(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086150
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20230615BHJP
F26B 9/02 20060101ALI20230615BHJP
D06F 103/34 20200101ALN20230615BHJP
D06F 105/56 20200101ALN20230615BHJP
【FI】
D06F58/38
F26B9/02 A
D06F103:34
D06F105:56
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200470
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】荒川 耕朋
【テーマコード(参考)】
3B167
3L113
【Fターム(参考)】
3B167AC12
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA55
3B167BA82
3B167HA06
3B167HA11
3B167JA41
3B167KA08
3B167KA36
3B167KB16
3B167LA21
3B167LC10
3B167LC14
3B167LC20
3B167LD03
3B167LE07
3B167LF02
3B167LG08
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC07
3L113AC52
3L113AC67
3L113BA14
3L113CA08
3L113CA09
3L113CB04
3L113DA10
3L113DA25
(57)【要約】
【課題】乾燥運転の実行中に高温待機制御を実行する場合において、乾燥運転の終了処理への移行を精度良く判断できる浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法を提供する。
【解決手段】制御部C1は乾燥運転の実行中に、主変数(Hmax-H)が所定の主閾値G1に到達したか否かを判断する主判断処理S103と、特定変数について、最低絶対湿度Hminと特定変数(Hmin_jdg)との差の絶対値が所定の特定閾値G3よりも大きい場合に最低絶対湿度Hminを特定変数(Hmin_jdg)として更新すると定義し、特定変数(Hmin_jdg)が所定回数M1連続して更新されないか否かを判断する特定判断処理S121~S126と、を実行し、主判断処理S103で「Yes」と判断した場合、又は、特定判断処理S126で「Yes」と判断した場合、終了処理S105~S107に移行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を循環させつつ加熱して前記浴室の暖房を行う暖房ユニットと、
前記浴室内の空気を外部に排出して前記浴室の換気を行う換気ユニットと、
前記浴室内の絶対湿度を検出する湿度検出手段と、
前記湿度検出手段から現在の前記絶対湿度である現在絶対湿度を常時取得し、前記暖房ユニットからの暖房と、前記換気ユニットからの換気と、を制御して前記浴室内で衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する制御部と、
を備えた浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法であって、
前記換気ユニットは、前記浴室暖房乾燥機の一部、又は前記浴室暖房乾燥機の外部に設けられ、
前記制御部は、
前記乾燥運転の実行中において、前記浴室内の温度が所定の待機開始温度まで上昇すれば前記暖房ユニットを停止させる高温待機に入り、前記温度が所定の待機終了温度まで下降すれば前記暖房ユニットの作動を再開して前記高温待機から抜ける高温待機制御を実行し、
前記高温待機から抜けて再び前記高温待機に入るまでの期間において最低の前記絶対湿度である最低絶対湿度を取得し、
さらに、前記制御部は、前記乾燥運転の実行中において、
主変数について、少なくとも前記現在絶対湿度に基づいて決定され、前記衣類の乾燥進行度を反映する値と定義し、前記主変数が所定の主閾値に到達したか否かを判断する主判断処理と、
特定変数について、前記最低絶対湿度と前記特定変数との差の絶対値が所定の特定閾値よりも大きい場合に前記最低絶対湿度を前記特定変数として更新すると定義し、前記特定変数が所定回数連続して更新されないか否かを判断する特定判断処理と、を実行し、
前記主判断処理で前記主変数が前記主閾値に到達したと判断した場合、又は、前記特定判断処理で前記特定変数が前記所定回数連続して更新されないと判断した場合、前記乾燥運転を終了する終了処理に移行するように構成されていることを特徴とする浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法。
【請求項2】
前記制御部は、
前記乾燥運転の開始時からの前記絶対湿度の最大値である最大絶対湿度を常時取得し、
前記主判断処理において、前記主変数について、前記最大絶対湿度と前記現在絶対湿度との差であると定義し、前記主変数が前記主閾値以上になったか否かを判断する請求項1記載の浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法。
【請求項3】
前記湿度検出手段は、前記浴室内の前記温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタと、前記浴室内の相対湿度を検出する相対湿度センサと、を用いて前記絶対湿度を検出し、
前記制御部は、前記特定判断処理で前記特定変数が前記所定回数連続して更新されないと判断した場合において、前記相対湿度センサが検出する現在の前記相対湿度が所定の相対湿度閾値以下となったときに、前記終了処理に移行するように構成されている請求項1又は2記載の浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法の一例が開示されている。この乾燥運転制御方法において、浴室暖房乾燥機は、暖房ユニット、換気ユニット、湿度検出手段及び制御部を備えている。
【0003】
暖房ユニットは、浴室内の空気を循環させつつ加熱して浴室の暖房を行う。換気ユニットは、浴室内の空気を外部に排出して浴室の換気を行う。湿度検出手段は、浴室内の絶対湿度を検出する。制御部は、湿度検出手段から現在の絶対湿度である現在絶対湿度を常時取得し、暖房ユニットからの暖房と、換気ユニットからの換気と、を制御して浴室内で衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する。
