(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086075
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230614BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092600
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021199866
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521456117
【氏名又は名称】株式会社DATAFLUCT
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】久米村 隼人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】店舗での当該青果の利益率の向上を促進する情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、情報処理装置のプロセッサは、店舗で販売される青果情報と、店舗における青果の在庫情報と、を取得する取得部、取得した青果情報と在庫情報とに基づき、青果の需給関係と相関がある需給パラメータを導出する導出部、需給パラメータに基づいて、需給関係がもがき状態であるか否か及びなやみ状態であるか否かのうちの少なくとも一方の判定を行う判定部及び需給関係がもがき状態又はなやみ状態であると判定された青果が存在する場合に、店舗における当該青果の販売態様に関する情報を表示させる標示処理部を有する。なやみ状態は、店舗における青果の供給過剰によって青果の利益率が低下している状態を示す。もがき状態は、店舗における青果の供給不足によって青果の利益率が低下している状態を示す。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能なプロセッサを備え、
取得ステップでは、店舗で販売される青果に関する青果情報と、前記店舗における前記青果の在庫に関する在庫情報と、を取得し、
導出ステップでは、取得された前記青果情報と前記在庫情報とに基づき、前記青果の需給関係と相関がある需給パラメータを導出し、
判定ステップでは、前記需給パラメータに基づいて、前記需給関係がもがき状態であるか否か及びなやみ状態であるか否かのうちの少なくとも一方の判定を行い、
ここで、前記もがき状態は、前記店舗における前記青果の供給不足によって前記青果の利益率が低下している状態を示し、
前記なやみ状態は、前記店舗における前記青果の供給過剰によって前記青果の利益率が低下している状態を示し、
表示処理ステップでは、前記需給関係が前記もがき状態又は前記なやみ状態であると判定された前記青果が存在する場合に、前記店舗における当該青果の販売態様に関する情報を表示させる、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記店舗における前記青果の予測需要を含む前記青果情報を取得し、
前記導出ステップでは、さらに、取得された前記予測需要に基づき前記需給パラメータを導出する、もの。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示処理ステップでは、さらに、前記判定において前記もがき状態又は前記なやみ状態と判定される頻度に応じて、前記販売態様の候補を表示させる、もの。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示処理ステップでは、前記需給関係が前記もがき状態又は前記なやみ状態であると判定された前記青果が存在する場合に、前記販売態様として、前記店舗における当該青果の陳列位置を表示させる、もの。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記取得ステップでは、さらに、前記店舗のスタッフに関するスタッフ情報を取得し、ここで、前記スタッフ情報は、前記スタッフが行う業務スケジュールを含み、
さらに、第1の特定ステップでは、前記スタッフ情報と、前記需給パラメータに基づき導出される前記もがき状態又はなやみ状態の度合いと、に基づき、表示された前記販売態様にて前記青果の販売を行う際に必要なタスクを特定し、
さらに、第2の特定ステップでは、取得された前記スタッフの前記業務スケジュールと、特定された前記タスクと、に基づき、当該タスクを実行可能な対象スタッフが当該タスクを実行する場合における仮想的な業務スケジュールである仮想業務スケジュールを特定し、
前記表示処理ステップでは、さらに、特定された前記仮想業務スケジュールを表示させる、もの。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示処理ステップでは、前記需給関係が前記もがき状態又は前記なやみ状態であると判定された前記青果が存在する場合に、前記販売態様として、少なくとも、当該青果と組み合わせて販売される商品の候補を表示させる、もの。
【請求項7】
情報処理方法であって、
請求項1~請求項6の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを含む、方法。
【請求項8】
情報処理プログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、請求項1~請求項6の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、下記の文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示される従来技術での表示内容は、商品の値下げ計画に留まる。そのため、店舗における利益率の向上のための表示を行うためには、未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムでは、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能なプロセッサを備える。取得ステップでは、店舗で販売される青果に関する青果情報と、店舗における青果の在庫に関する在庫情報と、を取得する。導出ステップでは、取得された青果情報と在庫情報とに基づき、青果の需給関係と相関がある需給パラメータを導出する。判定ステップでは、需給パラメータに基づいて、需給関係がもがき状態であるか否か及びなやみ状態であるか否かのうちの少なくとも一方の判定を行う。ここで、もがき状態は、店舗における青果の供給不足によって青果の利益率が低下している状態を示す。なやみ状態は、店舗における青果の供給過剰によって青果の利益率が低下している状態を示す。表示処理ステップでは、需給関係がもがき状態又はなやみ状態であると判定された青果が存在する場合に、店舗における当該青果の販売態様に関する情報を表示させる。
【0006】
かかる情報処理システムによれば、店舗での当該青果の利益率の向上を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】情報処理システム1のハードウェア構成を示す図である。
【
図2】情報処理装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】プロセッサ23が備える機能部の一例を示す図である。
【
図5】情報処理システム1において実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
【
図6】表示部34に表示される第1の画像IM1の一例を示す図である。
【
図7】表示部34に表示される第2の画像IM2の一例を示す図である。
【
図8】表示部34に表示される第3の画像IM3の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0013】
<情報処理システム1>
図1は、情報処理システム1のハードウェア構成を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置2と、ユーザ端末3と、データベースDB1と、を備える。情報処理装置2と、ユーザ端末3と、データベースDB1と、は、電気通信回線を通じて通信可能に構成されている。一実施形態において、情報処理システム1とは、1つまたはそれ以上の装置または構成要素からなるものである。仮に例えば、情報処理装置2のみからなる場合であれば、情報処理システム1は、情報処理装置2となりうる。以下、これらの構成要素について説明する。
【0014】
<データベースDB1>
データベースDB1は、種々の情報として、参照情報IF0を記憶する。情報処理システム1に含まれる情報処理装置2は、データベースDB1に記憶された参照情報IF0を、電気通信回線を通じて参照可能に構成されている。データベースDB1は、公衆が無償でアクセス可能な公開情報や、秘密として管理されている営業秘密を含む営業秘密データや、一部のユーザのみがアクセス可能な限定提供情報などを含み得る。データベースDB1は、これらの情報の管理状態に応じて複数に分けられていてもよい。
