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特開2023-86102リン酸官能性樹脂粒子を有するラテックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086102
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】リン酸官能性樹脂粒子を有するラテックス
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/30 20140101AFI20230614BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230614BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230614BHJP
   C08F 212/06 20060101ALI20230614BHJP
   C08F 220/02 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
C09D11/30
B41M5/00 120
B41J2/01 501
C08F212/06
C08F220/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185352
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】17/546,126
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】セペール、エム.、テフラニ
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
4J100
【Fターム(参考)】
2C056EA13
2C056FC01
2H186BA08
2H186BA11
2H186DA12
2H186DA18
2H186FB07
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB22
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB48
2H186FB54
2H186FB57
4J039AD03
4J039AD09
4J039AE12
4J039CA06
4J039EA44
4J039GA24
4J100AB02P
4J100AJ02Q
4J100AJ08Q
4J100AJ08R
4J100AL03P
4J100AL08Q
4J100AL67Q
4J100BA03Q
4J100BA64Q
4J100BC58R
4J100CA03
4J100CA06
4J100EA06
4J100FA03
4J100FA20
4J100FA28
4J100JA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水性インクジェットインク組成物などの様々な組成物のための樹脂粒子を提供するために使用され得るラテックスを提供する。
【解決手段】ラテックス組成物が提供される。実施形態では、ラテックスは、水及び樹脂粒子を含む。樹脂粒子は、1つ以上の種類の疎水性モノマーと、1つ以上の種類のリン酸モノマーを含む1つ以上の種類の酸性モノマーであって、樹脂粒子中の重合酸性モノマーの総量が少なくとも約8重量%であり、樹脂粒子中の重合リン酸モノマーの総量が少なくとも約2重量%である、1つ以上の種類の酸性モノマーと、を含む、反応物の重合生成物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び樹脂粒子を含むラテックスであって、前記樹脂粒子が、
1つ以上の種類の疎水性モノマーと、
1つ以上の種類のリン酸モノマーを含む1つ以上の種類の酸性モノマーであって、前記樹脂粒子中の重合酸性モノマーの総量が少なくとも約8重量%であり、前記樹脂粒子中の重合リン酸モノマーの総量が少なくとも約2重量%である、1つ以上の種類の酸性モノマーと、を含む、反応物の重合生成物を含む、ラテックス。
【請求項2】
重合酸性モノマーの総量が、少なくとも約10重量%である、請求項1に記載のラテックス。
【請求項3】
前記反応物が、4-メチルスチレン、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、又はそれらの組み合わせを含まない、請求項1に記載のラテックス。
【請求項4】
前記1つ以上の種類の疎水性モノマーが、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項5】
前記反応物が、(メタ)アクリル酸と、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル、又はそれらの両方である、ジオキサン/ジオキソランモノマーを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項6】
前記1つ以上の種類の疎水性モノマーが、アルキル(メタ)アクリレートを含み、重合アルキル(メタ)アクリレートが、少なくとも約15重量%の量で前記樹脂粒子中に存在する、請求項5に記載のラテックス。
【請求項7】
前記1つ以上の種類のリン酸モノマーが、P(O)(OR)(式中、各Rが、独立して、水素及びアルキル(メタ)アクリレートから選択され、少なくとも1つのRが、前記アルキル(メタ)アクリレートである)、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項8】
前記1つ以上の種類のリン酸モノマーが、式P(O)(OR)を有するものを含み、式中、各Rが、独立して、水素及びエチル(メタ)アクリレートから選択され、少なくとも1つのRが、前記エチル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載のラテックス。
【請求項9】
前記1つ以上の種類のリン酸モノマーが、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、及びそれらの組み合わせから選択されるものを含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項10】
前記1つ以上の種類の酸性モノマーが、1つ以上の種類の追加の酸性モノマーを更に含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項11】
重合リン酸モノマーの総量と追加の重合酸性モノマーの総量との重量比が、約0.8未満である、請求項10に記載のラテックス。
【請求項12】
前記比が、約0.4未満である、請求項11に記載のラテックス。
【請求項13】
前記1つ以上の種類の追加の酸性モノマーが、メタクリル酸を含む、請求項10に記載のラテックス。
【請求項14】
前記ラテックスが、着色剤を含まない、請求項1に記載のラテックス。
【請求項15】
前記反応物が、12~22個の炭素を有するアルキル基を有する不飽和エチレンモノマーを含まない、請求項1に記載のラテックス。
【請求項16】
前記ラテックスが、ホウ酸、ジグリコール酸、キレート剤、又はそれらの組み合わせを含まない、請求項1に記載のラテックス。
【請求項17】
前記1つ以上の種類の疎水性モノマーが、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレートを含み、
前記1つ以上の種類のリン酸モノマーが、P(O)(OR)(式中、各Rが、独立して、水素及びアルキル(メタ)アクリレートから選択され、少なくとも1つのRが、前記アルキル(メタ)アクリレートである)、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含み、
前記1つ以上の種類の酸性モノマーが、1つ以上の種類の追加の酸性モノマーを更に含み、
前記反応物が、反応性界面活性剤を更に含む、請求項1に記載のラテックス。
【請求項18】
前記1つ以上の種類の追加の酸性モノマーが、メタクリル酸を含む、請求項17に記載のラテックス。
【請求項19】
重合酸性モノマーの総量が、少なくとも約10重量%であり、重合リン酸モノマーの総量と追加の重合酸性モノマーの総量との重量比が、約0.4未満である、請求項17に記載のラテックス。
【請求項20】
前記1つ以上の種類の酸性モノマーが、1つ以上の種類の追加の酸性モノマーを更に含み、前記樹脂粒子中の重合酸性モノマーの総量が、少なくとも約10重量%であり、重合リン酸モノマーの総量と追加の重合酸性モノマーの総量との重量比が、約0.8未満である、請求項1に記載のラテックス。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水性インクジェットインク組成物は、多くの場合、水、水分散性着色剤、親水性溶媒、及び結合樹脂を含む。結合樹脂は、インクの耐久性及びコーティング特性を高める。これはまた、好適な噴射性能を達成するために、インクの粘度を調整かつ制御するために使用される。いくつかの結合樹脂はまた、インク内の着色剤の安定性及び分散性を改善するために、着色剤上のコーティングを吸着、付着、又は形成するように開発されている。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、水性インクジェットインク組成物などの様々な組成物のための樹脂粒子を提供するために使用され得るラテックスを提供する。樹脂粒子は、疎水性モノマー及び酸モノマー(リン酸モノマーを含む)から重合される。水性インクジェットインク組成物に組み込まれる場合、インクは、高温(例えば、60℃で14日間)で長時間貯蔵後の粘度の変化をほとんど又は全くもたらさないことから証明されるように、驚くほど高い安定性を呈する。樹脂粒子の実施形態を含む水性インクジェットインク組成物はまた、延長された開放空気安定性を示し、水性インクジェットシステムの開放空気廃液トレイからの廃液インクの収集を容易にする。樹脂粒子の実施形態はまた、優れた耐水性を含む、様々な基材に対して高い接着性を呈する水性インクジェットインク組成物を提供する。これらの利点は、使用される着色剤の種類に関係なく、かつ樹脂粒子が着色剤上に吸着、付着、又はコーティングされなくても達成される。最後に、樹脂粒子の実施形態は、広範囲の紙及び非紙、例えば、金属基材上に高品質印刷画像を形成することができる「普遍的な」水性インクジェットインク組成物を提供する。
【0003】
ラテックス組成物が提供される。実施形態では、ラテックスは、水及び樹脂粒子を含む。樹脂粒子は、1つ以上の種類の疎水性モノマーと、1つ以上の種類のリン酸モノマーを含む1つ以上の種類の酸性モノマーであって、樹脂粒子中の重合酸性モノマーの総量が少なくとも約8重量%であり、樹脂粒子中の重合リン酸モノマーの総量が少なくとも約2重量%である、1つ以上の種類の酸性モノマーと、を含む、反応物の重合生成物を含む。
【0004】
本開示の他の主要な特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を検討すると当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ラテックス
【0006】
