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特開2023-86193ゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086193
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/10 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
B65H18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200544
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 淳志
【テーマコード(参考)】
3F055
【Fターム(参考)】
3F055AA08
3F055BA18
3F055BA20
3F055DA01
3F055FA03
(57)【要約】
【課題】ゴム部材の巻締まりによる変形を抑制可能なゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置を提供する。
【解決手段】ゴム部材巻取り方法は、連続的に供給される板状のゴム部材を、駆動モータで回転させる巻取り体で巻取るゴム部材巻取り方法において、
前記ゴム部材の供給後の収縮、ライナーの厚み及び前記巻取り体への前記ゴム部材の巻回数を加味した前記ゴム部材の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、前記ゴム部材の供給速度Va(mm/min)と、前記ゴム部材の厚み方向における巻取り速度の基準位置K(mm)と、から前記駆動モータの回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算して前記駆動モータを制御する。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
(但し、0≦K≦Haであり、Haは、前記ゴム部材の供給後の厚みHa(mm)である。)
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給される板状のゴム部材を、駆動モータで回転させる巻取り体で巻取るゴム部材巻取り方法において、
前記ゴム部材の供給後の収縮、ライナーの厚み及び前記巻取り体への前記ゴム部材の巻回数を加味した前記ゴム部材の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、前記ゴム部材の供給速度Va(mm/min)と、前記ゴム部材の厚み方向における巻取り速度の基準位置K(mm)と、から前記駆動モータの回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算して前記駆動モータを制御する、ゴム部材巻取り方法。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
(但し、0≦K≦Haであり、Haは、前記ゴム部材の供給後の厚みHa(mm)である。)
【請求項2】
前記巻取り体に巻き取られた最外側の前記ライナーの外半径をRa(mm)、前記ライナーの厚みをP(mm)としたとき、前記内半径Rn(mm)は、下記の(式2)で演算される、請求項1に記載のゴム部材巻取り方法。
Rn=Ra-(P+Ha) (式2)
【請求項3】
前記ゴム部材の巻取り直前における前記ライナーを含む前記巻取り体の外半径をRb(mm)、前記ライナーの厚みをP(mm)、前記巻回数をnとしたとき、前記内半径Rn(mm)は、下記の(式3)で演算される、請求項1に記載のゴム部材巻取り方法。
Rn=Rb+(P+Ha)×(n-1) (式3)
【請求項4】
前記ゴム部材の供給直前の搬送速度をVb(mm/min)、前記ゴム部材の供給直前の任意長さをLb(mm)、前記ゴム部材の供給前後の任意長さの変化量をΔL(mm)としたとき、前記供給速度Va(mm/min)は、下記の(式4)で演算される、請求項1~3の何れか1項に記載のゴム部材巻取り方法。
Va=Vb×(1-ΔL/Lb) (式4)
【請求項5】
連続的に供給される板状のゴム部材を巻取るための巻取り体と、
前記巻取り体を回転させるための駆動モータと、
前記駆動モータの回転を制御するための制御部と、
前記ゴム部材と共に前記巻取り体に巻き取られるライナーを供給するライナー供給部と、を備え、
前記制御部は、前記ゴム部材の供給後の収縮、前記ライナーの厚み及び前記巻取り体への前記ゴム部材の巻回数を加味した前記ゴム部材の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、前記ゴム部材の供給速度Va(mm/min)と、前記ゴム部材の厚み方向における巻取り速度の基準位置K(mm)と、から前記駆動モータの回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算する演算部を備える、ゴム部材巻取り装置。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
(但し、0≦K≦Haであり、Haは、前記ゴム部材の供給後の厚みHa(mm)である。)
【請求項6】
前記巻取り体に巻き取られた最外側の前記ライナーの外半径Ra(mm)を計測する計測部を備え、
前記ライナーの厚みをP(mm)としたとき、前記内半径Rn(mm)は、前記演算部によって下記の(式2)で演算される、請求項5に記載のゴム部材巻取り装置。