【0015】
<情報処理装置2>
図2は、情報処理装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置2は、通信部21と、記憶部22と、プロセッサ23とを備え、これらの構成要素が情報処理装置2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0016】
通信部21は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置2は、通信部21およびネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0017】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ23によって実行される情報処理装置2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、プロセッサ23によって実行される情報処理装置2に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0018】
プロセッサ23は、情報処理装置2に関連する全体動作の処理・制御を行う。プロセッサ23は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例であるプロセッサ23によって具体的に実現されることで、プロセッサ23に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、プロセッサ23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0019】
<ユーザ端末3>
図3は、ユーザ端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末3は、通信部31と、記憶部32と、プロセッサ33と、表示部34と、入力部35とを備え、これらの構成要素がユーザ端末3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。通信部31、記憶部32およびプロセッサ33の説明は、情報処理装置2における各部の説明と同様のため省略する。
【0020】
表示部34は、ユーザ端末3筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部34は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、ユーザ端末3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0021】
入力部35は、ユーザ端末3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部35は、表示部34と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部35がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス30を介してプロセッサ33に転送され、プロセッサ33が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0022】
2.情報処理装置2の機能構成
図4は、プロセッサ23が備える機能部の一例を示す図である。
図4に示すように、プロセッサ23は、取得部231と、導出部232と、判定部233と、特定部234と、表示処理部235と、を備える。
【0023】
取得部231は、取得ステップを実行可能に構成されている。取得部231は、ユーザ端末3または他のデバイスからの情報を取得可能に構成されている。特に、取得部231は、データベースDB1から参照情報IF0を取得可能に構成されている。また、取得部231は、記憶部22の少なくとも一部であるストレージ領域に記憶されている種々の情報を読み出し、読み出された情報を記憶部22の少なくとも一部である作業領域に書き込むことで、種々の情報を取得可能に構成されている。ストレージ領域とは、例えば、記憶部22のうち、SSD等のストレージデバイスとして実施される領域である。作業領域とは、例えば、RAM等のメモリとして実施される領域である。
【0024】
導出部232は、導出ステップを実行可能に構成されている。導出部232は、取得部231によって取得された情報に基づき、種々のパラメータを導出可能に構成されている。また、導出部232は、当該導出にあたり、自身の導出結果を利用可能に構成されている。
【0025】
判定部233は、判定ステップを実行可能に構成されている。判定部233は、取得部231による取得結果、及び導出部232による導出結果に基づき、種々の判定を実行可能に構成されている。
【0026】
特定部234は、特定ステップを実行可能に構成されている。特定部234は、取得部231によって取得された情報、導出部232の導出結果、及び特定部234の判定結果に基づき、種々の条件や対象を特定可能に構成されている。
【0027】
表示処理部235は、表示制御ステップを実行可能に構成されている。表示処理部235は、取得部231によって取得された情報、及び判定部233によって特定された情報に基づき、表示部34に対する表示制御を実行可能に構成されている。ユーザは、ユーザ端末3の表示部34または他のデバイスを介して、これらの情報を視認可能となる。かかる場合、例えば、表示処理部235は、画面、静止画又は動画を含む画像、アイコン、メッセージ等の視覚情報を、ユーザ端末3の表示部34に表示させるように制御する。表示処理部235は、視覚情報をユーザ端末3に表示させるためのレンダリング情報だけを生成してもよい。なお、表示処理部235は、ユーザ端末3または他のデバイスユーザを介さずに、取得され、又は特定された情報をユーザに対して表示してもよい。
【0028】
3.情報処理について
本節では、前述した情報処理システム1において実行される情報処理について説明する。情報処理システム1は、情報処理によって、ある店舗で販売される青果の需給関係ST1がもがき状態ST2、なやみ状態ST3、及び適正状態ST4のいずれであるか否かの判定を行う。そして、情報処理システム1は、その判定結果に基づき、判定結果や改善策などを表示部34に表示させる。これにより、情報処理システム1は、ユーザに対して青果の販売状況の客観的な指標及び改善策を提供する。さらに、本実施形態の情報処理システム1は、当該情報処理を実行することにより、需給関係ST1に応じて店舗のスタッフ、特に青果の管理を行うバックオフィススタッフや、フロアスタッフの業務スケジュールに関する表示処理を行う。
【0029】
情報処理システム1が適用される店舗は、産地直送市場、仕入れた青果を小売店に卸す仲卸業者の店舗や市場、卸売業者から仕入れた青果を消費者に販売する小売店など、青果を第三者に販売する店舗であれば任意である。なお、店舗とは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの実店舗が存在するものに限られず、即席の店舗や、仮想店舗など、倉庫等に青果の在庫を抱える可能性のある任意の店舗が含まれ得る。即席の店舗とは、例えば、青空市場やフリーマーケットなどである。仮想店舗とは、例えば、通信販売、インターネットショッピングなどである。以下の説明では、ある店舗にて複数の青果が取り扱われる場合について説明するが、ある店舗にて1つの青果が取り扱われる場合についても同様に成立する。
【0030】
<需給関係ST1、もがき状態ST2、なやみ状態ST3、適正状態ST4>
需給関係ST1は、ある青果の需要と供給、又は両者の均衡を示す。ある青果の供給が当該青果の需要に対して大きくなるにつれて、店舗における当該青果の在庫が不足しやすくなる。また、当該青果の需要が供給に対して大きくなると、仕入れ市場における当該青果の価値が高くなる。これに伴い、当該青果の価格が高騰するため、店舗は、青果の仕入れ価格の上昇によって販売価格を上げざるを得なくなる。しかし、店舗における青果の販売価格が上昇すると、当該青果の売れ行きが悪化するため、結果として当該青果の売上が低下することがある。その結果、需給関係ST1は、もがき状態ST2に至る。もがき状態ST2は、店舗における青果の供給不足によって青果の利益率が低下している状態である。もがき状態ST2は、需給関係ST1が青果の需要に対する供給の差異が所定の閾値より大きくなった状態ともいう。所定の閾値は、例えば、店舗運営上の許容範囲によって定まる。
【0031】
