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特開2023-86230作業進捗管理システムおよび作業進捗管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086230
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】作業進捗管理システムおよび作業進捗管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230615BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20230615BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200601
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴来
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】工事現場に居る作業従事者が、管理者が扱う工程表に対して作業の実績を反映させることができ、進捗管理の効率化を図ることができる作業進捗管理技術を提供する。
【解決手段】作業進捗管理システム1の管理サーバ3は、クライアント端末5に入力された作業従事者Wのサインに基づいて、作業従事者Wが作業ステップの開始を確認した開始確認日時と作業従事者Wが作業ステップの終了を確認した終了確認日時とを進捗管理情報22に登録し、進捗管理情報22に登録された同一の作業ステップにおける最も早い開始確認日時を工程情報の実績開始日時として登録し、進捗管理情報22に登録された同一の作業ステップにおける最も遅い終了確認日時を工程情報21の実績終了日時として登録し、工程情報21に登録された内容に基づいて、それぞれの作業ステップの進捗を示す情報を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業に従事する作業従事者が入力操作を行うためのクライアント端末と、
前記作業の進捗を管理する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバは、
前記クライアント端末に入力された前記作業の手順に関するそれぞれの作業ステップが登録された作業手順情報を取得し、
前記クライアント端末に入力されたそれぞれの前記作業ステップの予定開始日時および予定終了日時が登録された工程情報を取得し、
前記作業手順情報および前記工程情報に基づいて、それぞれの前記作業ステップの実行に必要なそれぞれの作業期間に対応する日時が登録可能な進捗管理情報を生成し、
前記クライアント端末に入力された前記作業従事者のサインに基づいて、前記作業従事者が前記作業ステップの開始を確認した開始確認日時と前記作業従事者が前記作業ステップの終了を確認した終了確認日時とを前記進捗管理情報に登録し、
前記進捗管理情報に登録された同一の前記作業ステップにおける最も早い前記開始確認日時を前記工程情報の実績開始日時として登録し、
前記進捗管理情報に登録された同一の前記作業ステップにおける最も遅い前記終了確認日時を前記工程情報の実績終了日時として登録し、
前記工程情報に登録された内容に基づいて、それぞれの前記作業ステップの進捗を示す情報を生成する、
ように構成されている、
作業進捗管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
前記作業従事者とは異なるラストマンが前記クライアント端末に入力したサインに基づいて、前記ラストマンが前記作業ステップの完了を最終的に確認した最終確認日時を前記進捗管理情報に登録する、
ように構成されている、
請求項1に記載の作業進捗管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
前記工程情報に登録された前記作業ステップを日単位で管理が必要なものと時間単位で管理が必要なものとに区別し、
それぞれの前記作業ステップの管理に必要な単位を示す管理時間単位情報を前記工程情報に登録する、
ように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の作業進捗管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、
前記工程情報に基づいて、前記日単位で区切られた列に前記作業ステップの実績を示す実績バーを表示可能なバーチャート工程表を生成し、
前記日単位で管理される前記作業ステップの前記実績バーを前記日単位で前記バーチャート工程表に表示し、
前記時間単位で管理される前記作業ステップの前記実績バーを前記時間単位で前記バーチャート工程表に表示する、
ように構成されている、
請求項3に記載の作業進捗管理システム。
【請求項5】
管理者が扱うための管理用端末を備え、
前記管理用端末と前記クライアント端末とがネットワークを介して前記管理サーバに接続されており、
前記管理サーバは、
前記ネットワークを介してアクセスしてきたものが前記管理用端末であるか前記クライアント端末であるかを識別し、
前記アクセスしてきたものが前記管理用端末である場合には前記工程情報を配信し、
前記アクセスしてきたものが前記クライアント端末である場合には前記工程情報を配信しない、
ように構成されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業進捗管理システム。
【請求項6】
作業に従事する作業従事者が入力操作を行うためのクライアント端末と、
前記作業の進捗を管理する管理サーバと、
を用いて行う方法であり、
前記管理サーバが、前記クライアント端末に入力された前記作業の手順に関するそれぞれの作業ステップが登録された作業手順情報を取得し、
前記管理サーバが、前記クライアント端末に入力されたそれぞれの前記作業ステップの予定開始日時および予定終了日時が登録された工程情報を取得し、
前記管理サーバが、前記作業手順情報および前記工程情報に基づいて、それぞれの前記作業ステップの実行に必要なそれぞれの作業期間に対応する日時が登録可能な進捗管理情報を生成し、