一態様では、ラテックスが提供される。そのようなラテックスは、様々なモノマーから合成された樹脂粒子を含み、樹脂粒子が構成されるポリマー材料を形成する。疎水性モノマーは、樹脂粒子を形成するために使用される。様々な疎水性モノマーが使用され得る、例えば、スチレン;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及びブチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;β-カルボキシエチルアクリレート(β-carboxy ethyl acrylate、β-CEA)、フェニルアクリレート、メチルアルファクロロアクリレート;ブタジエン;イソプレン;メタクリロニトリル;アクリロニトリル;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、及びビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルベンゾエート、及びビニルブチレートなどのビニルエステル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、及びメチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン;塩化ビニリデン及びクロロフッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;N-ビニルインドール;N-ビニルピロリドン;メタクリレート;アクリルアミド;メタクリルアミド;ビニルピリジン;ビニルピロリドン;ビニル-N-メチルピリジニウムクロリド;ビニルナフタレン;p-クロロスチレン;塩化ビニル;臭化ビニル;フッ化ビニル;エチレン;プロピレン;ブチレン;並びにイソブチレン。(例えば、「(メタ)アクリル酸」におけるような「(メタ)」の使用は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を指す。)単一の種類又は異なる種類の疎水性モノマーの組み合わせを使用することができる。「単一種類」という語句は、同じ化学化合物を指し、「異なる種類」という語句は、異なる化学化合物を指す。例えば、スチレンは、単一種類の疎水性モノマーであり、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレートは、異なる種類の疎水性モノマーである。メチル(メタ)アクリレートは、単一種類の疎水性モノマー(具体的には、単一種類のアルキル(メタ)アクリレート)であり、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートは、異なる種類の疎水性モノマー(具体的には、異なる種類のアルキル(メタ)アクリレート)である。したがって、「1つ以上の種類」という語句は、単一の種類のモノマー及び異なる種類のモノマーの両方を包含する。
【0007】
実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用される疎水性モノマーは、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせ)、又はこれらの両方を含む。したがって、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、1個以上の炭素、2個以上の炭素、4個以上の炭素又は1~6個の炭素を有し得る。
【0008】
実施形態では、特定の疎水性モノマーは、4-メチルスチレン、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、又はそれらの組み合わせを含む樹脂粒子を形成するためには使用されない。
【0009】
酸性モノマーもまた、リン酸モノマーを含む樹脂粒子を形成するために使用される。リン酸モノマーは、重合性部分(例えば、炭素-炭素二重結合)及びP(O)(OR)部分を有する重合性モノマーである。重合性部分は、R基によって提供され得る。P(O)(OR)部分において、各Rは、独立して、水素及び有機基から選択され得、少なくとも1つのRは、有機基である。リン酸という用語は、P(O)(OR)部分が、リン酸であるP(O)(OH)(3つのヒドロキシル基を有する)に密接に関連しているために使用される。使用されるリン酸モノマーは、同じであっても異なっていてもよい、1つ、2つ、又は3つのそのような有機基を有してもよい。リン酸モノマーの塩も包含され、すなわち、OH基の水素がカチオンによって置き換えられる。P(O)(OR)部分は、式P(O)(OR)Rを有するホスホン酸部分とは区別される。
【0010】
実施形態では、有機基は、アルキル(メタ)アクリレートである。実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、少なくとも2個の炭素、少なくとも3個の炭素、少なくとも4個の炭素、少なくとも5個の炭素、又は1~6個の炭素を有する。実施形態では、少なくとも1つのRは、エチル(メタ)アクリレートである。実施形態では、リン酸モノマーは、1、2、又は3つのエチル(メタ)アクリレート基を有する。例示的なリン酸モノマーとしては、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル及びビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェートが挙げられる。
【0011】
実施形態では、有機基は、式Iを有し、
【化1】
式中、R1~3は、独立して、水素及びメチルから選択され、nは、0~20の任意の数を含む0~20であり、「*」は、P(O)(OR)部分の酸素への結合を示す。実施形態では、nは0であり、Rは水素又はメチルであり、Rは水素である。1つ、2つ、又は3つのそのような有機基が存在し得る。
【0012】
実施形態では、リン酸モノマーはポリ(エチレングリコール)に基づき、式I中、Rは水素又はメチルであり、Rは水素であり、Rは水素であり、nは0~20である。実施形態では、nは、1~20である。これは、2~16及び4~12を含む。しかし、1つ、2つ、又は3つのそのような有機基が存在し得る。実施形態では、1つのそのような有機基は、ポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル(すなわち、他のR基が水素である)を提供するために存在する。
【0013】
実施形態では、リン酸モノマーは、ポリ(プロピレングリコール)に基づき、式I中、Rは水素又はメチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは0~20である。実施形態では、nは、1~20である。これは、2~16及び4~12を含む。しかし、1つ、2つ、又は3つのそのような有機基が存在し得る。実施形態では、1つのそのような有機基が存在して、ポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル(すなわち、他のR基が水素である)を提供する。
【0014】
他の有機基が使用され得るが、実施形態では、有機基は、ビニル(すなわち、CHCH)ではない。
【0015】
単一の種類又は異なる種類のリン酸モノマーの組み合わせを使用することができる。(「単一種類」、「異なる種類」、及び「1つ以上の種類」の意味は、疎水性モノマーについて上述したものと類似している。)
【0016】
リン酸モノマーに加えて、他の酸性モノマーを使用して、樹脂粒子を形成することができる。これらの他の酸性モノマーは、選択されたリン酸モノマーと比較して、異なる種類、すなわち、異なる化学化合物のものを指し、上記のP(O)(OR)部分を有さない。したがって、これらの他の酸性モノマーは、「追加の酸性モノマー」と称され得る。使用され得る追加の酸性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸モノマー、スルホン酸モノマー、スルホネートモノマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例示的な酸性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ジメチルアクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホネート、シアノアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、ビニル安息香酸、N-ビニルスクシンアミド酸、メサコン酸、メタクロイルアラニン、アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホエチルメタクリル酸、スルホプロピルアクリル酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリル酸、2-メタクリロイルオキシメタン-1-スルホン酸、3-メタクリオイルオキシプロパン-1-スルホン酸、3-(ビニルオキシ)プロパン-1-スルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4-ビニルフェニル硫酸、ビニル安息香酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。リン酸モノマーと同様に、これらの追加の酸性モノマーはまた、その塩を包含する。同様に、単一の種類又は異なる種類の追加の酸モノマーの組み合わせを使用することができる。(「単一種類」、「異なる種類」、及び「1つ以上の種類」の意味は、疎水性モノマーについて上述したものと類似している。)
【0017】
実施形態では、追加の酸性モノマーが、リン酸モノマーとともに使用される。実施形態では、追加の酸性モノマーは、(メタ)アクリル酸、β-CEA、又はそれらの両方を含む。以下で更に記載されるように、追加の酸性モノマー(リン酸モノマーとともに)及び以下に記載される量の使用は、開示されたラテックスから形成された水性インクジェットインク組成物の安定性を改善するのに有用である。
【0018】
様々な他のモノマーは、樹脂粒子を形成するために使用され得る。例えば、(メタ)アクリル酸と、ジオキサン部分を含むアルコール又はジオキソラン部分を含むアルコールとのエステルであるモノマーが使用され得る。本開示において、この種類のモノマーは、「ジオキサン/ジオキソランモノマー」と称され得る。ジオキサン/ジオキソランモノマーという句は、(メタ)アクリル酸と、ジオキサン部分を含むアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と、ジオキソラン部分を含むアルコールとのエステル、又はそれらの両方であるモノマーを包含する。ジオキサン部分は、1,3-ジオキサン部分であり得、ジオキソラン部分は、1,3-ジオキソラン部分であり得る。ジオキサン/ジオキソラン部分を含むアルコールは、トリオール、トリオールのケタール、又はトリオールのカーボネートであり得る。例示的なトリオールとしては、グリセロール及びトリメチロールプロパンが挙げられる。トリオールは、非置換又は置換であり得る。「置換(substituted)」とは、炭素又は水素への1つ以上の結合が、非水素及び非炭素原子への結合によって置き換えられることを意味する。ジオキサン/ジオキソランモノマーは、以下に示される式II(ジオキサン)又はIII(ジオキソラン)を有し得、式中、Rは、水素及びメチルから選択され、R’は、水素及びエチルから選択され、Zは、水素、カルボニル基の酸素、アルキル基、アリール基、及びアルコキシ基から選択される。モノマーのうちのいずれか又は両方の種類のモノマーが、樹脂粒子に使用され得る。
【化2】
【化3】
【0019】
カルボニル基は、C=O基を指し、すなわち、Zは、二重結合を介して炭素に共有結合されているOであり、それによって5又は6員環の2つの酸素間にカルボニル基を形成する。アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり得る。アルキル基は、1~20個の炭素を有し得る。これは、1~18個の炭素及び1~10個の炭素、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素を有することを含む。アルキル基は、置換又は非置換であり得る。アリール基は、1つの芳香環、例えば、ベンゼンを有する単環であり得、又は1つ以上の縮合環を有する多環であり得る。アリール基は、アルキル基に関して上記したように非置換であっても置換されていてもよいが、置換アリール基はまた、水素への結合が上記の非置換又は置換アルキル基への結合によって置き換えられるアリール基も包含する。アルコキシ基は-O-アルキル基を指す。
【0020】
例示的なジオキサン/ジオキソランモノマーとしては、グリセロールホルマール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、及びイソプロピリデングリセロール(メタ)アクリレートが挙げられる。単一の種類又は異なる種類のジオキサン/ジオキソランモノマーの組み合わせを使用することができる。しかしながら、実施形態では、ジオキサン/ジオキソランモノマーは、グリセロールホルマール(メタ)アクリレートである。グリセロールホルマール(メタ)アクリレートは、比較的高いT-(約85~90℃)を有する。本開示において、「グリセロールホルマール(メタ)アクリレート」という名称(並びに、この段落に記載の他のジオキサン/ジオキソランモノマーの名称)は、ジオキサン異性体、ジオキソラン異性体、又はそれらの両方のいずれかを指す。すなわち、全ての可能性は、それらの名称によって包含される。
【0021】