逆に、ある青果の需要が当該青果の供給に対して大きくなるにつれて、店舗における当該青果の在庫が過剰になりやすくなる。また、当該青果の供給が需要に対して大きくなると、仕入れ市場における当該青果の価値が低くなる。これに伴い、当該青果の価格が下落する。しかし、店舗にとって価格の下落は仕入原価の減少となるため、当該青果を販売することによる利益率が向上するとも思える。しかし、仕入原価の低下に拘わらず当該青果の販売価格を維持すると、他の店舗との価格競争によって売れ行きが悪化する。そのため、店舗のスタッフは、当該青果の販売価格を下げざるを得ないことがある。その結果、需給関係ST1は、なやみ状態ST3に至る。なやみ状態ST3は、店舗における青果の供給過剰によって青果の利益率が低下している状態を示す。なやみ状態ST3は、需給関係ST1が青果の需要に対する供給の差異が所定の閾値より小さくなった状態ともいう。所定の閾値は、例えば、店舗運営上の許容範囲によって定まる。なお、説明の便宜上、もがき状態ST2でもなやみ状態ST3でもない需給関係ST1を、適正状態ST4という。適正状態ST4は、需要と供給のバランスが適正な需給関係ST1である。適正状態ST4は、需要と供給のバランスが店舗のスタッフの許容範囲内である需給関係ST1であるともいえる。
【0032】
3.1.情報処理の流れについて
図5は、情報処理システム1において実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。なお、当該情報処理は、図示されない任意の例外処理を含みうる。例外処理は、当該情報処理の中断や、各処理の省略を含む。当該情報処理にて行われる選択または入力は、ユーザによる操作に基づくものでも、ユーザの操作に依らず自動で行われるものでもよい。
【0033】
[アクティビティA1]
まず、アクティビティA1にて、取得部231は、青果情報IF1と、在庫情報IF2と、を取得する。本実施形態の取得部231は、さらに、店舗のスタッフに関するスタッフ情報を取得する。スタッフ情報は、例えば、各スタッフに付与された識別ID、スタッフの氏名、スタッフの所属店舗、スタッフの担当可能業務(例えば、レジ打ち、品出し、在庫管理など)、スタッフに対する基本報酬、スタッフの勤務可能時間などを含む。本実施形態のスタッフ情報は、店舗のスタッフが行う業務スケジュールを少なくとも含む。業務スケジュールは、例えば、勤怠に関するスケジュールや、タスクに関するスケジュールなどを含む。勤怠に関するスケジュールは、例えば、スタッフの就業開始時刻、就業終了時刻、休憩開始時刻、休憩終了時刻などである。タスクに関するスケジュールは、例えば、スタッフに課せられるタスクごとの実行開始時刻、終了予定時刻、当該タスクの担当人数などを含む。
【0034】
<青果情報IF1>
青果情報IF1は、店舗で販売される青果に関する情報である。青果情報IF1は、例えば、青果の種類、産地、販売地、生産者、流通業者、消費期限、保管期限などを含む。また、青果情報IF1は、青果の将来予測に関する予測情報を含む。予測情報は、例えば、青果の収穫予測量、仕入れ予想価格、流通予想価格、予測発注量などを含む。本実施形態の青果情報IF1は、店舗における青果の予測需要を少なくとも含む。導出部232は、例えば、地図情報や人口情報などの静的情報や、人流情報、交通量情報、気象情報などの動的情報などに基づいて、予測需要に関する情報を導出すればよい。特に、予測需要の導出に用いられる交通量情報や気象情報としては、人工衛星によって観測された衛星観測情報が用いられるとよい。これにより、俯瞰的な視点が予測需要の導出に盛り込まれるため、導出される予測需要が局所最適解に停留する可能性を下げ、全体最適解となる可能性を上げることができる。予測需要の導出方法は、数理モデルに基づくシミュレーションや機械学習など、任意の方法を採用可能である。また、予測需要は、導出部232によって導出されたものに限られず、情報処理システム1以外の外部サーバによって導出されたものであっても、ユーザによって予め定められたものであってもよい。青果情報IF1は、例えば、データベースDB1に参照情報IF0として記憶されている。この場合、取得部231は、当該データベースDB1から青果情報IF1を取得する。
【0035】
<在庫情報IF2>
在庫情報IF2は、店舗における青果の在庫に関する情報である。在庫情報IF2は、例えば、店舗全体の青果の在庫数、売り場に陳列されている青果の在庫数、バックヤードに保管されている青果の在庫数などを含む。また、在庫情報IF2は、これらの変動、すなわち、青果の仕入れ数、青果の販売数などを含む。さらに、在庫情報IF2は、在庫の仕入れ時期、在庫の販売期限(例えば、賞味期限、消費期限など)など、青果に関する時系列情報を含んでもよい。在庫情報IF2は、例えば、データベースDB1や店舗所有のサーバなどに記憶されている。この場合、取得部231は、在庫情報IF2をデータベースDB1等から取得する。なお、取得部231は、青果情報IF1及び在庫情報IF2をユーザからの入力により取得してもよい。
【0036】
[アクティビティA2]
次に、処理がアクティビティA2に進み、導出部232は、アクティビティA1にて取得された青果情報IF1及び在庫情報IF2に基づき、青果の需給パラメータを導出する。需給パラメータは、需給関係ST1に対応するパラメータである。需給パラメータは、供給が需要に対して大きくなるにつれて増加する。すなわち、需給パラメータは、需給関係ST1と正の相関がある。需給パラメータの導出態様は任意である。例えば、導出部232は、青果情報IF1及び在庫情報IF2に対する需給パラメータの関係を示すルックアップテーブル等に基づいて需給パラメータを導出しても、取得された各種情報を予め学習された学習器に入力することで、需給パラメータを導出してもよい。当該学習器は、例えば、青果の予測需要を含む青果情報IF1及び在庫情報IF2に対する当該青果の需要に関する量的情報(例えば、青果の販売数、売上など)を教師データとして受け付ける。そして、当該学習器は、受け付けた青果情報IF1及び在庫情報IF2と、青果の需要に関する量的情報との相関を示すパラメータとして、需給パラメータを設定する。学習器は、このような需給パラメータとして表現される各種情報間の相関を教師データとして用いた学習を行う。学習に用いられるアルゴリズムは任意であり、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やリカレントニューラルネットワーク(RNN)などが挙げられる。なお、学習器は、教師なし学習や強化学習など、教師あり学習以外の手法を用いて学習を行ってもよい。当該学習器は、情報処理装置2に格納されていても、情報処理装置2以外の外部サーバに格納されていてもよい。学習器は、入力される情報(例えば、青果情報IF1や在庫情報IF2)から抽出される特徴量によって構成される特徴量空間から、需給関係ST1を示す需給パラメータへの射影に対応する操作を実行可能なデバイスやプログラムともいえる。
【0037】
また、教師データは、各種情報が示す需給関係ST1がもがき状態ST2、なやみ状態ST3、及び適正状態ST4のうちのいずれであるかを含む。需給関係ST1が各種状態ST2~ST4のいずれであるかは、ユーザが予め設定したものであっても、導出部232によって導出されたものであってもよい。また、教師データに需給関係ST1に関する情報が含まれていない場合、学習器自らが需給関係ST1に関する情報を導出してもよい。この場合、情報処理装置2は、当該導出結果を、ユーザによって修正可能に構成されていることが好ましい。
【0038】
[アクティビティA3]
次に、処理がアクティビティA3に進み、導出部232は、もがき領域R1及びなやみ領域R2を導出する。もがき領域R1は、需給関係ST1がもがき状態ST2である場合における需給パラメータの範囲である。なやみ領域R2は、需給関係ST1がなやみ状態ST3である場合における需給パラメータの範囲である。上述した需給パラメータ、もがき状態ST2となやみ状態ST3の性質から、もがき領域R1は、なやみ領域R2よりも需給パラメータが小さい領域に位置する。本実施形態では、もがき領域R1となやみ領域R2との重複がないものとし、もがき領域R1となやみ領域R2には、適正領域R3が位置する。適正領域R3は、需給関係ST1が適正状態ST4である場合における需給パラメータの範囲である。もがき領域R1及びなやみ領域R2の導出方法は任意であるが、例えば、導出部232は、上記学習器を用いて当該導出を行う。学習器は、上記学習の結果として、各種情報と需給関係ST1との関係に基づき、もがき状態ST2に対応するもがき領域R1と、なやみ状態ST3に対応するなやみ領域R2と、を導出可能に構成する。導出部232は、学習器によって導出されたもがき領域R1及びなやみ領域R2を取得する。これにより、導出部232は、学習器を用いてもがき領域R1及びなやみ領域R2を導出する。
【0039】
また、本実施形態の導出部232は、アクティビティA2にて導出された需給パラメータと、上記導出されたもがき領域R1及びなやみ領域R2と、に基づき、もがき状態又はなやみ状態の度合いを導出する。以下、説明の便宜上、もがき状態の度合いを「もがき度合い」、なやみ状態の度合いを「なやみ度合い」という。
【0040】
<もがき度合い>
