(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086241
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
A47L9/28 K
A47L9/28 E
A47L9/28 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200621
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】菅井 正寛
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA03
3B057DA04
3B057DA07
3B057DE02
3B057DE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ダストケースの集塵状態によって掃除が中止されることを抑制する。
【解決手段】本発明は、駆動輪及び駆動輪を駆動する走行モータを備えた掃除機本体と、掃除機本体に備えられ、ごみを集塵するダストケースと、掃除機本体に備えられ、吸引力を発生させるファンモータと、走行モータファンモータを制御する制御装置とを備える。ダストケースには集塵されたごみの量を検出する塵埃センサが備えられる。制御装置は、掃除中において塵埃センサがごみの満杯を検知した場合には、駆動輪を停止させ、ファンモータの回転速度を増加させてダストケースに集塵されたごみを圧縮し、ごみを圧縮後、塵埃センサがごみの満杯を検知しない場合には、駆動輪を動作させて掃除を実行するようにした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪及び前記駆動輪を駆動する走行モータを備えた掃除機本体と、前記掃除機本体に備えられ、ごみを集塵するダストケースと、前記掃除機本体に備えられ、吸引力を発生させるファンモータと、前記走行モータ、前記ファンモータを制御する制御装置とを備えた自律走行型掃除機であって、
前記ダストケースには集塵されたごみの量を検出する塵埃センサを備え、
前記制御装置は、掃除中において前記塵埃センサがごみの満杯を検知した場合には、前記駆動輪を停止させ、前記ファンモータの回転速度を増加させて前記ダストケースに集塵されたごみを圧縮し、ごみを圧縮後、前記塵埃センサがごみの満杯を検知しない場合には、前記駆動輪を動作させて掃除を実行することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御装置は、ごみを圧縮後、前記塵埃センサがごみの満杯を検知した場合には、ごみが満杯であることを報知する報知処理を実行することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項3】
請求項2において、
前記掃除機本体に表示部を備え、
前記表示部にごみが満杯であることを報知することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御装置は、掃除中において前記塵埃センサがごみの満杯を検知し、ごみを圧縮後、前記塵埃センサがごみの満杯を検知しない場合には、ごみがもうすぐ満杯となることを報知する報知処理を実行することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項5】
請求項4において、
前記掃除機本体に表示部を備え、
前記表示部にもうすぐごみが満杯であることを報知することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記掃除機本体に通信手段を備え、
前記自律走行型掃除機は前記通信手段により情報端末装置と通信可能であり、
前記制御装置は、前記通信手段を介して前記情報端末装置にもうすぐごみが満杯である表示情報を送信することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項7】
請求項1において、
前記ダストケースと前記ファンモータとの間には集塵フィルタを備え、
前記塵埃センサは、ごみを吸い込む吸口部から前記集塵フィルタに至る流路内において前記集塵フィルタからの距離を変えて複数設置され、
前記制御装置は、前記複数の塵埃センサの検知により前記ダストケースに集塵されたごみの満杯率を判断することを特徴とする自律走行型掃除機。
【請求項8】
請求項7において、
前記掃除機本体に通信手段を備え、
前記自律走行型掃除機は前記通信手段により情報端末装置と通信可能であり、
前記制御装置は、前記通信手段を介して前記情報端末装置に前記ダストケースに集塵されたごみの満杯率の表示情報を送信することを特徴とする自律走行型掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行して掃除を行う自律走行型掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行型掃除機として、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、通常モードと、ペット飼育環境に応じたペットモードとを選択して実行可能となっている。
【0003】
