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特開2023-86190プレハブ式マンホール構造体及びその施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086190
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】プレハブ式マンホール構造体及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
E02D29/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200541
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183392
【氏名又は名称】住友電設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593081187
【氏名又は名称】辰野株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521541778
【氏名又は名称】東北藤村クレスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】河村 寛
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BA00
(57)【要約】
【課題】従来のプレハブ式マンホール構造体を抜本的に見直し、そのダウンサイジングとこれに基づくプレハブマンホールの新たな施工方法の提供を図る。
【解決手段】 互いに接続された複数のコンクリート製のセグメントによって構成されたプレハブ式マンホール構造体。底部12と壁部13と天部14とを有する昇降作業用区間21とトンネル区間31とを備える。昇降作業用区間21は昇降用ホール用の蓋支持筒部49を備える。トンネル区間31は左右の昇降作業用区間21の間に配置される。トンネル区間31の底部12から天部14までの高さは、昇降作業用区間21の天部14の高さよりも低く、(B)の従来の天部14の高さよりも低いが、地表からのトンネル区間31の天部14までの距離は、(B)の従来の地表から天部14までの距離と略等しい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続された複数のコンクリート製のセグメントによって構成され、
底部と前後の側壁部と天部とを備えた角筒状区間が左右方向に設けられ、その少なくとも一つの前記角筒状区間の前記天部に昇降用ホールが形成されたプレハブ式マンホール構造体において、
前記角筒状区間は、
前記昇降用ホールの少なくとも一部を備えた昇降作業用区間と、前記昇降作業用区間に連設されたトンネル区間とを備え、
前記トンネル区間の前記天部の高さは、前記昇降作業用区間の前記天部の高さよりも低いことを特徴とするプレハブ式マンホール構造体。
【請求項2】
前記昇降用ホールは、前記プレハブ式マンホール構造体の左右両端側に設置され、
左右両端に前記昇降作業用区間が配置され、左右の前記昇降作業用区間の間に複数の前記トンネル区間が配置され、
前記昇降用ホールが前記プレハブ式マンホール構造体の左右両端側に配置されたことによって、敷設後のケーブル移動の有無の点検を前記昇降用ホールの上方から行うことができるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のプレハブ式マンホール構造体。
【請求項3】
前記昇降作業用区間における内部空間は、作業者がケーブル移動現象に対応する拘束装置の設置に必要なスペースを確保できる天井高さと平面積とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレハブ式マンホール構造体。
【請求項4】
前記昇降作業用区間と前記トンネル区間とは、それらの前記底部と前記側壁部の少なくとも一部とを含む底部セグメントを備え、
前記底部セグメントは前記昇降作業用区間と前記トンネル区間共に共通の縦断面形状を備えていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のプレハブ式マンホール構造体。
【請求項5】
全ての前記角筒状区間の前記底部と前記天部との間の内空高さ寸法が2000mm以下であり、
前記トンネル区間の前記底部と前記天部との間の内空高さ寸法が1500mm以下であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のプレハブ式マンホール構造体。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載のプレハブ式マンホール構造体を施工設置するためのマンホール構造体施工用部材の組み合わせにおいて、
前記トンネル区間を構成する底部セグメントと、前記底部セグメントの上に上下接続部を介して接続固定される本設蓋セグメントとを備え、
さらに、前記本設蓋セグメントの設置の前に、仮設置される仮設蓋セグメントを備え、