もがき度合いは、需給パラメータによって表される需給関係ST1がどの程度深刻なもがき状態ST2であるかを示す指標である。もがき度合いは、例えば、もがき領域R1の上限値に対する需給パラメータの差分によって表される。なお、需給パラメータがもがき領域R1の上限値以上の場合におけるもがき度合いはゼロとする。もがき度合いがゼロであることは、需給関係ST1がもがき状態ST2でないことを示す。
【0041】
<なやみ度合い>
なやみ度合いは、需給パラメータによって表される需給関係ST1がどの程度深刻ななやみ状態ST3であるかを示す指標である。なやみ度合いは、例えば、なやみ領域R2の下限値に対する需給パラメータの差分によって表される。なお、需給パラメータがなやみ領域R2の下限値以下の場合における、なやみ度合いはゼロである。なやみ度合いがゼロであることは、需給関係ST1がなやみ状態ST3でないことを示す。もがき度合い及びなやみ度合いの具体的態様はこれに限られず任意である。
【0042】
[アクティビティA4]
判定部233は、青果情報IF1と、在庫情報IF2と、に少なくとも基づき、需給関係ST1の判定を行う。詳細には、判定部233は、青果情報IF1に含まれる予測需要と、在庫情報IF2と、に基づき、判定を行う。本実施形態では、判定部233は、導出された需給パラメータが、導出されたもがき領域R1、なやみ領域R2、及び適正領域R3のいずれに含まれているかによって、当該判定を行う。需給パラメータがもがき領域R1に含まれている場合、判定部233は、需給関係ST1がもがき状態ST2であると判定する。需給パラメータがなやみ領域R2に含まれている場合、判定部233は、需給関係ST1がなやみ状態ST3であると判定する。需給パラメータが適正領域R3に含まれている場合、判定部233は、需給関係ST1が適正状態ST4であると判定する。判定対象となる青果が複数存在する場合、判定部233は、複数の青果ごとに、当該判定を行う。
【0043】
[アクティビティA5]
アクティビティA4にて、ある青果の需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3であると判定された場合、処理がアクティビティA5に進む。このような場合は、需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3であると判定された青果が存在する場合ともいえる。アクティビティA5にて、情報処理装置2は、探索条件を決定する。探索条件は、青果情報IF1や在庫情報IF2など、需給パラメータの導出に用いられた各種条件の変更を許容する範囲である。例えば、探索条件は、青果の仕入れ数、販売数、販売価格などの変更を許容する範囲を示す。当該探索範囲は、情報処理装置2が取得した青果情報IF1及び在庫情報IF2に基づいて適宜設定したものであっても、ユーザが予め設定したものであってもよい。
【0044】
[アクティビティA6]
次に、アクティビティA6に進み、導出部232は、アクティビティA5にて決定された探索条件下で、仮想需給パラメータを導出する。仮想需給パラメータとは、取得された情報(例えば、青果情報IF1や在庫情報IF2)を探索条件下で仮想的に変化させた場合における需給パラメータである。仮想需給パラメータは、情報処理システム1によって導出される仮想的な需給関係ST1に対応する。以下、説明の便宜上、仮想需給パラメータに対応する仮想的な需給関係ST1を、仮想需給関係ST1aという。
【0045】
[アクティビティA7]
次に、処理がアクティビティA7に進み、特定部234は、探索条件の中から解消条件を特定する。解消条件は、探索条件の中で、仮想需給関係ST1aがもがき状態ST2又はなやみ状態ST3から適正状態ST4となる条件である。例えば、情報処理装置2は、予め定められたステップ幅に基づき、探索条件の範囲内において仮想需給パラメータの導出を行う条件を決定する。そして、情報処理装置2は、決定されたそれぞれの条件を上記学習器に入力する。これにより、学習器は、入力された条件から、需給パラメータを出力する。情報処理装置2は、学習器から出力される需給パラメータを、仮想需給パラメータとして取得する。情報処理装置2は、取得した仮想需給パラメータに対して、アクティビティA4にて説明した判定処理と同様の処理を行うことにより、仮想需給パラメータに対応する仮想需給関係ST1aがもがき状態ST2、なやみ状態ST3、及び適正状態ST4のうちのいずれであるかを判定する。なお、上記処理はあくまで一例であり、これに限られない。例えば、仮想需給関係ST1aが適正状態ST4となる条件が特定できない場合、情報処理装置2は、探索条件下で仮想需給パラメータの変動幅が最大となる条件を、解消条件に代えて特定してもよい。
【0046】
[アクティビティA8]
次に、処理がアクティビティA8に進み、特定部234は、アクティビティA7にて特定された条件(例えば、解消条件)に対応する販売態様を特定する。販売態様は、例えば、青果の仕入れ数、陳列態様(例えば、陳列数や陳列位置)、販売価格などを含む。例えば、特定部234は、特定された解消条件に含まれる販売価格を販売態様として特定してもよい。また、導出部232は、特定された解消条件に基づき予測需要を導出し、特定部234は、導出された予測需要に対して青果の販売確率が最大となる陳列態様を特定してもよい。そのため、本実施形態において特定される販売態様は、青果の値下げに限られない。これにより、青果の利益率の低下を抑制することができる。
【0047】
[アクティビティA9]
次に、アクティビティA9に進み、表示処理部235は、第1の表示処理を実行することで、店舗における当該青果の販売態様に関する情報を表示部34に表示させる。例えば、表示処理部235は、需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3であると判定された青果が存在する場合に、販売態様として、店舗における青果の陳列位置を表示部34に表示させる。また、別例として、表示処理部235は、需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3であると判定された青果が存在する場合に、販売態様として、少なくとも、当該青果と組み合わせて販売される商品の候補を表示部34に表示させる。当該販売態様は、例えば、アクティビティA8にて特定されたものである。なお、アクティビティA4にてある青果の需給関係ST1が適正状態ST4である場合、言い換えれば、ある青果の需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3でない場合、情報処理装置2は、当該青果についてのアクティビティA5~アクティビティA8までの処理を省略し、アクティビティA9に進む。アクティビティA5~アクティビティA9の省略は、全ての青果の需給関係ST1が適正状態ST4である場合に行われてもよい。
【0048】
なお、表示処理部235は、さらに、判定においてもがき状態ST2又はなやみ状態ST3と判定される頻度に応じて、販売態様の候補を表示させてもよい。例えば、ある月においてもがき状態ST2又はなやみ状態ST3に至る日数が所定日数を上回った場合に、当該販売態様の候補を表示させてもよい。これにより、慢性的でなく一時的にもがき状態ST2又はなやみ状態ST3に至った場合に、店舗のスタッフが販売態様の変更を逐次検討するという負荷を軽減することができる。
【0049】
[アクティビティA10]
アクティビティA9の処理の実行後、ユーザ端末3は、ユーザ(例えば、店舗のスタッフやマネージャ)から、表示された販売態様の指定を受け付ける。
[アクティビティA11]
処理がアクティビティA11に進み、特定部234は、取得されたスタッフ情報と、導出されるもがき状態又はなやみ状態の度合いと、に基づき、指定された販売態様にて青果の販売を行う際に必要なタスクを特定する。指定された販売態様とは、表示部34に表示される販売態様でもある。当該タスクは、例えば、タスクの種類、タスクの実行時間、タスクの優先度などを含む。当該タスクは、青果ごとに個別に設定されていてもよい。タスクの種類とは、例えば、青果の仕入れ、店卸、陳列、補充、在庫確認など青果ごとに実行されるものや、レジ打ち、フロア掃除、調理など青果とは無関係に実行されるものを含み得る。タスクの実行時間は、タスクの開始時刻、タスクの終了予定時刻、タスクの通知時刻などを含み得る。情報処理装置2は、取得部231を用いて、これらのタスクに関する情報を、データベースDB1等に予め記憶された参照情報IF0から適宜取得し、上記特定に用いてもよい。本実施形態の特定部234は、さらに、特定されたタスクと取得されたスタッフ情報とに基づき、対象スタッフを特定する。対象スタッフは、特定されたタスクを実行可能なスタッフである。特定部234は、例えば、特定されたタスクが担当可能業務に含まれているスタッフを、対象スタッフとして特定する。このとき、取得部231は、取得されたスタッフ情報から、対象スタッフの業務スケジュールを取得する。
【0050】
[アクティビティA12]