Rn=Ra-(P+Ha) (式2)
【請求項7】
前記ゴム部材の巻取り直前における前記ライナーを含む前記巻取り体の外半径をRb(mm)、前記ライナーの厚みをP(mm)、前記巻回数をnとしたとき、前記内半径Rn(mm)は、前記演算部によって下記の(式3)で演算される、請求項5に記載のゴム部材巻取り装置。
Rn=Rb+(P+Ha)×(n-1) (式3)
【請求項8】
前記ゴム部材の供給直前の搬送速度をVb(mm/min)、前記ゴム部材の供給直前の任意長さをLb(mm)、前記ゴム部材の供給前後の任意長さの変化量をΔL(mm)としたとき、前記供給速度Va(mm/min)は、前記演算部によって下記の(式4)で演算される、請求項5~7の何れか1項に記載のゴム部材巻取り装置。
Va=Vb×(1-ΔL/Lb) (式4)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送装置から供給されたゴム部材を巻き取るための巻取り体を備える、ゴム部材巻取り装置が開示されている。通常、搬送装置上でのゴム部材の蛇行を防ぐ観点から、ゴム部材に若干の張力を加えた状態でゴム部材が搬送される。そのため、搬送装置から供給されたゴム部材は、張力から解放されることにより収縮する。これにより、巻取り体によるゴム部材の実際の巻取り速度と設定速度とが乖離し、ゴム部材の巻締まりによる変形が生じる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-20005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、ゴム部材の巻締まりによる変形を抑制可能なゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のゴム部材巻取り方法は、連続的に供給される板状のゴム部材を、駆動モータで回転させる巻取り体で巻取るゴム部材巻取り方法において、前記ゴム部材の供給後の収縮、ライナーの厚み及び前記巻取り体への前記ゴム部材の巻回数を加味した前記ゴム部材の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、前記ゴム部材の供給速度Va(mm/min)と、前記ゴム部材の厚み方向における巻取り速度の基準位置K(mm)と、から前記駆動モータの回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算して前記駆動モータを制御する。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
(但し、0≦K≦Haであり、Haは、前記ゴム部材の供給後の厚みHa(mm)である。)
【0006】
本開示のゴム部材巻取り装置は、連続的に供給される板状のゴム部材を巻取るための巻取り体と、前記巻取り体を回転させるための駆動モータと、前記駆動モータの回転を制御するための制御部と、前記ゴム部材と共に前記巻取り体に巻き取られるライナーを供給するライナー供給部と、を備え、前記制御部は、前記ゴム部材の供給後の収縮、前記ライナーの厚み及び前記巻取り体への前記ゴム部材の巻回数を加味した前記ゴム部材の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、前記ゴム部材の供給速度Va(mm/min)と、前記ゴム部材の厚み方向における巻取り速度の基準位置K(mm)と、から前記駆動モータの回転数N(rpm)を上記の(式1)で演算する演算部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係るゴム部材巻取り装置の平面図
図2】同実施形態に係るゴム部材巻取り装置の側面図
図3】同実施形態におけるゴム部材の収縮を示す平面図
図4図3のIV-IV線断面図
図5】同実施形態に係るゴム部材巻取り装置のブロック図
図6図1のVI-VI線断面図
図7】実施形態2に係るゴム部材巻取り装置のブロック図
図8】同実施形態における供給体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
本開示のゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置における実施形態1について、図1図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
まずは、本実施形態に係るゴム部材巻取り装置について、図1図6を参照しながら説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、ゴム部材巻取り装置1は、連続的に供給される板状のゴム部材M1を巻取るための巻取り体2と、巻取り体2を回転させるための駆動モータ31(を有する駆動部3)と、ゴム部材M1と共に巻取り体2に巻き取られるライナーL1を供給するライナー供給部5と、を備える。
【0011】
ゴム部材M1は、長尺の板状に形成されている。本実施形態において、ゴム部材M1は、タイヤを構成するサイドウォールゴムとして用いられるが、これに限られない。例えば、ゴム部材M1は、タイヤを構成するトレッドゴムやインナーライナーゴム、リムストリップゴムなどとして用いてもよい。ゴム部材M1の供給路には、ゴム部材巻取り装置1に供給される前にゴム部材M1に掛かっている張力を解放するための垂下部M11(図2参照)が設けられている。即ち、ゴム部材M1は、垂下部M11を経てゴム部材巻取り装置1(巻取り体2)に巻き取られる。
【0012】
