(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008605
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20230112BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B65H1/04 322
B65H11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112287
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砺波 則史
【テーマコード(参考)】
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
3F063BC01
3F343FA03
3F343FB01
3F343FC04
3F343GA02
3F343GC01
3F343GD01
3F343HE03
3F343HE11
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA14
3F343LC05
3F343LD04
(57)【要約】
【課題】媒体がサイドガイドを乗り越える不具合を防止し、かつ、トレイが格納されるスペースを低減する。
【解決手段】画像読取装置は、格納されたり展開したりするように媒体搬送装置本体に回転可能に支持される給紙トレイ本体と、給紙トレイ本体に載置される媒体の端面に対向する左向きサイドガイド面23が形成される右側サイドガイド21とを備えている。右側サイドガイド21は、給紙トレイ本体に支持されるサイドガイド本体32と、格納されたり展開したりするようにサイドガイド本体32に支持される可動部材33とを備えている。可動部材33には、可動部材33が展開されるときに左向きサイドガイド面23に凹み64が形成されるように、左側切欠き61が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納されたり展開したりするように本体に回転可能に支持されるトレイと、
前記トレイに載置される媒体の端面に対向するサイドガイド面が形成されるサイドガイドとを備え、
前記サイドガイドは、
前記トレイに支持されるサイドガイド本体と、
格納されたり展開したりするように前記サイドガイド本体に支持される可動部材とを有し、
前記可動部材の前記トレイに対する高さは、
前記可動部材が展開するときに、前記サイドガイド本体の前記トレイに対する高さより高い第1高さに等しく、
前記可動部材が格納されるときに、前記第1高さより低い第2高さに等しく、
前記可動部材には、前記可動部材が展開されるときに前記サイドガイド面に凹みが形成されるように、切欠きが形成される
媒体搬送装置。
【請求項2】
前記可動部材は、
前記サイドガイド本体に回転可能に支持される支持部分と、
前記支持部分に固定される突出部分とを有し、
前記支持部分には、前記端面に対向する切欠内サイドガイド面が形成され、
前記切欠きは、前記突出部分が前記切欠内サイドガイド面から突出することにより形成される
請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記突出部分は、前記サイドガイド面が沿う平面に交差しないように形成される
請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記サイドガイド本体に回転可能に支持される押上部材と、
前記押上部材が展開されるように、前記押上部材に弾性力を与える弾性部材とをさらに備え、
前記トレイのうちの前記媒体が対向する載置面は、前記トレイが格納されるときに、前記本体に対向し、
前記可動部材は、
前記押上部材が展開するときに、前記押上部材が前記支持部分を押し上げることにより、展開し、
前記トレイが格納されるときに、前記突出部分が前記本体に接触することにより、格納され、
前記押上部材は、前記可動部材が格納されるときに、前記支持部分が前記押上部材を押し下げることにより、前記弾性力に対抗して格納される
請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記押上部材には、前記サイドガイド面が沿う平面に沿う他のサイドガイド面が形成される
請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記支持部分には、溝が形成され、
前記押上部材には、前記溝に嵌合する突起が形成され、
前記突起は、前記押上部材が移動するときに、前記溝に沿って移動する
請求項4または請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記サイドガイド本体に固定され、前記可動部材が格納されるときに、前記溝に嵌合する格納時固定用突起
をさらに備える請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記支持部分は、
前記溝のうちの前記格納時固定用突起に嵌合する部分が形成される第1支持部分と、
前記溝のうちの前記部分と異なる他の部分が形成される第2支持部分とを有し、
前記突出部分は、
前記切欠内サイドガイド面のうちの前記第1支持部分に形成される部分から突出する第1突出部分と、
前記切欠内サイドガイド面のうちの前記第2支持部分に形成される部分から突出する第2突出部分とを有し、
前記第1突出部分は、前記第2突出部分が沿う平面より前記格納時固定用突起から遠い側に配置される
請求項7に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記支持部分には、前記切欠内サイドガイド面が形成されている側の反対側に反対側切欠内サイドガイド面が形成され、
前記突出部分は、前記反対側切欠内サイドガイド面からさらに突出する
請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体が傾斜して給紙される斜行を防止するサイドガイドがトレイに設けられている媒体搬送装置が知られている(特許文献1~3)。媒体搬送装置は、トレイが格納されることにより、小さくなり、小さなスペースに格納可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/131117号公報
【特許文献2】特開2009-143709号公報
