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特開2023-86126非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する手段を備えるマルチタスク装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086126
(43)【公開日】2023-06-21
(54)【発明の名称】非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する手段を備えるマルチタスク装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 15/32 20060101AFI20230614BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20230614BHJP
   B23P 19/04 20060101ALI20230614BHJP
   B21J 15/48 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B21J15/32 D
B23P19/00 301K
B23P19/04 E
B21J15/48
B21J15/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022196565
(22)【出願日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】FR2113243
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522479290
【氏名又は名称】セティ-テック
【氏名又は名称原語表記】SETI-TEC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ペレイラ-サント
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030AA21
3C030BC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非コンプライアントなタスクが実施される可能性を防止し、装置の品質を向上する。
【解決手段】本発明は、マルチタスク装置であって、リベットを収容することが可能なリベット支持モジュール及び/又は仮締結具を収容することが可能な仮締結具支持モジュールと、少なくとも1つの装入ステーションにおいて、リベット又は仮締結具を上記モジュールに導入する手段と、加工対象の構造体内に設けられる穴の中にリベット又は仮締結具を設置するように上記少なくとも1つのモジュールをワークステーションに移動させる手段とを少なくとも備え、該装置は、少なくとも1つの所定のコンプライアンス基準に応じて上記リベット又は仮締結具のコンプライアンスを検査する手段と、上記検査する手段によって非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する手段とを備えることを特徴とする、マルチタスク装置に関する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチタスク装置であって、
リベットを収容することが可能なリベット支持モジュール及び/又は仮締結具を収容することが可能な仮締結具支持モジュールと、
少なくとも1つの装入ステーションにおいて、リベット又は仮締結具を前記モジュールに導入する手段と、
加工対象の構造体内に設けられる穴の中にリベット又は仮締結具を設置するように前記少なくとも1つのモジュールをワークステーションに移動させる手段と
を少なくとも備え、
該装置は、
少なくとも1つの所定のコンプライアンス基準に応じて前記リベット又は仮締結具のコンプライアンスを検査する手段と、
前記検査する手段によって非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する手段と
を備えることを特徴とする、マルチタスク装置。
【請求項2】
前記コンプライアンスを検査する手段は、前記リベット又は前記仮締結具の外観を分析し、基準外観に関してそのコンプライアンス又は非コンプライアンスを推定可能である、請求項1に記載のマルチタスク装置。
【請求項3】
前記コンプライアンスを検査する手段は、少なくとも1つのカメラと、前記カメラを制御する手段と、前記カメラが撮像した画像を分析する手段とを含み、
前記制御手段及び前記分析手段は、前記カメラが撮像した前記リベット又は仮締結具の画像を基準画像と比較し、そこからリベット又は仮締結具のコンプライアンス/非コンプライアンスを推定可能である、請求項2に記載のマルチタスク装置。
【請求項4】
非コンプライアントなリベット又は仮締結具を排出する前記手段は、重力排出手段を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項5】
非コンプライアントなリベット又は仮締結具を排出する前記手段は、前記リベット又は締結具支持モジュールと一体化した非コンプライアントなリベット又は仮締結具を把持することが可能な少なくとも1つの把持位置と、前記非コンプライアントなリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに向かって放出し得る排出位置との間で移動可能なクランプを含み、前記クランプは、それぞれの位置において、締付け状態及び解放状態を取ることが可能である、請求項4に記載のマルチタスク装置。
【請求項6】
前記クランプは、前記モジュールの軸に対して実質的に平行な軸に沿って、その把持位置と解放位置との間で回転可能に移動可能である、請求項5に記載のマルチタスク装置。
【請求項7】
前記クランプは、前記スピンドルの軸に沿って、少なくとも、
前記クランプが前記リベット支持モジュールの出口端部に近接して延在する引込み位置と、
前記クランプが前記リベット支持モジュールの前記出口端部とは遠隔にある係合解除位置と
の間で平行移動可能に取り付けられる、請求項5又は6に記載のマルチタスク装置。
【請求項8】
塗装なしリベット又は仮締結具を排出する前記手段は、吸引排出手段を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項9】
塗装なしリベット又は仮締結具を排出する前記吸引排出手段は、排出マニホールドと、前記マニホールド内に真空を発生させる手段とを含む、請求項8に記載のマルチタスク装置。
【請求項10】
仮締結具を前記モジュールに導入する前記手段は、前記マニホールドを含む、請求項9に記載のマルチタスク装置。
【請求項11】