必要ではないが、いくつかの実施形態では、多官能性モノマー、すなわち、2つ以上の重合性基(例えば、2、3、4)を含むものを使用して樹脂粒子を形成してもよい。(「多官能性モノマー」という用語は、2つ以上の重合性基を含有し得るリン酸モノマーと区別される用語である。)多官能性モノマーは、樹脂粒子内の架橋を促進するため有用である。例示的な多官能性モノマーとしては、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、例えば、250g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)ジアクリレートなどの二官能性モノマーが挙げられる。214g/mol~1000g/mol、214g/mol~500g/mol、及び214g/mol~300g/molの範囲の分子量を有するものを含む他のポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートが使用され得る。これらの分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィを使用して決定することができる。他の二官能性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどのエーテル結合を含有するアルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートと置換することによって得られる化合物、ポリオキシエチレン(2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートなどの芳香族基及びエーテル結合を含む鎖と結合したジアクリレート化合物、及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。他の二官能性モノマーとしては、イソプレン及びブタジエンなどのジエン化合物、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの、アルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。多官能性モノマーには、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。
【0022】
しかしながら、実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーは、多官能性モノマー、例えば、多官能性アクリレートを含まない。同様に、実施形態では、架橋剤、例えば、エポキシド含有化合物は、樹脂粒子を形成するために使用されない。
【0023】
反応性界面活性剤は、樹脂粒子を形成するために使用され得る。好適な反応性界面活性剤は、それらが樹脂粒子に組み込まれるような重合性(及びしたがって反応性)基を含む。例示的な反応性界面活性剤としては、Hitenol AR10-25などの市販のHitenolシリーズのものなどの、アニオン性エーテルスルフェート反応性界面活性剤が挙げられる。他の好適な反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、Hitenol BC-10、BC-20、BC10-25、BC-2020、BC-30;Hitenol AR-10、AR-20、AR-2020を含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム;Noigen RN-10、RN-20、RN-30、RN-40、RN-5065を含む非イオン性ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;及びE-sperse RX-201、RX-202、RX-203、RS-1596、RS-1616、RS-1617、RS-1618、RS-1684を含むEthoxから入手可能な反応性界面活性剤が挙げられる。
【0024】
連鎖移動剤が、樹脂粒子を形成するために使用され得る。連鎖移動剤は、メルカプタン又はチオールであり得る。好適な連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン(n-dodecylmercaptan、NDM)、n-ドデカンチオール(n-dodecanethiol、DDT)、tert-ドデシルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、オクタンチオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。四臭化炭素、四塩化炭素、及びこれらの組み合わせなどのハロゲン化炭素は、連鎖移動剤として使用され得る。
【0025】
実施形態では、他の特定のモノマーは、樹脂粒子を形成する際に除外される。除外され得るモノマーは、12~22個の炭素を有するアルキル基を有する不飽和エチレンモノマーである。
【0026】
樹脂粒子を含むラテックスを形成する場合、上に記載されるモノマーの様々な組み合わせが、溶媒を含むモノマーエマルション中で使用され得る。水は、溶媒として一般に使用されるが、水溶性又は水混和性有機溶媒(例えば、エタノール)も含まれ得る。モノマーの種類及びそれらの相対量は、以下に記載される特性の値を達成することを含む、樹脂粒子/ラテックスの特性を調整するために選択され得る。例示的な量が、以下に提供される。
【0027】
モノマーエマルションに使用される疎水性モノマーの総量は、70重量%~97重量%、75重量%~90重量%、又は80重量%~90重量%の範囲であり得る。(ここで、重量%は、(疎水性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す)。存在する場合、アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート)、ブチル(メタ)アクリレート)は、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は15重量%~30重量%の範囲の量で存在し得る。(重量%は、疎水性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)
【0028】
モノマーエマルションに使用される酸性モノマーの総量は、少なくとも8重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%であり得る。実施形態では、酸性モノマーの総量は、15重量%未満又は10重量%未満である。これらの範囲は、8重量%~25重量%、8重量%~20重量%、10重量%~18重量%、及び10重量%~16重量%の量を包含する。(重量%は、疎水性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)モノマーエマルションに使用されるリン酸モノマーの総量は、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、又は少なくとも4重量%であり得る。実施形態では、リン酸モノマーの総量は、10重量%未満又は8重量%未満である。これらの範囲は、2重量%~10重量%、2重量%~8重量%、及び2重量%~6重量%の量を包含する。(重量%は、疎水性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)上記のように、実施形態では、リン酸モノマーに加えて、追加の酸性モノマーが使用される。そのような実施形態では、リン酸モノマーの総量と追加の酸性モノマーの総量との重量比は、1.0以下、0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満、0.5未満、0.4未満、又は0.3~1.0、0.3~0.8、若しくは0.3~0.5の比である。
【0029】
ジオキサン/ジオキソランモノマーがモノマーエマルション中で使用される場合、ジオキサン/ジオキソランモノマーの総量は、1重量%~40重量%、1重量%~30重量%、1重量%~20重量%、1重量%~10重量%、及び1重量%~5重量%の範囲であり得る。(重量%は、疎水性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)
【0030】
多官能性モノマーがモノマーエマルション中で使用される場合、多官能性モノマーの総量は、0.001~1重量%、0.001重量%~0.8重量%、及び0.01重量%~0.6重量%の範囲であり得る。(重量%は、疎水性について記載されるものと類似の意味を有する。)
【0031】
反応性界面活性剤がモノマーエマルション中で使用される場合、反応性界面活性剤の総量は、0.1重量%~6.5重量%の範囲であり得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤モノマーを含むモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す)。この範囲は、0.3重量%~5重量%を含む。
【0032】
連鎖移動剤は、モノマーエマルション中に存在してもよく、様々な好適な量、例えば、0.25重量%~2.5重量%で使用されてもよい。(ここで、重量%は、(連鎖移動剤の総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す。)
【0033】
実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒、疎水性モノマー、及び酸性モノマー(リン酸モノマーを含む)を含む(又はそれからなる)。実施形態では、疎水性モノマーは、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ブチルアクリレートを含む。実施形態では、リン酸モノマーは、式P(O)(OR)を有するものを含み、式中、各Rは、独立して、水素及び有機基から選択され、少なくとも1つのRは、有機基である。実施形態では、有機基は、アルキル(メタ)アクリレートである。実施形態では、有機基は式Iを有する。実施形態では、リン酸モノマーは、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態では、リン酸モノマーは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、又はそれらの組み合わせを含む。これらの実施形態のいずれにおいても、追加の酸性モノマー、例えば、メタクリル酸を使用することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、ジオキサン/ジオキソランモノマー(例えば、グリセロールホルマールメタクリレート)を使用することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、多官能性モノマーを使用することができる(しかし、いくつかの実施形態では、多官能性モノマーは使用されない)。これらの実施形態のいずれにおいても、反応性界面活性剤(例えば、アニオン性エーテルスルフェート)を使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、連鎖移動剤が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように、様々なモノマー、反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。
【0034】
実施形態では、モノマーエマルションは、界面活性剤を有さない(すなわち、含まない)。しかしながら、他の実施形態では、界面活性剤が使用され得る。ここで、「界面活性剤」は、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate、SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム;ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート;パルミチン酸;アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸塩;及び分岐状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの非反応性非重合性アニオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、アルキルベンジルジメチル塩化アンモニウム、ジアルキルベンゼンアルキル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチル臭化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、セチル臭化ピリジニウム、トリメチル臭化アンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、及びドデシルベンジルトリエチル塩化アンモニウムなどの非反応性非重合性カチオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、並びにポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどの非反応性非重合性非イオン性界面活性剤を指す。