前記管理サーバが、前記クライアント端末に入力された前記作業従事者のサインに基づいて、前記作業従事者が前記作業ステップの開始を確認した開始確認日時と前記作業従事者が前記作業ステップの終了を確認した終了確認日時とを前記進捗管理情報に登録し、
前記管理サーバが、前記進捗管理情報に登録された同一の前記作業ステップにおける最も早い前記開始確認日時を前記工程情報の実績開始日時として登録し、
前記管理サーバが、前記進捗管理情報に登録された同一の前記作業ステップにおける最も遅い前記終了確認日時を前記工程情報の実績終了日時として登録し、
前記管理サーバが、前記工程情報に登録された内容に基づいて、それぞれの前記作業ステップの進捗を示す情報を生成する、
作業進捗管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、作業進捗管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、発電所などのプラント施設では、設備の定期検査工事(以下「定検工事」という。)が行われている。その工事現場では、工事要領書に付属する作業手順の確認と進捗を管理するためのチェックシート(以下「作業管理チェックシート」という。)を用いている。作業が完了した際に、作業管理チェックシートに日付とサインを記入して作業の進捗を管理している。一方、主に管理者向けには、工事工程表を工事の進捗に応じて黒く塗りつぶして可視化する管理が併せて行われている。作業管理チェックシートと工事工程表とで2重の進捗管理が行われており、これらの効率化が求められている。そこで、作業の進捗を管理する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3754476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、現場で収集した作業実績時間を工程管理装置に送信するものである。しかし、実際の発電所の定検工事において、定検工事全体の工事別計画工程表は、工程担当者ら管理者によって作成され、関係者が確認と承認することで確定する。その後、設備ごとの工事の実務担当者らにより工事要領書が作成され、その工事要領書に沿って施工される。工事別計画工程表は、定検工事全体の工程表であることから各工事の工程は大まかに記載されるが、工事要領書に付属する作業管理チェックシートは、詳細な作業手順が記載される。以上のように、工事別計画工程表と工事要領書の作業管理チェックシートの作業項目が一致しないことから現場で収集した作業実績時間を工事別計画工程表にそのまま反映することができない。また、工事要領書の作業管理チェックシートは、所内の規定によって様式が決められていることから、この様式で現場施工を管理する必要もある。
【0005】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、工事現場に居る作業従事者が、管理者が扱う工程表に対して作業の実績を反映させることができ、進捗管理の効率化を図ることができる作業進捗管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る作業進捗管理システムは、作業に従事する作業従事者が入力操作を行うためのクライアント端末と、前記作業の進捗を管理する管理サーバと、を備え、前記管理サーバは、前記クライアント端末に入力された前記作業の手順に関するそれぞれの作業ステップが登録された作業手順情報を取得し、前記クライアント端末に入力されたそれぞれの前記作業ステップの予定開始日時および予定終了日時が登録された工程情報を取得し、前記作業手順情報および前記工程情報に基づいて、それぞれの前記作業ステップの実行に必要なそれぞれの作業期間に対応する日時が登録可能な進捗管理情報を生成し、前記クライアント端末に入力された前記作業従事者のサインに基づいて、前記作業従事者が前記作業ステップの開始を確認した開始確認日時と前記作業従事者が前記作業ステップの終了を確認した終了確認日時とを前記進捗管理情報に登録し、前記進捗管理情報に登録された同一の前記作業ステップにおける最も早い前記開始確認日時を前記工程情報の実績開始日時として登録し、前記進捗管理情報に登録された同一の前記作業ステップにおける最も遅い前記終了確認日時を前記工程情報の実績終了日時として登録し、前記工程情報に登録された内容に基づいて、それぞれの前記作業ステップの進捗を示す情報を生成する、ように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態により、工事現場に居る作業従事者が、管理者が扱う工程表に対して作業の実績を反映させることができ、進捗管理の効率化を図ることができる作業進捗管理技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業進捗管理システムを示すシステム構成図。
図2】管理サーバを示すブロック図。
図3】クライアント端末を示すブロック図。
図4】作業進捗管理処理を示すフローチャート。
図5】作業手順情報を示す説明図。
図6】工程情報を示す説明図。
図7】進捗管理情報を示す説明図。
図8】サイン受付処理を示すフローチャート。
図9】(A)から(C)は、進捗管理情報の登録態様を示す説明図。
図10】進捗率算出処理を示すフローチャート。
図11】(A)および(B)は、確認欄の全てが未登録の進捗管理情報および工程情報を示す説明図。
図12】(A)および(B)は、開始確認と終了確認の欄が登録済の進捗管理情報および工程情報の第1例を示す説明図。
図13】(A)および(B)は、開始確認と終了確認の欄が登録済の進捗管理情報および工程情報の第2例を示す説明図。
図14】(A)および(B)は、確認欄の全てが登録済の進捗管理情報および工程情報を示す説明図。
図15】管理時間単位の欄が設けられた工程情報を示す説明図。
図16】(A)から(C)は、管理時間単位で管理される進捗管理情報と工程情報とバーチャート工程表を示す説明図。
図17】(A)および(B)は、分割処理される工程情報および進捗管理情報を示す説明図。
