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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086223
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200589
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 和範
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC12
5E353EE29
5E353EE31
5E353EE52
5E353EE62
5E353JJ44
5E353JJ50
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353KK21
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品の状態を適正に確認すること。
【解決手段】部品実装装置は、実装ヘッドと、実装ヘッドに昇降可能に配置され、部品を保持するノズルと、実装ヘッドに配置され、部品が実装される基板を撮像するカメラと、ノズルを昇降させる昇降コマンド信号を出力するとともに、昇降コマンド信号に同期して基板をカメラに撮像させるシャッタトリガ信号と、を出力するマウンタ制御コンピュータと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装ヘッドと、
前記実装ヘッドに昇降可能に配置され、部品を保持するノズルと、
前記実装ヘッドに配置され、前記部品が実装される基板を撮像するカメラと、
前記ノズルを昇降させる昇降コマンド信号を出力するとともに、前記昇降コマンド信号に同期して前記基板を前記カメラに撮像させるシャッタトリガ信号と、を出力するマウンタ制御コンピュータと、を備える、
部品実装装置。
【請求項2】
前記マウンタ制御コンピュータは、前記昇降コマンド信号に基づいて前記ノズルの位置を監視し、前記ノズルの所定部位が規定のシャッタ位置に配置されたと判定したときに、前記シャッタトリガ信号を出力する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記昇降コマンド信号は、前記基板に向かって前記部品を保持した前記ノズルを下降させる下降コマンド信号と、前記基板に前記部品を実装した後の前記ノズルを上昇させる上昇コマンド信号と、を含み、
前記シャッタトリガ信号は、前記下降コマンド信号に同期して出力され、前記部品が実装前の前記基板を前記カメラに撮像させる実装前シャッタトリガ信号と、前記上昇コマンド信号に同期して出力され、前記部品が実装後の前記基板を前記カメラに撮像させる実装後シャッタトリガ信号と、を含む、
請求項1又は請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記マウンタ制御コンピュータから送信された前記シャッタトリガ信号に基づいて、前記カメラを作動するカメラ制御基板を備え、
前記カメラ制御基板は、前記実装前シャッタトリガ信号に基づいて前記カメラにより撮像された前記基板の画像データと、前記実装後シャッタトリガ信号に基づいて前記カメラにより撮像された前記基板の画像データとに基づいて、前記部品の実装状態の良否を判定する、
請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
1つの前記カメラ制御基板に複数の前記カメラが接続される、
請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記基板を照明する照明装置と、
前記照明装置を制御する照明制御基板と、を備え、
前記カメラ制御基板は、照明オンオフ信号を前記照明制御基板に送信する、
請求項4又は請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記カメラの撮像条件を指定する撮像コマンド信号を前記カメラ制御基板に送信するカメラ制御コンピュータを備える、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記カメラは、シャインプルーフ光学系を有する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような部品実装装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-325146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装装置において、部品の状態を確認するためにカメラが使用される場合がある。