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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086231
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】保持部材
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230615BHJP
   A61M 39/08 20060101ALI20230615BHJP
   A61B 50/30 20160101ALI20230615BHJP
【FI】
A61M25/00
A61M39/08
A61B50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200602
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 広梓
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066FF01
4C066GG01
4C267AA01
4C267AA34
4C267BB31
4C267BB32
4C267GG02
4C267HH07
(57)【要約】
【課題】巻回された医療用の管状体を平面状にし易い保持部材を提供する。
【解決手段】巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、前記管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び治具を嵌合させる第2の凹部を有する保持部材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、
前記管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び
治具を嵌合させる第2の凹部を有する保持部材。
【請求項2】
前記第2の凹部の深さ方向の長さは前記第1の凹部の深さ方向の長さよりも短い請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記第1の面は前記複数の第1の凹部を有し、前記第2の面は前記第2の凹部を有する請求項1または2に記載の保持部材。
【請求項4】
前記第2の凹部の深さ方向に垂直な方向における前記第2の凹部の最大断面積は、前記第1の凹部の深さ方向に垂直な方向における前記第1の凹部の最大断面積よりも小さい請求項1~3のいずれかに記載の保持部材。
【請求項5】
前記第2の凹部は、深さ方向における外側に向かって前記第2の凹部の深さ方向に垂直な方向における断面積が大きくなっている拡大部を有し、前記外側に向かって前記断面積が小さくなっている縮小部を有していない請求項1~4のいずれかに記載の保持部材。
【請求項6】
巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、
前記管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び
治具を嵌合させる凸部を有する保持部材。
【請求項7】
前記凸部の高さ方向の長さは前記第1の凹部の深さ方向の長さよりも短い請求項6に記載の保持部材。
【請求項8】
前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記第1の面は前記複数の第1の凹部を有し、前記第2の面は前記凸部を有する請求項6または7に記載の保持部材。
【請求項9】
前記凸部の高さ方向に垂直な方向における前記凸部の最大断面積は、前記第1の凹部の深さ方向に垂直な方向における前記第1の凹部の最大断面積よりも小さい請求項6~8のいずれかに記載の保持部材。
【請求項10】
前記凸部は、前記凸部の頂部に向かって前記凸部の高さ方向に垂直な方向における断面積が小さくなっている縮小部を有し、前記凸部の頂部に向かって前記断面積が大きくなっている拡大部を有していない請求項6~9のいずれかに記載の保持部材。
【請求項11】
前記複数の第1の凹部は、それぞれ、深さ方向における外側に向かって前記第1の凹部の深さ方向に垂直な方向における断面積が大きくなっている拡大部と、前記外側に向かって前記断面積が小さくなっている縮小部とを有している請求項1~10のいずれかに記載の保持部材。
【請求項12】
