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特開2023-86244ディスプレイ装置、およびディスプレイ装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086244
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置、およびディスプレイ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20230615BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230615BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230615BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H01L33/62
G09F9/30 360
G09F9/33
G09F9/30 330
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200625
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 智史
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翼
(72)【発明者】
【氏名】和田 勝
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094BA25
5C094DB01
5C094EA10
5C094FB02
5C094FB12
5C094JA08
5F142AA54
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB03
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142DB24
5F142FA32
5F142FA34
5F142GA02
5G435BB04
5G435HH12
5G435HH18
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】駆動基板上での発光素子の位置ずれを少なくできるディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【解決手段】マイクロLED15と、マイクロLED15に設けられた少なくとも2個の素子側電極12と、マイクロLED15が接続される駆動基板25と、駆動基板25に設けられた少なくとも2個の駆動基板側電極21と、素子側電極12と駆動基板側電極21とを接続する金属層35と、を有し、2個の駆動基板側電極21の電極間距離が、2個の素子側電極12の電極間距離より長く、金属層35は、無加圧で加熱されて溶融した金属が固化した無加圧溶融固化金属である、ディスプレイ装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の素子側電極を有するマイクロ発光素子と、
各々の前記素子側電極に接続される駆動基板側電極を有する駆動基板と、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とを接続する金属層と、
を有し、
隣り合う前記駆動基板側電極の電極間距離が、隣り合う前記素子側電極の電極間距離より長く、
前記金属層は、無加圧で加熱されて溶融した金属が固化した無加圧溶融固化金属である、ディスプレイ装置。
【請求項2】
マイクロ発光素子と、
前記マイクロ発光素子に設けられた少なくとも2個の素子側電極と、
前記マイクロ発光素子が接続される駆動基板と、
前記駆動基板に設けられた少なくとも2個の駆動基板側電極と、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とを接続する金属層と、
を有し、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とが接続された部分に空隙部が存在し、当該空隙部は、隣り合う前記素子側電極の間の中心および隣り合う前記駆動基板側電極の間の中心を通る中心線に対して線対称となる多角形の断面形状を有する、ディスプレイ装置。
【請求項3】
マイクロ発光素子と、
前記マイクロ発光素子に設けられた少なくとも2個の素子側電極と、
前記マイクロ発光素子が接続される駆動基板と、
前記駆動基板に設けられた少なくとも2個の駆動基板側電極と、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とを接続する金属層と、
を有し、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とが接続された部分に空隙部が存在し、当該空隙部は、前記マイクロ発光素子の隣り合う前記素子側電極の間を上底、前記駆動基板の隣り合う前記駆動基板側電極の間を下底、前記上底および前記下底を接続する辺からなる台形の断面形状を有する、ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(1)、(2)、(4)~(6)式を満たすものである、
(1)d<x-(a+c-z)/2
(2)y/2>d
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとし、
隣り合う素子側電極間の中心と、隣り合う基板側電極間の中心との差をdとする)、
請求項1~3のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(3)~(6)式を満たすものである、
(3)√(x^2+y^2)<a+c
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとする)、
請求項1~4のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記金属層の体積Vは、下記(7)式を満たすものである、
(7)0.059×a×b^2<V<0.393×a×b^2
(ただし、式中、前記素子側電極のY方向の長さをbとする)、
請求項4または5に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記金属層は、SACはんだ材料である、請求項1~6のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記素子側電極は、前記マイクロ発光素子に近い側から順に、電極金属層、バリアメタル層を有する、請求項1~7のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記バリアメタル層は、Niを含む、請求項8に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記素子側電極および前記駆動基板側電極の前記金属層に接する面は、第10族、第11族の元素を有する、請求項1~9のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
マイクロ発光素子と、駆動基板とが接続されたディスプレイ装置の製造方法であって、
前記マイクロ発光素子は少なくとも2個の素子側電極を有し、
前記駆動基板は、少なくとも2個の駆動基板側電極を有し、
前記素子側電極および/または前記駆動基板側電極に金属層を成膜する金属層成膜工程と、
前記駆動基板側電極に前記素子側電極を対応させ、前記駆動基板上に前記マイクロ発光素子を転写する転写工程と、
前記マイクロ発光素子が転写された前記駆動基板上を、無加圧で加熱する無加圧加熱工程と、
を有する、ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項12】
隣り合う前記駆動基板側電極の電極間距離が、隣り合う前記素子側電極の電極間距離より長い、請求項11に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項13】
前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(1)、(2)、(4)~(6)式を満たすものである、
(1)d<x-(a+c-z)/2
(2)y/2>d
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとし、
隣り合う素子側電極間の中心と、隣り合う基板側電極間の中心との差をdとする)、
請求項11または12に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項14】
前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(3)~(6)式を満たすものである、
(3)√(x^2+y^2)<a+c
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとする)、
請求項11~13のいずれか一つに記載のディスプレイ装置の製造方法。
【請求項15】
前記金属層の体積Vは、下記(7)式を満たすものである、
(7)0.059×a×b^2<V<0.393×a×b^2
(ただし、式中、前記素子側電極のY方向の長さをbとする)、
請求項13または14に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置、およびディスプレイ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子としてマイクロLED(micro-light emitting diode)によるディスプレイ装置が脚光を浴びている。マイクロLEDによるディスプレイ装置は、応答速度が速く、焼き付けを起こさず、低電力で高輝度高精細の映像を映し出せる次世代の表示装置である。
【0003】
マイクロLEDによるディスプレイ装置は、100μm以下の極めて小さなマイクロLEDチップを駆動基板に接続する必要がある。マイクロLEDチップと駆動基板とを接続する従来技術としては、たとえば、特許文献1および2がある。特許文献1および2の技術は、マイクロLEDチップと駆動基板とのいずれか一方にはんだバンプを形成し、マイクロLEDを駆動基板方向に加圧しつつ加熱することで接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-514217号公報