【0035】
実施形態では、モノマーエマルションは、シリカ粒子を有さない(すなわち、含まない)。除外され得る市販のシリカ粒子は、以下のものである:FM、SM、HS-30、HS-40、LS、TM-40、TM-50、SM-AS、AS-30、AS-40、AM、HSA、TMA、PX-30、Pt-40、PW-50、CL、及びCL-Pなどの様々なグレードのLUDOXコロイダルシリカ、並びにSNOWTEX ST-20L、ST-30、ST-40、ST-50、ST-OS、ST-O、ST-O-40、ST-OL、ST-C、ST-C-30、ST-CM、ST-N、STN30G、ST-N40、ST-NS、ST-XS、ST-S、ST-UP、ST-O-UP、MA-ST-UP、ST-PS-S、AMT-330S、HX-305M1、及びHX-305M5などの様々なグレードの日産化学シリカ。
【0036】
モノマー欠乏エマルション重合、従来のエマルション重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、ナノエマルション重合、シードエマルション重合、及びマイクロエマルション重合などの、様々な重合技術が、樹脂粒子を形成するために使用され得る。これらの重合技術は、上に記載されるモノマーエマルションのいずれかを使用し得る。例示的なモノマー欠乏エマルション重合プロセスが、以下に記載される。しかしながら、使用される重合技術は、水性媒体に不溶性である粒子の形態の重合ポリマーを提供することに留意されたい。これは、重合技術、例えば、有機媒体中に可溶化ポリマーを提供する、米国特許第9,963,592号に記載されているものを含む溶液重合とは対照的である。
【0037】
樹脂粒子を含むラテックスを作製する例示的方法は、上に記載されるモノマーエマルションのうちのいずれかを、一定期間にわたってある供給速度で反応性界面活性剤溶液に添加することを含む。反応性界面活性剤溶液は、溶媒及び反応性界面活性剤を含む。上に記載される溶媒のうちのいずれも及び反応性界面活性剤のうちのいずれも使用され得る。反応性界面活性剤溶液中の反応性界面活性剤は、モノマーエマルション中に存在し得る反応性界面活性剤と比較して、同じ種類又は異なる種類であってもよい。反応性界面活性剤溶液は、緩衝液を更に含んでもよい。重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化アンモニウムなどの様々な緩衝液が使用され得る。反応性界面活性剤は、0.1重量%~10重量%及び0.5重量%~5重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。)緩衝液は、0.25重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(重量%は、上に記載されるものと同様の意味を有する。)
【0038】
反応性界面活性剤溶液中に開始剤が含まれ得る。代替的に、開始剤及び上に記載される溶媒のうちのいずれかを含む別個の開始剤溶液が形成されてもよく、別個の開始剤溶液が反応性界面活性剤溶液に添加される。別個の開始剤溶液は、モノマーエマルションを添加する前に添加されてもよい。追加の量の別個の開始剤溶液は、モノマーエマルションの添加後に添加されてもよい。好適な開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、APS)、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤、並びに有機過酸化物、及びVAZO64(商標)などのVazo過酸化物、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、VAZO88(商標)、2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物を含むアゾ化合物を含む有機可溶性開始剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得る他の水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロ-リド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。開始剤は、0.05重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(開始剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。)
【0039】
実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶媒(例えば、水)、反応性界面活性剤、並びに任意選択的に開始剤及び緩衝液のうちの1つ以上を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように、反応性界面活性剤、開始剤、及び緩衝液の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれも有さない(すなわち、含まない)。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、上に記載されるシリカ粒子のうちのいずれも有さない(すなわち、含まない)。結果として、樹脂粒子は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれも、及び/又はシリカ粒子のうちのいずれも有さない(すなわち、含まない)ことを特徴とし得る。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶液中に存在する反応性界面活性剤モノマー以外のいずれのモノマーも有さない(すなわち、含まない)。
【0040】
反応性界面活性剤溶液へのモノマーエマルションの添加は、不活性ガス(例えば、窒素)下で、及び高温(例えば、50℃~90℃の範囲の温度などの室温よりも高い)で実施され得る。これは、モノマーエマルションを添加する前に、不活性ガスでパージし、反応性界面活性剤溶液を加熱し、モノマーエマルションの添加中に継続することによって達成され得る。
【0041】
上記のように、モノマーエマルションは、一定期間にわたって供給速度で添加される。開始剤の存在下で、モノマーエマルションのモノマーは、重合反応を経て、ラテックスの樹脂粒子を形成する。供給速度は、重合が「モノマー欠乏」条件下で実施されるように十分に遅い。これは、供給速度が、重合反応の速度、例えば、スチレンとアクリレートモノマーとの間の速度以下であることを意味する。例示的な供給速度としては、1Lの総反応体積に基づいて、1mL/分~10mL/分の範囲のものが挙げられる。例示的な期間は、60分~600分の範囲のものを含む。モノマーエマルションを添加した後、更なる開始剤の添加あり又はなしで重合を更なる期間継続させることができる。例示的な追加の期間としては、1時間~18時間の範囲の時間が挙げられる。モノマーエマルションの添加及び添加後の重合はどちらも、不活性ガス下及び高温で実施され得る。任意選択的に、形成されるラテックスは、凝固、溶解、及び沈殿、濾過、洗浄、又は乾燥などの標準的な技術によって処理され得る。処理済又は未処理のラテックスが、以下に記載される水性インクジェットインク組成物を形成するために使用され得る。
【0042】
上に記載されるモノマー欠乏エマルション重合プロセスは、樹脂粒子を形成する際の樹脂シードの使用を伴わない。しかしながら、上記のように、シードエマルション重合技術が使用され得る。
【0043】
本方法は、モノマーエマルションを形成すること、反応性界面活性剤溶液を形成すること、及び/又は開始剤溶液を形成することを更に含み得る。各々は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。
【0044】
樹脂粒子の組成は、モノマーの選択、及びそれらの相対量、並びに上に記載されるような重合生成物を生成する選択されたモノマー間の重合反応に依存する。したがって、様々なモノマーの組み合わせを含む反応物の様々な重合生成物に基づくものを含む、様々な組成が包含される。上記のように、反応物は、疎水性モノマー及び酸性モノマー(リン酸モノマーを含む)を含むが、そうでなければ他のモノマーの選択は、特に限定されない。明確にするために、樹脂粒子の組成は、重合されるモノマーを参照し、これらのモノマーの化学形態が、一般に重合反応の結果として変化していることを認識することによって特定され得る。樹脂粒子中で重合されると、モノマーは「重合モノマー」と称され得る。
【0045】
実施形態では、樹脂粒子は、疎水性モノマー及び酸性モノマー(リン酸モノマーを含む)を含む反応物の重合生成物(例えば、コポリマー)を含む(又はそれからなる)。実施形態では、疎水性モノマーは、スチレン及びアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ブチルアクリレートを含む。実施形態では、リン酸モノマーは、式P(O)(OR)を有するものを含み、式中、各Rは、独立して、水素及び有機基から選択され、少なくとも1つのRは、有機基である。実施形態では、有機基は、アルキル(メタ)アクリレートである。実施形態では、有機基は式Iを有する。実施形態では、リン酸モノマーは、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態では、リン酸モノマーは、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、又はそれらの組み合わせを含む。これらの実施形態のいずれにおいても、追加の酸性モノマー、例えば、メタクリル酸を使用することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、ジオキサン/ジオキソランモノマー(例えば、グリセロールホルマールメタクリレート)を使用することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、多官能性モノマーを使用することができる(しかし、いくつかの実施形態では、多官能性モノマーは使用されない)。これらの実施形態のいずれにおいても、反応性界面活性剤(例えば、アニオン性エーテルスルフェート)を使用することができる。これらの実施形態の各々では、開始剤(又はその一部分)は、樹脂粒子中の各ポリマー鎖の末端部に組み込まれ得る。これらの実施形態の各々では、樹脂粒子は架橋され得る。これらの実施形態の各々では、重合モノマーは、モノマーエマルション中のモノマーの量に関して上記の量で樹脂粒子中に存在し得る。これは、実験が、重合反応中のモノマーの変換が99.9%を超えることを示しているためである。例えば、樹脂粒子中の重合酸性モノマーの総量は、8重量%~25重量%の範囲であり得る。上記で提供された重量%の定義と同様に、樹脂粒子を指す場合、重量%という用語は(重合酸性モノマーの総重量)/(重合反応性界面活性剤を除く重合モノマーの総重量)*100)を指す。
【0046】
特定の例示的な組成物を使用すると、樹脂粒子の組成物はまた、ポリ[(スチレン)-ran-(ブチルアクリレート)-ran-(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)-ran-(メタクリル酸)-ran-(アニオン性エーテルスルフェート)]として同定され得る。この説明では、重合反応から生じる異なる化学部分は、括弧内の対応するモノマーを参照することによって同定され、「ran」は、コポリマーへの異なるモノマーのランダムな組み込みを指す。この記載の使用は、各コポリマーの開始部での開始剤(又はその一部分)の存在、並びに架橋(使用される場合)を包含する。
【0047】
ある特定のモノマー(又は他の反応物)が樹脂粒子を形成することから除外される実施形態では、そのようなモノマー(又は他の反応物)は、樹脂粒子のポリマーマトリックスを形成するための重合反応に関与していないということになる。したがって、これらの実施形態では、樹脂粒子の組成物は、1つ以上の4-メチルスチレン、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、及び不飽和エチレンモノマー(12~22個の炭素を有するアルキル基を有する)がない(すなわち、含まない)ものとして記載され得る。
【0048】
