(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086060
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】折り畳み情報通信体
(51)【国際特許分類】
B42D 15/04 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
B42D15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021213375
(22)【出願日】2021-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】受取人が開封するに際して開封順序や開封箇所に迷うことが無く、対向面間を剥離の端緒となる段差を利用して開封することができる折り畳み情報通信体を提供する。
【解決手段】複数の葉片が折り線を介して横方向に連接された単位情報通信体用紙を前記折り線5、7から蛇腹状に折り畳み、対向面同士を疑似接着媒体を介して剥離可能に接着した折り畳み情報通信体J1において、葉片の数が奇数の場合、折り畳み後に最外側に位置する2葉片の内何れかの葉片の横幅が他葉片の横幅より広く、折り畳んだ後に前記最外側に位置する葉片の縁辺で段差を形成すると共に前記段差を開封の端緒として剥離を開始することが可能であり、葉片の数が偶数の場合、折り畳み後に最外側に位置する2葉片が他の葉片の横幅より広く、折り畳んだ後に前記2葉片の突出した縁辺で未接着或いは弱接着の空間を形成すると共に前記空間を開封の端緒として剥離を開始することが可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の葉片が折り線を介して横方向に連接された単位情報通信体用紙を前記折り線から蛇腹状に折り畳み、対向面同士を疑似接着媒体を介して剥離可能に接着した折り畳み情報通信体において、
葉片の数が奇数の場合、折り畳み後に最外側に位置する2葉片の内何れかの葉片の横幅が他葉片の横幅より広く、折り畳んだ後に前記最外側に位置する葉片の縁辺で段差を形成すると共に前記段差を開封の端緒として剥離を開始することが可能であり、
葉片の数が偶数の場合、折り畳み後に最外側に位置する2葉片が他の葉片の横幅より広く、折り畳んだ後に前記2葉片の突出した縁辺で未接着或いは弱接着の空間を形成すると共に前記空間を開封の端緒として剥離を開始することが可能である、
ことを特徴とした折り畳み情報通信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み、剥離可能に一体化した情報通信体に関する。詳しくは複数の葉片を折り畳み、対向面を疑似接着媒体を介して剥離可能に接着した情報通信体において、取り分け剥離の端緒となる開封手段の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
今迄、宣伝広告や案内状、パンフレット等の大量の情報を伝達する手段として、封筒に各種伝達物を印刷したシート等を折り畳み封入、封緘して郵送する方法が一般的である。しかし最近では封入、封緘の手間を省き、データー等の個人情報を他の一般情報等と同時に印刷して折り畳み封書化することで、前記作業に掛かる多大な経費を削減する手段が考えられている。そのような事例として、例えば特開2000-43456号公報に記載される折り畳み封書用シートが提案されている。
【先行技術分野】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既述の引用文献に記載される折り畳み封書用シートは、一枚のシートにあて先を含めた一人分の個人情報を全て記載して折り畳み封書に仕上げる。そのため誤って他人の情報が混じることはない。また折り畳むことで自動的に封書になるため封入、封緘の手間も省ける等の長所がある。しかし、突出した封緘片の特殊加工、封緘のための接着剤塗布加工、開封に際して接着片を引きちぎるための切取ミシン加工、接着部分が容易に剥離するための剥離剤塗布加工、二条のミシン目による開封手段等の複雑で手間が掛かる特殊加工が必要で、既述の長所があるにも関わらず割高についてしまう。
【0005】
また前記引用文献の折り畳み封書用シートは、単純に一枚の大面積のチラシを折り畳んだ状態なので、受取人が開封して平面に展開すると、そこにランダムなレイアウトからなる通常の新聞折り込みのチラシが広げられた状態と変わらない。即ち折り込みチラシ以上の効果がなく受取人への訴求効果やインパクトに決定的に欠ける。
【0006】
