことができる。
【0055】
次に、掃除機ノズル1Aの使用方法について、
図15を用いて説明する。
図15は、実施例の第1の変形例に係る掃除機ノズルの使用方法を説明するための説明図である。なお、
図1乃至
図14で示した構成要素については、
図15においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
掃除機ノズル1Aを用いて、正方形かつ平面状の底部52aと、壁部52bと、底部52aと壁部52bとの隅52cを備える孔部52を清掃する場合を想定する。なお、底部52aは水平であり、底部52aに対し壁部52bがなす角度は90°である。
図15に示すように、まず、掃除機ノズル1Aを、孔部52へ差し込んだ後、可撓管4、第1の列6及び第2の列7を、隅52cの(1)で示す位置に押し付ける。次いで、そのまま掃除機ノズル1を持ち変えることなく(1)から(4)のように、四辺の隅52cに沿わせてスライドさせるとよい。
【0056】
詳細には、(1)の区画S
1と区画S
4を形成する基準線L
1に対する隅50cの走行方向L
3の角度θが0°の場合では、
図5(b)で説明した掃除機ノズル1と同様に、第1の列6の先端6aと、第2の列7の先端7aが隅52cに集められる。
したがって、隅52cに集められた先端6a及び先端7aによって、隅50cに溜まった埃等が掃き出される。掃き出された埃等は、4本の可撓管9の各吸込口9aが、第1の列6及び第2の列7を挟んで開口し、かつ隙間S
p2(
図11(d)参照)が形成されているため、直ちに4本の可撓管9によって吸い込まれる。
次に、掃除機ノズル1を反時計回りにスライドさせ、(2)乃至(4)のように順次配置した場合も、(1)の場合と同様に、隅52cに集められた先端6a及び先端7aによって埃等が掃き出され、掃き出された埃等は直ちに4本の可撓管9によって吸い込まれる。
【0057】
また、隅52cと、隅52cが交わる四隅52dについては、掃除機ノズル1Aの図示は省略するが、角度θが45°、135°等になる。よって、角度θが45°の場合では(1)に示す可撓管9*のように、四隅52dに最も近い可撓管9によって、この四隅52dに溜まった埃等を十分に吸い込むことができる。なお、四隅52dに可撓管9を近づけることができるのは、その端面E9が傾斜していることによって、端面E9と四隅52dとの間隔を一層縮めることが可能になったためである。
さらに、四隅52dの上方の、壁部52bと壁部52bとの壁部隅52eについても、この壁部隅52eに第1の列6及び第2の列7を押し当てた後、例えば掃除機ノズル1Aを上下にスライドさせることにより、(1)乃至(4)の場合と同様に、壁部隅52eに集められた先端6a及び先端7aによって埃等が掃き出され、掃き出された埃等は直ちに少なくとも1本の可撓管9によって吸い込まれる。
【0058】
さらに、底部52aにおいては、
図11及び
図12で説明したように、掃除機ノズル1Aを移動させる方向に関わらず、先端6a,7aが平面状の底部52a上に溜まった埃等を掃き出し、可撓管9が掃き出された埃等を隙間S
p2を介して吸い込むことが可能であるため、底部52aが先端面3の面積に対して広めの面積を有する場合であっても、底部52aと、隅52cを効率的に清掃できる。なお、掃除機ノズル1Aを用いて、
図7に示した孔部50を清掃する場合においても、先端面3の面積に対して広めの面積を有する底部50aを効率的に清掃できる。
したがって、掃除機ノズル1Aによれば、孔部の底部が四隅を有するか否か、または底部の面積の大小に関わらず、孔部の清掃を確実に実施することができる。
【0059】
加えて、可撓管9には、有角部10が形成されるため、角部K1,K2,K2において、可撓管が過度に屈曲することが防止される。そのため、可撓管9が途中で折れ曲がることを防止できる。よって、可撓管9の内部に吸い込まれた埃等を確実に本体2へ移送することができる。