前記仮設蓋セグメントの天部の高さは前記本設蓋セグメントの天部の高さよりも高く、
前記仮設蓋セグメントと前記底部セグメントとによって構成される空間の高さは前記本設蓋セグメントと前記底部セグメントとによって構成される空間の高さよりも高いことを特徴とするマンホール構造体施工用部材の組み合わせ。
【請求項7】
前記上下接続部は、前記底部セグメントに設けられた下側接続部と、前記本設蓋セグメントに設けられた本設蓋接続部とによって構成され、
前記仮設蓋セグメントは仮設蓋接続部を備え、
前記下側接続部は、前記仮設蓋接続部に対しても上下に接続可能に構成されたことを特徴とする請求項6に記載のマンホール構造体施工用部材の組み合わせ。
【請求項8】
前記マンホール構造体施工用部材の組み合わせを構成する全ての前記セグメントは、その重量が2t以下であり、トラッククレーン等アウトリガーを必要としない施工設置で使用する掘削機(クレーン装置付き)によって全ての前記セグメントの吊り下げ移動が可能なように構成したことをする請求項6又は7に記載のマンホール構造体施工用部材の組み合わせ。
【請求項9】
請求項6~8の何れかに記載のマンホール構造体施工用部材の組み合わせを用いてマンホール構造体を施工するプレハブマンホールの施工方法において、
露天掘削された掘削孔内に複数の前記底部セグメントを配置すると共に、その上に前記仮設蓋セグメントを接続固定して、前記掘削孔内に仮プレハブ構造体を設置し、
次に、前記仮プレハブ構造体内にてケーブル敷設工程とケーブル接続工程とを行い、
次に、前記仮設蓋セグメントを前記底部セグメントから取り外して、前記底部セグメントに前記本設蓋セグメントを接続固定する工程を含むことを特徴とするプレハブマンホールの施工方法。
【請求項10】
前記アウトリガーを必要としない前記掘削機(クレーン装置付き)によって全ての前記セグメントを移動させることにより、1車線の車線規制のみで施工を行うことを特徴とする請求項9に記載のプレハブマンホールの施工方法。
【請求項11】
前記露天掘削された前記掘削孔内に、仮設の簡易土留を施す工程と、
複数の前記底部セグメントを配置する工程と、
複数の前記底部セグメントに対して、埋戻しを行う一次埋め戻し工程と、
前記一次埋め戻し工程の後に、前記簡易土留を撤去する工程と、
複数の前記底部セグメントの上に前記仮設蓋セグメントと昇降作業用上部セグメントを接続固定して、前記掘削孔内に仮プレハブ構造体を設置する工程を含むことを特徴とする請求項9又は10に記載のプレハブマンホールの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレハブ式マンホール構造体、同構造体施工用部材の組み合わせ及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(従来の電力事業者の使命と送電手段)
言うまでもなく、電気は現代生活並びに産業に欠かすことのできない必需品であり、この電力の安定供給こそが従来の今日の電力会社等の電力事業者の最も重要な使命である。この使命を達成するための最適な手段の一つとして、地中に送電線を埋設する際には特許文献1~4に開示されたようなプレハブ式マンホール構造体(以下、原則として単に、プレハブマンホールという)が一般的に使用されている。
【0003】
この種のプレハブマンホールは、電力会社が恒久的な送電線インフラとして、数十年にわたる長期間、送電とその点検と保守を確実に実行することができ、たとえ送電に支障が生じる事態が発生した場合にも可及的速やかに回復することを可能にするために開発されたものであり、標準的な手段として永年採用されている。
【0004】
ところが今日にあっては、電力の安定供給に加えて、地球温暖化対策を講じることが世界的目標とされ、我が国にあっても2030年に2013年度比で46%削減することを国際公約としている。これを実現するためには風力や太陽光等の再生可能エネルギー発電の促進普及が早急に必要とされている。
【0005】
この再生可能エネルギー発電の普及には、発電並びに送電に関して抜本的な見直しが必要である。具体的には、送電については、再生可能エネルギー発電所にて発電された電気を、電力会社の所有する変電所又は鉄塔の既存線に連系する必要がある。この既存線までの連系線(自営線)は、再生可能エネルギー発電の事業主の責任と費用負担により敷設する必要があるが、再生可能エネルギー発電の早期促進普及には、電力安定供給に加えて、連系線敷設に要する工期並びにコストの圧縮が、不可欠となっている。
【0006】
そこで、本発明は、地中送電にて連系する際に必要なケーブル接続用等のマンホールの基本構造を抜本的に見直し、マンホール設置工事を従来に比べ安全にまた工期を大幅に短縮することに貢献することができる手段の提供を課題とする。
【0007】
(特許文献を含む従来のプレハブマンホール)
従来、地中に送電線を埋設するために用いられるプレハブマンホールにあっては特許文献1~4の提案が知られている。