巻取り体2は、筒状の第1筒部21と、第1筒部21の両側端に配置される一対の第1フランジ22,22と、第1筒部21の中心に配置される第1回転軸23と、を備えている。第1筒部21の直径Dは、500mm~1000mmであることが好ましい。直径Dが500mm以上であることにより、巻取り体2に巻取られるゴム部材M1の巻厚が小さくなり、荷重によるゴム部材M1の変形を抑えることができる。そして、直径Dが1000mm以下であることにより、巻取り体2のゴム部材M1の巻取り代を確保すると共に巻取り体2の大型化を抑えることができる。
【0013】
駆動モータ31は、第1回転軸23に直接的又は間接的に取り付けられている。駆動モータ31としては、例えば、サーボモータやステッピングモータなどを用いることができる。なお、ゴム部材巻取り装置1は、不図示の減速機を備える、という構成であってもよい。斯かる構成において、駆動モータ31は、減速機を介して第1回転軸23に取り付けられる。減速機を備える場合、駆動モータ31の回転数は、減速機による減速比を加味した回転数となる。
【0014】
駆動部3は、第1回転軸23と連結可能な第1連結軸32を備える。第1連結軸32は、第1回転軸23の軸方向SD1に延びる回転軸である。本実施形態において、駆動モータ31は、第1連結軸32に取り付けられているが、これに限られない。例えば、駆動部3は、第1連結軸32を備えず、第1回転軸23に取り付けられている、という構成であってもよい。
【0015】
第1連結軸32は、第1回転軸23と連結可能な第1連結部321を備える。第1連結部321は、第1連結軸32の第1回転軸23側の端部に配置されている。第1回転軸23は、第1連結部321に連結される第1被連結部231を備える。第1被連結部231は、第1回転軸23の第1連結部321側の端部に配置されている。第1連結部321と第1被連結部231とを連結することにより、第1連結軸32と第1回転軸23とが連結される。
【0016】
駆動部3は、巻取り体2の回転を止めるための第1ブレーキ装置33を備える。第1ブレーキ装置33は、エア式キャリパーブレーキであり、ブレーキディスク331が第1連結軸32に取り付けられている。なお、例えば、第1ブレーキ装置33は、油圧式ブレーキなどであってもよい。
【0017】
ライナー供給部5は、ライナーL1が巻付けられたライナー供給体51を備える。ライナーL1は、ゴム部材M1よりも幅広の長尺部材である。ライナー供給体51は、筒状の第2筒部511と、第2筒部511の両側端に配置される一対の第2フランジ512,512と、第2筒部511の中心に配置される第2回転軸513と、を備える。第2筒部511の直径は、第1筒部21の直径Dよりも小さい。
【0018】
第2回転軸513は、軸方向SD1に延びており、巻取り体2及びライナー供給体51が干渉しないように第1回転軸23と隣接して配置されている。本実施形態において、第2回転軸513は、第1回転軸23の横側に配置されているが、これに限られない。例えば、第2回転軸513は、第1回転軸23の上側に配置されていてもよい。
【0019】
ライナーL1の一部は、ゴム部材M1の巻取り前に巻取り体2に巻付けられている。これにより、巻取り体2を回転させることによってライナー供給体51に巻付けられたライナーL1が巻取り体2に巻き取られる。即ち、ライナー供給体51は、巻取り体2と連動して回転することによってライナーL1を供給する。本実施形態において、ライナーL1は、ゴム部材M1の巻取り前に巻取り体2に一周分巻付けられているが、これに限られない。
【0020】
ライナー供給部5は、ライナーL1の張力を調整する第2ブレーキ装置52と、第2ブレーキ装置52が取り付けられると共に第2回転軸513と連結可能な第2連結軸53と、を備える。なお、例えば、ライナー供給部5は、第2連結軸53を備えず、第2ブレーキ装置52は、第2回転軸513に直接取り付けられている、という構成であってもよい。
【0021】
第2ブレーキ装置52は、第1ブレーキ装置33と同様の構成である。第2ブレーキ装置52のブレーキ圧によって第2回転軸513の回転抵抗が変化し、巻取り体2に巻き取られるライナーL1の張力が変化する。具体的には、第2ブレーキ装置52のブレーキ圧を大きくすることによってライナーL1の張力が大きくなり、第2ブレーキ装置52のブレーキ圧を小さくすることによってライナーL1の張力が小さくなる。
【0022】
第2連結軸53は、第2回転軸513と同軸方向(軸方向SD1)に延びる回転軸である。第2連結軸53は、第2回転軸513と連結可能な第2連結部531を備える。第2連結部531は、第2連結軸53の第2回転軸513側の端部に配置されている。第2回転軸513は、第2連結部531に連結される第2被連結部513aを備える。第2被連結部513aは、第2回転軸513の第2連結部531側の端部に配置されている。第2連結部531と第2被連結部513aとを連結することにより、第2連結軸53と第2回転軸513とが連結される。
【0023】
ゴム部材巻取り装置1は、ゴム部材M1及び/又はライナーL1の供給をガイドするガイドローラ6を備える。本実施形態において、ガイドローラ6は、ライナー供給体51の上側に複数配置されている。ガイドローラ6の本数や位置は、巻取り体2やライナー供給体51の位置、後述するゴム部材供給位置Y1などによって適宜設定される。図1においては、ガイドローラ6の図示を省略している。
【0024】
ゴム部材巻取り装置1は、少なくとも巻取り体2及びライナー供給体51を支持する第1支持台7を備える。第1支持台7は、略長方形状の台部71と、台部71に立設された一対の支持部72,72と、巻取り体2で巻き取ったゴム部材M1を運搬するための複数のキャスター73と、を備える。キャスター73は、台部71の下側の四隅に配置されている。図2においては、支持部72の図示を省略している。
