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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086246
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/14 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
H04N7/14 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200627
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】591114445
【氏名又は名称】株式会社乃村工藝社
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100141427
【弁理士】
【氏名又は名称】飯村 重樹
(72)【発明者】
【氏名】高野 次郎
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】吉武 聡一
(72)【発明者】
【氏名】金原 彩季
(72)【発明者】
【氏名】望月 美那
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直弥
(72)【発明者】
【氏名】徳保 佑希
(72)【発明者】
【氏名】森永 康夫
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA10
5C164GA07
5C164UB81S
5C164VA05P
5C164VA07P
5C164VA21S
(57)【要約】      (修正有)
【課題】オンライン環境を意識させない没入感が得られるコミュニケーションを実現可能なシステム及び方法を提供する。
【解決手段】通信システム10は、第1設備1に配備される立体的な投影面を有する第1スクリーン21と、第2設備2に配備される立体的な投影面を有する第2スクリーン31と、第1設備内の映像を取得する第1映像取得手段22及び取得した映像を第2設備2の第2スクリーン31に投影する第2投影手段33を有するとともに、第2設備内の映像を取得する第2映像取得手段32及び取得した映像を第1設備1の第1スクリーン21に投影する第1投影手段23を有する映像処理部と、第1設備内の音声を収音する第1収音手段24及び収音した音声を第2設備内で拡声する第2拡声手段26を有するとともに、第2設備内の音声を収音する第2収音手段34及び収音した音声を第1設備内で拡声する第1拡声手段26を有する音声処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1設備と第2設備との間で通信が可能な通信システムであって、
前記第1設備に配備される立体的な投影面を有する第1スクリーンと、
前記第2設備に配備される立体的な投影面を有する第2スクリーンと、
前記第1設備内の映像を取得する第1映像取得手段及び該第1映像取得手段で取得した前記第1設備内の前記映像を前記第2設備の前記第2スクリーンに投影する第2投影手段を有するとともに、前記第2設備内の映像を取得する第2映像取得手段及び該第2映像取得手段で取得した前記第2設備内の前記映像を前記第1設備の前記第1スクリーンに投影する第1投影手段を有する映像処理部と、
前記第1設備内の音声を収音する第1収音手段及び該第1収音手段で収音した前記第1設備内の前記音声を前記第2設備内で拡声する第2拡声手段を有するとともに、前記第2設備内の音声を収音する第2収音手段及び該第2収音手段で収音した前記第2設備内の音声を前記第1設備内で拡声する第1拡声手段を有する音声処理部と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記第1スクリーン及び前記第2スクリーンは、複数の投影面によって立体的に形成される、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1スクリーン及び前記第2スクリーンの複数の前記投影面は、
正面視で略矩形の正面、該正面の上縁から下方に折曲する上面、前記正面の下縁から上方に折曲する下面、前記正面の両側縁から前方に折曲して前記上面及び前記下面と連続する両側面を備える、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1映像取得手段が前記第1スクリーンの前記正面の中央位置に配置され、前記第2映像取得手段が前記第2スクリーンの前記正面の中央位置に配置される、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1スクリーンの複数の前記投影面に投影される前記第2設備内の映像及び前記第2スクリーンの複数の前記投影面に投影される前記第1設備内の映像のそれぞれの画角が調整される、