図18】(A)および(B)は、分割処理される工程情報およびバーチャート工程表を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、作業進捗管理システムおよび作業進捗管理方法の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1の符号1は、本実施形態の作業進捗管理システムである。この作業進捗管理システム1は、原子力発電所、火力発電所、化学プラント、または工場などを含むプラント施設において、所定の工事、例えば、定検工事に関する作業の進捗を管理するためのものである。
【0011】
作業進捗管理システム1は、所定のネットワーク2を介して互いに接続された管理サーバ3と管理用端末4とクライアント端末5とを備える。ネットワーク2は、例えば、インターネットなどの通信回線である。なお、所定のネットワーク2は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)または携帯通信網であっても良い。また、通信回線は、有線回線または無線回線のいずれでも良い。
【0012】
なお、通信回線を利用することができない工事現場の場合は、管理事務所などの通信回線の利用が可能な場所でクライアント端末5をネットワーク2に接続してデータの送受信を行うようにする。そして、工事現場では、オフライン環境でクライアント端末5を利用することも可能である。
【0013】
クライアント端末5は、工事現場で作業に従事する作業従事者Wが主に入力操作を行うために用いられる。また、工事現場には、作業従事者Wとは異なる者であって、作業の完了を最終的に確認する最終責任者としてのラストマンLが居る。このラストマンLが主に入力操作を行うために用いるクライアント端末5も設けられている。管理用端末4は、工事を管理する管理事務所に居る管理者Mにより扱われる。
【0014】
管理サーバ3は、作業従事者WとラストマンLが居るプラント施設以外に設けられたクラウドサーバである。なお、管理サーバ3は、作業従事者Wが居るプラント施設内に管理サーバ3を設けても良い。
【0015】
次に、作業進捗管理システム1のシステム構成を図2から図3に示すブロック図を参照して説明する。
【0016】
図2に示すように、管理サーバ3は、通信部10と制御部11と記憶部12とを備える。通信部10は、ネットワーク2を介して他のコンピュータと通信を行う。例えば、通信部10は、クライアント端末5および管理用端末4と通信を行う。制御部11は、管理サーバ3を統括的に制御する。記憶部12は、作業の進捗の管理を行うときに必要な各種情報を記憶する。
【0017】
管理サーバ3の制御部11は、作業手順管理部13と工程管理部14と進捗管理部15と単位時間調整部16と工程間隔調整部17とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
【0018】
管理サーバ3の記憶部12は、作業手順情報20と工程情報21と進捗管理情報22とを記憶する。これらは、所定のデータベース(管理テーブル)に記憶された情報の集まりであり、メモリ、HDDまたはクラウドに記憶され、検索または蓄積ができるよう整理された情報の集まりである。
【0019】
本実施形態の作業進捗管理システム1は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の作業進捗管理方法は、各種プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
【0020】
なお、管理サーバ3の各構成は、必ずしも1つのコンピュータに設ける必要はない。例えば、1つの作業進捗管理システム1が、ネットワーク2で互いに接続された複数のコンピュータで実現されても良い。
【0021】
図3に示すように、クライアント端末5は、通信部30と入力部31と出力部32と制御部33と記憶部34とを備える所定のコンピュータで構成されている。なお、管理用端末4は、クライアント端末5と同様に所定のコンピュータで構成されている。クライアント端末5としては、工事現場で携帯し易いタブレット型のコンピュータを例示する。また、管理用端末4としては、デスクトップ型のコンピュータを例示する。
【0022】
通信部30は、ネットワーク2を介して他のコンピュータと通信を行う。例えば、クライアント端末5の場合は、管理サーバ3および管理用端末4と通信を行う。管理用端末4の場合は、管理サーバ3およびクライアント端末5と通信を行う。
【0023】
入力部31には、作業進捗管理システム1を使用するユーザの操作に応じて所定の情報が入力される。この入力部31には、マウス、キーボードまたはタッチペンなどの入力装置が含まれる。つまり、これら入力装置の操作に応じて所定の情報が入力部31に入力される。なお、クライアント端末5の場合は、入力部31とディスプレイとが一体となったタッチパネルを例示する。
【0024】
出力部32は、所定の情報の出力を行う。例えば、出力部32は、所定の情報が表示されるディスプレイである。なお、ディスプレイはコンピュータ本体と別体であっても良いし、一体であっても良い。
【0025】
なお、本実施形態では、画像の表示を行う装置としてディスプレイが例示されるが、その他の態様であっても良い。例えば、ヘッドマウントディスプレイまたはプロジェクタを用いて情報の表示が行われても良い。さらに、紙媒体に情報を印字するプリンタがディスプレイの替りとして用いられても良い。
【0026】
クライアント端末5の制御部33は、クライアント端末5を統括的に制御する。この制御部33は、入力処理部35を備える。入力処理部35は、作業手順情報20、工程情報21、進捗管理情報22に関する情報の入力処理を行う。この入力処理部35は、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。なお、この入力処理部35は、管理サーバ3の進捗管理部15が有する機能の少なくとも一部の機能を有している。
【0027】
