(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086106
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】熱膨張係数整合マウントパッドを有する基板を備える無線周波数パッケージおよび関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230614BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230614BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H01L23/12 301Z
H01L23/12 F
H01L23/12 J
H01L23/36 C
H01L23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191567
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】17/546,453
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】エヌエックスピー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NXP USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ルー リー
(72)【発明者】
【氏名】ラクシュミナラヤン ビスワナサン
(72)【発明者】
【氏名】フレーク エグバート ファン ストラーテン
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BB03
5F136BB05
5F136DA31
5F136EA13
5F136FA03
5F136GA02
5F136GA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性が高いRFパッケージを費用効果の高い製造方法で提供する。
【解決手段】RFパッケージ20は、第1のRFパワーダイ46に面する前面及び金属ベース構造の前面における、第1のダイ取付領域を有する金属ベース構造30を備える高熱性能基板であるHTP基板22を備える。第1のCTE整合マウントパッド50は、金属ベース構造30に対しボンディングされており、第1のダイ取付領域を覆う。第1のCTE整合マウントパッド50は、RFパワーダイ46のCTEよりも大きく、かつ、金属ベース構造30の熱膨張係数(CTE)よりも小さいCTEを有する。導電性ボンディング材料は、RFパワーダイ46を第1のCTE整合マウントパッド50に取り付ける。RF回路は、第1のRFパワーダイ46へと集積され、金属ベース構造30に対しマウントパッド50を通じて電気的に結合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数パッケージ(RFパッケージ)であって、
ダイの熱膨張係数(CTE)を有する第1のRFパワーダイと、
高熱性能基板であって、
金属ベース構造であって、ベース構造CTE、前記第1のRFパワーダイに面する前面、および前記金属ベース構造の前記前面における第1のダイ取付領域を有する、金属ベース構造と、
前記金属ベース構造に対しボンディングされており、前記第1のダイ取付領域を覆う、第1のCTE整合マウントパッドであって、前記ダイCTEよりも大きいかつ前記ベース構造CTEよりも小さいマウントパッドCTEを有する、第1のCTE整合マウントパッドと、を備える、高熱性能基板と、
前記第1のRFパワーダイを前記第1のCTE整合マウントパッドに取り付ける導電性ボンディング材料と、
前記第1のRFパワーダイへと集積され前記金属ベース構造に対し前記第1のCTE整合マウントパッドを通じて電気的に結合されているRF回路と、を備える、RFパッケージ。
【請求項2】
前記第1のCTE整合マウントパッドは、前記金属ベース構造の前記前面から上方に突出して、前記第1のRFパワーダイがマウントされる隆起したペデスタル状のフィーチャを形成する、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項3】
前記金属ベース構造は開放キャビティを備え、前記第1のCTE整合マウントパッドが前記金属ベース構造に少なくとも部分的に埋め込まれるように、前記開放キャビティへと前記第1のCTE整合マウントパッドが挿入されている、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項4】
前記第1のCTE整合マウントパッドは、前記金属ベース構造の前記前面の外部終端面と実質的に同一平面上にあるダイ支持面を有する、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項5】
前記第1のCTE整合マウントパッドは、前記金属ベース構造が備えるよりも大きい重量パーセントのモリブデンと小さい重量パーセントの銅とを備える、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項6】
前記第1のCTE整合マウントパッドは、
第1のマウントパッド層と、
前記第1のマウントパッド層に対しボンディングされている第2のマウントパッド層であって、前記第1のマウントパッド層が含有するよりも少ない重量の銅を含有し、前記第1のマウントパッド層が含有するよりも多い重量のモリブデンを含有する、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項7】
前記第1のCTE整合マウントパッドは、前記第2のマウントパッド層が含有するよりも多い重量の銅を含有し、前記第2のマウントパッド層が含有するよりも少ない重量のモリブデンを含有する、第3のマウントパッド層をさらに備え、
前記第2のマウントパッド層は、前記第1のマウントパッド層と前記第2のマウントパッド層との間にある、請求項6に記載のRFパッケージ。
【請求項8】
前記RF回路は、前記金属ベース構造に対し前記第1のCTE整合マウントパッドを通じて電気的に結合されているソース端子を有する電界効果トランジスタ(FET)を備える、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項9】
前記高熱性能基板は、前記金属ベース構造に対しボンディングされており前記金属ベース構造上の第2のダイ取付領域を覆う、第2のCTE整合マウントパッドをさらに備え、
前記RFパッケージは、
前記第2のCTE整合マウントパッドに対し取り付けられている第2のRFパワーダイと、
前記第2のRFパワーダイ上に形成されており前記金属ベース構造に対し前記第2のCTE整合マウントパッドを通じて電気的に結合されている追加のRF回路と、をさらに備える、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項10】
前記第1のRFパワーダイおよび前記第2のRFパワーダイは、ピークRFパワーダイおよびキャリアRFパワーダイをそれぞれ備える、請求項9に記載のRFパッケージ。
【請求項11】
前記第1のCTE整合マウントパッドは第1の体積を有し、
前記第2のCTE整合マウントパッドは前記第1の体積よりも大きい第2の体積を有する、請求項10に記載のRFパッケージ。
【請求項12】
前記第1のCTE整合マウントパッドと前記金属ベース構造との間に形成されている拡散ボンドをさらに備える、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項13】
前記高熱性能基板は、前記金属ベース構造および前記第1のCTE整合マウントパッドが埋め込まれている誘電体本体をさらに備え、
前記金属ベース構造および前記第1のCTE整合マウントパッドは、前記第1のRFパワーダイから離れると体積が増加する逆T字形構造を形成するように組み合わせられている、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項14】
前記第1のRFパワーダイを封入し前記高熱性能基板を少なくとも部分的に取り囲む成形パッケージ本体をさらに備え、
前記金属ベース構造は、前記前面の反対にあり前記成形パッケージ本体の裏面と実質的に同一平面上にある裏面を有する、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項15】
前記高熱性能基板は、前記第1のCTE整合マウントパッドから前記高熱性能基板の周縁側壁まで延びる周縁タイバーをさらに備える、請求項1に記載のRFパッケージ。
【請求項16】
第2のCTE整合マウントパッドと、
前記第1のCTE整合マウントパッドから前記第2のCTE整合マウントパッドまで延びる中間タイバーと、をさらに備え、
前記中間タイバーは、前記第1のCTE整合マウントパッドおよび前記第2のCTE整合マウントパッドと一体に形成されている、請求項15に記載のRFパッケージ。
【請求項17】
無線周波数パッケージ(RFパッケージ)を作製するための方法であって、
ダイ熱膨張係数(CTE)を有する第1のRFパワーダイを取得する工程と、
前記第1のRFパワーダイを、高熱性能基板に備えられている第1のCTE整合マウントパッドに対し取り付ける工程であって、前記第1のCTE整合マウントパッドは、ベース構造CTEを有する金属ベース構造に対しボンディングされ、前記ダイCTEよりも大きいかつ前記ベース構造CTEよりも小さいマウントパッドCTEを有する、第1RFパワーダイ取付工程と、
前記第1のRFパワーダイの取付とともに、前記第1のRFパワーダイ上に形成されている電力増幅器回路(PA回路)を前記金属ベース構造に対し前記第1のCTE整合マウントパッドを通じて電気的に結合する電気的結合工程と、を備える、方法。
【請求項18】
前記PA回路は、ソース端子を有する電界効果トランジスタ(FET)を備え、
前記電気的結合工程は、前記FETの前記ソース端子を前記金属ベース構造に対し前記第1のCTE整合マウントパッドを通じて電気的に結合する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のRFパワーダイはピークRFパワーダイを含み、
前記方法は、
キャリアRFパワーダイを、前記高熱性能基板に備えられている第2のCTE整合マウントパッドに対し取り付けるキャリアRFパワーダイ取付工程と、
前記キャリアRFパワーダイ取付工程とともに、前記キャリアRFパワーダイ上に形成されているRF回路を、前記金属ベース構造に対し前記第2のCTE整合マウントパッドを通じて電気的に結合する工程と、をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のCTE整合マウントパッドを選択する工程であって、
第1のマウントパッド層と、
前記第1のマウントパッド層に対しボンディングされている第2のマウントパッド層であって、前記第1のマウントパッド層が含有するよりも少ない重量の銅を含有し、前記第1のマウントパッド層が含有するよりも多い重量のモリブデンを含有する、第2のマウントパッド層と、を備える層状構造を有するように、前記第1のCTE整合マウントパッドを選択する工程をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、マイクロエレクトロニクスに関し、より詳細には、熱膨張係数(CTE)整合マウントパッドを有する基板を備える無線周波数パッケージ(RFパッケージ)、ならびにそうしたRFパッケージおよび基板を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスRFパッケージは、1つまたは複数のRFパワーダイを利用して実装され得る無線周波数回路を備える。RFパッケージの例は、RF信号増幅目的のために利用されるトランジスタ含有ICを載せた、RFパワーダイを含有する電力増幅器パッケージを含む。そうしたRFパワーダイは、より高い電力レベルまたは周波数にて動作するとき、および、例えば、層状GaN材料を含む電力密度の高いダイ技術を利用して作製されるとき、しばしば過剰な熱を発生する傾向がある。RFパッケージ動作中に発生する過剰な熱を散逸するように、所与のRFパワーダイは、はんだまたは別のボンディング材料を利用して、PCBに埋め込まれた金属ベースフランジまたは金属コインなどのモノリシック金属(例えば、Cu)本体にマウントされ得る。これは、RFパワーダイからパッケージ外部からアクセス可能な熱界面まで延びる低熱抵抗経路を提供する。RFパッケージがマザーボードなどのシステムレベルPCBにマウントされるとき、システムレベルヒートシンク(例えば、金属シャーシまたはフィンアレイ)は、直接接触によるか、または熱伝導性材料とのボンディングによるかにかかわらず、RFパッケージの熱界面と熱連通して配置され得る。RFパッケージ動作中、RFパワーダイによって発生した過剰な熱は、RFパッケージ内部から抽出され、システムレベルヒートシンクに伝導し、最終的に周囲環境に対流により移送されて、RFパワーダイのピーク温度を許容限度内に維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
略語
本明細書において比較的まれに現れる略語は、最初の使用時に定義され、本明細書においてより頻繁に現れる略語は、以下のように定義される。
【0005】
CTE-熱膨張係数
Cu-銅
GaN-窒化ガリウム
IC-集積回路
MN-整合ネットワーク
Mo-モリブデン
PA-電力増幅器
PCB-プリント回路板
RF-無線周波数
本発明の1つ以上の実施例が、以下の図面とともに以下に記載される。同様の符号は同様の要素を示す。
【0006】
説明を簡単かつ明確にするために、周知の特徴および技術の説明および詳細は、以下の詳細な説明に記載される本発明の例示的かつ非限定的な実施形態を不必要に不明瞭にすることを避けるように省略され得る。添付の図面に現れるフィーチャまたは要素が、特に明記されない限り縮尺通りに示される必要がないことが、さらに理解される。例えば、図面におけるある要素または領域の寸法が、本発明の実施形態の理解を向上させるように、他の要素または領域に対し誇張され得る。
【0007】
本開示の実施形態は、上に簡潔に記載された図面の添付の図において示される。例示的な実施形態に対する様々な修正が、添付された特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱せずに、当業者によって想定され得る。
【0008】
本明細書において現れる際、「金属」という用語は、1つまたは複数の金属から重量で主に構成され、任意の数および種類の金属または非金属成分のより少ない量を潜在的に含有する材料を呼ぶ。同様に、指定された金属(または複数の金属)からなる層、構造、または他のフィーチャに対する参照は、その層、構造、または他のフィーチャが、指定された金属(または複数の金属)から重量で主になることを示す。例えば、銅(Cu)層に対する参照は、指定された層が重量で支配的にCuからなるが、より少量の金属成分または非金属成分を含有し得ることを示す。同様に、銅-モリブデン(Cu-Mo)からなる材料に対する参照は、材料が重量で支配的にCuおよびMoの組み合わせからなることを示す。材料または構造の熱膨張係数(CTE)に対する全ての数値参照は、本明細書において現れる際、線形CTEを示し、10-6メートル/メートル毎摂氏温度によって表される。