前記複数の第1の凹部は溝状であり、前記複数の第1の凹部の延在方向は互いに平行である請求項1~11のいずれかに記載の保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回された医療用の管状体を保持する保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管の狭窄病変を治療するためのバルーンカテーテルや、造影剤、薬剤を血管内に投与するためのカテーテル等は、所定の形状の収容具に収容されて保管、運搬されていた。このような収容具として、例えば特許文献1には、組み合わせて使用される複数の医療用長尺体を収容する収容具であって、医療用長尺体の各々を収容するために環状に巻回された複数の管体が互いに連結されてなる収容具が開示されている。更に特許文献1には、複数の管体を連結する連結部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/104189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような巻回された管体を複数の連結部材を用いて固定することにより、巻回された管体の形状をある程度、保持することができるが、平面状にし難くガタつきが生じ易かった。本発明は上記の様な問題に着目してなされたものであって、その目的は、巻回された医療用の管状体を平面状にし易い保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することのできた本発明の実施の形態に係る保持部材は、以下の[1]または[6]の通りである。
[1]巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、
前記管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び
治具を嵌合させる第2の凹部を有する保持部材。
[6]巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、
前記管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び
治具を嵌合させる凸部を有する保持部材。
【0006】
巻回された管状体に保持部材を装着して、保持部材の凹部および/または凸部に治具を嵌合させてから、治具を移動させることにより巻回された管状体の全体形状を変形させることができ、巻回された管状体を平面状にし易くすることができる。
【0007】
更に、本発明の実施の形態に係る保持部材は、以下の[2]~[5]、[7]~[12]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記第2の凹部の深さ方向の長さは前記第1の凹部の深さ方向の長さよりも短い[1]に記載の保持部材。
[3]前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記第1の面は前記複数の第1の凹部を有し、前記第2の面は前記第2の凹部を有する[1]または[2]に記載の保持部材。
[4]前記第2の凹部の深さ方向に垂直な方向における前記第2の凹部の最大断面積は、前記第1の凹部の深さ方向に垂直な方向における前記第1の凹部の最大断面積よりも小さい[1]~[3]のいずれかに記載の保持部材。
[5]前記第2の凹部は、深さ方向における外側に向かって前記第2の凹部の深さ方向に垂直な方向における断面積が大きくなっている拡大部を有し、前記外側に向かって前記断面積が小さくなっている縮小部を有していない[1]~[4]のいずれかに記載の保持部材。
[7]前記凸部の高さ方向の長さは前記第1の凹部の深さ方向の長さよりも短い[6]に記載の保持部材。
[8]前記保持部材は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記第1の面は前記複数の第1の凹部を有し、前記第2の面は前記凸部を有する[6]または[7]に記載の保持部材。
[9]前記凸部の高さ方向に垂直な方向における前記凸部の最大断面積は、前記第1の凹部の深さ方向に垂直な方向における前記第1の凹部の最大断面積よりも小さい[6]~[8]のいずれかに記載の保持部材。
[10]前記凸部は、前記凸部の頂部に向かって前記凸部の高さ方向に垂直な方向における断面積が小さくなっている縮小部を有し、前記凸部の頂部に向かって前記断面積が大きくなっている拡大部を有していない[6]~[9]のいずれかに記載の保持部材。
[11]前記複数の第1の凹部は、それぞれ、深さ方向における外側に向かって前記第1の凹部の深さ方向に垂直な方向における断面積が大きくなっている拡大部と、前記外側に向かって前記断面積が小さくなっている縮小部とを有している[1]~[10]のいずれかに記載の保持部材。