【特許文献2】特開2021-015859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロLEDと駆動基板との接続には、その前段階として、マイクロLEDを駆動基板の所定の位置に配置する必要がある。従来から、このマイクロLEDを配置する際に位置ずれが生じることがある。マイクロLEDは、極めて小さいため、わずかな位置ずれが生じても、ディスプレイ装置における画質不良の原因となる。
【0006】
従来技術は、マイクロLEDを駆動基板方向に加圧しつつ加熱しているため、配置された時点で、マイクロLEDの位置がずれていると、そのまま加圧、加熱されて、位置がずれたまま接続されてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、駆動基板上での発光素子の位置ずれを少なくしたディスプレイ装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、駆動基板上での発光素子の位置ずれを少なくできるディスプレイ装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は以下の手段により達成される。
【0010】
(1)少なくとも2個の素子側電極を有するマイクロ発光素子と、
各々の前記素子側電極に接続される駆動基板側電極を有する駆動基板と、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とを接続する金属層と、
を有し、
隣り合う前記駆動基板側電極の電極間距離が、隣り合う前記素子側電極の電極間距離より長く、
前記金属層は、無加圧で加熱されて溶融した金属が固化した無加圧溶融固化金属である、ディスプレイ装置。
【0011】
(2)マイクロ発光素子と、
前記マイクロ発光素子に設けられた少なくとも2個の素子側電極と、
前記マイクロ発光素子が接続される駆動基板と、
前記駆動基板に設けられた少なくとも2個の駆動基板側電極と、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とを接続する金属層と、
を有し、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とが接続された部分に空隙部が存在し、当該空隙部は、隣り合う前記素子側電極の間の中心および隣り合う前記駆動基板側電極の間の中心を通る中心線に対して線対称となる多角形の断面形状を有する、ディスプレイ装置。
【0012】
(3)マイクロ発光素子と、
前記マイクロ発光素子に設けられた少なくとも2個の素子側電極と、
前記マイクロ発光素子が接続される駆動基板と、
前記駆動基板に設けられた少なくとも2個の駆動基板側電極と、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とを接続する金属層と、
を有し、
前記素子側電極と前記駆動基板側電極とが接続された部分に空隙部が存在し、当該空隙部は、前記マイクロ発光素子の隣り合う前記素子側電極の間を上底、前記駆動基板の隣り合う前記駆動基板側電極の間を下底、前記上底および前記下底を接続する辺からなる台形の断面形状を有する、ディスプレイ装置。
【0013】
(4)前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(1)、(2)、(4)~(6)式を満たすものである、
(1)d<x-(a+c-z)/2
(2)y/2>d
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとし、
隣り合う素子側電極間の中心と、隣り合う基板側電極間の中心との差をdとする)、
上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【0014】
(5)前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(3)~(6)式を満たすものである、
(3)√(x^2+y^2)<a+c
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとする)、
上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【0015】
(6)前記金属層の体積Vは、下記(7)式を満たすものである、
(7)0.059×a×b^2<V<0.393×a×b^2
(ただし、式中、前記素子側電極のY方向の長さをbとする)、
上記(4)または(5)に記載のディスプレイ装置。
【0016】
(7)前記金属層は、SACはんだ材料である、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【0017】
(8)前記素子側電極は、前記マイクロ発光素子に近い側から順に、電極金属層、バリアメタル層を有する、上記(1)~(7)のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【0018】
(9)前記バリアメタル層は、Niを含む、上記(8)に記載のディスプレイ装置。
【0019】
(10)前記素子側電極および前記駆動基板側電極の前記金属層に接する面は、第10族、第11族の元素を有する、上記(1)~(9)のいずれか一つに記載のディスプレイ装置。
【0020】
(11)マイクロ発光素子と、駆動基板とが接続されたディスプレイ装置の製造方法であって、
前記マイクロ発光素子は少なくとも2個の素子側電極を有し、
前記駆動基板は、少なくとも2個の駆動基板側電極を有し、
前記素子側電極および/または前記駆動基板側電極に金属層を成膜する金属層成膜工程と、
前記駆動基板側電極に前記素子側電極を対応させ、前記駆動基板上に前記マイクロ発光素子を転写する転写工程と、
前記マイクロ発光素子が転写された前記駆動基板上を、無加圧で加熱する無加圧加熱工程と、
を有する、ディスプレイ装置の製造方法。
【0021】
(12)前記少なくとも2個の前記駆動基板側電極の電極間距離が、前記少なくとも2個の前記素子側電極の電極間距離より長い、上記(11)に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【0022】
(13)前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(1)、(2)、(4)~(6)式を満たすものである、
(1)d<x-(a+c-z)/2
(2)y/2>d
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとし、
隣り合う素子側電極間の中心と、隣り合う基板側電極間の中心との差をdとする)、
上記(11)または(12)に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【0023】
(14)前記素子側電極と前記駆動基板側電極の各部の大きさは、下記(3)~(6)式を満たすものである、
(3)√(x^2+y^2)<a+c
(4)z<a+c
(5)x<2a+c-z
(6)y<a+c
(ただし、式中、前記素子側電極および前記駆動基板側電極がそれぞれ並んでいる方向を第1方向X、第1方向Xと直交する方向を第2方向Yとし、
前記素子側電極のX方向の長さをa、電極間距離をcとし、
前記駆動基板側電極のX方向の長さをx、Y方向の長さをy、電極間距離をzとする)、
上記(11)~(13)に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【0024】
(15)前記金属層の体積Vは、下記(7)式を満たすものである、
(7)0.059×a×b^2<V<0.393×a×b^2
(ただし、式中、前記素子側電極のY方向の長さをbとする)、
上記(13)または(14)に記載のディスプレイ装置の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、少なくとも2個の素子側電極に対応する駆動基板側電極の電極間距離を、少なくとも2個の素子側電極の電極間距離よりも長くし、金属層を無加圧で加熱されて溶融した金属が固化した無加圧溶融固化金属とした。これにより、本発明は、駆動基板上での発光素子の位置ずれを少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係るディスプレイ装置の概略構成を示す断面図である。
図2】マイクロLEDを1個分だけ示した拡大断面図である。
図3】素子側電極の各部の大きさを説明するための平面図である。
図4】駆動基板側電極の各部の大きさを説明するための平面図である。
図5】マイクロLEDが駆動基板に理想的な位置で転写され状態を示す平面図である。
図6】マイクロLEDが駆動基板にずれて転写された状態を示す平面図である。
図7】直線的なシフト量の方向を説明するための平面図である
図8】回転シフトを説明するための平面図である。
図9】素子側電極と駆動基板側電極が接続された状態をマイクロLEDの方から見た平面図である。
図10】素子側電極上にはんだ層(はんだ材料)を成膜した状態を示す断面図である。
図11】無加圧加熱(リフロー)時の状態を示す断面図である。
図12】無加圧加熱(リフロー)時の状態の素子側電極の拡大断面図である。
図13】セルフアライン効果が発現する場合の溶融したはんだ層と駆動基板側電極21との位置関係を説明するための断面図である。
図14】溶融したはんだ層の表面張力を説明するための断面図である。
図15】素子側電極と駆動基板側電極とが接続された状態を説明するための断面図である。
図16】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、d<x-(a+c-z)/2の場合を示す平面図である。
図17】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、y/2<dの場合を示す平面図である。
図18】セルフアライン効果が発現しない可能性のある場合の溶融したはんだ層と駆動基板側電極との位置関係を説明するための断面図である。
図19】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、d>x-(a+c-z)/2の場合を示す平面図である。