実施形態では、ラテックスには、本発明の樹脂粒子自体の樹脂によって提供されるもの以外の樹脂/ポリマーがない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。
【0049】
樹脂粒子を構築する樹脂/ポリマーは既に重合されているため、ラテックス自体は、概して、硬化性ではなく、そのため、これには開始剤がない(すなわち、含まれない)。これは、ポリマー鎖に組み込まれ得る少量の未反応開始剤又は反応した開始剤の存在を排除するものではない。同様に、ラテックスには、モノマーがない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。
【0050】
実施形態では、ラテックスはまた、ホウ酸、ジグリコール酸、キレート剤(例えば、エチレンジアミン酸四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid、EDTA))、又はそれらの組み合わせなどの構成成分がない(すなわち、含まれない)ものとして記載され得る。この実施形態では、キレート剤の除外は、リン酸モノマー(樹脂粒子に重合される)を除外することを指すものではない。
【0051】
ラテックス自体はまた、着色剤(以下に記載される着色剤のいずれかを含む)を含まないことにより、本明細書に記載される水性インクジェットインク組成物(及び同様の組成物)と区別され得る。
【0052】
ラテックスの水含有量は、少なくとも40重量%であり得る。これは、少なくとも50重量%及び少なくとも60重量%を含む。これらの重量%は、ラテックスの総重量と比較した水の重量を指す。
【0053】
樹脂粒子は、それらのサイズを特徴とし得る。粒子のサイズは、D50粒子サイズとして報告され得、これは、試料の50%(体積基準)が当該直径値未満の直径を有する粒子からなる直径を意味する。D50粒子サイズは、Malvern Zetasizer Nano ZSを使用して測定され得る。光散乱技術及び方法の確認には、Microspheres-Nanospheres(MicrotracのCorpuscular会社)又は第三者ベンダー(ThermoFisher Scientificなど)から入手可能な20nm~200nmの範囲内の直径を有するNISTポリスチレンナノスフィア対照試料が使用され得る。実施形態では、樹脂粒子は、50nm~120nmのD50粒子サイズを特徴とする。これは、60nm~110nm及び70nm~100nmを含む。
【0054】
本樹脂粒子を含むラテックスは、それらの粘度を特徴とし得る。粘度値は、特定の温度及び特定の固形分を指し得、音叉振動粘度計(Cole-Parmer)を使用して測定され得る。実施形態では、室温での粘度及び40%の固形分は、40cp~600cpの範囲である。これは、65cp~575cp、90cp~550cp、及び115cp~525cpを含む。これらの粘度は、ラテックスを形成する日に測定される初期粘度全てである。
【0055】
本樹脂粒子はまた、それらのT値を特徴とし得る。T値は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)TA Instruments Discovery DSC 2500を使用して測定することができる。実施形態では、Tは、40℃~100℃の範囲にある。これは、50℃~90℃、及び60℃~80℃を含む。
【0056】
水性インクジェットインク組成物
【0057】
上に記載される樹脂粒子/ラテックスのうちのいずれも、水性インクジェットインク組成物を提供するために使用され得る。「水性インクジェットインク組成物」とは、以下で更に記載されるように、組成物が、インクジェット印刷装置で使用するように構成され、インクジェット印刷装置で使用されて、印刷画像を形成することができることを意味する。樹脂粒子は、1重量%~10重量%及び5重量%~10重量%の範囲の量で、水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。(ここで、重量%は、(樹脂粒子の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)この範囲は、5重量%~10重量%を含む。以下に記載される水性インクジェットインク組成物を形成するために、様々な他の構成成分を使用することができる。
【0058】
溶媒系
【0059】
水性インクジェットインク組成物は、水に基づく溶媒系を含む。溶媒系は、水のみからなることができるか、若しくは水と水溶性及び/又は水混和性有機溶媒との混合物を含むことができる。水溶性及び水混和性有機溶媒は、本明細書では、共溶媒又は保湿剤と称され得る。好適なこのような有機溶媒としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、長鎖アルコール、一級脂肪族アルコール、二級脂肪族アルコール、1,2-アルコール、1,3-アルコール、1,5-アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、メトキシル化グリセロール、及びエトキシル化グリセロールが挙げられる。用例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシルグリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、3-メトキシブタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、及び2,4-ヘプタンジオールが挙げられる。他の好適な溶媒としては、アミド、エーテル、尿素、置換尿素、例えば、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素、及びジアルキルチオ尿素など、カルボン酸及びこれらの塩、例えば、2-メチルペンタン酸、2-エチル-3-プロピルアクリル酸、2-エチル-ヘキサン酸、3-エトキシプロピオン酸など、エステル、有機硫化物、有機スルホキシド、スルホン(スルホランなど)、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ(cellusolve)、エーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エーテル誘導体、ヒドロキシエーテル、アミノアルコール、ケトン、N-メチルピロリジノン、2-ピロリジノン、シクロヘキシルピロリドン、アミド、スルホキシド、ラクトン、高分子電解質、メチルスルホニルエタノール、イミダゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ベタイン、糖、例えば、1-デオキシ-D-ガラクチトール、マンニトール、イノシトールなど、置換及び非置換ホルムアミド、並びに置換及び非置換アセトアミドが挙げられる。これらの有機溶媒の組み合わせを使用してもよい。
【0060】
好適な水溶性及び/又は水混和性有機溶媒としては、4~7の炭素数を有する炭化水素のグリコールが挙げられる。このようなグリコールの例としては、1,2-ペンタンジオール;1,2-ヘキサンジオール;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;3-メチル-1,3-ブタンジオール;1,2-ブタンジオール;2,4-ペンタンジオール;1,7-ヘプタンジオール;3-メチル-1,5-ペンタンジオール;トリメチロールプロパン;エチレン尿素;1,2,6-ヘキサントリオール;1,2,3-ブタントリオール;ソルビトール;ジエチレングリコール;1,2,4-ブタントリオール;グリセロール;ジグリセロール;及びトリエチレングリコールが挙げられる。
【0061】
実施形態では、溶媒系は、水、1,2-アルコール(例えば、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、又はこれらの両方)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、及びグリセロールを含む。
【0062】
水及び有機溶媒を含む溶媒系では、水対有機溶媒の重量比、並びに異なる有機溶媒の種類及び相対量は、所望の表面張力、粘度などの水性インクジェットインク組成物のある特定の特性を達成するように選択されてもよい。実施形態では、水対有機溶媒の重量比は、90:10~51:49である。1つを超える有機溶媒が使用される場合、これらの重量比は、有機溶媒の総量を指す。水がラテックス、着色剤などに存在し得るため、これらの重量比は、水の総量を指す。
【0063】
同様に、様々な合計量の溶媒系が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、溶媒系は、50重量%~95重量%、60重量%~90重量%、又は65重量%~90重量%の量で存在する。(ここで、重量%は、(溶媒系の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)実施形態では、存在する水の総量は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は50重量%~95重量%の範囲である。(ここで、重量%は、(水の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)
【0064】
着色剤
【0065】
水性インクジェットインク組成物は着色剤を含む。したがって、水性インクジェットインク組成物は、透明又は無色であるものとして記載することができない。着色剤には、顔料、染料、及びこれらの組み合わせが含まれる。好適な染料の例としては、アニオン性染料、カチオン性染料、非イオン性染料、及び双性イオン性染料が挙げられる。好適な染料の具体例としては、食用色素のブラックNo.1、食用色素のブラックNo.2、食用色素のレッドNo.40、食用色素のブルーNo.1、食用色素のイエローNo.7など食用色素、FD&C染料、アシッドブラック染料(No.1、7、9、24、26、48、52、58、60、61、63、92、107、109、118、119、131、140、155、156、172、194)、アシッドレッド染料(No.1、8、32、35、37、52、57、92、115、119、154、249、254、256)、アシッドブルー染料(No.1、7、9、25、40、45、62、78、80、92、102、104、113、117、127、158、175、183、193、209)、アシッドイエロー染料(No.3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、73、114、128、151)、ダイレクトブラック染料(No.4、14、17、22、27、38、51、112、117、154、168)、ダイレクトブルー染料(No.1、6、8、14、15、25、71、76、78、80、86、90、106、108、123、163、165、199、226)、ダイレクトレッド染料(No.1、2、16、23、24、28、39、62、72、236)、ダイレクトイエロー染料(No.4、11、12、27、28、33、34、39、50、58、86、100、106、107、118、127、132、142、157)、リアクティブレッド染料(No.4、31、56、180)、リアクティブブラック染料(No.31)、リアクティブイエロー染料(No.37)などのリアクティブ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、各種フタロシアニンスルホン酸塩を含むフタロシアニン誘導体、アザ(18)アヌレン、ホルマザン銅錯体、及びトリフェノジオキサジンが挙げられる。
【0066】
