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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008606
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】高所作業装置
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/46 20060101AFI20230112BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
E06C7/46
E06C1/39 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112289
(22)【出願日】2021-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】秋田 晴貴
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA03
2E044BC07
2E044BC23
2E044CC01
(57)【要約】
【課題】脚体を構成する設置脚の接地側の端部に脚端具を装着した高所作業装置を提供する。
【解決手段】設置脚(7)の接地側の端部に脚端具(8)を装着した高所作業装置において、踏桟に交差するX方向のうち脚体(3)の中心から昇降側に向かうX1方向及びその反対側に向かうX2方向と、踏桟に沿うY方向のうち所定の設置脚(7)の中心から脚体の外側に向かうY1方向及び脚体の内側に向かうY2方向に関して、脚端具(8)は、設置脚(7)の端部を挿着する筒部(9)の下面の座部(10)から少なくともY1方向に延びる板状の外側フランジ(12)を備えており、外側フランジ(12)のX1方向の端部の近傍位置に上下方向に貫通する外側挿通孔(16)を開設し、杭部材(18)を打ち込むことにより前記座部を接地状態で固定するように構成している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が昇降する踏桟を備えた梯子状の脚体の上部に作業者が起立して高所作業を行うための作業部を設けており、前記脚体(3)を構成する左右の設置脚(7)の接地側の端部に脚端具(8)を装着して成る高所作業装置において、
前記踏桟に交差するX方向のうち前記脚体(3)の中心から昇降側に向かうX1方向及びその反対側に向かうX2方向と、前記踏桟に沿うY方向のうち所定の設置脚(7)の中心から脚体の外側に向かうY1方向及び脚体の内側に向かうY2方向に関して、
前記脚端具(8)は、前記設置脚(7)の端部を挿着する筒部(9)と、地上に接地させられる座部(10)を一体に形成し、前記座部は、筒部から少なくともY1方向に延びる板状の外側フランジ(12)を備えており、
前記外側フランジ(12)は、X1方向の端部の近傍位置に上下方向に貫通する外側挿通孔(16)を開設し、該外側挿通孔に杭部材(18)を打ち込むことにより前記座部を接地状態で固定するように構成して成ることを特徴とする高所作業装置。
【請求項2】
前記脚端具(8)は、弾性材により一体成形されており、
前記外側フランジ(12)のX2方向の端縁を前記筒部(9)に連結する連結壁(14)を一体に形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の高所作業装置。
【請求項3】
前記外側フランジ(12)のX1方向の端部の近傍位置からX2方向かつY2方向に向かう第1軸線方向Z1に関して、前記外側挿通孔(16)は、第1軸線方向Z1に向けて長い長孔により形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の高所作業装置。
【請求項4】
前記外側挿通孔(16)は、外側フランジの上面に開口する上部開口(16a)と脚端具の下面に開口する下部開口(16b)に関して、上部開口から下部開口を第1軸線方向Z1に偏位させた傾斜孔を形成しており、打ち込まれた杭部材(18)の先端を筒部(9)の下方に位置させるように構成されて成ることを特徴とする請求項3に記載の高所作業装置。
【請求項5】
前記脚端具(8)の座部は、筒部からY2方向に延びる板状の内側フランジ(13)を備え、該内側フランジのX1方向の端部の近傍に上下方向に貫通する内側挿通孔(17)を開設し、該内側挿通孔に杭部材(19)を打ち込むことにより前記座部を接地状態で固定するように構成して成ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の高所作業装置。