【0004】
換気ユニットは、浴室暖房乾燥機の一部に設けられている。換気ユニットは、浴室暖房乾燥機の外部に設けられる場合がある。この場合の換気ユニットの具体例としては、家屋に設けられた換気設備が浴室の換気も行う構成や、浴室暖房乾燥機に接続されたダクトに換気ユニットが設けられる中間ダクトファン等の構成が挙げられる。
【0005】
制御部は、乾燥運転の実行中において、特許文献1の
図3のSTEP18により、衣類の乾燥進行度を反映する値である現在絶対湿度が減少して所定の乾燥判定値以下になったか否かを判断し、「YES」の場合にその
図3のSTEP19~20による乾燥運転の終了処理に移行する。
【0006】
また、制御部は、その
図3のSTEP17により、最高絶対湿度及び最低絶対湿度が更新されない時間が所定時間以上になったか否かを判断し、「YES」の場合に上述した終了処理に移行することで、終了処理への移行が遅れる不具合、所謂「遅切れ」を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来の乾燥運転制御方法において、制御部が乾燥運転の実行中に高温待機制御を実行する場合がある。高温待機制御とは、浴室内の温度が所定の待機開始温度まで上昇すれば暖房ユニットを停止させる高温待機に入り、浴室内の温度が所定の待機終了温度まで下降すれば暖房ユニットの作動を再開して高温待機から抜ける制御である。
【0009】
乾燥運転の実行中において、高温待機に入り、その後高温待機から抜けることを繰り返す場合、現在絶対湿度が波打つように変動するおそれがあり、その場合、最高絶対湿度及び最低絶対湿度が更新される頻度が多くなり易い。
【0010】
その結果、制御部は、上記特許文献1の乾燥運転制御方法において、最高絶対湿度及び最低絶対湿度が更新されない時間が所定時間以上になったと判断し難くなり、その結果、実際には衣類の乾燥進行度が充分であるにも関わらず、終了処理への移行が遅れる不具合が発生し易くなる。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、乾燥運転の実行中に高温待機制御を実行する場合において、乾燥運転の終了処理への移行を精度良く判断できる浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、浴室内の空気を循環させつつ加熱して前記浴室の暖房を行う暖房ユニットと、
前記浴室内の空気を外部に排出して前記浴室の換気を行う換気ユニットと、
前記浴室内の絶対湿度を検出する湿度検出手段と、
前記湿度検出手段から現在の前記絶対湿度である現在絶対湿度を常時取得し、前記暖房ユニットからの暖房と、前記換気ユニットからの換気と、を制御して前記浴室内で衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する制御部と、
を備えた浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法であって、
前記換気ユニットは、前記浴室暖房乾燥機の一部、又は前記浴室暖房乾燥機の外部に設けられ、
前記制御部は、
前記乾燥運転の実行中において、前記浴室内の温度が所定の待機開始温度まで上昇すれば前記暖房ユニットを停止させる高温待機に入り、前記温度が所定の待機終了温度まで下降すれば前記暖房ユニットの作動を再開して前記高温待機から抜ける高温待機制御を実行し、
前記高温待機から抜けて再び前記高温待機に入るまでの期間において最低の前記絶対湿度である最低絶対湿度を取得し、
さらに、前記制御部は、前記乾燥運転の実行中において、
主変数について、少なくとも前記現在絶対湿度に基づいて決定され、前記衣類の乾燥進行度を反映する値と定義し、前記主変数が所定の主閾値に到達したか否かを判断する主判断処理と、
特定変数について、前記最低絶対湿度と前記特定変数との差の絶対値が所定の特定閾値よりも大きい場合に前記最低絶対湿度を前記特定変数として更新すると定義し、前記特定変数が所定回数連続して更新されないか否かを判断する特定判断処理と、を実行し、
前記主判断処理で前記主変数が前記主閾値に到達したと判断した場合、又は、前記特定判断処理で前記特定変数が前記所定回数連続して更新されないと判断した場合、前記乾燥運転を終了する終了処理に移行するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の乾燥運転制御方法では、制御部が特定判断処理において、最低絶対湿度と所定の特定閾値とに基づいて更新される特定変数と、特定変数が連続して更新されない回数と、を判断に用いる。これにより、制御部は、高温待機の繰り返しに伴う現在絶対湿度の波打つような変動に惑わされることなく、衣類の乾燥進行度が充分になったことを確実性高く判断できる。その結果、制御部は、終了処理への移行が遅れる不具合を確実性高く抑制できる。
【0014】
したがって、本発明の浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法は、乾燥運転の実行中に高温待機制御を実行する場合において、乾燥運転の終了処理への移行を精度良く判断できる。
【0015】
制御部は、乾燥運転の開始時からの絶対湿度の最大値である最大絶対湿度を常時取得することが望ましい。そして、制御部は、主判断処理において、主変数について、最大絶対湿度と現在絶対湿度との差であると定義し、主変数が主閾値以上になったか否かを判断することが望ましい。
【0016】
この場合、最大絶対湿度と現在絶対湿度との差である主変数は、上記特許文献1の乾燥運転制御方法で用いられる現在絶対湿度と比較して、衣類の乾燥進行度を一層反映できる。
【0017】
湿度検出手段は、浴室内の温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタと、浴室内の相対湿度を検出する相対湿度センサと、を用いて絶対湿度を検出することが望ましい。そして、制御部は、特定判断処理で特定変数が所定回数連続して更新されないと判断した場合において、相対湿度センサが検出する現在の相対湿度が所定の相対湿度閾値以下となったときに、終了処理に移行するように構成されていることが望ましい。
【0018】