好適な顔料の例としては、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料が挙げられる。顔料は、有機粒子又は無機粒子であり得る。好適な無機顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。しかしながら、コバルトブルー(cobalt blue、CoO-Al)、クロムイエロー(chrome yellow、PbCrO)、酸化鉄、及び二酸化チタン(titanium dioxide、TiO)などの他の無機顔料が好適であり得る。好適な有機顔料としては、例えば、ジアゾ顔料及びモノアゾ顔料などアゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンなどフタロシアニン顔料)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、及びキノフタロン顔料)、不溶性染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート及び酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、並びにPR168などのアントアントロン顔料が挙げられる。フタロシアニンブルー及びグリーンの代表例としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、及びそれらの誘導体(ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、及びピグメントグリーン36)が挙げられる。キナクリドンの代表例としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、及びピグメントバイオレット42が挙げられる。アントラキノンの代表例としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194、ピグメントレッド177、ピグメントレッド216、及びピグメントレッド226が挙げられる。ペリレンの代表例としては、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド189、及びピグメントレッド224が挙げられる。チオインジゴイドの代表例としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、及びピグメントバイオレット38が挙げられる。複素環イエローの代表例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー90、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、及びピグメントイエロー213が挙げられる。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、及びSun Chemical Corporationなど多くの供給元から粉末又はプレスケーキの形態で市販されている。使用可能なブラック顔料の例としては、炭素顔料が挙げられる。炭素顔料は、許容可能な光学濃度及び印刷特性を提供する、任意の市販の炭素顔料であり得る。本系及び方法での使用に好適な炭素顔料は、カーボンブラック、グラファイト、ガラス状炭素、木炭、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような炭素顔料は、チャンネル法、コンタクト法、ファーネス法、アセチレン法、又はサーマル法など種々の既知の方法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Evonik、及びE.I.DuPont de Nemours and Companyのようなベンダーから市販されている。好適なカーボンブラック顔料としては、MONARCH(登録商標)1400、MONARCH(登録商標)1300、MONARCH(登録商標)1100、MONARCH(登録商標)1000、MONARCH(登録商標)900、MONARCH(登録商標)880、MONARCH(登録商標)800、MONARCH(登録商標)700、CAB-O-JET(登録商標)200、CAB-O-JET(登録商標)300、CAB-O-JET(登録商標)450、REGAL(登録商標)、BLACK PEARLS(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、及びVULCAN(登録商標)顔料などCabot社製の顔料、RAVEN(登録商標)5000及びRAVEN(登録商標)3500などColumbian社製の顔料、カラーブラックFW200、FW2、FW2V、FW1、FW18、FW5160、FW5170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4、PRINTEX(登録商標)U、PRINTEX(登録商標)140U、PRINTEX(登録商標)V、及びPRINTEX(登録商標)140VなどEvonik社製の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。他の顔料としては、CAB-O-JET 352K、CAB-O-JET 250C、CAB-O-JET 260M、CAB-O-JET 270Y、CAB-O-JET 465M、CAB-O-JET 470Y、及びCAB-O-JET 480V(Cabot Corporationから入手可能)が挙げられる。他の顔料としては、Kodak, Inc.から入手可能なKodak Specialty Dispersion顔料が挙げられる。これらとしては、Specialty Black Dispersion Type P2、Specialty Cyan Dispersion Type P2、Specialty Yellow Dispersion Type P2、Specialty Magenta Dispersion Type P3、Specialty Black Dispersion Type P4、Specialty Cyan Dispersion Type P1、Specialty Magenta Dispersion Type P1、and Specialty Yellow Dispersion Type P1が挙げられる。実施形態では、着色剤は、米国特許第9,359,522号に開示されているキナクリドン系顔料のいずれでもない。
【0067】
上記の顔料リストとしては、未変性顔料微粒子、小分子付着顔料微粒子、自己分散顔料微粒子、及びポリマー分散顔料微粒子が挙げられる。
【0068】
水性インクジェットインク組成物を形成する際、着色剤は、着色剤及び溶媒(例えば、水)を含む着色剤分散液として提供されてもよい。着色剤は、粒子の形態であってもよく、20nm~500nm、20nm~400nm、又は30nm~300nmの平均粒子サイズを有し得る。
【0069】
様々な量の着色剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。しかしながら、一般に、水性インクジェットインク組成物の総固形分(一般に樹脂粒子、着色剤、及び存在する場合ワックスによって提供される)が、5重量%~15重量%、6重量%~12重量%、又は7重量%~10重量%であるように、量が選択される。(ここで、重量%は、(固形分の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)
【0070】
水性インクジェットインク組成物の少なくとも実施形態の特徴は、樹脂粒子がインクの着色剤(例えば、顔料)上に付着、吸着、又はコーティングされているのとは対照的に、インク中に自由に分散されることである。これは、粘度測定によって確認され得る。例えば、以下の実施例は、例示的な水性インクジェットインク組成物の粘度が、長期間及び高温で変化しないままであることを示す実験を説明する。「変化しない」とは、初期粘度値の±5%以内を意味する。同様に、これは、D50粒子サイズが、長期間にわたって高温で変化しないままである(ここでは、「変化しない」は、変化しない粘度に類似した意味を有する)ことを示す測定値によって確認され得る。
【0071】
ワックス
【0072】
水性インクジェットインク組成物はワックスを含み得る。例示的なワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、微結晶ワックス、ポリオレフィンワックス、モンタン系エステルワックス、及びカルナウバワックスが挙げられる。50℃~150℃の範囲の融点を有するワックスが使用され得る。カルナウバワックス及びパラフィンワックスに基づくナノスケール(例えば、1000nm以下、500nm以下、又は100nm以下の直径)のワックスエマルションが使用され得る。Michelmanのワックスが使用され得る(例えば、Michem Lube 103DI、124、124P135、156、180、182、190、270R、368、511、693、723、743、743P、及び985、並びにMichem Emulsion 24414、34935、36840、41740、43040、43240、44730、47950、48040M2、61355、62330、66035、67235、70750、71150、71152、91735、93235、93335、93935、及び94340)。Aquacer 2500、Aquacer 507、Aquacer 513、Aquacer 530、Aquacer 531、Aquacer 532、Aquacer 535、Aquacer 537、Aquacer 539、及びAquacer 593を含む、Bykからのワックスも使用され得る。実施形態では、ワックスは、Michem Lube 190などのアニオン性ナノスケールワックスエマルションである。
【0073】
様々な量のワックスが水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。しかしながら、一般に、水性インクジェットインク組成物の総固形分含有量が5重量%~15重量%、6重量%~12重量%、又は7重量%~10重量%であるように量が選択される。(ここで、重量%は、(固形分の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)
【0074】
界面活性剤
【0075】
水性インクジェットインク組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、Dextrol OC-40、Strodex PK 90、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ミレス硫酸ナトリウム、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムシリーズなど)、非イオン性界面活性剤(Surfynol(登録商標)104シリーズ、Surfynol(登録商標)400シリーズ、Dynol(商標)604、Dynol(商標)607、Dynol(商標)810、EnviroGem(登録商標)360、二級アルコールエトキシレートシリーズ、例えば、Tergitol(商標)15-S-7、Tergitol(商標)15-S-9、TMN-6、TMN-100x、及びTergitol(商標)NP-9、Triton(商標)X-100など)、及びカチオン性界面活性剤(Chemguard S-106A、Chemguard S-208M、Chemguard S-216M)が挙げられる。PolyFox(商標)TMPF-136A、156A, 151N, Chemguard S-761p、S-764p、Silsurf(登録商標)A008、Siltec(登録商標)C-408、BYK 345、346、347、348、及び349、ポリエーテルシロキサンコポリマーTEGO(登録商標)Wet-260、270 500などのいくつかのフッ素化又はシリコーン界面活性剤を使用することができる。Chemguard S-500及びChemguard S-111などのアルキルベタインフルオロ界面活性剤又はアルキルアミンオキシドフルオロ界面活性剤などのいくつかの両性フッ素化界面活性剤も使用することができる。使用され得る他の界面活性剤としては、Surfynol PSA 336、Surfynol SE-F、及びSurfynol 107Lが挙げられる。
【0076】
様々な量の界面活性剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、界面活性剤は、0.01重量%~2重量%の範囲の量で存在する。(ここで、重量%は、(界面活性剤の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)2種類以上の界面活性剤が使用される場合、これらの量は、界面活性剤の総量を指す。
【0077】
添加剤
【0078】
様々な添加剤を水性インクジェットインク組成物中で使用して、その特性を調整することができる。好適な添加剤は、殺生物剤;殺真菌剤;安定剤;酸又は塩基、リン酸塩、カルボン酸塩、亜硫酸塩、アミン塩、緩衝液などのpH調整剤;発泡防止剤;消泡剤、及び湿潤剤のうちの1つ以上を含む。しかしながら、概して、キレート剤(例えば、EDTA)は含まれない。
【0079】
様々な量の添加剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、添加剤は、0.01重量%~5重量%の範囲の量で存在する。(ここで、重量%は、(添加剤の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)2種類以上の添加剤が使用される場合、これらの量は、添加剤の総量を指す。
【0080】