【0009】
本明細書においてさらに現れる際、第1層が第2層(または表面)「に対しボンディングされる」、「の上に形成される」、または「上に形成される」ことを示す記述は、特に明記されない限り、第1層が第2層(または表面)に直接ボンディングされ、密接に接触することを必要としない。したがって、そうした記述は、1つまたは複数の介在層が第1層(または表面)と第2層(または表面)との間に存在し得る可能性を排除しない。一般に、この点に関して、「上に(over)」および「上に(on)」という用語は、この趣旨の明示的な記述、例えば、第1層が第2層(または表面)「の直接上に」または「に接触して」形成されることを示す記述によって別段に示されない限り、第2層(または表面)の「上に(over)」または「上に(on)」形成された第1層との間の直接接触を必要としない。さらに、本明細書を通じて現れる際、用語「上に(over)」および「上に(on)」は、より大きな3次元の文脈内における配向に関して限定するものではない。したがって、第2層の下にある第1層は、第1層が第2層上に堆積、成長、または生成されるとき、第2層の「上に形成される」と説明され得る。
【0010】
概要
簡単に上記した通り、金属本体または構造にマウントされたRFパワーダイを備えるRFパッケージアーキテクチャは、パッケージ動作中に発生した過剰な熱をより効率的に散逸することによって、向上した熱性能を提供する。1つのそうしたRFパッケージアーキテクチャでは、RFパッケージに備えられている各RFパワーダイは、はんだまたは別の熱伝導性ボンディング材料を利用して、Cuの単一片またはほぼ均質な組成を有する別の金属などのモノリシック金属体に対しマウントされる。これは、RFパワーダイから、モノリシック金属体を通じて、RFパッケージの裏面に沿って露出した熱界面まで延びる低熱抵抗経路を生成する。本明細書に現れる際、「裏面」という用語は、パッケージの高さまたは厚さ方向に見て、RFパッケージの対向する「上側」面よりもパッケージ基板(例えば、PCBまたはベースフランジ)の近くにあるRFパッケージの主外面を指す。そうしたモノリシック金属体の例は、金属コインまたはスラグを含み、それらは、Cu(すなわち、その主成分としてCuを含有する合金)から完全になり、RFパッケージが周りに構成される電気的にルーティングされた基板(例えば、PCB)に埋め込まれる。これに代えて、そうしたモノリシック金属体は、単一材料(例えば、Cu)から均一になるとともに電気的ルーティングフィーチャがない、より大きい金属ベースフランジの形態をとることが可能である。この種類の金属ベースフランジは、一般に、エアキャビティおよびオーバーモールド(封入)パッケージへと組み込まれ、ヒートシンクとRFパッケージの端子との両方として機能してよい。さらに別の例として、RFパワーダイは、ベースフランジに類似しているがリードフレーム形式により提供される金属ブロック(本明細書では「ダイ取付パッド」)の形態におけるモノリシック金属体に対し取り付けられてよい。リードフレームはまた、オーバーモールドされ、シンギュレーションにより分離され、最終的に、例えば、フラットノーリードまたはランドグリッドアレイ(LGA)パッケージとして作製されるときにRFパッケージのコンタクトを形成する他の金属部分を備える。
【0011】
上記のRFパッケージアーキテクチャ(RFパワーダイがモノリシック金属体に対し取り付けられているRFパッケージ)は、向上した熱散逸能力を提供するが、制限を伴う。そうした制限は、多くの場合、所与のRFパッケージ内に備えられているRFパワーダイのそれぞれのCTEと、RFパワーダイがマウントされる1つまたは複数のモノリシック金属体のCTEとの間の不一致から生じる。そうしたCTEの不一致(本明細書では、「ダイと基板とのCTE不整合」)は、より高い電力レベル、より高い周波数にて動作するか、または層状GaN基板などの電力密度の高いダイ基板を利用して作製されるRFパワーダイを備えるRFパッケージの場合には、重要であり、典型的にはより大きい関心事である。そうした場合、パッケージ使用中に所与のRFパワーダイによってかなりの量の熱が発生し得、そうした熱量は、下部の基板に、具体的には、1つまたは複数のRFパワーダイが取り付けられているモノリシック金属体に伝導的に伝達される。結果として、RFパワーダイとモノリシック金属体(例えば、Cuコイン、ベースフランジ、またはダイ取付パッド)との間に顕著な熱膨張の不一致が生じ得、モノリシック金属体は、RFパワーダイのCTEを約3倍以上上回るCTEを有し得る。適切に対処されない場合、そうした熱膨張の不一致から生じる機械的応力要因は、経時的に、および繰り返される熱サイクルにわたって、様々な程度の構造的劣化をもたらし得、これは、最終的に、RFパッケージの全体的な電気的および熱的性能を劣化させ得る。非限定的な例ではあるが特定の例を提供するため、ドハティPAアーキテクチャに備えられるキャリアPAダイは、
図6と合わせて以下でさらに説明されるように、そうしたダイが、関連するピークトランジスタダイが動作するよりも高い周波数によりオン状態にて動作する傾向があるとすると、ダイと基板とのCTE不整合から生じる問題に特に脆弱であり得る。
【0012】
ダイと基板とのCTE不整合から生じる上記の問題に対処するのを補助するため、比較的高い熱伝導率、比較的高い電気伝導率、および他の好ましい特性を保持しながら、減少したCTEを有する金属ベースフランジを開発し、商業的に導入するように、業界の努力が費やされてきた。これは、金属ベースフランジに、上記のような種類のモノリシック構造ではなく、積層または多層構造を付与することによって達成され得る。この種類の金属ベースフランジ(本明細書では、「多層フランジ」)は、典型的には、3つ以上のフランジ層を備え、垂直に積み重ねられたまたは積層された関係にボンディングされる。例えば、多層フランジは、第1のCTEを有する第1の金属材料(例えば、Cu)からなる複数の層と、第1のCTEよりも低い第2のCTEを有する異なる金属材料(例えば、MoまたはCu-Mo)からなる1つ以上の追加の層とを備えてよい。多層フランジの層は、例えば、はんだ、焼結材料、または同様のボンディング材料を利用して一緒にボンディングされてよい。多層フランジを所与のRFパッケージへと組み込むことによって、ダイと基板とのCTE不整合は、ダイと基板との界面における機械的応力要因を緩和するように低減され得る。これによって、今度は、RFパッケージの繰り返される熱サイクルにわたってダイと基板との界面における構造的劣化の可能性を最小限にし、全体的パッケージ信頼性を改善し得る。
【0013】
上記の利点を提供する一方で、多層フランジのRFパッケージへの一体化は、従来設計され製造されるように、特定のトレードオフを伴ったままである。多層フランジを所与のRFパッケージへと組み込むことによって、多層フランジ内に含有される高価な材料の累積体積、ならびに多層フランジ自身の製造中に生じるより大きな費用に起因して、製造コストが増加し得る。従来の多層フランジはまた、高温処理中に、反りによるフランジ平坦度の変動などの寸法特性の変動の影響を所望されないように受けやすい場合がある。複数のRFパワーダイおよび場合によっては他の発熱マイクロエレクトロニクスコンポーネントを支持するとき、所与の多層フランジは、典型的には、すべての支持されたマイクロエレクトロニクスコンポーネントから本質的に同等のレートにて均一な熱除去を提供する。当然の結果として、所与のRFパッケージ内の他のマイクロエレクトロニクスパッケージ(例えば、他のRFパワーダイ)からいくらか高い熱抵抗経路を提供しながら、選択されたRFパワーダイからより低い熱抵抗経路を提供するように従来の多層フランジを調整することは、典型的には非実用的であるかまたは実現不能である。最後に、より一般的な制限として、従来の多層フランジは、電気的にルーティングされた基板(例えば、PCB)を利用して作製されたRFパッケージおよびリードフレームベースの製造アプローチを利用して作製されたRFパッケージ(例えば、フラットノーリードまたはLGAパッケージ)を含む、多くの一般的な種類のRFパッケージへの一体化が不可能ではない場合でも、あまり適していないことが多い。少なくともこれらの理由のため、パッケージ化されたRFパワーダイからの効率的な熱抽出をサポートし、さらにダイと基板とのCTE不整合を最小限にしながら、広範囲のRFパッケージ種類への一体化に適した向上したRFパッケージ基板に対する継続的な産業上の需要が存在する。理想的には、そうしたパッケージ基板はまた、比較的高レベルの設計柔軟性、寸法特性(例えば、平坦度)の所望されない変化または変動の可能性の減少、および費用効果の高い製造処理への従順性などの他の利点を提供する。
【0014】
上記の産業上の要求を満たすために、本文書は、RFパワーダイがマウントされる特有の高熱性能基板を備えるマイクロエレクトロニクスRFパッケージを開示する。記述「高熱性能」によって示されるように、本開示の高熱性能(HTP)基板は、RFパワーダイと、ダイがマウントされるHTP基板の対応する領域(本明細書では、HTP基板の「ダイ取付領域」)との間のCTE不整合を減少させながら、パッケージ化されたRFパワーダイからの高効率熱除去をサポートする。HTP基板の実施形態は、拡散ボンディングにより、またははんだ、ろう付け、もしくは焼結材料などの熱伝導性ボンディング材料を利用して、1つまたは複数のCTE整合マウントパッドが接合される、金属ベース構造を備える。マウントパッドは、所与のマウントパッドに、金属ベース構造のCTEよりも小さく、熱伝導性(およびしばしば導電性)ボンディング材料を利用してマウントパッドに対し取り付けられる特定の1つまたは複数のRFパワーダイのCTEよりも大きいCTEが与えられるという意味において、「CTE整合」している。実際には、所与のCTE整合マウントパッドは、熱を発生するRFパワーダイが金属ベース構造に対し直接マウントされている場合にRFパッケージの熱サイクルに伴って生じ得る熱膨張の不一致からダイ取付界面を緩衝するための中間CTE構造またはブリッジとして機能する。結果として、RFパッケージの全体的な信頼性が向上する一方で、RFパッケージは、最適化された熱性能特性を維持して、RFパッケージ内に備えられるRFパワーダイによって発生した過剰な熱を効率的に散逸させる。これに加えて、RFパッケージが、金属ベース構造に対し電気的に結合された端子を有する1つまたは複数のPAダイを備えるPAパッケージの形態をとるときなど、HTP基板がRFパッケージの端子として機能する実施形態では、HTP基板は、PAダイから、CTE整合マウントパッドを通じて、金属ベース構造まで延びる低電気抵抗経路をさらに提供してよい。
【0015】
HTP基板へと組み込まれたCTE整合マウントパッドは、いま記載されたように、所望のCTE整合機能を提供する局所的な基盤構造として機能する。これは、反りによる基板平坦度の変動など、従来の多層フランジに対する寸法不規則性に対するHTP基板の感受性を低減し得るだけでなく、HTP基板は、例えば、所与のCTE整合マウントパッドの体積および/または組成の変動によって、RFパッケージ内の様々なRFパワーダイ(または他の基板支持コンポーネント)からの熱散逸を最適化する、高度に調整された熱チューニングを提供するように設計されてよい。例えば、所与のRFパッケージが1つ以上のピークPAダイおよびキャリアPAダイを備えるドハティPAパッケージの形態をとる実装では、キャリアPAダイ(例えば、発熱する傾向がより大きい)は、より大きい体積および/またはより高い熱伝導率を有するように作製された第1のCTE整合マウントパッドにマウントされてよく、一方、ピークPAダイは、第1のCTE整合マウントパッドよりも小さい体積および/または低い熱伝導率を有する第2のCTE整合マウントパッドにマウントされる。これに代えて、そうした実施形態では、キャリアPAダイは、CTE整合マウントパッドにマウントされてよく、一方、ピークPAダイは、金属ベース構造に直接マウントされる。さらに別の可能性として、キャリアPAダイおよびピークPAダイは、単一のより膨張性のあるCTE整合マウントパッドにマウントされてよく、またはこれに代えて、実質的に同一ではないとしても同様の体積および熱伝導率を有する別個のCTE整合マウントパッドにマウントされてよい。HTP基板の実施形態はまた、例えば、1つまたは複数のCTE整合マウントパッドが金属ベース構造と協働して、コイン状に誘電体基板(例えば、PCB)に埋め込まれるとともに所与のRFパワーダイから離れてRFパッケージの熱界面に向かうときに体積が増加する、低熱抵抗の逆T字形構造を形成するとき、増加した熱拡散機能を提供してよい。同時に、HTP基板の実施形態に備えられるより高価な材料の体積は、最小限にされ得(寸法的に同等の多層フランジに対して)、所与のRFパッケージへのHTP基板の組み込みに伴う全体的な材料コストが減少する。
【0016】
上述の構造的特徴によって、HTP基板の実施形態は、高レベルの設計柔軟性を提供し、広範囲のRFパッケージ種類への統合に適している。第1の例として、HTP基板の実施形態は、PCBなどの電気的にルーティングされた基板を利用して作製されるRFパッケージへの統合によく適している。その場合、金属ベース構造は、誘電体基板本体内に埋め込まれており1つまたは複数のCTE整合マウントパッドがボンディングされる1つ以上の金属ベースコインの形態をとってよく、またはそれを包含してよい。第2の例として、HTP基板の実施形態は、デュアルフラットノーリード(DFN)、クワッドフラットノーリード(QFN)、および他のフラットノーリードパッケージ、ならびにLGAパッケージおよび同様のパッケージ種類などのリードフレームベースの製造アプローチを利用して作製されたRFパッケージへと統合されてよい。この場合、金属ベース構造は、リードフレームの中心金属ブロック(やはり、本明細書ではリードフレームの「ダイアタッチパッド」)の形態をとってよい。さらなる例として、HTP基板の実施形態は、金属ベースフランジを利用して一般に作製される種類の、オーバーモールドRFパッケージとエアキャビティRFパッケージとの両方を含むRFパッケージへと統合されることが可能である。この場合、金属ベース構造は、モノリシックまたは層状構造を有する改変された金属ベースフランジの形態をとってよい。この後者の例では、1つまたは複数のCTE整合マウントパッドが、金属ベースフランジの上部(ダイに面する表面)に対しボンディングされてよく、特定の実施形態では、ベースフランジ本体内に少なくとも部分的に埋め込まれるかまたは凹設されて、最終的にRFパッケージへと組み込まれるHTP基板をもたらしてよい。
【0017】
HTP基板が組み込まれる特定のRFパッケージ種類にかかわらず、HTP基板の実施形態は、費用効果の高い製造処理に適している。例えば、CTE整合マウントパッドの実施形態は、所望の(例えば、グリッドまたはストリップ)空間レイアウトを有する最初に相互接続されたアレイの形式により提供されてよく、マウントパッドは、スパーまたはタイバーなどの狭められた中間構造によって相互接続されるか、または物理的に一緒に結ばれる。次いで、CTE整合マウントパッドアレイを処理して(例えば、金属ベース構造の対応するアレイにボンディングすることによって)、比較的多数のHTP基板を並行して作製してよく、場合によっては、CTE整合マウントパッドアレイの分離またはシンギュレーションの前に、RFパッケージ製造を開始するための追加の処理をさらに受ける。そうした大規模なアレイベースの製造アプローチの一例は、