【特許文献3】特開2012-144315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような媒体搬送装置は、サイドガイドが格納されるスペースをより小さくすることにより、トレイが格納されるスペースをより小さくすることができ、装置サイズを小型化できる。しかしながら、このような媒体搬送装置は、サイドガイドの高さが低く形成されているときに、トレイに載置される媒体がサイドガイドを乗り越えるという不具合が発生し易くなる。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、媒体がサイドガイドを乗り越える不具合を防止し、かつ、トレイが格納されるスペースを低減する媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による媒体搬送装置は、格納されたり展開したりするように本体に回転可能に支持されるトレイと、前記トレイに載置される媒体の端面に対向するサイドガイド面が形成されるサイドガイドとを備えている。前記サイドガイドは、前記トレイに支持されるサイドガイド本体と、格納されたり展開したりするように前記サイドガイド本体に支持される可動部材とを有している。前記可動部材の前記トレイに対する高さは、前記可動部材が展開するときに、前記サイドガイドの前記トレイに対する高さより高い第1高さに等しく、前記可動部材が格納されるときに、前記第1高さより低い第2高さに等しい。前記可動部材には、前記可動部材が展開されるときに前記サイドガイド面に凹みが形成されるように、切欠きが形成されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の媒体搬送装置は、媒体がサイドガイドを乗り越える不具合を防止し、かつ、トレイが格納されるスペースを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、給紙トレイが媒体搬送装置本体に格納されているときの画像読取装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、給紙トレイと右側サイドガイドと左側サイドガイドとを示す平面図である。
【
図4】
図4は、右側サイドガイドを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、可動部材が可動部材展開位置に配置されているときの右側サイドガイドを示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図5のA-A線断面を示し、可動部材と押上部材と格納時固定用突起とを示す断面図である。
【
図7】
図7は、右側サイドガイドを示す拡大側面図である。
【
図8】
図8は、
図7のB-B線断面を示し、右側サイドガイドを示す断面図である。
【
図9】
図9は、右側サイドガイドを示す他の断面図である。
【
図10】
図10は、可動部材が可動部材格納位置に配置されているときの右側サイドガイドを示す側面図である。
【
図11】
図11は、
図10のC-C線断面を示し、可動部材が可動部材格納位置に配置されているときの右側サイドガイドを示す断面図である。
【
図12】
図12は、給紙トレイが媒体搬送装置本体に格納されているときの右側サイドガイドを示す側面図である。
【
図13】
図13は、給紙トレイに適切に載置された複数の媒体を示す断面図である。
【
図14】
図14は、搬送方向に対して傾斜して給紙トレイに載置された媒体を示す平面図である。
【
図15】
図15は、搬送方向に対して傾斜した媒体を示す断面図である。
【
図16】
図16は、
図14のD-D線断面を示し、搬送方向に対して傾斜した媒体と右側サイドガイドとを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる媒体搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
実施例の媒体搬送装置は、
図1に示されているように、画像読取装置1に設けられている。
図1は、実施例の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置1を示す斜視図である。画像読取装置1は、媒体搬送装置本体2と給紙トレイ3とを備えている。媒体搬送装置本体2は、概ね箱形に形成されている。媒体搬送装置本体2は、画像読取装置1が設置される設置面に載置される。媒体搬送装置本体2には、給紙口5と排紙口6とが形成されている。給紙口5は、媒体搬送装置本体2の奥側に形成されている。排紙口6は、媒体搬送装置本体2の上側の手前側に形成されている。媒体搬送装置本体2の内部には、図示されていない搬送路がさらに形成されている。
【0011】
画像読取装置1は、図示されていない搬送部と読取部とをさらに備えている。搬送部は、給紙口5に挿入された複数の媒体のうちの1つの媒体を搬送路に供給する。搬送部は、さらに、搬送路に供給された媒体を搬送路に沿って搬送し、搬送路に沿って搬送された媒体を排紙口6から媒体搬送装置本体2の外部に排紙する。読取部は、搬送路に沿って搬送される媒体の画像を撮像する。
【0012】
給紙トレイ3は、給紙トレイ本体7と給紙トレイ延長部材8とを備えている。給紙トレイ本体7は、板状に形成されている。給紙トレイ本体7には、給紙トレイ載置面11が形成されている。給紙トレイ本体7の内部には、給紙トレイ延長部材8が格納される格納空間が形成されている。給紙トレイ本体7は、回転軸12まわりに回転可能に媒体搬送装置本体2に支持されている。回転軸12は、画像読取装置1が設置される設置面が沿う平面に平行であり、給紙トレイ載置面11が沿う平面に平行である。給紙トレイ本体7は、給紙トレイ本体7が回転軸12まわりに回転することにより、開閉する。
【0013】
給紙トレイ延長部材8は、板状に形成されている。給紙トレイ延長部材8には、給紙トレイ補助載置面14が形成されている。給紙トレイ延長部材8は、給紙トレイ本体7に対して移動可能に給紙トレイ本体7に支持されている。給紙トレイ3は、給紙トレイ延長部材8が給紙トレイ本体7に対して移動することにより、伸縮する。
【0014】
給紙トレイ3は、給紙トレイ本体7が開閉したり、給紙トレイ3が伸縮したりすることにより、展開したり媒体搬送装置本体2に格納されたりする。給紙トレイ本体7は、給紙トレイ3が適切に展開しているときに、給紙トレイ展開位置に配置され、給紙トレイ載置面11が斜め上方を向くように媒体搬送装置本体2の奥側に配置されている。給紙口5は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ展開位置に配置されているときに、給紙トレイ本体7に接続され、給紙トレイ本体7の給紙トレイ載置面11に接続されている。
【0015】
給紙トレイ3は、給紙トレイ3が適切に展開しているときに、延伸している。給紙トレイ延長部材8は、給紙トレイ3が適切に延伸しているときに、給紙トレイ延伸位置に配置され、給紙トレイ載置面11が沿う平面に給紙トレイ補助載置面14が概ね沿うように、給紙トレイ本体7の外部に配置されている。
【0016】