この場合、浴室内の温度の変化に対するサーミスタの感度と、浴室内の相対湿度の変化に対する相対湿度センサの感度とが異なることから、浴室内の温度の変化にサーミスタの抵抗値が追従するときの変化速度と、浴室内の相対湿度の変化に相対湿度センサの検出信号が追従するときの変化速度とがずれ易い。このため、湿度検出手段が検出する絶対湿度は、浴室内の実際の絶対湿度の変化に対してばらつきながら追従する場合がある。そのような湿度検出手段の検出特性は、高温待機制御において高温待機に入り、その後高温待機から抜けることを繰り返す場合において、現在絶対湿度の波打つような変動を助長し易く、上記特許文献1の乾燥運転制御方法における「最高絶対湿度及び最低絶対湿度が更新されない時間が所定時間以上になったか否かの判断」において、誤りを誘発し易い。この点、本発明の乾燥運転制御方法によれば、制御部が特定判断処理において、高温待機の繰り返しに伴う現在絶対湿度の波打つような変動に惑わされることなく、衣類の乾燥進行度が充分になったことを確実性高く判断できる。そして、制御部は、特定判断処理で特定変数が所定回数連続して更新されないと判断した場合において、さらに相対湿度センサが検出する現在の相対湿度を用いた判断を行うので、実際には衣類の乾燥進行度が充分でないにも関わらず、乾燥運転の終了処理に移行してしまうことを確実性高く抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法によれば、乾燥運転の実行中に高温待機制御を実行する場合において、乾燥運転の終了処理への移行を精度良く判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例の乾燥運転制御方法が適用された浴室暖房乾燥機の設置状況を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例に係る浴室暖房乾燥機の構造を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施例に係る乾燥運転プログラムのフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施例に係る乾燥運転プログラムのフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施例に係る乾燥運転プログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施例に係り、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の第1例を説明するグラフである。
【
図7】
図7は、実施例に係り、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の第2例を説明するグラフである。
【
図8】
図8は、実施例に係り、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の第3例を説明するグラフである。
【
図9】
図9は、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の比較例を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例)
実施例の乾燥運転制御方法は、
図1及び
図2に示す浴室暖房乾燥機1に適用されている。浴室暖房乾燥機1の乾燥運転制御方法は、本発明の浴室暖房乾燥機の乾燥運転制御方法の具体的態様の一例である。
【0023】
図1に示すように、浴室暖房乾燥機1が設置された住宅は、熱源機9と、浴室BR、脱衣室DR及びトイレWRを含む複数の部屋と、を備えている。
【0024】
熱源機9は、図示しない給水源から供給される水を加熱して温水とし、その温水を住宅内で温水を必要とする部屋、具体的は浴室BRや台所等に供給する。
【0025】
浴室暖房乾燥機1は、浴室BRの天井に設置されている。
図1及び
図2に示すように、浴室暖房乾燥機1は、浴室BRの暖房を行う暖房ユニット2と、浴室BR、脱衣室DR及びトイレWRの換気を行う換気ユニット3と、を備えている。本実施例では、換気ユニット3は、浴室暖房乾燥機1の一部に設けられている。
【0026】
また、浴室暖房乾燥機1は、
図2に示すように、浴室BR内の絶対湿度を検出する湿度検出手段5と、暖房ユニット2及び換気ユニット3を制御する制御部C1と、を備えている。
【0027】
<暖房ユニット>
暖房ユニット2は、ケーシング20、循環ファン21、放熱器22、熱動弁23及び可動ルーバ24を有している。
【0028】
ケーシング20は、浴室BRに連通する図示しない吸込み口及び吹出し口を有している。ケーシング20は、循環ファン21、放熱器22、熱動弁23、可動ルーバ24、湿度検出手段5及び制御部C1を収容している。
【0029】
循環ファン21は、モータ21Mに駆動されて回転し、ケーシング20の図示しない吸込み口から浴室BR内の空気を吸い込み、ケーシング20の図示しない吹出し口からその空気を吹き出すことで、浴室BR内の空気を循環させる。
【0030】
放熱器22は、内部流路を有し、その外面に放熱フィンが複数並んで配置されている。放熱器22の内部流路は、往き配管及び戻り配管を有する温水循環路9Pを経由して熱源機9と接続されている。
【0031】
熱動弁23は、温水循環路9Pの往き配管における放熱器22の近傍に配置されている。熱動弁23は、発熱体を通電加熱してサーモエレメントを膨張させることで、リターンスプリングに抗して開弁する。その一方、熱動弁23は、発熱体への通電を止めてサーモエレメントを自然放熱させることで、リターンスプリングの付勢力によって閉弁する。これにより、熱動弁23は、熱源機9から放熱器22への温水の供給と停止とを切り替える。
【0032】
熱動弁23が開弁した状態で、放熱器22は、熱源機9から温水循環路9Pの往き配管を経由して供給される温水を内部流路に流通させる。循環ファン21の作動によって浴室BR内で循環する空気は、放熱器22の放熱フィンに触れることで加熱される。放熱器22の内部流路を通過した水は、温水循環路9Pの戻り配管を経由して熱源機9に戻される。
【0033】
可動ルーバ24は、ケーシング20の図示しない吹出し口の近傍に配置されている。可動ルーバ24は、ステッピングモータ24Mに駆動されて揺動することにより、暖房ユニット2からの送風方向を変更する。
【0034】
こうして、暖房ユニット2は、循環ファン21の回転により浴室BR内の空気を循環させつつ放熱器22により加熱して、浴室BRの暖房を行う。
【0035】
<換気ユニット>
換気ユニット3は、ケーシング30、換気ファン31及び可動ダンパ32を有している。
【0036】
ケーシング30は、暖房ユニット2のケーシング20に隣接している。ケーシング30は、浴室用吸気口30B、脱衣室用吸気口30D、トイレ用吸気口30W及び排気口30Eを有している。