実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、キレート剤を有さない(すなわち、含まない)。
【0081】
本樹脂粒子に基づく水性インクジェットインク組成物は、粘度を更に調整するための添加剤の添加を必ずしも必要としない。これは、水性インクジェットインク組成物が、水溶性樹脂又はエマルション、水性結合剤、ポリマー分散剤、及びこれらの組み合わせを有さない場合がある(すなわち、含まない)。これは、以下に記載される水溶性樹脂又はエマルション、水性結合剤、ポリマー分散剤のいずれかの除外の可能性を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、そのような化合物が含まれ得ることが理解される。最後に、水溶性樹脂、水溶性エマルション、水性結合剤、及びポリマー分散剤という用語はいずれも、本樹脂粒子自体を包含しないことに留意されたい。例示的な水溶性樹脂/エマルションは、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンである。
【0082】
例示的な水性結合剤は、Rhohm&Haasから入手可能なRhoplex I-1955、Rhoplex I-2426D、Rhoplex I-62、Rhoplex I-98、Rhoplex E-1691である。他には、DSM Corporationから入手可能なLucidene 190、Lucidene 400、及びLucidene 243;NeoCryl A-1110、NeoCryl A-2092、NeoCryl A-639、NeoRad R-440、NeoRad R-441、NeoRez N-55、972、PVP K-15、PVP K-30、PVP K-60、PVP K-85という名称で、ISPから入手可能な、Ganex P-904LC、PVP/VA W-63である。他の例示的な水性結合剤としては、Joncryl 537、Joncryl H538、Joncryl H538などの、Johnson Polymers(BASF)から入手可能なものが挙げられる。
【0083】
例示的なポリマー分散剤は、スチレン-アクリルコポリマーなどのアクリルポリマー、及びビニルピロリドンコポリマー、ウレタン又はポリウレタン分散液、及びアクリル-ウレタンハイブリッド分散液である。より特定のポリマー分散剤としては、Joncryl(登録商標)671、Joncryl(登録商標)683、Joncryl(登録商標)296、Joncryl(登録商標)690、Joncryl HPD 296、Joncryl HPD96-E、Joncryl LMV 7085、Joncryl 8082などの、Johnson Polymers(BASF)から入手可能なものが挙げられる。他の分散剤としては、分散剤の目的のために参照により組み込まれる欧州特許第2097265号に記載されているもの、及び分散剤の目的のために参照により組み込まれる米国特許出願第2019284414号に記載されているものが挙げられる。
【0084】
同様に、水性インクジェットインク組成物は、本樹脂粒子の樹脂によって提供されるもの以外の樹脂を有さない場合がある(すなわち、含まない)。単一の種類の樹脂を使用することができる。同様に、水性インクジェットインク組成物自体は、一般に硬化性ではなく、したがって、開始剤を有さない(すなわち、含まない)。樹脂粒子及びラテックスに関して上記で参照された任意の他の除外は、水性インクジェットインク組成物の実施形態に適用され得ることに留意されたい。
【0085】
実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系と、樹脂粒子と、着色剤と、任意選択的に、ワックス及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、インク組成物は、溶媒系と、樹脂粒子と、着色剤と、ワックスと、任意選択的に添加剤と、を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれかでは、添加剤は、安定剤、界面活性剤、発泡防止剤、消泡剤、湿潤剤、及び殺生物剤から選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、構成成分は、本明細書に開示される溶媒系、樹脂粒子、着色剤、ワックス、及び添加剤のうちのいずれかから選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように構成成分の量が使用され得る。
【0086】
水性インクジェットインク組成物は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。例示的な方法は、開示されるラテックス(又は樹脂粒子)のうちのいずれかを、着色剤分散液に添加して、第1の混合物を形成することと、溶媒系及び添加剤を含む第2の混合物を、第1の混合物に添加して、水性インクジェットインク組成物を形成することとを含む。ワックスを含む第3の混合物を、組み合わせた第1及び第2の混合物に添加してもよい。混合及び/又は加熱を、方法中に使用してもよい。水性インクジェットインク組成物を、使用前に濾過してもよい。例示的な詳細を、以下の実施例に提供する。
【0087】
特性
【0088】
水性インクジェットインク組成物は、組成物がインクジェット印刷装置で使用されて印刷画像を形成することができることを示す特性を含む、様々な特性を特徴とし得る。水性インクジェットインク組成物は、初期粘度(インクを形成する日に、37℃で、及び1~6.3秒-1又は40~400秒-1の周波数範囲にわたって測定される)を特徴とし得る。初期粘度は、2~10cP及び3~8cPを含む1~15cPの範囲であり得る。そのような値は、水性インクジェットインク組成物を他の組成物、例えば、50cpを超える有意に高い初期粘度を有する、例えば、塗料から区別する。
【0089】
水性インクジェットインク組成物は、それらの耐水性を特徴とし得る。以下の実施例に記載されるように測定された耐湿潤摩擦性は、耐水性の尺度を提供する。実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、約4.5ngのインクの液滴を使用して測定された場合、少なくとも10、12、若しくは14の耐湿潤摩擦性を示すか、又は約9ngのインクの液滴を使用して測定された場合、少なくとも15、17、若しくは19の耐湿潤摩擦性を示す。これらの値は、紙基材上の耐水性を指し得る。以下の実施例に示されるように、例示的な水性インクジェットインク組成物は、約9ngのインクの液滴を使用して測定される場合、少なくとも30の湿潤耐摩擦性を含む、金属基材、例えば、アルミニウム上に更に高い耐水性を呈する。
【0090】
水性インクジェットインク組成物は、それらの開放空気安定性を特徴とし得る。水性インクジェットインク組成物が空気に触れてゲル化するまでの時間を観察することによって、そのような安定性の尺度が提供される。この時間は、以下の実施例に記載されるように測定され得る。実施形態では、ゲル化するまでの時間は、3時間超、4時間超、又は3時間~5時間の範囲である。実施例に示されるように、ゲル化するまでの時間は、リン酸モノマーを含まないモノマーから形成された樹脂粒子を含む比較水性インクジェットインク組成物と比較して、例示的な水性インクジェットインク組成物に対して約100%延長された。
【0091】
水性インクジェットインク組成物は、それらの長期安定性を特徴とし得る。水性インクジェットインク組成物の初期粘度(インクを形成する日に測定された)と、高温(例えば、60℃)での一定期間(例えば、3、7、又は14日間)の貯蔵後のインクの粘度値との比較が、そのような安定性の尺度を提供する。実施例に示されるように、例示的な水性インクジェットインク組成物は、60℃で14日間貯蔵した(それぞれの初期粘度値の±5%以内である)後の粘度値(37℃で、1~6.3秒-1又は40~400秒-1の周波数範囲にわたって測定された)を呈する。
【0092】
水性インクジェットインク組成物は、印刷された画像を形成するために使用されてもよい。実施形態では、このような方法は、開示された水性インクジェットインク組成物のうちのいずれかの液滴を基材上に射出して、その上に画像を形成することを含む。画像は、任意の形態、例えば、テキスト、グラフィックなどであり得る。このような方法は、インク組成物をインクジェット印刷装置に組み込むことを更に含み得る。印刷装置は、サーマルインクジェットプロセスを用いることができ、ノズル内のインク組成物は、画像的パターンで選択的に加熱され、それによってインク組成物の液滴が画像的パターンで射出される。代替的に、印刷装置は音響インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、音響ビームによって画像的パターンで射出される。更に別の実施形態では、印刷装置は圧電インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、圧電振動要素の振動によって画像的パターンで射出される。
【0093】
方法は、中間転写部材上に画像的パターンでインク液滴を射出することと、溶媒を部分的又は完全に除去するために画像を加熱することと、中間転写部材から最終記録基材に画像的パターンでインク組成物を転写することと、を含み得る。中間転写部材は、最終記録シートの温度よりも高く、印刷装置内のインク組成物の温度よりも低い温度まで加熱されてもよい。オフセット又は間接印刷プロセスはまた、例えば、米国特許第5,389,958号に開示されており、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0094】
最終記録シートとして、任意の好適な基材又は記録シートを用いることができる。それは、紙と非紙、例えば、金属基材の両方で印刷可能である水性インクジェットインク組成物の少なくとも実施形態の特徴である。金属基材は、例えば、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、及び銅を含む。開示された水性インクジェットインク組成物のいずれかを使用してその上に画像が印刷された基材もまた、本開示に包含される。
【実施例0095】
以下の実施例は、本開示の様々な種類を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書で使用される場合、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0096】
実施例1~4
1.2グラムの(Montello製Hitenol AR 1025)と、35グラムの脱イオン水との反応性界面活性剤溶液を、ガラス反応器内で混合することによって調製した。次いで、反応物を窒素で30分間パージした。次いで、反応器を250rpmで撹拌しながら、窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を75℃まで加熱し、そこで保持した。別に、0.3グラムの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を、5グラムの脱イオン水中で溶解し、反応器に添加した。
【0097】
別に、モノマーエマルションを次の様式で調製した。スチレン、ブチルアクリレート、メタクリル酸、リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル(phosphoric acid 2-hydroxyethyl methacrylate ester、PAM)(実施例1、4)、ビス[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート(bis[2-(methacryloyloxy)ethyl]phosphate、B2MP)(実施例2、3、4)、グリセロールホルマールメタクリレート(Glycerol formal methacrylate、Glyfoma)(実施例3)、1-ドデカンチオール(dodecanethiol、DDT)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(poly(ethylene glycol)diacrylate、PEGDA250)(実施例1)、Hitenol AR 1025、及び脱イオン水を混合して、エマルションを形成した。使用したこれらの構成成分の量を以下の表1に示す。乳化された混合物を反応器にゆっくりと2時間供給し、反応を2時間継続した。追加の0.15gのAPS開始剤を脱イオン水に溶解し、10分間にわたって反応器に添加し、反応を追加で1.5時間継続した。得られたラテックスを室温に冷却し、30%のジメチルエタノールアミン(DMEA)水溶液でpH8.0まで、又は5M KOH溶液でpH5.0まで、そしてpH5~8は30%のDMEAで中和した。