これらプレハブマンホールでは、昇降用ホールの少なくとも一部を備えた昇降作業用ブロックと、昇降作業用ブロックに連設されたトンネルブロックとを備え、双方のブロックがほぼ同じ高さに形成されている。この構造では、トンネルブロックにおいても昇降作業用ブロックと同程度の内部空間高さを備えているため、昇降作業用ブロックから昇降する作業者は、送電用ケーブルの結線作業や保守点検作業や修復作業を、作業者の行動の自由度が高い状態で行うことができる。
【0008】
ところが、双方のブロックの高さを同程度に設定することによって、プレハブマンホール全体の容積が大きくなってしまうことを避けることができない。その結果、プレハブマンホールを設置するための埋設穴が深く広くなってしまうし、プレハブマンホールを形成するためのセグメントも大きくなってしまい、その施工工事は大掛かりなものとならざるを得ない。具体的には、次のような施工方法が標準的な作業工程であるとされている。
なお、プレハブマンホールに関する発明は、今日に至るまで様々なものが提案されているが、何れも部分的な改良に止まるものである。
【0009】
(従来のプレハブマンホールの施工方法の概要)
図10は、従来のプレハブマンホール標準的な作業工程表であり、プレハブ埋設のための土木工事に25日、埋設されたプレハブ内でのケーブル工事に14日を必要とし、合計39日の施工日数を必要としている。
【0010】
具体的には、まず試掘工及び土質調査(調査結果並びにその結果に基づく土留手段の検討)に、4日間を要する。次に、土留手段としては、図8(B)に示すように鋼矢板圧入(打設:鋼矢板Sの根入れ長S2:3m~8m)が必要となることが一般的であり、これに短くて5日間を要する。特に軟弱地盤などで根入れ長S2が長くなると工事規模も大きくならざるを得ず、5日間を超える工期を要する。
次に埋設穴の掘削に3日間、基礎コンクリート工事を含む基礎工事に1日間、その養生に2日間を必要とする。次にプレハブマンホールを埋設穴に据え付けるプレハブ入孔据付工程が2日間をかけて行われる。この工程では複数個のセグメント(一般的な重量4~10t/1個)を吊り下げる必要があるため、25~50tクレーン車が必要となり、アウトリガーの張り出しを考慮した複数車線の道路占用が必要となる。しかも、アウトリガー張り出しのための路肩補強または造成等が必要な場合には、更なる工事日数を要することになる。さらにセグメントの設置工事及び目地工事に2日間、埋設孔の埋め戻しに2日間、鋼矢板引抜撤去に2日間、撤去後の整地及び仮舗装に2日間を要することになる。
【0011】
プレハブ埋設完了後に行われるケーブル工事では、内壁面へのケーブル(自営線)敷設工程に8日間、敷設されたケーブル(自営線)と電力会社の既設線との接続に6日間が必要となる。
【0012】
(従来のプレハブマンホールと施工方法の課題)
上記の従来技術を根本的に見直すと、下記の課題があることが判明した。
1)従来必要としたケーブル敷設及び接続作業のスペースを必要最小限に抑え、従来型のプレハブマンホールの無駄なスペースを省略することができる新たな構造と工法の提供。
【0013】
2)従来型プレハブマンホールの設置用の埋設孔の掘削において必要とされる仮設土留工法を、本鋼矢板土留工法から一般的な軽量鋼矢板もしくは土留パネルなど、より簡易な工法であっても安全に行い得るようにして、工期及び工事費の大幅に削減が可能な新たな構造と工法の提供。
【0014】
3)従来型プレハブマンホールの設置工事では地中障害物や鋼矢板土留検討の為の調査工事(試掘/土質調査)及び設計等、大掛かりな調査が必要であった点を改めることができる新たな構造と工法の提供。
【0015】
4)従来型のプレハブマンホールを構成する1セグメント当りの重量は、一般的に4~10Tであり、各セグメントを据付ける為に25~50Tのクレーン車が必要となり、アウトリガーの張り出しを考慮した道路占用や、アウトリガー張り出しの為の路肩補強または造成等が必要であった点を見直すことができる新たな構造と工法の提供。
【0016】
5)従来型マンホールでは、道幅の狭い道路では設置工事が困難であった点を改善することができる新たな構造と工法の提供。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開昭60-73918号公報
【特許文献2】特開昭59-18832号公報
【特許文献3】実開昭48-10877号公報
【特許文献4】実公昭46-6357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、従来のプレハブ式マンホール構造体を抜本的に見直し、そのダウンサイジングとこれに基づくプレハブマンホールの新たな施工方法の提供を課題とする。
【0019】
また本発明は、マンホール設置工事を従来に比べ安全にまた大幅に工期短縮可能であって比較的低価格で実現することに寄与し得るプレハブ式マンホール構造体の提供を課題とする。特に、再生可能エネルギー発電設備にて発電された電気を、電力会社の所有する変電所又は鉄塔などの既設線に連系するまでの連系線(自営線)の内、地中送電にて連系する際に必要なケーブル接続用マンホールとして適用する際に、有利な構造を備えたプレハブ式マンホール構造体の提供を課題とする。
【0020】