【0037】
浴室用吸気口30Bは、暖房ユニット2のケーシング20を経由して浴室BRに連通している。脱衣室用吸気口30Dは、
図1に示すダクト39Dを経由して脱衣室DRに連通している。トイレ用吸気口30Wは、
図1に示すダクト39Wを経由してトイレWRに連通している。排気口30Eは、
図1に示す排気ダクト39Eを経由して屋外に連通している。
【0038】
図2に示すように、換気ファン31は、ケーシング30に収容されており、モータ31Mに駆動されて回転する。
【0039】
可動ダンパ32は、浴室用吸気口30Bの近傍に配置されている。可動ダンパ32は、ステッピングモータ32Mに駆動されて揺動することにより、浴室用吸気口30Bの開閉及び開度を調節する。
【0040】
換気ユニット3は、可動ダンパ32が浴室用吸気口30Bを開いた状態で、換気ファン31の回転により浴室BR内の空気を浴室用吸気口30B、排気口30E及び排気ダクト39Eを経由して屋外に排出し、浴室BRの換気を行う。
【0041】
また、換気ユニット3は、換気ファン31の回転により脱衣室DR内の空気をダクト39D、脱衣室用吸気口30D、排気口30E及び排気ダクト39Eを経由して屋外に排出し、脱衣室DRの換気を行う。
【0042】
さらに、換気ユニット3は、換気ファン31の回転によりトイレWR内の空気をダクト39W、トイレ用吸気口30W、排気口30E及び排気ダクト39Eを経由して屋外に排出し、トイレWRの換気を行う。
【0043】
このような換気ユニット3は、浴室BR以外の部屋、具体的には脱衣室DR及びトイレWRの換気も同時に行うことにより、浴室BRを換気するときの換気風量が変わる場合がある。
【0044】
<湿度検出手段>
湿度検出手段5は、ケーシング20の図示しない吸込み口の近傍に配置されている。湿度検出手段5は、サーミスタ5A及び相対湿度センサ5Bを有している。
【0045】
サーミスタ5Aは、浴室BR内の温度Tbrに応じて抵抗値が変化することにより、浴室BR内の温度Tbrを検出する。
【0046】
相対湿度センサ5Bは、浴室BR内の相対湿度を検出する。本実施例では、相対湿度センサ5Bは、吸湿及び脱湿する感湿素子として塩化リウチム、セラミックス、高分子等を使用し、水蒸気量の変化を電気抵抗又は電気容量の変化として測定する周知のセンサである。
【0047】
湿度検出手段5は、サーミスタ5Aが検出した浴室BR内の温度Tbrと、相対湿度センサ5Bが検出した浴室BR内の相対湿度と、を用いる換算式によって、浴室BR内の絶対湿度を算出する。
【0048】
なお、湿度検出手段5は、以下に説明する検出特性を有している。すなわち、湿度検出手段5において、浴室BR内の温度Tbrの変化に対するサーミスタ5Aの感度と、浴室BR内の相対湿度の変化に対する相対湿度センサ5Bの感度とが異なることから、浴室BR内の温度Tbrの変化にサーミスタ5Aの抵抗値が追従するときの変化速度と、浴室BR内の相対湿度の変化に相対湿度センサ5Bの検出信号が追従するときの変化速度とがずれ易い。このため、湿度検出手段5が検出する絶対湿度は、浴室BR内の実際の絶対湿度の変化に対してばらつきながら追従する場合がある。
【0049】
<制御部>
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部C1Mと、制御対象との間で信号の送受信を行うインタフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。
【0050】
記憶部C1Mは、浴室暖房乾燥機1を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部C1Mは、浴室暖房乾燥機1の動作中において制御部C1が取得する各種情報を適宜記憶する。記憶部C1Mが記憶するプログラムには、
図3~
図5に示す「乾燥運転プログラム」が含まれる。
【0051】
制御部C1は、湿度検出手段5の検出結果、具体的には、浴室BR内の温度Tbr、浴室BR内の相対湿度、及び浴室BR内の絶対湿度を取得する。
【0052】
また、制御部C1は、暖房ユニット2について、熱動弁23の開弁及び閉弁の切り替えと、モータ21M及びステッピングモータ24Mの作動及び停止とを制御する。
【0053】
さらに、制御部C1は、換気ユニット3について、モータ31M及びステッピングモータ32Mの作動及び停止を制御する。
【0054】
図1に示すように、脱衣室DR等には、ユーザが浴室暖房乾燥機1に対する操作入力を行うためのリモコン7が設置されている。リモコン7は、常時換気スイッチ、暖房スイッチ、浴室換気スイッチ、乾燥運転スイッチ等の各種のスイッチを有している。トイレWRには、照明の点灯と消灯とを切り替えるトイレスイッチ8が設置されている。
【0055】
制御部C1は、リモコン7が受ける操作入力の情報と、トイレスイッチ8のON/OFF信号と、を取得し、暖房ユニット2及び換気ユニット3のそれぞれの運転を制御する。
【0056】
例えば、常時換気スイッチがONになると、制御部C1は、換気ユニット3について、可動ダンパ32を所定の中開度に開いた状態にして、換気ファン31を所定回転数で継続作動させ、浴室BR、脱衣室DR及びトイレWRの換気を行う。この際、トイレスイッチ8がONになると、制御部C1は、可動ダンパ32の開度を減少させると共に換気ファン31の回転数を増加させ、トイレWRの換気風量を増加させる。
【0057】
暖房スイッチがONになると、制御部C1は、暖房ユニット2について、熱動弁23を開弁させて放熱器22に温水を供給するとともに循環ファン21を作動させ、浴室BRの暖房を行う。この際、制御部C1は、浴室BR内の暖かい空気が屋外に排出されることを抑制するため、状況に応じて可動ダンパ32の開閉及び開度を調節する。
【0058】
浴室換気スイッチがONになると、制御部C1は、換気ユニット3について、可動ダンパ32を全開開度に開いた状態にして換気ファン31を作動させ、浴室BRの換気を行う。
【0059】
<乾燥運転>
乾燥運転スイッチがONになると、制御部C1は、
図3~
図5に示す乾燥運転プログラムを開始し、暖房ユニット2からの暖房と、換気ユニット3からの換気と、を制御して、浴室BR内で衣類を乾燥させる乾燥運転を実行する。
【0060】
なお、制御部C1は、乾燥運転の実行中において浴室BR内の温度Tbrが高温になり過ぎることを抑制するため、
図4に示すステップS117と、
図5に示すステップS118、S131~S133とによって、高温待機制御を実行する。
【0061】