ペットモードが選択された場合には、清掃開始から所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過していれば、掃除機の走行を停止し、回転ブラシを逆回転させて回転ブラシに絡みついたペットの毛などを取り除く処理を実行する。回転ブラシに絡みついたペットの毛を除去後、送風機の回転速度を増加させ、ごみの圧縮処理を実行し、ダストケースが満杯になるのを遅らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、清掃開始から所定時間経過後、ごみの圧縮処理を実行するようにしているので、所定時間経過前にダストケースが満杯であることを検知すると、自律走行型掃除機は掃除を中止してしまうといった課題があった。特に、ペットの毛は、容積に対する密度が低いため、所定時間経過前にダストケースが満杯であることを検知し易くなる。また、特許文献1は、ごみの圧縮処理を実行しているが、圧縮処理後、自律走行型掃除機を再び走行させるものではなかった。このため、掃除が途中で中止されるものであった。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の技術においては、ダストケースの状態を事前に報知する機能が無く、掃除の途中にダストケースが満杯になると掃除を完了できないといった課題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、ダストケースの集塵状態によって掃除が中止されることを抑制する自律走行型掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、駆動輪及び前記駆動輪を駆動する走行モータを備えた掃除機本体と、前記掃除機本体に備えられ、ごみを集塵するダストケースと、前記掃除機本体に備えられ、吸引力を発生させるファンモータと、前記走行モータ、前記ファンモータを制御する制御装置とを備えた自律走行型掃除機であって、前記ダストケースには集塵されたごみの量を検出する塵埃センサを備え、前記制御装置は、掃除中において前記塵埃センサがごみの満杯を検知した場合には、前記駆動輪を停止させ、前記ファンモータの回転速度を増加させて前記ダストケースに集塵されたごみを圧縮し、ごみを圧縮後、前記塵埃センサがごみの満杯を検知しない場合には、前記駆動輪を動作させて掃除を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ダストケースの集塵状態によって自律走行型掃除機が掃除を中止してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機を示す外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機を示す底面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機から上ケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機を示す制御ブロック図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機の動作フローである。
【
図7】本発明の実施例2に係るユーザー報知の処理フローである。
【
図8】本発明の実施例3に係る自律走行型掃除機と情報端末装置の通信状態を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施例3に係る情報端末装置の表示例である。
【
図10】本発明の実施例4に係るダストケースに集塵されたごみの量を判定する動作フローである。
【
図11】ダストケースがもうすぐ満杯となる状態を促す表示画面の一例を示す図である。
【
図12】掃除の途中でダストケースが満杯となる状態を促す表示画面の一例を示す図である。
【
図13】ダストケースが満杯となり、ごみ捨てを促す表示画面の一例を示す図である。
【
図14】ダストケースがもうすぐ満杯となる状態を促す表示画面の一例を示す図である。
【
図15】掃除の予約を設定する画面の一例を示す図である。
【
図16】掃除の予約完了時にもうすぐダストケースが満杯となる状態を促す表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例1について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0012】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例0013】
図中、天井側を上、床面側を下、自律走行型掃除機の進行方向側を前、自律走行型掃除機の進行方向反対側を後、自律走行型掃除機の進行方向左側を左、自律走行型掃除機の進行方向右側を右と定義する。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機を示す外観斜視図である。
図1に示すように、自律走行型掃除機Sは、所定の掃除領域(例えば、部屋の床面Y(
図4参照))を自律的に移動しながら自動的に掃除する電気機器である。また、自律走行型掃除機Sは、掃除機本体1、掃除機本体1の側周を覆うバンパ2、一対の駆動輪3,4(
図2参照)、補助輪5(
図2参照)、およびサイドブラシ6,6を備えている。
【0015】