[12]前記複数の第1の凹部は溝状であり、前記複数の第1の凹部の延在方向は互いに平行である[1]~[11]のいずれかに記載の保持部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成により、巻回された医療用の管状体を平面状にし易い保持部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る保持部材の側面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る保持部材の斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る保持部材を装着した管状体の平面図である。
図4図4は、図3の保持部材の第2の凹部に治具を嵌合させたときの側面図(一部断面図)である。
図5図5は、図1のA-A断面図である。
図6図6は、図1のB-B断面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る保持部材の変形例の側面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る保持部材の側面図である。
図9図9は、図8のC-C断面図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る保持部材の変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
第1の実施形態に係る保持部材は、巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び治具を嵌合させる第2の凹部を有する。
【0012】
第2の実施形態に係る保持部材は、巻回された医療用の管状体を保持する保持部材であって、管状体を嵌め込む複数の第1の凹部、及び治具を嵌合させる凸部を有する。
【0013】
第1または第2の実施形態に係る保持部材を、巻き回された医療用の管状体に装着し、保持部材の凹部および/または凸部に治具を嵌合させてから、治具を介して保持部材に平面方向の負荷をかけることにより巻き回された管状体の全体形状を変形させることができ、その結果、巻き回された管状体を平面状にし易くすることができる。
【0014】
以下では、図1~7を参照しながら、第1の実施形態に係る保持部材の詳細について説明する。図1は、第1の実施形態に係る保持部材の側面図であり、図2は斜視図である。図3は、当該保持部材を装着した管状体の平面図である。図4は、図3の保持部材の第2の凹部に治具を嵌合させたときの側面図(一部断面図)である。図5は、図1のA-A断面図であり、図6は、図1のB-B断面図である。図7は、第1の実施形態に係る保持部材の変形例の側面図である。
【0015】
図1~4に示す通り、第1の実施形態に係る保持部材10aは、巻回された医療用の管状体1を保持する保持部材10aであって、管状体1を嵌め込む複数の第1の凹部11、及び治具5を嵌合させる第2の凹部12を有する。
【0016】
複数の第1の凹部11は、それぞれ巻回された医療用の管状体1を嵌め込むことができるものであればよい。例えば図1に示す通り、複数の第1の凹部11は、それぞれ保持部材10aの側面視において円孤状である円孤状部、楕円弧状部等を有していることが好ましい。
【0017】
図1に示す通り、複数の第1の凹部11は、それぞれ、深さ方向Y1における外側O1に向かって第1の凹部11の深さ方向Y1に垂直な方向X1における断面積が大きくなっている拡大部11aと、外側O1に向かって断面積が小さくなっている縮小部11bとを有していることが好ましい。これにより第1の凹部11に嵌め込んで固定された管状体1が、第1の凹部11から外れ難くなる。当該断面積とは、図5に示す通り、第1の凹部11の内壁11wと内壁11wの間の領域の面積であり、図5ではハッチングされていない領域の面積である。
【0018】
図2に示す通り、複数の第1の凹部11は溝状であり、複数の第1の凹部11の延在方向は互いに平行であることが好ましい。これにより図3に示すように巻回された管状体1を環状に維持し易くすることができる。
【0019】
保持部材10aが有する複数の第1の凹部11の個数は、好ましくは2個以上、8個以下であり、より好ましくは2個以上、6個以下であり、更に好ましくは2個以上、4個以下である。
【0020】