前記マニホールド側に配置される端部とは反対側の、前記非コンプライアントなリベット又は締結具の端部を超えて位置決めすることが可能なプッシャ要素を備える前記吸引排出を始動する手段を統合し、前記プッシャ要素は、前記リベット又は前記仮締結具の軸に沿って平行移動可能に取り付けられる、請求項8又は9及び10のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項12】
シーラントを前記リベットに塗布する手段を有する塗装ステーションを備え、前記シーラント塗布手段は、塗装ノズルを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項13】
前記重力排出手段は、非コンプライアントな塗装済リベットを排出することが可能である、請求項5~11のいずれか一項と組み合わせる又は組み合わせない請求項4及び12に記載のマルチタスク装置。
【請求項14】
前記吸引排出手段は、非コンプライアントな塗装なしリベット又は非コンプライアントな仮締結具を排出することが可能である、請求項6~11のいずれか一項と組み合わせる又は組み合わせない請求項8及び12に記載のマルチタスク装置。
【請求項15】
前記塗装ステーションは、前記塗装ステーションに配置される支持モジュールと一体化したリベットの長さを決定することが可能なフィーラを備える、請求項12、13又は14のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項16】
前記プッシャ要素は前記フィーラである、請求項15に記載のマルチタスク装置。
【請求項17】
少なくとも1つのリベット支持モジュール及び1つの仮締結具支持モジュールを備えるマルチタスク装置を構成し、
前記ワークステーション装置は、単一の軸に沿って平行移動式に及び/又は回転可能に駆動し得る単一のスピンドルを備え、
前記装置は、前記リベット支持モジュール及び前記仮締結具支持モジュールを前記ワークステーションに個別に給送する手段を備え、
前記単一のスピンドルは、前記ワークステーションに配置されるリベット支持モジュール又は仮締結具支持モジュールと協働して、リベット又は仮締結具の設置を可能にし得る、請求項1~16のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項18】
前記塗装ステーション、前記仮締結具装入ステーション及び前記非コンプライアントなリベット又は仮締結具の吸引排出手段は、同じステーションに位置する、請求項15又は16及び17のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項19】
前記リベット装入ステーション及び前記非コンプライアントなリベット又は仮締結具の重力排出手段は、同じステーションに位置する、請求項17に記載のマルチタスク装置。
【請求項20】
フレームと、
加工対象の構造体に対して少なくとも部分的に空間内で前記装置を移動させることが可能なモータハンドリング手段に前記フレームを取り付ける手段と、
前記装置を前記加工対象の構造体に位置決め及び/又は固定する手段と
を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載のマルチタスク装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のマルチタスク装置を用いてタスクを行う方法であって、
少なくとも1つの所定のコンプライアンス基準に応じて前記リベット又は前記仮締結具のコンプライアンスを検査するステップと、
前記検査する手段によって非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、加工対象の構造体に様々なタスクを行うために産業において使用される、特に航空産業用の装置の設計及び生産の分野である。
【背景技術】
【0002】
一般的に、加工対象の構造体に様々なタスク又は動作を行うために、多くの装置が実装される。例としては、ドリル加工、ミリング、仮締結具の設置、リベットにシーラントを塗装し、その後、構造体内にドリル加工された穴の中にリベットを設置すること、又は他の任意の動作が挙げられる。
【0003】
例えば航空機等の複合構造体にタスクを行うために、可動装置が開発されている。
【0004】
これらの装置は、特に、ロボットアームの端部に配置され、加工対象の構造体に対して操作及び移動される工具を備えるタイプの装置を含み、装置は、ロボットアームの負荷を軽減するために、タスクの達成による力を受け持たせるように、加工対象の構造体に工具を一体化することを可能にする吸引カップ等の固定手段を備える。
【0005】
このタイプの装置は、マルチタスク装置として知られ、そのいくつかは、それぞれ1つの特定のタスクの実行を専門とするいくつかの機能モジュールを組み込み得る。
【0006】
そのような装置は、モータ及び制御手段を介して単一の軸に沿って回転式に及び/又は平行移動式に駆動され得る単一の出口スピンドルを備える。
【0007】
この単一のスピンドルは、様々な組込みモジュールと互いに協働して、専門とするタスクの実行を可能にすることができる。
【0008】
本出願人が出願した特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、マルチタスク装置が記載されている。
【0009】
本発明は、より詳細には、シーラントの塗装の有無を問わず、リベットを設置する、及び/又は仮締結具を設置するマルチタスク装置に関する。
【0010】
リベット設置装置は、概して、設置対象のリベットをリベット支持モジュールに1つずつ装入するリベット装入ステーションを備える。リベット設置装置は、任意選択で、設置対象のリベットを組み込むリベット支持モジュールを移動させてシーラントをリベットに塗布する塗装ステーションを備える。リベット設置装置は、スピンドルと整列して位置するワークステーションも備え、ここで、スピンドルは、リベット設置モジュールに作用してリベットを加工対象の構造体の中に配置する。
【0011】
仮締結具設置装置は、典型的には、配置対象の仮締結具を仮締結具設置モジュールに1つずつ装入する仮締結具装入ステーションを備える。仮締結具設置装置は、スピンドルと整列して位置するワークステーションも備え、ここで、スピンドルは、仮締結具設置モジュールに作用して仮締結具を加工対象の構造体の中に配置する。
【0012】
リベット又は仮締結具設置動作を行うためにリベット支持モジュールに導入されたリベット又は仮締結具支持モジュールに導入された締結具が、所望の動作を行うために必要なリベット又は仮締結具のタイプと合致しないことが、稀ではあるが起こり得る。設置前のリベットの塗装が適切でないこともあり得る。
【0013】
こうした場合、設置タスクは実現可能でない。
【0014】
したがって、非コンプライアントなタスクが実施される可能性を防止するようにこれらの装置の品質を向上する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際出願PCT/EP2020/069158号