カメラが使用される場合において、部品の状態を適正に確認できる技術が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、部品の状態を適正に確認することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、部品実装装置を開示する。部品実装装置は、実装ヘッドと、実装ヘッドに昇降可能に配置され、部品を保持するノズルと、実装ヘッドに配置され、部品が実装される基板を撮像するカメラと、ノズルを昇降させる昇降コマンド信号を出力するとともに、昇降コマンド信号に同期して基板をカメラに撮像させるシャッタトリガ信号と、を出力するマウンタ制御コンピュータと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、部品の状態を適正に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る部品実装装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る部品実装装置を示す構成図である。
図3図3は、実施形態に係るノズル及びカメラの動作を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係るノズル及びカメラの動作を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係るカメラの光学系を模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態に係る部品実装装置の一部を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転又は傾斜方向をθX方向とする。Y軸を中心とする回転又は傾斜方向をθY方向とする。Z軸を中心とする回転又は傾斜方向をθZ方向とする。Z軸方向は鉛直方向である。以下の説明においては、水平面を適宜、XY平面、と称する。また、以下の説明においては、Z軸方向に移動することを適宜、昇降する、と称する。
【0011】
[部品実装装置]
図1は、実施形態に係る部品実装装置1を模式的に示す平面図である。図2は、実施形態に係る部品実装装置1を示す構成図である。部品実装装置1は、クリーム半田が印刷された基板Pに部品Cを実装する。
【0012】
部品実装装置1は、部品供給装置2と、基板支持装置3と、実装ヘッド4と、ノズル5と、ヘッド駆動装置6と、ノズル駆動装置7と、照明装置8と、照明制御基板9と、カメラ10と、カメラ制御基板11と、マウンタ制御コンピュータ12と、カメラ制御コンピュータ13とを備える。
【0013】
部品供給装置2は、部品Cを供給位置SPに供給する。部品供給装置2は、例えば複数のテープフィーダを含む。テープフィーダは、部品Cを保持するテープが巻かれるリールと、リールに巻かれているテープを繰り出す駆動装置とを有する。駆動装置は、テープに保持されている部品Cが供給位置SPに移動するようにテープを繰り出す。なお、部品供給装置2は、部品Cを保持するトレイを含んでもよい。
【0014】
基板支持装置3は、実装位置MPにおいて基板Pを支持する。基板支持装置3は、基板Pを実装位置MPに搬送する基板搬送装置と、実装位置MPに搬送された基板Pを支持する基板支持部材とを含む。基板搬送装置は、基板PをX軸方向に搬送するコンベアと、基板PをX軸方向にガイドするガイド部材とを含む。
【0015】
実装ヘッド4は、複数のノズル5を支持する。実装ヘッド4は、ノズル5に保持された部品Cを基板Pに実装する。実装ヘッド4は、供給位置SPと実装位置MPとを移動可能である。XY平面内において、供給位置SPと実装位置MPとは異なる位置に規定される。実装ヘッド4は、供給位置SPに移動して、部品供給装置2から供給された部品Cをノズル5で保持した後、実装位置MPに移動して、基板支持装置3に支持されている基板Pに実装する。
【0016】
ノズル5は、部品Cを解放可能に保持する。ノズル5は、実装ヘッド4に昇降可能に配置される。ノズル5は、部品Cを吸着する吸着ノズルである。ノズル5の先端部に開口が設けられる。ノズル5の開口は、真空システムと接続される。ノズル5の先端部と部品Cとが接触した状態で、ノズル5の開口からの吸引動作が実行されることにより、ノズル5の先端部に部品Cが吸着保持される。ノズル5の開口からの吸引動作が解除されることにより、ノズル5から部品Cが解放される。なお、ノズル5は、部品Cを掴む把持ノズルでもよい。
【0017】