【請求項6】
前記内側フランジ(13)のX1方向の端部の近傍位置からX2方向かつY1方向に向かう第2軸線方向Z2に関して、前記内側挿通孔(17)は、第2軸線方向Z2に向けて長い長孔により形成されて成ることを特徴とする請求項5に記載の高所作業装置。
【請求項7】
前記内側挿通孔(17)は、内側フランジの上面に開口する上部開口(17a)と脚端具の下面に開口する下部開口(17b)に関して、上部開口から下部開口を第2軸線方向Z2に偏位させた傾斜孔を形成しており、打ち込まれた杭部材の先端を筒部の下方に位置させるように構成されて成ることを特徴とする請求項6に記載の高所作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業装置、特に、脚体を構成する設置脚の接地側の端部に脚端具を装着した高所作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、可搬式作業台や、脚立や、梯子等の高所作業装置は、作業者が昇降する踏桟を備えた梯子状の脚体の上部に作業者が起立して高所作業を行うための作業部を設け、前記脚体を構成する左右の設置脚の接地側の端部には、脚端具が装着されている。
【0003】
作業者が起立して高所作業を行うための作業部は、可搬式作業台の場合は、一対の脚体の上に架設された作業天板により構成され、脚立や梯子の場合は、脚体に多段状に設けられた踏桟のうち上段の踏桟により構成されている。
【0004】
脚体を構成する設置脚は、アルミニウム等の金属素材を押出成形して成る型材を所定長さに切断することにより形成されており、接地側の端部に脚端具が装着される。
【0005】
脚端具は、合成樹脂により一体成形されたシュー形態(靴形態)の筒状体により形成され、設置脚の端部を挿着することにより、設置脚の端部を保護すると共に、地面の上に設置される。
【0006】
尚、脚体は、伸縮脚を構成する場合は、外側脚に内側脚を摺動自在に挿入しており、内側脚を設置脚として、その接地側の端部に脚端具が装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-66627号公報
【特許文献2】特許第6851883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、脚端具は、設置脚の端部を挿入して固定するシュー形態(靴形態)の筒状体により形成されており、底面の接地面積が小面積に限定されている。このため、接地面に滑り止め用の凹凸を形成したものでも、外力を受けると地面上を滑り易い。また、軟弱地面に接地したときは、地面に埋没するという問題がある。
【0009】
そこで、接地面積を大きくするためには、脚端具を合成樹脂で成形する際に、設置脚の端部を挿着する筒部から周囲に張り出す板状のフランジを一体形成することが好ましい。しかしながら、合成樹脂製のフランジは、破損し易い。例えば、フランジが不整地の凹凸の上に接地され、設置脚が作業者の体重等の荷重を受けたとき、押し潰されたフランジが亀裂を生じるおそれがある。また、高所作業装置を運搬ないし移動させているときに、脚端具が異物に衝突すると、フランジを破損するおそれがある。
【0010】
本発明は、脚端具に関して上述のような問題を解決した高所作業装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明が手段として構成したところは、作業者が昇降する踏桟を備えた梯子状の脚体の上部に作業者が起立して高所作業を行うための作業部を設けており、前記脚体を構成する左右の設置脚の接地側の端部に脚端具を装着して成る高所作業装置において、前記踏桟に交差するX方向のうち前記脚体の中心から昇降側に向かうX1方向及びその反対側に向かうX2方向と、前記踏桟に沿うY方向のうち所定の設置脚の中心から脚体の外側に向かうY1方向及び脚体の内側に向かうY2方向に関して、前記脚端具は、前記設置脚の端部を挿着する筒部と、地上に接地させられる座部を一体に形成し、前記座部は、筒部から少なくともY1方向に延びる板状の外側フランジを備えており、前記外側フランジは、X1方向の端部の近傍に上下方向に貫通する外側挿通孔を開設し、該外側挿通孔に杭部材を打ち込むことにより前記座部を接地状態で固定するように構成して成る点にある。
【0012】
好ましくは、前記脚端具は、弾性材により一体成形されており、前記外側フランジのX2方向の端縁を前記筒部に連結する連結壁を一体に形成している。
【0013】
前記外側フランジのX1方向の端部の近傍位置からX2方向かつY2方向に向かう第1軸線方向Z1に関して、前記外側挿通孔は、第1軸線方向Z1に向けて長い長孔により形成されていることが好ましい。