図2は、給紙トレイ3が媒体搬送装置本体2に格納されているときの画像読取装置1を示す斜視図である。給紙トレイ3は、給紙トレイ3が媒体搬送装置本体2に適切に格納されているときに、短縮している。給紙トレイ延長部材8は、給紙トレイ3が適切に短縮しているときに、給紙トレイ短縮位置に配置され、給紙トレイ本体7の格納空間に配置され、格納されている。給紙トレイ本体7は、給紙トレイ3が媒体搬送装置本体2に適切に格納されているときに、給紙トレイ格納位置に配置され、給紙トレイ載置面11が下を向いて媒体搬送装置本体2に対向するように、媒体搬送装置本体2の上に配置されている。排紙口6は、給紙トレイ3が給紙トレイ格納位置に配置されているときに、給紙トレイ本体7に覆われている。画像読取装置1は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されているときに、排紙口6が給紙トレイ本体7に覆われていることにより、排紙口6を介して搬送路に異物が侵入することを防止することができる。
【0017】
給紙トレイ3は、図示されていない給紙トレイ伸縮機構をさらに備えている。給紙トレイ伸縮機構は、給紙トレイ本体7の開閉に連動させて給紙トレイ延長部材8を機械的に移動させ、給紙トレイ本体7が開閉することにより給紙トレイ3を機械的に伸縮させる。すなわち、給紙トレイ伸縮機構は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ展開位置に向かって移動するときに、給紙トレイ延長部材8を給紙トレイ延伸位置に向かって移動させる。給紙トレイ伸縮機構は、給紙トレイ本体7が展開位置に配置されるときに、給紙トレイ延長部材8を給紙トレイ延伸位置に配置する。給紙トレイ伸縮機構は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に向かって移動するときに、給紙トレイ延長部材8を給紙トレイ短縮位置に向かって移動させる。給紙トレイ伸縮機構は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されるときに、給紙トレイ延長部材8を給紙トレイ短縮位置に配置する。
【0018】
画像読取装置1は、
図3に示されているように、右側サイドガイド21と左側サイドガイド22とをさらに備えている。
図3は、給紙トレイ3と右側サイドガイド21と左側サイドガイド22とを示す平面図である。右側サイドガイド21には、左向きサイドガイド面23が形成されている。右側サイドガイド21は、左向きサイドガイド面23が左側を向くように、かつ、右側サイドガイド21が給紙トレイ載置面11から突出するように、給紙トレイ載置面11のうちの右側の領域に配置されている。左側サイドガイド22には、右向きサイドガイド面24が形成されている。左側サイドガイド22は、右向きサイドガイド面24が右側を向くように、かつ、左側サイドガイド22が給紙トレイ載置面11から突出するように、給紙トレイ載置面11のうちの左側の領域に配置されている。左向きサイドガイド面23が沿う平面は、給紙トレイ載置面11が沿う平面に垂直であり、かつ、搬送方向25に平行である。搬送方向25は、給紙トレイ載置面11が沿う平面に平行であり、かつ、回転軸12に垂直である。右向きサイドガイド面24が沿う平面は、給紙トレイ載置面11が沿う平面に垂直であり、かつ、搬送方向25に平行である。すなわち、右側サイドガイド21と左側サイドガイド22とは、左向きサイドガイド面23と右向きサイドガイド面24とが互いに向かい合うように、配置されている。
【0019】
図4は、右側サイドガイド21を示す斜視図である。右側サイドガイド21は、サイドガイド土台31とサイドガイド本体32と可動部材33と押上部材34とを備えている。サイドガイド土台31は、概ね板状に形成されている。サイドガイド土台31は、給紙トレイ載置面11に沿うように配置され、幅方向35に並進可能に給紙トレイ本体7に支持されている。幅方向35は、回転軸12に平行である、すなわち、給紙トレイ載置面11が沿う平面に平行であり、かつ、搬送方向25に垂直である。
【0020】
サイドガイド本体32には、本体側左向きサイドガイド面36が形成されている。本体側左向きサイドガイド面36は、左向きサイドガイド面23の一部である、すなわち、本体側左向きサイドガイド面36が沿う平面は、給紙トレイ載置面11が沿う平面に垂直であり、かつ、搬送方向25に平行である。サイドガイド本体32は、サイドガイド本体32が給紙トレイ載置面11から突出するように、配置されている。サイドガイド本体32は、サイドガイド土台31と一体に形成され、サイドガイド土台31に固定されている。
【0021】
可動部材33は、サイドガイド本体32の搬送方向25の上流側に配置されている。可動部材33は、回転軸37まわりに回転可能にサイドガイド本体32に支持されている。回転軸37は、幅方向35に平行である、すなわち、給紙トレイ載置面11が沿う平面に平行であり、かつ、搬送方向25に垂直である。可動部材33は、回転軸37まわりに回転することにより、展開したり格納されたりする。可動部材33は、展開しているときに、可動部材展開位置に配置されている。押上部材34は、サイドガイド本体32の搬送方向25の上流側の、可動部材33と給紙トレイ本体7との間に配置され、可動部材33の下に配置されている。
【0022】
図5は、可動部材33が可動部材展開位置に配置されているときの右側サイドガイド21を示す側面図である。可動部材33は、可動部材33が可動部材展開位置に配置されているときに、可動部材33が回転軸37まわりを
図5で時計回りに回転しないように、規制されている。可動部材33の給紙トレイ本体7に対する高さは、可動部材33のうちの給紙トレイ載置面11から最も離れている点と、給紙トレイ載置面11が沿う平面との間の距離を示している。可動部材33の給紙トレイ本体7に対する高さは、可動部材33が可動部材展開位置に配置されているときに、第1高さH1に等しく、サイドガイド本体32の給紙トレイ本体7に対する高さH0より高い。
【0023】
押上部材34は、回転軸39まわりに回転可能にサイドガイド土台31に支持されている、すなわち、回転軸39まわりに回転可能にサイドガイド土台31を介してサイドガイド本体32に支持されている。回転軸39は、回転軸37に平行である、すなわち、給紙トレイ載置面11が沿う平面に平行であり、かつ、搬送方向25に垂直である。押上部材34は、回転軸39まわりに回転することにより、展開したり格納されたりする。押上部材34は、可動部材33が可動部材展開位置に配置されているときに、展開し、押上部材展開位置に配置されている。
【0024】
右側サイドガイド21は、
図6に示されているように、格納時固定用突起41をさらに備えている。
図6は、