次に、処理がアクティビティA12に進み、特定部234は、取得されたスタッフの業務スケジュールと、特定されたタスクと、に基づき、対象スタッフが当該タスクを実行する場合における仮想的な業務スケジュールである仮想業務スケジュールを特定する。特定部234は、対象スタッフの既存の業務スケジュール、特定されたタスクの所要時間、タスク間のバッファ期間(休憩時間や移動時間など)などの種々の変数に基づき所定の目的関数を最適化することで、仮想業務スケジュールを特定する。目的関数の選択方法は任意であるが、例えば、既存の業務スケジュールと仮想業務スケジュールとの差異の程度を表す距離を目的関数とすればよい。これにより、既存の業務スケジュールからの変更点が小さい仮想業務スケジュールが優先的に特定されるため、スタッフに負担の少ない仮想業務スケジュールを提案しやすくなる。特定部234は、最急降下法、確率的勾配降下法(SGD)、モーメンタムSGD、ニュートン法など、任意の方法を用いて当該目的関数の最小化、すなわち、仮想業務スケジュールの特定を行ってもよい。
【0051】
[アクティビティA13]
アクティビティA12の処理の実行後、処理がアクティビティA13に進む。アクティビティA13にて、表示処理部235は、第2の表示処理を実行することで、特定された仮想業務スケジュールを表示部34に表示させる。本実施形態の表示処理部235は、対象スタッフのユーザ端末3に対して、当該対象スタッフの仮想業務スケジュールを表示させる。対象スタッフのユーザ端末3は、対象スタッフが表示部34に表示された仮想業務スケジュールに対して応答可能であるか否かを示す入力を、対象スタッフから受け付ける。ユーザ端末3が対象スタッフから応答可能であることを示す入力を受け付けた場合、情報処理装置2は、店舗のスタッフの業務スケジュールを更新し、更新後の業務スケジュールを各スタッフの表示部34に表示させる。一方、ユーザ端末3が対象スタッフから応答不能であることを示す入力を受け付けた場合、情報処理装置2は、スタッフ情報を更新し、再度、アクティビティA12における仮想業務スケジュールの特定を実行する。これにより、情報処理システム1は、スタッフの意思を尊重した店舗運営を促進することができる。
【0052】
なお、アクティビティA10にて販売態様の指定がされない場合、表示処理部235は、アクティビティA11及びアクティビティA12の処理を省略してアクティビティA12の処理を行ってもよい。この場合の表示内容は任意であるが、表示処理部235は、例えば、スタッフに対して通常の業務スケジュールを表示部34に表示させる。
【0053】
3.2.第1の表示処理の結果として表示される画像について
本節では、上記第1の表示処理が行われた結果、表示部34に表示される、第1の画像IM1及び第2の画像IM2について説明する。
【0054】
<第1の画像IM1>
図6は、表示部34に表示される第1の画像IM1の一例を示す図である。第1の画像IM1は、ユーザとしての店舗のスタッフに対して、ある青果の販売状況及びその改善案を提示する画像である。第1の画像IM1は、需給関係表示領域4と、過去状態表示領域5と、第1の陳列態様表示領域6と、改善提案表示領域7と、を含む。
【0055】
<需給関係表示領域4>
需給関係表示領域4には、ある青果(例えば、にんじん)の現在の需給関係ST1が表示されている。本実施形態では、需給関係ST1を示すパラメータとして、青果の陳列数が用いられている。需給関係表示領域4は、表示インジケータ41と、第1のパラメータ表示領域42と、第2のパラメータ表示領域43と、需給関係通知領域44と、を含む。
【0056】
<表示インジケータ41>
表示インジケータ41は、現在の販売状況がもがき状態ST2、なやみ状態ST3、及び適正状態ST4のいずれに該当するかを、ユーザが視認可能な態様で表示する視覚情報である。本実施形態の表示インジケータ41は、表示部34の左右に延びるグラフである。表示インジケータ41は、基準軸411と、もがき領域表示領域412と、なやみ領域表示領域413と、1つの第1の目印414と、少なくとも1つの第2の目印415と、を含む。
【0057】
<基準軸411>
基準軸411は、もがき状態ST2又はなやみ状態ST3に対する現在の需給関係ST1の相対位置を表示する基準となる。本実施形態の基準軸411は、表示部34の左右にわたって直線状に延びている。
【0058】
<もがき領域表示領域412、なやみ領域表示領域413>
もがき領域表示領域412には、基準軸411上でのもがき領域R1に対応する領域が表示されている。なやみ領域表示領域413には、基準軸411上でのなやみ領域R2に対応する領域が表示されている。なお、基準軸411上において、もがき領域表示領域412及びもがき領域表示領域412のいずれにも対応しない領域は、需給関係ST1が適正状態ST4の場合に対応する。
【0059】
もがき領域表示領域412及びなやみ領域表示領域413は、それぞれ基準軸411に沿って表示されている。もがき領域表示領域412の表示態様は、なやみ領域表示領域413の表示態様と異なる。本実施形態では、もがき領域表示領域412の色は、なやみ領域表示領域413の色と異なる。これらの表示態様の差異は、色以外にも、輪郭や形状など、ユーザが視覚的に区別可能であれば任意である。
【0060】
<第1の目印414>
第1の目印414は、ある店舗におけるある青果の現在の販売状況を、基準軸411上で示す。本実施形態では、基準軸411上において、店舗における青果の現在の在庫数に対応する位置を示す三角形状の目印である。第1の目印414は、青果の在庫数の減少に応じて、右から左へと移動する。なお、青果の在庫数は、例えば、店舗のPOSレジでの会計情報に基づいて算出されても、既知の在庫管理システムから取得されてもよい。
【0061】
<第2の目印415>
第2の目印415は、青果の在庫数に関する種々の設定値を、基準軸411上で示す。種々の設定値とは、例えば、当日の初期在庫数、当日販売目標数、自動発注を行う在庫数などである。これらの設定値は、情報処理装置2によって自動的に設定されたものであっても、ユーザによって任意に設定されたものであってもよい。第2の目印415は、これらの設定値に対応する位置に配置される。本実施形態の第2の目印415は、三角形状の目印である。また、本実施形態の第2の目印415は、第1の目印414と異なる表示態様で表示されている。これにより、ユーザは、第1の目印414によって示される現在の販売状況と、第2の目印415によって示される種々の設定値と、を容易に区別することができる。
【0062】
<第1のパラメータ表示領域42>
第1のパラメータ表示領域42には、店舗における青果情報IF1が数値又は文字列で表示される。本実施形態では、第1のパラメータ表示領域42には、青果の当初の在庫数、現在の在庫数、青果の販売価格、青果の想定原価などが表示される。第1のパラメータ表示領域42に販売原価と想定原価が一覧可能に表示されていることにより、店舗のスタッフは、当該青果の粗利を意識して業務を行いやすくなる。
【0063】
<第2のパラメータ表示領域43>
第2のパラメータ表示領域43には、当該青果の販売に関する時刻又は頻度に関する情報が表示される。当該時刻に関する情報は、例えば、青果の販売数が目標値に到達する目標時刻(いわゆる目標販売達成時刻)や、当該販売数が目標値に到達する予想時刻(いわゆる予想販売達成時刻)を含む。予想販売達成時刻の導出態様の一例として、導出部232は、まず、販売数と予測需要との間の相関に基づき時間帯あたり予想販売数を導出する。次に、導出部232は、当該時間あたり予想販売数を時間帯で積算した積算予測販売数を目標販売数と比較することで、積算予測販売数が目標販売数に到達する時刻を予想販売達成時刻として導出する。なお、予想販売達成時刻の導出方法はあくまで一例であり、これに限られない。
【0064】
<需給関係通知領域44>
需給関係通知領域44には、現在の需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3であるか否かを店舗のスタッフに通知する視覚情報が表示される。例えば、アクティビティA4にて需給関係ST1がもがき状態ST2である場合には、需給関係通知領域44には、「もがき状態!」という文字列が表示される。一方、アクティビティA4にて需給関係ST1がなやみ状態ST3であると判定された場合には、需給関係通知領域44には、「なやみ状態!」という文字列が表示される。なお、需給関係通知領域44は、需給関係ST1がいずれの状態であるかを視認可能であれば、異なる色や輪郭などを用いた任意の態様で実現可能である。
【0065】
<過去状態表示領域5>
過去状態表示領域5には、過去の需給関係ST1に関する履歴が表示される。本実施形態では、過去状態表示領域5には、ある月における日毎の需給関係ST1がいずれの状態であったかが表示される。表示態様は任意であるが、本実施形態の過去状態表示領域5には、月ごとのカレンダーが表示され、各カレンダー上の対応する日を表示する領域が、もがき状態表示領域51及びなやみ状態表示領域52として表示される。
【0066】
<もがき状態表示領域51、なやみ状態表示領域52>