ヘッド駆動装置6は、実装ヘッド4をX軸方向及びY軸方向のそれぞれに移動する。ヘッド駆動装置6は、実装ヘッド4をX軸方向に移動するX軸移動装置6Xと、実装ヘッド4をY軸方向に移動するY軸移動装置6Yとを有する。X軸移動装置6X及びY軸移動装置6Yのそれぞれは、アクチュエータを含む。X軸移動装置6Xは、実装ヘッド4に連結される。X軸移動装置6Xが駆動することにより、実装ヘッド4がX軸方向に移動する。Y軸移動装置6Yは、X軸移動装置6Xを介して実装ヘッド4に連結される。Y軸移動装置6Yが駆動することにより、X軸移動装置6XがY軸方向に移動する。X軸移動装置6XがY軸方向に移動することにより、実装ヘッド4がY軸方向に移動する。
【0018】
ノズル駆動装置7は、ノズル5をZ軸方向及びθZ方向のそれぞれに移動する。ノズル駆動装置7は、実装ヘッド4に設けられたアクチュエータを含む。ノズル駆動装置7は、複数のノズル5のそれぞれに設けられる。
【0019】
ノズル5は、ヘッド駆動装置6及びノズル駆動装置7により、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。ノズル5が移動することにより、ノズル5に保持されている部品Cも、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。
【0020】
照明装置8は、部品Cが実装される基板Pを照明光で照明する。照明装置8は、実装位置MPに配置された基板Pを照明光で照明する。照明装置8は、照明光を射出する光源を有する。照明装置8は、実装ヘッド4に配置される。照明装置8は、実装ヘッド4に固定される。実装ヘッド4が移動したとき、照明装置8は、実装ヘッド4と一緒に移動する。
【0021】
照明制御基板9は、照明装置8を制御する。照明制御基板9は、照明装置8に接続される。照明制御基板9は、照明装置8を駆動する駆動回路を含む。
【0022】
カメラ10は、部品Cが実装される基板Pを撮像する。カメラ10は、実装位置MPに配置された基板Pを撮像する。カメラ10は、照明装置8で照明された基板Pを撮像する。カメラ10は、実装ヘッド4に配置される。カメラ10は、実装ヘッド4に固定される。実装ヘッド4が移動したとき、カメラ10は、実装ヘッド4と一緒に移動する。
【0023】
カメラ10は、ノズル5と同じ数だけ配置される。実施形態において、ノズル5は、実装ヘッド4に8つ配置される。カメラ10は、8つのノズル5のそれぞれに対応するように、8つ配置される。
【0024】
カメラ10は、光学系と、光学系を介して受光するイメージセンサと、イメージセンサに対する光の入射と遮断とを切り換えるシャッタとを有する。シャッタにより、イメージセンサの露光時間が調整される。シャッタとして、グローバルシャッタが採用される。以下の説明において、シャッタの作動によりイメージセンサに光が入射してイメージセンサが露光されることを適宜、シャッタを切る、と称する。
【0025】
カメラ制御基板11は、カメラ10を制御する。カメラ制御基板11は、カメラ10に接続される。カメラ制御基板11は、カメラ10を駆動する駆動回路を含む。
【0026】
マウンタ制御コンピュータ12は、基板支持装置3、ノズル駆動装置7、及びヘッド駆動装置6のそれぞれを制御する。マウンタ制御コンピュータ12は、パーソナルコンピュータを含む。
【0027】
カメラ制御コンピュータ13は、照明装置8及びカメラ10のそれぞれを制御する。カメラ制御コンピュータ13は、パーソナルコンピュータを含む。
【0028】
[ノズル及びカメラの動作]
マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル5を昇降させる昇降コマンド信号LCをノズル駆動装置7に出力する。ノズル駆動装置7は、マウンタ制御コンピュータ12から送信された昇降コマンド信号LCに基づいて、ノズル5を昇降させる。また、マウンタ制御コンピュータ12は、基板Pをカメラ10に撮像させるシャッタトリガ信号STをカメラ制御基板11に出力する。カメラ制御基板11は、マウンタ制御コンピュータ12から送信されたシャッタトリガ信号STに基づいて、カメラ10を作動させる。シャッタトリガ信号STがカメラ10に入力されることにより、カメラ10のシャッタが切られる。
【0029】
カメラ制御基板11は、シャッタトリガ信号STをカメラ10に送信することによって、カメラ10を作動させる。カメラ制御基板11は、シャッタトリガ信号STに同期して、照明オンオフ信号OFを照明制御基板9に送信する。照明制御基板9は、カメラ制御基板11から送信された照明オンオフ信号OFに基づいて、照明装置8を作動又は停止させる。照明装置8とカメラ10とは、連動する。照明装置8が発光したとき、カメラ10のシャッタが切られる。照明装置8が発光するタイミングとカメラ10のシャッタが切られるタイミングとは、一致する。
【0030】
実施形態において、マウンタ制御コンピュータ12は、昇降コマンド信号LCに同期してシャッタトリガ信号STを出力する。ノズル5とカメラ10と照明装置8とは、連動する。
【0031】