【0014】
好ましい実施形態において、前記外側挿通孔は、外側フランジの上面に開口する上部開口と脚端具の下面に開口する下部開口に関して、上部開口から下部開口を第1軸線方向Z1に偏位させた傾斜孔を形成しており、打ち込まれた杭部材の先端を筒部の下方に位置させるように構成されている。
【0015】
更に好ましくは、前記脚端具の座部は、筒部からY2方向に延びる板状の内側フランジを備え、該内側フランジのX1方向の端部の近傍に上下方向に貫通する内側挿通孔を開設し、該内側挿通孔に杭部材を打ち込むことにより前記座部を接地状態で固定するように構成されている。
【0016】
この際、前記内側フランジのX1方向の端部の近傍位置からX2方向かつY1方向に向かう第2軸線方向Z2に関して、前記内側挿通孔は、第2軸線方向Z2に向けて長い長孔により形成されていることが好ましい。
【0017】
更に、前記内側挿通孔は、内側フランジの上面に開口する上部開口と脚端具の下面に開口する下部開口に関して、上部開口から下部開口を第2軸線方向Z2に偏位させた傾斜孔を形成しており、打ち込まれた杭部材の先端を筒部の下方に位置させるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業台1の脚体3を構成する設置脚7は、脚端具8により、地上に安定接地された状態で好適に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】高所作業装置の1例としての可搬式作業台を示し、脚体を構成する伸縮脚における内側脚の端部に脚端具が装着されており、内側脚を格納姿勢とした状態の斜視図である。
図2】前記可搬式作業台を示し、内側脚を伸長姿勢とした状態の斜視図である。
図3】本発明の1実施形態に関して、伸長姿勢とした内側脚と脚端具を示す斜視図である。
図4】脚端具を示しており、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
図5】内側脚を格納姿勢として脚端具に杭部材を打ち込んだ状態を示す正面図である。
図6図5の矢印A方向から示す側面図である。
図7図5及び図6に対応する斜視図である。
図8】脚端具に杭部材を介して補助板を取付けた実施例を示す斜視図である。
図9】脚端具の形状を示しており、(A)は平面図、(B)は底面図、(C)は正面図、(D)は背面図、(E)は右側面図、(F)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて本発明の代表的な実施形態を詳述する。
【0021】
(伸縮脚装置)
【0022】
図1及び図2は、高所作業装置の1例としての可搬式作業台1(以下、単に「作業台1」という。)を示しており、作業台1は、作業者が昇降する多段式の踏桟2を備えた梯子状の脚体3の上部に作業者が起立して高所作業を行うための作業部を設けている。図示省略しているが、作業台1は、一対の脚体3、3を対向して配置しており、脚体3、3に架設される作業天板4により前記作業部を構成している。従って、作業者は、脚体3の昇降側(図における左側)から踏桟2を利用することにより、地上と作業天板4の間を昇降することができる。
【0023】
図示実施形態の場合、脚体3は、外側脚3aに内側脚3bを摺動自在に挿入することにより構成された伸縮脚を左右にハの字状に配置している。尚、外側脚3a及び内側脚3bは、アルミニウム等の金属素材を押出成形して成る型材を所定長さに切断することにより形成されている。
【0024】
それぞれの伸縮脚は、図1に示すように内側脚3bを収縮することにより外側脚3aに格納した状態(格納姿勢)と、図2に示すように内側脚3bを外側脚3aから伸長させた状態(伸長姿勢)において、内側脚3bを摺動不能に固定するため外側脚3aに対して係脱自在に係止するラック歯と係止爪から成るロック装置5が設けられている。
【0025】
本発明の脚体3は、必ずしも伸縮脚を構成するものに限定されないが、図示実施形態のように伸縮脚を構成している場合は、左右の伸縮脚の外側脚3a、3aの間に踏桟2が跨設されている。この際、最下段の踏桟2aは、外側脚3a、3aの下端部にブラケット6を介して固定されており、該踏桟2aの上面に臨んでロック装置5が配置されている。
【0026】
このため、脚体3は、外側脚3aと内側脚3bのうち、内側脚3bにより地上に接地される設置脚7を構成し、その接地側の端部に脚端具8が装着されている。尚、本明細書で使用する「地上」及び「接地」における「地」の意味は、土地を限定するものではなく、設置脚7の脚端具8を載置する対象物としての被設置体を広く含むものであることを諒解されたい。