図7~
図10と合わせて以下に記載される。これに加えて、またはこれに代えて、HTP基板の実施形態は、
図11および12と合わせて以下にさらに説明されるように、金属ベース構造とCTE整合マウントパッドとの間の界面における高い構造的インテグリティ、低熱抵抗焼結または拡散ボンディングの形成を促進する、ある特性を有してよい。これに先立って、様々なRFパワーダイが取り付けられる複数のCTE整合マウントパッドを備えるHTP基板を備える例示的なRFパッケージ(具体的には、ドハティPAパッケージ)が、
図1~
図6と合わせて説明される。特定の回路レイアウトまたは構造(すなわち、ドハティPA回路構造を備えるエアキャビティパッケージ)を有する特定のRFパッケージ種類と合わせて以下に記載されるが、HTP基板の実施形態は、熱散逸および場合によっては電気的相互接続の目的のために利用される下部の基板にマウントされた1つ以上のRFパワーダイを備える広範囲のRFパッケージ種類へと組み込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に従って示される、RFパワーダイと、RFパワーダイが取り付けられているCTE整合マウントパッドを有する高熱性能(HTP)基板とを備えるRFパッケージ(ここでは、エアキャビティPAパッケージ)の断面図。
【
図2】本開示の例示的な実施形態に従って示される、RFパワーダイと、RFパワーダイが取り付けられているCTE整合マウントパッドを有する高熱性能(HTP)基板とを備えるRFパッケージ(ここでは、エアキャビティPAパッケージ)の断面等角図。
【
図3】
図1および
図2に示される例示的エアキャビティPAパッケージに備えられるRFパワーダイおよびHTP基板の等角図。
【
図4】
図1および
図2に示される例示的エアキャビティPAパッケージに備えられるRFパワーダイおよびHTP基板の平面図(上面図)。
【
図5】
図1および
図2に示される例示的エアキャビティPAパッケージに備えられるRFパワーダイおよびHTP基板の分解図。
【
図6】本開示の実施形態において、
図1~
図5に示される例示的なエアキャビティPAパッケージに備えられるRFパワーダイを利用してその一部が実装され得る例示的なドハティPA回路構造の簡略化された概略図。
【
図7】大規模なアレイベースの製造アプローチを利用して、
図1~
図5に示すHTP基板を、いくつかの類似または同一のHTP基板とともに製造するための例示的な作製方法を工程ごとに順に示す図。
【
図8】大規模なアレイベースの製造アプローチを利用して、
図1~
図5に示すHTP基板を、いくつかの類似または同一のHTP基板とともに製造するための例示的な作製方法を工程ごとに順に示す図。
【
図9】大規模なアレイベースの製造アプローチを利用して、
図1~
図5に示すHTP基板を、いくつかの類似または同一のHTP基板とともに製造するための例示的な作製方法を工程ごとに順に示す図。
【
図10】大規模なアレイベースの製造アプローチを利用して、
図1~
図5に示すHTP基板を、いくつかの類似または同一のHTP基板とともに製造するための例示的な作製方法を工程ごとに順に示す図。
【
図11】金属ベース構造(ここでは、金属ベースフランジとして提供される)の上面と実質的に同一平面上にある上部ダイ支持面を有するCTE整合マウントパッドまたはインレイを備えるHTP基板の平面図(上面図)。
【
図12】金属ベース構造(ここでは、金属ベースフランジとして提供される)の上面と実質的に同一平面上にある上部ダイ支持面を有するCTE整合マウントパッドまたはインレイを備えるHTP基板の断面図。
【
図13】さらなる例示的な実施形態に従って示される、RFパワーダイと、誘電体本体、埋め込まれた金属コインの形態の金属ベース構造、およびベース構造に対しボンディングされたCTE整合マウントパッドを備えるHTP基板とを備える、PAパッケージの簡略化された断面図。
【
図14】本開示のさらなる例示的な実施形態に従って示される、RFパワーダイと、誘電体本体、リードフレームダイ取付パッドの形態の金属ベース構造、およびダイ取付パッドに対しボンディングされたCTE整合マウントパッドを備えるHTP基板とを備える、PAパッケージの簡略化された断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
HTP基板を備える例示的なRFパッケージの一般的な説明
図1および
図2は、それぞれ、例示的な実施形態に従って示される、HTP基板22を備える例示的なRFパッケージの断面図および断面等角図である。図示された例では、RFパッケージ20は、成形エアキャビティパッケージの形態をとる。しかしながら、RFパッケージ20は、代替の実装では、ガス含有キャビティがないオーバーモールドパッケージ(「プラスチックパッケージ」または「封入パッケージ」とも呼ばれる)、ウィンドウフレームアプローチを利用して構築されたエアキャビティパッケージ、またはノーリードパッケージもしくはガルウィングパッケージなどの異なるリード種類を含むRFパッケージなど、他の形態をとってよい。
図1および
図2において頂部から底部に進むと、RFパッケージ20は、蓋またはカバーピース24と、複数の外向きに突出するパッケージリード26と、下側成形パッケージ本体28とを備える。成形パッケージ本体28は、HTP基板22の周りに、具体的には、HTP基板22に備えられるフランジ状金属ベース構造30の周りに形成される。RFパッケージ20は、カバーピース24、成形パッケージ本体28、およびHTP基板22の金属ベース構造30によって主に境界を定められる、中心エアキャビティ32を備えるまたは封入する。業界標準によって「エアキャビティ」と呼ばれるが、エアキャビティ32は、空気、別の不活性ガス、またはガス混合物を含有してよく、周囲環境に対して部分的に排気または加圧されてもされなくてもよい。RFパッケージ20は、エアキャビティ32と周囲環境との間に漏出が生じたとしても比較的少ないように有用に製造されるが、エアキャビティ32の気密性は実施形態によって異なる。
【0020】
成形パッケージ本体28は、様々な異なる幾何形状および構造的特徴を有するように形成されることが可能である。図示された例では、具体的には、成形パッケージ本体28は、底縁部分または下部周縁スカート34を備えるように製造され、「下部」、「底部」という用語、および配向に関する同様の用語は、めっきされてもよくむき出しのままでもよい金属ベース構造30の底部主面または裏面36に対する近接に基づいて定義される。下部周縁スカート34は、RFパッケージ20の中心線38を中心として、HTP基板22の金属ベース構造30の外周に対しボンディングされ、金属ベース構造30の外周の周りに延びる。金属ベース構造30の底部主面または裏面36は、成形パッケージ本体28に設けられており下部周縁スカート34によって周縁部に境界が付定められた下部中央開口部を通じて露出する。このように金属ベース構造30の裏面36をRFパッケージ20の外部または下側から露出させることによって、例えば、HTP基板22がパッケージ20の(例えば、接地)端子として機能するときに有用であり得るように、金属ベース構造30に対する電気接続が行われてよい。別の利点として、ベース構造裏面36の露出領域は、以下に詳細に記載される通り、HTP基板22を通じる導体熱伝達によってRFパッケージ20からの熱除去を促進するように、RFパッケージ20の熱界面として機能する。前述の利点は、図示される通り、一般に、ベース構造裏面36の実質的な全体(表面積によって考慮される)ではないとしても、少なくとも大部分が、成形パッケージ本体28の周縁スカート34を通じて露出するときに最適化される。
【0021】
成形パッケージ本体28は、パッケージ中心線38に向かって内方に侵入するとともに金属ベース構造30の上面またはダイ対向面42の外周部分に沿って延在する、1つまたは複数の内方に延在するレッジ部分または「リード分離シェルフ40」をさらに備える。リード分離シェルフ40は、パッケージリード26の内側終端部分の下にあり、パッケージリード26は、RFパッケージ20のパッケージ内部へと延び、RFパッケージ20内に備えられるマイクロエレクトロニクスコンポーネント(例えば、以下に記載のRFパワーダイ46,48)との相互接続(例えば、ワイヤボンディング)用にエアキャビティ32内に露出する。リード分離シェルフ40は、実際には、介在誘電体層として機能し、パッケージまたはデバイス中心線38に沿ってRFパッケージ20を通じて垂直方向に見て、パッケージリード26のそれぞれの下面と金属ベース構造30(
図1)の前面または上面42との間に存在する。したがって、リード分離シェルフ40は、リードフランジ電気絶縁を提供する一方で、パッケージリード26とHTP基板22とを機械的に接合するのをさらに補助する。最後に、リード分離シェルフ40は、内部リード端部44の周縁面を取り囲んでよい一方で、後続の電気的相互接続用にパッケージ内部から内部リード端部44の上面を露出させたままにする。
【0022】
RFパッケージ20は、1つまたは複数のRFパワーダイを含む任意の数および種類のマイクロエレクトロニクスコンポーネントと、場合によっては、バイアス回路、高調波終端、インピーダンス整合ネットワークなどの他の回路を有する追加のICダイとを備えることが可能である。図示された例では、RFパッケージ20は、第1のRFパワーダイ46(
図1~
図5に示される)と、第2のRFパワー48(
図3~
図5に示される)とを備える。RFパワーダイ46,48は、焼結材料、はんだ材料、または導電性ダイ取付材料などの導電性ボンディング材料からなる1つまたは複数の本体または層54,56を利用して、HTP基板22に備えられるCTE整合マウントパッド50,52にマウントされる。第1のRFパワーダイ46をアドレス指定し、
図1に排他的に示されるように、RFパワーダイ46の前面に存在する複数のボンドパッド58は、例えば、複数のワイヤボンドアレイ62を利用して、パッケージリード26の露出した内部44と電気的に相互接続されることが可能である。代替の実装では、RFパワーダイ46のボンドパッド58を対応するパッケージ端子と電気的に相互接続するように、別の相互接続アプローチを用いてよい。第1のリード26(a)は、RFパッケージ20の第1の側から突出し、RFパワーダイ46の入力(例えば、ゲート)端子に対し電気的に結合された入力リードとして機能する。一方、第2のリード26(b)は、パッケージ20の第2の側、すなわち反対側から突出し、RFパワーダイ46の出力(例えば、ドレイン)端子に対し電気的に結合された出力リードとして機能する。特定の例では、HTP基板22は、自身がRFパッケージ20の接地端子として機能してよい。したがって、HTP基板22は、RFパワーダイ46のソース端子に対し電気的に結合されてよい。具体的には、HTP基板22は、RFパワーダイ46に形成される1つまたは複数のピークまたはキャリアトランジスタのソース領域に対し電気的に結合されてよい。実施形態では、RFパワーダイ46は、バックメタル層60(
図1)を介してHTP基板22に対し電気的に結合される。バックメタル層60は、RFパワーダイ46の裏面に形成されためっき金属層または多層システムであってよい。
【0023】
ここで
図1および
図2とともに
図3~
図5を参照すると、RFパッケージ20は、特定の実施形態におけるドハティPA回路構造への組込用に製造され、そうしたドハティPA回路の一例は、
図6とともに以下に記載される。そうした実施形態では、RFパワーダイ46は、パッケージリード26(a),(b)間に電気的に結合される、集積されたキャリアトランジスタ電力増幅器ICを載せたキャリアPAダイとして機能してよい。比較すると、RFパワーダイ48は、
図1および
図2に示されるリード26(a),26(b)と同様または実質的に同一である、図示されないパッケージリードの追加のセット間に電気的に結合されたピークトランジスタICを載せたピークPAダイとして機能してよい。したがって、上記したものと同様に、RFパワーダイ48は、RFパッケージ20の第2の入力リードに対し結合された入力(例えば、ゲート)端子と、RFパッケージ20の第2の出力リードに対し結合された出力(例えば、ドレイン)端子と、HTP基板22(この例では、RFパッケージ20の接地端子として機能する)に対し結合されたソース端子とを有してよい。パッケージ化されたRFパワーダイ46,48の入力側および/または出力側におけるインピーダンス整合などの他の機能を提供するように、様々な追加のコンポーネント(例えば、追加のダイおよび/または表面実装デバイス(SMD))がRFパッケージ20へと組み込まれてよい。RFパッケージ20の内部にRFパワーダイ46,48(および任意の他の回路素子)を設置し、RFパワーダイ46,48を対応するパッケージリードと相互接続した後、カバーピース24を成形パッケージ本体28の上に位置決めし、パッケージ本体28の上部周縁部64に対しボンディング、エアキャビティ32を密閉する。特に、カバーピース24の下部周縁は、カバーと本体との界面の周縁の周りに実質的に気密シールをもたらすように、ボンディング材料66のリングによって成形パッケージ本体28の上部周縁部64に対しボンディングされてよい。また、さらなる実装では、RFパッケージ20は、エアキャビティおよびカバーピースがない完全封入パッケージの形態など、他の形態をとってよい。
【0024】
HTP基板22は、任意の実用的な数のCTE整合マウントパッドを備えるように作製されることが可能である。
図1の例では、CTE整合マウントパッドは、金属ベース構造30の上面42から上方に突出して、隆起したペデスタル状の支持フィーチャを形成する。実施形態では、HTP基板22は、1つまたは複数のRFパワーダイ(例えば、RFパワーダイ46,48)、および場合によっては他の発熱マイクロエレクトロニクスコンポーネントが、適切な熱伝導性ボンディング材料を利用して取り付けられる、単一のCTE整合実装パッドを備えるように作成されてよい。他の例では、HTP基板22は、3つ以上のマウントパッドを備えてよい。3つ以上のマウントパッドは各々、異なる半導体ダイ、例えば、単段または多段増幅器セクションに含まれるRFパワーダイ、インピーダンス整合ネットワークを載せたダイ、バイアス回路を載せたダイ、またはRFパッケージ20へと有用に組み込まれる別の種類の集積回路を載せたダイを支持する。図示された例では、
図3~
図5に最も明確に示されているように、HTP基板22は、金属ベース構造30のダイ対向上面42に対しボンディングされた2つのCTE整合マウントパッド50,52を備える。特定の例では、CTE整合マウントパッド50,52は、