また本発明は、上記の課題を解決するために有利なマンホール構造体施工用部材の組み合わせ及びこれを用いたマンホール構造体を施工するプレハブマンホールの施工方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、互いに接続された複数のコンクリート製のセグメントによって構成され、底部と前後の側壁部と天部とを備えた角筒状区間が左右方向に設けられ、その少なくとも一つの前記角筒状区間の前記天部に昇降用ホールが形成されたプレハブ式マンホール構造体の構造を抜本的に見直し、前記角筒状区間は、前記昇降用ホールの少なくとも一部を備えた昇降作業用区間と、前記昇降作業用区間に連設されたトンネル区間とを備えたものとすると共に、前記トンネル区間の前記天部の高さは、前記昇降作業用区間の前記天部の高さよりも低いことを特徴とするプレハブ式マンホール構造体を提供する。
【0022】
また本発明は、上記のプレハブ式マンホール構造体を施工設置するためのマンホール構造体施工用部材の組み合わせにおいて、前記トンネル区間を構成する底部セグメントと、前記底部セグメントの上に上下接続部を介して接続固定される本設蓋セグメントとを備え、さらに、前記本設蓋セグメントの設置の前に、仮設置される仮設蓋セグメントを備え、前記仮設蓋セグメントの天部の高さは前記本設蓋セグメントの天部の高さよりも高く、前記仮設蓋セグメントと前記底部セグメントとによって構成される空間の高さは前記本設蓋セグメントと前記底部セグメントとによって構成される空間の高さよりも高いことを特徴とするマンホール構造体施工用部材の組み合わせを提供する。
【0023】
さらに本発明は、上記のマンホール構造体施工用部材の組み合わせを用いてマンホール構造体を施工するプレハブマンホールの施工方法において、露天掘削された掘削孔内に複数の前記底部セグメントを配置すると共に、その上に前記仮設蓋セグメントを接続固定して、前記掘削孔内に仮プレハブ構造体を設置し、次に、前記仮プレハブ構造体内にてケーブル敷設工程とケーブル接続工程とを行い、次に、前記仮設蓋セグメントを前記底部セグメントから取り外して、前記底部セグメントに前記本設蓋セグメントを接続固定する工程を含むことを特徴とするプレハブマンホールの施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、従来のプレハブマンホールを抜本的に見直し、そのダウンサイジングとこれに基づくプレハブマンホールの新たな施工方法を提供することができたものである。
【0025】
この抜本的な改良に基づき、本発明は、安全性を確保した上で、様々な効果を発揮することができるが、その一例を示すと下記のような効果を例示的に挙げることができる。
【0026】
1)従来型プレハブマンホールの設置用の埋設孔の掘削において必要とされる仮設土留工法を、本鋼矢板土留工法から一般的な軽量鋼矢板もしくは土留パネルなど、より簡易な工法であっても安全に行い得るものとした。
2)プレハブマンホールの設置の工期及び工事費の削減に貢献し得るものとした。
3)プレハブマンホールの設置工事に関する調査工事(試掘/土質調査)及び設計等の調査・設計の簡便化やコンパクト化を図ることができた。
4)プレハブマンホールを構成する1セグメント当りの重量の軽減を図り、設置工事に必要なクレーン車の軽減簡便化、道路占用面積の縮小化、路肩補強または造成等付帯工事の削減化などを可能とした。
5)道幅の狭い道路でも設置工事を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(A)は実施の形態に係るプレハブマンホールの設置形態の模式図であり、(B)は従来のプレハブマンホールの設置形態の模式図である。
図2】実施の形態に係るプレハブマンホールの設置形態を示すもので、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は昇降用作業空間の拡大縦断面図、(D)は同プレハブマンホールの設置形態のトンネル空間の拡大縦断面図である。
図3】実施の形態に係るプレハブマンホールのケーブル敷設形態を示すもので、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は昇降用作業空間の拡大縦断面図である。
図4】従来のプレハブマンホールの設置形態を示すもので、(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は昇降用作業空間の拡大縦断面図、(D)は同プレハブマンホールの設置形態のトンネル空間の拡大縦断面図である。
図5】実施の形態に係るプレハブマンホールの施工方法の工程1~4の説明図である。
図6】実施の形態に係るプレハブマンホールの施工方法の工程5~8の説明図である。
図7】実施の形態に係るプレハブマンホールの施工方法の工程9、10の説明図である。
図8】(A)は実施の形態に係るプレハブマンホールの掘削工事の説明、(B)は従来のプレハブマンホールの掘削工事の説明である。
図9】実施の形態に係るプレハブマンホールの標準的な作業日程の説明図である。
図10】従来のプレハブマンホールの標準的な作業日程の説明図である。