掃除機本体1は、上面の少なくとも一部を形成する上カバー1uおよび底面の少なくとも一部を形成する下ケース1sを有する。
【0016】
上カバー1uには、運転の開始や停止などの各種操作を行うことができる操作ボタン7が設けられている。また、上カバー1uには、着脱可能なダストケース8が設けられている。このダストケース8は、前後方向の中央よりも後側に設けられている。また、ダストケース8は、ハンドル8aが回動可能に取り付けられている。操作ボタン7の周囲には、掃除モード、予約状況、通信状況、充電状況、ごみ捨てを表示する表示部9が備えられている。
【0017】
掃除機本体1の側周略全体には、無底の略筒形状に形成されたバンパ2が設けられている。なお、バンパ2は、少なくとも掃除機本体1の前方側の側周が水平方向、特に前後方向に可動な態様で設けられていればよい。また、バンパ2は、自律走行型掃除機Sが移動するのに伴って障害物等に接触した場合、接触に伴う力で押されることで自律走行型掃除機Sの内側(自律走行型掃除機Sの前方側でバンパ2に接触した場合は、後方)に向けて変位することができる。
【0018】
図2は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機を示す底面図である。
図2に示すように、駆動輪3,4は、駆動部の一例としての車輪であり、下ケース1sに取り付けられている。また、駆動輪3,4自体が回転することで自律走行型掃除機Sを前進、後退、旋回(超信地旋回を含む)させることができる。また、駆動輪3,4は左右両側に配置されており、それぞれ走行モータ3m,4m(
図3参照)および減速機で構成される車輪ユニットにより回転駆動される。また、駆動輪3,4は、前後方向の略中央で、かつ左右方向の外周寄りに(外側に)設けられている。
【0019】
また、下ケース1sには、走行モータ3m,4m(
図3参照)、アーム3a,4a、および減速機構3b,4bを含んで構成される駆動機構を収容する駆動機構収容部11,11が設けられている。
【0020】
また、駆動輪3,4および駆動機構収容部11,11よりも後側には、回転ブラシ14を収容すると共にごみを吸い込む吸口部12、掻取りブラシ15などが設けられている。
【0021】
回転ブラシ14は、駆動輪3,4の回転中心を通る軸(左右方向)に略並行に配置されている。また、回転ブラシ14は、回転ブラシモータ14a(
図3参照)によって駆動される。
【0022】
掻取りブラシ15は、回転ブラシ14の回転軸と平行に配置されている。また、掻取りブラシ15は、いわゆるリントブラシで構成され、所定の角度範囲内で回動するようになっている。
【0023】
補助輪5は、従動輪であり、自由回転するキャスタである。また、補助輪5は、前後方向において自律走行型掃除機Sの前方側、左右方向について略中央に設けられている。また、補助輪5は、駆動輪3,4とともに下ケース1sを床面Y(
図4参照)から所定高さに保たせることに寄与する。また、駆動輪3,4および補助輪5によって、自律走行型掃除機Sを円滑に移動させることができる。補助輪5は、自律走行型掃除機Sの移動に伴い床面Yとの間で生じる摩擦力によって従動回転し、さらに向きが水平方向に360°公転できるように、下ケース1sに軸支されている。
【0024】
サイドブラシ6は、一部が掃除機本体1(
図1参照)よりも外側にあり、回転ブラシ14が届き難い場所の塵埃を吸口部12に導くブラシである。また、サイドブラシ6は、平面視において120°間隔で放射状に延びる3束のブラシを有し、下ケース1sの前側かつ左右両側にそれぞれ配置されている。また、サイドブラシ6は、その根元がサイドブラシホルダ6aに固定されている。また、サイドブラシ6の回転軸は上下方向(
図2の紙面垂直方向)であり、サイドブラシ6の一部は平面視で掃除機本体1(
図1参照)から外側方に飛び出ている。
【0025】
また、サイドブラシ6の植毛は、先端に向かうにつれて床面Y(
図4参照)に近づくように傾斜しており、その先端付近は床面に接している。また、サイドブラシ6は、矢印α1で示すように、自律走行型掃除機Sの前方外側の領域を、左右方向外側から内側に向かう方向に回転して、床面Y上の塵埃を中央の回転ブラシ14側に集める。なお、サイドブラシ6は、サイドブラシモータ6b(
図3参照)によって回転駆動される。
【0026】
また、下ケース1sには、前後左右の4箇所に床面用測距センサ13a,13b,13c,13dが設けられている。床面用測距センサ13aは、補助輪5の前方に位置している。床面用測距センサ13bは、駆動輪3と右側のサイドブラシ6との間の外周側に位置している。床面用測距センサ13cは、駆動輪4と左側のサイドブラシ6との間の外周側に位置している。床面用測距センサ13dは、掻取りブラシ15の後方に位置している。
【0027】
また、下ケース1sには、不図示の充電台と電気的に接続される接続部16,16が設けられている。接続部16は、サイドブラシホルダ6aと床面用測距センサ13aとの間に位置している。
【0028】
図3は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機から上ケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【0029】