図20】直線的なセルフアラインを説明するための平面図であって、y/2<dの場合を示す平面図である。
図21】回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、√(x^2+y^2)<a+c、y<xの場合を示す平面図である。
図22図21に続き、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、√(x^2+y^2)<a+c、y<xの場合を示す平面図である。
図23図22に続き、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、√(x^2+y^2)<a+c、y<xの場合を示す平面図である。
図24図23に続き、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、√(x^2+y^2)<a+c、y<xの場合を示す平面図である。
図25】回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、x>yの場合を示す平面図である。
図26図25に続き、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、x>yの場合を示す平面図である。
図27図26に続き、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、x>yの場合を示す平面図である。
図28】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、z<a+cの場合を示す平面図である。
図29】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、x<2a+c-zの場合を示す平面図である。
図30】回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、y<a+cの場合を示す平面図である。
図31】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、z>a+cの場合を示す平面図である。
図32】直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、z+x>2a+cの場合を示す平面図である。
図33】回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、y>a+cの場合を示す平面図である。
図34】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図35】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図36】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図37】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図38】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図39】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図40】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図41】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図42】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図43】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図44】ディスプレイ装置の製造方法を説明するための断面図である。
図45】マイクロLEDを駆動基板へ転写した直後の状態を示す平面図である。
図46】マイクロLEDを駆動基板へ接続完了した後の状態を示す平面図である。
図47】駆動基板となるテスト基板を示す断面図である。
図48】シフト量の測定を説明するための平面図である。
図49】良品となった、マイクロLEDと駆動基板の接続部分を示す図面代用断面SEM写真である。
図50】不良となった、マイクロLEDと駆動基板の接続部分を示す図面代用断面SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の図面において、同一参照符号は、同一構成要素を指し、図面上において、各構成要素の大きさは、説明の明瞭性および便宜さのために誇張されてもいる。一方、以下で説明される実施形態は、ただ例示的なものに過ぎず、そのような実施形態から多様な変形が可能である。
【0028】
以下において、「上部」や「上」と記載されたところは、接触して真上にあるものだけではなく、非接触で上にあるものも含んでもよい。同様に、「下部」や「下」と記載されたところは、接触して真下にあるものだけではなく、非接触で下にあるものも含んでもよい。
【0029】
単数の表現は、文脈上明白に単数であることを明示しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」または「有する」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。
【0030】
方法を構成する段階について、明白に順序を記載する、あるいは反対となる記載がなければ、段階は、適切な順序で実行される。必ずしも前記段階の記載順序に限定されるものではない。すべての例、または例示的な用語の使用は、単に技術的思想を説明するためのものであり、特許請求の範囲によって限定されない以上、前記例、または例示的な用語によって範囲が限定されるものではない。
【0031】
[ディスプレイ装置]
まず、本発明の例示的な実施形態によるディスプレイ装置について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係るディスプレイ装置10の概略構成を示す断面図である。図2は、マイクロLEDを1個分だけ示した拡大断面図である。なお、図1および図2の断面は、隣り合う素子側電極12および隣り合う駆動基板側電極21を通る方向に沿う断面であり、後述する図9におけるA-A線に沿う断面である。他の各断面図においても同様である。
【0033】
図1に示すように、ディスプレイ装置10は、駆動基板25上に、マイクロ発光素子であるマイクロLED15が接続されている。図1においては、3個のマイクロLED15を示している。これらマイクロLED15は、たとえば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)などのカラー画素の各色を構成する。たとえば、4K解像度のディスプレイ装置10は、約830万画素であるので、約830万×3個分で約2400万個のマイクロLED15が搭載される。
【0034】
マイクロLED15は、2個の電極(素子側電極12と称する)を有する。素子側電極12は、マイクロLED15となる半導体チップ11上に所定の間隔で設けられている。
【0035】
駆動基板25は、素子側電極12に対応する位置に、2個の電極(駆動基板側電極21と称する)を有する。駆動基板側電極21は、たとえば、ガラス材料、樹脂材料、そのほかの材料などからなる元基板20上に配線層、トランジスタ(TFT(Thin-Film Transistor))、および絶縁層などとともに設けられている。
【0036】
素子側電極12は、通常、アノード電極およびカソード電極である。したがって、1個のマイクロLED15は、通常、2個の電極を有する。駆動基板側電極21は、2個の素子側電極12に対応した2個の電極となる。しかし、素子側電極12は、マイクロLED15の仕様や機能によって、3個以上であってもよく、そのような場合、駆動基板側電極21も、マイクロLED15の3個以上の電極に対応するように増やすことになる。
【0037】
素子側電極12と駆動基板側電極21は、それらの間に介在する金属層35によって接続される。金属層35は、はんだ材料が無加圧で加熱されて溶融後、固化した無加圧溶融固化金属である。
【0038】
素子側電極12は、電極金属層12aおよびバリアメタル層12bからなる(図2参照)。電極金属層12aおよびバリアメタル層12bは、たとえば、第10族、第11族の元素を含むことが好ましく、具体的には、たとえば、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Ni、Cr、Ti、およびITOよりなる群から選択される少なくとも1種の金属、またはグラフェンを少なくとも含むことが好ましい。特に、バリアメタル層12bは、Niを含むことがより好ましい。Niを含むバリアメタル層12bは、加熱時の金属間化合物の形成による、はんだ喰われを抑制し、セルフアライン効果(後述)を十分に得ることができる。また、無加圧加熱時には、フラックスが使用されることで電極へのはんだの濡れ性が良くなり、セルフアライン効果を得やすくなる。
【0039】
駆動基板側電極21には、上記素子側電極12と同様の金属材料が用いられる。したがって、素子側電極12および駆動基板側電極21の金属層35に接する面は、第10族、第11族の元素を含んでいることが好ましい。
【0040】
金属層35は、駆動基板25の耐熱性を考慮して、たとえば、液相線温度280℃以下のはんだ材料を使用することが好ましい。このようなはんだ材料は、たとえば、第10族、第11族、第12族、第13族、第14族、第15族の元素の内、少なくとも1つ含む合金である。より具体的には、たとえば、Sn-Ag-Cu合金(SAC)、Sn-Bi合金、Sn-Bi-Ag合金、およびSn-Ag-Cu-Ni合金よりなる群から選択される少なくとも1種の合金を含むことが好ましい。より好ましくは、SACである。
【0041】
これらのはんだ材料は、素子側電極12と駆動基板側電極21とを無加圧で加熱接続する際に、加熱されて、溶融し、液状化する。このときに、その表面張力によって、両電極を引き寄せる力が働き、マイクロLED15が駆動基板25の定位置から許容範囲内に収まるようにセルフアラインされる。
【0042】
マイクロLED15が駆動基板25に接続された状態の形状を説明する。ここでは、マイクロLED15が駆動基板25に接続された状態の形状を出来上がり形状と称する。