クライアント端末5の記憶部34は、作業の進捗の管理を行うときに必要な各種情報を記憶する。例えば、記憶部34は、進捗管理情報22を記憶する。この進捗管理情報22は、管理サーバ3に記憶されたものと同一である。例えば、管理サーバ3で進捗管理情報22が生成されると、この生成された進捗管理情報22が管理サーバ3からクライアント端末5にダウンロードされる。
【0028】
さらに、オンライン時にクライアント端末5の進捗管理情報22が更新されると、管理サーバ3の進捗管理情報22も更新される。なお、オフライン時にクライアント端末5の進捗管理情報22が更新された場合には、オンラインとなったときに、クライアント端末5から管理サーバ3に進捗管理情報22がアップロードされる。また、作業が完了したか否かにかかわらず進捗管理情報22がアップロードされても良いし、作業従事者Wの入力操作に基づいて進捗管理情報22がアップロードされても良い。
【0029】
次に、管理サーバ3が実行する作業進捗管理処理について図4のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、作業進捗管理処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが作業進捗管理処理に含まれていても良い。
【0030】
なお、ステップS1からS3は、例えば、工事現場で工事が行われる前、つまり作業期間以前の期間に実行される処理である。ステップS4は、例えば、工事現場で作業中、つまり作業期間中に作業従事者WまたはラストマンLの入力操作に基づいて実行される処理である。ステップS5からS6は、例えば、工事現場で作業中に、管理者Mの指示に基づいて実行される処理である。
【0031】
まず、ステップS1において、管理サーバ3の作業手順管理部13は、作業手順取得処理を実行する。ここで、作業手順管理部13は、クライアント端末5に入力された作業の手順に関するそれぞれの作業ステップが登録された作業手順情報20を取得する。この作業手順情報20の入力は、工事現場で作業を行う前に、作業従事者WまたはラストマンLがクライアント端末5を用いて予め行う。なお、作業手順情報20の入力は、管理者Mが管理用端末4を用いて行っても良い。
【0032】
本実施形態の工事現場における作業は、複数の作業ステージに分けられて進捗が管理される。さらに、それぞれの作業ステージは、複数の作業ステップに分けられて進捗が管理される。
【0033】
図5に示すように、作業手順情報20には、作業ステージを個々に識別可能な「ステージ番号」が登録される。それぞれのステージ番号に対応付けて「作業ステージ名」が登録される。さらに、それぞれのステージ番号に対応付けて、作業ステップを個々に識別可能な「ステップ番号」が登録される。また、作業手順情報20には、それぞれのステップ番号に対応付けて、「作業ステップ名」と「作業内容」と「作業上の注意事項」とが登録される。なお、ステージ番号およびステップ番号が管理テーブルの主キーとなり、各種情報が登録される。
【0034】
図4に戻り、次のステップS2において、管理サーバ3の工程管理部14は、工程情報取得処理を実行する。ここで、工程管理部14は、クライアント端末5に入力されたそれぞれの作業ステップの予定開始日時および予定終了日時が登録された工程情報21を取得する。この工程情報21の入力は、工事現場で作業を行う前に、作業従事者WまたはラストマンLがクライアント端末5を用いて予め行う。なお、工程情報21の入力は、管理者Mが管理用端末4を用いて行っても良い。
【0035】
図6に示すように、工程情報21には、作業手順情報20に登録済の一部の情報23が登録される。さらに、工程情報21には、それぞれのステップ番号に対応付けて、「予定開始日時」と「予定終了日時」と「実績開始日時」と「実績終了日時」と「進捗率」とを登録可能な欄が設けられる。
【0036】
予定開始日時は、作業ステップの開始が予定される日時である。予定終了日時は、作業ステップの終了が予定される日時である。実績開始日時は、作業ステップが実際に開始された日時である。実績終了日時は、作業ステップが実際に終了した日時である。進捗率は、作業ステップの進捗を示す情報である。
【0037】
例えば、作業従事者WまたはラストマンLは、クライアント端末5を用いて、それぞれの作業ステップごとに予定開始日時と予定終了日時とを入力する。この入力は、表形式で行っても良いし、クライアント端末5がパソコンの場合はバーチャートソフトウェアを用いたマウス操作により行っても良い。なお、管理者Mが、管理用端末4を用いて予定開始日時と予定終了日時とを入力しても良い。
【0038】
図4に戻り、次のステップS3において、管理サーバ3の進捗管理部15は、進捗管理情報生成処理を実行する。ここで、進捗管理部15は、作業手順情報20および工程情報21に基づいて、それぞれの作業ステップの実行に必要なそれぞれの作業期間に対応する日時が登録可能な進捗管理情報22を生成する。なお、作業期間が延長される場合には、作業期間中にであっても、作業従事者Wらの操作により入力欄を増やすことも可能である。
【0039】
ここで、クライアント端末5の入力処理部35は、管理サーバ3の進捗管理部15と同様の機能を有している。例えば、クライアント端末5の入力処理部35が、進捗管理情報22を更新することができる。なお、クライアント端末5で更新された進捗管理情報22は、管理サーバ3にアップロードされる。
【0040】
図7に示すように、進捗管理情報22には、作業手順情報20に登録済の情報25が登録される。さらに、進捗管理情報22には、それぞれのステップ番号に対応付けて、サインおよび日時が登録可能な「開始確認」と「終了確認」と「ラストマン(LM)確認」の確認欄26が設けられる。
【0041】
開始確認の欄は、所定の作業ステップの作業期間の開始日時に作業従事者Wがクライアント端末5にサインを入力した場合に、そのサインをした者の氏名とそのサインをした日時が登録される。
【0042】
終了確認の欄は、所定の作業ステップの作業期間の終了日時に作業従事者Wがクライアント端末5にサインを入力した場合に、そのサインをした者の氏名とそのサインをした日時が登録される。
【0043】
LM確認の欄は、所定の作業ステップの作業期間のLM確認日時にラストマンLがクライアント端末5にサインを入力した場合に、そのサインをした者の氏名とそのサインをした日時が登録される。