もがき状態表示領域51は、需給関係ST1がもがき状態ST2のまま店舗の営業が終了した日を示す。なやみ状態表示領域52は、需給関係ST1がなやみ状態ST3のまま店舗の営業が終了した日を示す。これにより、過去状態表示領域5は、需給関係ST1がもがき状態ST2又はなやみ状態ST3のまま店舗の営業が終了した頻度などの時系列情報を示すことができる。需給関係ST1がある状態で店舗の営業が終了した日とは、需給関係ST1がある状態で店舗の営業終了時刻を経過した日ともいえる。もがき状態表示領域51となやみ状態表示領域52とは、互いに異なる表示態様で表示される。もがき状態表示領域51の表示態様は、もがき領域表示領域412の表示態様と相関がある。具体的には、もがき状態表示領域51は、もがき領域表示領域412と同一又は類似の色で表示される。同様に、なやみ状態表示領域52の表示態様は、なやみ領域表示領域413の表示態様と相関がある。
【0067】
<第1の陳列態様表示領域6>
第1の陳列態様表示領域6には、店舗における青果の陳列態様に関する情報が表示される。例えば、第1の陳列態様表示領域6には、店舗のレイアウトを示すマップ、当該マップにおける青果の陳列位置、陳列数などが表示される。本実施形態の第1の陳列態様表示領域6は、陳列位置表示領域61と、通知目印62と、を含む。
【0068】
<陳列位置表示領域61>
陳列位置表示領域61は、店舗レイアウトを示すマップ上における青果の陳列位置を、当該青果が陳列されていない位置と区別可能な態様(例えば、異なる色や輪郭など)で示す。本実施形態の陳列位置表示領域61の表示態様は、当該陳列位置ごとの陳列数に応じて変更される。具体的には、陳列数が第1の閾値以上の場合に緑、第2の閾値以上かつ第1の閾値未満の場合に黄色、第2の閾値未満の場合に赤、というように、陳列数の減少に伴い陳列位置表示領域61の色が警告色となるように構成されている。第1の閾値は、陳列数が予測需要に対して余裕があるか否かを示す境界値である。第2の閾値は、陳列数と販売数とに応じて青果の品切れが生じる可能性があるか否かを示す境界値である。第1の閾値及び第2の閾値は、それぞれ店舗のスタッフによって設定されても、情報処理装置2によって都度導出されるものでもよい。
【0069】
<通知目印62>
通知目印62は、陳列位置表示領域61のなかで在庫切れが生じる可能性がある領域を示す目印である。本実施形態の通知目印62は、陳列数が上記第2の閾値未満となる領域に対して付与される。なお、通知目印62は、陳列数がゼロとなった陳列位置表示領域61に付与されてもよい。
【0070】
<改善提案表示領域7、詳細表示領域71>
改善提案表示領域7には、アクティビティA8にて特定された販売態様に関する情報が表示される。例えば、改善提案表示領域7には、アクティビティA8にて特定された販売態様として、販売価格の変更、自動発注数の変更、陳列位置の変更、販売方法の変更などが表示される。改善提案表示領域7は、詳細表示領域71を含む。詳細表示領域71は、表示部34に各販売態様の詳細を表示させるためのUIであり、例えば、図示されるようなボタン型のオブジェクトである。詳細表示領域71は、ボタン型のオブジェクトに代えて、テキストのハイパーリンクが採用されてもよい。本実施形態では、詳細表示領域71が操作された場合、表示部34には、第1の画像IM1に代えて第2の画像IM2が表示される。
【0071】
<第2の画像IM2>
図7は、表示部34に表示される第2の画像IM2の一例を示す図である。本実施形態の第2の画像IM2は、改善提案表示領域7に表示される販売態様のうち、青果の陳列態様を示す。第2の画像IM2は、第2の陳列態様表示領域8と、第3の陳列態様表示領域9と、実行指定領域EX1と、を含む。
【0072】
<第2の陳列態様表示領域8>
第2の陳列態様表示領域8には、アクティビティA8にて特定された販売態様が表示される。例えば、第2の陳列態様表示領域8には、第1の陳列態様表示領域6と同様に、店舗のレイアウトを示すマップが表示される。第2の陳列態様表示領域8は、既存表示領域81と、提案表示領域82と、を含む。
【0073】
<既存表示領域81>
既存表示領域81は、店舗における青果の現在の陳列態様に関する情報が表示される。既存表示領域81の表示態様は任意であるが、例えば、陳列位置表示領域61と同様である。
【0074】
<提案表示領域82>
提案表示領域82には、アクティビティA8にて特定された陳列態様に関する情報が視覚情報として表示される。アクティビティA8にて特定された陳列態様に関する情報は、例えば、青果の陳列位置、陳列タイミング、陳列方法、陳列数などを含む。提案表示領域82の表示態様は、これらの情報に応じて変更されてもよい。また、提案表示領域82は、複数の陳列態様の候補を表示可能に構成されてもよい。これにより、店舗のスタッフが店舗の実情に合わせて柔軟な陳列態様を採用しやすくなる。
【0075】
<第3の陳列態様表示領域9>
第3の陳列態様表示領域9には、提案表示領域82に表示された陳列態様に関する数値情報又は文字情報が表示される。本実施形態の第3の陳列態様表示領域9には、陳列位置ごとの陳列数、陳列面積、当該青果と組み合わせて販売される商品の候補(図中では隣接商品)などが表示される。また、第3の陳列態様表示領域9には、表示部34に表示された販売態様を採用することで、もがき状態ST2又はなやみ状態ST3を脱する確率(図中では予想もがき脱却率)が表示されてもよい。これにより、当該陳列態様を採用するか否かの判断指標が得られる。当該確率は、例えば、需要予測の予測精度に基づいて導出される。
【0076】
<実行指定領域EX1>
実行指定領域EX1は、販売態様の指定を行うためのUIであり、例えば、図示されるようなボタン型のオブジェクトである。詳細表示領域71は、ボタン型のオブジェクトに代えて、テキストのハイパーリンクが採用されてもよい。店舗のスタッフを含むユーザは、詳細表示領域71を操作することによりアクティビティA10での販売態様の指定を入力することができる。詳細表示領域71が操作されることに伴い、上記情報処理がアクティビティA10からアクティビティA11へと進む。これにより、第2の表示処理が行われ、表示部34に表示される画像が、第2の画像IM2から第3の画像IM3へと変更される。なお、当該指定は、情報処理装置2によって自動的に行われてもよい。
【0077】
3.3.第2の表示処理の結果として表示される画像について
本節では、第2の表示処理が行われた結果、表示部34に表示される第3の画像IM3について説明する。
【0078】
<第3の画像IM3>
図8は、表示部34に表示される第3の画像IM3の一例を示す図である。本実施形態の第3の画像IM3は、対象スタッフに対して業務スケジュール、及び仮想業務スケジュールを提示するためのものである。第3の画像IM3は、スタッフ情報表示領域10と、スケジュール表示領域11と、通知領域12と、を含む。
【0079】
<スタッフ情報表示領域10>
スタッフ情報表示領域10には、取得されたスタッフ情報の少なくとも一部が表示される。スタッフ情報表示領域10には、スタッフ情報として、スタッフの氏名、識別ID、所属店舗、店舗ID、使用しているユーザ端末3の識別ID、担当可能業務などが表示される。また、スタッフ情報表示領域10には、所定期間内(例えば1月間や1年間)における当該スタッフの勤怠(いわゆるシフト)が表示可能に構成されている。
【0080】
<スケジュール表示領域11>
スケジュール表示領域11には、スタッフの業務スケジュールに関する情報が表示される。スケジュール表示領域11には、スタッフの業務スケジュールに関する情報として、タスクの名称、タスクを行う時間(開始時刻及び終了時刻)、各タスクを通知するタイミング、タスクの重要度などが表示される。スケジュール表示領域11には、タスクの対象となる青果に関する情報(例えば、青果の名称)が表示されてもよい。タスクの対象となる青果が複数存在する場合、スケジュール表示領域11は、当該青果ごとに業務スケジュールが表示可能に構成されていてもよい。スケジュール表示領域11は、業務スケジュール表示領域111と、仮想業務スケジュール表示領域112と、を含む。業務スケジュール表示領域111には、アクティビティA12にて特定される前の業務スケジュールが表示される。仮想業務スケジュール表示領域112には、アクティビティA12にて特定された仮想業務スケジュールが表示される。仮想業務スケジュール表示領域112には、アクティビティA12にて特定された仮想業務スケジュールのうち、ユーザ端末3のユーザである対象スタッフに割り振られるもののみが表示されてもよい。本実施形態の仮想業務スケジュール表示領域112は、色や輪郭等の表示態様が異なることにより、業務スケジュール表示領域111と視覚的に区別可能に構成されている。
【0081】