図5に示されるように、熱伝導性ボンディング材料70,71の1つまたは複数の層を利用して金属ベース構造30にボンディングされてよい。この場合、熱伝導性ボンディング材料70,71は、はんだ材料、焼結材料、ろう付け材料、または比較的高い熱伝導率を有する他のボンディング材料からなってよい。他の実施形態では、CTE整合マウントパッド50,52は、金属ベース構造30に拡散ボンディングされる。その場合、導電性ボンディング材料層70,71は、HTP基板22から省略されてよい。CTE整合マウントパッド50,52は各々、金属ベース構造30のダイ取付領域、すなわち、ベース構造30の前面または上面42に直交して(中心線38に平行に)延びる軸に沿って見たときに、RFパワーダイ46,48の直下にあるベース構造30の領域を覆うように形成され位置決めされる。図示される例では、具体的には、CTE整合マウントパッド50,52は、HTP基板22の中心線に対して垂直に延びる軸、例えば、座標凡例68(
図1および
図4)のX軸に対応するRFパッケージ20の長さ方向に沿って間隔を空けて配置される。しかしながら、さらなる実施形態では、CTE整合マウントパッド50,52の特定の寸法、形状、および空間的配向は、特定のRFパッケージ設計または回路レイアウトに最も適するように変更されてよい。
【0025】
引き続き
図1~
図5を参照すると、CTE整合マウントパッド50,52はそれぞれ、1つまたは複数の熱伝導性材料からなる。本明細書において現れる際、「熱伝導性」という用語は、摂氏25℃で10を超える熱伝導率(ワット/メートルケルビン)を有する材料として定義される。CTE整合マウントパッド50,52はまた、支持されたRFパワーダイのそれぞれのCTEよりも大きく、金属ベース構造30のCTEよりも小さいCTEを有するように製造される。したがって、図示されている例では、CTE整合マウントパッド50は、RFパワーダイ46のCTEを超え、金属ベース構造30のCTEよりも小さいCTEを有するように製造または選択される。同様に、CTE整合マウントパッド52には、RFパワーダイ48のCTEを超えるが金属ベース構造30のCTEよりも小さいCTEが与えられる。多くの場合、マウントパッドのCTEは、RFパワーダイ46,48のそれぞれのCTEよりもベース構造30のCTEに近い。このように、RFパワーダイ46,48のCTEは、例えば、ダイ46,48を製造するために利用されるダイ技術、例えば、RFパワーダイ46,48がバルクシリコン、層状GaN基板(例えば、窒化ガリウム/炭化ケイ素(GaN/SiC)基板)、または別の半導体含有材料を利用して作製されるかどうかに応じて、実施形態間で変化する。さらに、例えば、ダイ46,48を製造するために異なるダイ技術が利用される場合、RFパワーダイ46,48は異なるCTEを有してよい。一般に、RFパワーダイ46,48は、各々6.5よりも小さいCTEを有することが多く、多くの場合、それぞれ約3~約5の範囲のCTEを有してよい。比較すると、実施形態では、金属ベース構造30のCTEは、ベース構造30が作製される1つまたは複数の材料に応じて、ダイのCTEを2倍以上上回ってよい。例えば、金属ベース構造30が重量で支配的にCuからなる実施形態では、金属ベース構造30は、約16~約17の範囲のCTEを有してよく、一方、ダイのCTEは、6.5よりも小さい、場合によっては5よりも小さくてよい。他の例では、金属ベース構造30は、複数の材料層(1つまたは複数のMo含有層を含む)から作製されてよく、以下でさらに説明するように、前述の範囲よりも小さい累積CTEを有してよい。
【0026】
マウントパッドのCTEをさらに説明すると、多くの場合、CTE整合マウントパッド50,52は、類似または同一の組成を有し、したがって、実質的に同等のCTEを共有する。他の実装では、CTE整合マウントパッド50,52は、マウントパッドによって支持される1つまたは複数のマイクロエレクトロニクスコンポーネントの特性(例えば、支持されるRFパワーダイのCTE、または大量の過剰な熱を発生するRFパワーダイの傾向)に合わせて調整された異なるCTEをマウントパッド50,52に与えるように選択された異なる構成または様々な組成を有してよい。CTE整合マウントパッド50,52は各々、目標CTEと、比較的高い熱伝導率および電気伝導率などの他の望ましい特性とを有する単一の(例えば、均質または複合)材料からなるモノリシック構造であってよい。この場合、CTE整合マウントパッド50,52は、所望の範囲内にあるCTEを有し、比較的高い熱伝導率を有し、多くの場合さらに比較的高い導電率を有する、複合材料または金属材料(例えば、MoまたはMo-Cu合金)から各々なるモノリシックまたは単体ブロック状構造であってよい。これに代えて、
図1~
図5に示されるように、CTE整合マウントパッド50は、任意の実用的な数のマウントパッド層72,74,76,78(
図2において特定される)を備えることが可能である層状構造または積層構造として製造されてよい。例えば、この後者の場合、層72,74,76,78は各々金属材料からなってよく、そのように構成される場合、本明細書では「金属層」と呼ばれ得る。所与の金属層は、数例を挙げると、本質的にCu、Mo、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、またはニッケル(Ni)などの本質的に純粋な金属(すなわち、重量で99.9%を超える純度を有する金属)から全体が構成されてよい。他の例では、特定の「金属層」は、その主成分として1つまたは複数の金属(例えば、Cuおよび/またはMo)を、場合によってはより少量の他の金属または非金属成分に加えて含有する合金または複合材料からなってよい。実施形態では、CTE整合マウントパッド50,52は各々、金属ベース構造30の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有してよく、マウントパッド50,52を製造する際に実現される許容可能なトレードオフは、減少したCTEを有する一方で、ベース構造30または従来の金属ベースフランジと比較してわずかから適度に減少した熱(および場合によっては電気)伝導率も有する。
【0027】
様々な実装では、HTP基板22に備えられる1つまたは複数のCTE整合マウントパッド(例えば、マウントパッド50,52)は、3~5つのマウントパッド層を備えることができるが、所与のCTEマウントパッドは、わずか2つの層または5つを超える層を有してよい。図示されている例では、具体的には、CTE整合マウントパッド50,52は各々、4つのマウントパッド層72,74,76,78を備える。これらのマウントパッド層は、積み重ねられた関係または積層関係によりボンディングされる。この場合、上部マウントパッド層72は、下部にあるマウントパッド層74,76,78のうちの1つ以上よりも大きい熱伝導率およびCTEを有する材料からなってよい。例えば、特定の実施形態では、上部マウントパッド層72は、本質的に純粋なCu、またはこれに代えて、マウントパッド層74,76,78のうちの1つ以上のCu含有量よりも高いCu含有量を有するCuベースの合金または複合材料からなってよい。1つの実施形態では、上部マウントパッド層72および中間マウントパッド層76は各々、第1のCu含有量を有するCuベースの合金または複合材料からなる一方で、中間マウントパッド層74および下部マウントパッド層78は、Cuがないか、またはより少ない重量のCuを含む異種の合金または複合材料からなる。さらに、マウントパッド層74,78は、本質的に純粋なMo(約5以上のCTEを有する)、またはマウントパッド層72,76のCu含有量よりも少ないCu含有量を有するCu-Mo複合材料もしくは合金などのMoベースの材料からなってよい。したがって、マウントパッド層74,78の熱伝導率は、マウントパッド層72,76の熱伝導率よりもわずかに小さくてよい(依然として客観的に高いが)一方で、金属層74,78のそれぞれのCTEは、マウントパッド50,52の実効累積CTEを減少させるように、マウントパッド層72,76のCTEよりも小さい。
【0028】
金属材料からなる場合、実装パッド層72,74,76,78の主面は、めっきされてよく、コーティングされてよく、またはむき出しのままであってよい。代替の実施形態では、CTE整合マウントパッド50,52は、多層組成を有してよく、または異なる材料領域からなってよく、1つまたは複数の層(または領域)は、ダイヤモンドポリカーボネート材料、複合材料(例えば、ダイヤモンドAu、ダイヤモンドAg、およびダイヤモンドCuなどのダイヤモンド-金属複合材料)、熱分解グラファイト、ならびにグラフェンおよびカーボンナノチューブ充填材料などの炭素の同素体を含有する材料など、本質的に純粋な銅の熱伝導率(例えば、386ワット毎メートルケルビン(W/m・K))を超える熱伝導率を有する材料からなる。これに代えて、また上述した通り、CTE整合マウントパッド50,52は、さらなる実装ではモノリシックまたは非層状の組成を有してよく、各々、比較的高い熱伝導率を有し、RFパワーダイ46,48が金属ベース構造30に電気的に結合されるとき、比較的高い導電率を有する、金属材料または本明細書を通じて言及される他の材料のいずれかからなってよい。さらに、複合材料ブロックとして製造される場合、CTE整合マウントパッド50,52の選択された表面は、以下に記載のマウントパッドベース構造界面またはボンドラインに沿って高インテグリティの冶金ボンドを提供するように、(例えば、Ag含有めっき層または多層システムにより)コーティングまたはめっきされてよい。
【0029】
マウントパッド層72,74,76,78が積み重ねられた関係または垂直に重なる関係によりボンディングされる特定の手法は、実施形態間で異なり得る。特定の場合には、マウントパッド層72,74,76,78は、接合層70と合わせて以下に記載される種類のはんだ、ろう付け、または焼結材料などの熱伝導性ボンディング材料を利用してボンディングしてよい。他の例では、マウントパッド層72,74,76,78は、拡散ボンディングによって接合される。そうした例では、マウントパッド層72,74,76,78は、最初に比較的大きい材料のシートとして提供されてよい。それらのシートは積層構造としてボンディングされ、続けて、材料除去または形成処理(例えば、レーザ切断、鋸引き、スタンピングなど)を受けて、積層シートを所望の寸法およびトポロジを有する複数のマウントパッドへと分離する。異なる組成が与えられるとき、CTE整合マウントパッド50,52は、このようにして異なるシートまたはパネルから劈開されるか、または作製されてよい。対照的に、同一の組成または構造を有するように作製されるとき、CTE整合マウントパッド50,52は、積層金属層の共通シートから切断または劈開されてよい一方で、パネルは、グリッドまたはストリップレイアウトなどの所望の空間レイアウトまたはアレイに配置されたボンドパッドの比較的大きなアレイとして、CTE整合マウントパッド50,52を物理的に相互接続する材料のより小さな接続セグメント(例えば、以下に記載のタイバー)を残すようにトリミングされる。
【0030】
上記の製造アプローチは、大規模製造処理において、多数のCTE整合マウントパッドを対応する数のベース構造(相互接続されたアレイとしても潜在的に提供される)に位置決めしてボンディングすることを可能にすることによって、製造を合理化することができる。この場合、そうした接続セグメントまたはタイバーは、HTP基板22へと一体化され、横方向に、すなわち座標凡例68のX-Y平面において、マウントパッド50,52から外向きに延びてよい。例えば、
図3~
図5に示されるように、中間タイバー88は、隣接するマウントパッド50,52を物理的に相互接続するように、CTE整合マウントパッド50,52間に延びてよい。一方、周縁タイバー90は、
図7および
図9と合わせて以下に説明されるように、最初にCTE整合マウントパッド50,52をより大きいマウントパッドアレイと相互接続するように、マウントパッド50,52から側方外側方向にさらに延びる。これに加えて、周縁タイバー92(
図3および
図5)は、同様に金属ベース構造30から延びて、ベース構造30を、HTP基板およびRFパッケージ作製中に処理される金属ベース構造のより大きなアレイと最初に相互接続してよい。タイバー90,92が設けられる場合、タイバー90,92は、
図7~
図10と合わせて以下にさらに説明されるように、例えば、より大きなシートまたはブロックの材料からタイバー90,92およびマウントパッド50,52を切断、スタンピング、または形成することによって、CTE整合マウントパッド50,52と一体に形成されてよい。
【0031】
少なくともいくつかの実装では、CTE整合マウントパッド50,52は、金属ベース構造30へと少なくとも部分的に埋め込まれるか、または金属ベース構造30内に嵌め込まれてよい。例えば、
図5に最も明確に示されるように、金属ベース構造30は、マウントパッド50,52が収容される開放凹部またはソケット状キャビティ80,82を備える製造されてよい。キャビティ深さおよび幾何学的な複雑さに応じて、開放キャビティ80,82は、スタンピングなどの形状決定または形成技術を利用して、部分的にまたはその間に形成されてよい。これに加えてまたはこれに代えて、開口キャビティ80,82は、金属ベース構造30の上面42へと開口キャビティ80,82を切削するコンピュータ数値制御(CNC)機械加工または放電加工(EDM)ツールなどの材料除去処理を利用して形成されてよい。開放キャビティ80,82には、CTE整合マウントパッド50,52の平面形状に実質的に一致する平面形状と、マウントパッド50,52の平面寸法(例えば、長さおよび幅)と実質的に等しいがわずかに大きい平面寸法とが与えられてよいが、特定の実施形態では、追加のボンディング材料またはボンディング材料のオーバーフローを収容するように、開放キャビティ80,82の側壁とCTE整合マウントパッド50,52の側壁との間に周縁間隙が提供されてよい。
【0032】
図1~
図5に示されるように、開放キャビティ80,82のそれぞれの深さは、パッケージの厚さ方向に(座標凡例68のZ軸に沿って)測定される際、マウントパッド50,52の厚さよりも小さくてよい。その結果、マウントパッド50,52は、金属ベース構造30の上面または前面42から上方に突出して、RFパワーダイ46,48がマウントされるまたは取り付けられる隆起したペデスタル状のフィーチャを形成してよい。他の例では、開放キャビティ80,82のそれぞれの深さは、上部マウントパッド面が、ベース構造30の上面42と実質的に同一平面上にある(またはわずかに下に凹設される)ように、マウントパッド50,52の厚さと実質的に等しくてよい(または場合によってはそれよりも大きくてよい)。さらに、マウントパッド50,52がベース構造30へと嵌め込まれ、タイバー88,90によって相互接続される実施形態では、複数の細長い凹部、トレンチ、または開放チャネル84,86をベース構造30にさらに形成してよい。
図5に最もよく示されるように、チャネル86は、開放キャビティ80,82間に延び、マウントパッド構造(CTE整合マウントパッド50,52およびタイバー88,90)が金属ベース構造30に対して位置決めされるときに、中間タイバー88を収容するかまたは配置してよい。比較すると、周縁タイバー90は、ベース構造30の前面42に形成された周縁チャネル84内に部分的にまたは全体的に収容されてよい。タイバー90は、ベース構造タイバー92の上方に延び、ベース構造タイバー92と実質的に平行である。タイバー90,92は、成形パッケージ本体28の反対の側壁94,96までさらに延びてよく、これらの側壁94,96は、
図7~
図10と合わせて以下に説明されるように、パッケージオーバーモールドおよびシンギュレーションの後に形成される。