図11】(A)、(B)、(C)はそれぞれ他の実施の形態に係るプレハブマンホールの設置形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(プレハブマンホールの概要)
実施の形態に係るプレハブ式マンホール構造体(すなわち、プレハブマンホール)は、図1(A)等に示すように、角筒状区間として、左右両側の昇降作業用区間21とその間のトンネル区間31とを備えている。
昇降作業用区間21とトンネル区間31とは、断面略四角形の内部空間を備えた構造体であり、それぞれ底部12、側壁部13及び天部14を角筒状区間としての基本的な構成要素として備えるものである。
【0029】
従来の標準的なプレハブマンホール(図1(B)参照)では、角筒状区間としての基本的な構成要素としては、昇降作業用区間21とトンネル区間31との明確な区別がなく、外形高さ(底部12の下面と天部14の上面との間の長さ)が、左右方向のほぼ全長に亘って等しいものとされていたが、この図1(A)等の実施の形態に係るプレハブマンホールは、トンネル区間31の外形高さが、昇降作業用区間21の外形高さよりも低く形成されている。
図1(A)等の実施の形態に係るプレハブマンホールは、トンネル区間31の底部12から天部14までの高さが、昇降作業用区間21の底部12から天部14までの高さよりも低く、また図1(B)の従来の底部12から天部14の高さよりも低い。但し、地表からトンネル区間31の天部14までの距離は、図1(B)の従来の地表から天部14までの距離と略等しい。
昇降作業用区間21は、昇降用ホールとして水溜ますなどの蓋支持筒部49を備えたものであり、その上端は地表に開口し、マンホール蓋(図示せず)によって、開閉可能に蓋される。
【0030】
トンネル区間31は、昇降作業用区間21から内部に配置されるケーブルCの長手方向(図の左右方向)に伸ばされたトンネル状の区間であり、昇降用ホールを備えていない。
このプレハブマンホールは、施工工事の完成時には、道路交通の安全性を満たした上で、全てが地中に埋設される。
【0031】
なお、図1(A)では、具体的な寸法の一例として下記の寸法を示したが、本発明はこの寸法に限定して理解されるべきではない。
基礎工事を含んだ掘削孔の掘削深さ:約2.6m
プレハブマンホールの左右長さ:8.0m
プレハブマンホールの前後長さ:1.05m
昇降作業用区間21の内空高さ:1.6m
トンネル区間31の内空高さ:1.2m
トンネル区間31の上面から地表までの距離:0.8m
【0032】
(セグメントについて)
プレハブマンホールは、複数のコンクリート製のセグメント(以下単にセグメントと言う)を結合して構成される。
【0033】
地中構造物の多くは、地上で製造された複数のセグメントを、掘削孔内に搬入して組み立て結合することにより構成される。この実施の形態のプレハブマンホールも、セグメントに関する技術思想に基づき複数のセグメントに様々な形態に分割して実施することができるが、この実施の形態にあっては、図2に示すように、底部セグメント41と昇降作業用上部セグメント42と本設蓋セグメント43との主として3種類のセグメントが用いられ、加えて施工工事に際しては、仮設蓋セグメント44(図4参照)が用いられる。
【0034】
なお、図2(A)に示すように、このプレハブマンホールは、左右方向にNO.1~NO.8の8個のブロックに分割して理解することができる。この内、NO.1、NO.2、NO.7、NO.8のブロックが昇降作業用区間21を構成し、NO.3、NO.4、NO.5、NO.6のブロックがトンネル区間31を構成している。
【0035】
(底部セグメント41について)
底部セグメント41は、昇降作業用区間21とトンネル区間31とで共通のものが用いられ、これによって必要なセグメントの種類を少なくしているが、昇降作業用区間21とトンネル区間31とで異なる形状及び大きさのものを用いることを妨げるものではない。
【0036】
底部セグメント41は、図2(C)(D)に示すように、共通セグメント底部45とその前後から上方に向けて設けられた共通セグメント壁部46とを備えた断面略U字状のコンクリート構造体である。共通セグメント底部45はプレハブマンホールの底部12を構成し、共通セグメント壁部46はプレハブマンホールの側壁部13の全部または下部の一部を構成する。
【0037】
(セグメント間の接続)
プレハブマンホールの完成時には複数の底部セグメント41が左右方向(内部のケーブルCの伸びる方向)に連設される。この左右方向の接続部の詳細は図示しないが、H型鋼やボルト・ナットやこれを応用した締結構造など一般的なセグメントの接続構造を適宜採用することができ、ゴム板などの緩衝材を介在させて接続することもできる。また、上下に配置されるプレハブマンホール同士の上下接続部61については、底部セグメント41の共通セグメント壁部46上部の下側接続部62に対して、昇降作業用上部セグメント42の昇降セグメント壁部47下部に設けられた上側接続部63が、また、本設蓋セグメント43下部に設けられた本設蓋接続部64が、さらに、仮設蓋セグメント44下部に設けられた仮設蓋接続部65が、それぞれ接続されるものであるが、これらはそれぞれ互いに対応する位置に対応する形態で配置されている。従って、互いのセグメント間の互換性は高く、設置作業においては、個々のセグメント間の接続部の対応関係に必要以上の注意を払わずとも、上下並びに左右方向に接続することができる。