【0098】
ラテックスの配合を表1に示す。
【0099】
シード不含の代わりに、シードマイクロエマルション重合を実施するために、反復実験において、5%のモノマーエマルションを反応器に10分間にわたって供給した後、10分間でAPSを添加した。混合物を一定温度で追加の10分間保持し、残りのモノマーエマルションを反応器に2時間にわたって供給した。その後の工程は、上記のシード不含エマルション重合の場合と同様である。
【0100】
実施例5~7(比較)
これらの実施例では、表1にされるように、実施例1~4の手順を繰り返したが、異なるモノマー混合物を使用した。具体的には、リン酸モノマーは使用されなかった。代わりに、ナトリウム4-スチレンスルホネート(sodium 4-styrenesulfonate、4-NaSS)及び実施例5ではヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate、HEA)などの親水性モノマーを使用した。コロイダルシリカも実施例5で使用した。ラテックスの配合を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
実施例8~15
水性インクジェットインク組成物を、実施例3及び4、並びに比較例5~7のラテックスを使用して形成した。具体的には、CMYK色の実施例3のラテックスを使用して、実施例8~11の水性インクジェットインク組成物を形成した。CMYK色の比較例5のラテックスを使用して、比較例12~15の水性インクジェットインク組成物を形成した。実施例3のラテックス及び黒色顔料を使用して、実施例16の水性インクジェットインク組成物を形成した。このインクを使用して、金属及び紙基材の両方に印刷した。実施例4のラテックス及び黒色顔料を使用して、実施例17の水性インクジェットインク組成物を形成した。このインクを、以下に記載される開放空気安定性試験に使用した。比較例5のラテックス及び黒色顔料分散液を使用して、比較例18及び19の水性インクジェットインク組成物を形成した。これらのインクはまた、キレート剤(EDTA)を含有する。それぞれ比較例6及び7のラテックス、及び黒色顔料使用して、比較例20及び21の水性インクジェットインク組成物を形成した。これらのインクを、以下に記載される開放空気安定性試験に使用した。以下の工程を使用して、水性インクジェットインク組成物を形成し、配合を表2に示す。
【0103】
1. 顔料分散液を脱イオン水に添加し、Cowlesブレードインペラを使用して約650RPMの速度で約15分間混合した。
【0104】
2. ラテックスを顔料分散液にゆっくり添加し、約20分間混合した(混合物A)。
【0105】
3. 別個のビーカー内で、共溶媒及び添加剤(保湿剤、安定剤、消泡剤/発泡防止剤、界面活性剤、湿潤剤、及び接着促進剤)を混合して、均質な混合物(混合物B)を形成した。
【0106】
4. 混合物Bを混合物Aにゆっくりと添加した。添加が完了すると、構成成分を更に20分間混合した。
【0107】
5. ワックスを添加し、混合を更に約15分間継続した。
【0108】
6. 混合した後、水性インクジェットインク組成物を室温で約60分間置いてから、pH、伝導度、及び表面張力を確認した。
【0109】
【表2】
【0110】
印刷試験
【0111】
水性インクジェットインク組成物は、McCoy(登録商標)gloss#100、SUW Matte、Xerox(登録商標)Bold、及びKodak写真紙を含む、4つの異なる紙基材上のDimatix DMP2800プリンタを使用して噴射された。使用された試験キーパラメータの第1のセットは以下のとおりであった:液適質量=4.5~4.8ng(すなわち、約4.5ng)、液滴速度=6~7m/秒、周波数=5kHz、電圧=16~20V、印刷温度は、20℃~40℃であった。使用された試験キーパラメータの第2のセットは以下のとおりであった:液滴質量=8.5~9ng(すなわち、約9ng)、液滴速度=9~11m/秒、周波数=5kHz、電圧=24~27V、印刷温度は、20℃~40℃であった。印刷パラメータは、600×600dpi印刷であった。測定は、デジタルルーペを有するパーソナル画像分析システムであるPIAS II機器を使用して行った。ドットサイズ及び直径を測定するために、約3.2mm×2.4mmの視野を有する高解像度光学モジュール、約5μm/ピクセルを使用した。10~30分超の連続噴射を通過した水性インクジェットインク組成物は、良好な待ち時間を呈すると考えられた。結果を表4に示し、以下で更に考察する。
【0112】
ラテックスの金属結合試験
【0113】
CaCl2の水溶液(10mM)を脱イオン水で調製した。実施例3及び4からのラテックスのアリコート(1.25g、KOH+DMEAで中和)を塩化カルシウム溶液(8.75g)と混合して、5%ラテックス分散液を作製した。分散液を室温で一晩混合した。翌日、ラテックス分散液をAmicon遠心分離フィルターユニット(100,000分子量カットオフ(molecular weight cut off、MWCO))で広範囲に洗浄して、全ての非結合カルシウムイオン(少なくとも10回、30分、4000rpm)を除去した。回収した試料を液体窒素中に浸漬し、一晩凍結乾燥した。このプロセスは、凝集の兆候なしに微粉末を形成した。次いで、乾燥ラテックス粒子を硝酸及びフッ化水素酸の混合物中で消化し、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、ICP)を使用してCaイオンについて試験した。結果を以下で更に考察する。
【0114】
ラテックスの開放空気安定性
【0115】
開放空気中の水性インクジェットインク組成物の安定性を、構造形成(ゲル化)の開始、ゲル化状態、及び完全にゲル化したインクの視覚的評価で検討した。各検討について、対照インクとともに4グラムの試験インクを、実験室空間(相対湿度32%、22℃)中の、同一のパイレックスペトリ皿(60mm直径、10mm高さ)に分注し、5時間の全試験期間にわたって30分ごとに検査した。各検査の合間に、インク皿を穏やかに回転させて、構造形成の厳密性を評価した。試験環境における温度、湿度、及び空気流の変動により、各試料の重量も測定した。各測定値について、ゲル化の開始のための報告された時間を、1時間当たり5.5重量%の蒸発に補正した。結果を以下で更に考察する。
【0116】
湿潤耐摩擦性(耐水性)
【0117】
水性インクジェットインク組成物を、耐湿潤摩擦性(湿潤Q-tipを使用して20回の二重摩擦)(耐水性)について試験した。各水性インクジェットインク組成物の液滴(4.5及び9ng)を所望の基材上に印刷した。表4の数字は、インクの任意の除去が観察される前に得られた二重摩擦の数(3つの測定値の平均)を示す。結果を表4に示し、以下で更に考察する。
【0118】
結果
【0119】
印刷に使用される4つの紙基材を、電子顕微鏡上のエネルギー分散X線(Energy Dispersive X-ray、EDX)特徴を使用して検討した。結果を表3に示し、4つ全ての基材が多量の金属(カルシウム及びアルミニウム)を含有することを示した。ICPの結果はまた、実施例1~4のラテックスが強いキレート化能力を示したことを示した。例えば、実施例4のラテックスは、約4000ppmのカルシウムイオン取り込みを示す一方で、対照ラテックス(カルシウムイオンインキュベーションなしの実施例4のラテックス)のみが3ppmのカルシウム取り込みを示した。
【0120】
【表3】
【0121】
表4に示されるように、実施例8~11の水性インクジェットインク組成物は、優れた噴射(誤方向性及びサテライトなし、30分超の噴射)、待ち時間、及びデキャップ時間を示した。これらはまた、比較例12~15の水性インクジェットインク組成物及び他の市販ベンチマークインクと比較して、改善された耐水性(約4.5ng及び約9ngの液滴質量の両方)及び機械的特性を示した。
【0122】
【表4】
【0123】
特に、実施例11及び17の水性インクジェットインク組成物は、開放空気条件下での構造形成(ゲル化)の開始における延長された流動時間及び遅延によって証明されるように、実質的に改善された開放空気安定性を示した。具体的には、比較例15及び20の比較水性インクジェットインク組成物のゲル化の開始は、2~2.5時間の時間範囲でゲル化の開始を呈したが、実施例11及び17のものは、4.5時間を超えるゲル化の開始を呈した。これは、ほぼ100%の改善である。
【0124】
水性インクジェットインク組成物の再分散特性及び長期安定性を評価するために、追加の実験を実施した。再分散特性に関して、20μLの実施例8~11の水性インクジェットインク組成物及び市販のインクをペトリ皿に入れ、室温で5日間乾燥させた。次いで、インク共溶媒混合物(7mL)を各皿に穏やかに添加し、皿を45分間静置した。目視評価を使用して、共溶媒混合物中の着色インクの広がりの程度を観察することによって再分散を評価した。実施例8~11の水性インクジェットインク組成物は急速に広がり、15分で顕著な分散を伴い、45分でほぼ完全に分散した。市販のインクは、はるかにゆっくりと分散した。それらの広がりは、45分で実施例8~11の水性インクジェットインク組成物の約半分であった。最後に、溶媒ですすいだ後、実施例8~11の水性インクジェットインク組成物は、いかなる環も残さなかったが、市販のインクは、CMY色の乾燥環を残した。
【0125】
長期安定性に関して、水性インクジェットインク組成物を、60℃で加速エージング試験に供した。以下の表5に示されるような様々な時点で、水性インクジェットインク組成物の粘度を、37℃で、かつTA機器によるAres G2を使用した2つの周波数範囲で測定された。結果は、実施例11の水性インクジェットインク組成物の粘度が、60℃で14日後(第1及び第2の周波数範囲で謹んで(respectfully)初期粘度値の3.8%及び2.9%以内)にほぼ変化しないことを示す。これらの結果はまた、実施例11の水性インクジェットインク組成物が形成された、ラテックスの樹脂粒子が、インク全体に自由に分散され、組成物中の着色剤上に吸着、付着、又はコーティングされないことを確証する。対照的に、比較例18及び19の水性インクジェットインク組成物は、重度の不安定性を示す。
【0126】
【表5】
【0127】
最後に、実施例1~4のラテックスに基づく水性インクジェットインク組成物が金属基材を含む非紙基材上に印刷できることを示すために、印刷試験を実施した。例えば、実施例8の水性インクジェットインク組成物は、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、及び銅に首尾よく印刷された。アルミニウム上に実施例16の水性インクジェットインク組成物を印刷することによって、追加の印刷試験を行った。このインクを使用して印刷されたドット、線、及び固体ブロックの顕微鏡画像は、良好な広がりを示した。51μmのドット径及び47μmの線幅を得た。加えて、アルミニウム上の印刷は、格別に耐久性があり、乾燥摩擦及び湿潤摩擦の両方に耐性であった。約9ngの液滴サイズを使用した耐水性結果は、30回の二重摩擦(実質的に知覚される無限の耐水性)を超えた。対照的に、市販のインクは、最初の3回の二重摩擦のうちに湿潤綿棒に溶解した。
【0128】
「例示的な」という語は、例、事例、又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。更に、本開示の目的のために、特に指定がない限り、「a」又は「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0129】
既に含まれていない場合、本開示におけるパラメータの全ての数値は、およそを意味する「約」という用語によって進められる。これは、当業者に理解されるような関連パラメータの測定に固有の変動を包含する。これはまた、開示された数値及び開示された数値を四捨五入した値の正確な値も包含する。
【0130】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。網羅的であること、又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本開示の実施から取得されてもよい。本開示の原理を説明するために、及び本開示の実用的な用途として、当業者が様々な実施形態において本開示を利用することを可能にするために、かつ企図される特定の用途に適した様々な修正を用いて、実施形態が選択及び記載される。本開示の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。