【0025】
支持部72は、第1回転軸23を回転可能に支持する第1軸受け部721と、第2回転軸513を回転可能に支持する第2軸受け部722と、第1回転軸23及び第2回転軸513が回転しないように固定するための不図示の回転軸固定部と、を備える。本実施形態において、支持部72は、ガイドローラ6を回転可能に支持する不図示のローラ受け部を複数備える。
【0026】
図2に示すように、ゴム部材巻取り装置1は、巻取り体2に巻き取られた最外側のライナーL1の外半径Raを計測する計測部8を備える。ライナーL1の外半径Raは、巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数によって変化する。このため、計測部8は、ゴム部材M1の巻回数を加味したライナーL1の外半径Raを計測することができる。
【0027】
計測部8は、ライナーL1の外側面L1bの位置を計測する距離センサ81と、距離センサ81で計測したライナーL1の外側面L1bの位置と距離センサ81から巻取り体2の中心までの距離とからライナーL1の外半径Raを演算する演算部82(図5参照)と、を備える。演算部82で演算されたライナーL1の外半径Raは、後述する記憶部101(図5参照)に記憶される。
【0028】
距離センサ81は、ゴム部材M1の巻取り直後のライナーL1の外側面L1bの位置を計測可能な位置に配置されていることが好ましい。本実施形態において、距離センサ81は、第1回転軸23の下方に配置され、第1支持台7に支持されているが、これに限られない。距離センサ81としては、例えば、赤外線距離センサやレーザ距離センサなどを用いることができる。
【0029】
ゴム部材巻取り装置1は、ゴム部材M1の垂下部M11の下端部の位置を検出する垂下位置検出部9を備える。垂下位置検出部9は、垂下部M11の下側に配置される第1検出センサ91と、第1検出センサ91の上方に配置される第2検出センサ92と、を備える。検出センサ91,92としては、例えば、レーザセンサや光電センサなどを用いることができる。検出センサ91,92は、床X2に固定された不図示の支持部に支持されている。
【0030】
垂下位置検出部9を配置することにより、ゴム部材M1の垂下部M11の下端部が第1検出センサ91で検出された場合、図1の駆動モータ31を駆動させてゴム部材M1の巻取りを開始し、垂下部M11の下端部が第2検出センサ92で検出された場合、駆動モータ31を停止させてゴム部材M1の巻取りを停止することができる。これにより、ゴム部材M1の巻取り速度Vzがゴム部材M1の供給速度Vaよりも速くなった場合に、ゴム部材M1が垂下部M11を経ずに巻取り体2に巻き取られることを防止することができる。
【0031】
図1に示すように、駆動部3及びライナー供給部5(ライナー供給体51を除く)は、図2の床X2に固定された第2支持台X3に支持されているが、これに限られない。例えば、駆動部3及びライナー供給部5は、第1支持台7に支持されていてもよい。
【0032】
第2支持台X3は、第1連結軸32を回転可能に支持する第3軸受け部X31と、第2連結軸53を回転可能に支持する第4軸受け部X32と、第1支持台7を固定するための不図示の支持台固定部を備える。支持台固定部は、台部71及び/又は支持部72を挟持して第1支持台7を固定する。
【0033】
図2に示すように、ゴム部材巻取り装置1に供給されるゴム部材M1は、ゴム部材供給装置X1から供給される。ゴム部材供給装置X1は、ゴム部材M1を板状に連続的に押し出す押出装置X11と、ゴム部材M1をゴム部材巻取り装置1に供給するための複数の搬送装置X12と、ゴム部材M1を冷却する不図示の冷却部と、設定した巻取り長さにゴム部材M1をカットする不図示のカット部と、を備える。
【0034】
搬送装置X12は、例えば、コンベアであり、押出装置X11の口金X11aから押し出されたゴム部材M1を搬送する。ゴム部材M1の搬送路には、各搬送装置X12の間に搬送時垂下部M12が設けられている。各搬送装置X12の搬送速度は、搬送時垂下部M12でのゴム部材M1の収縮(詳細は後述する)を加味した搬送速度に設定されている。即ち、各搬送装置X12の搬送速度は、それぞれ異なっている。
【0035】
ゴム部材供給位置Y1は、搬送装置X12の下流端に配置されている。ゴム部材M1は、下流端に位置する搬送装置X12において搬送速度Vbで搬送される。搬送速度Vbは、搬送装置X12の制御速度又は速度センサで計測した速度である。
【0036】
垂下部M11において、ゴム部材M1は収縮する(搬送時垂下部M12も同様)。具体的には、図3及び図4に示すように、ゴム部材M1の供給直前の任意長さLbは、供給後の収縮によって変化量ΔL分減少して長さLaとなる。ゴム部材M1の供給直前の厚みHbは、供給後の収縮によって変化量ΔH分増加して厚みHaとなる。ゴム部材M1の供給直前の幅Wbは、供給後の収縮によって減少して幅Waとなる。ゴム部材M1の供給直前の各寸法Hb,Wb,Lbは、下流端に位置する搬送装置X12(図2参照)上でのゴム部材M1の寸法である。図3及び図4において、実線は、供給直前のゴム部材M1を示し、二点鎖線は、供給後(収縮後)のゴム部材M1を示す。
【0037】