図3に示すように、自律走行型掃除機Sは、ミリ波レーダ40、カメラ50、測距センサ60を備えている。これらミリ波レーダ40、カメラ50および測距センサ60は、1枚のセンサ基板70の一面側に実装され、それぞれが正面側を向くように配置されている。
【0030】
図3に示すように、ミリ波レーダ40は、ミリ波の電波を利用したものであり、幅方向(左右方向)の中央に位置している。また、ミリ波レーダ40は、ミリ波を出射するセンサ部40aと、反射して戻って来たミリ波を受けるアンテナ40bとを有している。また、ミリ波レーダ40は、センサ基板70の下寄りに配置されている。また、ミリ波レーダ40は、例えば、遠方の障害物(10メートル程度)を検知できるものである。
【0031】
また、ミリ波レーダ40は、出射するミリ波の強弱を切り替えて、遠くの障害物を検出する際には強度を高くし、近くの障害物を検出する際には強度を低くすることができる。このように、常に強度を高くしておくのではなく、遠方の障害物を検出する必要がないときには、強度を低くすることで、消費電力を抑えることができる。
【0032】
カメラ(撮像部)50は、単眼カメラであり、ミリ波レーダ40より左側に位置している。なお、カメラ50は、ミリ波レーダ40の右側であってもよい。また、カメラ50は、ミリ波レーダ40に比べて、物の形状をしっかりと検知することができるので、障害物を避け易くなる。また、カメラ50は、ミリ波レーダ40に比べて画角を広く取ることができるので、床面の障害物を避けることができる。例えば、床面にある衣服を巻き込んだり、コードがブラシに絡まるを抑制できる。このように、カメラ50をミリ波レーダ40と併用することにより、障害物の形状を明確に検知することができ、障害物を判別することが可能になる。
【0033】
また、カメラ50は、フレームレートを変化させることができるものである。例えば、近くの障害物を検知する際にはフレームレートを上げ、障害物が何もない広い場所を移動する際にはフレームレートを下げる。これにより、カメラ50を、常にフレームレートを上げた状態で作動させる必要がないのでカメラ50の消費電力を抑えることができる。
【0034】
測距センサ60は、障害物までの距離を検出する赤外線センサであり、例えばPSD(Position Sensitive Detector)センサによって構成される。また、測距センサ60は、正面および左右両側の計3箇所に設けられている。また、測距センサ60は、赤外線を発光させる発光部と、赤外線が障害物で反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを有している。受光部によって検出される反射光に基づいて、障害物までの距離が算出される。具体的には反射光を受ける位置、反射光を受けるまでの時間、反射光の量、強さ等に基づいて、障害物までの距離が算出される。なお、測距センサ60は、PSDセンサに限定されるものではなく、超音波センサとしてもよい。このように複数の測距センサ60を設けることにより、壁際に沿った掃除を行うことがでる。
【0035】
なお、バンパ2は光を透過させる樹脂またはガラスで形成されている。バンパ2のうち少なくとも、測距センサ60の近傍は、赤外線の透過率が可視光および紫外線の透過率よりも大きい材料で形成されている。これにより、紫外線や可視光が受光部に入り込んで、障害物までの距離を誤認識する虞を低減できる。
【0036】
図4は、
図1のIV-IV線断面図である。
図4に示すように、自律走行型掃除機Sは、蓄電池21、ファンモータ22を内部に備えている。
【0037】
蓄電池21は、ファンモータ22の前方に配置され、走行モータ3m,4m(
図3参照)、回転ブラシモータ14a(
図3参照)、ファンモータ22などの各種モータ、バンパセンサ(不図示)、カメラ50(
図3参照)、測距センサ60(
図3参照)、床面用測距センサ13a~13d(
図2参照)、ミリ波レーダ40(
図3参照)などの各種センサに電力を供給する。
【0038】
ファンモータ22は、吸引力を発生させて、回転ブラシ14によって掻き取られた塵埃をダストケース8内に集塵させるものである。また、ファンモータ22は、前後方向中央において駆動輪3,4間に設けられている。ダストケース8とファンモータ22との間には集塵フィルタ8bが配置されている。ダストケース8に塵埃とともに取り込まれた空気は、集塵フィルタ8bを介してファンモータ22内に取り込まれ、下ケース1sに形成された排気口1t(
図2参照)から自律走行型掃除機Sの外部に排出される。
【0039】
ダストケース8には、集塵されたごみの量を検知する複数の塵埃センサ80(80a,80b,80c)が備えられている。複数の塵埃センサ80a,80b,80cは、ごみを吸い込む吸口部12から集塵フィルタ8bに至る流路内において、集塵フィルタ8bからの距離を変えてそれぞれ設置されている。実施例1では、集塵フィルタ8bから吸口部12までの流路の長さを100%とした場合、集塵フィルタ8bから50%の流路位置に塵埃センサ80aが設置され、集塵フィルタ8bから75%の流路位置に塵埃センサ80bが設置され、集塵フィルタ8bから100%の流路位置に塵埃センサ80cが設置されている。
【0040】
図5は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機を示す制御ブロック図である。