【0044】
これらの確認欄26は、所定の作業ステップの作業期間に応じて生成される。つまり、それぞれの作業ステップごとの作業予定日数分の確認欄26が生成される。例えば、工程情報21(図6)のステージ番号「1」のステップ番号「1」において、予定開始日時から予定終了日時まで2日間に亘る日時を示す情報24が登録されている。この工程情報21に登録された情報24に基づいて、進捗管理情報22のステージ番号「1」のステップ番号「1」には、2日分の確認欄26が設けられる。
【0045】
なお、本実施形態のサインは、作業従事者WとラストマンLを個々に識別可能な識別情報である。これらのサインは、タッチパネルに入力される手書き入力の署名、所定の電子スタンプ、クライアント端末5へのログイン時の認証、サインをした者の生体認証のいずれを用いても良い。
【0046】
図4に戻り、次のステップS4において、管理サーバ3は、後述するサイン受付処理(図8)を実行する。
【0047】
次のステップS5において、管理サーバ3は、後述する進捗率算出処理(図10)を実行する。
【0048】
次のステップS6において、管理サーバ3は、工程表配信処理を実行する。ここで、管理サーバ3は、ネットワーク2を介してアクセスしてきたものが管理用端末4であるかクライアント端末5であるかを識別する。ここで、管理サーバ3は、アクセスしてきたものが管理用端末4である場合には工程情報21を配信する。一方、管理サーバ3は、アクセスしてきたものがクライアント端末5である場合には工程情報21を配信しない。このようにすれば、管理者Mが作業の進捗を把握しつつ、作業従事者WとラストマンLが進捗率および作業日程を気にすることなく作業に集中することができる。
【0049】
なお、管理サーバ3から管理用端末4に配信されるものには、工程情報21に基づいて生成されるバーチャート工程表27(図16(C))が含まれる。
【0050】
本実施形態では、同一のコンピュータであっても、作業従事者Wが扱うものはクライアント端末5であり、管理者Mが扱うものは管理用端末4である。例えば、管理サーバ3が行う「識別」は、アクセスしてきた端末を扱う者のユーザ認証に基づいて行っても良い。
【0051】
そして、管理サーバ3が作業進捗管理処理を終了する。なお、この作業進捗管理処理は、作業従事者W、ラストマンLおよび管理者Mらの入力操作により実行される処理であるが、一定時間毎に繰り返される処理であっても良い。この処理が繰り返されることで、作業進捗管理システム1で作業進捗管理方法が実行される。なお、管理サーバ3が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
【0052】
次に、管理サーバ3が実行するサイン受付処理について図8のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、サイン受付処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップがサイン受付処理に含まれていても良い。
【0053】
ここで、クライアント端末5の入力処理部35(図3)は、サインの入力操作を受け付ける入力処理を実行する。この入力処理に応じて、管理サーバ3がサイン受付処理を実行する。以下の説明では、オンライン時にクライアント端末5が用いられ、クライアント端末5で入力されたサインが、リアルタイムで管理サーバ3の進捗管理情報22に登録される態様を例示する。さらに、クライアント端末5に入力されたサインは、クライアント端末5の進捗管理情報22にも登録される。
【0054】
なお、オフライン時にクライアント端末5を用いる場合は、入力されたサインがクライアント端末5の進捗管理情報22に一旦登録される。その後、オンラインになったときに、この進捗管理情報22が管理サーバ3にアップロードされる。つまり、クライアント端末5の入力処理部35が実行する入力処理において、サイン受付処理(ステップS11からS17の少なくとも1つのステップ)に対応する処理を実行しても良い。
【0055】
本実施形態において、管理サーバ3が進捗管理情報22に所定の情報を登録する態様には、管理サーバ3が直接的に進捗管理情報22を更新する態様のみならず、その他の態様が含まれる。例えば、クライアント端末5が、自身が記憶している進捗管理情報22に所定の情報を一旦登録し、この進捗管理情報22を管理サーバ3にアップロードする。そして、このアップロードされた進捗管理情報22に基づいて、管理サーバ3が、自身が記憶している進捗管理情報22を更新する態様でも良い。
【0056】
まず、ステップS11において、管理サーバ3の進捗管理部15は、クライアント端末5で所定の作業ステップに対応するサインが入力されたか否かを判定する。つまり、クライアント端末5の入力処理部35がサインの入力を受け付けたか否かを判定する。なお、この判定を入力処理部35が行っても良い。ここで、サインが入力されていない場合(ステップS11でNOの場合)は、サイン受付処理を終了する。一方、サインが入力された場合(ステップS11でYESの場合)は、ステップS12に進む。
【0057】
ステップS12において、進捗管理部15は、クライアント端末5に入力されたサインが所定の作業ステップに対応する作業従事者Wの開始確認のサインであるか否かを判定する。なお、この判定をクライアント端末5の入力処理部35が行っても良い。ここで、開始確認のサインでない場合(ステップS12でNOの場合)は、ステップS14に進む。一方、開始確認のサインである場合(ステップS12でYESの場合)は、ステップS13に進む。
【0058】
ステップS13において、進捗管理部15は、クライアント端末5に入力された作業従事者Wのサインに基づいて、作業従事者Wが作業ステップの開始を確認した開始確認日時とその氏名を進捗管理情報22に登録する(図9(A))。そして、サイン受付処理を終了する。なお、作業従事者Wがサインの入力操作を行った日時(時点)が開始確認日時となっている。例えば、作業従事者Wは、作業を開始する直前に、作業内容と作業上の注意事項の確認を行い、この確認が行われたことのエビデンスとしてクライアント端末5に開始確認のサインを入力するようにしている。なお、クライアント端末5の入力処理部35が、開始確認日時と氏名をクライアント端末5の進捗管理情報22に登録しても良い。そして、この進捗管理情報22が管理サーバ3にアップロードされても良い。