図5に示すように、ゴム部材巻取り装置1は、駆動モータ31の回転を制御する制御部10と、制御部10を操作可能な操作部11と、を備える。制御部10としては、例えば、パーソナルコンピュータやPLC(Programmable Logic Controller)などを用いることができる。制御部10は、記憶部101と、演算部102と、出力部103と、を備える。操作部11は、第1入力部111と、表示部112と、第2入力部113と、を備える。
【0038】
記憶部101は、第1入力部111で入力した入力値を記憶する。図2図6に示すように、入力値は、ゴム部材M1の収縮による変化量ΔH,ΔL及びゴム部材M1の供給直前の搬送速度Vb、後述する基準位置K(図6参照)などである。なお、入力値としては、変化量ΔH,ΔLの代りにゴム部材M1の供給後(収縮後)の各寸法Ha,Laとしてもよい。搬送速度Vbは、搬送装置X12の制御部や速度センサから記憶部101に直接入力させてもよい。基準位置Kは、固定値(0≦K≦Ha(mm))として記憶部101に記憶させてもよい。
【0039】
記憶部101には、駆動モータ31の制御パターンやゴム部材M1(各用途、各材質)の供給直前の各寸法Hb,Lb、ライナーL1の厚みP(図6参照)、計測部8で計測したライナーL1の外半径Raなどが記憶されている。制御パターンとしては、演算部102によって演算された回転数によって駆動モータ31の回転数を階段状に変化させる制御パターンや線状(リニア)に変化させる制御パターンなどがある。ゴム部材M1の供給直前の各寸法Hb,Lbは、入力値として第1入力部111で入力して記憶部101に記憶させてもよい。
【0040】
演算部102は、巻取り体2に巻き取られるゴム部材M1の収縮、ライナーL1の厚みP及び巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数を加味したゴム部材M1の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、ゴム部材M1の供給速度Va(mm/min)と、ゴム部材M1の厚み方向における巻取り速度Vzの基準位置K(mm)と、から駆動モータ31の回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算する。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
【0041】
図6に示すように、基準位置Kは、巻取り体2の最外側に位置するゴム部材M1の内側面M1aからの位置を示す寸法である。基準位置Kの最大値は、巻取り体2の最外側に位置するゴム部材M1の外側面M1bまでの寸法(ゴム部材M1の供給後の厚みHa(mm))である。即ち、基準位置Kの寸法範囲は、0≦K≦Ha(mm)である。基準位置Kを0(mm)とした場合、ゴム部材M1の内側面M1aが巻取り速度Vzの基準位置となり、基準位置KをHa(mm)とした場合、ゴム部材M1の外側面M1bが巻取り速度Vzの基準位置となる。基準位置Kは、ゴム部材M1の厚み方向の中間位置であるHa/2(mm)であることが好ましい。
【0042】
ゴム部材M1の供給後の厚みHaは、図4のゴム部材M1の供給直前の厚みHbとゴム部材M1の供給前後の変化量ΔHとから下記の(式2-1)で表される。本実施形態において、変化量ΔHは、ゴム部材M1の内半径Rnと厚みHbとの和に対し微小(変化量ΔHは、例えば、厚みHbの1%~3%)であるので、下記の(式2-1)において変化量ΔHを省略してもよい。これにより、変化量ΔH(厚みHa)の計測及び第1入力部111での変化量ΔH(厚みHa)の入力を省略することができる。
Ha=Hb+ΔH (式2-1)
【0043】
ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、ゴム部材M1の巻回数を加味したライナーL1の外半径Ra(mm)とライナーL1の厚みP(mm)とゴム部材M1の供給後の厚みHa(mm)とから演算部102によって下記の(式2)で演算される。なお、上記のように、ゴム部材M1の内半径Rnは、上記の(式2-1)においてゴム部材M1の供給前後の変化量ΔHを省略して演算してもよい。即ち、ゴム部材M1の内半径Rnは、供給後の厚みHaを図4の供給前の厚みHbとして演算してもよい。
Rn=Ra-(P+Ha) (式2)
【0044】
図2に示すように、ゴム部材M1の供給速度Vaは、垂下部M11の下端部に到達する直前のゴム部材M1の移動速度である。ゴム部材M1の供給速度Va(mm/min)は、ゴム部材M1の供給直前の搬送速度Vb(mm/min)と、ゴム部材M1の供給直前の任意長さLb(mm)と、ゴム部材M1の供給前後の任意長さの変化量ΔL(mm)と、から演算部102によって下記の(式4)で演算される。
Va=Vb×(1-ΔL/Lb) (式4)
【0045】
なお、図6のゴム部材M1の内半径Rnは、ゴム部材M1の供給速度Vaを搬送速度Vbとして演算してもよい。また、供給速度Vaは、速度センサなどで計測して記憶部101に入力させてもよい。これにより、変化量ΔLの計測及び/又は第1入力部111での変化量ΔLの入力を省略することができる。
【0046】
図5に示すように、出力部103は、演算部102による駆動モータ31の回転数の演算結果を表示部112に表示させ、第2入力部113に駆動モータ31を演算した回転数で回転させる特定の入力があった場合に駆動モータ31に出力することが好ましい。これにより、作業者が演算結果を確認して駆動モータ31への出力可否を判断することができ、演算結果が異常値の場合に、出力部103から駆動モータ31に出力されることを回避することができる。なお、出力部103は、上記に限られず、第2入力部113の入力有無に関わらず駆動モータ31に出力する、という制御であってもよい。第2入力部113としては、例えば、表示部112上に設けられたタッチパネル、物理的なボタンなどが挙げられる。表示部112は、第1入力部111で入力した入力値などを表示してもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係るゴム部材巻取り方法について、図1図6を参照しながら説明する。
