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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086142
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】排泄物処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200459
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101GB05
2B101GB06
2B101GB07
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】床を転がりにくい排泄物処理材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】排泄物処理材1は、排泄物を処理するための粒状体10を備えている。粒状体10は、円柱を、当該円柱の中心軸に平行な平面である縦断平面で切断して得られる形状である縦切円柱状をしている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を処理するための粒状体を備え、
前記粒状体は、円柱を、当該円柱の中心軸に平行な平面である縦断平面で切断して得られる形状である縦切円柱状をしていることを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体の表面積は、前記円柱の表面積の50%以上である排泄物処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体の表面積は、前記円柱の表面積の75%以上である排泄物処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、前記円柱を1つの前記縦断平面で切断して得られる前記縦切円柱状をしている排泄物処理材。
【請求項5】
請求項4に記載の排泄物処理材において、
前記縦断平面は、前記中心軸を含む排泄物処理材。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、前記円柱を2つの前記縦断平面で切断して得られる前記縦切円柱状をしている排泄物処理材。
【請求項7】
請求項6に記載の排泄物処理材において、
前記2つの縦断平面は、互いに平行である排泄物処理材。
【請求項8】
請求項7に記載の排泄物処理材において、
前記2つの縦断平面は、前記中心軸を挟んで互いに反対側に存在する排泄物処理材。
【請求項9】
請求項8に記載の排泄物処理材において、
前記2つの縦断平面は、前記中心軸からの距離が互いに等しい排泄物処理材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、有機物を主材料とする排泄物処理材。
【請求項11】
請求項10に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、有機物のみからなる排泄物処理材。
【請求項12】
排泄物を処理するための粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、円柱を当該円柱の中心軸に平行な平面である縦断平面で切断して得られる形状である縦切円柱状の前記粒状体を形成することを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体の表面積が前記円柱の表面積の50%以上となるように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記粒状体の表面積が前記円柱の表面積の75%以上となるように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記円柱を1つの前記縦断平面で切断して得られる前記縦切円柱状の前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記縦断平面は、前記中心軸を含む排泄物処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項12乃至14の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記円柱を2つの前記縦断平面で切断して得られる前記縦切円柱状の前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記2つの縦断平面は、互いに平行である排泄物処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記2つの縦断平面は、前記中心軸を挟んで互いに反対側に存在する排泄物処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記2つの縦断平面は、前記中心軸からの距離が互いに等しい排泄物処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項12乃至20の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物を主材料とする前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物のみからなる前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、動物用の排泄物処理材であり、尿を吸収する複数の粒状体からなる。各粒状体は、円柱状をしている。この排泄物処理材は、複数の粒状体が箱型のトイレに敷設された状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-190026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の粒状体をトイレに敷設する際、当該粒状体がトイレの外にこぼれる場合がある。また、敷設後も、動物に掻き出されたりして粒状体がトイレの外にこぼれる場合がある。粒状体は、円柱状をしているため、床を転がりやすい。それゆえ、従来の排泄物処理材においては、トイレの外にこぼれた粒状体が広範囲に散乱するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、床を転がりにくい排泄物処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、排泄物を処理するための粒状体を備え、上記粒状体は、円柱を、当該円柱の中心軸に平行な平面である縦断平面で切断して得られる形状である縦切円柱状をしていることを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、粒状体が縦切円柱状をしている。この場合、粒状体の側面の一部(縦断平面による切断面に相当する部分)は平面であるため、側面の全体が曲面である場合に比して、粒状体が床を転がりにくくなる。