【0033】
CTE整合マウントパッド50,52は、マウントパッドとベース構造との界面を横切る熱の低熱抵抗伝導を可能にする任意の手法により、金属ベース構造30にボンディングまたは接合されることが可能である。この点に関して、実施形態では、CTE整合マウントパッド50,52を拡散によって金属ベース構造30に対し接合してよい。そうした場合、CTE整合マウントパッド50,52および金属ベース構造30に、800℃に近いまたはそれを超える温度などの高温下で、マウントパッドとベース構造との界面に所望の拡散ボンディングを形成するのに十分な時間、収束圧力をかけてよい。他の例では、
図5に示されるように、熱伝導性ボンディング材料70,71を、CTE整合マウントパッド50,52と金属ベース構造30との間の界面に付与して、ボンディング接合、界面マウントパッドとベース構造との界面を生成してよい。適切なボンディング材料70,71の例には、はんだ、熱伝導性ダイ取付材料、ろう付け材料、および焼結材料が含まれる。焼結材料に関して、特に、そうした焼結ボンディング層は、1つまたは複数の焼結金属から重量で主になってよく、そうした焼結金属は、Ag、Cu、およびAuの任意の組み合わせを潜在的に含む。多くの場合、焼結ボンディング層は、Agを重量で支配的な成分として含有しない場合、微量でない量のAgを含有してよい。例えば、少なくともいくつかの実装では、焼結ボンディング層は、有機材料を含まず、本質的に焼結Agからなる(すなわち、重量で99%以上の焼結Agを含有する)ように配合されてよい。他の実施形態では、焼結ボンディング層は、
図7および
図8と合わせて以下にさらに記載されるように、焼結Agと、ダイボンド層の適応性を向上させるように添加されるエポキシなどの1つまたは複数の有機材料とから本質的になってよい。さらに別の実施形態では、HTP基板22を作製する際に、上記のボンディング種類の組合せ、および/または、場合によっては、ベース構造30に対するマウントパッド50,52の機械的捕捉(例えば、焼きばめ技法を利用する)を利用してよい。
【0034】
CTE整合マウントパッド50,52の平面形状、寸法、および空間的配置は、HTP基板22、より広くはRFパッケージ20の実施形態間で異なる。このように、CTE整合マウントパッド50,52は、一般に、マウントパッド50,52の上面(金属ベース構造30から離れる方向を向く)が、金属ベース構造30の上面42の表面積よりも小さく、マウントパッド50,52にそれぞれ取り付けられたときにRFパワーダイ46,48によって覆われるダイマウント領域98,100(
図1~
図5で識別される)の表面積よりも大きい累積表面積を有するように形状決定および寸法決定される。言い換えれば、CTE整合マウントパッド50,52は各々、RFパワーダイ46,48のそれぞれのフットプリントの長さおよび幅よりも大きい平面寸法(例えば、長さおよび幅)を有するように寸法決定される。実施形態では、金属ベース構造30の最大厚さ(
図1において矢印102によって識別される)は、座標凡例68のY軸に対応するパッケージの厚さ方向において測定される際、各CTE整合マウントパッド50,52の最大厚さ(
図2の矢印104によって識別される)を超えてよいが、他の例ではそうでなくてよい。実施形態では、金属ベース構造30は、パッケージの厚さ方向(座標凡例68のZ軸に対応する)において測定される際、約10~約65ミル(約0.254mm~約1.65mm)、場合によっては約15~約30ミル(約0.381mm~約0.762mm)の範囲の最大厚さをさらに有してよい。比較すると、CTE整合マウントパッド50,52は各々、約2ミル~約60ミル(約0.0508mm~約1.524mm)の範囲の最大厚さまたは平均厚さを有してよく、実施形態では、場合によっては、約20ミル~約25ミル(約0.508mm~約0.635mm)の範囲の最大厚さまたは平均厚さを有してよい。例えば、CTE整合マウントパッド50,52が、1つ以上のMo層が散在する(すなわち、交互に積み重ねられたまたは層状の関係により配置された)2つ以上のCu層を各々備える製造される1つの実装では、マウントパッドの厚さは、約2ミル~約60ミル(約0.0508mm~約1.524mm)の範囲であってよい。他の実装では、金属ベース構造30およびCTE整合マウントパッド50,52のそれぞれの厚さは、前述の範囲より大きいかまたは小さくてよい。
図1~
図5に示されるように、多層構造を有するとき、CTE整合マウントパッド50,52に備えられる層72,74,76,78(
図2)のそれぞれの厚さは、実質的に同等または均一であることが多いが、CTE整合マウントパッド50,52の層間厚さは、さらなる実装では、例えば、マウントパッド50,52の特性を最適化するように、またはマウントパッド50,52の材料費を削減するように変化させることが可能である。
【0035】
金属ベースフランジ30の平面寸法(長さおよび幅)と比較して減少した平面寸法を有するようにCTE整合マウントパッド50,52を形成することによって、HTP基板22とRFパワーダイ46,48との間のダイと基板との界面におけるCTE不整合の所望の低減をもたらしながら、HTP基板22内の費用がより高い材料の体積を最小化することが可能である。同時に、金属ベースフランジ30は、パッケージの高さ方向(やはり、座標凡例68のZ軸に対応する)において測定された際に、マウントパッド50,52によって覆われていないベースフランジ30の周縁領域における金属ベースフランジ30のより大きな厚さに起因して、比較的高い剛性を保持し得る。その結果、金属ベースフランジ30は、実質的に同等の寸法の多層フランジと比較して、高温処理中の反りに起因する平坦さの変動などの所望されない寸法変化に対して耐性を有し得る。さらなる利点として、HTP基板22は、例えば、特定のパッケージレイアウトに最も適するように、または異なるRFパワーダイおよび場合によっては他のパッケージ化されたマイクロエレクトロニクスコンポーネントの固有の冷却ニーズに合わせた熱散逸性能を提供するように、CTE整合マウントパッド50,52のそれぞれの位置決め、構造、および大きさの変動を可能にすることによって、比較的高いレベルの設計柔軟性を製造者に与える。結果として、実施形態では、HTP基板22は、以下でさらに説明されるように、RFパッケージ20内の1つまたは複数の対象RFパワーダイからの増加した熱散逸、またはそれと整合する増加したCTEを提供するように容易に設計または構造的に適合され得る。
【0036】
CTE整合マウントパッド50,52の寸法合わせを通じて、マウントパッド50,52は、様々な大きさのRFパワーダイおよび他のマイクロエレクトロニクスコンポーネントを支持するように、および/または各々が任意の実用的な数のマイクロエレクトロニクスコンポーネントを支持するように、形状決定および寸法決定されることが可能である。同様に、それぞれのマウントパッド体積を微調整するためのそうした寸法合わせを通じて、CTE整合マウントパッド50,52が、支持されたデバイス(例えば、RFパワーダイ46,48)から過剰な熱を伝達するレートが変化することが可能である。したがって、特定のマイクロエレクトロニクスデバイス(例えば、特定のRFパワーダイ種類)へのより大きいまたはより小さい程度の熱除去または熱拡散を提供して、その機能を最適化するように最適化されることが可能である。非限定的な例として、RFパワーダイ46,48が、ドハティPA回路構造へと組み込まれたキャリアおよびピークPAダイの形態をとる実施形態を考える。この場合、RFパワーダイ46(ここでは、キャリアトランジスタICを載せたキャリアPAダイの形態をとる)は、RFパワーダイ48(ここでは、ピークトランジスタICを載せたピークPAダイの形態をとる)と比較して、パッケージ動作中により多量の過剰な熱を生成する傾向を有し得、RFパワーダイ48は、より長期間にわたって非導通OFF状態のままであり得る。したがって、CTE整合マウントパッド50(RFパワーダイ46を支持する)は、例えば、マウントパッド52の平面寸法(例えば、幅および/または長さ)よりも大きい平面寸法をマウントパッド50に与えることによって、CTE整合マウントパッド52の体積を超える体積を有するよう寸法決定にされてよい。例えば、
図4に最もよく見られるように、CTE整合マウントパッド50には、マウントパッド52の長さおよび幅を超える長さ(座標凡例68のX軸に沿って測定される)および幅(座標凡例68のY軸に沿って測定される)の両方が与えられてよい。RFパッケージ20が組み込まれ得るドハティ回路構造の追加の記載が、これより
図6とあわせて提供される。
【0037】
図6は、本開示の実施形態において、
図1~
図5に示される例示的なRFパッケージ20に備えられるRFパワーダイを利用して部分的に実装され得るドハティPA回路106の簡略化された概略図である。特に、ドハティPA回路106のトランジスタ増幅器セクション108,110は、RFパッケージ20内に備えられるRFパワーダイ46,48を利用して提供されてよく、残りの回路構造は、RFパッケージ20および他のパッケージまたはデバイスがマウントされるマザーボードまたは他のシステムレベルPCBを利用して製造される。さらなる実施形態では、RFパッケージ20は、以下に記載の電力分割器、インピーダンス整合ネットワーク、位相遅延素子、結合器ノード、およびPA回路設計において一般に用いられる種類の他の回路素子の任意の組合せを備える、より大きな割合のドハティPA回路106を包含または含有するように製造されることが可能である。以下に記載の入力側および出力側インピーダンス整合ネットワークに関して、特に、このような整合ネットワークは、任意の数のICダイ上に実装されることが可能であり、これらのICダイは、RFパッケージ20へと組み込まれてよく、
図1~
図5と合わせて上記されたCTE整合マウントパッド50,52に類似したCTE整合マウントパッドに各々マウントされてよく、複数のダイを単一のCTE整合マウントパッド50,52に、ダイを支持する1つまたは複数のマウントパッドに対する適切な寸法変化を伴ってマウントされてよく、またはインピーダンス整合ネットワークまたはバイアス回路を載せたICダイなどの特定のICダイを、各個々のダイの熱散逸の必要性に応じて金属ベース構造30に対し直接マウントされてよい。
【0038】
図6の例では、ドハティPA回路106は、入力ノード109と、出力ノード111と、ノード109,111間に電気的に結合された電力分割器112(またはスプリッタ)とを備える。ドハティPA回路106はまた、主またはキャリア増幅器信号経路(矢印114によって表される)と、補助またはピーク信号増幅経路(矢印116によって表される)と、信号増幅経路114,116が収束する結合ノード118とを備える。負荷120は、ドハティPA回路106から増幅されたRF信号を受信するように、(例えば、図示されていないインピーダンス変換器を通じて)結合ノード118に対し電気的に結合される。電力分割器112は、入力ノード109において受信された入力RF信号の電力を、以下で「キャリア入力信号」および「ピーク入力信号」と呼ばれるキャリア部分およびピーク部分へと分割するように構成される。キャリア入力信号は、電力分割器出力122を介してキャリア増幅経路114に提供され、一方、ピーク入力信号は、電力分割器出力124を介してピーク増幅経路116に提供される。キャリア増幅器セクション108およびピーク増幅器セクション110が負荷120に電流を同時に供給する全電力モードにて動作するとき、電力分割器112は、信号増幅経路114と116間において入力信号電力を分配する。回路106に対称ドハティPA構成が与えられるとき、電力分割器112は、入力信号電力の約半分が各信号増幅経路114,116に提供されるように、ほぼ均等に電力を配分してよい。回路106に非対称ドハティPA構成が与えられるときなどの他の例では、電力分割器112は、信号増幅経路114,116間で不均等に電力を配分し得る。次いで、本質的に、電力分割器112は、入力ノード109にて供給される入力RF信号を分割し、分割された信号部分は、キャリア(主)増幅経路114およびピーク(補助)増幅経路116に沿って別々に増幅される。
【0039】
キャリア増幅器セクション108およびピーク増幅器セクション110は各々、増幅器セクション108,110を通じて伝導するRF信号を増幅するための1つ以上のパワートランジスタICを備える。各パワートランジスタICは、半導体ダイ(例えば、
図1~
図5に示されるRFパワーダイ46,48)上に作製され、単段または多段構成を与えられてよい。実施形態では、キャリア増幅器セクション108およびピーク増幅器セクション110の一方または両方のすべての増幅器段(または最終増幅器段)は、シリコンベースのFET(例えば、横方向拡散金属酸化物半導体FETまたはLDMOS FET)またはIII-V FET(例えば、GaN FET、ガリウムヒ素(GaAs)FET、ガリウムリン(GaP)FET、リン化インジウム(InP)FET、もしくはアンチモン化インジウム(InSb)FET、または別の種類のIII-Vトランジスタ)のうちのいずれかを利用して実装されてよい。キャリアおよびピークトランジスタICは、例えば、回路106が対称ドハティ構成を有するとき、均等な大きさであってよい。これに代えて、キャリアおよびピークトランジスタICは、異なる非対称的なドハティ構成の場合には、不均等な大きさを有してよい。用語「大きさ」は、この文脈において現れる際、パワートランジスタICの能動的な周縁または能動ゲート全幅を参照して利用される。非対称的なドハティ構成では、具体的には、キャリアトランジスタICは、ピークトランジスタICよりも何倍か大きくてよい。例えば、キャリアトランジスタICは、キャリアトランジスタICがピークトランジスタICの電流搬送能力の約2倍を有するように、ピークトランジスタICの大きさの2倍であってよい。同様に、2:1以外のキャリア-ピーク増幅器IC大きさ比が実装されてよい。特に、RFパワーダイ46,48のそれぞれの大きさが互いに対して異なるとき、CTE整合マウントパッド50,52のそれぞれの大きさ(例えば、平面寸法)もまた、そのように所望される場合、ダイの大きさの不一致または差異をより良く収容するように設計によって異なってよい。
【0040】
前述の段落は、主として、FETベースの増幅器セクションを利用して実装されるドハティPA回路106の例示的な実装に焦点を当てているが、代替の実施形態は、限定されないが、バイポーラトランジスタを含む他のトランジスタ技術を利用して実装されることが可能である。したがって、ドハティPA回路106の実施形態では、FET、バイポーラトランジスタ、およびそれらの組合せを含む任意の適切なトランジスタ技術を利用して、任意のまたすべての増幅器段を実装することが可能である。用いられる特定のトランジスタ技術にかかわらず、ドハティPA回路106のキャリア増幅器セクション108は、一般に、クラスABモードにて機能するようにバイアスをかけられ、一方、ピーク増幅器セクション110は、クラスCモードにて機能するようにバイアスをかけられる。低電力レベルでは(例えば、ノード109における入力信号の電力が増幅器セクション110の作動閾値レベルよりも小さいとき)、ドハティPA回路106は、低電力モードまたはバックオフモードにて動作する。低電力モードにおいて、キャリア増幅器セクション108は、典型的には、負荷120に電流を供給する唯一の増幅器である。しかしながら、入力信号の電力がピーク増幅器セクション110の閾値レベルを超えるとき、ドハティPA回路106は、キャリア増幅器セクション108およびピーク増幅器セクション110が負荷120に電流を同時に供給する高電力モードにおける動作に遷移する。この点において、ピーク増幅器セクション110は、結合ノード118において能動負荷変調を提供し、キャリア増幅器108の電流の連続した実質的に線形の増加を可能にする。