【0027】
そこで、図示実施形態の作業台1は、脚体3、3が伸縮脚を構成することにより、4本の設置脚7(内側脚3b)が自在に長さを設定可能とされているので、一方の脚体3を高所に設置し、他方の脚体3を低所に設置することが可能になり、作業台1を設置可能とする地上の選択の自由度が増すという利点がある。
【0028】
(脚端具)
脚端具8の構成に関して、前記踏桟2に交差するX方向のうち前記脚体3の中心から昇降側に向かう方向をX1方向、その反対側の作業天板4の下側にに向かう方向をX2方向として、更に、前記踏桟2と平行に沿うY方向のうち所定の設置脚7の中心から脚体3の外側に向かう方向をY1方向、脚体3の内側に向かう方向をY2方向として、以下のとおり説明する。
【0029】
図3及び図4に示すように、脚端具8は、ゴム(天然ゴム又は合成ゴム)その他の弾性材により一体成形されており、設置脚7の端部を挿着する筒部9と、該筒部9の底部を構成することにより地上に接地させられる座部10を一体に形成している。前記筒部9は、設置脚7の端部を挿入した状態で、横断方向に貫通するボルト・ナットから成る固着具11により固着される。
【0030】
前記座部10は、筒部9から張出すように、Y1方向に延びる板状の外側フランジ12と、Y2方向に延びる板状の内側フランジ13を一体に形成しており、両フランジ12、13のX2方向の端縁は、筒部9の両側面に対して、連結壁14、15により一体に連結されている。
【0031】
(外側フランジ)
前記外側フランジ12は、X1方向の端部の近傍に位置して上下方向に貫通する外側挿通孔16を開設しており、上部開口16aを外側フランジ12の上面に開口させ、下部開口16bを外側フランジ12の下面又は座部10の下面に開口させている。図示実施形態の場合、下部開口16bは、外側フランジ12の下面と座部10の下面に跨って開口している。
【0032】
図4(B)に示すように、外側フランジ12のX1方向の端部に近傍する位置からX2方向かつY2方向に向かう第1軸線方向Z1に関して、外側挿通孔16は、第1軸線方向Z1に向けて長く延びる長孔により形成されており、上部開口16aから下部開口16bを第1軸線方向Z1に偏位させた傾斜孔を形成している。つまり、外側挿通孔16は、外側フランジ12に対して垂直方向の孔ではなく、第1軸線方向Z1の上で傾斜する傾斜方向に開設された傾斜孔を形成している。
【0033】
(内側フランジ)
前記内側フランジ13は、X1方向の端部の近傍に位置して上下方向に貫通する内側挿通孔17を開設しており、上部開口17aを内側フランジ13の上面に開口させ、下部開口17bを内側フランジ13の下面又は座部10の下面に開口させている。図示実施形態の場合、下部開口17bは、内側フランジ13の下面と座部10の下面に跨って開口している。
【0034】
図4(B)に示すように、内側フランジ13のX1方向の端部に近傍する位置からX2方向かつY1方向に向かう第2軸線方向Z2に関して、内側挿通孔17は、第2軸線方向Z2に向けて長く延びる長孔により形成されており、上部開口17aから下部開口17bを第2軸線方向Z2に偏位させた傾斜孔を形成している。つまり、内側挿通孔17は、内側フランジ13に対して垂直方向の孔ではなく、第2軸線方向Z2の上で傾斜する傾斜方向に開設された傾斜孔を形成している。
【0035】
(杭部材)
作業台1を地上に設置して高所作業を行うに際して、脚端具8は、接地された状態で、前記外側挿通孔16及び内側挿通孔17にそれぞれ外側の杭部材18及び内側の杭部材19を打ち込むことにより、接地状態を固定される(図5及び図6)。
【0036】
図示実施形態の場合、杭部材18、19は、挿通孔16、17に挿通される外径を有する軸部20aと、挿通孔16、17よりも大径とされた頭部20bを有するボルトないしビスにより構成されている。
【0037】
(作用)
高所作業を行うために脚端具8を接地したとき、脚端具8は、座部10の下面並びに外側フランジ12及び内側フランジ13の下面を含む広い接地面積により接地されるので、安定して設置することができる。この際、外側フランジ12及び内側フランジ13は、脚端具8の全体と共に弾性材により一体成形されており、弾性変形が可能であるから、不整地の凹凸の上に接地された場合でも、凹凸に馴染むように変形し、良好な接地状態を確保する。しかも、設置脚7から作業者の体重等による荷重を受けたときでも、亀裂等を生じるおそれはなく、更に、作業台1を運搬ないし移動させているときに異物に衝突させられたときでも、容易に破損することはない。
【0038】