【0043】
出来上がり形状には、図2に示すように、素子側電極12と駆動基板側電極21とが接続された部分に空隙部36が存在する。空隙部36は、マイクロLED15の隣り合う素子側電極12の間と、駆動基板25の隣り合う駆動基板側電極21の間に存在する。この空隙部36は、一方の素子側電極12(12R)、金属層35(35R)、および駆動基板側電極21(21R)と、他方の素子側電極12(12L)、金属層35(35L)、および駆動基板側電極21(21L)とによって囲まれている。
【0044】
空隙部36は、多角形の断面形状を有している。この多角形は、隣り合う素子側電極12の間の中心および隣り合う駆動基板側電極21の間の中心を通る中心線tに対して線対称となっている。
【0045】
また、空隙部36は、隣り合う素子側電極12の間を上底11a、隣り合う駆動基板側電極21の間を下底20a、上底11aおよび下底20aを接続する辺35aからなるほぼ台形の断面形状を有している。ここで辺35aとなる部分は、金属層35の空隙部36側の面である。
【0046】
このような出来上がり形状は、駆動基板側電極21を素子側電極12よりも大きくすることによって形成される。
【0047】
図3は、素子側電極12の各部の大きさを説明するための平面図であり、図4は駆動基板側電極21の各部の大きさを説明するための平面図である。
【0048】
図3および図4においては、2個の素子側電極12および2個の駆動基板側電極21がそれぞれ並んでいる主面と平行な方向を第1方向(X方向)、第1方向(X方向)と直交し、かつ、素子側電極12および駆動基板側電極21の主面と平行な方向を第2方向(Y方向)とする。
【0049】
図3に示すように、素子側電極12の各部の大きさは、第1方向(X方向)の長さをa、第2方向(Y方向)の長さをb、電極間距離(X方向に隣り合う素子側電極12の間の距離)をcとする。また、マイクロLED15のチップ内における電極の位置は、図3に示すように、マイクロLED15の端部から素子側電極12の端部までの距離を用いて示す。マイクロLED15の端部から素子側電極12の端部までのX方向の距離をLsx、Y方向の距離をLsyとする。
【0050】
図4に示すように、駆動基板側電極21の各部の大きさは、第1方向(X方向)の長さをx、第2方向(Y方向)の長さをy、電極間距離(X方向に隣り合う駆動基板側電極21の間の距離)をzとする。
【0051】
本実施形態では、隣り合う素子側電極間の中心と、隣り合う基板側電極間の中心との差dとする。製造工程においてdは、転写工程(詳細後述)によって転写された位置から、マイクロLED15が設計的に設定された位置(これを正位置という)へ移動する距離である。このため、以下の説明において、dは、シフト量dと称する。したがって、ディスプレイ装置完成後、すなわち、無加圧加熱工程の終了後(ディスプレイ装置完成後)においても、隣り合う素子側電極間の中心と、隣り合う基板側電極間の中心との差は、シフト量dを超えることはない。
【0052】
なお、詳細は後述するが、転写工程とは、マイクロLED15を駆動基板25上に接続するために配置する工程であり、無加圧加熱工程とは、駆動基板25上に配置されたマイクロLED15を無加圧加熱によってはんだ付け(接続)する工程である。
【0053】
図5は、マイクロLED15が駆動基板25に理想的な位置で転写され状態を示す平面図である。また、図6は、マイクロLED15が駆動基板25にずれて転写された状態を示す平面図である。
【0054】
ここでは、転写工程における素子側電極間中心LPcと駆動基板側電極間中心SPcとの距離を転写工程(LPc-SPc)と定義する。また、無加圧加熱工程後における素子側電極間中心LPcと駆動基板側電極間中心SPcとの距離を無加圧加熱工程後(LPc-SPc)と定義する。製造工程において、シフト量dは、これらの差分である。すなわち、シフト量dは、d=(転写工程(LPc-SPc))-(無加圧加熱工程後(LPc-SPc))となる。
【0055】
転写工程における理想的な正位置は、素子側電極間中心LPcと駆動基板側電極間中心SPcとが完全に一致する位置である。したがって、図5に示すように、理想的な正位置は、d=LPc-SPc=0である。
【0056】
一方、転写工程時に、マイクロLED15が正位置(正位置をd=0とする)からずれて転写された場合、図6に示すように、シフト量d>0、すなわち、d=|LPc-SPc|>0となる。
【0057】
マイクロLED15がずれて転写された場合、マイクロLED15は、その後の無加圧加熱工程の際に、セルフアライン効果によって、理想的には、図5に示した正位置(d=0)にまで移動して接続(はんだ付け)される。このセルフアライン効果による移動量が、シフト量dとなる。
【0058】
しかし、無加圧加熱工程後における最終的な接続位置は、セルフアライン効果があっても、理想的な正位置(d=0)にならないこともある。したがって、実際の製造工程においては、最終的なマイクロLED15の位置に許容範囲を設定することが好ましい。最終的な接続位置の許容範囲は、マイクロLED15の大きさや、できあがった製品における、個々のマイクロLED15の位置ずれの許容範囲などによって任意に設定される。具体的には、たとえば、マイクロLED15の長辺の長さが100μmのチップの場合、最終的な接続位置の許容範囲は、LPc-SPc=±1μm未満とすることが好ましい。
【0059】
なお、シフト量dは、たとえば、隣り合う素子側電極12の間の中心(素子側電極間中心LPc)と、隣り合う駆動基板側電極21の間の中心(駆動基板側電極間中心SPc)との距離を測定することで得られる。
【0060】
図7は、直線的なシフト量の方向を説明するための平面図である。直線的なシフト量dの方向は、図7に示すように、駆動基板側電極間中心SPcを通り、第1方向(X方向)、第2方向(Y方向)、および、第1方向(X方向)と第2方向(Y方向)との間の方向であるXY方向のいずれかである。
【0061】
図8は、回転シフトを説明するための平面図である。図8において、隣り合う駆動基板側電極21の中心Lc同士を結ぶ線SL、素子側電極12の中心Lc同士を結ぶ線LLとする。回転シフトは、線SLに対して線LLが傾いて、マイクロLED15が配置された場合に、マイクロLED15が回転して正位置に戻ることをいう。この回転シフトの戻り量についても、シフト量dと同様に、隣り合う駆動基板側電極21の間の中心SPcと隣り合う素子側電極12の間の中心LPcとの距離(LPc-SPc)で表すことができる。したがって、回転シフトにおいても、理想的な正位置はd=0である。また、回転シフトにおいても、最終的な接続位置の許容範囲を設けてもよい。たとえば、回転シフトにおける最終的な接続位置の許容範囲も、LPc-SPc=±1μm未満とすることが好ましい。なお、回転シフト量は、回転角度によって表してもよい。この回転角度は、たとえば、線LLと、線SLとがなす角度とする。
【0062】
図9は、素子側電極12と駆動基板側電極21が接続された状態をマイクロLED15の方から見た平面図である。
【0063】
本実施形態においては、図9に示すように、基本的に、隣り合う駆動基板側電極21の電極間距離zが、隣り合う素子側電極12の電極間距離cより長くなるようにしている。具体的には、電極の配置は、下記の配置条件を満たすようにすることが好ましい。なお、マイクロLED15の最大長さwは、100μm以下とする。
【0064】
電極の配置条件は、
(a)素子側電極12の中心Lcが駆動基板側電極21に重なる領域内にあること、
(b)駆動基板側電極21の中心Scが素子側電極12に重なる領域内にあること、
(c)シフト量dは、素子側電極12の中心Lcが駆動基板側電極21に重なる領域内に収まること、
(d)一方の素子側電極12の中心Lcが駆動基板側電極21のy方向の端にあるとき、他方の素子側電極12の中心Lcは、駆動基板側電極21に重なる領域から外れていること、
(e)電極中心で回転が起こるとき他方の電極が離れていること、である。
【0065】
さらに、素子側電極12および駆動基板側電極21の各部の大きさは、下記(1)~(6)式を満たすようにすることが好ましい。
【0066】
(1)d<x-(a+c-z)/2:シフト量dとして許容できる第1方向最小長さ、
(2)y/2>d:シフト量dとして許容できる第2方向最小長さ、
(3)√(x^2+y^2)<a+c:回転可能角を最大にするxおよびyの制限、
(4)z<a+c:最大電極間ギャップ、
(5)x<2a+c-z:第1方向の最大長さ、
(6)y<a+c:回転可能角を最大にする第2方向最大長さ。
【0067】
なお、素子側電極12および駆動基板側電極21の各部の大きさは、上記各式のすべてを満たす必要はない。たとえば、素子側電極12および駆動基板側電極21の各部の大きさは、少なくとも(1)、(2)、(4)、(5)、および(6)式を満たすようにすることで、マイクロLED15の回転ずれに対してセルフアライン効果が出やすくなり、回転ずれによる不良を減らすことができる。また、たとえば、素子側電極12および駆動基板側電極21の各部の大きさは、少なくとも(3)~(6)式を満たすようにすることで、直線的なずれ(X、Y、およびXY方向)に対してセルフアライン効果が出やすくなり、直線的なずれによる不良を減らすことができる。
【0068】
さらに、(1)~(6)式には優先度を設けて、いずれかが満たされるようにしてもよい。(1)および(2)式の条件は、主に直線的なずれに対応する。一方、(3)式の条件は、主に回転ずれに対応する。ディスプレイ装置の製造工程においては、直線的なずれの方が、回転ずれよりも多く発生する。このため、優先度は、第1に(1)および(2)式、第2に(3)式、そして、第3に(4)~(6)式の順とすることが好ましい。
【0069】
もちろん、素子側電極12および駆動基板側電極21の各部の大きさは、(1)~(6)式のすべてを満たすことがより好ましい。
【0070】
さらに、金属層35は、下記の条件を満たすことが好ましい。
【0071】
図10は、素子側電極12上にはんだ層(はんだ材料)を成膜した状態を示す断面図であり、図11は無加圧加熱(リフロー)時の状態を示す断面図であり、図12は無加圧加熱(リフロー)時の状態の素子側電極12の拡大断面図である。
【0072】
はんだ層31は、素子側電極12の上に、たとえば、はんだバンプなどとして成膜される。このはんだ層31は、素子側電極12と駆動基板側電極21と無加圧加熱工程によって接続され、固化することで金属層35となる。