第2の凹部12は、例えば図4に示すような治具5を嵌合させることができるものであればよい。例えば図3に示す通り、複数の保持部材10aを巻き回された管状体1に装着して、図4に示すような治具5を備えるチャック等の把持具4を用いて、治具5の凸部5aを第2の凹部12に嵌合させてから、把持具4と治具5により保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけることにより巻き回された管状体1を平面状にし易くすることができる。なお把持具4と治具5は、一軸アクチュエータ等の直線状に把持具4と治具5を移動させることが可能な部材に固定されているものであることが好ましい。なお図4の上下の矢印は、把持具4で保持部材10aを挟み込むときの方向の一例を示している。
【0021】
図3中、D1は管状体10の巻回部1aの中心から外側に向かう方向を示しており、D2は管状体10の巻回部1aの外側から中心に向かう方向を示しており、複数の保持部材10aに対して方向D1に負荷をかけることにより巻き回された管状体1を平面状にし易くすることができる。但し、一部の保持部材10aに対して方向D2に負荷をかけてもよい。
【0022】
保持部材10aに対して方向D1に負荷をかける場合には、方向D1に向かって保持部材10aを引っ張ってもよく、方向D1に向かって保持部材10aを押し込んでもよい。また、保持部材10aに対して巻回部1aの外側から中心に向かう方向D2に負荷をかける場合には、方向D2に向かって保持部材10aを引っ張ってもよく、方向D2に向かって保持部材10aを押し込んでもよい。
【0023】
図1に示す通り、第2の凹部12の深さ方向Y2の長さL2は、第1の凹部11の深さ方向Y1の長さL1よりも短いことが好ましい。これにより、保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけた後に、治具5の凸部5aを第2の凹部12から外しやすくすることができる。長さL2は、長さL1の0.9倍以下であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましく、0.5倍以下であることが更に好ましく、0.4倍以下であることが更により好ましい。一方、長さL2は、長さL1の0.1倍以上であることが好ましく、0.2倍以上であることがより好ましい。これにより治具5を介して保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。
【0024】
第2の凹部12の形状としては、角錐、円錐、角柱、円柱、角錐台、円錐台、半球、半楕円球、またはこれらの組み合わせ形状が好ましい。これらのうち角錐、円錐、角錐台、円錐台、半球、または半楕円球がより好ましい。これにより治具5を嵌合させ易くすることができる。また後述する第2の面S2における第2の凹部12の開口部の形状は、多角形、円形、楕円形、またはこれらの組み合わせ形状が好ましく、円形がより好ましい。多角形としては矩形が好ましい。
【0025】
第2の凹部12の深さ方向Y2に垂直な方向X2における第2の凹部12の最大断面積は、第1の凹部11の深さ方向Y1に垂直な方向X1における第1の凹部11の最大断面積よりも小さいことが好ましい。これにより保持部材10aの強度を向上させることができる。第2の凹部12の上記最大断面積は、第1の凹部11の上記最大断面積の0.9倍以下であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましく、0.5倍以下であることが更に好ましく、0.4倍以下であることが更により好ましい。一方、当該倍率は0.1倍以上であることが好ましく、0.2倍以上であることがより好ましい。これにより治具5を介して保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。なお後述する第2の面S2における第2の凹部12の開口面積が、上記倍率を満たすことも好ましい。以下では各最大断面積について図5、6を参照しながら説明する。
【0026】
例えば図5に示す通り、方向X1における第1の凹部11の断面積は、第1の凹部11の内壁11wと内壁11wの間の領域一つ当りの面積である。図1の態様の場合、方向X1における第1の凹部11の断面積は、拡大部11aでは外側O1に向かう程大きくなり、縮小部11bでは外側O1に向かう程小さくなる。そのため図1の態様の場合、拡大部11aの上端の位置、即ち、A-A断面位置が方向X1における第1の凹部11の断面積が最大となる位置である。即ち、図1のA-A断面である図5の第1の凹部11の内壁11wと内壁11wの間の領域一つ当りの面積が、当該態様の方向X1における第1の凹部11の最大断面積である。
【0027】