図5のA-A線断面を示し、可動部材33と押上部材34と格納時固定用突起41とを示す断面図である。格納時固定用突起41は、棒状に形成され、給紙トレイ載置面11が向く上方に向かって突出するように、配置されている。格納時固定用突起41は、サイドガイド土台31に固定されている、すなわち、サイドガイド土台31を介してサイドガイド本体32に固定されている。
【0025】
押上部材34には、当接面42と突起43とがさらに形成されている。当接面42は、押上部材34の可動部材33に対向する上側に形成されている。突起43は、当接面42の幅方向35における中央の領域から上側に突出するように形成され、可動部材33に向かって突出するように形成されている。
【0026】
押上部材34には、上流側右向きサイドガイド面44と上流側左向きサイドガイド面45とが形成されている。上流側右向きサイドガイド面44は、概ね平坦に形成されている。上流側左向きサイドガイド面45は、押上部材34の上流側右向きサイドガイド面44が形成されている側の反対側に形成されている。上流側左向きサイドガイド面45は、上流側右向きサイドガイド面44が沿う平面に平行である他の平面に沿うように、概ね平坦に形成されている。
【0027】
押上部材34は、対称面46に関して概ね対称に形成されている。対称面46は、幅方向35に垂直であり、押上部材34の幅方向35における中央に位置している。たとえば、対称面46と上流側右向きサイドガイド面44との間の距離は、対称面46と上流側左向きサイドガイド面45との間の距離に概ね等しい。突起43は、対称面46に交差するように形成されている。
【0028】
図7は、右側サイドガイド21を示す拡大側面図である。押上部材34は、サイドガイド本体32の本体側左向きサイドガイド面36が沿う平面に上流側左向きサイドガイド面45が沿うように、配置されている。すなわち、上流側左向きサイドガイド面45は、左向きサイドガイド面23の一部であり、本体側左向きサイドガイド面36と上流側左向きサイドガイド面45は、同一平面に沿っている。
【0029】
可動部材33は、支持部分51と突出部分52とを備えている。
図8は、
図7のB-B線断面を示し、右側サイドガイド21を示す断面図である。支持部分51には、摺動面53と切欠き内左向きサイドガイド面54と切欠き内右向きサイドガイド面55と溝56とが形成されている。摺動面53は、支持部分51の押上部材34に対向する側に形成され、概ね平坦に形成されている。切欠き内左向きサイドガイド面54は、左側を向き、左向きサイドガイド面23が沿う平面より右側に形成され、左向きサイドガイド面23が沿う平面に平行である他の平面に沿っている。切欠き内右向きサイドガイド面55は、右側を向き、支持部分51の切欠き内左向きサイドガイド面54が形成されている側の反対側に形成されている。溝56は、摺動面53の幅方向35における中央の領域に形成されている、すなわち、支持部分51の押上部材34に対向する側に形成されている。
【0030】
突出部分52は、切欠き内左向きサイドガイド面54から突出するように、かつ、切欠き内右向きサイドガイド面55から突出するように、支持部分51の上に配置されている。突出部分52は、支持部分51と一体に形成され、支持部分51に固定されている。突出部分52には、突出側左向きサイドガイド面57と突出側右向きサイドガイド面58とが形成されている。突出側左向きサイドガイド面57は、左側を向き、上流側左向きサイドガイド面45が沿う平面に沿っている。すなわち、突出側左向きサイドガイド面57は、左向きサイドガイド面23の一部であり、本体側左向きサイドガイド面36と上流側左向きサイドガイド面45と突出側左向きサイドガイド面57とは、同一平面に沿っている。言い換えると、突出部分52は、左向きサイドガイド面23が沿う平面に交差していない、すなわち、左向きサイドガイド面23が沿う平面より左側に突出していない。突出側右向きサイドガイド面58は、右側を向き、突出部分52の突出側左向きサイドガイド面57が形成される側の反対側に形成され、上流側右向きサイドガイド面44が沿う平面に沿っている。言い換えると、突出部分52は、上流側右向きサイドガイド面44が沿う平面に交差していない、すなわち、上流側右向きサイドガイド面44が沿う平面より右側に突出していない。
【0031】
可動部材33には、左側切欠き61と右側切欠き62とがさらに形成されている。左側切欠き61は、突出部分52が切欠き内左向きサイドガイド面54から突出することにより形成されている。右側切欠き62は、突出部分52が切欠き内右向きサイドガイド面55から突出することにより形成されている。右側サイドガイド21には、可動部材33に左側切欠き61が形成されていることにより、可動部材33が可動部材展開位置に配置されたときに、左向きサイドガイド面23から凹む凹み64が形成される。
【0032】
可動部材33は、対称面63に関して概ね対称に形成されている。対称面63は、幅方向35に垂直であり、可動部材33の幅方向35における中央に位置している。たとえば、対称面63と突出側左向きサイドガイド面57との間の距離は、対称面63と突出側右向きサイドガイド面58との間の距離に概ね等しい。溝56は、対称面63に交差するように形成されている。
【0033】
図9は、右側サイドガイド21を示す他の断面図である。右側サイドガイド21は、ばね65をさらに備えている。ばね65は、ねじりコイルばねから形成されている。ばね65の一端は、押上部材34に固定され、ばね65の他端は、サイドガイド土台31に固定されている。ばね65は、押上部材34が押上部材展開位置に配置されているときに、弾性変形し、押上部材34が押上部材格納位置に向かって移動することに対抗するように、弾性力を押上部材34に与えている。
【0034】
可動部材33の溝56は、第1溝部分66と第2溝部分67とを含んでいる。第1溝部分66は、第2溝部分67より回転軸37から遠い側に形成されている。第2溝部分67の深さは、第1溝部分66に近付くにつれ浅くなっている。第1溝部分66の深さは、第2溝部分67のうちの第1溝部分66に近い側の端の深さより深い。可動部材33の支持部分51は、第1支持部分68と第2支持部分69とを含んでいる。第1支持部分68には、溝56の第1溝部分66が形成されている。第2支持部分69には、溝56の第2溝部分67が形成されている。すなわち、第1支持部分68は、第2支持部分69より回転軸37から遠い側に形成されている。
【0035】
突出部分52は、第1突出部分71と第2突出部分72とを含んでいる。第1突出部分71は、切欠き内左向きサイドガイド面54の第1支持部分68に形成される部分から突出し、切欠き内右向きサイドガイド面55の第1支持部分68に形成される部分から突出している。第1突出部分71は、第2突出部分72より回転軸37から遠い側に形成されている。第2突出部分72は、さらに、切欠き内左向きサイドガイド面54の第2支持部分69に形成される部分から突出し、切欠き内右向きサイドガイド面55の第2支持部分69に形成される部分から突出している。