【0048】
まずは、図1のように、巻取り体2及びライナー供給体51が支持された第1支持台7をゴム部材巻取り位置Y2まで移動させる。次に、第1回転軸23と第1連結軸32とを連結して巻取り体2と駆動部3とを連結し、第2回転軸513と第2連結軸53とを連結してライナー供給体51と第2ブレーキ装置52とを連結する。そして、第2支持台X3の支持台固定部で第1支持台7の台部71及び/又は支持部72を固定し、回転軸固定部による第1回転軸23及び第2回転軸513の固定を解除する。
【0049】
次に、図2に示すように、ゴム部材M1を押出装置X11で連続的に押出し、押し出したゴム部材M1を搬送装置X12で搬送する。そして、ゴム部材M1の供給前後の変化量ΔH,ΔL(供給後の各寸法Ha,Laでも可)を計測し、各入力値を第1入力部111に入力する。その後、表示部112に表示された駆動モータ31の回転数の演算結果を確認し、第2入力部113に特定の入力をし、駆動モータ31を回転させる。演算部102の演算条件などにより、変化量ΔH及び/又は変化量ΔLの計測及び入力を省略してもよい。変化量ΔH,ΔLの計測及び各入力値の第1入力部111への入力は、第1支持台7の固定前に行ってもよい。
【0050】
図4に示すゴム部材M1の供給前後の変化量ΔH,ΔLは、搬送装置X12上で任意長さLb(例えば、1000mm)にカットしたゴム部材M1を搬送装置X12から移動させて任意時間経過(ゴム部材M1の収縮)後に計測することが好ましい。任意時間は、ゴム部材供給位置Y1から第2検出センサ92に到達するまでのゴム部材M1の移動時間であることが好ましい。変化量ΔH,ΔLは、ゴム部材M1の供給直前の各寸法Hb,Lbとゴム部材M1の供給後の各寸法Ha,Laとから算出することができる。ゴム部材M1の供給後の厚みHaは、非接触センサ(例えば、0.1mm以下の分解能を有するレーザセンサ)、ノギスなどで計測することができる。
【0051】
次に、図2に示すように、ゴム部材M1をゴム部材供給位置Y1から供給し、ゴム部材M1の垂下部M11を形成させて、ゴム部材M1をライナーL1と共に巻取り体2で巻き取る。押出装置X11から押し出されたゴム部材M1は、カット部によって設定された巻取り長さにカットされる。そして、巻取り体2によるゴム部材M1の巻取りが完了すると、駆動モータ31が停止し、巻取り体2の回転が停止する。
【0052】
<実施形態2>
本開示のゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置における実施形態2について、図7及び図8を参照しながら説明する。実施形態1に係るゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置と同様の方法及び構成については、説明を省略する。
【0053】
本実施形態において、ゴム部材M1の内半径Rnの演算式(後述する(式3))は、実施形態1における内半径Rnの演算式(上記の(式2))と異なる。具体的には、ゴム部材M1の内半径Rnは、計測部8による計測値(ライナーL1の外半径Ra)を用いずに、巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数から演算する。以下、詳細を説明する。
【0054】
図7及び図8に示すように、ゴム部材巻取り装置1は、ゴム部材M1の巻回数を計測する巻数計測部12を備えることが好ましい。巻数計測部12で計測された巻回数は、記憶部101に記憶される。なお、巻回数は、演算部102によってゴム部材M1の巻取り長さから演算してもよい。
【0055】
ゴム部材M1の巻回数が1(n=1)の場合、ゴム部材M1の内半径R1(mm)は、ゴム部材M1の巻取り直前におけるライナーL1を含む巻取り体2の外半径Rb(mm)と同じになる。
【0056】
ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、巻回数が1増えるごとに、ライナーL1の厚みP(mm)とゴム部材M1の供給後の厚みHa(mm)との和が増える。したがって、ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、ライナーL1を含む巻取り体2の外半径Rb(mm)とライナーL1の厚みP(mm)とゴム部材M1の厚みHa(mm)と巻回数nとから演算部102によって下記の(式3)で演算される。
Rn=Rb+(P+Ha)×(n-1) (式3)
【0057】
ライナーL1を含む巻取り体2の外半径Rb(mm)は、巻取り体2の直径D(mm)とライナーL1の厚みP(mm)とゴム部材M1の巻取り直前のライナーL1の巻回数n’とから下記の(式3-1)で表される。本実施形態において、ライナーL1の巻回数は1(n’=1)であるが、これに限られない。なお、ライナーL1の巻回数n’は、巻数計測部12で計測してもよい。外半径Rbは、第1入力部111の入力値としてもよく、演算部102で演算させてもよい。
Rb=D/2+P×n’ (式3-1)
【0058】
