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  • 特開-電位安定化回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086056
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】電位安定化回路
(51)【国際特許分類】
   H03H 1/02 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
H03H1/02
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021211583
(22)【出願日】2021-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】521563116
【氏名又は名称】株式会社TTE
(72)【発明者】
【氏名】峰岡 良治
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子機器内の任意地点の電位の低ノイズ化と低インピーダンス化を単純、かつ、安価に実現する回路及び方法を提供する。
【解決手段】回路は、無極性のコンデンサC1と抵抗R1と、を有する。無極性のコンデンサC1と抵抗R1は、直列に接続されている。無極性のコンデンサC1と抵抗R1を直列に接続した回路の両端は、ノイズ低減及び低インピーダンス化したい電位に対し接続される。抵抗によって短絡を抑制された無極性コンデンサC1が、ノイズを吸収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の任意の電位に対し、ノイズ低減と低インピーダンス化を他の電位に頼らず安価で実現する回路。
【請求項2】
接地工事が困難である場合において、電子機器の安定度や高性能化を目的とした仮想接地を実現する回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の安定動作や高性能化に必要な、グランドや電源など任意の電位のノイズ低減と低インピーダンス化を、他の電位に頼らず、単純な回路(以下、単に本回路という。)で安価に実現する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の電位のノイズ低減および低インピーダンス化の手法としては、ベタアースやパスコンなどの手法が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の手法であるベタアースの場合、低インピーダンス化の効果は主にベタの面積と導体の厚みの積に依存するため、実装上の制約が大きい。また、パスコンによってインピーダンスを低減できるが、回路に大きな負荷がかかった際には動作基準となるグランド電位の巻き込みを含む振幅が各電位に発生するため、回路動作の正確性に悪影響を及ぼすという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
負荷による電位への影響を軽減するため、電位の振幅を軽減すべく、十分な耐圧の無極性コンデンサC1と抵抗R1を用い、図1の回路を作成し、対象の電位の導電体に接続する。
【0005】
抵抗R1を用いずコンデンサC1の両極端子を同じ電位に接続した場合は、コンデンサC1の両極端子は短絡でしており、電位に振幅があっても両端子の電位は同一であるためコンデンサC1の充放電は行われないが、コンデンサは交流に対するインピーダンスが低く、抵抗R1を用い短絡させないことで、コンデンサC1に機器外や別回路との電位を一定に維持するための充放電が促され、ノイズが低減される。
【0006】
本回路のインピーダンスと、電位の電導体のインピーダンスが合成される事で、機器内の電源やグランドのインピーダンスも低減する。
【発明の効果】
【0007】
本回路においては、安価で単純な回路で電子機器内の電位を安定化できるため、幅広い種類の電子機器で安定化や高性能化の恩恵を受けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 本発明の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1における接続端子1を、ノイズ低減と低インピーダンス化する任意の電位の電導体へ接続する。この場合グランドに限定する必要はない。
【産業上の利用可能性】
全ての電子機器の安定化や高性能化の課題に対し、単純な回路で安価に貢献出来る。特に、安価な機器でも採用がし易い点は、産業の発展に大きく寄与するものと考えられる。
【符号の説明】
【0010】
R1 抵抗
C1 無極性コンデンサ
1 任意の電位へ接続する端子
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄積するコンデンサと抵抗を用い、それぞれの両端子をつなぎ、片方の端子から電子機器につなぐリード線を有し、接続先の電位変動を低減する回路ならびに装置。
【請求項2】
電子機器のグランド電位の安定化を目的とし、請求項1の回路で構成する仮想接地装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子機器の安定動作や性能維持には、電源から侵入するノイズや、空間電位の揺れに基づくノイズの除去が必要である。そこで従来より、電子機器をアースに接続することが推奨されており、その接続先としてのアースの品質が、電子機器の安定動作や性能維持を左右する。アースとしては、大地に直接接続する接地抵抗の低いアースが理想であるが、電子機器の設置条件によってはその理想のアースを用意することが出来ない。例えば高層ビルの場合は地表までの距離が長く、銅線のインダクタンス成分も無視できず、理想アースとはほど遠い。また地表に近い場合でも、近年は多くの電子機器が密集しているため、地中には他の電子機器のノイズ電流が流れており、却ってアース線からノイズが入り込む現象が観察される。
【0002】
本発明は、電子機器の安定動作や高性能化に必要な、グランドや電源など任意の電位の安定化を単純な回路(以下、単に本回路という。)で実現する手法に関する。
【背景技術】
【0003】
仮想アースの事例としては、土砂を入れた植木鉢を用いる例が文献1(伊藤健一著、「イラストでよむアースとノイズのはなし」、日刊工業新聞社、初版2002年)に示されており、大きな導電体が仮想アースとして働くことは古くから知られている。しかし仮想アースで充分な効果を得るには、経験上、物理的に大きな導電体を要し、用意することが出来ないことも多々ある。また回路実装技術として、任意の電位のノイズ低減および低インピーダンス化の手法としては、ベタアースやパスコンなどの手法が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手法であるベタアースの場合、低インピーダンス化の効果は主にベタの面積と導体の厚みの積に依存するため、実装上の制約が大きい。また、パスコンによってインピーダンスを低減できるが、回路に大きな負荷がかかった際には動作基準となるグランド電位の巻き込みを含む振幅が各電位に発生するため、回路動作の正確性に悪影響を及ぼすという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電位変動を吸収するためには、大量の電荷を自由に出し入れでき蓄えることができる電気的な箱が必要であり、電子部品としてコンデンサC1を用いる。しかし単一の理想コンデンサC1の片方の端子を開放した状態で、もう一方方の端子に電荷を流出入させた場合、電荷が流出入する端子の電位が変動し、効果的な電位変動の吸収装置とはならない。
【0006】
そこでコンデンサC1の両端子と抵抗R1の両端子をつなぐ。図1参照。これにより、コンデンサC1に蓄えられた電荷は時間遅れを持って解放され、コンデンサC1の両端子の電位差はゼロに戻るため、連続的に電荷の出し入れを行なう機能が実現される。
【発明の効果】
【0007】
本回路において電子機器の基準電位を安定化でき、しかも本回路は装置に外付けすることも、また小型のため内蔵することも可能であることから、幅広い種類の電子機器で安定化や高性能化の恩恵を受けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 本発明の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1における接続端子1を、安定化したい任意の電位の電導体へ接続する。この場合グランドに限定する必要はない。
【産業上の利用可能性】
電子機器の安定化や高性能化を促し、産業の発展に大きく寄与するものと考えられる。
【符号の説明】
【0010】
R1 抵抗
C1 無極性コンデンサ
1 任意の電位へ接続する端子
【手続補正書】
【提出日】2022-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサと抵抗を用い、コンデンサの片端子と抵抗の片端子を接続し、コンデンサのもう一方の片端子と抵抗のもう一方の片端子を接続し、更に、片方の接続から電子機器につなぐ電導線を有し、電導線の接続先の電位変動を低減する回路。
【請求項2】
電子機器の安定化を目的とし、請求項1の構成を電子機器のグランドに接続した仮想接地を実現する回路。