【0059】
ステップS12でNOの場合に進むステップS14において、進捗管理部15は、クライアント端末5に入力されたサインが所定の作業ステップに対応する作業従事者Wの終了確認のサインであるか否かを判定する。なお、この判定をクライアント端末5の入力処理部35が行っても良い。ここで、終了確認のサインでない場合(ステップS14でNOの場合)は、ステップS16に進む。一方、終了確認のサインである場合(ステップS14でYESの場合)は、ステップS15に進む。
【0060】
ステップS15において、進捗管理部15は、クライアント端末5に入力された作業従事者Wのサインに基づいて、作業従事者Wが作業ステップの終了を確認した終了確認日時とその氏名を進捗管理情報22に登録する(図9(B))。そして、サイン受付処理を終了する。なお、作業従事者Wがサインの入力操作を行った日時(時点)が終了確認日時となっている。例えば、作業従事者Wは、当日の作業を終了する際に、当日予定していた残作業が無いか確認を行う。この確認が行われたことのエビデンスとしてクライアント端末5に終了確認のサインを入力するようにしている。なお、クライアント端末5の入力処理部35が、終了確認日時と氏名をクライアント端末5の進捗管理情報22に登録しても良い。そして、この進捗管理情報22が管理サーバ3にアップロードされても良い。
【0061】
ステップS14でNOの場合に進むステップS16において、進捗管理部15は、クライアント端末5に入力されたサインが所定の作業ステップに対応するラストマンLのLM確認のサインであるか否かを判定する。なお、この判定をクライアント端末5の入力処理部35が行っても良い。ここで、LM確認のサインでない場合(ステップS16でNOの場合)は、サイン受付処理を終了する。一方、LM確認のサインである場合(ステップS16でYESの場合)は、ステップS17に進む。
【0062】
ステップS17において、進捗管理部15は、ラストマンLがクライアント端末5に入力したサインに基づいて、ラストマンLが作業ステップの完了を最終的に確認したLM確認日時(最終確認日時)とその氏名を進捗管理情報22に登録する(図9(C))。そして、サイン受付処理を終了する。このようにすれば、作業ステップが完了したか否かの最終確認を行うことができる。なお、ラストマンLがサインの入力操作を行った日時(時点)がLM確認日時となっている。例えば、作業従事者Wが作業を進めていく中で、ラストマンLは、作業ステップがすべて完了したことを最終確認する。この確認が行われたことのエビデンスとしてクライアント端末5にLM確認のサインを入力するようにしている。なお、クライアント端末5の入力処理部35が、LM確認日時と氏名をクライアント端末5の進捗管理情報22に登録しても良い。そして、この進捗管理情報22が管理サーバ3にアップロードされても良い。
【0063】
なお、本実施形態では、管理サーバ3がサイン受付処理を実行しているが、その他の態様であっても良い。例えば、管理サーバ3がサイン受付処理を一切実行せず、クライアント端末5がサイン受付処理の全てのステップを実行しても良い。ここで、管理サーバ3は、クライアント端末5で実行したサイン受付処理の処理結果だけを受信し、この処理結果に基づいて、管理サーバ3が、自身が記憶している進捗管理情報22を更新するようにしても良い。
【0064】
次に、管理サーバ3が実行する進捗率算出処理について図10のフローチャートを用いて説明する。なお、前述の図面を適宜参照する。以下のステップは、進捗率算出処理に含まれる少なくとも一部の処理であり、他のステップが進捗率算出処理に含まれていても良い。
【0065】
まず、ステップS21において、管理サーバ3の進捗管理部15は、進捗管理情報22(図11(A))において、所定の作業ステップの確認欄の全てが未登録(NULL)であるか否かを判定する。つまり、作業従事者WまたはラストマンLにより、開始確認、終了確認、LM確認の全てが行われていない状態であるか否かを判定する。ここで、確認欄の全てが未登録でない場合(ステップS21でNOの場合)は、ステップS23に進む。一方、確認欄の全てが未登録である場合(ステップS21でYESの場合)は、ステップS22に進む。
【0066】
ステップS22において、管理サーバ3の工程管理部14は、工程情報21(図11(B))において、進捗管理情報22で判定されたものと同一の作業ステップにおける進捗率pの欄に「0%」を登録する。そして、進捗率算出処理を終了する。
【0067】
ステップS21でNOの場合に進むステップS23において、進捗管理部15は、進捗管理情報22(図12(A),図13(A))において、所定の作業ステップのLM確認欄のみが未登録(NULL)であるか否かを判定する。つまり、作業従事者Wにより、開始確認と終了確認が行われており、かつラストマンLによりLM確認が行われていない状態であるか否かを判定する。ここで、LM確認欄のみが未登録でない場合(ステップS23でNOの場合)は、ステップS28に進む。一方、LM確認欄のみが未登録である場合(ステップS23でYESの場合)は、ステップS24に進む。
【0068】
ステップS24において、工程管理部14は、工程情報21に登録された内容に基づいて、それぞれの作業ステップの進捗を示す情報を生成する。本実施形態の工程管理部14は、それぞれの作業ステップの進捗率を算出する。
【0069】
例えば、工程管理部14は、工程情報21(図12(B),図13(B))において、進捗管理情報22に登録されたものと同一の作業ステップにおける最も早い開始確認日時を工程情報21の実績開始日時として登録する。さらに、工程管理部14は、工程情報21において、進捗管理情報22に登録されたものと同一の作業ステップにおける最も遅い終了確認日時を工程情報21の実績終了日時として登録する。そして、工程管理部14は、工程情報21に基づいて、所定の作業ステップの進捗率を算出する。
【0070】