本発明の折り畳み情報通信体は、上記問題に鑑み、一枚のシートに情報を記載して折り畳み封書に仕上げるため、一つの封筒に各種情報が記載された複数のシートを封入する際に起こりがちな、他人の情報の誤封入や誤配等の事故が起こらず、また封入、封緘等の面倒でコストの掛かる手間を省き、さらに受取人が開封するに際して開封順序や開封箇所の迷いによるストレスを与えることが無く逆に興味を湧かせ訴求効果を高めると共に、取り分け開封に際して対向面間を剥離の端緒となる段差を利用して開封することができる折り畳み情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の折り畳み情報通信体は、複数の葉片が折り線を介して横方向に連接された単位情報通信体用紙を前記折り線から蛇腹状に折り畳み、対向面同士を疑似接着媒体を介して剥離可能に接着した折り畳み情報通信体において、葉片の数が奇数の場合、折り畳み後に最外側に位置する2葉片の内何れかの葉片の横幅が他葉片の横幅より広く、折り畳んだ後に前記最外側に位置する葉片の縁辺で段差を形成すると共に前記段差を開封の端緒として剥離を開始することが可能であり、葉片の数が偶数の場合、折り畳み後に最外側に位置する2葉片が他の葉片の横幅より広く、折り畳んだ後に前記2葉片の突出した縁辺で未接着或いは弱接着の空間を形成すると共に前記空間を開封の端緒として剥離を開始することが可能であることを特徴としている。
【0008】
本発明の折り畳み情報通信体に使用される用紙は、例えば上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙の他に、合成紙、不織布或いは樹脂フィルムシート等を好適に使用することができる。
ここで折り畳まれた対向面同士を剥離可能に接着する疑似接着に使用する疑似接着媒体に関して以下に説明するが、疑似接着媒体の相違により疑似接着の方式は大きく以下の3種類に分けられる。
1.後糊方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のUVニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成する。そして前記疑似接着性被膜同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。エマルジョン型の疑似接着性接着剤(粘着剤)を塗布するものもある。
2.先糊方式
印刷前の用紙の疑似接着予定面に、天然ゴム或いは合成ゴムを主成分とした疑似接着性の媒体を塗布して含浸させる。乾燥後に印刷、印字を行いその後疑似接着予定面同士を対向させて加圧処理を施すと剥離可能に接着する。そのようにして製造された用紙を業界では圧着紙と称している。
3.フィルム方式
印刷後の用紙の疑似接着予定面に疑似接着性のフィルムシートを被覆(ラミネート)して、前記疑似接着性のフィルムシート同士が対向するように折り合わせ、加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着する。なおフィルム方式には、既述の通り対向する疑似接着予定面に予め被覆しておいて、折り合わせて剥離可能に接着する全面貼り方式と、折り畳んだ用紙の疑似接着予定面間に予め疑似接着している積層フィルムを挟み込み、用紙とフィルムを接着して剥離可能に一体化する挟み込み方式の二種類がある。
【0009】
本発明の折り畳み情報通信体は、奇数或いは偶数の複数の葉片が折り線を介し横方向に連接された折り畳み情報通信体シートを、最外側の葉片の横幅を他の葉片の横幅より広く設計することで、葉片数が奇数の場合には最外側の幅広の1葉片により開封口に沿って段差を形成し、偶数の場合には最外側の幅広の2葉片により開封口に沿って空間を形成することで、郵送或いは輸送時に良好に接着している情報通信体の開封作業を極めて容易にするものである。前記構成の折り畳み情報通信体は、既述の通り最外側の葉片で段差或いは空間が形成されるように蛇腹状に順次折り畳んでいく。そして最終的に角型封筒、A4或いはB5サイズに折り込み、例えば封書或いはメール便やゆうメールと称される郵送物や配送物として輸送される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の折り畳み情報通信体は、一枚のシートを折り畳み封書形態に仕上げるので、個人情報を記載した複数の別体シートをそれぞれ封入封緘する場合に起こる情報の漏洩(他人の情報の混入等)の重大な事故が起きない。
【0011】
また封緘のためのフラップ部分やスポット的な接着媒体の形成、或いは開封のためのミシン加工等複雑で手間とコストの掛かる作業を必要とせず、単純に1枚の方形用紙を折り畳み一定の処理を施すだけで剥離可能に一体化することができるので、トータル的にも大幅なコスト削減が可能になる。
【0012】
さらに受取人が最初の剥離動作を極めて容易に行うことができ、また一旦開封すると蛇腹状の折り畳み態様のため、残っている折り畳み葉片による段差が次々と出現するので、受取人は前記出現する段差を剥離の端緒として利用することができる。
【0013】
さらにまた巻折りや観音開き等の他の折り畳み形態ではなく単純な蛇腹状の折り畳みのため、平面状態に展開した際に折り癖による取扱の不便さがなく、疑似接着媒体の形成箇所も技術的に精度を必要とする細かいスポット形成部分がない。