図5に示すように、制御装置30は、自律走行型掃除機Sを統括的に制御するものであり、例えばマイコン(Microcomputer)と周辺回路とが基板に実装されることで構成される。マイコンは、ROM(Read Only Memory)に記憶された制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が実行することで各種処理が実現される。周辺回路は、A/D・D/A変換器、各種モータの駆動回路、センサ駆動回路、蓄電池21の充電回路等を有している。
【0041】
また、制御装置30は、利用者による命令を入力可能な操作ボタン7の操作や、バンパセンサ(不図示)、床面用測距センサ13a~13d、測距センサ60、カメラ50、ミリ波レーダ40、後述する塵埃センサ80、通信手段90から入力される信号に応じて演算処理を実行し、演算処理後の信号を出力する。図示はしないが、通信手段90は掃除機本体1の任意の位置に備えられている。
【0042】
自律走行型掃除機は、例えば使用者の指示、或いは予約された開始時間になると走行を開始し、床面等の掃除を実行する。繰り返し掃除が実行されると、ダストケースには塵埃が溜まる。そして、運転開始直後、ダストケースが満杯であることが検知されてしまうと、自律走行型掃除機は運転を停止してしまい、所定の工程を実行できないという課題がある。これを解決するための手段について以下説明する。
【0043】
図6は、本発明の実施例1に係る自律走行型掃除機の動作フローである。
図6の動作フローは、制御装置30で実行される。
【0044】
制御装置30は、ユーザーからの指示、あるいは予約時刻になると、自律走行型掃除機Sを充電台から出発させ、掃除を開始させる。
【0045】
図6において、自律走行型掃除機Sが掃除を開始すると、制御装置30は、予め定められた掃除時間が終了したか否かを判断し(ステップS101)、掃除時間が終了している場合(ステップS101のYes)には、充電台に帰還する(ステップS109)。掃除時間が終了していない場合(ステップS101のNo)には、塵埃センサ80(80a,80b,80c)で検知されるダストケース8のごみが満杯であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0046】
複数の塵埃センサ80a,80b,80cは、ごみを吸い込む吸口部12から集塵フィルタ8bに至る流路内において、集塵フィルタ8bからの距離を変えてそれぞれ設置されている。
また複数の塵埃センサ80a,80b,80cは、ダストケース8を挟むように設置されている。制御装置30は、複数の塵埃センサ80a,80b,80cの検知によりダストケース8に集塵されたごみの満杯率(ごみの量)を判断する。
【0047】
塵埃センサ80aがごみを検知している場合、制御装置30はダストケース8に50%程度のごみが集塵されている(満杯率50%)と判断する。塵埃センサ80bがごみを検知している場合、制御装置30はダストケース8に75%程度のごみが集塵されている(満杯率75%)と判断する。塵埃センサ80cがごみを検知している場合、制御装置30は、ダストケース8には100%程度、すなわち満杯状態でごみが集塵されている(満杯率100%)と判断する。実施例1では、塵埃センサ80cがごみを検知した場合、ダストケース8のごみが満杯である(満杯率100%)と判断する。
【0048】
ダストケース8のごみが満杯でない場合(ステップS102のNo)には、ステップS101からの動作を繰り返す。ダストケース8のごみが満杯である場合(ステップS102のYes)には、もうすぐダストケース8が満杯となるというフラグをONし(ステップS103)、駆動輪3,4を停止させる(ステップS104)。
【0049】
駆動輪3,4を停止後、自動ブラシ清掃を実行する(ステップS105)。自動ブラシ清掃は、回転ブラシを逆回転させると共に、回転速度を増加し、回転ブラシに巻き付いた糸屑等の除去を行う。
【0050】
自動ブラシ清掃を終了後、ファンモータ22の回転速度を増加させ、ダストケース8内に集塵したごみの圧縮(ごみプレス)を実行する(ステップS106)。
【0051】
ごみの圧縮後、ファンモータ22の回転速度を低下させ、塵埃センサ80がごみの満杯を検知しない場合(ステップS107のNo)には、再び駆動輪を動作させて自律走行型掃除機による掃除を実行する。そして、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0052】
ごみの圧縮後、塵埃センサ80がごみの満杯を検知した場合(ステップS107のYes)には、ごみ満杯フラグをONし(ステップS108)、自律走行型掃除機を充電台に帰還させる(ステップS109)。
【0053】
充電台帰還後、ごみが満杯であることをユーザーに報知する報知処理を実行する(ステップS110)。
【0054】
実施例1によれば、掃除が中止されることを抑制する自律走行型掃除機を提供することができる。
ごみ満杯フラグがONされていない場合(ステップS201のNo)には、制御装置30は、ステップS103のもうすぐ満杯フラグがONされているか否かを判断する(ステップS203)。
実施例2によれば、ダストケース8に集塵されたごみの量に応じて、ごみが満杯、もうすぐごみが満杯になることを表示するようにしているので、ユーザーがごみ捨てをする必要があるかを容易に把握することができる。