【0073】
図10に示すように、素子側電極12の上に成膜された段階で、はんだ層31の表面は、ほぼ平坦な形状である。
【0074】
はんだ層31は、無加圧加熱によって、図11に示すように、電極上でθの角度をもった液滴状に膨らむ。液滴状に膨らんだ状態のはんだ層31の形状は、図12に示すように、電極から上のほぼ半円Cir/2部分と仮定する。この半円Cir/2は、素子側電極12の中心Ecを中心とする円Cirの一部とする。液滴状に膨らんだ状態のはんだ層31の高さはhとする。立体形状としては、素子側電極12の中心Ecを中心とする球体の一部であって、素子側電極12上のほぼ半球部分となる。図11においてθは、素子側電極12の表面の端から液滴の表面に沿うように引いた接線と、素子側電極12の表面とのなす角である。
【0075】
はんだ層31の体積Vは、溶融後、固化した状態において、素子側電極12の第1方向の長さaと第2方向の長さbから、下記(7)式を満たすことが好ましい。
【0076】
(7)0.059×a×b^2<V<0.393×a×b^2
このような、はんだ体積Vを得るためには、素子側電極12に成膜した時のはんだ層31の高さh0(膜厚ともいう)を、下記(8)式を満たすようにすることが好ましい。また、溶融時のはんだ層31のθは、20°<θ≦90°となるようにする。
【0077】
(8)h0=b/4×(θ-cosθsinθ)/(sinθ)^2
なお、はんだ層31の物性は無加圧加熱の前後で大きく変わることはない。したがって、はんだ層31の体積Vは、無加圧加熱前、すなわち、素子側電極12上に成膜した時点での体積も、無加圧加熱による溶融後、固化した状態の体積も、同じとみなすことができる。溶融時のはんだ層31のなす角θは、20°<θ≦90°となるようにすることが好ましく、この場合のはんだ層31の成膜時の高さh0は、下記(9)式のとおりである。
【0078】
(9)0.059×b<h0<0.393×b
本実施形態では、はんだ層31の体積Vを上記(7)式を満たすようにすることで、接続時に電極からはんだ材料がはみ出して、電極同士で短絡する確率を低下させることができる。また、溶融時のはんだ層31のθは、20°<θ≦90°となるようにする。θをこの範囲となるようにすることで、接続時に電極からはんだ材料がはみ出して、電極同士で短絡する確率を低下させることができる。
【0079】
[セルフアライン効果]
ここで、本実施形態によるセルフアライン効果について説明する。
【0080】
図13は、セルフアライン効果が発現する場合の溶融したはんだ層31と駆動基板側電極21との位置関係を説明するための断面図であり、図14は、溶融したはんだ層31の表面張力Fを説明するための断面図であり、図15は、素子側電極と駆動基板側電極とが接続された状態を説明するための断面図である。なお、図13~15においては、電極1個分を示している。
【0081】
溶融したはんだ層31は、前述のとおり、半円とみなす。この半円の頂点部分は、素子側電極12の中心Lcの位置と一致する。図13に示すように、素子側電極12の中心Lcが駆動基板側電極21に重なる領域内にある場合、はんだ層31の頂点は、駆動基板側電極21の範囲に入っている。このため、溶融したはんだ層31の頂点は、駆動基板側電極21と接触するようになる。
【0082】
駆動基板側電極21と接触した溶融したはんだ層31は、図14に示すように、駆動基板側電極21の表面に濡れ広がる。そして、溶融したはんだ層31には、表面張力Fが働く。表面張力Fは、水平成分Fxおよび垂直成分Fyに分けることができる。
【0083】
マイクロLED15は、転写工程において、正位置からずれて転写された場合、この表面張力Fの水平成分Fxによって、正位置方向に移動する。図13~15においては、素子側電極12の中心Lcが駆動基板側電極21の中心Scの方向に移動する。マイクロLED15は、この溶融したはんだ層31の表面張力Fによって、図15に示すように、正位置へ移動する。マイクロLED15が正位置へ移動すると、表面張力Fの水平成分Fxは釣り合って、マイクロLED15はそれ以上動かなくなる。つまり、マイクロLED15は、セルフアラインされるのである。
【0084】
はんだ層31が厚いほど、溶融するはんだ層31の量が増えるので、表面張力が大きくなり、セルフアライン効果を得やすくなる。しかし、はんだ層31の量は、多すぎると、はみ出す可能性がある。このため、はんだ層31は、すでに説明したように、(7)式を満たすはんだ層31の体積Vとすること、または(8)式または(9)式を満たすはんだ層31の高さh0とすることが好ましいのである。
【0085】
図16は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、d<x-(a+c-z)/2の場合を示す平面図である。図16に示すように、d<x-(a+c-z)/2の場合、各部の長さは、上述した(1)式を満たす。このため、第1方向(X方向)において、溶融したはんだ層31の頂点が、確実に駆動基板側電極21の範囲内に入る。したがって、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21と接触して濡れ広がる。このため、セルフアライン効果が発現して、マイクロLED15は、第1方向(X方向)における正位置へ移動する。
【0086】
図17は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、y/2>dの場合を示す平面図である。図17に示すように、y/2>dの場合、各部の長さは、上述した(2)式を満たす。このため、第2方向(Y方向)において、溶融したはんだ層31の頂点が、確実に駆動基板側電極21の範囲内に入る。したがって、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21と接触して濡れ広がる。このため、マイクロLED15は、セルフアライン効果が発現して、第2方向(Y方向)における正位置へ移動する。
【0087】
図18は、セルフアライン効果が発現しない可能性のある場合の溶融したはんだ層31と駆動基板側電極21との位置関係を説明するための断面図である。
【0088】
溶融したはんだ層31は、前述のとおり、半円とみなす。この半円の頂点部分は、素子側電極12の中心Lcの位置と一致する。図18に示すように、素子側電極12の中心Lcが駆動基板側電極21に重なる領域外にある場合、はんだ層31の頂点は、駆動基板側電極21の範囲外となる。このため、溶融したはんだ層31の頂点は、駆動基板側電極21と接触しない可能性がある。特に、はんだ層31の高さが足りない場合、溶融したはんだ層31の頂点は、駆動基板側電極21と接触しない可能性が高くなる。そうなると、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21に濡れ広がらない。このため、このような状態では、セルフアライン効果が発現しない。
【0089】
図19は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、d>x-(a+c-z)/2の場合を示す平面図である。図19に示すように、d>x-(a+c-z)/2の場合、各部の長さは、上述した(1)式を満たさない。このため、第1方向(X方向)において、溶融したはんだ層31の頂点は、駆動基板側電極21の範囲外となる。したがって、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21と接触しないので、濡れ広がらない。このため、セルフアライン効果は発現しないため、マイクロLED15は、第1方向(X方向)における正位置へ移動しない。このような状態は、たとえば、転写工程において、マイクロLEDの転写位置のずれが大きくなった場合に発生する。
【0090】
図20は、直線的なセルフアラインを説明するための平面図であって、y/2<dの場合を示す平面図である。図20に示すように、y/2<dの場合、各部の長さは、上述した(2)式を満たさない。このため、第2方向(Y方向)において、溶融したはんだ層31の頂点が、駆動基板側電極21の範囲外となる。したがって、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21と接触しないので、濡れ広がらない。このため、セルフアライン効果が発現せず、マイクロLED15は、第2方向(Y方向)における正位置へ移動しない。このような状態は、たとえば、転写工程において、マイクロLEDの転写位置のずれが大きくなった場合に発生する。
【0091】
図21~24は、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、√(x^2+y^2)<a+c(ただし、y>xを前提とする)の場合を示す平面図である。図21~24において、矢印Fは、マイクロLED15に働く力の方向を示し、矢印Fsは、はんだ層31が濡れ広がることによって働く力の方向を示し、矢印Frは回転する力の方向を示している。
【0092】
転写工程において、マイクロLED15は、図21に示すように、駆動基板25に対して斜めにずれて転写されてしまうことがある。
【0093】
√(x^2+y^2)<a+c(ただし、y>xを前提とする)の場合、各部の長さは、(3)式を満たす。このような場合、マイクロLED15には、はんだ層31が濡れ広がることで、Fs方向の力と、溶融したはんだ層31の表面張力によるF方向の力が働く。このため、マイクロLED15は、まず、図21に示すように、はんだ層31が接触している駆動基板側電極21Lの中心Lcの方へ移動する。
【0094】
そして、マイクロLED15には、Fr方向の力が働いて、図22に示すように、時計回りに回転する。
【0095】
この回転によって、図23に示すように、隣り合う素子側電極12が並ぶ方向は、隣り合う駆動基板側電極21が並ぶ方向と平行になる。
【0096】
さらに、マイクロLED15は、最終的に、図24に示すように、2つの駆動基板側電極21に、対応する2つの素子側電極12が重なる正位置まで移動する。このとき、素子側電極12と駆動基板側電極21との間には、濡れ広がったはんだ層31によって、図24に示すように、互いに反対方向Fsの力が働く。これにより、回転は停止して、素子側電極12と駆動基板側電極21とは、正位置で接続されることになる。
【0097】