例えば図6に示す通り、方向X2における第2の凹部12の断面積は、第2の凹部12の内壁12wの間の領域の面積である。図1の態様の場合、方向X2における第2の凹部12の断面積は、拡大部12aでは外側O2に向かう程大きくなる。そのため図1の態様の場合、拡大部12aの下端の位置、即ち、B-B断面位置が方向X2における第2の凹部12の断面積が最大となる位置である。即ち、図1のB-B断面である図6の第2の凹部12の内壁12wの間の領域の面積が、当該態様の方向X2における第2の凹部12の最大断面積である。なお図1では、B-B断面の一点鎖線を見易くするため、拡大部12aの下端の位置よりもやや上側にB-B断面の一点鎖線を図示している。
【0028】
図5、6に示す通り、第1の凹部11が溝状であり幅方向を有する場合、第2の凹部の当該幅方向の最大長さL5は、第1の凹部11の当該幅方向の最大長さL4の0.5倍以上であることが好ましい。これにより、治具5を介して保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。当該倍率は、より好ましくは0.7倍以上である。一方、最大長さL5は、最大長さL4以下の長さであることが好ましく、最大長さL4よりも小さいことがより好ましい。これにより、保持部材10aの強度を向上させることができる。なお図5中、当該幅方向は方向X1に相当し、図6中、当該幅方向は方向X2に相当する。
【0029】
図1に示す通り、第2の凹部12は、深さ方向Y2における外側O2に向かって第2の凹部12の深さ方向Y2に垂直な方向X2における断面積が大きくなっている拡大部12aを有し、外側O2に向かって断面積が小さくなっている縮小部を有していないことが好ましい。これにより、保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけた後に、治具5の凸部5aを第2の凹部12から外しやすくすることができる。
【0030】
保持部材10aが有する凹部12の個数は、好ましくは1個以上、5個以下であり、より好ましくは1個以上、3個以下であり、更に好ましくは1個である。
【0031】
保持部材10aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。保持部材10aは樹脂からなることが好ましい。
【0032】
図1、2に示す通り、保持部材10aは、第1の面S1と、第1の面S1に対向する第2の面S2とを有し、第1の面S1は複数の第1の凹部11を有し、第2の面S2は第2の凹部12を有することが好ましい。このように第2の凹部12が、複数の第1の凹部11が設けられている面と対向する面に設けられていることにより、治具5の凸部5aを第2の凹部12に嵌合させ易くすることができる。第1の面S1と第2の面S2は平行であることが好ましい。また第2の凹部12は、第1の面S1から第2の面S2に向かって貫通していないことが好ましい。また第2の凹部12は、第2の面S2の外縁よりも内側に位置することが好ましい。これにより保持部材10aの強度を向上できる。なお、保持部材10aは、第1の面S1と第2の面S2に、それぞれ複数の第1の凹部11を有していてもよい。
【0033】
更に保持部材10aは、図2に示すように、方向X1における第1の面S1の一端部と第2の面S2の一端部に、一端部と他端部が接続されている第3の面S3と、方向X1における第1の面S1の他端部と第2の面S2の他端部に、一端部と他端部が接続されている第4の面S4とを有していてもよい。
【0034】
更に保持部材10aは、図2に示すように、方向X1と方向Y1に垂直な方向Z1における第1の面S1の一端部と第2の面S2の一端部に、一端部と他端部が接続されている第5の面S5と、方向Z1における第1の面S1の他端部と第2の面S2の他端部に、一端部と他端部が接続されている第6の面S6とを有していてもよい。
【0035】
保持部材10aは、第1の面S1、第3の面S3、第4の面S4、第5の面S5、第6の面S6、またはこれら複数の面と、第2の面S2とに第2の凹部12を有していてもよい。保持部材10aは、第2の面S2、または第1の面S1と第2の面S2に第2の凹部12を有していることが好ましい。これにより、治具5を介して保持部材10aに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。また、保持部材10aは、第1の面S1と第2の面S2に、それぞれ複数の第1の凹部11を有していてもよい。
【0036】
図7の保持部材10bは、上述の通り、第1の実施形態に係る保持部材10aの変形例の側面図である。図7に示すように保持部材10bは、複数の第1の凹部11が設けられた第1の面S1に第2の凹部12を有していてもよい。これにより、保持部材10bに負荷をかける際に第2の凹部12から亀裂が生じたとしても、第1の凹部11により亀裂の伝播を食い止めることができ、保持部材10bの全体的な破損を回避することができる。