以上、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り方法は、連続的に供給される板状のゴム部材M1を、駆動モータ31で回転させる巻取り体2で巻取るゴム部材巻取り方法において、ゴム部材M1の供給後の収縮、ライナーL1の厚み及び巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数を加味したゴム部材M1の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、ゴム部材M1の供給速度Va(mm/min)と、ゴム部材M1の厚み方向における巻取り速度Vzの基準位置K(mm)と、から駆動モータ31の回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算して駆動モータ31を制御する。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
(但し、0≦K≦Haであり、Haは、前記ゴム部材の供給後の厚みHa(mm)である。)
【0059】
斯かる方法によれば、ゴム部材M1の収縮を加味した巻取り速度Vzでゴム部材M1を巻き取ることができ、ゴム部材M1の巻取り速度Vzをゴム部材M1の供給速度Vaに近づけることができる。これにより、ゴム部材M1の収縮による巻締まりを抑えることができ、ゴム部材M1の変形を抑えることができる。また、本実施形態では、ゴム部材M1の巻取り速度Vzをゴム部材M1の供給速度Vaに近づけることにより、ゴム部材M1の垂下部M11の下端部位置の変動を抑えることができる。これにより、垂下部M11の下端部が第2検出センサ92に検出される頻度を減らすことができ、巻取り体2が停止と回転とを繰り返すことによるゴム部材M1の変形を抑えることができる。
【0060】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り方法において、巻取り体2に巻き取られた最外側のライナーL1の外半径をRa(mm)、ライナーL1の厚みをP(mm)としたとき、ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、下記の(式2)で演算される、という方法が好ましい。
Rn=Ra-(P+Ha) (式2)
【0061】
斯かる方法によれば、巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数を計測(演算)することなく、ゴム部材M1の巻回数を加味した内半径Rnを演算することができる。また、ゴム部材M1の供給前後の変化量ΔHは、ゴム部材M1の内半径Rnとゴム部材M1の供給前の厚みHbとの和に対し微小であるので、ゴム部材M1の内半径Rnは、変化量ΔHを省略、即ち、厚みHaを厚みHbとして演算することができる。これにより、厚みHa(変化量ΔH)の計測及び第1入力部111での厚みHa(変化量ΔH)の入力を省略することができる。
【0062】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り方法において、ゴム部材M1の巻取り直前におけるライナーL1を含む巻取り体2の外半径をRb(mm)、ライナーL1の厚みをP(mm)、ゴム部材M1の巻回数をnとしたとき、ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、下記の(式3)で演算される、という方法が好ましい。
Rn=Rb+(P+Ha)×(n-1) (式3)
【0063】
斯かる方法によれば、ライナーL1の外半径Raを計測(演算)することなく、ゴム部材M1の内半径Rnを演算することができる。これにより、計測部8による外半径Raの計測(演算)を省略することができる。
【0064】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り方法において、ゴム部材M1の供給直前の搬送速度をVb(mm/min)、ゴム部材M1の供給直前の任意長さをLb(mm)、ゴム部材M1の供給前後の任意長さの変化量をΔL(mm)としたとき、供給速度Va(mm/min)は、下記の(式4)で演算される、という方法が好ましい。
Va=Vb×(1-ΔL/Lb) (式4)
【0065】
斯かる方法によれば、ゴム部材M1の収縮による供給速度Vaの低下を加味して駆動モータ31の回転を制御することができ、巻取り体2によるゴム部材M1の巻取り速度Vzをゴム部材M1の供給速度Vaに更に近づけることができる。これにより、ゴム部材M1の収縮による巻締まりを更に抑えることができ、ゴム部材M1の変形を更に抑えることができる。
【0066】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り装置1は、連続的に供給される板状のゴム部材M1を巻取るための巻取り体2と、巻取り体2を回転させるための駆動モータ31と、駆動モータ31の回転を制御するための制御部10と、ゴム部材M1と共に巻取り体2に巻き取られるライナーL1を供給するライナー供給部5と、を備え、制御部10は、ゴム部材M1の供給後の収縮、ライナーL1の厚み及び巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数を加味したゴム部材M1の巻取り直後の内半径Rn(mm)と、ゴム部材M1の供給速度Va(mm/min)と、ゴム部材M1の厚み方向における巻取り速度Vzの基準位置K(mm)と、から駆動モータ31の回転数N(rpm)を下記の(式1)で演算する演算部102を備える。
N=Va/(2×(Rn+K)×π)×1000 (式1)