【特許文献2】国際出願PCT/EP2020/069159号
【特許文献3】国際出願PCT/EP2020/069160号
【特許文献4】国際出願PCT/EP2020/069161号
【特許文献5】国際出願PCT/EP2020/069162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特に、本発明の1つの目的は、これらの異なる課題のうちの少なくともいくつかに対して効果的な解決策を提供することである。
【0017】
特に、少なくとも1つの実施の形態によれば、本発明の1つの目的は、非コンプライアントなリベット又は仮締結具設置動作の実行を防止するのに役立つリベット及び/又は仮締結具設置技法を提供することである。
【0018】
特に、本発明の1つの目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、装置内に装入されるリベット又は仮締結具を設置前に検査することを可能にする技法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、装置内に装入されるリベット又は仮締結具を、実行が望まれる設置動作の適切性について検証することを可能にする技法を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、設置対象のリベットの塗装の適切性を、設置を行う前に検証することを可能にする技法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの実施の形態によれば、実施が単純で及び/又はロバストで及び/又は多用途である技法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このために、本発明は、マルチタスク装置であって、
リベットを収容することが可能なリベット支持モジュール及び/又は仮締結具を収容することが可能な仮締結具支持モジュールと、
少なくとも1つの装入ステーションにおいて、リベット又は仮締結具を上記モジュールに導入する手段と、
加工対象の構造体内に設けられる穴の中にリベット又は仮締結具を設置するように上記少なくとも1つのモジュールをワークステーションに移動させる手段と
を少なくとも備える、マルチタスク装置を提供する。
【0023】
本発明によれば、該装置は、少なくとも1つの所定のコンプライアンス基準に応じて上記リベット又は上記仮締結具のコンプライアンスを検査する手段と、上記検査する手段によってコンプライアントでないと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する手段とを備える。
【0024】
したがって、本発明のこの態様によれば、本発明は、マルチタスク装置内に装入される設置用のリベット又は仮締結具が、実行が望まれる設置動作と実際に合致することを保証し、合致しない場合、非コンプライアントなリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する技法の実施に依拠する。
【0025】
1つの可能な特徴によれば、上記コンプライアンスを検査する手段は、上記リベット又は上記仮締結具の外見を分析し、基準外見に関してそのコンプライアンス又は非コンプライアンスを推定することができる。
【0026】
上記手段により、タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、上記リベット又は仮締結具の外観を分析し、基準外観に関してそのコンプライアンス又は非コンプライアンスを推定するコンプライアンス検査ステップの実行を可能にすることができる。
【0027】
1つの可能な特徴によれば、上記コンプライアンスを検査する手段は、少なくとも1つのカメラと、上記カメラを制御する手段と、上記カメラが撮像した画像を分析する手段とを含み、上記制御手段及び上記分析手段は、上記カメラが撮像したリベット又は仮締結具の画像を基準画像と比較し、そこからリベット又は仮締結具のコンプライアンス/非コンプライアンスを推定することができる。
【0028】
上記手段により、タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、上記カメラによってリベット又は仮締結具の画像を撮像するステップと、上記画像を基準画像と比較するステップと、リベット又は仮締結具のコンプライアンス/非コンプライアンスを推定するステップとの実行を可能にすることができる。
【0029】
1つの可能な特徴によれば、非コンプライアントなリベット又は仮締結具を排出する上記手段は、重力排出手段を含む。
【0030】
上記手段により、タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、リベット又は仮締結具を重力で排出するステップの実行を可能にすることができる。
【0031】
1つの可能な特徴によれば、非コンプライアントなリベットを排出する上記手段は、上記リベット支持モジュールと一体化した非コンプライアントなリベットを把持することが可能な少なくとも1つの把持位置と、上記非コンプライアントなリベットを廃棄ゾーンに向かって放出し得る排出位置との間で移動可能なクランプを含み、上記クランプは、その位置のそれぞれにおいて、締付け状態及び解放状態を取ることが可能である。
【0032】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記クランプが、リベット又は仮締結具、上記リベット又は非コンプライアント締結具支持モジュールと一体化した非コンプライアントなリベット又は仮締結具を把持する把持ステップと、上記クランプが、上記非コンプライアントな仮リベット又は締結具を廃棄ゾーンに放出する排出ステップとを実施するように、上記クランプをその一方の位置から他方の位置に移動させるステップを含むことができ、方法は、クランプを締め付けるステップと、クランプを解放するステップとを含む。
【0033】
1つの可能な特徴によれば、上記クランプは、上記モジュールの軸に対して実質的に平行な軸に沿って、その把持位置と解放位置との間で回転可能に移動可能である。
【0034】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記モジュールの軸に対して本質的に平行な軸に沿って上記クランプを回転可能に移動させるステップを含むことができる。
【0035】
1つの可能な特徴によれば、上記クランプは、上記スピンドルの軸に沿って、少なくとも、
上記クランプが上記リベット支持モジュールの出口端部に近接して延在する引込み位置と、
上記クランプが上記リベット支持モジュールの上記出口端部とは遠隔にある係合解除位置と、
の間で平行移動可能に取り付けられる。
【0036】