【0037】
保持部材10a、10bを装着する対象の管状体1は、図3、4に示すように医療用長尺体3が挿入されているものであることが好ましい。医療用長尺体3が、管状体1内に挿入されていることにより、医療用長尺体3を保護することができる。医療用長尺体3として、バルーンカテーテル、ガイディングカテーテル、ガイディングカテーテルの内部に挿入されるインナーカテーテル、ガイドワイヤ等が挙げられる。医療用長尺体3は、近位端部3aにハンドルを有していてもよい。
【0038】
管状体1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。管状体1の厚さ方向の断面の外縁の形状としては、円形、楕円形、多角形、角丸多角形、またはこれらの組み合わせ形状が好ましく、円形、楕円形、または角丸多角形がより好ましく、円形または楕円形が更に好ましく、円形が更により好ましい。
【0039】
以下では、図8図10を参照しながら、第2の実施形態に係る保持部材の詳細について説明する。図8は、第2の実施形態に係る保持部材の側面図である。図9は、図8のC-C断面図である。図10は、第2の実施形態に係る保持部材の変形例の側面図である。なお、図8のA-A断面図は、図1のA-A断面図すなわち図5と同じ形状である。
【0040】
図8に示す通り、第2の実施形態に係る保持部材10cは、巻回された医療用の管状体1を保持する保持部材10cであって、管状体1を嵌め込む複数の第1の凹部11、及び治具を嵌合させる凸部13を有する。
【0041】
第2の実施形態に係る保持部材10c等の各構成については、第1の実施形態に係る保持部材10a、10b等の記載を参照すればよい。以下では、第2の実施形態に係る保持部材10cの凸部13に関する構成を中心に説明する。
【0042】
凸部13は、凹部を有する治具と嵌合させることができるものであればよい。例えば、複数の保持部材10cを巻き回された管状体に装着して、治具を備えるチャック等の把持具を用いて、治具の凹部を凸部13に嵌合させてから、治具を介して保持部材10cに平面方向D3の負荷をかけることにより巻き回された管状体を平面状にし易くすることができる。
【0043】
凸部13の高さ方向Y3の長さL3は、第1の凹部11の深さ方向Y1の長さL1よりも短いことが好ましい。これにより、保持部材10cに平面方向D3の負荷をかけた後に、治具の凹部を凸部13から外しやすくすることができる。長さL3は、長さL1の0.9倍以下であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましく、0.5倍以下であることが更に好ましく、0.4倍以下であることが更により好ましい。一方、長さL3は、長さL1の0.1倍以上であることが好ましく、0.2倍以上であることがより好ましい。これにより治具を介して保持部材10cに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。
【0044】
凸部13の形状としては、角錐、円錐、角柱、円柱、角錐台、円錐台、半球、半楕円球、またはこれらの組み合わせ形状が好ましい。これらのうち角錐、円錐、角錐台、円錐台、半球、または半楕円球がより好ましい。これにより治具を嵌合させ易くすることができる。また凸部13は、保持部材10cの本体部分と一体に成形されていることが好ましい。
【0045】
図8に示す通り、保持部材10cは、第1の面S1と、第1の面S1に対向する第2の面S2とを有し、第1の面S1は複数の第1の凹部11を有し、第2の面S2は凸部13を有することが好ましい。このように凸部13が、複数の第1の凹部11が設けられている面と対向する面に設けられていることにより、治具の凹部を凸部13に嵌合させ易くすることができる。
【0046】
凸部13の高さ方向Y3に垂直な方向X3における凸部13の最大断面積は、第1の凹部11の深さ方向Y1に垂直な方向X1における第1の凹部11の最大断面積よりも小さいことが好ましい。これにより凸部13が破損し難くなる。凸部13の上記最大断面積は、第1の凹部11の上記最大断面積の0.9倍以下であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましく、0.5倍以下であることが更に好ましく、0.4倍以下であることが更により好ましい。一方、当該倍率は0.1倍以上であることが好ましく、0.2倍以上であることがより好ましい。これにより、治具を介して保持部材10cに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。