高温待機制御は、浴室BR内の温度Tbrが所定の待機開始温度Tw1まで上昇すれば暖房ユニット2を停止させる高温待機に入り、浴室BR内の温度Tbrが所定の待機終了温度Tw2まで下降すれば暖房ユニット2の作動を再開して高温待機から抜ける制御である。本実施例では一例として、待機開始温度Tw1=50.0℃、待機終了温度Tw2=49.0℃に設定されている。
【0062】
制御部C1は乾燥運転を開始すると、
図3に示すステップS101において、循環ファン21を作動させ、可動ダンパ32を中開度に開いた状態で換気ファン31を作動させ、熱動弁23を開弁させ、熱源機9に作動を指示する。これにより、暖房ユニット2が浴室BRの暖房を開始し、換気ユニット3が浴室BRの換気を開始する。
【0063】
次に、制御部C1はステップS102に移行し、浴室BR内の温度Tbr、現在相対湿度Hr、現在絶対湿度H、最大絶対湿度Hmax、及び絶対湿度判定値H_jdgの取得を開始する。
【0064】
制御部C1は、浴室BR内の温度Tbr、現在相対湿度Hr、現在絶対湿度Hを常時取得する。現在相対湿度Hrは、相対湿度センサ5Bが検出する現在の相対湿度である。現在絶対湿度Hは、湿度検出手段5が検出する現在の絶対湿度である。
【0065】
制御部C1は、現在絶対湿度Hの変化を常時監視し、現在絶対湿度Hが最も大きくなる毎に最大絶対湿度Hmaxを更新する。
【0066】
絶対湿度判定値H_jdgは副変数である。制御部C1は、後述する副判断処理(ステップS111~S113)において所定の条件を満たしたときに、現在絶対湿度Hを副変数(絶対湿度判定値H_jdg)として更新する。
【0067】
次に、制御部C1はステップS103に移行する。ステップS103は主判断処理である。制御部C1は、ステップS103において、主変数について、少なくとも現在絶対湿度Hに基づいて決定され、衣類の乾燥進行度を反映する値、すなわち、最大絶対湿度Hmaxと現在絶対湿度Hとの差、と定義する。そして、制御部C1は、主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)が所定の主閾値G1に到達したか否か、より詳しくは、主閾値G1以上になったか否かを判断する。
【0068】
主閾値G1は、所謂乾燥判定値であり、開発段階で実施される乾燥状態評価試験の試験結果等に基づいて、乾燥進行度の誤判断を抑制する値となるように予め設定されている。
【0069】
ステップS103において「Yes」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断し、ステップS105に移行する。その一方、ステップS103において「No」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分でないと判断し、
図4に示すステップS111に移行する。
【0070】
図3に示すステップS105~S107は、終了処理である。つまり、制御部C1は、主判断処理(ステップS103)で「Yes」となった場合、終了処理(ステップS105~S107)に移行する。
【0071】
ステップS103からステップS105に移行すると、制御部C1は、残時間を決定する。残時間は、例えば、10分~30分程度である。
【0072】
次に、制御部C1はステップS106に移行し、残時間が終了するまでステップS106を繰り返し、残時間が終了したときにステップS107に移行する。
【0073】
制御部C1はステップS107に移行すると、循環ファン21及び換気ファン31を停止させ、熱動弁23を閉弁させ、熱源機9に停止を指示する。これにより、暖房ユニット2が浴室BRの暖房を終了し、換気ユニット3が浴室BRの換気を終了する。そして、制御部C1は
図3~
図5に示す乾燥運転プログラムを終了する。
【0074】
図4に示すステップS111~S113は副判断処理である。
図3に示すステップS103から
図4に示すステップS111に移行すると、制御部C1は、現在絶対湿度Hと副変数(絶対湿度判定値H_jdg)との差の絶対値が所定の副閾値G2よりも大きいか否かを判断する。
【0075】
副閾値G2は、開発段階で実施される乾燥状態評価試験の試験結果等に基づいて、乾燥進行度の誤判断を抑制する値となるように予め設定されている。本実施例では一例として、副閾値G2=0.25に設定されている。
【0076】
ステップS111において「Yes」の場合、制御部C1はステップS112に移行し、現在絶対湿度Hを副変数(絶対湿度判定値H_jdg)として更新した後、ステップS113に移行する。
【0077】
その一方、ステップS111において「No」の場合、制御部C1はステップS113に移行する。
【0078】
ステップS111又はステップS112からステップS113に移行すると、制御部C1は、副変数(絶対湿度判定値H_jdg)が所定時間T1以上更新されないか否かを判断する。
【0079】
所定時間T1は、開発段階で実施される乾燥状態評価試験の試験結果等に基づいて、乾燥進行度の誤判断を抑制する値となるように予め設定されている。本実施例では一例として、所定時間T1=10分に設定されている。
【0080】
ステップS113において「Yes」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断し、ステップS114に移行する。その一方、ステップS113において「No」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分でないと判断し、ステップS117に移行する。
【0081】
つまり、制御部C1は、副判断処理(ステップS111~S113)において、副変数について、現在絶対湿度Hと副変数(絶対湿度判定値H_jdg)との差の絶対値が所定の副閾値G2よりも大きい場合に現在絶対湿度Hを副変数(絶対湿度判定値H_jdg)として更新すると定義する。そして、制御部C1は、副変数(絶対湿度判定値H_jdg)が所定時間T1以上更新されないか否かを判断する。
【0082】
ステップS113からステップS114に移行すると、制御部C1は、現在相対湿度Hrが所定の相対湿度閾値G4以下となったか否かを判断する。相対湿度閾値G4は、主閾値G1とは異なる観点から乾燥進行度を評価する乾燥判定値である。
【0083】
相対湿度閾値G4は、開発段階で実施される乾燥状態評価試験の試験結果等に基づいて、乾燥進行度の誤判断を抑制する値となるように予め設定されている。
【0084】
ステップS114において「Yes」の場合、制御部C1は、ステップS113において衣類の乾燥進行度が充分になったと判断したことが正しいと判断し、