請求項2~4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1設備を使用する複数のユーザごとに前記第1収音手段及び前記第1拡声手段がそれぞれ配置され、前記第2設備を使用する複数のユーザごとに前記第2収音手段及び前記第2拡声手段がそれぞれ配置される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1収音手段と前記第1拡声手段との干渉により発生する鳴音及び前記第2収音手段と前記第2拡声手段との干渉により発生する鳴音のそれぞれのキャンセル処理が実行される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
立体的な投影面を有する第1スクリーンが配備される第1設備と立体的な投影面を有する第2スクリーンが配備される第2設備との間で通信が可能な通信システムを用いた通信方法であって、
前記第1設備内の映像を取得して取得した前記第1設備内の前記映像を前記第2設備の前記第2スクリーンに投影するとともに、前記第2設備内の映像を取得して取得した前記第2設備内の前記映像を前記第1設備の前記第1スクリーンに投影する映像処理と、
前記第1設備内の音声を収音して収音した前記第1設備内の前記音声を前記第2設備内で拡声するとともに、前記第2設備内の音声を収音して収音した前記第2設備内の前記音声を前記第1設備内で拡声する音声処理と、
を実行する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び通信方法、特に、第1設備と第2設備との間で通信が可能な通信システム及びこの通信システムを用いた通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の情報通信技術の進展等に伴って、コンピュータ資源を用いたオンライン上の会議や会合等が実施される機会が増大している。特に、近年の感染症拡大の防止対策として実施されることがある不要不急の外出の取りやめの要請に応じる等の観点から、オンライン環境でコミュニケーションをとることができるオンラインツールの需要が急速に増大している。
【0003】
特許文献1には、ネットワークを介して互いに接続された複数の会議用端末を備え、会議を識別するための識別コードに基づいて、複数の会議用端末を用いてオンライン環境で会議を実施することができるオンライン会議システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-111608公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のオンラインツールに関する技術で実現されるコミュニケーションについては、映像や音声によって効率的かつ適切な情報の伝達及び交換を行うことができるコミュニケーションが求められることは当然のことながら、近年は、オンライン環境であることを意識させないで実空間でコミュニケーションをとっているかのようなコミュニケーションも求められることがある。
【0006】
一方、この種のオンラインツールに関する技術では、オンラインツールのユーザが使用する既存のコンピュータ資源が用いられてオンライン上でのコミュニケーションが実現されることから、ユーザが使用する既存のコンピュータ資源に依拠して情報の伝達及び交換を行うことになる。
【0007】
そうとすれば、ユーザが使用するコンピュータ資源によっては、オンライン環境であることを意識させないで実空間でコミュニケーションをとっているかのようなコミュニケーションを実現することができないことも想定される。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オンライン環境であることを意識することがないような没入感が得られるコミュニケーションを実現することができる通信システム及び通信方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る通信システムは、第1設備と第2設備との間で通信が可能な通信システムであって、第1設備に配備される立体的な投影面を有する第1スクリーンと、第2設備に配備される立体的な投影面を有する第2スクリーンと、第1設備内の映像を取得する第1映像取得手段及び第1映像取得手段で取得した第1設備内の映像を第2設備の第2スクリーンに投影する第2投影手段を有するとともに、第2設備内の映像を取得する第2映像取得手段及び第2映像取得手段で取得した第2設備内の映像を第1設備の第1スクリーンに投影する第1投影手段を有する映像処理部と、第1設備内の音声を収音する第1収音手段及び第1収音手段で収音した第1設備内の音声を第2設備内で拡声する第2拡声手段を有するとともに、第2設備内の音声を収音する第2収音手段及び第2収音手段で収音した第2設備内の音声を第1設備内で拡声する第1拡声手段を有する音声処理部とを備えるものである。
【0010】
これによれば、第1スクリーンには、立体的な投影面を有する第1スクリーンに応じた実空間に近い第2設備内の自然な映像が投影され、第2スクリーンにも、立体的な投影面を有する第2スクリーンに応じた実空間に近い第1設備内の自然な映像が投影される。