【0036】
第1突出部分71は、第2突出部分72より上側に突出している。第1溝部分66は、第1突出部分71が上側に突出していることにより、第2支持部分69が回転軸37から遠ざかるにつれ先細に形成されている場合でも、第1溝部分66の深さが第2溝部分67の第1溝部分66の側の端の深さより深くなるように、形成されることができる。また、第1突出部分71は、第1溝部分66の深さが第2溝部分67の第1溝部分66の側の端の深さより深い場合でも、予め定められた厚さより第1突出部分71の厚さが薄くならないように、形成されることができる。
【0037】
押上部材34の突起43は、押上部材34が押上部材展開位置に配置されているときで、かつ、可動部材33が可動部材展開位置に配置されているときに、第2溝部分67の内部に入り込んでいる。画像読取装置1は、突起43が第2溝部分67の内部に入り込んでいることにより、可動部材33が幅方向35に移動する程度を低減することができ、可動部材33を適切に支持することができる。
【0038】
可動部材33は、
図10に示されているように、可動部材33が適切に格納されているときに、可動部材格納位置に配置されている。
図10は、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときの右側サイドガイド21を示す側面図である。可動部材33の給紙トレイ本体7に対する高さは、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときに、第2高さH2に等しく、サイドガイド本体32の給紙トレイ本体7に対する高さH0より高い。さらに、第2高さH2は、第1高さH1より低い。
【0039】
押上部材34は、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときに、格納され、押上部材格納位置に配置されている。ばね65は、押上部材34が押上部材格納位置に配置されているときに、弾性変形し、押上部材34が押上部材展開位置に向かって移動するように、弾性力を押上部材34に与えている。
【0040】
図11は、
図10のC-C線断面を示し、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときの右側サイドガイド21を示す断面図である。格納時固定用突起41は、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときに、可動部材33の溝56の第1溝部分66に嵌合している。画像読取装置1は、格納時固定用突起41が溝56の第1溝部分66に嵌合することにより、可動部材33の第1突出部分71がサイドガイド本体32に対して幅方向35に移動する程度を低減し、可動部材33を適切に支持することができる。
【0041】
左側サイドガイド22は、右側サイドガイド21が鏡映変換されたものと同じになるように、形成され、右側サイドガイド21と同様に、サイドガイド土台とサイドガイド本体と可動部材と押上部材と格納時固定用突起とばねとを備えている。このとき、可動部材33は、可動部材33が対称面63に関して対称に形成されていることにより、左側サイドガイド22の可動部材として利用することができる。押上部材34は、押上部材34が対称面46に関して対称に形成されていることにより、左側サイドガイド22の押上部材として利用することができる。画像読取装置1は、可動部材33と押上部材34とが右側サイドガイド21と左側サイドガイド22との両方に利用されることにより、製造コストを低減することができる。
【0042】
[画像読取装置1の動作]
ユーザは、画像読取装置1を格納するときに、給紙トレイ本体7を給紙トレイ格納位置に向かって移動させ、給紙トレイ本体7を給紙トレイ格納位置に配置する。給紙トレイ延長部材8は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されたときに、給紙トレイ本体7の格納空間に格納される。給紙トレイ3は、給紙トレイ延長部材8が給紙トレイ短縮位置に配置されて給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されることにより、媒体搬送装置本体2に適切に格納される。
【0043】
右側サイドガイド21の可動部材33は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に向かって移動するときに、可動部材33の第1突出部分71が媒体搬送装置本体2に接触することにより、可動部材格納位置に向かって移動する。押上部材34は、可動部材33が可動部材格納位置に向かって移動するときに、押上部材34の当接面42が可動部材33の摺動面53を滑ることにより、可動部材33に押下げられ、ばね65の弾性力に対抗して押上部材格納位置に向かって移動する。
【0044】
図12は、給紙トレイ3が媒体搬送装置本体2に格納されているときの右側サイドガイド21を示す側面図である。可動部材33は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されているときに、可動部材33の第1突出部分71が媒体搬送装置本体2に接触することにより、適切に格納され、可動部材格納位置に配置される。押上部材34は、可動部材33が可動部材格納位置に配置されることにより、押上部材格納位置に配置される。
【0045】
格納時固定用突起41は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されたときで、かつ、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときに、可動部材33の溝56の第1溝部分66に嵌合する。画像読取装置1は、格納時固定用突起41が第1溝部分66に嵌合することにより、可動部材33が可動部材格納位置に配置されているときに、可動部材33が幅方向35に移動する程度を低減することができ、可動部材33を適切に支持することができる。左側サイドガイド22の可動部材も、可動部材33と同様に、給紙トレイ本体7が給紙トレイ格納位置に配置されているときに、適切に格納される。
【0046】
画像読取装置1は、右側サイドガイド21の可動部材33と左側サイドガイド22の可動部材とが格納されることにより、媒体搬送装置本体2の給紙トレイ3が格納されるスペースを小さくすることができる。画像読取装置1は、給紙トレイ3が格納されるスペースが小さいことにより、媒体搬送装置本体2を小さく設計することができ、給紙トレイ3が格納された際の装置サイズを小さくできる。
【0047】
ユーザは、画像読取装置1を用いて複数の媒体の画像を読み取りたいときに、給紙トレイ本体7を給紙トレイ展開位置に向かって移動させ、給紙トレイ本体7を給紙トレイ展開位置に配置する。給紙トレイ延長部材8は、給紙トレイ本体7が給紙トレイ展開位置に配置されているときに、給紙トレイ伸縮機構により、給紙トレイ延伸位置に配置される。