【0041】
ドハティPA回路106の実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク130,132(入力MNm、出力MNm)が、キャリア増幅器セクション108の入力および出力において実装されてよい。同様に、インピーダンス整合ネットワーク134,136(入力MnP、出力MnP)が、ピーク増幅器セクション110の入力および出力において実装されてよい。各場合において、整合ネットワーク130,132,134,136は、負荷インピーダンスおよびソースインピーダンスに向かって回路インピーダンスを次第に増加させるように機能してよい。いくつかの実装では、インピーダンス整合ネットワーク130,132,134,136は、RFパッケージ20の内側に部分的にまたは全体的に実装されてよい。そうした実施形態では、インピーダンス整合ネットワーク130,132,134,136は、HTP基板22の代替の実施形態に備えられる追加のCTE整合マウントパッドに対しボンディングされ得るか、より少数の比較的大きいCTE整合マウントパッドに対しボンディングされ得るか、または場合によっては、RFパワーダイ46,48および増幅器セクション108,110に対して比較的適度な熱散逸の必要性を有するとき、金属ベース構造30の上面42に対し直接ボンディングされ得る、複数のICダイ上に実装されてよい。他の例では、インピーダンス整合ネットワーク130,132,134,136は、RFパッケージ20がマウントされるPCB上など、RFパッケージ20の外側に全体的または部分的にマウントされてよい。
【0042】
図6の例では、ドハティPA回路106は、標準負荷ネットワーク構成を有する。したがって、入力側回路部は、例えばドハティPA回路106の動作中心周波数において、キャリア増幅セクション108に供給される入力信号に対して、ピーク増幅セクション110に供給される入力信号が90度遅延するように構成される。キャリアおよびピーク入力RF信号が約90度の位相シフトで増幅器セクション108,110に到達することを確実にするように、位相遅延素子138をドハティPA回路106へと組み込んで、ピーク入力信号に約90度の位相遅延を提供してよい。例えば、位相遅延素子138は、約90度の電気長を有する4分の1波長伝送線路または別の適切な種類の遅延素子を含んでよい。増幅器セクション108,110の入力におけるキャリア増幅経路114とピーク増幅経路116との間の生じた90度の位相遅延差を補償し、それによって、増幅信号が結合ノード118において同相にて到達することを確実にするように、出力側回路部分は、キャリア増幅器108の出力と結合ノード118との間の信号に約90度の位相遅延を付与するように構成される。これは、ドハティPA回路106自身に備えられても備えられなくてもよい追加の遅延素子140の提供によって達成されてよい。
【0043】
ドハティPA回路106は、図示されている実施形態では標準負荷ネットワーク構成を有するが、代替の実装では、他の負荷ネットワーク構成が可能である。例えば、代替の実装では、ドハティPA回路106は、代替(または「反転」)負荷ネットワーク構成を代わりに有してよい。この場合、入力側回路部分は、キャリア増幅器セクション108に供給される入力信号が、ドハティPA回路106の動作の中心周波数において、ピーク増幅器セクション110に供給される入力信号に対して約90度遅延するように構成されてよい。それに対応して、出力側回路部分は、ピーク増幅器セクション110の出力と結合ノード118との間の信号に約90度の位相遅延を付与するように構成されてよい。様々な実装では、電力増幅器セクション108,110は各々、HTP基板22に対しボンディング単段または多段パワートランジスタダイを備えてよい。さらに、上述の通り、電力増幅器セクション108,110、ならびにインピーダンス整合ネットワーク130,132,134,136のうちの一部は、ドハティPA回路106の形態により実装されてよい。入力および出力整合ネットワーク130,132,134,136、またはそれらのうちの一部は、RFパワーダイ46,48内に集積された回路内の追加のコンポーネントとして実装されてよい。電力増幅器セクション108,110の一方または両方は、より複雑な実施形態において、複数の並列増幅経路(単一の増幅経路ではなく)を用いて実装されてよい。例えば、例示的な非対称ドハティ構成では、キャリア増幅器セクション108は、2つ(またはより多くの数)の並列増幅経路により実装されてよいが、ピーク増幅器セクション110は、3つ(または何らかの他の数)の並列増幅経路により実装される。さらに、N通りドハティ増幅器(N>2)の場合、ドハティPA回路106は、異なる構成またはレベルの複数のピーク増幅器を備えてよい。
【0044】
このように、例えば、RFパワーダイ46,48が、RF信号増幅目的のために利用されるトランジスタ含有ICを載せたキャリアおよびピークPAダイの形態をとるとき、RFパッケージ20(
図1~
図5)の実施形態が有益に統合され得るドハティPA回路を説明した。他の実装では、RFパッケージ20は、RF信号増幅目的のために利用されても利用されなくてもよい別の種類の回路へと組み込まれてよい。次いで、一般に、前述の記載は、例えば、
図6に関連して後述されるものなどのドハティPA回路においてキャリアPAダイとして機能するときのRFパワーダイ46の場合であり得るように、RFパッケージ20が様々な熱散逸ニーズを有するRFパワーダイを備え、HTP基板22のCTE整合マウントパッド50,52に潜在的に様々な大きさおよび/または構造が与えられて、過剰な熱発生の傾向がより大きい所与のRFパワーダイからの熱散逸を増加させ、および/またはそのRFパワーダイとのCTE不整合を減少させる用途の非限定的な例として提供されるにすぎない。それにもかかわらず、RFパッケージ20の実施形態は、任意の特定の用途または状況における使用に限定されず、HTP基板22の実施形態も、特定の種類のRFパッケージへの組み込みに限定されない。むしろ、代替の実施形態では、RFパッケージ20およびHTP基板22は、上述の例に対して異なることが可能である。例えば、さらなる実装では、HTP基板22は、複数のRFパワーダイがマウントされる、増加した平面寸法(金属ベース構造30に対して)を有する、単一のCTE整合マウントパッドを備えてよい。HTP基板22は、CTE整合ボンドパッドが接合されるPCB埋め込みスラグまたはコインなどの別の種類の金属ベース構造を備えてよく、および/またはHTP基板22は、電気的にルーティングされた基板またはリードフレームベースのアプローチを利用して作製されたRFパッケージへと組み込まれてよい。これに関する追加の記載が、
図11~
図14と合わせて以下に提供される。しかしながら、最初に、HTP基板22が、大規模アレイベースの製造処理を利用して、複数の類似のHTP基板と並行して作製され得る例が、
図7~
図10と合わせて説明される。
【0045】
HTP基板および関連するRFパッケージを製造するための例示的な処理
次に
図7~
図9を参照すると、HTP基板22の2つの例が、製造の様々な段階において示されている。最初に
図7を参照すると、HTP基板22は、製造の不完全な状態において示され、参照番号「22`」によって識別され、プライム記号(`)は、不完全なまたは部分的に作製された状態における構造要素を示すときに参照番号に付加される。図示されている実施形態では、HTP基板22`は、アレイベースの製造アプローチを利用して製造される。特に、HTP基板22`(およびHTP基板22`を利用して製造される後述のRFパッケージ20`)は、直線またはストリップレイアウトを有する相互接続されたHTP基板22`のアレイを利用して作製される。この点に関して、製造処理は、相互接続された金属ベース構造30`の細長いストリップまたは直線アレイ142を購入するか、独立に作製するか、または取得することにより始まる。ここで使用されるプライム記号は、ベース構造30`が物理的に相互接続され、事前にシンギュレーションされた形式にて現在存在することを示す。他の例では、ベース構造アレイ142(および後述するマウントパッドアレイ146)は、複数の水平に延びる行および列に配置された相互接続されたグリッドなど、異なるレイアウトまたは空間分布を有してよい。説明を明確にするため、ベース構造アレイ142の限られた領域しか
図7~
図9には示されておらず、ベース構造アレイ142(およびCTE整合マウントパッドアレイ146)は、図示された領域よりも著しく長く、ベース構造30`、CTE整合マウントパッド50`,52`、およびRFパッケージ20`のそれぞれに含まれる他のコンポーネントの数百ではないとしても数ダースを包含してよいことに留意されたい。
【0046】
金属ベース構造体30`はタイバー92によって相互接続されている。タイバー92はベース構造体30`から反対の長手方向に突出している。ベース構造30`の隣接する対の間の位置において、タイバー92は、犠牲接続領域144(そのうちの1つが
図7に示されている)を備える。犠牲接続領域144は、HTP基板22`のシンギュレーション中に除去され、場合によっては、HTP基板22`を処理することによって製造される場合、相互接続された事前にシンギュレーションされた形式のまま、RFパッケージ20`のシンギュレーション中に除去される。上で説明されたように、金属ベース構造30`は、モノリシック構造または積層構造として作製されてよく、最初にパネルまたはシート状の形態に製造され、その後、ベース構造アレイ142を製造するように機械加工または処理されてよい。開放キャビティ80,82および相互接続チャネル84,86(以下、集合的に「凹部フィーチャ80,82,84,86」)は、金属ベース構造30`のそれぞれの上面42に切り込まれるか、または形成されてよい。凹部フィーチャ80,82,84,86は、CTE整合マウントパッドアレイ146をベース構造アレイ142上に配置するか、または物理的に案内するのを補助してよい。これに加えて、実施形態では、凹部フィーチャ80,82,84,86は、ボンディング層70,71を形成するように流動性ボンディング材料の体積が吐出され、処理され得る、てこ作用リザーバまたは保定領域であってよい。ボンディング層70,71は、CTE整合マウントパッド50`,52`の対応する対を基部構造30`に接合する。液体または乾燥(例えば、粉末)中において凹部フィーチャ80,82,84,86へと堆積されたそうしたボンディング材料の一例は、
図8に示され、参照番号70`,71`によって識別される。様々な実装では、ボンディング材料70`,71`は、焼結前駆体材料、ろう付け材料、またははんだ材料であってよく、これらは、ベース構造30`の位置に対してCTE整合マウントパッド50`,52`をボンディング材料70`,71`と接触させて位置決めした後に、ボンディング材料70`,71`をボンディング層70,71へと変換するために後に処理される(例えば、高い圧力および温度の任意の組合せを受ける)。他の例では、CTE整合マウントパッド50`,52`の対を、ベース構造アレイ142に含まれる対応するベース構造30`に、拡散ボンディングなどの異なる方法により接合してよい。この場合、ボンディング材料70`,71`を省略してよい。CTE整合マウントパッドを下部にある金属ベース構造体に接合するのに適した拡散ボンディング処理の追加の説明を、
図11および
図12と合わせて以下に記載する。
【0047】
先に示されたように、ボンド層70,71は、実施形態では焼結体または接合部として形成されてよい。その場合、ボンディング材料70`,71`は焼結前駆体材料として供給されてよい。そうした実施形態では、ボンディング材料70`,71`は、湿潤状態または乾燥状態(例えば、フィルム)付与技術のいずれかを利用して便利に付与される。例えば、1つのアプローチでは、焼結前駆体材料をベース構造アレイ142(
図9に示される)の下面に(例えば、噴霧または浸漬によって)付与してよい。次いで、ベース構造アレイ142は、金属ベース構造30`のそれぞれに備えられた対応する開放キャビティ80,82へとCTE整合マウントパッド50,52を挿入するように位置決めされる。他の例では、
図8に一般的に示されるように、そうした焼結前駆体材料は、最初に、微細針吐出技術などの適切な堆積技術を利用して湿潤状態においてキャビティ70`,71`へと堆積される。湿潤状態付与技術が用いられるとき、流動性または湿潤状態のコーティング前駆体材料は、例えば、独立した製造または第三者供給者からの購入によって最初に得られる。選択された焼結前駆体材料は、金属粒子、液体キャリア、分散剤、および他の成分を含有するように配合されてよい。焼結前駆体材料に含有される金属粒子は、任意の形状を有してよい。金属粒子の平均寸法は、粒子形状および処理パラメータとともに変化する。具体的ではあるが非限定的な例として、焼結前駆体材料は、一実施形態において、Ag、Au、またはCuナノ粒子のうちの1つ以上を含有してよい。金属粒子に加えて、湿潤状態のコーティング前駆体材料は、他の原料(例えば、溶媒および/または界面活性剤)を含有して、湿潤硬化付与を行い、前駆体材料粘度を調整し、金属粒子の早期凝集を防止し、または他の目的を果たす。実施形態では、湿潤状態のコーティング前駆体材料は、バインダ(例えば、エポキシ)、分散剤、およびシンナーまたは液体キャリアと組み合わせて金属粒子を含有する。コーティング前駆体材料内に含有される溶媒または液体キャリアの体積は、前駆体材料の粘度を選択された湿潤状態付与技術に合わせるように調整することが可能である。湿潤状態のコーティング材料を付与した後、所望される場合には、金属粒子含有焼結前駆体材料から過剰な液体を除去するために乾燥処理を行うことが可能である。
【0048】
次に、相互接続されたCTE整合マウントパッド50`,52`のストリップまたは直線アレイ146は、ベース構造アレイ142との密嵌関係のために形状決定および寸法決定され、
図9に示されるようにベース構造アレイ142の上に位置決めされる。特に、マウントパッドアレイ146は、CTE整合マウントパッド50`,52`をそれらの対応する開放キャビティ80,82へと挿入し、ボンディング材料70`,71`と接触させるように、ベース構造アレイ142上に着座する。ボンドパッドアレイ146は、適切な固定具または機構(例えば、油圧プレスまたはローラ)を利用してベース構造アレイ142に向かって押圧され、CTE整合マウントパッド50`,52`がキャビティ80,82に完全に着座することを確実にする。隣接する対のマウントパッド50`,52`から外側に延びる周縁タイバー90は、犠牲コネクタ領域148によって接合される。マウントパッドアレイ146の犠牲コネクタ領域148は、ベース構造アレイ142の犠牲コネクタ領域144と垂直方向に重なり、HTP基板22`がシンギュレーションされるとき、コネクタ領域144とともに除去される。マウントパッドアレイ146をベース構造アレイ142の上に位置決めした後、高温、高圧、またはそれらの組合せを適用して、ボンディング材料70`,71`をボンド層70,71へと変換し、マウントパッド対50`,52`を対応するベース基板30`に機械的、熱的および電気的に結合してよい。