仮想業務スケジュール表示領域112は、当該仮想業務スケジュールを遂行可能であるか否かを対象スタッフによって入力可能に構成されていてもよい。当該入力は、例えば、仮想業務スケジュール表示領域112への操作によって実現されればよい。対象スタッフが仮想業務スケジュールを遂行可能であるという入力がなされた場合、既存の業務スケジュールが当該仮想業務スケジュールによって更新され、その更新内容が業務スケジュール表示領域111に反映される。なお、アクティビティA10にて販売態様の指定がない状態で第2の表示処理が行われる場合、仮想業務スケジュール表示領域112の表示は省略されてもよい。
【0082】
<通知領域12>
通知領域12には、直近のタスクの通知が表示される。通知領域12は、少なくとも1つの応答領域121を含む。応答領域121は、通知された直近のタスクに対するスタッフの応答を入力可能なUIであり、例えば、図示されるようなボタン型のオブジェクトである。本実施形態における応答領域121は、直近のタスクを実行可能である旨の回答をする領域と、再度通知の要求する領域と、応援を要請する領域と、を含む。応援を要請する応答領域121が操作された場合、スタッフが行っている現在のタスクに対応する人数を増やすための処理が行われる。当該処理は、店舗内でタスクの応援を要請する放送を行うなど、任意の態様が採用可能である。また、当該処理として、特定部234は、設定されたタスクを特定されたタスクとしてアクティビティA12の処理を行うことにより、仮想業務スケジュールを再度特定した上で、再度第2の表示処理を行ってもよい。これにより、スタッフの業務の実情に即した業務スケジュールの設定が容易となる。
【0083】
4.その他
上記情報処理は、1つの独立した店舗を対象として行われても、複数の店舗(例えば、チェーン店や商店街など)の全体を対象として行われてもよい。
【0084】
上記情報処理では、青果ごとに需給パラメータが導出されるが、複数の青果を包括するカテゴリに対して需給パラメータが導出されてもよい。
【0085】
上記情報処理の態様はあくまで一例であり、これに限られない。例えば、上記情報処理において、第1の表示処理と第2の表示処理は、一連の情報処理に含まれる態様で行われても、個別の情報処理として行われてもよい。
【0086】
上記アクティビティA4の処理において、判定部233は、需給関係ST1がもがき状態ST2、なやみ状態ST3、及び適正状態ST4のいずれであるかまで判定しなくてもよい。例えば、判定部233は、需給パラメータに基づいて、青果の需給関係ST1がもがき状態ST2であるか否か及びなやみ状態ST3であるか否かのうちの少なくとも一方の判定を行えばよい。
【0087】
情報処理装置2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態の情報処理装置2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0088】
上記実施形態では、情報処理装置2が種々の記憶・制御を行ったが、情報処理装置2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0089】
本実施形態の態様は、情報処理システム1に限定されず、情報処理方法であっても、情報処理プログラムであってもよい。情報処理方法は、情報処理システム1の各ステップを含む。情報処理プログラムは、少なくとも1つのコンピュータに、情報処理システム1の各ステップを実行させる。
【0090】
上記情報処理システム1等は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0091】
(1)情報処理システムであって、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能なプロセッサを備え、取得ステップでは、店舗で販売される青果に関する青果情報と、前記店舗における前記青果の在庫に関する在庫情報と、を取得し、導出ステップでは、取得された前記青果情報と前記在庫情報とに基づき、前記青果の需給関係と相関がある需給パラメータを導出し、判定ステップでは、前記需給パラメータに基づいて、前記需給関係がもがき状態であるか否か及びなやみ状態であるか否かのうちの少なくとも一方の判定を行い、ここで、前記もがき状態は、前記店舗における前記青果の供給不足によって前記青果の利益率が低下している状態を示し、前記なやみ状態は、前記店舗における前記青果の供給過剰によって前記青果の利益率が低下している状態を示し、表示処理ステップでは、前記需給関係が前記もがき状態又は前記なやみ状態であると判定された前記青果が存在する場合に、前記店舗における当該青果の販売態様に関する情報を表示させる、もの。
【0092】
このような構成によれば、青果の需給関係に応じて店舗における販売位置などの販売態様の改善が促される。これにより、店舗での当該青果の利益率の向上を通じて、店舗がもがき状態又はなやみ状態から脱却することを推進することができる。
【0093】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記取得ステップでは、前記店舗における前記青果の予測需要を含む前記青果情報を取得し、前記導出ステップでは、さらに、取得された前記予測需要に基づき前記需給パラメータを導出する、もの。
【0094】
このような構成によれば、青果情報に含まれる予測需要がもがき状態又はなやみ状態の判定に反映されるため、判定の信頼性を向上することができる。
【0095】
(3)上記(1)又は(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記表示処理ステップでは、さらに、前記判定において前記もがき状態又は前記なやみ状態と判定される頻度に応じて、前記販売態様の候補を表示させる、もの。
【0096】
このような構成によれば、もがき状態又はなやみ状態の頻度は、もがき状態又はなやみ状態の度合いと相関がある。そして、これらの度合いに応じて、適切な販売態様が異なる可能性がある。そこで、当該構成によって、これらの度合いに合わせた適切な販売態様の候補の表示が可能となる。
【0097】
(4)上記(1)~(3)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記表示処理ステップでは、前記需給関係が前記もがき状態又は前記なやみ状態であると判定された前記青果が存在する場合に、前記販売態様として、前記店舗における当該青果の陳列位置を表示させる、もの。
【0098】
このような構成によれば、ユーザに対して表示された陳列位置に基づき店舗のレイアウトを変更することを促すことで、もがき状態又はなやみ状態となっている青果の利益率を向上することができる。
【0099】
(5)上記(1)~(4)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記取得ステップでは、さらに、前記店舗のスタッフに関するスタッフ情報を取得し、ここで、前記スタッフ情報は、前記スタッフが行う業務スケジュールを含み、さらに、第1の特定ステップでは、前記スタッフ情報と、前記需給パラメータに基づき導出される前記もがき状態又はなやみ状態の度合いと、に基づき、表示された前記販売態様にて前記青果の販売を行う際に必要なタスクを特定し、さらに、第2の特定ステップでは、取得された前記スタッフの前記業務スケジュールと、特定された前記タスクと、に基づき、当該タスクを実行可能な対象スタッフが当該タスクを実行する場合における仮想的な業務スケジュールである仮想業務スケジュールを特定し、前記表示処理ステップでは、さらに、特定された前記仮想業務スケジュールを表示させる、もの。
【0100】
このような構成によれば、表示された販売態様をスムーズに実行へと移すことができる。
【0101】
(6)上記(1)~(5)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記表示処理ステップでは、前記需給関係が前記もがき状態又は前記なやみ状態であると判定された前記青果が存在する場合に、前記販売態様として、少なくとも、当該青果と組み合わせて販売される商品の候補を表示させる、もの。
【0102】
このような構成によれば、ある青果が供給過剰又は供給不足な場合にも、他の商品との組み合わせ販売によって利益率の向上が図られる。したがって、店舗がなやみ状態又はもがき状態から脱却することを推進することができる。
【0103】
(7)情報処理方法であって、上記(1)~(6)の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを含む、方法。
【0104】
(8)情報処理プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、上記(1)~(6)の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、もの。
もちろん、この限りではない。
【0105】
さらに、以下の観点にも留意されたい。
【0106】
平成29年8月に「農業データ連携基盤協議会」(通称:WAGRI協議会)が設立され、農業データプラットフォームの「農業データ連携基盤」(通称:WAGRI)は、様々なデータやサービスを連環させて、農業分野にイノベーションを引き起こすことが期待されている。