【0048】
右側サイドガイド21の可動部材33は、給紙トレイ3が展開することにより、媒体搬送装置本体2から離れ、解放される。押上部材34は、可動部材33が解放されたときに、ばね65の弾性力により押上部材展開位置に向かって移動する。押上部材34は、押上部材34が展開位置に向かって移動するときに、押上部材34の当接面42が可動部材33の摺動面53を滑ることにより、可動部材33を押し上げ、可動部材33を可動部材展開位置に向かって移動させる。可動部材33は、押上部材34が押上部材展開位置に向かって移動することにより、展開され、可動部材展開位置に配置される。ばね65は、可動部材33が可動部材展開位置に配置されるときに、押上部材34が押上部材格納位置に向かって移動することに対抗するように押上部材34に弾性力を与え、可動部材33が可動部材格納位置に向かって移動しないように、保持する。
【0049】
押上部材34の突起43は、可動部材33の溝56に嵌合しており、押上部材34が押上部材展開位置に向かって移動するときに、可動部材33の溝56に沿って移動する。画像読取装置1は、可動部材33が可動部材展開位置に向かって移動するときに、押上部材34の突起43が可動部材33の溝56に嵌合していることにより、可動部材33が幅方向35に移動する程度を低減することができる。画像読取装置1は、さらに、可動部材33が可動部材展開位置に配置されるときに、押上部材34の突起43が可動部材33の溝56に嵌合していることにより、可動部材33が幅方向35に移動する程度を低減することができる。左側サイドガイド22の可動部材も、右側サイドガイド21の可動部材33と同様に、給紙トレイ3が展開するときに、展開し、展開した状態で保持される。
【0050】
ユーザは、さらに、左向きサイドガイド面23と右向きサイドガイド面24との間の距離が画像を読み取りたい複数の媒体の幅方向35における幅に概ね等しくなるように、右側サイドガイド21と左側サイドガイド22とを幅方向35に並進させる。ユーザは、さらに、
図13に示されているように、画像を読み取りたい複数の媒体81が給紙トレイ載置面11に対向するように、複数の媒体を給紙トレイ3に載置する。
図13は、給紙トレイ3に適切に載置された複数の媒体81を示す断面図である。このとき、画像読取装置1は、複数の媒体81の給紙トレイ本体7からはみ出た部分が給紙トレイ延長部材8に載置されることにより、そのはみ出た部分の重さで複数の媒体81がずれたり落ちたりすることを防止することができる。
【0051】
ユーザは、さらに、複数の媒体81の右側の端面83が左向きサイドガイド面23に対向するように、かつ、複数の媒体81の左側の端面84が右向きサイドガイド面24に対向するように、複数の媒体を給紙トレイ3に載置する。たとえば、複数の媒体81の右側の端面83は、複数の媒体81の厚さが高さH0より小さいときに、本体側左向きサイドガイド面36に対向する。このとき、複数の媒体81は、複数の媒体81の右側の端面83が揃うように、給紙トレイ3に適切に載置されることができる。複数の媒体81は、左向きサイドガイド面23が沿う平面より左側に右側サイドガイド21の可動部材33の突出部分52が突出していないことにより、複数の媒体81の右端が突出部分52に邪魔されることなく、給紙トレイ3に載置される。すなわち、画像読取装置1は、複数の媒体81を給紙トレイ3に載置するユーザの作業を容易化することができる。
【0052】
複数の媒体81の厚さが高さH0より大きいときに、高さH0より高い位置に配置された複数の媒体82の右側の端面は、突出側左向きサイドガイド面57に対向する。このとき、画像読取装置1は、突出側左向きサイドガイド面57と本体側左向きサイドガイド面36とが同一平面に沿っていることにより、複数の媒体81の右側の端面83が揃うように、複数の媒体81を給紙トレイ3に適切に載置することができる。
【0053】
右側サイドガイド21は、複数の媒体81の右側の端面83が左向きサイドガイド面23に接触することにより、複数の媒体81が搬送方向25に対して傾斜しないように、複数の媒体81を給紙トレイ3に適切に載置することができる。このとき、右側サイドガイド21は、左向きサイドガイド面23の搬送方向25における長さが長いほど、複数の媒体81が搬送方向25に対して傾斜することをより防止することができる。右側サイドガイド21は、左向きサイドガイド面23に本体側左向きサイドガイド面36と上流側左向きサイドガイド面45とが含まれることにより、左向きサイドガイド面23の搬送方向25における長さを予め定められた長さより長くすることができる。このため、右側サイドガイド21は、押上部材34に上流側左向きサイドガイド面45が形成されていない他の右側サイドガイドに比較して、複数の媒体81が搬送方向25に対して傾斜することをより防止することができる。左側サイドガイド22も、左側サイドガイド22が右側サイドガイド21と同様に形成されていることにより、右側サイドガイド21と同様に、複数の媒体81が搬送方向25に対して傾斜することを防止することができる。
【0054】
複数の媒体81は、給紙トレイ3に載置されたときに、給紙トレイ載置面11が斜め上方を向いていることにより、重力により給紙口5に向かって搬送方向25に移動し、給紙口5に挿入される。このとき、画像読取装置1は、複数の媒体81の端面83と端面84とが左向きサイドガイド面23と右向きサイドガイド面24にそれぞれ対向していることにより、複数の媒体81が幅方向35に移動することを防止することができる。
【0055】
給紙口5に挿入された複数の媒体は、搬送部により、1つずつ搬送路に供給される。搬送路に供給された媒体は、搬送路に沿って搬送される。搬送路に沿って搬送される媒体は、読取部により、画像が撮像される。画像が撮像された媒体は、搬送部により、排紙口6から排紙される。画像読取装置1は、給紙口5に挿入された複数の媒体の全部が排紙口6から排紙されるまで、媒体の搬送と媒体の画像の撮像とを繰り返し実行する。
【0056】
給紙トレイ3に載置された媒体86は、画像読取装置1に右側サイドガイド21と左側サイドガイド22とが設けられている場合でも、
図14に示されているように、搬送方向25に対して傾斜することがある。
図14は、搬送方向25に対して傾斜して給紙トレイ3に載置された媒体86を示す平面図である。
【0057】
媒体86の左向きサイドガイド面23に対向する端部は、媒体86が搬送方向25に移動するときに、
図15に示されているように、左向きサイドガイド面23に沿って上昇し、めくれ上がることがある。
図15は、搬送方向25に対して傾斜した媒体86を示す断面図である。
【0058】
媒体86の左向きサイドガイド面23に対向する端部87は、端部87がめくれ上がることにより、