マウンタ制御コンピュータ12は、昇降コマンド信号LCに基づいてノズル5の位置を監視する。昇降コマンド信号LCに基づいて、ノズル駆動装置7の駆動量が制御される。マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル駆動装置7に送信される昇降コマンド信号LCを監視することにより、ノズル駆動装置7の駆動量を監視する。マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル駆動装置7の駆動量を監視することにより、上下方向におけるノズル5の位置を監視することができる。
【0032】
マウンタ制御コンピュータ12は、昇降コマンド信号LCを介して監視した上下方向におけるノズル5の位置に基づいて、シャッタトリガ信号STを出力する。マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル5の所定部位が規定のシャッタ位置TPに配置されたと判定したときに、シャッタトリガ信号STを出力する。シャッタ位置TPは、上下方向において予め規定された位置である。シャッタ位置TPは、実装位置MPにおいて基板Pの表面よりも上方に規定される。シャッタ位置TPは、ノズル5がカメラ10に写り込まない位置に規定される。実施形態において、マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致したと判定したときに、シャッタトリガ信号STを出力する。ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致したときに、カメラ10のシャッタが切られ、カメラ10により基板Pが撮像される。
【0033】
カメラ10により撮像された基板Pの画像データIMは、カメラ10からカメラ制御基板11に送信される。カメラ制御基板11は、基板Pの画像データIMを取得する。また、カメラ制御基板11は、基板Pの画像データIMをカメラ制御コンピュータ13に転送する。また、部品Cが基板Pに実装される毎にカメラ10により撮像された基板Pの画像データIMは、カメラ制御コンピュータ13に全て蓄積される。
【0034】
カメラ制御コンピュータ13は、蓄積された基板Pの画像データIMに基づいて、最適化されたカメラ10の撮像条件を指定する撮像コマンド信号ICをカメラ制御基板11に送信する。カメラ制御コンピュータ13は、例えば画像データIMの光量が不足していると判定した場合、撮像条件として露光時間が長くなるように、撮像コマンド信号ICをカメラ制御基板11に送信する。また、タクトが優先される状況においては、カメラ制御コンピュータ13は、露光時間を長くするのではなく、カメラ感度(ゲイン)を上げるように、若しくは照明装置8の照明輝度を上げるように、撮像コマンド信号ICをカメラ制御基板11に送信してもよい。
【0035】
なお、カメラ制御コンピュータ13は、画像データIMをカメラ制御コンピュータ13自身で画像処理して輝度調整してもよい。
【0036】
照明装置8は、基板Pのみならず、供給位置SPにおいて部品Cを照明光で照明する。カメラ10は、基板Pのみならず、供給位置SPにおいて部品Cを撮像する。実装ヘッド4が供給位置SPに移動され、部品供給装置2から供給された部品Cがノズル5に保持される前に、照明装置8により部品Cが照明され、カメラ10により部品Cが撮像される。カメラ10により撮像された部品Cの画像データは、カメラ制御基板11に送信される。カメラ制御基板11は、カメラ10により撮像された部品Cの画像データに基づいて、部品Cの状態を確認する。例えば、部品供給装置2から供給位置SPに部品Cが正規の姿勢で供給されない可能性がある。例えば、部品Cの表裏が反転した状態で、部品Cが供給位置SPに供給される可能性がある。カメラ制御基板11は、カメラ10により撮像された部品Cの画像データに基づいて、部品Cが正規の姿勢で供給装置SPに供給されたか否かを判定する。カメラ制御基板11により部品Cが正規の姿勢で供給装置SPに供給されたと判定された場合、供給位置SPにおいてノズル5により部品Cが保持される。カメラ制御基板11により部品Cが正規の姿勢で供給装置SPに供給されていないと判定された場合、その部品Cは、例えば廃棄される。
【0037】
図3及び図4のそれぞれは、ノズル5及びカメラ10の動作を説明するための図である。
【0038】
図3に示すように、昇降コマンド信号LCは、基板Pに向かって部品Cを保持したノズル5を下降させる下降コマンド信号LCdを含む。実装位置MPにおいて部品Cを基板Pに実装する場合、マウンタ制御コンピュータ12は、下降コマンド信号LCdをノズル駆動装置7に送信する。ノズル駆動装置7は、下降コマンド信号LCdに基づいて、部品Cが基板Pに実装されるように、部品Cを保持したノズル5を下降させる。
【0039】