なお、実際の製造工程において、F方向、Fs方向、およびFr方向などの力は、複合的に働くものであり、必ずしもここで説明した順番に働くとは限らない。実際の製造工程においても、各部の長さが(3)式を満たすことでセルフアライン効果が発現して、マイクロLED15は、最終的に図24に示した位置となる。
【0098】
図25~27は、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、x>yの場合を示す平面図である。図25~27において、矢印Fは、マイクロLED15に働く力の方向を示し、矢印Fsは、はんだ層31が濡れ広がることによって働く力の方向を示し、矢印Frは回転する力の方向を示している。
【0099】
転写工程において、マイクロLED15は、図25に示すように、駆動基板25に対して斜めにずれて転写されてしまうことがある。この場合、マイクロLED15には、F方向の力が働く。また、はんだ層31が濡れ広がることで、Fs方向の力も働く。
【0100】
この場合、各部の長さは、x>yとなっており、(3)式を満たさない。このため、マイクロLED15は、図25および26に示すように、回転方向Frの力が働いて、反時計回りに回転する。
【0101】
この回転によって、図27に示すように、隣り合う素子側電極12が並ぶ方向は、第2方向(y方向)に平行となり、隣り合う駆動基板側電極21に接続されなくなる。
【0102】
図28は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、z<a+cの場合を示す平面図である。図28に示すように、z<a+cの場合、各部の長さは、上述した(4)式を満たす。しかもこの場合、素子側電極12の中心Lcは、必ず、駆動基板側電極21の範囲内に位置する。このため、第1方向(X方向)において、溶融したはんだ層31の頂点が、確実に駆動基板側電極21の範囲内に入る。したがって、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21と接触して濡れ広がる。このため、セルフアライン効果が発現して、マイクロLED15は、第1方向(X方向)における正位置へ移動する。
【0103】
図29は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、x<2a+c-zの場合を示す平面図である。図29に示すように、x<2a+c-zの場合、各部の長さは、上述した(5)式を満たす。しかもこの場合、駆動基板側電極21の中心Scは、必ず、素子側電極12の範囲内に位置する。このため、第1方向(X方向)において、溶融したはんだ層31の頂点が、確実に駆動基板側電極21の範囲内に入る。したがって、溶融したはんだ層31は、駆動基板側電極21と接触して濡れ広がる。このため、セルフアライン効果が発現して、マイクロLED15は、第1方向(X方向)における正位置へ移動する。
【0104】
図30は、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、y<a+cの場合を示す平面図である。図30に示すように、y<a+cの場合、各部の長さは、上述した(6)式を満たす。しかもこの場合、素子側電極12の一方の電極中心LcRは、駆動基板側電極21の範囲から外れている。各部の長さがこのように(6)式を満たすことで、マイクロLED15は、セルフアライン効果が発現することで、回転して正位置へ移動する。
【0105】
図31は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、z>a+cの場合を示す平面図である。図31に示すように、z>a+cの場合、各部の長さは、上述した(4)式を満たさない。この場合、素子側電極12の中心Lcは、駆動基板側電極21の範囲外に位置する。このため、セルフアライン効果が発現せず、マイクロLED15は、第1方向(X方向)の正位置へ移動しない。
【0106】
図32は、直線的なずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、z+x>2a+cの場合を示す平面図である。図32に示すように、z+x>2a+cの場合、各部の長さは、上述した(5)式を満たさない。この場合、駆動基板側電極21の中心Scは、素子側電極12の範囲外に位置する。このため、このため、セルフアライン効果が発現せず、マイクロLED15は、第1方向(X方向)の正位置へ移動しない。
【0107】
図33は、回転ずれにおけるセルフアラインを説明するための平面図であって、y>a+cの場合を示す平面図である。図33に示すように、y>a+cの場合、各部の長さは、上述した(6)式を満たさない。この場合、素子側電極12の両方の電極中心Lcが、対応する両方の駆動基板側電極21の範囲内に位置する。このため、マイクロLED15は、回転によるセルフアライン効果が発現せず、正位置へ移動しない。
【0108】
本実施形態は、マイクロLED15をセルフアライン効果によって、駆動基板25上に効率よく整列させることができる。しかも、本実施形態は、マイクロLED15の素子側電極12の配置、素子側電極12のサイズから、これら条件を満たすように、駆動基板側電極21を設計することで、マイクロLED15を駆動基板25へ接続する際に、多少の位置ずれが生じでも、セルフアライン効果によって所定の位置へ整列させることができる(または所定の位置に対する所定の範囲内に整列させたマイクロLED15の数を多くすることができる)。
【0109】
[ディスプレイ装置10の製造方法]
次に、ディスプレイ装置10の製造方法について説明する。
【0110】
図34から図44は、ディスプレイ装置10の製造方法を説明するための断面図である。
【0111】
(マイクロLED製造工程)
ディスプレイ装置10の製造方法は、まず、図34に示すように、サファイア基板101にマイクロLED15(発光素子)となる半導体層102が形成される。半導体層102は、LEDとして所定の波長の光を発光する。半導体層102は、サファイア基板101に成長させたGaN系半導体などである。この段階では、半導体層102は、個別のマイクロLED15の形態に分割されていない。本実施形態では、サファイア基板101と半導体層102を合わせて初期基板100と称する。サファイア基板101は、たとえば4インチウェーハサイズの大きさである。もちろん、サファイア基板101のウェーハサイズは4インチに限定されない。
【0112】
半導体層102の上には、さらに、分割後の各マイクロLED15に対応する位置に、電極が形成される。
【0113】
続いて、図35に示すように、初期基板100の素子側電極12が形成された面に、転写用樹脂層111によって中継基板112が貼り付けられる。この工程は、たとえば、以下のように行われる。まず、中継基板112の、初期基板100と対向する面に転写用樹脂層111がスピンコーティングなどで形成される。続いて、初期基板100と中継基板112が貼り合わされる。続いて、加熱処理によって、転写用樹脂層111が硬化されて、初期基板100と中継基板112が固着される。
【0114】
中継基板112は、たとえば、石英ガラス基板が用いられる。転写用樹脂層111は、たとえば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂(たとえばPMMA(Polymethyl methacrylate))、エポキシ樹脂、PP(Polypropylene)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などの樹脂材料が用いられる。転写用樹脂層111は、例示した樹脂材料と共に熱硬化剤が配合されている。また転写用樹脂層111は、その他の熱硬化性樹脂が使用される。転写用樹脂層111は、後述するレーザーリフトオフで使用するレーザー光波長の吸収率が80%以上であることが好ましい。
【0115】
続いて、図36に示すように、サファイア基板101が半導体層102から分離される。サファイア基板101の分離は、たとえば、レーザーリフトオフ技術を用いる。具体的には、サファイア基板101側から、その全面を走査するようにして、紫外線波長のレーザー光が照射される。レーザー光照射によって、サファイア基板101が半導体層102から分離される。レーザー光は、たとえば、波長248nmのKrFエキシマレーザーが使用される。使用する波長はこれに限定されず、サファイア基板101を半導体層102から分離できる波長であればよい。
【0116】
続いて、図37に示すように、半導体層102側に、リリース層113を介してソース基板114を貼り合わせる。リリース層113は、ダイナミックリリース層(DRL(Dynamic Release Layer))とも称される。この工程は、たとえば、以下のように行われる。まず、半導体層102側に、リリース層113となる樹脂材料がスピンコーティングなどで形成される。続いて、この樹脂材料にソース基板114が貼り合わされる。続いて、加熱処理によって、樹脂材料が硬化されてリリース層113となり、ソース基板114が固着される。
【0117】
ソース基板114は、後述する転写工程に使用するレーザー光の波長を透過させる。ソース基板114には、たとえば、石英ガラス基板が用いられる。石英ガラス基板は、たとえば、前述したサファイア基板101と同じサイズかそれ以上でよく、具体的には、サファイア基板101が4インチウェーハであれば、ソース基板114(石英ガラス基板)も4インチウェーハサイズが用いられる。
【0118】
リリース層113となる樹脂材料は、たとえば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂(たとえばPMMA(Polymethyl methacrylate))、エポキシ樹脂、PP(Polypropylene)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などであり、熱硬化剤が配合されている。樹脂材料は、その他の熱硬化性樹脂が使用されてもよい。リリース層113となる樹脂材料は、後述する転写工程で使用するレーザー光の所定波長の吸収率が80%以上であることが好ましい。このような吸収率の樹脂材料を用いることによって、後述する転写工程におけるレーザーアブレーションによるマイクロLED15の分離が容易になる。
【0119】
リリース層113の膜厚は、硬化後において0.1μm以上2μm以下となるように、樹脂材料の塗布時に調整される。
【0120】