【0038】
さらに、図4に示す仮設蓋セグメント44の下部にも、仮設蓋接続部が設けられるが、この仮設蓋接続部は、底部セグメント41に設けられた下側接続部に対しても上下に接続可能に構成されている。
なお、以下の説明においても、隣接するセグメント同士の間は、左右方向や上下方向の接続部によって互いに接続固定されると共に必要な防水処理等が施されるものではあるが、本発明の理解に必要な範囲でのみ記載するものとし、個々の接続部についてはその記載を省略する。
【0039】
(昇降作業用上部セグメント42について)
昇降作業用上部セグメント42は、図2(C)に示すように、昇降作業用セグメント天部48と、この昇降作業用セグメント天部48の前後から下方に伸ばされた昇降作業用セグメント壁部47とを備えている。昇降作業用セグメント壁部47は、共通セグメント壁部46と共に完成されたプレハブマンホールの側壁部13を構成する。
【0040】
昇降作業用上部セグメント42は、図2(A)(B)に示すように、通常は左右に分割されたセグメントとして実施することが好ましいが、その重量が過大でない場合には1つの構造体で構成することを妨げるものではないし、さらに多くのセグメントに分割して実施しても構わない。
昇降作業用上部セグメント42が、左右に分割したセグメントとして実施される場合には、それぞれが左右何れかの昇降作業用セグメント天部48を備えたものとして実施される。
【0041】
昇降作業用セグメント天部48は、開口部を備え、昇降用ホールの上端を構成する蓋支持筒部49がこの開口部に取り付けられる。昇降作業用セグメント天部48のセグメントを1つの構造体で構成する場合には開口部は分割されないが、複数の構造体に分割される場合等では開口部を複数に分割しても構わない。また、蓋支持筒部49も円筒形等の筒形状を備えた単一の構造体で実施されるが、円筒形を周方向に複数に分割して実施しても構わない。
【0042】
(本設蓋セグメント43について)
本設蓋セグメント43は、図2(D)に示すように、トンネル区間31の天部14を構成する本設蓋セグメント天部50を備えている。さらに必要に応じて、その前後から下方に延びる本設蓋セグメント上壁部を備えたものとすることもでき、この本設蓋セグメント上壁部はトンネル区間31における側壁部13の上部を構成することになる。また、この本設蓋セグメント43は、複数のブロック(No.3とNo.4、No.5とNo.6)に渡るものを1個のセグメントとして実施されているが、単一のブロック毎に形成しても構わないし、さらに多くのブロックに渡るものとしても構わない。
【0043】
(補助的なセグメントについて)
以上の主なセグメントの他、必要に応じて、他の形態のセグメントを併用して実施しても構わない。
この例では、ブロックNo.1、No.8の左右の開口端を閉じる左右壁セグメント54と、昇降作業用上部セグメント42の左右の開口端を閉じる昇降作業用左右壁セグメント55を、補助的なセグメントとして用いている。
【0044】
(仮設蓋セグメント44について)
図4(A)にて斜線で示した仮設蓋セグメント44は、プレハブマンホールの設置工事において用いられるもので、完成時には撤去される。この仮設蓋セグメント44は、底部セグメント41、昇降作業用上部セグメント42に接続される。
この仮設蓋セグメント44は、仮設蓋セグメント天部52と、その前後から下方に延びる仮設蓋セグメント上壁部53とを備えている。
【0045】
仮設蓋セグメント上壁部53は、上下長さが昇降作業用セグメント壁部47とほぼ等しい。従って、仮設蓋セグメント44は、仮設蓋セグメント上壁部53の分だけ、本設蓋セグメント42よりも上下方向に長くなっており、この上下の長さの差が作業時の内部空間の高さの差として現れて、ケーブルCの設置作業を円滑なものとすることができる。
【0046】
具体的には、この上下の長さの差等の主な数値を、下記の範囲となるように設定しておくことが好ましいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施することができる。
・昇降作業用区間21の底部12と天部14間の内空高さ:1400mm~2000mm
・トンネル区間31の底部12と天部14間の内空高さ:1100mm~1600mm
・両区間の内空高さの差(即ち、両区間の天部14の高さの差):200mm~900mm
・昇降作業用区間21及びトンネル区間31の前後の壁部13間の内空幅:900mm~1800mm
・底部12、壁部13及び天部14の肉厚:100mm~300mm
・共通セグメント壁部46の高さ(内寸):1100mm~1600mm
・トンネル区間31の天部14から地表までの距離:400mm~1200mm
【0047】
(実施の形態にかかるプレハブマンホールの施工方法の概要)