【0011】
さらに、第1設備の第1収音手段が収音した第1設備内の音声が第2設備の第2拡声手段で拡声され、かつ第2設備の第2収音手段が収音した第2設備内の音声が第1設備の第1収音手段で拡声される。
【0012】
したがって、第1設備を使用するユーザ及び第2設備を使用するユーザが、互いにオンライン環境であることを意識することがなく、実空間でコミュニケーションを行っているかのような没入感を共有できることが期待される。
【0013】
この通信システムの第1スクリーン及び第2スクリーンは、複数の投影面によって立体的に形成され、複数の投影面は、正面視で略矩形の正面、正面の上縁から下方に折曲する上面、正面の下縁から上方に折曲する下面、正面の両側縁から前方に折曲して上面及び下面と連続する両側面を備えるものである。
【0014】
通信システムは、第1映像取得手段が第1スクリーンの正面の中央位置に配置され、第2映像取得手段が第2スクリーンの正面の中央位置に配置されるものである。
【0015】
通信システムは、第1スクリーンの複数の投影面に投影される第2設備内の映像及び第2スクリーンの複数の投影面に投影される第1設備内の映像のそれぞれの画角が調整されるものである。
【0016】
この通信システムは、第1設備を使用する複数のユーザごとに第1収音手段及び第1拡声手段がそれぞれ配置され、第2設備を使用する複数のユーザごとに第2収音手段及び第2拡声手段がそれぞれ配置されるものである。
【0017】
さらに、通信システムでは、第1収音手段と第1拡声手段との干渉により発生する鳴音及び第2収音手段と第2拡声手段との干渉により発生する鳴音のそれぞれのキャンセル処理が実行されるものである。
【0018】
上記目的を達成するための本発明に係る通信方法は、立体的な投影面を有する
第1スクリーンが配備される第1設備と立体的な投影面を有する第2スクリーンが配備される第2設備との間で通信が可能な通信システムを用いた通信方法であって、第1設備内の映像を取得して取得した第1設備内の映像を第2設備の第2スクリーンに投影するとともに、第2設備内の映像を取得して取得した第2設備内の映像を第1設備の第1スクリーンに投影する映像処理と、第1設備内の音声を収音して収音した第1設備内の音声を第2設備内で拡声するとともに、第2設備内の音声を収音して収音した第2設備内の音声を第1設備内で拡声する音声処理とを実行するものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、オンライン環境であることを意識することがなく、実空間でコミュニケーションを行っているかのような没入感を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成の概略を説明するブロック図である。
図2】同じく、本実施の形態に係る通信システムの第1設備及び第2設備の構成の概略を説明する図である。
図3】同じく、本実施の形態に係る通信システムの第1設備に配備される第1スクリーンの構成の概略を説明する図である。
図4】同じく、本実施の形態に係る通信システムの第1設に配備される第1スクリーンの構成の概略を説明する図である。
図5】同じく、本実施の形態に係る通信システムの構成の概略を説明する模式図である。
図6】同じく、本実施の形態に係る通信システムの第1制御装置の構成の概略を説明するブロック図である。
図7】同じく、本実施の形態に係る通信システムの通信プログラムの構成の概略を説明するブロック図である。
図8】同じく、本実施の形態に係る通信システムの処理の概略を説明するブロック図である。
図9】同じく、本実施の形態に係る通信システムの処理の概略を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図1図9に基づいて、本発明の実施の形態に係る通信システムについて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る通信システムの構成の概略を説明する図であり、図2は、通信システムによって通信が可能となる第1設備及び第2設備の構成の概略を説明する図である。
【0023】
図1で示すように、通信システム10は、インターネット網等のネットワークNを介して接続される第1設備1と第2設備2との間での通信を実現するものである。
【0024】
本実施の形態では、第1設備1を使用する複数のユーザU1a、U1bと第2設備2を使用する複数のユーザU2a、U2bとが通信システム10を用いて通信を行う。
【0025】
この第1設備1及び第2設備2は、本実施の形態では、例えばオフィスビルや商業施設等の各種施設のフロアの一部が、図2で示すようなパイプ材100aで形成されるラック100によって区画されて構成され、第1設備1と第2設備2とが互いに異なる施設、あるいは同じ施設内であっても例えば異なるフロアである等のように、互いに離間した任意の場所に配置される。
【0026】