これにより、弾性リングによってリベット支持モジュール内に保持されるリベットを、そのクランプからリベットのヘッドを係合解除するように移動させることを可能にすることができる。
【0037】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記モジュールの軸に対して実質的に平行な軸に沿って、上記クランプをその引込み位置と係合解除位置との間で平行移動させるステップを含むことができる。
【0038】
1つの好ましい特徴によれば、塗装なしリベット又は仮締結具を排出する上記手段は、吸引排出手段を含む。
【0039】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、吸引排出手段を含んで、非コンプライアントなリベット又は仮締結具を排出するステップを含むことができる。
【0040】
1つの可能な特徴によれば、非コンプライアントな塗装なしリベット又は仮締結具の上記吸引排出手段は、排出マニホールドと、上記マニホールド内に真空を発生させる手段とを含む。
【0041】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記マニホールド内に真空を発生させるステップを含むことができる。
【0042】
1つの可能な特徴によれば、仮締結具を上記モジュールに導入する上記手段は、上記マニホールドを含む。
【0043】
1つの可能な特徴によれば、本発明に係るマルチタスク装置は、上記マニホールド側に配置される端部とは反対側の、上記非コンプライアントなリベット又は締結具の端部を超えて位置決めすることが可能なプッシャ要素を備える上記吸引排出を始動する手段を備え、上記プッシャ要素は、上記リベット又は上記仮締結具の軸に沿って平行移動可能に取り付けられる。
【0044】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記マニホールド側に配置される端部とは反対側の、上記非コンプライアントなリベット又は締結具の端部を超えてプッシャ要素を位置決めするステップと、上記リベット又は上記仮締結具の軸に沿って上記リベット又は仮締結具に向かって平行移動するステップとを含む、上記吸引排出を始動するステップを含むことができる。
【0045】
1つの可能な特徴によれば、本発明に係るマルチタスク装置は、シーラントを上記リベットに塗布する手段を備える塗装ステーションを備え、上記シーラント塗布手段は、塗装ノズルを含む。
【0046】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、塗装ノズルを用いて上記リベットにシーラントを塗布するステップを含むことができる。
【0047】
1つの可能な特徴によれば、上記重力排出手段は、非コンプライアントな塗装済リベットを排出するように適合されている。
【0048】
1つの可能な特徴によれば、上記吸引排出手段は、非コンプライアントな塗装なしリベット又は非コンプライアントな仮締結具を排出することが可能である。
【0049】
1つの可能な特徴によれば、上記塗装ステーションは、上記塗装ステーションに配置される支持モジュールと一体化したリベットの長さを決定することが可能なフィーラを備える。
【0050】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記塗装ステーションに配置される支持モジュールと一体化したリベットの長さをフィーラによって決定するステップを含むことができる。
【0051】
1つの可能な特徴によれば、上記プッシャ要素は上記フィーラである。
【0052】
1つの可能な代替形態によれば、本発明に係るマルチタスク装置は、少なくとも1つのリベット支持モジュール及び1つの仮締結具支持モジュールを備えるマルチタスク装置を構成し、上記ワークステーション装置は、同じ軸に沿って平行移動式に及び/又は回転可能に駆動し得る単一のスピンドルを備え、上記装置は、上記リベット支持モジュール及び上記仮締結具モジュールを上記ワークステーションに個別に給送する手段を備え、上記単一のスピンドルは、上記ワークステーションに配置されるリベット支持モジュール又は仮締結具モジュールと協働して、リベット又は仮締結具の設置を可能にし得る。
【0053】
タスクを行う方法を実施するために本発明に係る装置が実装される場合、方法は、上記単一のスピンドルを同じ軸に沿って平行移動式に及び/又は回転可能に駆動するステップと、上記リベット支持モジュール及び仮締結具モジュールのそれぞれを上記ワークステーションに個別に給送するステップと、上記単一のスピンドルを、上記ワークステーションに配置されるリベット支持モジュール又は仮締結具モジュールと協働させて、リベット又は仮締結具の設置を可能にするステップとを含むことができる。
【0054】
1つの可能な特徴によれば、上記塗装ステーション、上記仮締結具装入ステーション及び上記非コンプライアントなリベット又は仮締結具の吸引排出手段は、同じステーションに位置する。
【0055】
1つの可能な特徴によれば、上記リベット装入ステーション及び上記非コンプライアントなリベット又は仮締結具の重力排出手段は、同じステーションに位置する。
【0056】
1つの可能な特徴によれば、本発明に係るマルチタスク装置は、
フレームと、
加工対象の構造体に対して少なくとも部分的に空間内で上記装置を移動させることが可能なモータハンドリング手段に上記フレームを取り付ける手段と、
上記装置を上記加工対象の構造体に位置決め及び/又は固定する手段と
を備える。
【0057】
本発明はまた、上述の代替形態のいずれかに係るマルチタスク装置を用いてタスクを行う方法であって、少なくとも1つの所定のコンプライアンス基準に応じて上記リベット又は上記仮締結具のコンプライアンスを検査するステップと、上記検査する手段によって非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出するステップとを含む方法を包含する。
【0058】
本発明の更なる特徴及び利点は、特定の実施形態の以下の説明及び添付図面から明らかになる。以下の説明は、単に例示的で非限定的な例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明に係るマルチタスク装置の一例の斜視図である。
図2】本発明に係るマルチタスク装置の一例の異なる角度からの別の斜視図である。
図3】リベット装入ステーションにおける図1の装置のスピンドルに対して直交する平面に沿った部分断面図である。
図4図3の装置のスピンドルに対して平行な平面に沿った部分断面図である。
図5】仮締結具装入ステーションにおける図1の装置のスピンドルに対して平行な平面に沿った部分断面図である。
図6】更なる図面に使用するために異なる断面及び画角が表される、本発明に係る装置の上面図である。
図7】仮締結具装入ステーションにおける図1の装置のスピンドルに対して平行な平面に沿った部分断面図であり、仮締結具支持モジュールは、仮締結具装入ステーションにある。