図9は、この実施の形態に係るプレハブマンホールの標準的な作業工程表であるが、プレハブマンホール埋設のための土木工事に6日(従来25日)、ケーブル工事に14日(従来14日)の、合計20日の施工日数(従来39日)とすることができたものである。
ケーブル工事については従来と同様14日を必要とするが、そのうち仮設蓋セグメント44の設置並びにその内部へのケーブルCの搬入後に、仮設蓋設置空間内で行われるケーブルの接続工事中(6日)は、道路交通の遮断を必要としないため、車線規制などを実施する期間を短縮することができる。
【0048】
(プレハブマンホールの施工方法の詳細)
プレハブマンホールの施工方法の詳細について図5図7を主に参照して説明する。
【0049】
図5-1.掘削/土留
掘削孔71の掘削を行った後、その土留を行い、砕石等による基礎工事を行う。プレハブマンホールは、蓋支持筒部49を除いた高さが約2m未満の1900mm程度、前後幅が約1.5m未満の1350mm程度であるため、これを埋設する掘削孔71の深さが従来に比べて飛躍的に小さくなり、従来必要とされた鋼矢板S(図8(B)参照)による土留を必要としない。鋼矢板Sの長さは、掘削孔の長さS1(例えば3m)に加えて根入れ長S2が必要となるが、その長さは地盤の強度によって大きく左右される。軟弱地盤においては8mもの根入れ長S2を必要とする場合があり、その長さが長くなると工事規模も大きくならざるを得ない。
これに対して掘削孔71が浅くてすむこの実施の形態にあっては、鋼矢板Sのような根入れを必要としない一般的な軽量鋼矢板もしくは土留パネルなどを用いた仮設の簡易土留72を施すことだけで掘削孔71の開口部土留が可能となり、工期及び工事費を大幅に削減することができる。具体的には図9に示すように、試掘工1日、掘削土留1.5日、基礎工(砕石)0.5日の合計2日間で完了することができる。
尚、これに用いる重機としては、図8(A)に示したようなクレーン装置付バックホウが適しているが、他の建設用機器を用いて実施することを妨げるものではない。
【0050】
図5-2.底部セグメント据付
掘削孔71にNo.1~No.8の各ブロックの底部セグメント41を搬入据付する。その際、必要に応じてセグメント間の接続固定や防水処理を行なっても構わない。
【0051】
図5-3.一次埋戻、簡易土留撤去
据え付けた底部セグメント41に対して、一次埋戻を行うと共に、簡易土留72を撤去する。一次埋戻は、底部セグメント41の上端付近まで行うものとするが、底部セグメント41の内部には埋戻しを行わない。
この一次埋戻を行うことによって、掘削孔71は浅くなるため、簡易土留72を撤去してもその安全性は担保される。
【0052】
図5-4.上部セグメント(昇降作業用上部セグメント42及び仮設蓋セグメント44)の据付
この工程で用いられる主なセグメントは、昇降作業用上部セグメント42及び仮設蓋セグメント44であり、この段階では本設蓋セグメント43は用いられない。以上の工程で搬入されるセグメントの重量は、何れも2t以下であり、上記のクレーン装置付バックホウ等によって吊り下げることができる。このクレーン装置付バックホウは、図8(A)に示すように、例えば車幅が2490mmであってアウトリガーの張り出しを必要としない。そのため、従来の図8(B)に示すようなアウトリガーの張り出しを必要とするラフテレーンクレーン(アウトリガー張り出し時の左右幅7000mm)のように約2線分の道路交通規制を必要とせず、約1線分の道路交通規制を行うだけで、図4に示す仮プレハブ構造体の据付を実施することができるものである。
【0053】
仮プレハブ構造体の搬入は、先に据え付けた底部セグメント41の上にNo.1、No.2、No.7及びNo.8の各ブロックの昇降作業用上部セグメント42と、No.3~No.6の各ブロックの仮設蓋セグメント44とを搬入据付する。また、昇降作業用セグメント天部48に取り付けられる蓋支持筒部49、左右壁セグメント54及び昇降作業用左右壁セグメント55の搬入据付も完了させる。
このように、先の一次埋戻、簡易土留撤去の工程で、前記上段ブロックの据付時に支障となる簡易土留72の切梁や腹起し材を撤去することができるため、前記上段ブロックを簡単にしかも安全に据え付けることができる。
【0054】
図6-5.埋戻し/舗装仮復旧(道路開放)
仮プレハブ構造体の据付が完了すると、その側部や上部などの掘削孔71の埋め戻しを行い、上面の舗装を復旧する。これによって、これまで必要であった道路交通規制を一旦解除して、道路を解放することができる。
【0055】
図6-6.ケーブル敷設工
仮プレハブ構造体内にケーブルCを搬入して敷設する。この作業は、従来のプレハブマンホールの工事と同様に行うことができる。異なる点は、プレハブマンホールの内空高さが1600mmと、従来に比べて200mmほど低い点であるが、作業者が少し背を屈めるだけで直立歩行することができるし、ケーブルCの設置工事の各工程自体は従来から屈んだ状態で行うことが多かったため、作業者に必要以上の負担を強いることがない。特に、仮プレハブ構造体では、仮設蓋セグメント壁部53を備えた仮設蓋セグメント44を用いるため、昇降作業用上部セグメント42と同じ高さになり、その内空高さは左右方向に一定となり、移動中などに不用意に頭を天井で打つ可能性を軽減することができる。