本実施の形態に係る通信システム10は、第1設備に配備される第1スクリーン21、第1映像取得手段である第1カメラ22、第1投影手段である第1プロジェクタ23、第1収音手段である第1マイク24、第1アンプ25、第1拡声手段である第1スピーカ26及び第1制御装置27を備える。
【0027】
さらに、通信システム10は、第2設備に配備される第2スクリーン31、第2映像取得手段である第2カメラ32、第2投影手段である第2プロジェクタ33、第2収音手段である第2マイク34、第2アンプ35、第2拡声手段である第2スピーカ36及び第2制御装置37を備える。
【0028】
なお、本実施の形態では、第1設備1の第1スクリーン21と第2設備2の第2スクリーン31、第1設備1の第1カメラ22と第2設備2の第2カメラ32、第1設備1の第1プロジェクタ23と第2設備2の第2プロジェクタ33、第1設備1の第1マイク24と第2設備2の第2マイク34、第1設備1の第1アンプ25と第2設備2の第2アンプ35、第1設備1の第1スピーカ26と第2設備2の第2スピーカ36、及び第1設備1の第1制御装置27と第2設備2の第2制御装置37とは同一の構成であって、第1設備1と第2設備2とは同様の構成を有することから、主に第1設備1の構成を中心として説明する。
【0029】
図3及び図4は、第1スクリーン21の構成の概略を説明する図である。この第1スクリーン21は、本実施の形態では、図3の矢線Aで示す奥行き方向に凹む凹状となるように、複数の投影面によって立体的に形成される。
【0030】
この第1スクリーン21は、本実施の形態では、奥行き方向Aからみた正面視で略矩形の正面21A、正面21Aの上縁21Aaから前縁21Ba側が下方に折曲する上面21B、正面21Aの下縁21Abから前縁21Ca側が上方に折曲する下面21C、正面21Aの両側縁21Ac、21Acから前縁21Da、21Da側が前方に折曲して上面21B及び下面21Cと連続する両側面21D、21Dの五面からなる投影面を備える。
【0031】
図1及び図2で示す第1カメラ22は、本実施の形態では、第1設備1内の映像を第1映像として取得する装置であって、例えば、第1設備1の空間の背景や、第1設備1を使用するユーザU1a、U1bの顔の表情や動作を第1映像として取得する。
【0032】
この第1カメラ22は、第1スクリーン21に配置されるものであって、本実施の形態では、図4で示すように、第1スクリーン21の正面21Aの対角線dの交点、すなわち正面21Aの中央位置に配置されるものであるが、第1スクリーン21に配置されるのであれば、正面21Aの中央位置に限られるものではなく、第1スクリーン21の任意の部位に配置されるものであってよい。
【0033】
図1及び図2で示す第1プロジェクタ23は、本実施の形態では、第2設備2の第2カメラ32が第2映像として取得した第2設備2内の映像を第1スクリーン21に投影する装置であって、例えば、第2設備2の空間の背景や、第2設備2を使用するユーザU2a、U2bの顔の表情や動作を投影する。
【0034】
第1マイク24は、本実施の形態では、第1設備1内の音声を第1音声として収音する装置であって、例えば、第1設備1内の環境音や、第1設備1を使用するユーザU1a、U1bの声を第1音声として取得する。
【0035】
第1アンプ25は、本実施の形態では、第2設備2の第2マイク34が第2音声として収音した音声を増幅する装置であって、第1スピーカ26は、第1アンプ25が増幅した第2音声を第1設備1内で拡声する装置である。
【0036】
この第1スピーカ26は、本実施の形態では、例えば、第2設備2内の環境音や、第2設備2を使用するユーザU2a、U2bの声を第2音声として拡声する。
【0037】
図5は、第1設備1の第1スクリーン21が配備される部分を上方から見た場合における第1カメラ22、第1プロジェクタ23、第1マイク24及び第1スピーカ26の配置を模式的に示す図である。
【0038】
図示のように、奥行き方向Aの後方で第1スクリーン21の正面21Aの中央位置に配置される第1カメラ22と対向する位置であって、図2で示すラック100の上部には、第1プロジェクタ23が配置される。
【0039】
一方、第1スクリーン21における奥行き方向Aの後方で第1スクリーン21の下面21Cの上であって、下面21Cの前縁21Ca側には、第1マイク24が配置される。
【0040】
さらに、第1スクリーン21における奥行き方向Aの前方で第1スクリーン21の正面21Aに近接する位置であって、第1スクリーン21の下面21Cの上には、第1スピーカ26が配置される。
【0041】
本実施の形態では、第1マイク24及び第1スピーカ26は、第1設備1を使用するユーザU1a、U1bごとにそれぞれ配置される。
【0042】
図1で示す第1制御装置27は、本実施の形態では、第1カメラ22、第1プロジェクタ23、第1マイク24、第1アンプ25及び第1スピーカ26を制御する装置であって、例えばコンピュータによって実装される。
【0043】