図8】仮締結具装入ステーションにおける図1の装置のスピンドルに対して平行な平面に沿った部分断面図であり、リベット支持モジュールは、仮締結具装入ステーションにある。
図9】クランプ及びその駆動手段の詳細斜視図である。
図10】クランプ及びその駆動手段の別の角度からの詳細斜視図である。
図11】クランプ及びその駆動手段の別の角度からの断面詳細図である。
図12】塗装ノズル及びプッシャ要素を移動させる駆動手段の断面図である。
図13図12の詳細図である。
図14】リベット支持モジュールへのリベットの装入の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
6.1 アーキテクチャ
ハンドリング手段に取り付ける手段
本発明に係るマルチタスク装置の一例を図1図14と関連して記載する。
【0061】
これらの図面に表されているように、そのようなマルチタスク装置1はフレーム2を備える。
【0062】
このフレーム2は、モータハンドリング装置(図示せず)に取り付ける手段3を備え、加工対象の構造体(図示せず)に対して少なくとも部分的に移動させることができるように、モータハンドリング装置に固定される。
【0063】
これらのモータハンドリング手段は、特に、
ロボットアームと、
例えば仏国特許第2809034号に記載の原則に従う歩行ロボットと、
例えば国際公開第200349899号に記載の原則に従うデジタルグリッドと
を含む群に属すものである。
【0064】
そのような締結手段3は、それ自体既知であるため説明しない。締結手段3は、例えば、プレート及びボルトタイプシステム、クランプ又はカムシステム等の迅速固定手段を含むことができる。
【0065】
モータハンドリング手段は、加工対象の構造体の表面に対して少なくとも部分的に(特にコントローラが固定されている場合)空間内で、マルチタスク装置を、装置が表面に対して距離をおきながらも近接している少なくとも1つの接近位置と、例えば、固定手段が使用される場合、装置が表面に固定するために表面と接触しているドッキング位置との間で移動させることが可能である。
【0066】
単一の出口スピンドル
装置は、単一の軸に沿って回転可能及び/又は平行移動可能である単一の駆動スピンドル7を備える。
【0067】
装置は、スピンドルをその長手方向軸に沿って回転可能に及び/又は平行移動式に駆動するモータ手段及び伝動装置も備える。これらのモータ手段は、それ自体既知であり、ここではより詳細に説明しない。
【0068】
コントローラ
装置は、典型的には、装置の制御及び動力供給を行う制御及び動力電子機器を備えるコントローラ4を備える。
【0069】
このコントローラ4は、フレーム2から遠隔のキャビネット内に収容され、現場で固定位置に格納されることが好ましい。
【0070】
コントローラ4又はその構成要素のうちの少なくともいくつかは、フレーム2に組み込んでもよい。
【0071】
加工対象の構造体に固定する手段(任意選択)
装置は、任意選択だが好ましくは、加工対象の構造体に固定する手段5を備えることができる。
【0072】
これらの固定手段は種々のタイプのものとすることができる。
【0073】
例えば、固定手段は、フレーム2と一体化し、加工対象の構造体の表面への固定を改善するために、真空ポンプ等の真空手段に接続することが可能な吸引カップ51を含むことができる。これらの吸引カップは、グループ単位で組み付けて吸引パッドを形成することができる。
【0074】
加工対象の構造体に固定する手段を使用しない場合、ハンドリング装置は、フレームを加工対象の構造体に対して位置決めする手段だけでなく、フレームを加工対象の構造体に対して適所に定置する手段も提供することができる。
【0075】
押さえ要素(任意選択)
装置は、任意選択で、管状のプレッサ要素6を備えることができ、プレッサ要素6は、スピンドル51の移動軸に沿ってフレーム2に対して及びその拡張部において平行移動式に取り付けられる。
【0076】
プレッサ要素は、中空管であり、スピンドルは中を通過することができる。
【0077】
そのようなプレッサ要素6は、例えば、ドリル加工動作時に使用することで、ドリル加工対象の構造体に圧縮力を加え、特に、スタックのプレート間の接触を保証し、ドリル加工中にこれらのプレート間にかえり(bavures)が形成されることを回避することができる。
【0078】
機能モジュール
装置は、複数の機能モジュールMFを組み込み得る。
【0079】
これらの機能モジュールMMのそれぞれは、特定のタスク、例えば、ドリル加工及び/又はミリング動作、リベット設置動作、仮締結具設置動作(例えば、ステープル)、シーラントのビードを締結要素(リベット又はねじ)に塗布(又は塗装)する動作等の実行を可能にする。ねじ切り等、他の機能を想定することができる。
【0080】
機能モジュールは、例えば、少なくとも、
ドリル加工及び/又はミリングモジュールと、
リベット支持モジュール(シーラントによる塗装の有無を問わない)と、
仮締結具の支持モジュールと
を含む群に属すものである。
【0081】
航空産業において使用される仮締結具は、少なくとも2つの壁の最終組付けに必要な生産動作、例えば、カウンタドリル加工、又はねじ若しくはリベットの嵌合を実施するために、これらの壁を互いに対して挟み持つ機械部材である。
【0082】
その名の通り、これらの仮締結具は、ねじ又はリベットが壁を組み付ける機能を果たすと取り外される。
【0083】
仮締結具は、壁を最初に相対的に位置決めした後に、壁に空けた穴の中に配置される。
【0084】
仮締結具は、壁のうちの1つの、1つの側部へのアクセスのみを必要とする。
【0085】
そのような機能モジュールは、特に、本出願人が出願した上記特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されている。
【0086】
本実施形態において、装置は、リベット支持モジュール及び仮締結具支持モジュールを備える。しかしながら、装置は、複数のリベット支持モジュール又は複数の仮締結具支持モジュールを備えることもできるし、これらのモジュールの片方を複数備えることもできる。例えば、モジュールは、上述の文献に記載のようなモジュールとすることができる。
【0087】
機能ステーション
装置は、様々な機能ステーションを備える。装置は特に、
引出し(tiroir)又はカルーセル等のリベット供給手段8と、本明細書においてはプッシュシリンダ90を有し、リベットを1つずつリベット支持モジュール10に導入する手段9とを備えるリベット装入ステーションP1と、
仮締結具供給手段11と、仮締結具を1つずつ仮締結具支持モジュールに導入する手段19とを備える仮締結具装入ステーションP2と、
シーラントをリベットに塗布する手段を備え、リベットをシーラントで塗装する塗装ステーションP3であって、シーラント塗布手段は、塗装ノズル13を含む、塗装ステーションP3(この実施形態において、ステーションP2及びP3は同じ場所にあるが、異なる場所にあってもよい)と、