また、角部K1が先端面3の中心点、すなわち交点O寄りに配置されることにより、屈曲した可撓管9が屈曲前の本体2の先端面3から前方(Z方向)に向かって突出した形状へ確実に復元するため、復元後に複数の可撓管9のすべての開口方向が揃い易い。よって、掃除機ノズル1Aを連続して異なる移動方向に移動させた後であっても、掃除機ノズル1Aを中心としてムラなく埃等を吸い込むことができる。
これ以外の掃除機ノズル1Aの作用及び効果は、実施例に係る掃除機ノズル1の作用及び効果と同様である。
【0060】
次に、実施例の第2及び第3の変形例に係る掃除機ノズルについて、
図16を用いて説明する。
図16(a)及び
図16(b)は、それぞれ実施例の第2及び第3の変形例に係る掃除機ノズルを、
図1におけるA方向と同方向からみた場合の平面図である。なお、
図1乃至
図15で示した構成要素については、
図16においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図16(a)に示すように、実施例の第2の変形例に係る掃除機ノズル1Bは、先端面3上の基準線L
1に沿って配列される1本の第1の列6と、この第1の列6と交点Oにおいて交わる2本の第2の列7を備える。詳細には、1本の第1の列6と、2本の第2の列7は、それぞれの一方の端部6b,7bが交点Oにおいて交わっている。
【0061】
また、2本の第2の列7は、基準線L1に対して反時計回りにそれぞれ120°,240°をなす直線L120,L240に沿って配列される。よって、先端面3は、交点Oを中心として120°毎に区画されるため、三個の均等な面積を有する区画S1~S3が形成される。
さらに、3本の可撓管4が、それぞれ区画S1~S3に、交点Oを中心として120°毎に1本ずつ配置される。よって、3本の可撓管4は交点Oを中心として、先端面3の周方向に沿って均等に配置され、1本の第1の列6及び2本の第2の列7も交点Oを中心としてこれと同様に配置される。これ以外の掃除機ノズル1Bにおける構成は、実施例に係る掃除機ノズル1の構成と同様である。
【0062】
掃除機ノズル1Bにおいては、例えば、第1の列6の他方の端部6cを、
図7に示した(1)と同一の位置で隅50cに押し付けると、第1の列6の先端6a(
図4等参照)が基準線L
1方向に沿って短縮し、かつ2本の第2の列7の先端7a,7a(
図4等参照)同士が円弧状に連なることになる。よって、先端6aと、先端7a,7aが隅50cに集められ、隅50cに溜まった埃等を掃き出すことができる。そして、掃き出された埃等は、隅50cの外側に開口する2本の可撓管4と、隅50cの内側(交点O側)に開口する1本の可撓管4によって、吸い込まれる。
【0063】
また、
図7に示した(1)以外の位置においても、先端6aと、先端7a,7aが隅50cの形状に応じて自在に変形可能であることから、これらが隅50cに集められて、溜まった埃等を掃き出すことができる。そして、掃き出された埃等は、隅50cの外側に開口する可撓管4と、隅50cの内側に開口する可撓管4によって、吸い込まれる。なお、隅50cの外側及び内側に開口する可撓管4の本数は、隅50cに対する掃除機ノズル1Bの配置によって、1本または2本と変化するが、いずれの場合においても先端6aと、先端7a,7aの外側及び内側に存在する埃等を吸い込むことが可能である。したがって、掃除機ノズル1Bによっても、これを持ち変えることなく孔部50を速やかかつ容易に清掃可能である。これ以外の掃除機ノズル1Bにおける作用及び効果は、実施例に係る掃除機ノズル1の作用及び効果と同様である。
【0064】
さらに、
図16(b)に示すように、実施例の第3の変形例に係る掃除機ノズル1Cは、先端面3上の基準線L
1に沿って配列される1本の第1の列6と、この第1の列6と交点Oにおいて交わる3本の第2の列7を備える。詳細には、1本の第1の列6と、3本の第2の列7は、それぞれの中点が交点Oにおいて交わっている。
また、3本の第2の列7は、基準線L
1に対して反時計回りにそれぞれ45°から135°まで45°毎に走行する直線L
45,L
90,L
135に沿って配列される。よって、先端面3は、交点Oを中心として45°毎に区画されるため、八個の均等な面積を有する区画S