【0049】
所与の実施形態においてボンド層70,71を生成するようにボンディング材料70`,71`を処理する特定の方法は、少なくとも部分的には結合材料の組成に依存する。ボンディング材料70`,71`がはんだからなる場合、十分な温度を加えてボンディング材料70`,71`をリフローし、CTE整合マウントパッド50`,52`を金属ベース構造30`に接合するボンド層70,71(ここでは、はんだ接合)を形成してよい。同様に、ろう付け材料からなるとき、アレイ142,146は、利用されるろう付け材料に基づいて選ばれた加熱スケジュールにより、ボンディング材料70`,71`をボンド層70,71へと変換するように高温にさらされてよい。例えば、Cu-Agろう付け材料が利用される場合、より高温の焼結が、780℃に近いかまたはそれを超える最高温度にて行われてよい。他の例では、Au、スズ、ゲルマニウムなどを含有するろう付け系など、より低温のろう付け系を用いてよい。最後に、結合材料70`,71`が焼結前駆体材料からなるとき、硬化は、焼結前駆体材料を焼結ボンド層へと変換して、CTE整合マウントパッド50`,52`と下部にあるベース構造30`との間の様々な界面に冶金ボンドを形成するように、低温加熱(高圧をかけるまたはかけない)によって行われてよい。生じたボンディング層70,71は、焼結金属粒子から形成されてよく、1つまたは複数の金属成分から重量で支配的になってよい。そうした焼結材料から形成されるとき、ボンド層は、Cu、Ag、Au、またはそれらの混合物から重量で支配的になってよい。また、そうした場合、焼結ボンド層は、強化目的のために添加されるエポキシなどの有機材料を含有してもしなくてもよい。
【0050】
CTE整合マウントパッド50`,52`の金属ベース構造30`に対する取付の後、HTP基板22`の作製専用の処理工程がほぼ完了する。ある例では、HTP基板22`は、マウントパッドアレイ146から犠牲接続領域148を除去し、ベース構造アレイ142から垂直に重なる接続領域144を除去し、それによって、HTP基板22をシンギュレーションされた(個別または別個の)ユニットに分離するように、この継ぎ目にてシンギュレーションされてよい。適切なシンギュレーション処理は、水噴射、レーザ切断、およびダイシングソーを利用するソーイングを含む。他の例では、物理的に接続されたHTP基板22`を含むアレイのシンギュレーションの前に、RFパッケージ作製を開始し、場合によっては完了またはほぼ完了させるように、追加の処理工程が行われてよい。これは、HTP基板のシンギュレーションの前にアレイ形式により提供されるように、新たに製造されたHTP基板22`を利用して行われるRFパッケージ作製の初期段階をさらに示す、
図10を参照することによって理解され得る。RFパワーダイ46,48は、前述の通り、はんだ材料、焼結材料、または金属粒子含有ダイ取付材料などの選択された熱伝導性および導電性ボンディング材料を利用して、適切なCTE整合マウントパッド50`,52`に対し取り付けられてよい。
【0051】
RFパワーダイの取付後、オーバーモールド(例えば、トランスファ成形による)、ワイヤボンディング、および蓋付け作業などの追加の処理工程を行って、RFパッケージ20`の作製を継続してよい。そうした工程のいずれかまたはすべては、処理効率のためにアレイ142,146のシンギュレーションの前に行われてよく、または、RFパッケージ20`ステップの作製を完了するように利用される製造工程のうちの1つまたは複数は、他の例では、アレイ142,146のシンギュレーションの後に行われてよい。アレイ142,146の分離の前にオーバーモールドが行われる実施形態では、ダイシングソーを、犠牲領域144,148を包含するソーレーン、ならびにソーレーン内に存在する任意のオーバーモールド材料を通って方向付け、RFパッケージ20`をシンギュレーションされたユニットまたは個々のユニットへと分離することによって、シンギュレーションが便利に達成される。シンギュレーションは、タイバー90,92が延びて終端するパッケージ側壁の形成をもたらしてよい。特に、シンギュレーションされた各ユニットに対して、タイバー90は、パッケージ側壁にて終端するように、CTE整合マウントパッド50,52から反対方向に延びてよく、各タイバー90には、対応するパッケージ側壁と実質的に同一平面上にあるまたは面一であってよいシンギュレーション終端が与えられる。同様に、タイバー92は、金属ベース構造30およびその下のタイバー90から延び、シンギュレーションによって生成されたパッケージ側壁まで延び、そのパッケージ側壁にて終端する。アレイのシンギュレーションに続いて、
図1~
図5と合わせて上述したRFパッケージ20と同様または同一の完全なRFパッケージを製造するように、任意の必要な追加の処理工程および試験手順を行ってよい。
【0052】
RFパッケージに備えられるHTP基板の追加の例
このように、以上では、金属ベース構造とRFパワーダイとの間のCTE不整合を最小限にするCTE整合マウントパッド、および場合によっては、パッケージ動作中に過剰な熱が発生しやすい場合がある他のパッケージ化マイクロエレクトロニクスコンポーネントを備える、HTP基板を備えるRFパッケージを記載した。上記の例示的な実施形態では、金属ベース構造は金属ベースフランジの形態をとるが、RFパッケージは蓋付きエアキャビティパッケージとして作製される。上記はまた、一般に、効率的で大規模なアレイベースの製造アプローチを利用して、そうしたHTP基板およびRFパッケージを作製するのに有益に用いられる、例示的な製造処理を開示している。上記の例にかかわらず、HTP基板は、他の形態をとってよく、さらなる実装では、様々な他のRFパッケージ種類へと組み込まれてよい。これに加えて、HTP基板の実施形態は、CTE整合マウントパッドと、HTP基板の所与の実装内に備えられる下部の金属ベース構造との間の拡散ボンドの形成を行う処理を利用することを含む、様々な他の製造処理を利用して作製されてよい。ここで、これに関するさらなる記載が
図11および
図12と合わせて提供され、HTP基板の代替の実施形態が有利に組み込まれる代替の種類のRFパッケージの例が、
図13および
図14と合わせて以下に説明される。
【0053】
図11および
図12に進むと、単一の比較的長いCTE整合マウントパッド154がインレイフィーチャとして埋め込まれている金属ベース構造152を備えるHTP基板150が示されている。ここで、HTP基板150には、例えば、より大きいパネルまたはストリップの材料を処理することによって複数のHTP基板の費用効果的な製造を行うように、比較的単純な構造が与えられる。これに関して、CTE整合マウントパッド154には、ほぼ一貫した幅(座標凡例170のY軸に沿って測定される)およびほぼ一定の厚さ(座標凡例170のZ軸に沿って測定される)を備える、長手方向に細長い長方形の平面形状が与えられる。CTE整合マウントパッド154は、金属ベース構造152の長さにわたり、ベース構造152の上面または前面162に形成された長手方向チャネルへと設置または挿入される。ベース構造162に形成された長手方向チャネルは、同様に、ベース構造152の長さにわたり、マウントパッド154の対応する寸法(長さおよび高さまたは厚さ)にほぼ等しい深さおよび幅を有する。この構造により、CTE整合マウントパッド154の上部ダイ支持面160は、金属ベース構造152の上面162と実質的に同一平面上にあるが、しかしながら、他の実装では、マウントパッド154の上面は、ベース構造152の前面162のわずかに上方に延びるか、わずかに下方に凹設されてよい。
図11に仮想線により示すように、2つのダイ取付領域156,158が、CTE整合マウントパッド154のダイ支持面上にさらに提供され、HTP基板150がより大きなRFパッケージへと組み込まれるときに、はんだまたは焼結材料などの熱伝導性および場合によっては導電性のボンディング材料を利用して、適切なマイクロエレクトロニクスコンポーネント(例えば、
図1~
図10に示されるRFパワーダイ46,48と同様のRFパワーダイ)が、これらの領域に取り付けられる。
【0054】
金属ベース構造152は、モノリシック構造、多層構造、またはベース構造152を熱伝導性ヒートシンクとして機能するのに適したものにする別の構造、および場合によってはHTP基板150が最終的に組み込まれるRFパッケージの電気的に活性な構造または端子を有してよい。長尺状でもあり得るCTE整合マウントパッド154は、モノリシックまたは多層構造を有し、ベース構造152のCTEよりも小さいかつ前述したものと同様の手法により後にHTP基板150の領域156,158にマウントされるRFパワーダイのそれぞれのCTEよりも大きいCTEが、CTE整合マウントパッド154に与えられる。特定の実施形態では、RFパッケージ20(
図1~
図10)のCTE整合マウントパッド50,52と合わせて上述されたように、金属ベース構造152は、より大きい重量パーセントのCuを含有する(および重量で支配的にCuからなり得る)モノリシック構造または多層構造の形態をとってよいが、CTE整合マウントパッド154は、ベース構造152よりも重量で低いCu含有量(潜在的にはCuをほとんどまたは全く含有しない)および高いMo含有量を有するMo合金またはCu-Mo合金などの材料からなるモノリシックストリップとして形成される。さらに他の例では、CTE整合マウントパッド154は、金属ベース構造152のCTEよりも小さいCTEを有する別の熱伝導性材料からなってよく、またはマウントパッド154には、
図1~
図5と合わせて上述したHTP基板22に備えられるCTE整合マウントパッド50,52と合わせて上述したものと類似または同一の多層構造が与えられてよい。実施形態では、CTE整合マウントパッド154は、上記の通り、焼結材料、ろう付け材料、はんだ、または別の熱伝導性ボンディング材料を利用して、金属ベース構造152にボンディングされてよい。他の例では、CTE整合マウントパッド154を、すぐ下に記載されるように、拡散ボンディングによって金属ベース構造152に対し接合してよい。
【0055】
CTE整合マウントパッド154が金属ベース構造152に対し拡散ボンディングされる実施形態では、CTE整合マウントパッド154の上面160が金属ベース構造152の上面162と実質的に同一平面上にあり得ることに再び留意して、マウントパッドとベース構造との界面における拡散ボンドの形成が、HTP基板150の場合に行われる。CTE基板150は、適切な構造界面に所望の拡散ボンドを生成するように、油圧プレス、ローラ168(
図12)のシステム、またはCTE整合マウントパッド154を金属ベース構造152に向かって付勢する十分な収束圧力をかけるように利用される同様の機器構成を利用して、典型的には非常に高い温度と組み合わせて処理されてよい。少なくとも部分的には、金属ベース構造体152の前面162に形成されたチャネルの細長い矩形形状により、複数の長手方向に整列したチャネルを、対応する数の金属ベース構造に容易に形成することが可能である。これらの金属ベース構造は、最初に、より大きな構造として、例えば、
図11および
図12の右下隅に示された座標凡例170のX軸に沿って延びる細長いベース構造ストリップとして、端と端との関係により接合または物理的に相互接続される。1つの製造アプローチでは、細長いチャネルは、金属押出物などの細長い矩形ストリップまたはプリフォームの長さに沿って単一の連続切断を生成することによって(例えば、適切なCNCまたはEDMツールを利用して)、複数のベース構造152に形成されてよく、その後、個々のベース構造152へとシンギュレーションされる。これに代えて、ベース構造が、アプローチ断面形状を有する押出により直線アレイとして最初に形成されるとき、マウントパッド154が挿入されるチャネルは、ベース構造と一体のフィーチャとして形成されてよい。さらに他の例では、スタンピング技術が用いられてよい。用いられる特定の製造アプローチにかかわらず、次いで、第2の細長いストリップ(本明細書では、マウントパッドストリップ)を、ベース構造ストリップに沿って長さ方向に延びるチャネルへと置きまたは設置し、適所にボンディングして、比較的多数の一体接合されたHTP基板を同時に製造することが可能である。次いで、得られたHTP基板は、製造の適切な継ぎ目にてシンギュレーションされてよく、所望される場合、
図10と合わせて上記されたものと同様に、RFパッケージ製造を開始するためにさらなる処理がされてよい。
【0056】
次に
図13を参照すると、さらなる例示的なRFパッケージ172が簡略化された概略図として示されており、パッケージ172は、やはり、下部のHTP基板178によって支持された2つのRFパワーダイ174,176を備える。具体的には、RFパワーダイ174,176は、2つの導電性および熱伝導性ボンド層185,187をそれぞれ利用して、HTP基板178に備えられたCTE整合マウントパッド180,182にマウントされる。RFパワーダイ174,176の反対側にて、CTE整合マウントパッド180,182は、RFパッケージ172の底側と実質的に同一平面上にある下面を有する金属ベース構造184,186に対しボンディングされる。
図1~
図12と合わせて上述した実施形態とは対照的に、HTP基板178のCTE整合マウントパッド180,182および金属ベース構造184,186は、埋め込まれたコインと同様に、グロブトップエポキシまたは成形熱可塑性物質などの誘電体封入体188に埋め込まれる。誘電体本体188は、示された例では、マウントパッド180,182のそれぞれの上面と実質的に同一平面上にある内側または上側ダイ対向面または前面194を有する。他の実施形態では、マウントパッド上面は、他の実装では、誘電体本体188の上面よりもわずかに下に凹設されるか、または誘電体本体188の上面を超えて上方に延びてよい。CTE整合マウントパッド180,182は、非層状(モノリシック)構造を有してよく、または代わりに、マウントパッド180,182には、示されるように、層状構造が与えられてよい。後者の場合、例えば、CTE整合マウントパッド180,182は各々、1つ以上MoまたはCu-Mo層に対しボンディングされた少なくとも第1のCu層を備えてよく、例えば、マウントパッド180,182は各々、2つのCu層の間にボンディングされた中間MoまたはCu-Mo層を備えてよい。そうした実施形態では、各マウントパッド180,182に備えられるMoまたはCu-Mo層(または複数の層)は、1つまたは複数のCu層(少なくともいくつかの例では、Moがほぼなくてよい)が含有するよりも小さい重量パーセントのCuおよび大きい重量パーセントのMoを含有してよい。
【0057】