図3に示す終了処理(ステップS105~S107)に移行する。
【0085】
つまり、制御部C1は、副判断処理(ステップS111~S113)で副変数(絶対湿度判定値H_jdg)が所定時間T1以上更新されないと判断した場合、ステップS114を経由して、終了処理(ステップS105~S107)に移行する。
【0086】
その一方、
図4に示すステップS114において「No」の場合、制御部C1は、ステップS113において衣類の乾燥進行度が充分になったと判断したことが誤りであると判断し、ステップS117に移行する。
【0087】
ステップS113又はステップS114からステップS117に移行すると、制御部C1は、浴室BR内の温度Tbrが所定の待機開始温度Tw1よりも大きいか否かを判断する。この際、制御部C1は誤判断を抑制するため、浴室BR内の温度Tbrが所定の待機開始温度Tw1よりも大きい状態が1分経過したか否かを判断する。
【0088】
ステップS117において「Yes」の場合、制御部C1は、高温待機を開始する必要があると判断し、
図5に示すステップS118に移行する。
【0089】
その一方、
図4に示すステップS117において「No」の場合、制御部C1は、高温待機を開始する必要がないと判断し、
図3に示すステップS103に戻る。
【0090】
図4に示すステップS117から
図5に示すステップS118に移行すると、制御部C1は、熱動弁23を閉弁させて暖房ユニット2を停止させることにより、高温待機に入る。そして、制御部C1はステップS121に移行する。
【0091】
ステップS121~S126は特定判断処理である。制御部C1はステップS121に移行すると、高温待機に2回以上入ったか否かを判断する。
【0092】
高温待機に初めて入った場合、ステップS121において「No」となってステップS131に移行する。その一方、高温待機に2回以上入った場合、ステップS121において「Yes」となってステップS122に移行する。ステップS122~S127の処理内容については後述する。
【0093】
ステップS121からステップS131に移行すると、制御部C1は、主判断処理(ステップS103)と同じ判断を行う。
【0094】
ステップS131において「Yes」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断し、
図3に示す終了処理(ステップS105~S107)に移行する。その一方、
図5に示すステップS131において「No」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分でないと判断し、ステップS132に移行する。
【0095】
制御部C1はステップS132に移行すると、浴室BR内の温度Tbrが所定の待機終了温度Tw2よりも小さいか否かを判断する。
【0096】
ステップS132において「Yes」の場合、制御部C1は、高温待機を終了する必要があると判断し、
図5に示すステップS133に移行する。
【0097】
その一方、ステップS132において「No」の場合、制御部C1は、高温待機を終了する必要がないと判断し、ステップS131、S132を繰り返す。
【0098】
ステップS132からステップS133に移行すると、制御部C1は、熱動弁23を開弁させて暖房ユニット2を作動させることにより、高温待機を終了する。
【0099】
次に、制御部C1はステップS134に移行し、最低絶対湿度Hminの取得を開始した後、
図3に示すステップS103に戻る。最低絶対湿度Hminは、高温待機から抜けて再び高温待機に入るまでの期間において最低の絶対湿度である。制御部C1は、現在絶対湿度Hが最も低くなる毎に最低絶対湿度Hminを更新する。最低絶対湿度Hminは、
図5に示すステップS122に移行するまでは確定しない。
【0100】
ステップS121からステップS122に移行すると、制御部C1は高温待機から抜けて再び高温待機に入ったと判断し、最低絶対湿度Hminを確定させる。
【0101】
次に、制御部C1はステップS123に移行し、最低絶対湿度Hminと最低絶対湿度判定値Hmin_jdgとの差の絶対値が所定の特定閾値G3よりも大きいか否かを判断する。
【0102】
最低絶対湿度判定値Hmin_jdgは特定変数である。特定閾値G3は、開発段階で実施される乾燥状態評価試験の試験結果等に基づいて、乾燥進行度の誤判断を抑制する値となるように予め設定されている。本実施例では一例として、特定閾値G3=0.25に設定されている。
【0103】
ステップS123において「Yes」の場合、制御部C1はステップS124に移行し、最低絶対湿度Hminを特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)として更新するとともにカウンタ変数N1=0にした後、ステップS131に移行する。カウンタ変数N1は、特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が連続して更新されない回数である。
【0104】
その一方、ステップS123において「No」の場合、制御部C1はステップS125に移行し、カウンタ変数N1に1を加算する。
【0105】
次に、制御部C1はステップS126に移行し、特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が連続して更新されない回数(カウンタ変数N1)が所定回数M1以上であるか否かを判断する。
【0106】
所定回数M1は、開発段階で実施される乾燥状態評価試験の試験結果等に基づいて、乾燥進行度の誤判断を抑制する値となるように予め設定されている。本実施例では一例として、所定回数M1=3回に設定されている。
【0107】
ステップS126において「Yes」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断し、ステップS127に移行する。その一方、ステップS126において「No」の場合、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分でないと判断し、ステップS131に移行する。
【0108】
つまり、制御部C1は、特定判断処理(ステップS121~S126)において、特定変数について、最低絶対湿度Hminと特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)との差の絶対値が所定の特定閾値G3よりも大きい場合に最低絶対湿度Hminを特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)として更新すると定義する。そして、制御部C1は、特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が所定回数M1連続して更新されないか否かを判断する。