シャッタトリガ信号STは、下降コマンド信号LCdに同期して出力される実装前シャッタトリガ信号STdを含む。実装前シャッタトリガ信号STdは、部品Cが実装前の基板Pをカメラ10に撮像させるシャッタトリガ信号STである。
【0040】
マウンタ制御コンピュータ12は、下降コマンド信号LCdを介して監視した上下方向におけるノズル5の位置に基づいて、実装前シャッタトリガ信号STdを出力する。マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致したと判定したときに、実装前シャッタトリガ信号STdを出力する。ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致したときに、実装前シャッタトリガ信号STdに基づいてカメラ10のシャッタが切られ、部品Cが実装前の基板Pがカメラ10により撮像される。
【0041】
カメラ10からカメラ制御基板11に送信される画像データIMは、実装前シャッタトリガ信号STdに基づいてカメラ10により撮像された基板Pの実装前画像データIMdを含む。カメラ制御基板11は、基板Pの実装前画像データIMdを取得する。
【0042】
図4に示すように、昇降コマンド信号LCは、基板Pに部品Cを実装した後のノズル5を上昇させる上昇コマンド信号LCrを含む。実装位置MPにおいて部品Cが基板Pに実装された後、マウンタ制御コンピュータ12は、上昇コマンド信号LCrをノズル駆動装置7に送信する。ノズル駆動装置7は、上昇コマンド信号LCrに基づいて、部品Cが実装された基板Pからノズル5が離れるように、ノズル5を上昇させる。
【0043】
シャッタトリガ信号STは、上昇コマンド信号LCrに同期して出力される実装後シャッタトリガ信号STrを含む。実装後シャッタトリガ信号STrは、部品Cが実装後の基板Pをカメラ10に撮像させるシャッタトリガ信号STである。
【0044】
マウンタ制御コンピュータ12は、上昇コマンド信号LCrを介して監視した上下方向におけるノズル5の位置に基づいて、実装後シャッタトリガ信号STrを出力する。マウンタ制御コンピュータ12は、ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致したと判定したときに、実装後シャッタトリガ信号STrを出力する。ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致したときに、実装後シャッタトリガ信号STrに基づいてカメラ10のシャッタが切られ、部品Cが実装後の基板Pがカメラ10により撮像される。
【0045】
カメラ10からカメラ制御基板11に送信される画像データIMは、実装後シャッタトリガ信号STrに基づいてカメラ10により撮像された基板Pの実装前画像データIMdを含む。カメラ制御基板11は、基板Pの実装後画像データIMrを取得する。
【0046】
カメラ制御基板11は、実装前シャッタトリガ信号STdに基づいてカメラ10により撮像された基板Pの実装前画像データIMdと、実装後シャッタトリガ信号STrに基づいてカメラ10により撮像された基板Pの実装後画像データIMrとに基づいて、部品Cの実装状態の良否を判定する。部品Cの実装状態は、基板Pにおいて部品Cが実装された位置、及び基板Pに実装された後の部品Cの姿勢の少なくとも一方を含む。カメラ制御基板11は、実装前画像データIMdと実装後画像データIMrとを比較することによって、部品Cの実装状態の良否を適正に判定することができる。
【0047】
実装前シャッタトリガ信号STdは、下降コマンド信号LCdに同期して出力される。実装後シャッタトリガ信号STrは、上昇コマンド信号LCrに同期して出力される。カメラ10のシャッタが切られるタイミングは、下降コマンド信号LCd及び上昇コマンド信号LCrのそれぞれに基づいて制御される。そのため、カメラ制御基板11は、ノズル5の下端部の位置と規定のシャッタ位置TPとが一致するタイミングと、カメラ10のシャッタが切られるタイミングとを、高精度に一致させることができる。これにより、実装前画像データIMdを撮像するときにシャッタが切られるタイミングにずれが生じることが抑制される。同様に、実装後画像データIMrを撮像するときにシャッタが切られるタイミングにずれが生じることが抑制される。実装前画像データIMd及び実装後画像データIMrのそれぞれは、ノズル5の下端部がシャッタ位置TPに配置されたタイミングで取得される。
【0048】
[光学系]