ゴム等の弾性材により形成された外側フランジ12及び内側フランジ13は、接地面の凹凸に馴染むように好適に変形するが、X2方向の端縁と筒部9の側面の間に形成した連結壁14、14により一体に連結されており、不必要に大きく変形することはないので、早期の劣化が防止されている。
【0039】
そして、脚端具8を接地した状態で、外側挿通孔16及び内側挿通孔17に杭部材18、19を打ち込むことにより、外側フランジ12及び内側フランジ13を接地状態で固定することができる。
【0040】
図5ないし図7は、脚端具8を土地の地面GLに接地したときの状態を示しており、脚体3の伸縮脚を構成する内側脚3b(設置脚7)は、収縮させることにより、外側脚3aに格納した格納姿勢とされている。
【0041】
そこで、前記杭部材18、19は、作業者がハンマー等の工具を使用することにより打ち込まれる。この際、作業者は、昇降側のX1方向に対面した姿勢をとることができ、X1方向に上方が開放された外側フランジ12及び内側フランジ13に向けて、打ち込み作業を行うことができるので、作業が容易である。換言すると、作業天板4の下側のX2方向に作業者の手を伸ばして打ち込み作業を行うことは困難であるのに対して、そのような困難を生じることはない。
【0042】
ところで、伸縮脚の内側脚3b(設置脚7)を格納姿勢としたとき、図示のように、脚端具8は、最下段の踏桟2aのブラケット6に近接させられている。しかしながら、この状態でも、外側フランジ12は、上方空間が開放されているので、外側挿通孔16に対する杭部材18の打ち込み作業を容易としている。
【0043】
これに対して、内側フランジ13は、最下段の踏桟2aにより上方空間が塞がれているので、その限りでは杭部材の打ち込み作業が容易でないが、上述のように内側挿通孔17を第2軸線方向Z2の上で傾斜する傾斜孔に形成しているので、杭部材19を殴打するハンマー等を踏桟2aが干渉しない方向に振り上げることが可能であり、困難なく杭打ち作業を可能にする。
【0044】
外側挿通孔16及び内側挿通孔17は、上述の傾斜孔を構成しているので、杭部材18、19は、図5及び図6に示すように、先端を筒部9の下方に位置させるように傾斜した姿勢で打ち込まれる。このため、脚端具8の引き上げ方向の力に対して、杭部材18、19の抵抗力が大きく働くことになる。打ち込みの際、両挿通孔16、17は、長孔を形成しているので、杭部材18、19は、必ずしも傾斜孔の傾斜角度に拘束されない状態、つまり、傾斜角度にクリアランスが与えられた状態で打ち込むことができるので、打ち込み作業を容易とする。
【0045】
以上は、縮脚の内側脚3b(設置脚7)を格納姿勢とした状態で、脚端具8に杭部材18、19を打ち込む場合を説明したが、縮脚の内側脚3b(設置脚7)を伸長姿勢とした状態で、脚端具8に杭部材18、19を打ち込んでも良いことは勿論である。
【0046】
このようにして、作業台1における脚体3の設置脚7は、脚端具8が接地状態を固定されるので、安定設置され、作業者の高所作業の安全を担保する。
【0047】
この際、脚体3は、左右の外側脚3aと内側脚3bから成る伸縮脚をハ字形に配置した構成とされているので、内側脚3b、3bを伸長姿勢とした状態で脚端具8を接地状態で固定しておけば、万一、ロック装置5が誤動作等により係止状態を解除したとしても、外側脚3a、3aが下降することはないという利点がある。
【0048】
以上は、杭部材18、19を土地の地面に打ち込むことにより脚端具8の接地状態を固定する場合について説明したが、図8に示すように、杭部材18、19により脚端具8の下面に木板等の補助板21を取付け固定し、補助板21を地上に設置するように構成することもできる。
【0049】
この場合、杭部材18、19は、軸部20aにネジを設けたビス等により構成され、頭部20aをドライバー等の工具で駆動回転することにより打ち込まれる。
【0050】
作業台1を軟弱地面に設置する場合等において、補助板21により沈下が防止され、作業台を所望の姿勢に設置することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 作業台
2 踏桟
2a 最下段の踏桟
3 脚体
3a 外側脚
3b 内側脚
4 作業天板
5 ロック装置
6 ブラケット
7 設置脚
8 脚端具
9 筒部
10 座部
11 固着具
12 外側フランジ
13 内側フランジ
14、15 連結壁
16 外側挿通孔
16a 上部開口
16b 下部開口
17 内側挿通孔
17a 上部開口
17b 下部開口
18、19 杭部材
20a 軸部
20b 頭部
21 補助板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9