【0109】
ステップS126からステップS127に移行すると、制御部C1は、現在相対湿度Hrが所定の相対湿度閾値G4以下となったか否かを判断する。相対湿度閾値G4は、
図4に示すステップS114と同じである。
【0110】
図5に示すステップS127において「Yes」の場合、制御部C1は、ステップS126において衣類の乾燥進行度が充分になったと判断したことが正しいと判断し、
図3に示す終了処理(ステップS105~S107)に移行する。
【0111】
つまり、制御部C1は、特定判断処理(ステップS121~S126)で特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が所定回数M1連続して更新されないと判断した場合、ステップS127を経由して、終了処理(ステップS105~S107)に移行する。
【0112】
その一方、
図5に示すステップS127において「No」の場合、制御部C1は、ステップS126において衣類の乾燥進行度が充分になったと判断したことが誤りであると判断し、ステップS131に移行する。
【0113】
<乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の第1例>
図6に示すように、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度Hの変化の第1例は、浴室BRの換気風量が乾燥運転の開始から終了まで殆ど変わらない場合の例である。
【0114】
第1例において、第1段階A1では、衣類から湿気が多量に放出されるため、現在絶対湿度Hが上昇する。第2段階A2では、衣類からの湿気の放出と、浴室BRからの湿気の排出とのバランスがほぼ同じになり、現在絶対湿度Hが変化し難くなる。
【0115】
第3段階A3では、衣類からの湿気の放出が徐々に少なくなり、現在絶対湿度Hが低下する。そして、第4段階A4では、主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)が所定の主閾値G1に到達する。その結果、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断できる。
【0116】
<乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の第2例>
図7に示すように、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度Hの変化の第2例は、衣類の種類や量、外気の温度や湿度等の影響によって浴室BRの換気風量が多い場合の例である。
【0117】
第2例において、第1段階B1及び第2段階B2は、第1例における第1段階A1及び第2段階A2と同様である。第3段階B3では、衣類からの湿気の放出が徐々に少なくなり、現在絶対湿度Hが低下する。しかし、衣類の種類や量、外気の温度や湿度等の影響によって浴室BRの換気風量が多いことにより、主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)が所定の主閾値G1に到達しない。
【0118】
第4段階B4では、現在絶対湿度Hの変化が殆ど無くなり、副変数(絶対湿度判定値H_jdg)が更新されなくなる。そして、第5段階B5では、副変数(絶対湿度判定値H_jdg)が所定時間T1以上更新されない状態となる。その結果、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断できる。また、制御部C1は、実際には衣類の乾燥進行度が充分でないにも関わらず、衣類の乾燥進行度が充分であると誤判断して終了処理(ステップS105~S107)に移行してしまうことを抑制できる。
【0119】
<乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の第3例>
図8に示すように、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度Hの変化の第3例は、高温待機に入り、その後高温待機から抜けることを繰り返す場合の例である。
【0120】
第3例において、第1段階C1及び第2段階C2は、第1例における第1段階A1及び第2段階A2と同様である。第3段階C3では、衣類からの湿気の放出が徐々に少なくなり、現在絶対湿度Hが低下する。
【0121】
第4段階C4では、高温待機に入り、その後高温待機から抜けることを繰り返すことにより、現在絶対湿度Hが波打つように変動するおそれがある。特に、サーミスタ5A及び相対湿度センサ5Bを有する湿度検出手段5の検出特性は、高温待機に入り、その後高温待機から抜けることを繰り返す場合において、現在絶対湿度Hの波打つような変動を助長し易い。主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)は、所定の主閾値G1に到達しない。また、副変数(絶対湿度判定値H_jdg)も更新され続ける。
【0122】
第5段階C5では、現在絶対湿度Hの波打つような変動が継続するが、特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が更新されなくなる。そして、第6段階C6では、特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が所定回数M1連続して更新されない状態となる。その結果、制御部C1は、衣類の乾燥進行度が充分になったと判断できる。また、制御部C1は、現在絶対湿度Hの波打つような変動に惑わされて終了処理(ステップS105~S107)への移行が遅れる不具合を確実性高く抑制できる。
【0123】
<乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度の変化の比較例>
図9に示すように、乾燥運転の開始から終了までにおける現在絶対湿度Hの変化の比較例は、浴室BRの換気風量が乾燥運転の途中で減少する場合において、上記特許文献1の乾燥運転制御方法における「最高絶対湿度及び最低絶対湿度が更新されない時間が所定時間以上になったか否かの判断(STEP17)」と同様の判断を行う例である。
【0124】