CTE整合マウントパッド180,182と同様に、金属ベース構造184,186には、非層状または層状構造が与えられ、CTE整合マウントパッド180,182が各々、金属ベース構造184,186よりも小さく、RFパワーダイ174,176よりも大きいCTEを有する。一実施形態では、金属ベース構造184,186は各々、金属(例えば、Cu)コインまたはブロックの形態をとるが、他の例では、ベース構造184,186は、比較的高い熱伝導率および電気伝導率を有する複合材料または層状材料から製造されてよい。これと比較して、CTE整合マウントパッド180,182には各々、示された実施形態において層状構造が与えられてよい。この場合、CTE整合マウントパッド180,182は各々、第1のMo含有量および第1のCu含有量を有する1つ以上の層または層の組と、重量で第1のMo含有量よりも小さい第2のMo含有量および第1のCu含有量よりも多い第2のCu含有量を有する第2の層または層の組とを備えてよい。他の実装では、金属ベース構造184,186には、上記のように層状構造が与えられてよい。一方、CTE整合マウントパッド180,182は、モノリシック構造または非層状構造を有してよい。さらに、ある場合には、CTE整合マウントパッド180,182は各々、マウントパッド180,182と金属ベース構造184,186との間の界面における高インテグリティの低電気抵抗ボンドの形成を促進するめっき金属表面またはコーティング(例えば、電気めっきによって形成されるAg含有表面仕上げ)を備えるように製造されてよい。
【0058】
引き続き
図13を参照すると、HTP基板178の誘電体本体188は、代替の実施形態では、コアレス基板または機械加工可能な誘電体(例えば、セラミック)ブロックの形態をとってよい。他の例では、誘電体本体188は、金属(例えば、Cu)トレース、めっきされたまたは充填されたビア、接地面などの導電性ルーティングフィーチャをさらに備える単層または多層PCBである。例えば、この点に関して、誘電体本体188は、CTE整合マウントパッド180,182間および金属ベース構造184,186間にある中間領域190内に、ビアおよび金属(例えば、Cu)トレースなどのルーティングフィーチャを有する多層PCBであってよい。そうしたレイアウトは、RFパッケージ172の配線または回路密度を増加させ得、RFパッケージ172の大きさを減少させることと可能にする。RFパッケージ172はまた、ダイ174,176を封入し、HTP基板178の上部ダイ支持面194に対しボンディングされるオーバーモールド本体192などの他のフィーチャを備えてよい。バックメタル層196は、HTP基板178の裏面198上にさらに形成されてよい。形成されるとき、バックメタル層196は、連続的な金属層(例えば、接地面)またはパターニングされた金属層であってよい。例えば、実施形態では、バックメタル層196は接地面であってよい。接地面は、示されるように、PAパッケージ172の裏面上にめっきされるか、または堆積され、金属ベース構造184,186と接触して形成される。そうした例では、RFパワーダイ174,176は各々、ボンディング材料層185,187を通じて、CTE整合マウントパッド180,182を通じて、および金属ベース構造184,186を通じてバックメタル層196に対し電気的に結合された端子(例えば、ソース端子)を備えてよく、バックメタル層196は、RFパッケージ172の導電性(例えば、接地)端子および熱界面の両方として機能する。
【0059】
上記の通り、HTP基板178は、RFパワーダイ174,176によって発生した過剰な熱が、ダイ174,176から離れて、CTE整合マウントパッド180,182を通じて、金属ベース構造184,186を通じて、RFパッケージ172の外部から露出したバックメタル層196への伝導によって散逸することを可能にする。より大きいシステムまたはアセンブリ内に設置されるとき、上述のように、バックメタル層196は、空冷金属シャーシまたはフィンアレイなどのシステムレベルヒートシンクと熱連通するように配置された熱界面として機能してよい。これに加えて、CTE整合マウントパッド180,182と対応する金属ベース構造184,186との組合せは、低熱抵抗の逆T字形構造を形成するように協働する。この構造は、RFパワーダイ174,176から離れてバックメタル層196に向かう、したがってRFパッケージ172の下側主面または裏面に向かうと体積が増加する。これは、RFパワーダイ174,176からの熱除去をさらに向上させるように、増加した熱拡散機能を提供する。同時に、例えば、同等の寸法の多層フランジと比較して、RFパッケージ172へのHTP基板178の組込みに関連する全体的な材料の費用を最小限にするように、HTP基板178内に含まれる費用がより高い材料の体積は減少し得る。製造中、CTE整合マウントパッド180,182は、最初に製造され、独立した作製処理を利用して金属ベース構造184,186に対しボンディングされてよい。より具体的には、1つの可能なアプローチでは、比較的大きいシートまたはパネル(CTE整合マウントパッド180,182の複数の例および金属ベース構造184,186の複数の例を具現化する)を、上記の処理と同様の処理を利用して接合し、シンギュレーションしてT字形ユニットを得てよい。次いで、T字形ユニットは、埋め込まれたコインを有するPCBを形成するように現在用いられている処理と同様の処理を利用してPCB(または同様の基板)へと組み込まれる。他の実施形態では、HTP基板178およびRFパッケージ172を製造するために、異なる製造技法が用いられてよい。
【0060】
最後に
図14を参照すると、下部のHTP基板206に対しボンディングされた2つのRFパワーダイ202,204を備える、RFパッケージ200のさらなる例示的実施形態が、簡略化された断面形態により示される。HTP基板22(
図1~
図10)およびHTP基板178(
図13)と同様に、HTP基板206は、RFパワーダイ202,204がボンド層212,214を利用して取り付けられる、2つのCTE整合マウントパッド208,210を備える。前述の場合と同様に、ボンド層212,214は、はんだ、焼結材料、または金属粒子含有ダイ取付材料などの導電性および熱伝導性材料からなる。RFパワーダイ202,204の反対側にて、CTE整合マウントパッド208,210は、1つ以上の下部の金属ベース構造218の上部主面またはダイに面する前面216に対しボンディングされ、マウントパッド208,210は、隆起したペデスタル状のフィーチャとして前面216から上方に突出する。この特定の例では、金属ベース構造218は、リードフレーム形式により提供される非ルーティング金属ブロックまたは「ダイ取付パッド」の形態をとり、金属ベース構造218は、以下ではより具体的に「ダイ取付パッド218」と呼ばれる。ダイ取付パッド218に加えて、リードフレーム218,220は、ダイ取付パッド218の周縁側壁に隣接して延びる列に間隔を置いて配置された埋め込み端子またはコンタクトパッド220をさらに備える。オーバーモールド本体224が、パッケージ化されたコンポーネント(ここでは、RFパワーダイ202,204)、相互接続フィーチャ(例えば、図示されていないワイヤボンド)、ならびにダイ取り付けパッド218の上面および周縁面の周りに形成される。したがって、RFパッケージ200は、示されている例では、QFNまたはDFNパッケージなどのフラットノーリードパッケージの形態をとってよい。リードフレーム218,220、したがってダイ取付パッド218およびコンタクトパッド220は、実施形態では、Cuなどの金属材料からなってよい。比較すると、CTE整合マウントパッド180,182は、示されるように、交互の金属層(例えば、交互のCuおよびCu-Mo層)からなる層状または積層構造であってよく、ダイ取付パッド218のCTEよりも小さくRFパワーダイ174,176のそれぞれのCTEよりも大きいCTEをマウントパッド180,182に与える。他の例では、CTE整合マウントパッド180,182は、適切な金属材料もしくは複合材料(例えば、MoもしくはCu-Mo合金)、または所望の範囲にあるCTEを有する別の導電性および熱伝導性材料からなる非層状構造であってよい。
【0061】
ダイ取付パッド218の下面226は、RFパッケージ200の底側または下側主面を通じて露出し、またその面と実質的に同一平面上にあってよい。したがって、ダイ取付パッド218の下面226は、RFパッケージ200の熱界面として機能してよく、RFパッケージ200がより大きいエレクトロニクスシステムまたはアセンブリ内に設置されるときに、システムレベルヒートシンクと熱連通するように配置されてよい。RFパワーダイ202,204によって生成された過剰な熱は、結果として、RFパッケージ200の内部から抽出され、HTP基板206を通じて(また具体的には、CTE整合マウントパッド208,210および金属ベース構造218を通じて)、周囲環境への伝達用のシステムレベルヒートシンクに伝導されてよい。さらに、CTE整合マウントパッド208,210とダイ取付パッド218(一般に、「金属ベース構造」)との組合せは、増加した熱拡散機能を効果的に提供するデュアルトップコインとしてさらに機能する。これによって、RFパッケージ200の全体的な熱性能または熱散逸能力がさらに改良され得る。そうした向上した熱散逸能力は、RFパワーダイ202,204の一方または両方が、例えば、より高い周波数もしくは電力レベルにおける動作、および/または層状GaN(例えば、GaN/SiC)ダイ基板もしくは比較的高い電力密度を有する別のダイ技術を利用するRFパワーダイ202,204の作製に起因して、RFパッケージ200の動作中に過剰な熱を発生しやすいときに、特に有益であり得る。同時に、ダイ取付パッド218の露出した下面226は、RFパッケージ200の(例えば、接地)端子として機能してよく、HTP基板206は、上記のように、RF信号増幅目的のために利用されるFETを載せたPAダイの形態をとるとき、RFパワーダイ202,204の端子(例えば、ソース端子)に対する低電気抵抗接続を提供する。
【0062】
結論
以上、特有の高熱性能(HTP)基板を備えるRFパッケージを記載した。HTP基板の実施形態は、1つまたは複数のCTE整合マウントパッドを備え、マウントパッドは、マウントパッドに対し取り付けられたRFパワーダイ(および場合によっては他の発熱コンポーネント)と、マウントパッドがボンディングされる下部の金属ベース構造との間のCTE不整合を最小にするように、拡散ボンディングによって、または適切なボンディング材料を利用して作製される。そうすることで、CTE整合マウントパッドは、ダイと基板との界面に生じる熱駆動の機械的応力要因を最小限にし、これらの重要な界面における構造的劣化の可能性を低減し、経時的なRFパッケージの信頼性を高める。HTP基板の実施形態はさらに、広範囲のRFパッケージ種類への統合に好適であり、パッケージ化されたRFダイからの効率的な熱除去を提供するだけでなく、RFパワーダイから金属ベース構造への低電気抵抗経路を生成し、例えば、実施形態では、RFパッケージの接地端子などのRFパッケージの端子として機能するか、または裏面接地平面に対する電気接続を提供する。いくつかの例では、CTE整合マウントパッドは、ドハティPA回路に備えられているキャリアPAダイの場合における増加した熱除去能力など、特定のRFパワーダイ種類に対して最適化された個別化された熱除去特性を提供するように、設計によって(例えば、寸法または組成の変化により)調整されてよい。さらなる利点として、HTP基板の実施形態は、ある多層フランジにおいて観察される、反りから生じる平坦度偏差などの寸法変化に対して抵抗があり、基板熱性能に対する劣化がほとんどないかまたは全くない、高価な材料を減少した量しか含有しなくてよい。最後に、HTP基板の実施形態は、例えば、アレイベースの製造技法が、比較的多数のHTP基板、および場合によってはRFパッケージを並行して製造するように用いられるとき、費用効果的に作製され、RFパッケージへと統合されることが可能である。
【0063】
RFパッケージの実施形態は、金属ベース構造を備えるHTP基板を備える。金属ベース構造は、第1のRFパワーダイに面する前面、および金属ベース構造の前面における第1のダイ取付領域を有する。ダイ取付領域は、HTP基板上において下向きに見たときに、ダイフットプリントの下部の金属ベース構造の表面積を示す。第1のCTE整合マウントパッドは、金属ベース構造に対しボンディングされ、第1のダイ取り付け領域を覆う。第1のCTEマウントパッドは、RFパワーダイのCTEよりも大きいかつ金属ベース構造のCTEよりも小さいCTEを有する。導電性ボンディング材料は、RFパワーダイを第1のCTE整合マウントパッドに取り付け、一方、第1のRFパワーダイへと集積されたRF回路は、第1のCTE整合マウントパッドを通じて金属ベース構造に対し電気的に結合されている。特定の例では、第1のCTE整合マウントパッドは、金属ベース構造の前面から上方に突出して、第1のRFパワーダイがマウントされる隆起したペデスタル状のフィーチャを形成する。これに加えて、またはこれに代えて、金属ベース構造は、第1のCTE整合マウントパッドが金属ベース構造内に少なくとも部分的に埋め込まれるように、第1のCTE整合マウントパッドが挿入される開放キャビティを備えてよい。さらに他の例では、第1のCTE整合マウントパッドは、金属ベース構造体の前面の外部端子面と実質的に同一平面上にあるダイ支持面を有する。
【0064】
CTE整合マウントパッドを有するHTP基板を備えるRFパッケージを作製する方法も開示されている。実装では、方法は、(i)ダイCTEを有する第1のRFパワーダイを取得する工程、(ii)第1のRFパワーダイを、HTP基板に備えられている第1のCTE整合マウントパッドに対し取り付ける工程であって、第1のCTE整合マウントパッドは、ベース構造CTEを有しダイCTEよりも大きくベース構造CTEよりも小さいマウントパッドCTEを有する金属ベース構造に対しボンディングされている、第1RFパワーダイ取付工程と、(iii)第1のRFパワーダイの取付とともに、第1のRFパワーダイ上に形成されたPA回路を、第1のCTE整合マウントパッドを通じて金属ベース構造に対し電気的に結合する電気的結合工程と、を備えるか、またはそれらの処理を備える。RF回路が、ソース端子を有するFETを備えるかまたはその形態をとる特定の実装では、電気的結合工程は、FETのソース端子を第1のCTE整合マウントパッドを通じて金属ベース構造に対し電気的に結合することを伴う。第1のRFパワーダイがピークRFパワーダイの形態をとる他の実装では、方法は、(i)キャリアRFパワーダイを、HTP基板に備えられている第2のCTE整合マウントパッドに対し取り付ける、キャリアRFパワーダイ取付工程と、(ii)キャリアRFパワーダイの取付とともに、キャリアRFパワーダイ上に形成されたRF回路を、第2のCTE整合マウントパッドを通じて金属ベース構造に電気的に結合する工程と、をさらに備える。
【0065】
1つ以上の例示的な実施形態が、上記の詳細な説明において提示されたが、多くの変形形態が存在することが認識される。1つまたは複数の例示的な実施形態は、例であるに過ぎず、また如何とも本発明の範囲、利用可能性、または構成を限定することを意図するものではない。むしろ、上記の詳細な説明は、本発明の例示的実施形態を実装するための便利なロードマップを当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態において説明される要素の機能および構成において様々な変更が行われ得ることが理解される。
【外国語明細書】