続いて、図38に示すように、中継基板112が除去される。中継基板112の除去は、たとえば、レーザーリフトオフ技術が用いられる。中継基板112の除去は、たとえば、以下ように行われる。まず、中継基板112側から、中継基板112の全面を走査するように紫外線波長のレーザー光が照射される。これにより、レーザー光の照射によって転写用樹脂層111が溶解し、中継基板112が素子側電極12の面から分離されて、除去される。素子側電極12の面に残った転写用樹脂層111は、洗浄処理により取り除かれる。ここで使用するレーザー光は、波長248nmのKrFエキシマレーザーである。使用する波長はこれに限定されず、転写用樹脂層111として使用する樹脂材料に応じて適宜決定されてもよい。
【0121】
続いて、図39に示すように、半導体層102が複数のマイクロLED15に分割される。複数のマイクロLED15への分割は、たとえば、半導体層102上にフォトレジストを形成して、フォトリソグラフィによりパターニングし、パターニングされたフォトレジストをマスクとしてドライエッチングにより、個別のマイクロLED15に分割される。この段階では、さらに、分割されたマイクロLED15をマスクとして、リリース層113もマイクロLED15と同じ形状となるようにパターニングされる。使用されるドライエッチングは、異方性エッチングであるRIE(Reactive Ion Etching)が好ましい。マイクロLED15のチップ形状は、素子側電極12が形成されている面を平面として見たとき、矩形状である。マイクロLED15は、矩形の各辺のうち最も長い辺の長さが、たとえば100μm以下である。また、マイクロLED15の高さ、すなわち、半導体層102の厚さは、たとえば500μm以下である。したがって、マイクロLED15全体の形状としては、縦×横×高さ=100μm以下×100μm以下×500μm以下である。なお、縦、横および高さのそれぞれ下限値は、特に限定されず、製造可能な大きさであればよい。
【0122】
また、ソース基板114上に配列されたマイクロLED15は、マイクロLED同士が確実に分割されていれば、それらの隙間(間隔)は製造可能な最小値でよい。このため、配列ピッチは、マイクロLED15の大きさにもよるが、たとえば200μm以下が好ましい。配列ピッチは、たとえば、隣り合うマイクロLED15同士の中心間距離、または隣接するマイクロLED15同士の同じ側のエッジ間距離である。
【0123】
(金属層成膜工程)
続いて、図40に示すように、素子側電極12のそれぞれにはんだ層31が成膜される。はんだ層31の成膜は、周知の方法でよく、たとえば、ボールバンプ法、ソルダーペースト法、プレス法、めっき法などを用いることができる。また、異方性導電性ペーストの一つであるSAP(Self Assenmbly Anisotropic Conductive Paste)を用いることもできる。
【0124】
本実施形態では、ここまでの工程で、マイクロLED15がリリース層113によってソース基板114に保持されたソース基板構造体が提供される。
【0125】
(駆動基板製造工程)
次に、図41に示すように、駆動基板25が製造される。駆動基板25は、製造するディスプレイ装置10のサイズに対応した大きさである。
【0126】
駆動基板25は、マイクロLED15に電力を供給するために必要な配線やTFT(thin-film-transistor)などと共に、素子側電極12と接続するための電極が形成される。駆動基板側電極21は、駆動基板25上に形成されている金属配線の一部がそのまま用いられてもよいし、配線と接続された金属パッドとして形成されてもよい。
【0127】
そして、駆動基板25の駆動基板側電極21が形成された面には、フラックス32が塗布される。
【0128】
フラックスは、たとえば、ラミネート法や印刷法などによって、駆動基板25の駆動基板側電極21が形成された面の全面に塗布される。フラックスの厚さは、たとえば、1μm以上50μm以下である。マイクロLED15と駆動基板25との接続においては、加熱工程がある。本実施形態では、フラックス32の厚さを1μm以上50μm以下とすることで、後述する無加圧加熱工程において、素子側電極12に形成されたはんだ層31を駆動基板側電極21まで到達させることができる。これにより、駆動基板25が用意される。
【0129】
(転写工程)
次に、図42に示すように、マイクロLED15が駆動基板25の所定の位置に転写される。
【0130】
マイクロLED15の転写は、レーザーアブレーション技術を利用する。レーザーアブレーション技術では、まず、1個のマイクロLED15を駆動基板25へ接続する位置となるように、ソース基板114全体を位置決めする。このときの位置決めは、1個のマイクロLED15の素子側電極12が、これを駆動するために対応する駆動基板側電極21と接続できる位置に配置される。
【0131】
位置決め後、ソース基板114側から、1個のマイクロLED15に目がけて、所定波長(紫外線(UV))のレーザー光16が照射される。レーザー光16の照射によって、1個のマイクロLED15をソース基板114に接着していたリリース層113が溶解されて、マイクロLED15が駆動基板25側へ放出される。放出されたマイクロLED15は、駆動基板25側のフラックス32にキャッチされる。使用されるレーザー光16の所定波長としては、たとえば、波長248nmのKrFエキシマレーザーである。そのほか、波長266nmのYAG(FHG)、波長355nmのYAG(THG)などが用いられる。特に、波長355nmのレーザーは、石英ガラス基板に代えてガラス基板を用いることができ、部材および装置コストの面でより優位性が得られる。そのほかの波長のレーザー光を用いてもよい。
【0132】
レーザー光16のビーム径は1個のマイクロLED15のチップサイズと同じか、それ以上のサイズでもよい。ただし、レーザー光16のビーム径は、ソース基板114上で隣接するマイクロLED15に影響しない程度の大きさとすることが好ましい。このようなレーザー光16のビーム径とすることで、ソース基板114上で並んでいるマイクロLED15を1個1個選択的に駆動基板25側へ転写させることができる。
【0133】
レーザー光16のビームは1本でも良いが、マスクなどを用いて、またはレーザー光源を複数用意して、所望のピッチで複数のビームを同時に照射することとしてもよい。このようにすることで、多数のマイクロLED15を同時に転写させることもできる。
【0134】
また、レーザーアブレーションを行う際の、マイクロLED15と駆動基板25との隙間(ギャップ)間隔は、1μm以上200μm以下であることが好ましい。隙間間隔が1μm以上200μm以下とされることで、レーザーアブレーションにより分離されたマイクロLED15を、狙い通りの位置(または狙いに近い位置)で駆動基板25にキャッチさせることができる。図43は、マイクロLED15が転写された状態の駆動基板25を示している。
【0135】
(無加圧加熱工程)
続いて、転写されたマイクロLED15が駆動基板25に接続される。マイクロLED15と駆動基板25との接続は、マイクロLED15が転写された駆動基板25全体を、無加圧で加熱することにより行われる。この工程は、リフロー工程とも称される。
【0136】
本実施形態では、リフローを2段階で行っている。本実施形態では、プレヒートとして、マイクロLED15が転写された駆動基板25全体を無加圧で加熱する。図44に示すように、フラックス32は、このプレヒートによって、一部が蒸発することで体積が減少する。このプレヒートによって、フラックス32の厚みが減って、素子側電極12上のはんだ層31と駆動基板側電極21がほぼ接する状態となる。プレヒート温度は、たとえば、はんだ層31が溶融開始する温度より低い温度とする。プレヒート温度は、たとえば40℃~120℃であることが好ましい。このプレヒートによって、本実施形態では、駆動基板側電極21と素子側電極12とを確実に接合させる効果が期待できる。なお、プレヒートはなくてもよい。
【0137】
無加圧加熱工程は、続いて無加圧状態のまま、マイクロLED15が転写された駆動基板25全体をさらに加熱する。この時の温度は、はんだ層31を十分に溶融できる温度とする。具体的には、たとえば200℃~300℃であることが好ましい。この時、マイクロLED15は、すでに説明したように、加熱によって液状化したはんだ層31の表面張力によって、セルフアライン効果が生じ、駆動基板25上で所定の位置に整列して、接続される。そして、素子側電極12と駆動基板側電極21とは、はんだ層31が冷却後の固化した金属層35によって駆動基板25に完全に接続される(図1および図2参照)。
【0138】
[作用]
本実施形態の作用を説明する。
【0139】
図45は、マイクロLED15を駆動基板25へ転写した直後の状態を示す平面図であり、図46は、マイクロLED15を駆動基板25へ接続完了した後の状態を示す平面図である。なお、図45および18においては、駆動基板25、駆動基板側電極21、素子側電極12、およびマイクロLED15を示し、その他の部材は省略した。
【0140】
図45に示すように、マイクロLED15と駆動基板25へ転写した直後、マイクロLED15の位置は、駆動基板側電極21に対して、転写不良が発生した場合にはバラバラの位置となっている。
【0141】
その後、図46に示すように、本実施形態は、無加圧加熱工程によりマイクロLED15が駆動基板25上の所定の位置に整列して接続される。
【0142】
この点、従来技術では、図45に示した転写直後の状態から、マイクロLED15を駆動基板25の方向へ加圧しつつ加熱するため、図45に示した転写直後の状態のまま、マイクロLED15と駆動基板25が接続されてしまい、マイクロLED15の位置がバラついたままとなる。マイクロLED15の位置がバラついたままになると、画質不良などが発生するため、リペア工程などが必要となる。リペア工程では、位置ずれを起こしているマイクロLED15を1チップずつ検出し、それらをはんだから剥がして、再度、別なチップを所定の位置に接続するといった作業となる。このようなリペアの作業は、極めて小さなマイクロLED15を多数有するディスプレイ装置10では、長時間かつ難しい作業となっていた。
【0143】
たとえば、4Kディスプレイ装置のマイクロLED15の総数は約2400万個である。駆動基板25上における位置ずれ不良の発生率を100ppmと仮定した場合、不良数は、2400個となる。このような多くの数のマイクロLED15をリペアする工程は、100μm以下というマイクロLED15の大きさを考えれば、膨大な処理時間となり得ることが容易に想定される。