比較例において、第1段階D1及び第2段階D2は、第1例における第1段階A1及び第2段階A2と同様である。第3段階D3では、衣類からの湿気の放出が徐々に少なくなり、現在絶対湿度Hが低下する。最低絶対湿度Hminは所定時間未満で更新される。
【0125】
しかし、第3段階D3の最後に浴室BRの換気風量が減少することにより、第4段階D4では、衣類からの湿気の放出が浴室BRからの湿気の排出よりも優勢となり、現在絶対湿度Hが上昇する。このため、主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)が所定の主閾値G1に到達しない。
【0126】
そして、第5段階D5では、最大絶対湿度Hmax及び最低絶対湿度Hminが所定時間以上更新されない状態となる。その結果、上記特許文献1の乾燥運転制御方法と同様の判断を行う比較例では、制御部C1は、実際には衣類の乾燥進行度が充分でないにも関わらず、衣類の乾燥進行度が充分であると誤判断し、終了処理(ステップS105~S107)に移行してしまう問題がある。
【0127】
<作用効果>
実施例の浴室暖房乾燥機1の乾燥運転制御方法では、
図5に示すように、制御部C1が特定判断処理(ステップS121~S126)において、最低絶対湿度Hminと所定の特定閾値G3とに基づいて更新される特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)と、特定変数(最低絶対湿度判定値Hmin_jdg)が連続して更新されない回数(カウンタ変数N1)と、を判断に用いる。
【0128】
これにより、制御部C1は、高温待機の繰り返しに伴う現在絶対湿度Hの波打つような変動に惑わされることなく、衣類の乾燥進行度が充分になったことを確実性高く判断できる。その結果、制御部C1は、終了処理(ステップS105~S107)への移行が遅れる不具合を確実性高く抑制できる。
【0129】
したがって、実施例の浴室暖房乾燥機1の乾燥運転制御方法は、乾燥運転の実行中に高温待機制御(ステップS117、S118、S131~S133)を実行する場合において、乾燥運転の終了処理(ステップS105~S107)への移行を精度良く判断できる。
【0130】
また、この乾燥運転制御方法において、
図3に示すように、制御部C1は主判断処理(ステップS103)で、主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)が主閾値G1以上になったか否かを判断する。このような主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)は、上記特許文献1の乾燥運転制御方法で用いられる現在絶対湿度Hと比較して、衣類の乾燥進行度を一層反映できる。
【0131】
さらに、この乾燥運転制御方法において、
図2に示すように、湿度検出手段5は、サーミスタ5Aと相対湿度センサ5Bとを用いて、浴室BR内の絶対湿度を検出する。この構成により、上述したように、湿度検出手段5が検出する絶対湿度は、浴室BR内の実際の絶対湿度の変化に対してばらつきながら追従する場合がある。そのような湿度検出手段5の検出特性は、高温待機に入り、その後高温待機から抜けることを繰り返す場合において、現在絶対湿度Hの波打つような変動を助長し易く、上記特許文献1の乾燥運転制御方法における「最高絶対湿度及び最低絶対湿度が更新されない時間が所定時間以上になったか否かの判断(STEP17)」において、誤りを誘発し易い。この点、実施例の乾燥運転制御方法によれば、
図5に示すように、制御部C1が特定判断処理(ステップS121~S126)において、高温待機の繰り返しに伴う現在絶対湿度Hの波打つような変動に惑わされることなく、衣類の乾燥進行度が充分になったことを確実性高く判断できる。そして、制御部C1は、ステップS126において「Yes」となった場合に、さらにステップS127で現在相対湿度Hrを用いた判断を行うので、実際には衣類の乾燥進行度が充分でないにも関わらず、終了処理(ステップS105~S107)に移行してしまうことを確実性高く抑制できる。
【0132】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0133】
実施例では、換気ユニット3が浴室暖房乾燥機1の一部に設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、本発明に係る換気ユニットは、浴室暖房乾燥機の外部に設けられ、浴室と可動ダンパを介して連通し、浴室内の空気を外部に排出する経路の一部を構成してもよい。この場合の換気ユニットの具体例としては、家屋に設けられた換気設備が浴室の換気も行う構成や、浴室暖房乾燥機に接続されたダクトに換気ユニットが設けられる中間ダクトファン等の構成が挙げられる。また、それらの構成において常時換気を行い、可動ダンパの開閉及び開度を調節することで、浴室の換気の実行及び停止、浴室の換気風量の変更を行ってもよい。
【0134】
実施例では、制御部C1は、主判断処理(ステップS103)において、主変数(最大絶対湿度Hmax-現在絶対湿度H)が所定の主閾値G1以上になったか否かを判断するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部C1は、主変数について、現在絶対湿度Hであると定義し、主変数(現在絶対湿度H)が主閾値である乾燥判定値以下になったか否かを判断してもよい。
【0135】
実施例において、ステップS111~S114を無くし、ステップS103において「Yes」の場合に直ちにステップS117に移行する構成、すなわち副判断処理を実行しない構成も、本発明に含まれる。
【0136】
実施例において、ステップS127を無くし、ステップS126において「Yes」の場合に直ちに終了処理(ステップS105~S107)に移行する構成も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は例えば、住宅や施設等に設置された浴室に利用可能である。
【符号の説明】
【0138】
1…浴室暖房乾燥機
BR…浴室
2…暖房ユニット
5…湿度検出手段
H…現在絶対湿度
C1…制御部
3…換気ユニット
Tbr…浴室内の温度
Tw1…所定の待機開始温度
Tw2…所定の待機終了温度
S117、S118、S131~S133…高温待機制御
Hmin…最低絶対湿度
G1…所定の主閾値
S103…主判断処理
G3…所定の特定閾値
M1…所定回数
S121~S126…特定判断処理
S105~S107…終了処理
Hmax…最大絶対湿度
5A…サーミスタ
5B…相対湿度センサ
Hr…相対湿度センサが検出する現在の相対湿度(現在相対湿度)
G4…所定の相対湿度閾値