1~S
8が形成される。
さらに、4本の可撓管4が、それぞれ区画S
1,S
3,S
5,S
7に、交点Oを中心として90°毎に1本ずつ配置される。よって、4本の可撓管4は交点Oを中心として、先端面3の周方向に沿って均等に配置され、1本の第1の列6及び3本の第2の列7も交点Oを中心としてこれと同様に配置される。これ以外の掃除機ノズル1Cにおける構成は、実施例に係る掃除機ノズル1の構成と同様である。
【0065】
掃除機ノズル1Cにおいては、例えば、第1の列6の他方の端部6c,6cのうち、区画S
1と区画S
2を区画する一方を、
図7に示した(1)と同一の位置で隅50cに押し付けると、第1の列6の先端6aが基準線L
1方向に沿って短縮して隅50cに集められ、かつ3本の第2の列7のうち、直線L
90に沿って配列する1本の第2の列7の先端7aも隅50cに集められる。
さらに、3本の第2の列7のうち、直線L
45,L
135に沿ってそれぞれ配列する2本の第2の列7の先端7a,7aもそれぞれ円弧状に連なり、隅50cに集められる。
よって、先端6aと、すべての先端7aが隅50cに集められ、隅50cに溜まった埃等を掃き出すことができる。そして、掃き出された埃等は、隅50cの外側に開口する2本の可撓管4と、隅50cの内側に開口する2本の可撓管4によって、吸い込まれる。
【0066】
また、
図7に示した(1)以外の位置においても、先端6aと、すべての先端7aが隅50cの形状に応じて自在に変形可能であることから、これらが隅50cに溜まった埃等を掃き出し、掃き出された埃等を、合計4本の可撓管4によって、隅50cの外側及び内側において吸い込むことが可能である。したがって、掃除機ノズル1Cによっても、これを持ち変えることなく孔部50を速やかかつ容易に清掃可能である。これ以外の掃除機ノズル1Cにおける作用及び効果は、実施例に係る掃除機ノズル1の作用及び効果と同様である。
【0067】
なお、本発明に係る掃除機ノズルは、実施例に示すものに限定されない。例えば、本体2の先端面3は、交点Oを中心として第1の列6及び第2の列7によって、必ずしも放射状に均等の面積となるように区画されなくてもよく、不均等の面積となるように区画されても良い。また、ブラシ5は、それぞれ先端面3上に植設された複数のブラシ小束5cの代わりに、細長い長方形状の領域に隙間なく植設された毛束から構成されてもよい。
また、掃除機ノズル1の可撓管4は、区画S
1~S
4において、それぞれ1本以上設けられればよいほか、それぞれ同一本数が設けられなくても良い。さらに、掃除機ノズル1Aにおいて、
図9(b)におけるG方向に対して直交する方向からみた場合の端面E
9は、やや上に凸の屈曲した線形状をなすほか、直線状をなしていてもよい。
そして、掃除機ノズル1の試作品の有角部8や掃除機ノズル1Aの有角部10は、それぞれ可撓管4,9の横断面状で扇形をなす代わりに、二等辺三角形やしずく形に形成されてもよい。
このほか、掃除機ノズル1,1A,1B,1Cは、孔部50,52以外の清掃対象物、例えば、床面のほか、本、食器、洋服等を収納する収納棚の内部や、各種の道具を収納する道具箱の内部、部屋の隅やドア、天井等の清掃に用いることができる。
本発明に係る掃除機ノズルは、掃除機の吸込パイプに接続されて、清掃対象物の底部や隅に溜まった埃等を効率的に除去し、かつ清掃にかかる手間や時間を減らすことのできる掃除機ノズルとして利用可能である。
前記可撓管の長手方向のうち、少なくとも前記固定部寄りの一部に、前記可撓管の横断面上で前記交点寄りに設けられる角部を、少なくとも有する有角部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の掃除機ノズル。
前記吸込口の端面は、その全周において前記先端面と平行、または前記先端面上の前記交点から前記先端面の周面へ向かう方向に沿って、前記先端面へより近づくように傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の掃除機ノズル。