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造方法は、排泄物を処理するための粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程においては、円柱を当該円柱の中心軸に平行な平面である縦断平面で切断して得られる形状である縦切円柱状の上記粒状体を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、粒状体が縦切円柱状に形成される。この場合、粒状体の側面の一部(縦断平面による切断面に相当する部分)は平面であるため、側面の全体が曲面である場合に比して、粒状体が床を転がりにくくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、床を転がりにくい排泄物処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による排泄物処理材の第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1の粒状体10の横断面を示す断面図である。
図3図1の粒状体10の縦断面を示す断面図である。
図4図2及び図3の芯部22を形成する方法の一例を説明するための図である。
図5】本発明による排泄物処理材の第2実施形態を示す斜視図である。
図6図5の粒状体10の横断面を示す断面図である。
図7図5の粒状体10の縦断面を示す断面図である。
図8図6及び図7の芯部22を形成する方法の一例を説明するための図である。
図9図1の粒状体10の変形例を示す断面図である。
図10図5の粒状体10の変形例を示す断面図である。
図11図9の粒状体10を形成する方法の一例を説明するための図である。
図12図10の粒状体10を形成する方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の第1実施形態を示す斜視図である。排泄物処理材1は、排泄物(主に尿)の処理に用いられる排泄物処理材である。排泄物処理材1は、猫や犬等の動物の排泄物の処理に用いられる動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物の処理に用いられる人用の排泄物処理材であってもよい。
【0014】
排泄物処理材1は、排泄物を処理するための粒状体10を備えている。本実施形態において排泄物処理材1は、複数の粒状体10を備えている。ただし、図1においては、1つの粒状体10のみを示している。排泄物処理材1は、例えば、複数の粒状体10が箱型のトイレに敷設された状態で使用される。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、当該粒状体10を内包し得る最小の球の直径として定義される。
【0015】
各粒状体10は、吸水性を有しており、排泄物を吸収することにより当該排泄物を処理する。すなわち、各粒状体10は、その内部に排泄物を取り込んで保持する。粒状体10が吸水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%未満であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体10(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml未満であれば、液通過率が60%未満となるため、粒状体10が吸水性を有するといえる。
【0016】
各粒状体10は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。各粒状体10は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0017】
粒状体10は、縦切円柱状をしている。ここで、縦切円柱状とは、円柱を縦断平面(当該円柱の中心軸に平行な平面)で切断して得られる形状をいう。円柱の中心軸は、当該円柱の両底面の中心を通る仮想的な直線である。粒状体10の表面積は、上記円柱の表面積の50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
【0018】
本実施形態において粒状体10は、円柱を1つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしている。この縦断平面は、上記中心軸を含んでいる。粒状体10は、側面12、並びに底面14及び底面16を有している。側面12は、曲面部分12a、及び平面部分12bからなる。曲面部分12aは、円柱の側面の一部に相当する曲面状をしている。平面部分12bは、縦断平面による切断面に相当する平面状をしている。底面14及び底面16は、円柱の底面の一部に相当する平面状をしている。底面14及び底面16は、互いに合同である。本実施形態において各底面14,16の形状は、略半円である。
【0019】
図2は、粒状体10の横断面(円柱の中心軸に垂直な断面)を示す断面図である。また、図3は、粒状体10の縦断面(円柱の中心軸に平行な断面)を示す断面図である。粒状体10は、芯部22、及び被覆部24を有している。芯部22は、粒状をしている。具体的には、芯部22も、粒状体10と同様、縦切円柱状をしている。芯部22は、排泄物を吸水及び保水する機能を有する。芯部22は、吸水性材料を含有している。芯部22は、吸水性材料を主材料としている。ここで、芯部22の主材料とは、芯部22を構成する1又は2以上の材料(芯部材料)のうち、当該芯部22に占める重量割合が最大のものをいう。
【0020】
芯部22は、吸水性材料のみからなってもよいし、吸水性材料と他の材料とからなってもよい。吸水性材料は、有機物であることが好ましい。有機物である吸水性材料としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類、又はオカラが挙げられる。芯部22は、接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。
【0021】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、又はパルプスラッジが挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0022】
被覆部24は、芯部22を覆っている。被覆部24は、各芯部22の表面の全体を覆っている。被覆部24は、使用時に排泄物を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能(固まり形成機能)を有する。被覆部24も、吸水性材料を主材料としている。ここで、被覆部24の主材料とは、被覆部24を構成する1又は2以上の材料(被覆材料)のうち、当該被覆部24に占める重量割合が最大のものをいう。被覆部24に含有される吸水性材料も、有機物であることが好ましい。被覆部24は、接着性材料を含有している。