図5は、実施形態に係るカメラ10の光学系14を模式的に示す図である。カメラ10は、光学系14と、光学系14を介してカメラに入射する光を受光するイメージセンサ15とを有する。実施形態において、カメラ10の光学系14は、シャインプルーフ光学系である。シャインプルーフ光学系とは、物面である基板Pの表面と、フィルム面であるイメージセンサ15の撮像面と、光学系14のレンズ主面とが、同一線上で交わる光学系をいう。実施形態において、カメラ10は、基板Pの表面に対して傾斜した方向から基板Pを撮像する。光学系14がシャインプルーフ光学系なので、カメラ10から近距離にある撮像対象とカメラ10から遠距離にある撮像対象とのそれぞれについて光学系14の焦点を同時に合わせることができる。
【0049】
また、上述のように、カメラ10のシャッタは、グローバルシャッタである。撮像対象が動体である場合、撮像対象が振動する場合がある。例えば、部品Cが実装された直後の基板Pは、部品Cの実装に起因して、撓んだり振動したりする場合がある。撮像対象が振動する場合、ローリングシャッタのカメラで撮像対象を撮像すると、画像の上部と下部との間にずれが生じる可能性がある。グローバルシャッタが採用されることにより、画像の上部と下部との間にずれが生じることが抑制される。
【0050】
なお、照明装置8が高輝度で撮像対象を照明することにより、露光時間を短くできるので、カメラ10のシャッタ速度を速くすることができる。カメラ10のシャッタ速度が速くなることにより、撮像対象が動体である場合、画像において撮像対象がブレることが抑制される。
【0051】
[マウンタ制御コンピュータ及びカメラ制御コンピュータ]
図6は、実施形態に係る部品実装装置1の一部を示す機能ブロック図である。
【0052】
マウンタ制御コンピュータ12は、CPUボード12Aと、ヘッドリレー基板12Bとを有する。
【0053】
カメラ制御コンピュータ13は、メイン制御部13Aと、マウンタ通信制御部13Bと、画像データ管理部13Cと、カメラ通信制御部13Dと、カメラ通信制御部13Eと、コマンド用ポート13G及び画像転送用ポート13Hを含むUDPクライアント部13Fと、メモリ13Iと、ハードディスクドライブ13Jとを有する。
【0054】
UDPクライアント部13Fは、UDPサーバ16と通信する。UDPサーバ16は、コマンド用ポート16Aと、画像転送用ポート16Bとを有する。
【0055】
実施形態において、カメラ制御基板11は、第1のカメラ制御基板11Aと、第2のカメラ制御基板11Bとを含む。上述のように、カメラ10は、8つ配置される。1つのカメラ制御基板11に複数のカメラ10が接続される。実施形態において、カメラ制御基板11Aには、第1から第4のカメラ10のそれぞれが接続される。カメラ制御基板11Bには、第5から第8のカメラ10のそれぞれが接続される。
【0056】
部品Cを基板Pに実装する場合、CPUボード12Aは、昇降コマンド信号LCを出力する。昇降コマンド信号LCは、カメラ制御コンピュータ13のマウンタ通信制御部13Bを介してメイン制御部13Aに送信される(ステップS1)。
【0057】
カメラ通信制御部13Dは、カメラ制御基板11Aとの通信を制御する。カメラ通信制御部13Eは、カメラ制御基板11Bとの通信を制御する。メイン制御部13Aは、カメラ通信制御部13D及びカメラ通信制御部13Eのそれぞれに、カメラ10を制御するために撮像コマンド信号を送信する。撮像コマンド信号は、UDPクライアント部13Fのコマンド用ポート13G及びUDPサーバ16のコマンド用ポート16Aを介してカメラ制御基板11A及びカメラ制御基板11Bのそれぞれに送信される(ステップS2)。
【0058】
CPUボード12Aは、ヘッドリレー基板12Bにシャッタトリガ信号STの送信を要求する(ステップS3)。
【0059】
ヘッドリレー基板12Bは、カメラ制御基板11A及びカメラ制御基板11Bにシャッタトリガ信号STを送信する(ステップS4)。
【0060】
カメラ10は、カメラ制御基板11から送信されたシャッタトリガ信号STに基づいて、基板Pを撮像する。基板Pの画像データIMは、UDPサーバ16の画像転送用ポート16B及びUDPクライアント部13Fの画像転送用ポート13Hを介してメモリ13Iに送信される(ステップS5)。
【0061】
画像データ管理部13Cは、メモリ13Iに送信された画像データIMをハードディスクドライブ13Jに記憶させることができる。
【0062】
カメラ通信制御部13D及びカメラ通信制御部13Eのそれぞれは、メイン制御部13Aに、撮像レスポンス信号を送信する(ステップS6)。
【0063】
メイン制御部13Aは、マウンタ通信制御部13Bを介してマウンタ制御コンピュータ12のCPUボード12Aに昇降レスポンス信号を送信する(ステップS7)。
【0064】
実施形態においては、1つのカメラ制御基板11に4つのカメラ10が接続されることにより、イーサネットポートが並列化される。これにより、シャッタトリガ信号STの通信速度及び画像データIMの通信速度が高速化される。また、カメラ制御基板11によるカメラ10からの画像データIMの受信処理がマルチタスク化される。
【0065】