(但し、0≦K≦Haであり、Haは、前記ゴム部材の供給後の厚みHa(mm)である。)
【0067】
斯かる構成によれば、ゴム部材M1の収縮を加味した巻取り速度Vzでゴム部材M1を巻き取ることができ、ゴム部材M1の巻取り速度Vzをゴム部材M1の供給速度Vaに近づけることができる。これにより、ゴム部材M1の収縮による巻締まりを抑えることができ、ゴム部材M1の変形を抑えることができる。また、本実施形態では、ゴム部材M1の巻取り速度Vzをゴム部材M1の供給速度Vaに近づけることにより、ゴム部材M1の垂下部M11の下端部位置の変動を抑えることができる。これにより、垂下部M11の下端部が第2検出センサ92に検出される頻度を減らすことができ、巻取り体2が停止と回転とを繰り返すことによるゴム部材M1の変形を抑えることができる。
【0068】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り装置1は、巻取り体2に巻き取られた最外側のライナーL1の外半径Ra(mm)を計測する計測部8を備え、ライナーL1の厚みをP(mm)としたとき、ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、演算部102によって下記の(式2)で演算される、という構成が好ましい。
Rn=Ra-(P+Ha) (式2)
【0069】
斯かる構成によれば、巻取り体2へのゴム部材M1の巻回数を計測(演算)することなく、ゴム部材M1の巻回数を加味した内半径Rnを演算することができる。また、ゴム部材M1の供給前後の変化量ΔHは、ゴム部材M1の内半径Rnとゴム部材M1の供給前の厚みHbとの和に対し微小であるので、ゴム部材M1の内半径Rnは、変化量ΔHを省略、即ち、厚みHaを厚みHbとして演算することができる。これにより、厚みHa(変化量ΔH)の計測及び第1入力部111での厚みHa(変化量ΔH)の入力を省略することができる。
【0070】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り装置1において、ゴム部材M1の巻取り直前におけるライナーL1を含む巻取り体2の外半径をRb(mm)、ライナーL1の厚みをP(mm)、ゴム部材M1の巻回数をnとしたとき、ゴム部材M1の内半径Rn(mm)は、演算部102によって下記の(式3)で演算される、という構成が好ましい。
Rn=Rb+(P+Ha)×(n-1) (式3)
【0071】
斯かる構成によれば、ライナーL1の外半径Raを計測(演算)することなく、ゴム部材M1の内半径Rnを演算することができる。これにより、計測部8による外半径Raの計測(演算)を省略することができる。
【0072】
また、上記実施形態のように、ゴム部材巻取り装置1において、ゴム部材M1の供給直前の搬送速度をVb(mm/min)、ゴム部材M1の供給直前の任意長さをLb(mm)、ゴム部材M1の供給前後の任意長さの変化量をΔL(mm)としたとき、供給速度Va(mm/min)は、演算部102によって下記の(式4)で演算される、という構成が好ましい。
Va=Vb×(1-ΔL/Lb) (式4)
【0073】
斯かる構成によれば、ゴム部材M1の収縮による供給速度Vaの低下を加味して駆動モータ31の回転を制御することができ、巻取り体2によるゴム部材M1の巻取り速度Vzをゴム部材M1の供給速度Vaに更に近づけることができる。これにより、ゴム部材M1の収縮による巻締まりを更に抑えることができ、ゴム部材M1の変形を更に抑えることができる。
【0074】
なお、ゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置1は、上記した実施形態の構成や方法に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ゴム部材巻取り方法及びゴム部材巻取り装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、実施形態1に係る構成や方法などを任意に一つ又は複数選択して、実施形態2に係る構成や方法などに採用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
1…ゴム部材巻取り装置、2…巻取り体、21…第1筒部、22…第1フランジ、23…第1回転軸、231…第1被連結部、3…駆動部、31…駆動モータ、32…第1連結軸、321…第1連結部、33…第1ブレーキ装置、331…ブレーキディスク、5…ライナー供給部、51…ライナー供給体、511…第2筒部、512…第2フランジ、513…第2回転軸、513a…第2被連結部、52…第2ブレーキ装置、53…第2連結軸、531…第2連結部、6…ガイドローラ、7…第1支持台、71…台部、72…支持部、721…第1軸受け部、722…第2軸受け部、73…キャスター、8…計測部、81…距離センサ、82…演算部、9…垂下位置検出部、91…第1検出センサ、92…第2検出センサ、10…制御部、101…記憶部、102…演算部、103…出力部、11…操作部、111…第1入力部、112…表示部、113…第2入力部、12…巻数計測部、M1…ゴム部材、M11…垂下部、M12…搬送時垂下部、L1…4…ライナー、Va…供給速度、Vb…搬送速度、Vz…巻取り速度、X1…ゴム部材供給装置、X11…押出装置、X11a…口金、X12…搬送装置、X2…床、X3…第2支持台、X31…第3軸受け部、X32…第4軸受け部、Y1…ゴム部材供給位置、Y2…ゴム部材巻取り位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8