スピンドルの延長部としてのワークステーションP4と
を備える。
【0088】
塗装ノズル13は、シリンダ130によって、リベット支持モジュール10の軸に対して直交する軸に沿って平行移動可能に取り付けられる。また、塗装ノズル13は、モータ減速機131によって、リベット支持モジュール10の軸に対して平行な軸に沿って平行移動可能に取り付けられる。モータ減速機131は、回転不可能に固定され、平行移動自在のねじロッド133と協働するねじリング132を回転可能に駆動し得る。ねじロッド133の端部は、シリンダ130を保持する支持部134に接続される。したがって、モータ減速機131、ねじリング132、及びねじロッド133は、より詳細に後述するように、プッシャ要素18を移動可能に駆動するのに使用されるシリンダ180のピストン182に対してノズル支持部を平行移動式に駆動することが可能な電動シリンダを構成する。シリンダ180の本体は、ねじロッド133と一体化している。ノズルの移動とプッシャ要素の移動とは独立している。
【0089】
装置は、タスクを行うために、様々な組込みモジュールをスピンドル7と位置合わせする手段を備える。そのような手段は、例えば、カルーセル14、カートリッジベルト等を含むことができる。
【0090】
そのような機能ステーション及び機能モジュールを移動させる手段は、特に、本出願人が出願した上記特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されている。
【0091】
リベット又は仮締結具のコンプライアンスを検査する手段
装置は、少なくとも1つの所定のコンプライアンス基準に従ってリベット又は仮締結具のコンプライアンス(conformite、適合性)を検査する手段を備える。
【0092】
所定のコンプライアンス基準は、例えば、
リベット又は仮締結具の直径又は長さ、
シーラント塗布の規則性、適用ターンの幾何学的コンプライアンス、又はねじの直径
とすることができる。
【0093】
コンプライアンス検査手段は、リベット支持モジュールによって組み込まれたリベット又は仮締結具支持モジュールによって組み込まれた仮締結具の外見を分析し、基準外見に関してリベット又は仮締結具のコンプライアンス又は非コンプライアンスを推定することが可能である。
【0094】
この実施形態において、コンプライアンスを制御する手段は、少なくとも1つのカメラ150と、カメラを制御する手段151と、カメラが撮像した画像を分析する手段152とを含む。
【0095】
カメラを制御する手段及びカメラが撮像した画像を分析する手段は、上記カメラが撮像したリベット又は仮締結具の画像を比較し、基準画像と比較し、そこからリベット又は仮締結具のコンプライアンス/非コンプライアンスを推定することが可能である。
【0096】
リベット又は仮締結具の設置動作を実施するとき、コントローラ4は、リベット支持モジュール又は仮締結具支持モジュールに導入されるリベット又は仮締結具が、配置が望まれるリベット又は仮締結具のタイプに合致するように、リベット又は仮締結具の供給を制御する。様々な理由から、リベット又は仮締結具支持モジュールに装入されるリベット又は仮締結具が、実際には正確なタイプでないかもしれないことが、稀ではあるがあり得る。この場合、分析手段は、カメラが撮像したリベット又は仮締結具の画像(複数の場合もある)が基準画像と異なることを検出し、対応するモジュールに装入されるリベット又は仮締結具を非コンプライアントとして分類する。リベットがシーラントで塗装される場合、分析手段は、カメラが撮像した塗装済リベットの画像(複数の場合もある)が基準画像と異なることを検出し、対応するモジュールに装入される塗装済リベットを非コンプライアントとして分類する。
【0097】
この実施形態において、カメラは、仮締結具装入ステーションに位置する。しかしながら、カメラは、他の場所、特にリベット装入ステーション、又はコンプライアンス検査ステーション等の別のステーションに位置してもよい。
【0098】
非コンプライアントなリベット又は仮締結具を排出する手段
装置は、検査手段によって非コンプライアントと識別されたリベット又は仮締結具を廃棄ゾーンに排出する手段を備える。
【0099】
リベット排出
この実施形態において、非コンプライアントなリベットを排出する手段は、重力排出手段を含む。
【0100】
この手段はクランプ16を含み、これは排出クランプとしても知られる。このクランプは、少なくとも、
クランプが、リベット支持モジュールと一体化した非コンプライアントなリベットを把持することが可能な把持位置と、
クランプが、非コンプライアントなリベットを廃棄ゾーン(図3参照)に放出し得る排出位置と
の間で可動である。
【0101】
クランプ16は、モジュールの軸、すなわちスピンドル7の軸に対して本質的に平行な軸に沿ってこれらの位置の間で回転移動可能である。
【0102】
空気圧式シリンダが、軸161の周りのクランプ16の回転を保証するために使用される。このために、空気圧式シリンダは、以下の構成要素を含む駆動系(chaine cinematique)を駆動する。
【0103】
シリンダ162は、離隔した2つの平行な翼部16121を備えるフォーク部1612に平行移動式に結合される。これらの翼部の間にピン1611が位置する。このピンは、クランプの回転軸161に接続された支持部1610自体によって保持される。
【0104】
したがって、シリンダ162は、作動すると、フォーク部1612を平行移動させ、ピン1611を押す。ピンへのこの作用により、軸161が回転するため、クランプが回転する。
【0105】
したがって、シリンダが出るとクランプが把持位置に移動し、シリンダが引っ込むとクランプが排出位置に移動する。
【0106】
軸161は、スピンドルの軸に対して平行な軸に沿ったグリッパの平行移動を可能にするシリンダ1600のピストンである。
【0107】
この実施形態において、クランプは、また、少なくとも、
ピストン161がそのチャンバ1601に入る引込み位置と、
弾性リング100によってリベット支持モジュール内に保持されるリベットの頭部を係合解除する位置であって、リベット支持モジュールの端部からクランプを遠ざける方向に、シリンダのロッド161を、リベットの頭部がリベット支持モジュールの弾性リング100から出るのに十分なストロークにわたって移動させた後に取られる、位置と
の間で軸161の軸に沿って平行移動可能である。
【0108】
クランプは、互いに対して接近し、また離れるように移動し得る2つの顎部163、164を備え、クランプは、その位置のそれぞれにおいて、少なくとも、
顎部が互いに向かって移動してリベットを挟持状態で保持する締付け状態と、
顎部が互いから離れるように移動してリベットを把持又は解放する弛緩状態と
を取ることができる。