【0144】
この点、本実施形態では、セルフアライン効果によって、マイクロLED15が所定の位置に整列するため、位置ずれやバラツキが少なくなるので、位置ずれ不良となるマイクロLED15の数が少なくなり、リペア工程における処理時間を短くすることができる。
【0145】
[実施例]
(実施例1)
実施例1は、駆動基板25上に、マイクロLED15を人為的に様々な位置に配置(転写工程に相当)して、無加圧加熱を実施し、マイクロLED15の位置を測定した。
【0146】
実施例の製造工程は以下のとおりである。
【0147】
(1)駆動基板25の製作:図47は、テスト基板を示す断面図である。テスト基板200は、ガラス基板201の上に、IZO(Indium-Zinc-Oxide)膜202を成膜し、さらに、IZO膜202にCu膜203を成膜し、これらを駆動基板側電極21の形状に形成した。ガラス基板201の厚さは0.5mm、IZO膜202の厚さは0.05μm、Cu膜203の厚さは1μmとした。駆動基板側電極21の大きさは、後述する。
【0148】
このテスト基板200は、製品においては駆動基板25に相当する。したがって、以下、実施例の説明においては、駆動基板25と称する。
【0149】
その後、実施例1では、駆動基板25上にフラックス32(MCF Series(千住金属株式会社製))をスピンコートした。
【0150】
スピンコート手順は、下記の3ステップにより実施した。
【0151】
第1ステップ:300rpm_3sec、
第2ステップ:1700rpm_30sec、
第3ステップ:Slope_5sec。
【0152】
(2)転写工程:マイクロLED15を下記のシフト量d実験値となるように(1)の駆動基板25上に転写した。転写は、レーザーアブレーションにより実施した。なお、素子側電極12は、Cuによる電極金属層12aに、Niによるバリアメタル層12bの2層構造である。また、素子側電極12上には、SAC305によるはんだ層31をh0=約5μmとなるように形成した。素子側電極12の大きさは、後述する。
【0153】
シフト量d実験値:
X=+3μm、6μm、9μm、
Y=+3μm、6μm、9μm、
XY=+3μm、6μm、9μm(なお、XYは、SPcを通り、X方向から45度上方に傾いた方向とした(図7参照))。
【0154】
(3)無加圧加熱工程:マイクロLED15を転写した駆動基板25を、260℃のホットプレート上に置いて、窒素ガス気流下で60sec加熱した。
【0155】
(4)洗浄工程:加熱した駆動基板25を、室温まで冷却後、残渣フラックスを洗浄液(クリーンスルー618(花王株式会社製))で45℃、10min超音波洗浄し、その後、さらに超純水にてリンス洗浄し、窒素ガスによるブロー乾燥させた。
【0156】
(5)観察結果:顕微鏡下において、マイクロLED15の位置を観察した。観察結果を表1に示す。観察において、シフト量の測定は以下のように実施した。
【0157】
図48は、シフト量の測定を説明するための平面図である。シフト量の測定においては、図48に示すように、隣り合う駆動基板側電極21の外周に接する外周円SCiの中心を隣り合う駆動基板側電極21の間の中心SPcと仮定し、隣り合う素子側電極12の外周に接する外周円LCiの中心を隣り合う素子側電極12の間の中心LPcと仮定する。その上で、シフト量dは、外周円SCiの中心位置と外周円LCiの中心位置との間の距離を測定した。
【0158】
素子側電極12の各部の大きさ(図3および4参照は、a=15μm、b=26μm、c=20μm、Lsx=Lsy=3μmの固定とした)。
【0159】
駆動基板側電極21の各部の大きさ(図4および4参照)は、表1に示すとおりである。
【0160】
【表1】
【0161】
表1において、シフト量d実験値は、転写時(無加圧加熱前)において、X方向、Y方向、およびXY方向のいずれかにおいて、3μm、6μm、9μmの値となっているサンプルであることを示している。また、計算より許容されるシフト量dの最大値(μm)は、(1)式のd<x-(a+c-z)/2、または(2)式のy/2>dを用いて計算したdの値のうち、いずれか小さい方向の値である。
【0162】
そして、表1において、○は良品であることを示し、最終的な接続位置の中心間距離(LPc-SPc)=0±1μm未満とした。×は不良品であることを示し、最終的な接続位置の中心間距離(LPc-SPc)≧1μmまたは(LPc-SPc)≦-1μmである。
【0163】
表1に示した結果から、No.1および2のうち、シフト量d実験値が、3、6、および9μmのサンプルは、いずれも良好な結果となった。一方、No.3および4のうち、シフト量d実験値が、3および6μmのサンプルは良好であったが、シフト量d実験値が9μmのサンプルは不良であった。このNo.3および4のうち、シフト量d実験値が9μmのサンプルは、計算より許容されるシフト量dの最大値を超えている。つまり、No.3および4のシフト量9μmのサンプルは、セルフアライン効果が十分に発現しないことを示している。
【0164】
これらの実験結果は、すでに説明した(1)~(6)式に示した条件を満たすことで、セルフアライン効果が十分に発現されることを示している。つまり、これらの実験結果は、(1)~(6)式に示した条件を満たすことで、無加熱加圧工程において、素子側電極間中心LPcと駆動基板側電極間中心SPcとがほぼ一致する許容範囲内の位置に、マイクロELD11が移動することを示している。
【0165】
(実施例2)
実施例2は、はんだ層31となるはんだ材料の使用量を変えて、無加圧加熱により素子側電極12と駆動基板側電極21を接続した。
【0166】
実施例2で使用する駆動基板25(テスト基板200)およびマイクロLED15は、実施例1と同様である。駆動基板側電極21の大きさは、x=21μm、y=32μm、およびz=25μmである。また、はんだ層31の成膜時の高さh0は、表2に示す。
【0167】
観察結果を表2に示す。
【0168】
【表2】
【0169】
表2におけるシフト量d実験値は、上記表1同様に、X、Y、およびXYのいずれかの方向において、9μmとなっていることを示している。また、結果の○および×は、実施例1と同様である。
【0170】
はんだ体積Vは、成膜時における直方体形状のはんだ層31の高さh0および電極面積から得られる。
【0171】
表2に示した結果から、No.5~7は良好であるが、No.8は不良であった。この結果から、はんだ層31の成膜時の高さh0および電極面積から得られる体積Vは、上記(7)および(8)式を満たすことで、セルフアライメント効果がよく発揮されることがわかる。
【0172】
図49は、良品となった、マイクロLED15と駆動基板25の接続部分を示す図面代用断面SEM写真である。
【0173】
図50からわかるように、実施例による、無加圧加熱によってマイクロLED15を駆動基板25へ接続した構造は、図2を参照して説明したように、2個の電極の間に空隙部36ができている。そして、空隙部36は、2個の電極の間を通る中心線tに対して線対称な多角形状となっている。また、空隙部36はほぼ台形となっている。
【0174】
図50は、不良となった、マイクロLED15と駆動基板25の接続部分を示す図面代用断面SEM写真である。
【0175】
比較例では、加圧加熱によってマイクロLED15を駆動基板25へ接続したものである。
【0176】
図50からわかるように、比較例では、加圧加熱によってマイクロLED15を駆動基板25へ接続しているため、金属層35(はんだ材料)が、電極からはみ出している(図示した鎖線円Sd部分)。また、比較例では、図49と比較して、2個の電極の間の空隙部36は、台形ではなく、また、中心線に対して線対称な形状にもなっていない。
【0177】
[効果]
本実施形態および実施例によれば以下の効果を奏する。
【0178】
従来技術は、マイクロLED15と駆動基板25との接続に、加圧加熱工程によって行われている。このような加圧、加熱工程は、転写時に生じたマイクロLED15の駆動基板25上における位置ずれがそのまま残って、画像不良などの原因となっていた。また、不良となったマイクロLED15の交換は、膨大な時間がかかって、量産化の課題となっていた。
【0179】
本実施形態は、無加圧により加熱して、マイクロLED15と駆動基板25と接続する。このため、本実施形態では、無加圧で加熱されたはんだ層31の液状化によって表面張力が働くことになり、このはんだ層31の表面張力がセルフアライン効果をもたらして、マイクロLED15を所定の位置に整列させる。したがって、本実施形態は、マイクロLED15の位置ずれやバラツキが少なくなる。
【0180】
また、本実施形態は、駆動基板側電極21の間の距離zが素子側電極12の間の距離cよりも大きい配置とした。これにより、マイクロLED15の回転方向のずれも抑えることができる。
【0181】
また、本実施形態は、無加圧でマイクロLED15と駆動基板25とを接続するため、加圧によって生じるマイクロLED15の割れや欠けなどの欠損も防止することができる。
【0182】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。たとえば、はんだ層31は、素子側電極12ではなく、駆動基板側電極21の上に成膜して、マイクロLED15と駆動基板25とを接続することとしてもよいし、さらには素子側電極12と駆動基板側電極21の両方に成膜してもよい。
【0183】
また、素子側電極12および駆動基板側電極21の両方またはいずれか一方は、四角形に限定されない。たとえば、素子側電極12および駆動基板側電極21の両方またはいずれか一方は、たとえば、三角形や、五角形以上の多角形、または円形(楕円形を含む)などとしてもよく、その形状は限定されない。
【0184】
そのほか、本発明は特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0185】
10 ディスプレイ装置、
11 半導体チップ、
15 マイクロLED、
11a 上底、
12 素子側電極、
20 元基板、
25 駆動基板、
20a 下底、
21 駆動基板側電極、
31 はんだ層、
32 フラックス、
35 金属層、
35a 辺、
36 空隙部。
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