【0107】
しかし、農林水産省の公共データだけを使用するのでは、日々の運用に必要な情報、たとえば、相場が、どのように変わっていくかというような、予測の概念に使用するには不十分である。
【0108】
相場は、天候、景気動向に作用されるが、農家は、データへのアクセスの方法やデータ分析になれていない。農家は、どのタイミングで、どんな葉物作付けするかということは非常に重要であるにもかかわらず、分断された青果価格の情報により、仕入業務の非効率・属人化につながっている。
【0109】
この結果、利益創生の機会損失を発生させるだけでなく、作物の過剰生産によるフードロスの問題にもつながる。
【0110】
特開2021―136023号公報には、対象植物の市場指標値を予測する指標値予測装置であって、特定地域における過去の気象に関するデータを取得し、対象植物とは異なる非対象植物の過去の市場指標値を示すデータと、対象植物の過去の市場指標値を示すデータとから市場指標値を予測する予測モデルを特徴としている。
【0111】
現状は、生産者、製造者・加工者、流通者・卸売者は、それぞれの立場で以下の問題を抱えている。生産者は、需要供給バランスを見誤り、結果として売れない商品を生産し廃棄することになる。
・製造者・加工業者は、需要を見誤った過剰生産・廃棄を行っている。
・流通者・卸売者は、安定供給を優先し、生産・加工事業者から大量に買い取るため、慢性的な供給過多につながる。
【0112】
本発明は、こうした従来技術上の問題点に鑑み、青果市況価格の可視化・予測サービスを支援し、解決することが可能な情報システム、方法およびプログラム、同プログラムが記憶された記録媒体を提供することを課題とする。
【0113】
本発明者は、上述した課題と向き合い、まず、青果データ集約化し予測により青果市場のムリ・ムラ・ムダを解決するため、不透明な青果市況価格を一元可視化し、予測することにより、非属人的・効率的な仕入れを支援するサービスを発案した。
【0114】
売れ残りや値崩れが発生しない商品の生産によって利益率向上と廃棄削減を両立し、過剰生産の抑止と、需要予測に基づいた市場供給量の最適化を実現し、直前発注や販促のリアルタイム化によって廃棄の削減、顧客の潜在ニーズの反映できた青果食料品を購入可能とする。
【0115】
API連携により、様々な企業と共創によってデータサイエンスの活用を進め、 機械学習や様々なアルゴリズムを利用する。
【0116】
そこで、上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る情報処理システムは、市場供給量を最適化するためのシステムにおいて、市場取引データ、気象データ、モバイル空間データ、農作物生育データ、外部PОSデータ、地域イベントデータ、導入店舗のPОSデータ、店舗一覧データ、のうちの少なくともいずれか一つのデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記データを保存する記憶部と、市場の取引価格を予測する予測部と、前記データのデータ連携と、前記予測部による予測された市場の取引価格とより、活用者に対し必要される分析を行う分析部とを具備することを特徴とする。
【0117】
本発明の第2の態様として、上記第1の態様において、前記分析部による分析結果を可視化して提示する提示部をさらに具備するようにしてもよい。
【0118】
本発明の第3の態様として、上記第1もしくは第2の態様において、前記予測部における予測に機械学習が使用されるようにしてもよい。
【0119】
本発明の第4の態様として、上記第3の態様において、前記機械学習には、価格予測回帰モデルが使用されるようにしてもよい。
【0120】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第5の態様に係る情報処理方法は、市場供給量を最適化するためのシステムにおいて、市場取引データ、気象データ、モバイル空間データ、農作物生育データ、外部PОSデータ、地域イベントデータ、導入店舗のPОSデータ、店舗一覧データ、のうちの少なくともいずれか一つのデータが入力され、前記入力された前記データのデータ連携と、予測された市場の取引価格とより、活用者に対し必要される分析を行うことを特徴とする。
【0121】
本発明の第6の態様として、上記第5の態様において、前記分析された分析結果を可視化して提示するステップをさらに具備するようにしてもよい。
【0122】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の第7の態様に係るプログラムは、市場供給量を最適化するためのシステムにおいて、コンピュータを、市場取引データ、気象データ、モバイル空間データ、農作物生育データ、外部PОSデータ、地域イベントデータ、導入店舗のPОSデータ、店舗一覧データ、のうちの少なくともいずれか一つのデータが入力される入力部と、前記入力部に入力された前記データを保存する記憶部と、市場の取引価格を予測する予測部と、前記データのデータ連携と、前記予測部による予測された市場の取引価格とより、活用者に対し必要される分析を行う分析部と、として機能させることを特徴とする。
【0123】
本発明の第8の態様として、上記第7の態様において、コンピュータを、前記分析部による分析結果を可視化して提示する提示部としてさらに機能させるようにしてもよい。
【0124】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の第9の態様として、第7もしくは第8の態様に係るプログラムが記憶される記録媒体として実現できる。
【0125】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、記録媒体、との各態様で実現可能である。また、上述した各態様のうち情報処理システムに係る態様は、当該情報処理システムを構成する複数の発明特定事項が複数(もしくは単数)の個別装置に分割し、当該複数(もしくは単数)の個別装置の集合体が上述した情報処理装置に対応するような態様を主に想定しているが、当該複数の発明特定事項が単数の個別装置によって具備される態様、すなわち、情報処理装置たる態様として本発明を実現することも可能である。また、第1の態様である情報処理システムについて第2~第4の各態様を展開することを上述したが、この第2~第4の各態様を展開することと同様な仕儀は、第5の態様に係る情報処理方法、第7の態様に係るプログラム、第9の態様に係る記録媒体、あるいは上述した情報処理装置に係る態様、のそれぞれにおいて展開可能である。
【0126】
本発明の各態様によれば、ユーザーに寄り添い、ユーザーの「ほしい」(情報、もの)を届けることを可能とする基盤を与える情報システムが実現される。
【0127】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0128】
1 :情報処理システム
2 :情報処理装置
3 :ユーザ端末
4 :需給関係表示領域
5 :過去状態表示領域
6 :第1の陳列態様表示領域
7 :改善提案表示領域
8 :第2の陳列態様表示領域
9 :第3の陳列態様表示領域
10 :スタッフ情報表示領域
11 :スケジュール表示領域
12 :通知領域
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :プロセッサ
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :プロセッサ
34 :表示部
35 :入力部
41 :表示インジケータ
42 :第1のパラメータ表示領域
43 :第2のパラメータ表示領域
44 :需給関係通知領域
51 :もがき状態表示領域
52 :なやみ状態表示領域
61 :陳列位置表示領域
62 :通知目印
71 :詳細表示領域
81 :既存表示領域
82 :提案表示領域
111 :業務スケジュール表示領域
112 :仮想業務スケジュール表示領域
121 :応答領域
231 :取得部
232 :導出部
233 :判定部
234 :特定部
235 :表示処理部
411 :基準軸
412 :もがき領域表示領域
413 :なやみ領域表示領域
414 :第1の目印
415 :第2の目印
A1 :アクティビティ
A2 :アクティビティ
A3 :アクティビティ
A4 :アクティビティ
A5 :アクティビティ
A6 :アクティビティ
A7 :アクティビティ
A8 :アクティビティ
A9 :アクティビティ
A10 :アクティビティ
A11 :アクティビティ
A12 :アクティビティ
A13 :アクティビティ
DB1 :データベース
EX1 :実行指定領域
IF0 :参照情報
IF1 :青果情報
IF2 :在庫情報
IM1 :第1の画像
IM2 :第2の画像
IM3 :第3の画像
PОS :外部
R1 :領域
R2 :領域
R3 :適正領域
ST1 :需給関係
ST1a :仮想需給関係
ST2 :もがき状態
ST3 :なやみ状態
ST4 :適正状態