例えば、予定作業日数は、「予定作業日数dtp=予定終了日時dtep-予定開始日時dtsp」の式で求められる。なお、日単位に切上げる。
【0071】
また、実績作業日数は、「実績作業日数dtr=実績終了日時dter-実績開始日時dtsr」の式で求められる。なお、日単位に切上げる。
【0072】
さらに、算出時に一時的に進捗率を表す値である進捗率tmpは、「進捗率tmp=実績作業日数dtr÷予定作業日数dtp×100」の式で求められる。なお、小数点以下切り捨てる。
【0073】
次のステップS25において、工程管理部14は、進捗率tmpが100%未満であるか否かを判定する。つまり、実績作業日数が予定作業日数以上か否かを判定する。ここで、進捗率tmpが100%未満でない場合(ステップS25でNOの場合)は、ステップS27に進む。一方、進捗率tmpが100%未満である場合(ステップS25でYESの場合)は、ステップS26に進む。
【0074】
ステップS26において、工程管理部14は、工程情報21(図12(B))の進捗率pの欄に、先に求めた進捗率tmpの値をそのまま登録する。そして、進捗率算出処理を終了する。
【0075】
ステップS25でNOの場合に進むステップS27において、工程管理部14は、工程情報21(図13(B))の進捗率pの欄に、100%に近い値であり、かつ100%未満の値、例えば「99%」を登録する。そして、進捗率算出処理を終了する。
【0076】
ステップS23でNOの場合に進むステップS28において、進捗管理部15は、進捗管理情報22(図14(A))において、所定の作業ステップの確認欄の全てが登録済であるか否かを判定する。つまり、作業従事者WまたはラストマンLにより、開始確認、終了確認、LM確認の全てが行われている状態であるか否かを判定する。ここで、確認欄の全てが登録済でない場合(ステップS28でNOの場合)は、進捗率算出処理を終了する。一方、確認欄の全てが登録済である場合(ステップS28でYESの場合)は、ステップS29に進む。
【0077】
ステップS29において、工程管理部14は、工程情報21(図14(B))の進捗率pの欄に「100%」を登録する。そして、進捗率算出処理を終了する。
【0078】
なお、本実施形態の進捗を示す情報として、進捗率を例示しているが、その他の態様でも良い。例えば、進捗を示す情報は、作業ステップが予定通りに作業が進んでいるか否かを示す情報、またはその識別が可能な情報でも良い。
【0079】
本実施形態では、作業従事者Wの手を煩わせることなく、工事別計画工程表(工程情報21)と工事要領書の作業管理チェックシート(進捗管理情報22)の作業項目を一致させるとともに、工事現場で管理される作業の進捗を示す情報を工事別計画工程表にそのまま反映することが可能となり、進捗管理の効率化を図ることができる。
【0080】
次に、管理時間単位で作業ステップを管理する態様について図15から図16を参照して説明する。
【0081】
図15に示すように、工程情報21において、それぞれの作業ステップに対応付けて、管理時間単位を示す管理時間単位情報28が登録可能な欄が設けられる。なお、「管理時間単位」とは、所定の作業ステップの管理を行う場合に用いる時間(期間)の単位である。例えば、クリティカルパス作業、運転操作員が行う作業、特殊技能者または有資格者に依頼する作業などの「時間単位」で管理が必要な作業ステップと、それ以外の作業ステップであって「日単位」の管理で充分な作業ステップとを区別する管理時間単位情報28を予め定義しておく。なお、「日単位」は、「月、日」単位で管理する必要がある作業ステップに適用される。「時間単位」は、「時、分」単位であり、時刻単位で管理する必要がある作業ステップに適用される。
【0082】
管理サーバ3の単位時間調整部16(図2)は、工程情報21に登録された作業ステップを日単位で管理が必要な第1種と時間単位で管理が必要な第2種とに区別し、それぞれの作業ステップの管理に必要な単位を示す管理時間単位情報28を工程情報21に登録する。このようにすれば、それぞれの作業ステップを日単位または時間単位で管理することができる。
【0083】
図16(A)および図16(B)に示すように、「時間単位」で管理される作業ステップは、進捗管理情報22に登録された時刻が、そのまま工程情報21に反映される。一方、「日単位」で管理される作業ステップは、進捗管理情報22の開始確認の時刻を「00:00」に切り捨て、かつ進捗管理情報22の終了確認の時刻を「24:00」に切り上げて、工程情報21に反映させる。そして、この工程情報21に基づいて、図16(C)に示すように、バーチャート工程表27の実績期間を示す実績バーが表示される。
【0084】
例えば、発電所の定検工事は、その施設の運転を停止して行われることから、その期間が施設の稼働率に直接的に影響することになる。そのため、クリティカルパス作業は、時間単位で綿密に計画され、工程表のカレンダーも時間単位で表示し、工事実績も時間単位で管理が行われる。この他にも、発電設備のアイソレーション作業は、発電事業者の運転操作員に予め日時を指定して依頼しておく必要があり、時間単位で管理が行われる。また、電源ケーブル解線または接続の作業、非破壊検査、溶接作業なども、それぞれその特殊技能者または有資格者に依頼する必要があることから、同様に時間単位で管理が行われる。一方、クリティカルパス作業に影響しない作業または特殊技能者らが関わらない作業は、工程の裕度が高く、作業実績の管理は日単位で行われる。
【0085】
本実施形態では、管理時間単位が「時間単位」の場合と「日単位」の場合とで、工程管理の実情に沿った表現を行うことが可能であり、工程表などの作成業務の効率化が可能となる。
【0086】
次に、バーチャート工程表27の実績バーの表示態様について図17から図18を参照して説明する。
【0087】
管理サーバ3の工程間隔調整部17(図2)は、工程情報21に基づいて、日単位で区切られた列に作業ステップの実績を示す実績バーを表示可能なバーチャート工程表27を生成する。また、工程間隔調整部17は、日単位で管理される作業ステップの実績バーを日単位でバーチャート工程表27に表示する。さらに、工程間隔調整部17は、時間単位で管理される作業ステップの実績バーを時間単位でバーチャート工程表27に表示する。この工程間隔調整部17は、例えば、実際の作業ステップの期間に間隔が空いている場合には、バーチャート工程表27の分割処理を行う。