【0056】
図6-7.ケーブル敷設完了
新たなケーブルCの敷設が完了した後、図6-8のケーブル接続が行われる。
【0057】
図6-8.ケーブル接続
ケーブル接続は、既設線との接続工事である。これら図6-6~8のケーブル工事は、従来のプレハブマンホールの場合と異なるところはないが、仮プレハブ構造体では仮設蓋セグメント44(仮設蓋セグメント天部52や仮設蓋セグメント壁部53)へのケーブルCの取り付けは行われず、特に、ブロックNo.3~No.6では底部セグメント41の共通セグメント壁部46に対する取り付けのみで工事が完了する。
従って、仮設蓋セグメント44を本設蓋セグメント43に付け替えるだけで、ケーブルCへの影響はなく、図3に示すようにプレハブマンホールへのケーブルC敷設が完了する。
【0058】
図7-9.再掘削にて仮設蓋撤去/本設蓋据付
再度交通規制を行った上で掘削を行い、仮設蓋セグメント44を撤去する。撤去した後に、本設蓋セグメント43や昇降作業用左右壁セグメント55を吊り下げて搬入し、設置済みの底部セグメント41や昇降作業用上部セグメント42との接続固定が行われる。
その際、上下接続部61については、仮設蓋セグメント44の仮設蓋接続部65と本設蓋セグメント43の本設蓋接続部64とは共通なものとされているため、仮設蓋セグメント44を撤去した後に、底部セグメント41に設けられた下側接続部62に対して、本設蓋セグメント43の本設蓋接続部64を無理なくスムーズに接続することができる。
【0059】
図7-10.埋め戻し/舗装復旧(光通信ケーブル敷設)
最後に、掘削孔71の埋め戻しを行い、道路の舗装を復旧させる。また必要に応じて光通信ケーブルの敷設を完了する。
完了した段階で、本設蓋セグメント43の本設蓋セグメント天部50の上面と地表との距離は、埋設構造物の安全性を満たす上で必要とされる所定の距離(具体的には0.8m)が確保されている。
【0060】
(点検作業)
ケーブル線は、季節の温度変化や地表面の交通による振動によって、伸縮したり動いたりする。その結果、ケーブル接続が不安定になったり、断線したりする。そのために、プレハブマンホール内部のケーブルCの接続状況を定期的に点検する必要がある。
【0061】
この実施の形態にかかるプレハブマンホールでは、その高さが開口直径よりも小さい蓋支持筒部49が、昇降作業用上部セグメント42の昇降作業用セグメント天部48に取り付けられているため、ケーブルCの接続部を含む昇降作業用区間21の内部空間を開口上部からでも無理なく視認することができる。これにより、昇降作業用区間21の内部空間内部に作業者が一々降りなくても、定期的な点検作業を行うことができる。
【0062】
その際、ケーブルCの異常な緊張状態などが発見されると、拘束装置をケーブルCに取り付けるなどして、必要な作業が行われるが、この作業に必要な内空高さを昇降作業用区間21が備えているために、この作業を従来と同様無理なく行うことができる。トンネル区間31におけるケーブルCの異常には本設蓋セグメント43を撤去しての掘削作業が必要となるが、トンネル区間31におけるケーブル異常の発生率は比較的低いため、このような掘削作業を考慮して従来の恒久的なプレハブマンホールを設置するよりも、この実施の形態にかかるプレハブマンホールを用いる方が総合的なメリットは大きいと言える。
【0063】
(変更例など)
本発明は、発明の要旨を変更しない範囲で、具体的な態様については様々に変更して実施することができる。
例えば、既設線に対する比較的高圧の電線ケーブルの接続を具体的な例として示したが、新設線同士の施設接続や、既設線の補修にも適用することができる。また、上記の実施の形態では、送電電圧を110kV~154kVの接続用マンホールに適する形態のものを示したが、該当電圧の高低やケーブル仕様によっては、敷設したケーブルの波乗り現象も発生しない場合もあるため、それに応じてマンホールサイズの変更も可能となる。
例えば、図11の(A)に示したように、ブロックの数を減らしてトンネル区間31の左右の長さを短くして実施することができる。
また図11の(B)に示したように、昇降作業用区間21を左右いずれか一方の側にのみ設けるようにしても構わないし、図11の(C)に示したように、中央にのみ設けて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0064】
12 底部
13 壁部
14 天部
21 昇降作業用区間
31 トンネル区間
41 底部セグメント
42 昇降作業用上部セグメント
43 本設蓋セグメント
44 仮設蓋セグメント
45 共通セグメント底部
46 共通セグメント壁部
47 昇降セグメント壁部
48 昇降セグメント天部
49 蓋支持筒部
50 本設蓋セグメント天部
52 仮設蓋セグメント天部
53 仮設蓋セグメント壁部
54 左右壁セグメント
55 昇降作業用左右壁セグメント
61 上下接続部
62 下側接続部
63 上側接続部
64 本設蓋接続部
65 仮設蓋接続部
71 掘削孔
72 簡易土留
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11