【0047】
方向X1における第1の凹部11の最大断面積は、図5に示す第1の凹部11の内壁11wと内壁11wの間の領域一つ当りの面積である。詳細は、第1の実施形態に係る保持部材の第1の凹部11の最大断面積に係る記載を参照すればよい。
【0048】
方向X3における凸部13の断面積は、例えば図8の態様の場合、凸部13の頂部13aに向かう程大きくなる。そのため、図8の態様の場合、凸部13の上端の位置、即ち、C-C断面位置が方向X3における凸部13の断面積が最大となる位置である。即ち、図8のC-C断面である図9の凸部13の領域の面積が、方向X3における凸部13の最大断面積である。なお図8では、C-C断面の一点鎖線を見易くするため、凸部13の上端の位置よりもやや下側にC-C断面の一点鎖線を図示している。
【0049】
C-C断面における凸部13の断面形状は、多角形、円形、楕円形、またはこれらの組み合わせ形状が好ましく、円形がより好ましい。多角形としては矩形が好ましい。
【0050】
図8図9に示す通り、第1の凹部11が溝状であり幅方向を有する場合、凸部13の当該幅方向の最大長さL6は、第1の凹部11の当該幅方向の最大長さL4の0.5倍以上であることが好ましい。これにより、治具を介して保持部材10cに平面方向D3の負荷をかけ易くすることができる。当該倍率は、より好ましくは0.7倍以上である。一方、最大長さL6は、最大長さL4以下の長さであることが好ましく、最大長さL4よりも小さいことが好ましい。これにより、保持部材10に平面方向D3の負荷をかけた後に、治具の凹部を凸部13から外し易くすることができる。なお図8中、当該幅方向は方向X1、X3に相当し、図9中、当該幅方向は方向X3に相当する。
【0051】
凸部13は、凸部13の頂部13aに向かって凸部13の高さ方向Y3に垂直な方向X3における断面積が小さくなっている縮小部13bを有し、凸部13の頂部13aに向かって断面積が大きくなっている拡大部を有していないことが好ましい。これにより、保持部材10cに平面方向D3の負荷をかけた後に、治具の凹部を凸部13から外し易くすることができる。
【0052】
保持部材10cが有する凸部13の個数は、好ましくは1個以上、5個以下であり、より好ましくは1個以上、3個以下であり、更に好ましくは1個である。
【0053】
保持部材10cは、第1の面S1、第3の面S3、第4の面S4、第5の面S5、第6の面S6、またはこれら複数の面と、第2の面S2とに第2の凸部13を有していてもよい。保持部材10cは、第2の面S2、または第1の面S1と第2の面S2に第2の凸部13を有していることが好ましい。各面の詳細については、第1の実施形態に係る保持部材10aにおける説明を参照すればよい。また、保持部材10cは、第1の面S1と第2の面S2に、それぞれ複数の第1の凹部11を有していてもよい。また、保持部材10cは、凸部13と、上述した第2の凹部12とを有していてもよい。
【0054】
図10の保持部材10dは、上述の通り、第2の実施形態に係る保持部材10cの変形例の側面図である。図10に示すように保持部材10dは、複数の第1の凹部11が設けられた第1の面S1に凸部13を有していてもよい。これにより、保持部材10に負荷をかける際に凸部13にかかる負荷を第1の凹部11等に分散し易くできるため、凸部13が破損し難くなる。
【符号の説明】
【0055】
1 医療用の管状体
1a 巻回部
3 医療用長尺体
3a 医療用長尺体の近位端
4 把持具
5 治具
5a 治具の凸部
D1 巻回部の中心から外側に向かう方向
D2 巻回部の外側から中心に向かう方向
D3 平面方向
10a、10b、10c、10d 保持部材
S1 第1の面
S2 第2の面
S3 第3の面
S4 第4の面
S5 第5の面
S6 第6の面
11 第1の凹部
11a 拡大部
11b 縮小部
11w 第1の凹部の内壁
L1 第1の凹部の深さ方向の長さ
L4 第1の凹部の幅方向の最大長さ
X1 第1の凹部の深さ方向に垂直な方向
Y1 第1の凹部の深さ方向
Z1 方向X1と方向Y1に垂直な方向
O1 外側
12 第2の凹部
12a 拡大部
12w 第2の凹部の内壁
L2 第2の凹部の深さ方向の長さ
L5 第2の凹部の幅方向の最大長さ
X2 第2の凹部の深さ方向に垂直な方向
Y2 第2の凹部の深さ方向
O2 外側
13 凸部
13a 凸部の頂部
13b 縮小部
L3 凸部の高さ方向の長さ
L6 凸部の幅方向の最大長さ
X3 凸部の高さ方向に垂直な方向
Y3 凸部の高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10