実施形態においては、カメラ制御コンピュータ13とカメラ制御基板11との通信プロトコルに、UDP(User Datagram Protocol)が使用される。また、コマンド用ポート(13G,16A)と画像転送用ポート(13H,16B)とが別々に設けられる。これにより、通信速度の低下が抑制される。
【0066】
[効果]
以上説明したように、ノズル5を昇降させる昇降コマンド信号LCに同期して基板Pをカメラ10に撮像させるシャッタトリガ信号STが出力されるので、例えばノズル5の所定部位がシャッタ位置TPに配置されたタイミングで、カメラ10のシャッタが切られる。すなわち、カメラ10のシャッタは、ノズル5の位置を基準として切られる。つまり、カメラ10のシャッタは、ノズル5が規定のシャッタ位置TPに配置されたタイミングで常に切られる。基板Pの画像データIMが常に同一条件で得られるので、カメラ制御基板11又はカメラ制御コンピュータ13は、基板Pに実装される部品Cの状態を適正に確認することができる。
【0067】
例えば、部品Cの実装前後の基板Pの任意の部位を撮像した2つの画像データIM(IMd,IMr)において、画像データIMの背景に微妙なズレが生じると、部品Cの画像の差異に基づいて実装状態の良否を判定する場合、誤検出の要因となる。実施形態においては、部品Cの実装前後の2つの画像データIM(IMd,IMr)が同一条件で撮像されるので、画像データIMの背景にズレが生じることが抑制される。また、部品Cの実装前後の2つの画像データIM(IMd,IMr)が同一条件で撮像されるので、ノズル5がカメラ10に映り込むことが抑制される。また、ノズル5がカメラ10に映り込んだとしても、部品Cの実装前後の2つの画像データIM(IMd,IMr)においてノズル5は、同じように映る。また、ノズル5の上昇時間と基板Pの整定時間とが紐づけられ、基板Pのブレが抑制される。したがって、部品Cの実装状態の良否が適正に判定される。
【0068】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、カメラ制御基板11が、実装前画像データIMdと実装後画像データIMrとを比較して、部品Cの実装状態の良否の判定を実施することとした。カメラ制御コンピュータ13が、実装前画像データIMdと実装後画像データIMrとを比較して、部品Cの実装状態の良否の判定を実施してもよい。
【0069】
カメラ制御コンピュータ13は、収集した画像データIMを判定値により分類してもよい。カメラ制御コンピュータ13は、収集した画像データIM毎に平均、最大、最小に分類してもよい。カメラ制御コンピュータ13は、収集した画像データIMのそれぞれに寄与率の高い領域を抽出し、分類に基づいて補正係数を決定してもよい。カメラ制御コンピュータ13は、分類したデータに基づいて、重みマスクを作成し、重みマスクを利用して判定値を計算してもよい。
【0070】
上述の実施形態においては、部品Cの実装前後の2つの画像データIM(IMd,IMr)が取得されることとした。実装前画像データIMdが取得され、実装後画像データIMrが取得されなくてもよい。実装後画像データIMrが取得され、実装前画像データIMdが取得されなくてもよい。実装前画像データIMd及び実装後画像データIMrのいずれか一方に基づいて、部品Cの状態が確認されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…部品実装装置、2…部品供給装置、3…基板支持装置、4…実装ヘッド、5…ノズル、6…ヘッド駆動装置、6X…X軸移動装置、6Y…Y軸移動装置、7…ノズル駆動装置、8…照明装置、9…照明制御基板、10…カメラ、11…カメラ制御基板、11A…カメラ制御基板、11B…カメラ制御基板、12…マウンタ制御コンピュータ、12A…CPUボード、12B…ヘッドリレー基板、13…カメラ制御コンピュータ、13A…メイン制御部、13B…マウンタ通信制御部、13C…画像データ管理部、13D…カメラ通信制御部、13E…カメラ通信制御部、13F…UDPクライアント部、13G…コマンド用ポート、13H…画像転送用ポート、13I…メモリ、13J…ハードディスクドライブ、14…光学系、15…イメージセンサ、16…UDPサーバ、16A…コマンド用ポート、16B…画像転送用ポート、C…部品、IC…撮像コマンド信号、IM…画像データ、IMd…実装前画像データ、IMr…実装後画像データ、LC…昇降コマンド信号、LCd…下降コマンド信号、LCr…上昇コマンド信号、MP…実装位置、OF…照明オンオフ信号、P…基板、SP…供給位置、ST…シャッタトリガ信号、STd…実装前シャッタトリガ信号、STr…実装後シャッタトリガ信号、TP…シャッタ位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6