【0109】
2つの顎部は、クランプにおいて挟持されるリベットの軸に対して直交する軸に沿って、顎部の状態の一方から他方に切り替えるように互いに対して平行移動可能である。
【0110】
シリンダ165は、顎部の状態の一方から他方に切り替えるように顎部に作用することを可能にする。このシリンダは、そのロッドが、顎部の平行移動軸を通過するとともにこの軸に対して傾斜した平面に対して直交する平面に沿った少なくとも1つの傾斜部167を有するピストン166を備える。この傾斜部は、シリンダのロッドがシリンダのチャンバを離れるように移動すると、顎部のうちの一方を他方から離れるように移動させてクランプを開放するように顎部のうちの一方に作用する。シリンダロッドが引っ込むと、逆の閉じ運動が生じ、必要に応じて復帰ばねによって促進される。
【0111】
1つの好ましい代替形態において、シリンダロッドの端部は、2つの対向して配置された傾斜部を有する。これらの傾斜部のそれぞれは、シリンダロッドが移動すると顎部のうちの一方に作用する。
【0112】
クランプは、クランプが排出位置かつ弛緩状態にある静止状態を取ることができる。
【0113】
仮締結具の排出
この実施形態において、非コンプライアントな仮締結具を排出する手段は、吸引排出手段を含む。
【0114】
より正確には、非コンプライアントな仮締結具の吸引排出手段は、排出マニホールド17と、図示されていない真空ポンプ等のマニホールド内に真空を発生させる手段とを含む。
【0115】
このマニホールド17は、仮締結具装入ステーションP2において開放する。マニホールド17は、非コンプライアントな仮締結具の排出だけでなく、装入ステーションへの仮締結具の供給も可能にする。マニホールド17は、したがって、仮締結具を仮締結具支持モジュールに供給及び導入する手段も部分的に構成する。
【0116】
このマニホールドは、コントローラによって駆動される操縦装置(図示せず)に接続され、操縦装置自体は、種々のタイプの仮締結具をそれぞれ貯蔵する複数の貯蔵ゾーンに接続される。操縦装置は、廃棄ゾーンにも接続される。
【0117】
装置は、非コンプライアントな仮締結具の吸引排出を始動する手段を備える。
【0118】
この始動手段は、マニホールド側に配置される端部とは反対側の非コンプライアントな締結具の端部を超えて位置決めすることが可能なプッシャ要素18を含む。プッシャ要素18は、シリンダ180によってスピンドル7に対して直交する軸に沿って平行移動可能に取り付けられる。プッシャ要素は、上記リベット又は上記仮締結具の軸に沿って、すなわち、機能モジュールの軸に沿って平行移動可能に取り付けられる。このために、シリンダ180は、空気圧式シリンダ184のチャンバ183内で平行移動可能なピストン182の端部に取り付けられる支持部181と一体化している。
【0119】
プッシャ要素18は、フィーラ(palpeur)機能を実行することもでき、その目的は、リベットにシーラントを塗装する際のノズルの開始位置を規定することである。そのような機能は、上記特許文献3においてより詳細に記載されている。この実施形態において、プッシャ要素は2つの機能を有する。プッシャ要素は、吸引排出を始動するだけではない。プッシャ要素は、塗装ステーションにおけるフィーラとしても作用する。プッシャ要素は、そのフィーラ機能において、本出願人が出願した上記特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載の原理に従って、リベットの回転案内を保証するために及びその適切な塗装を可能にするために、リベットの長さを決定するように塗装ステーション(本明細書においては、仮締結具装入ステーション)に配置されるリベット支持モジュールと一体化したリベットの端部に接して止まるまで移動する。
【0120】
排出の代替形態
この実施形態において、重力排出手段は、塗装の有無を問わず、非コンプライアントなリベットの排出を可能にし、吸引排出手段は、非コンプライアントな仮締結具の排出を可能にする。1つの好ましい代替形態において、吸引排出手段は、非コンプライアントかつ塗装なしリベットの排出を可能にする。
【0121】
代替形態において、重力排出手段は、非コンプライアントな仮締結具の排出を可能にし得る。
【0122】
代替構成
この実施形態において、塗装ステーション、仮締結具装入ステーション及び吸引排出手段は、同じステーションに位置する。しかしながら、これらは別様に配置してもよい。
【0123】
この実施形態において、リベット装入ステーション及び重力排出手段は、同じステーションに位置する。しかしながら、これらは別様に配置してもよい。
【0124】
6.2 動作
加工対象の構造体にタスクを行うために、まず、ハンドリング手段を使用して、マルチタスク装置(multi-tasker)を移動させてタスクを行う構造体上に配置する。標示要素は、タスクを行う箇所(複数の場合もある)を標示するために、加工対象の構造体上に事前に設ける又は配置することができる。これらの標示要素は、例えば、既存の穴とすることができる。
【0125】
これらの穴は、エンドエフェクタによって空けられることになる穴の列の位置に熟練のオペレータが空ける。その数は、数十個の空けられる穴に対して1つの既存の穴という程度である。
【0126】
オペレータによる複数の検査により、これらの既存の穴が完全に位置決めされることが保証される。
【0127】
したがって、既存の穴は、組み付けられる、ひいてはカウンタドリル加工される部品の相対位置を維持するために使用される、エンドエフェクタの位置決め用又は仮締結具の設置用の基準として使用することができる。
【0128】
タスクを行う箇所にマルチタスク装置を位置決めした後、マルチタスク装置を、処理対象の構造体の表面から、例えば数センチメートルのオーダーで、いくらか距離を置いて延在する接近位置に配置される。接近位置は、スピンドルの軸が、構造体の表面に対して垂直であり、穴を空けること又は仮締結具若しくはリベットを設置することが望ましい箇所において加工対象の構造体の表面に交差するようになっている。
【0129】
しかしながら、モータハンドリング手段を表面に位置合わせする際の不正確性により、位置補正の可能性に関する検査が必要になる。
【0130】
初期標示要素が既存の穴である場合、ハンドリング手段は、この穴にマルチタスク装置のスピンドルを心出しすることから始め、次に、ドリル加工対象の穴の位置に到達するようにこの穴に対してエンドエフェクタを移動させる。これらの既存のドリル加工される穴の相対的位置決めは、ハンドリング手段の制御手段にとって既知である。
【0131】
表面に対するスピンドルの軸の直交性を検査する手段、例えば、構造体の表面にパターンを投影するレーザに結合されるカメラ等は、スピンドルの軸が表面に対して直交しているか否かを検証するために実装される。直交していない場合、装置の向きを、表面に対するスピンドル軸の傾斜を補正するようにハンドリング手段によって変更する。