【0023】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の第1実施形態として、排泄物処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0024】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。粒状体形成工程は、芯部形成工程、及び被覆部形成工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部22を形成する工程である。本実施形態においては、複数の芯部22を形成する。芯部形成工程においては、造粒装置を用いて芯部材料を造粒することにより、芯部22となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。例えば、図4に示すように、円柱状の造粒物22aを形成した後、造粒物22aを平面P1に沿って切断することにより、縦切円柱状の芯部22が得られる。平面P1は、円柱(造粒物22a)の中心軸を含む上述の縦断平面である。図4は、当該中心軸方向から見た図である。なお、1つの造粒物22aを切断することにより2つの切断片が得られるが、一方の切断片のみを芯部22として用いてもよいし、両方の切断片を芯部22として用いてもよい。
【0025】
被覆部形成工程は、被覆部24を形成する工程である。被覆部形成工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部22の表面に粉体状の被覆材料を均一に付着させることにより、被覆部24を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる排泄物処理材1が得られる。
【0026】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、粒状体10が縦切円柱状に形成される。この場合、粒状体10の側面12の一部(平面部分12b)は平面であるため、側面12の全体が曲面である場合に比して、粒状体10が床を転がりにくくなる。したがって、床を転がりにくい排泄物処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0027】
粒状体10の表面積が大きい方が、排泄物に対する粒状体10の吸収速度を高めるのに有利である。かかる観点から、粒状体10の表面積は、元の円柱の表面積の50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
【0028】
粒状体10は、円柱を1つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしている。この場合、円柱状の造粒物22aを1回切断するだけで縦切円柱状の造粒物(芯部22)が得られるので、粒状体10の形成が容易である。
【0029】
粒状体10は、円柱の中心軸を含む縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしている。この場合、縦断平面による切断面(平面部分12b)の面積を最大化することができる。このように平面部分12bの面積を大きくすることは、粒状体10を転がりにくくするのに有利である。ただし、縦断平面が円柱の中心軸を含むことは、必須でない。粒状体10は、円柱をその中心軸を含まない縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしていてもよい。
【0030】
各粒状体10が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。この場合、使用済みの排泄物処理材1を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザにとっての利便性が向上する。特に各粒状体10が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体10を得ることができる。
【0031】
粒状体10は、吸水性を有しており、排泄物を吸収することにより当該排泄物を処理する。この場合、排泄物を粒状体10の内部に閉じ込めることにより、排泄物から発生した悪臭が周囲に漂うのを抑制することができる。
【0032】
各粒状体10は、芯部22及び被覆部24を有している。この場合、芯部22及び被覆部24に別々の機能を担わせることができる。例えば、本実施形態においては、吸水・保水機能を主に芯部22に担わせ、固まり形成機能を被覆部24に担わせている。
(第2実施形態)
【0033】
図5は、本発明による排泄物処理材の第2実施形態を示す斜視図である。排泄物処理材2は、排泄物(主に尿)の処理に用いられる排泄物処理材である。排泄物処理材2は、猫や犬等の動物の排泄物の処理に用いられる動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物の処理に用いられる人用の排泄物処理材であってもよい。
【0034】
排泄物処理材2は、排泄物を処理するための粒状体10を備えている。本実施形態において排泄物処理材2は、複数の粒状体10を備えている。ただし、図5においては、1つの粒状体10のみを示している。排泄物処理材2は、例えば、複数の粒状体10が箱型のトイレに敷設された状態で使用される。
【0035】
粒状体10は、縦切円柱状をしている。本実施形態において粒状体10は、円柱を2つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしている。2つの縦断平面は、上記円柱内で互いに交わらない位置関係にある。詳細には、2つの縦断平面は、互いに平行であり、円柱の中心軸を挟んで互いに反対側に存在している。また、2つの縦断平面は、上記中心軸からの距離が互いに等しい。粒状体10は、側面12、並びに底面14及び底面16を有している。側面12は、2つの曲面部分12a、及び2つの平面部分12bからなる。曲面部分12aは、円柱の側面の一部に相当する曲面状をしている。2つの曲面部分12aは、互いに合同である。平面部分12bは、縦断平面による切断面に相当する平面状をしている。2つの平面部分12bは、互いに合同である。底面14及び底面16は、円柱の底面の一部に相当する平面状をしている。底面14及び底面16は、互いに合同である。
【0036】