図16に示されているように、左向きサイドガイド面23の凹み64に入り込む。
図16は、
図14のD-D線断面を示し、搬送方向25に対して傾斜した媒体86と右側サイドガイド21とを示す断面図である。媒体86の右側の端部87は、凹み64に入り込んだときに、切欠き内左向きサイドガイド面54に沿って上昇し、可動部材33の突出部分52に引っ掛かる。右側サイドガイド21は、端部87が突出部分52に引っ掛かることにより、媒体86の端部87が突出部分52より上側に移動することを防止することができ、媒体86が右側サイドガイド21を乗り越えることを防止することができる。
【0059】
画像読取装置1は、媒体86が右側サイドガイド21を乗り越えることが防止されることにより、媒体86が搬送方向25に移動するときに、媒体86が搬送方向25に対してさらに傾斜することを防止することができる。画像読取装置1は、媒体86が傾斜することが防止されることにより、媒体86が傾斜して搬送路に供給される斜行を防止することができ、媒体86の斜行により搬送路で媒体86が詰まるジャムが発生することを防止することができる。
【0060】
[実施例の媒体搬送装置の効果]
実施例の媒体搬送装置は、格納されたり展開したりするように媒体搬送装置本体2に回転可能に支持される給紙トレイ本体7と、給紙トレイ本体7に載置される媒体の端面に対向する左向きサイドガイド面23が形成される右側サイドガイド21とを備えている。右側サイドガイド21は、給紙トレイ本体7に支持されるサイドガイド本体32と、格納されたり展開したりするようにサイドガイド本体32に支持される可動部材33とを備えている。可動部材33の給紙トレイ本体7に対する高さは、可動部材33が展開するときに、サイドガイド本体32の給紙トレイ本体7に対する高さH0より高い第1高さH1に等しく、可動部材33が格納されるときに、第1高さH1より低い第2高さH2に等しい。可動部材33には、可動部材33が展開されるときに左向きサイドガイド面23に凹み64が形成されるように、左側切欠き61が形成されている。
【0061】
実施例の媒体搬送装置は、媒体が傾斜したときに、媒体の端部が凹み64に入り込むことにより、媒体の端部が右側サイドガイド21を乗り越えることを防止することができる。また、実施例の媒体搬送装置は、可動部材33の給紙トレイ本体7に対する高さが低くなるように可動部材33を格納することができ、右側サイドガイド21が格納されるスペースを小さくすることができる。このため、実施例の媒体搬送装置は、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、トレイが格納されるスペースを低減することができる。
【0062】
また、実施例の媒体搬送装置の可動部材33は、サイドガイド本体32に回転可能に支持される支持部分51と、支持部分51に固定される突出部分52とを備えている。支持部分51には、給紙トレイ本体7に載置される媒体の端面に対向する切欠き内左向きサイドガイド面54が形成されている。左側切欠き61は、突出部分52が切欠き内左向きサイドガイド面54から突出することにより形成されている。このとき、実施例の媒体搬送装置は、媒体の左側切欠き61に入り込んだ端部が突出部分52に引っ掛かることにより、媒体の端部が右側サイドガイド21を乗り越えることを適切に防止することができる。
【0063】
また、実施例の媒体搬送装置の突出部分52は、左向きサイドガイド面23が沿う平面に交差しないように形成されている。このとき、突出部分52は、媒体が給紙トレイ本体7に載置されるときに、邪魔にならず、実施例の媒体搬送装置は、給紙トレイ本体7に媒体を載置するユーザの操作を容易にすることができる。
【0064】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置の突出部分52は、左向きサイドガイド面23が沿う平面から突出しないように形成されているが、左向きサイドガイド面23が沿う平面に交差するように、左向きサイドガイド面23が沿う平面から突出していてもよい。媒体搬送装置は、左向きサイドガイド面23が沿う平面に突出部分52が交差する場合でも、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。また、既述の実施例の媒体搬送装置の突出部分52は、突出側左向きサイドガイド面57が左向きサイドガイド面23の一部を形成するように突出しているが、突出部分52が左向きサイドガイド面23が沿う平面に交差しないように低く突出していてもよい。媒体搬送装置は、突出部分52が低く突出している場合でも、傾斜した媒体の端部が突出部分52に引っ掛かることにより、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0065】
また、実施例の媒体搬送装置は、サイドガイド本体32に回転可能に支持される押上部材34と、押上部材34が展開されるように押上部材34に弾性力を与えるばね65とをさらに備えている。給紙トレイ本体7の媒体が対向する給紙トレイ載置面11は、給紙トレイ本体7が格納されるときに、媒体搬送装置本体2に対向する。可動部材33は、押上部材34が展開するときに、押上部材34が支持部分51を押し上げることにより、展開し、給紙トレイ本体7が格納されるときに、突出部分52が媒体搬送装置本体2に接触することにより、格納される。押上部材34は、可動部材33が格納されるときに、支持部分51が押上部材34を押し下げることにより、ばね65の弾性力に対抗して格納される。実施例の媒体搬送装置は、給紙トレイ本体7の開閉に連動して可動部材33を自動的に開閉することができ、ユーザが可動部材33を展開したり格納したりする必要がなく、ユーザの操作を容易にすることができる。
【0066】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、押上部材34とばね65とが設けられているが、押上部材34とばね65とが省略されてもよい。媒体搬送装置は、押上部材34とばね65とが省略された場合でも、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0067】
また、実施例の媒体搬送装置の押上部材34には、左向きサイドガイド面23が沿う平面に沿う上流側左向きサイドガイド面45が形成されている。実施例の媒体搬送装置は、上流側左向きサイドガイド面45が設けられていることにより、サイドガイド本体32の搬送方向25における長さを長くすることなく、左向きサイドガイド面23の搬送方向25における長さを長くすることができる。実施例の媒体搬送装置は、左向きサイドガイド面23の搬送方向25における長さが長いことにより、媒体が搬送方向25に移動するときに媒体の斜行を適切に防止することができる。