【0088】
例えば、図17(A)に示すように、作業ステップの予定が4月11日から20日までの期間あり、工程情報21に計10日間の期間が登録されている。この場合において、バーチャート工程表27は、計10日間の期間の全体に亘って計画バーが表示される(図18(B))。
【0089】
これに対して、図17(B)に示すように、実際には、11日,12日,16日,19日,20日のみに作業ステップを実施したとする。この場合において、13~15日と17~18日の期間は作業を行っていないことから、バーチャート工程表27においては、予定期間内であっても、実績バーは3つに分割された態様で表示される。例えば、11~12日と16日と19~20日との期間に実績バーが表示される(図18(B))。
【0090】
このようにすれば、作業ステップの種類に応じてバーチャート工程表27の実績バーが表示されるため、管理者Mが、作業にかかった期間を視覚的に把握することができる。例えば、実際の作業に間隔が空く場合に、バーチャート工程表27における実績バーが分割された状態で作成される。
【0091】
例えば、作業内容によっては、ある期間の中で状況に応じて、その数日間のみに作業を行う場合がある。この場合、図18(B)に示すように、バーチャート工程表27の上段の計画バーのように数日間に亘って表示してしまうと、作業が連続的に行われたように見えることになる。そのため、作業が実施された日と実施されなかった日とを区別できるようにする必要がある。本実施形態では、バーチャート工程表27の下段の実績バーのように、作業の実施または不実施の期間が、視覚的に分かるバーチャート工程表27を生成することができる。
【0092】
なお、前述の実施形態では、図18(B)に示すように、計画期間を示す計画バーと実績期間を示す実績バーとが上下に併記されており、計画バーが日単位で表示され、実績バーが時間単位で表示されているが、その他の態様であっても良い。例えば、日単位で管理される作業ステップの場合は、計画バーと実績バーの双方が日単位で表示され、時間単位で管理される作業ステップの場合は、計画バーと実績バーの双方が時間単位で表示されても良い。
【0093】
なお、前述の実施形態では、工程情報21に基づいて、バーチャート工程表27を生成しているが、その他の態様であっても良い。例えば、工程情報21に基づいて、進捗率をバーで示したガントチャート工程表を生成しても良い。
【0094】
なお、前述の実施形態では、クライアント端末5に入力された情報がネットワーク2を介して管理サーバ3にアップロードされているが、その他の態様であっても良い。例えば、クライアント端末5に入力された情報がUSBメモリなどの記憶媒体に一時的に記憶され、この記憶媒体が管理サーバ3まで搬送されても良い。そして、クライアント端末5に入力された情報が記憶媒体を通じて管理サーバ3に入力されても良い。また、管理サーバ3で更新された情報が記憶媒体を通じてクライアント端末5に入力されても良い。つまり、管理サーバ3とクライアント端末5は、ネットワーク2を介さずに、搬送可能な記憶媒体を介して情報のやり取りをしても良い。
【0095】
なお、前述の実施形態において、基準値(例えば、100%の値)を用いた任意の値(例えば、進捗率)の判定は、「任意の値が基準値以上か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値を超えているか否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値以下か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値未満か否か」の判定でも良い。また、基準値が固定されるものでなく、変化するものであっても良い。従って、基準値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行っても良い。また、予め装置に生じる誤差が解析され、基準値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲が判定に用いられても良い。
【0096】
なお、前述の実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0097】
前述の実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
【0098】
なお、前述の実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
【0099】
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用回線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【0100】
以上説明した実施形態によれば、管理サーバは、工程情報に登録された内容に基づいて、それぞれの作業ステップの進捗を示す情報を生成することにより、工事現場に居る作業従事者が、管理者が扱う工程表に対して作業の実績を反映させることができ、進捗管理の効率化を図ることができる。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0102】
1…作業進捗管理システム、2…ネットワーク、3…管理サーバ、4…管理用端末、5…クライアント端末、10…通信部、11…制御部、12…記憶部、13…作業手順管理部、14…工程管理部、15…進捗管理部、16…単位時間調整部、17…工程間隔調整部、20…作業手順情報、21…工程情報、22…進捗管理情報、23,24,25…情報、26…確認欄、27…バーチャート工程表、28…管理時間単位情報、30…通信部、31…入力部、32…出力部、33…制御部、34…記憶部、35…入力処理部、L…ラストマン、M…管理者、W…作業従事者。
図1
図2
図3
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