図6は、粒状体10の横断面を示す断面図である。また、図7は、粒状体10の縦断面を示す断面図である。粒状体10は、芯部22、及び被覆部24を有している。芯部22は、粒状をしている。具体的には、芯部22も、粒状体10と同様、縦切円柱状をしている。被覆部24は、芯部22を覆っている。被覆部24は、各芯部22の表面の全体を覆っている。粒状体10のその他の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0037】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の第2実施形態として、排泄物処理材2の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0038】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。粒状体形成工程は、芯部形成工程、及び被覆部形成工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部22を形成する工程である。本実施形態においては、複数の芯部22を形成する。芯部形成工程においては、造粒装置を用いて芯部材料を造粒することにより、芯部22となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。例えば、図8に示すように、円柱状の造粒物22aを形成した後、造粒物22aを平面P2及び平面P3に沿って切断することにより、縦切円柱状の芯部22が得られる。平面P2及び平面P3は、上述の2つの縦断平面である。図8は、円柱(造粒物22a)の中心軸方向から見た図である。
【0039】
被覆部形成工程は、被覆部24を形成する工程である。被覆部形成工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部22の表面に粉体状の被覆材料を均一に付着させることにより、被覆部24を形成する。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる排泄物処理材2が得られる。
【0040】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、粒状体10が縦切円柱状に形成される。この場合、粒状体10の側面12の一部(平面部分12b)は平面であるため、側面12の全体が曲面である場合に比して、粒状体10が床を転がりにくくなる。したがって、床を転がりにくい排泄物処理材2、及びその製造方法が実現されている。
【0041】
粒状体10は、円柱を2つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしている。この場合、粒状体10の側面12に複数の平面部分12bが存在するため、粒状体10が床を一層転がりにくくなる。
【0042】
上記2つの縦断平面は、互いに平行である。この場合、粒状体10の側面12における2つの曲面部分12aが互いに合同な形状になる。このことは、粒状体10ひいては排泄物処理材2の美観の向上に資する。ただし、2つの縦断平面が互いに平行であることは、必須でない。粒状体10は、円柱を互いに平行でない2つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしていてもよい。
【0043】
上記2つの縦断平面は、円柱の中心軸を挟んで互いに反対側に存在している。この場合、2つの縦断平面が上記中心軸の同一側に存在する場合に比して、粒状体10の表面積を大きくとりやすくなる。ただし、2つの縦断平面が円柱の中心軸を挟んで互いに反対側に存在することは、必須でない。粒状体10は、円柱を上記中心軸の同一側に存在する2つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしていてもよい。
【0044】
上記2つの縦断平面は、円柱の中心軸からの距離が互いに等しい。この場合、粒状体10の側面12における平面部分12bも互いに合同な形状になる。このことは、粒状体10ひいては排泄物処理材2の美観の一層の向上に資する。ただし、2つの縦断平面が円柱の中心軸からの距離が互いに等しいものであることは、必須でない。粒状体10は、円柱を上記中心軸からの距離が相異なる2つの縦断平面で切断して得られる縦切円柱状をしていてもよい。排泄物処理材2のその他の効果は、排泄物処理材1と同様である。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、被覆部24が芯部22の表面の全体を覆う場合を例示した。しかし、例えば図9及び図10に示すように、被覆部24は、芯部22の表面の一部にのみを覆っていてもよい。図9及び図10は、それぞれ図2及び図6に対応する断面を示している。両図において被覆部24は、芯部22の側面の曲面部分上に設けられている一方、平面部分上には設けられていない。それゆえ、芯部22は、粒状体10の側面12の平面部分12bに露出している。なお、被覆部24は、芯部22の底面上に設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。このように被覆部24を芯部22の表面の一部にのみ設けることにより、芯部22の表面の残部(被覆部24が設けられていない部分)を粒状体10の表面に露出させることができる。これにより、当該露出部分を通じて、排泄物が速やかに芯部22に達することができる。
【0046】
かかる構造の粒状体10は、例えば、縦切円柱状の芯部22を形成した後、芯部22の一部にのみ被覆材料を付着させることにより形成することができる。あるいは、図11及び図12に示すように、円柱状の造粒物22aの表面全体に被覆材料24aを付着させた後、造粒物22aを縦断平面に沿って切断することによっても、上記構造の粒状体10を形成することができる。図11及び図12は、被覆材料24aが付着した造粒物22aの横断面を示している。図11に示すように造粒物22aを平面P1に沿って切断した場合、図9に示した粒状体10が得られる。一方、図12に示すように造粒物22aを平面P2及び平面P3に沿って切断した場合、図10に示した粒状体10が得られる。
【0047】
上記実施形態においては、各粒状体10が、芯部22及び被覆部24からなる複層構造(二層構造)を有する場合を例示した。しかし、被覆部24を設けることは、必須でない。すなわち、各粒状体10は、被覆されていない造粒物(芯部22)のみからなる単層構造を有していてもよい。その場合、被覆材料が不要となるため、排泄物処理材1,2の製造コストを削減することができる。
【0048】
上記実施形態においては、吸水性を有する粒状体10を例示した。しかし、粒状体10は、疎水性を有しており、排泄物を透過させることにより当該排泄物を処理するものであってもよい。粒状体10が疎水性を有するというには、上述の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。かかる疎水性の粒状体10を用いた場合、排泄物は、粒状体10間の隙間を通過する。この場合、排泄物をトイレの下方に導くことにより、排泄物から発生した悪臭がトイレの上部から外に漏れるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 排泄物処理材
2 排泄物処理材
10 粒状体
12 側面
12a 曲面部分
12b 平面部分
14 底面
16 底面
22 芯部
22a 造粒物
24 被覆部
24a 被覆材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12