【0132】
装置の位置及びスピンドルの直交性が正確であれば、装置をハンドリング手段によってそのドッキング位置に移動する。
【0133】
必要に応じて、固定手段、例えば吸引カップを、加工対象の構造体にフレームを固定するために作動する。
【0134】
固定した後、押さえ要素は、必要に応じて、加工対象の構造体の表面に押し付けるように、加工対象の構造体の表面に向かって移動する。
【0135】
装置が適切に位置決め及び/又は固定されると、実施が望まれる動作に対応するモジュールが、スピンドルの軸に配置され、対になる。
【0136】
リベット設置動作
リベット設置動作を行う前に、加工対象の構造体のリベットを設置する位置に穴を空ける。この穴は面取りされる。
【0137】
リベット200を設置するために、コントローラは、リベット装入ステーションへのリベット支持モジュールの移動を制御する。
【0138】
リベットをリベット支持モジュール10に導入する動作は、以下のステップを伴う。
可撓性リベット給送管401がリベット支持モジュール10から延在するように、コントローラによって駆動されるシリンダ402によって、リベット支持モジュールへの入口の上流に位置するスプール400を位置決めする。
その後、コントローラは、供給及び導入手段を駆動して、設置が望まれるリベットを給送管401に導入する。この設置対象のリベットは、リベットを給送管401内に移動させるために使用される圧縮空気の効果によるいくらかの勢いにより、スプール内に設けられる入口オリフィス403を通って、リベット支持モジュール10内に到着し、リベットは、リベット支持モジュールの出口に対して方向付けられる排出クランプの面と接触すると停止する。クランプは、コントローラによって、把持位置、締付け状態、及び引込み位置に事前に配置されている。引込み位置においてそのシリンダ1600に接続されるクランプ16は、リベットの到着時の衝撃を吸収する。
その後、クランプ16を、シリンダ162の作用によってその排出位置に回転する。
リベットプッシュシリンダ90がリベット支持モジュール10から延在するように、シリンダ402によってスプール400を移動させる。
シリンダ90のロッドがリベット支持モジュール10に入り、リベット200の頭部201が、モジュール10の弾性リング100の周縁係止溝101に係合するように、リベット200を押す。
【0139】
リベットがリベット支持モジュールの適所に入ると、コントローラは、クランプをその静止位置、すなわち解放状態かつ排出位置に戻るように駆動する。
【0140】
リベットをシーラントで塗装することが望ましい場合、コントローラは、塗装ステーションへのリベット支持モジュールの移動を駆動し、その後、リベットを塗装するように塗装手段を駆動する。塗装が完了すると、コントローラは、リベットの少なくとも1つの像を撮影するようにカメラを制御し、これにより、分析手段はリベットがコンプライアントであるか否かを検証することができる。
【0141】
リベットを塗装することが望ましくない場合であっても、コントローラは、塗装ステーションへのリベット支持モジュールの移動を駆動する。コントローラは、リベットの少なくとも1つの像を撮影するようにカメラを制御し、これにより、分析手段はリベットが適切に塗装されているか否かを検証することができる。
【0142】
分析手段によって塗装済又は塗装なしリベットが非コンプライアントとみなされる場合、コントローラは、リベット装入ステーションへのリベット支持モジュールの移動を制御する。コントローラは、クランプを作動させて把持位置に移す。その後、コントローラは、クランプが排出対象のリベットを挟持する締付け状態へのクランプの切替えを制御する。その後、コントローラは、リベット支持型(moule)の弾性リングからリベットを固定解除するように、係合解除位置へのクランプの切替えを駆動する。最後に、コントローラは、クランプを解放状態に配置して非コンプライアントなリベットをその廃棄ゾーンに又は直接床に重力で排出する排出位置へのクランプの移動を駆動する。
【0143】
分析手段によって塗装済又は塗装なしリベットがコンプライアントとみなされる場合、コントローラは、ワークステーションにおけるリベット支持モジュールの移動を制御する。コントローラは、スピンドルがリベット支持モジュールと対になるようにスピンドルを作動させ、その後、リベットを設置することができるようにスピンドルを移動させる。
【0144】
リベットを設置すると、コントローラは、スピンドルの対解除を駆動し、その後、別のリベットの設置が望まれる場合、保持ステーション又はリベット装入ステーションへのリベット支持モジュールの移動を駆動する。
【0145】
仮締結具設置動作
仮締結具300を設置するために、コントローラは、仮締結具装入ステーションへの仮締結具支持モジュールの移動を制御する。その後、コントローラは、給送及び装入手段を駆動して、設置が望まれる仮締結具を仮締結具支持モジュールに導入する。その後、フィーラを使用して、仮締結具を支持モジュール内の正確な高さで止める。その後、係止用手段によって仮締結具を仮締結具ホルダモジュールに係止する。仮締結具が仮締結具支持モジュールの適所に入ると、コントローラは、仮締結具の少なくとも1つの像を撮影するようにカメラを制御し、これにより、分析手段は仮締結具がコンプライアントであるか否かを検証することができる。
【0146】
仮締結具が非コンプライアントとみなされる場合、コントローラは、マニホールド内の吸引作動を制御し、その後、短距離にわたる空気圧式シリンダ184によるマニホールドに向かうフィーラの移動を制御して、パルスを提供し、仮締結具の吸引を促進する。コントローラは、同時に、仮締結具を吸引して排出するように、マニホールドを真空状態に配置することを駆動する。また、コントローラは、特に非コンプライアンスが、誤ったタイプの仮締結具がモジュールに導入されたことが原因であってもその仮締結具が他の機能的欠陥を有しない場合、非コンプライアントな仮締結具を所望のゾーン、例えば、廃棄エリア又は貯蔵エリアに運搬し、非コンプライアントな仮締結具を後に使用することができるように、操縦装置を制御する。
【0147】
分析手段によって仮締結具がコンプライアントとみなされる場合、コントローラは、ワークステーションへの仮締結具支持モジュールの移動を制御する。コントローラは、仮締結具支持モジュールと対になるようにスピンドルを作動させ、その後、仮締結具を設置することができるようにスピンドルを移動させる。
【0148】
仮締結具を設置すると、コントローラは、スピンドルの対解除を駆動し、その後、別の仮締結具の設置が望まれる場合、貯蔵ステーション又は仮締結具装入ステーションへの仮締結具支持モジュールの移動を駆動する。
【0149】
その後、加工対象の構造体の別の部分に同じ場箇所で他のタスクを実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】