【0014】
また蛇腹状に折り畳まれた対向する葉片群を開封する度に、順次ストーリーを展開させることができ、受取人は次の開封面に展開するストーリーを期待することになり、訴求性や高揚感を与えられ購買意欲が向上する。
【図面の簡単な説明】
【
図1】(A)は折り畳み情報通信体J1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図2】(A)は折り畳み情報通信体用紙S1の表面図、(B)は裏面図である。
【
図4】(A)は折り畳み情報通信体J1の斜視図、(B)は開封の様子を示す斜視図である。
【
図5】(A)は折り畳み情報通信体J2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図6】(A)は折り畳み情報通信体用紙S2の表面図、(B)は裏面図である。
【
図7】
図5(A)におけるII-II線断面図である。
【
図8】(A)は折り畳み情報通信体J2の斜視図、(B)は開封の様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を、図面に沿って分かりやすく説明する。
なお後述する実施例で使用する疑似接着媒体は、取り扱いが容易な全面貼り方式の疑似接着フィルムシートを使用する。前記疑似接着フィルムシートの構成は、例えば厚さ10~20μmのポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレン等の基材の一方の面に、厚さ10~20μmの公知の感熱接着剤層を形成し、残るもう一方の面に極薄の疑似接着層を形成したサーマルラミネートに対応したものを好適に使用することができるが、前記感熱接着剤層を省略してドライラミネートに対応したものでも構わない。
【0016】
本発明の折り畳み情報通信体の葉片の構成は、その数が偶数の場合、表出する2葉片の横幅が他の葉片より広く、蛇腹状に折り畳むと前記表出する2葉片の一方の縁辺が、前記2葉片に内方される横幅の狭い他の葉片から突出した状態になる。前記突出した部分は表出する葉片同士で同じ縁辺になるが、この縁辺部分は内包する葉片の厚さのため、加工上十分接触することができない。従って他の内包される葉片同士の様には十分に接着されず未接着或いは弱い接着となっている。
【0017】
また葉片の数が奇数の場合、表出する2葉片の内の1葉片の横幅が他の葉片より広く、蛇腹状に折り畳むと前記表出する1葉片の一方の縁辺が他の葉片から突出した状態になる。前記突出した部分は段差を形成するためそれを剥離の端緒として開封展開することが可能になる。
【実施例0018】
[折り畳み情報通信体J1]
図1(A)、(B)及び
図4(A)、(B)は本実施例の折り畳み情報通信体J1の表裏面図及び斜視図である。
前記折り畳み情報通信体J1は、
図2(A)及び(B)に示す折り畳み情報通信体用紙S1から製造される。なお図中の斜線は疑似接着フィルムシートGが被覆されている領域を示している。
前記折り畳み情報通信体用紙S1は、連続用紙でも或いは枚葉用紙から切り出されても構わず、一般的には前記各種用紙に印刷された折り畳み情報通信体用紙に疑似接着フィルムシートGが被覆された後に周囲の余白を切除することで単体の折り畳み情報通信体用紙S1として切り出される。
【0019】
既述の折り畳み情報通信体用紙S1は
図2(A)及び(B)に示すように、第一葉片1、第二葉片2、第三葉片3及び第四葉片4が折り線5、6及び7を介して横方向に連接されている。各葉片の横幅の関係は第一葉片1=第四葉片4>第二葉片2=第三葉片3である。そして第一葉片1の表面を除き他の3葉片表面と、第四葉片4の裏面を除き他の葉片裏面全域に疑似接着フィルムシートGが被覆されている。
【0020】
そして各葉片は疑似接着フィルムシートGを介して、各折り線(折りミシンや折り筋等の折り手段が形成されていても構わない)から隣り合わせた葉片と
図3に示すように蛇腹状に折り畳まれる。その際横幅が広い第一葉片1と第四葉片4の開封に供する縁辺が他の葉片から突出した状態となり、その状態で疑似接着フィルムシートGの剥離可能な接着条件である加圧或いは加熱・加圧処理が施されるのであるが、前記2葉片の突出した部分の縁辺は内包される他の葉片の厚みにより十分接触できず圧力が掛かりづらいため、全く接着されないか或いは接着していても容易に剥離できる状態となる。
【0021】
この折り畳み情報通信体J1の受取人は第一葉片1或いは第四葉片4の、突出してほとんど接着していない何れかの縁辺を摘まんで、第二葉片2或いは第三葉片3と剥離を開始する。そしてその後現れる段差を剥離の端緒として順に剥離して最終的に
図2示す平面状態に展開することができる。そのようにして内面に記載されている情報を、被覆されている疑似接着フィルムシートGを透して確認することができるのである。