【0068】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、押上部材34に上流側右向きサイドガイド面44が形成されているが、上流側右向きサイドガイド面44が省略されてもよい。媒体搬送装置は、上流側右向きサイドガイド面44が省略された場合でも、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0069】
また、実施例の媒体搬送装置の支持部分51には、溝56が形成されている。押上部材34には、溝56に嵌合する突起43が形成されている。突起43は、押上部材34が移動するときに、溝56に沿って移動する。実施例の媒体搬送装置は、可動部材33が移動するときに、可動部材33が幅方向35に移動する程度を低減することができる。
【0070】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、溝56と突起43とが設けられているが、溝56と突起43とが省略されてもよい。媒体搬送装置は、溝56と突起43とが省略された場合でも、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0071】
また、実施例の媒体搬送装置は、格納時固定用突起41をさらに備えている。格納時固定用突起41は、サイドガイド本体32に固定され、可動部材33が格納されるときに、溝56に嵌合する。実施例の媒体搬送装置は、可動部材33が格納されているときに、可動部材33が幅方向35に移動する程度を低減することができ、可動部材33を適切に支持することができる。
【0072】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、格納時固定用突起41が設けられているが、格納時固定用突起41が省略されてもよい。媒体搬送装置は、格納時固定用突起41が省略された場合でも、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0073】
また、実施例の媒体搬送装置の支持部分51は、溝56の格納時固定用突起41に嵌合する第1溝部分66が形成される第1支持部分68と、溝56の突起43に嵌合する第2溝部分67が形成される第2支持部分69とを備えている。突出部分52は、切欠き内左向きサイドガイド面54の第1支持部分68から突出する第1突出部分71と、切欠き内左向きサイドガイド面54の第2支持部分69から突出する第2突出部分72とを備えている。第1突出部分71は、第2突出部分72が沿う平面より上側に配置されている。
【0074】
このとき、実施例の媒体搬送装置は、第1支持部分68が第2支持部分69より小さくなるように支持部分51が先細に形成されている場合でも、予め定められた深さより第1溝部分66の深さが深くなるように、第1溝部分66が形成可能である。また、第1突出部分71は、予め定められた深さより第1溝部分66の深さが深い場合でも、予め定められた深さより第1突出部分71の厚さが厚くなるように、形成可能である。このため、実施例の媒体搬送装置は、可動部材33が格納されているときに可動部材33が幅方向35に移動する程度が低減するように可動部材33を適切に支持することができ、または、可動部材33の強度を向上させることができる。
【0075】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、第1突出部分71が第2突出部分72より上側に配置されているが、第1突出部分71と第2突出部分72とが1つの平面に沿うように形成されていてもよい。この場合も、媒体搬送装置は、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0076】
また、実施例の媒体搬送装置の支持部分51には、切欠き内左向きサイドガイド面54が形成されている側の反対側に切欠き内右向きサイドガイド面55が形成されている。突出部分52は、切欠き内右向きサイドガイド面55からさらに突出している。このとき、可動部材33は、対称面63に関して対称になるように形成可能である。右側サイドガイド21の可動部材33が対称面63に関して対称に形成されるときに、右側サイドガイド21の可動部材33は、左側サイドガイド22の可動部材として利用されることができる。実施例の媒体搬送装置は、右側サイドガイド21の可動部材33が左側サイドガイド22の可動部材として利用されるときに、左側サイドガイド22の可動部材と右側サイドガイド21の可動部材33とを別個に作製する必要がない。このため、実施例の媒体搬送装置は、左側サイドガイド22の可動部材を右側サイドガイド21の可動部材33と同一部品として製造することにより、製造コストを低減することができる。
【0077】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、左側サイドガイド22の可動部材の形状が右側サイドガイド21の可動部材33の形状と同じであるが、左側サイドガイド22の可動部材の形状と右側サイドガイド21の可動部材33の形状とが異なっていてもよい。この場合も、媒体搬送装置は、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0078】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、給紙トレイ伸縮機構を備えているが、給紙トレイ伸縮機構が省略されてもよい。このとき、給紙トレイ延長部材8は、ユーザの操作により手動で給紙トレイ短縮位置に配置されたり、給紙トレイ延伸位置に配置されたりする。給紙トレイ延長部材8は、さらに、給紙トレイ3が何段階かで延伸長さが調節されるように、手動で給紙トレイ短縮位置と給紙トレイ延伸位置とに異なる他の位置に配置されて固定されてもよい。また、既述の実施例の媒体搬送装置は、給紙トレイ延長部材8を備えているが、給紙トレイ延長部材8が省略されてもよい。この場合も、媒体搬送装置は、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0079】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、画像読取装置1に利用されているが、他の装置に利用されてもよい。その装置としては、媒体に文字・図形を印刷するプリンタが例示される。プリンタは、既述の実施例の媒体搬送装置の読取部が、搬送路に沿って搬送される媒体に文字・図形を印刷する印刷部に置換されている。この場合も、媒体搬送装置は、既述の実施例の媒体搬送装置と同様に、媒体が右側サイドガイド21を乗り越える不具合を防止し、かつ、給紙トレイ3が格納されるスペースを低減することができる。
【0080】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。