図6は、第1制御装置27の構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第1制御装置27は、プロセッサ27a、メモリ27b、ストレージ27c、送受信部27d及び入出力部27eを主要構成として備え、これらが互いにバス27fを介して電気的に接続される。
【0044】
プロセッサ27aは、第1制御装置27の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、アプリケーションプログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0045】
このプロセッサ27aは、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、後述するストレージ27cに格納されてメモリ27bに展開されたアプリケーションプログラムを実行して各処理を行う。
【0046】
メモリ27bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置として実装される。
【0047】
このメモリ27bは、プロセッサ27aの作業領域として使用される一方、第1制御装置27の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0048】
ストレージ27cは、アプリケーションプログラムや各種の処理に用いられるデータ等が格納されている。本実施の形態では、後述する通信プログラムが格納される。
【0049】
送受信部27dは、第1制御装置27をネットワークNに接続する。この送受信部27dは、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0050】
入出力部27eには、必要に応じて、キーボードやマウスといった情報入力機器やディスプレイ等の出力機器が接続される。本実施の形態では、第1カメラ22、第1プロジェクタ23、第1マイク24、第1アンプ25及び第1スピーカ26が接続される。
【0051】
バス27fは、接続したプロセッサ27a、メモリ27b、ストレージ27c、送受信部27d及び入出力部27eの間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0052】
図7は、第1制御装置27のストレージ27cに格納される通信プログラムの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、通信プログラム40は、本実施の形態では、第1制御装置27を映像制御部41及び音声制御部42として機能させるプログラムである。
【0053】
映像制御部41は、本実施の形態では、第1カメラ22及び第1プロジェクタ23での映像処理に際して、第1制御S1及び第2制御S2を実行するものである。
【0054】
第1制御S1は、本実施の形態では、第1カメラ22が取得した第1映像を第2制御装置37に送信し、第2カメラ32が取得した第2映像を取得し、かつ取得した第2映像を第1プロジェクタ23が第1スクリーン21に投影するといった制御を実行する。
【0055】
一方、第2制御S2は、本実施の形態では、第2設備2の第2プロジェクタ33が第1画像を第2スクリーン31に投影する際に発生する第1映像の歪みを補正して、画角の調整を実行する。
【0056】
本実施の形態では、第2スクリーン31の上面31B、下面31C及び両側面31D、31Dに投影される第1映像に歪みが発生することから、これらの投影面に投影される第1映像の画角を調整する。
【0057】
画角の調整は、例えば、第1映像の一部を抽出して、抽出した部分を投影面に応じて拡大あるいは縮小する等の処理を施すことによって実行する。
【0058】
音声制御部42は、本実施の形態では、第1マイク24、第1アンプ25及び第1スピーカ26での音声処理に際して、第1制御S1及び第2制御S2を実行するものである。
【0059】
第1制御S3は、本実施の形態では、第1マイク24が収音した第1音声を第2制御装置37に送信し、第2マイク34が収音した第2音声を取得し、かつ取得した第2音声を第1スピーカ26で拡声するといった制御を実行する。
【0060】
一方、第2制御S4は、本実施の形態では、第1マイク24と第1スピーカ26とが干渉することによって発生する鳴音であるハウリングをキャンセルして、ハウリングの除去あるいはハウリングの発生を抑制する。
【0061】
ハウリングのキャンセルは、例えば、第1マイク24が収音した第1スピーカ26から拡声された第2音声に含まれるハウリングを除去する、あるいは第1スピーカ26から拡声された第2音声が第1マイク24によって収音されないようにすることによって実行する。
【0062】
これにより、第1マイク24による第1音声の収音と第1スピーカ26による第2音声の拡声とが錯綜して第1マイク24と第1スピーカ26とが干渉することが抑制されることから、第1設備1を使用するユーザU1a、U1bと第2設備2を使用するユーザU2a、U2bとの間の会話が円滑に行われる。
【0063】
さらに、本実施の形態では、第1マイク24及び第1スピーカ26が第1設備1を使用するユーザU1a、U1bごとにそれぞれ配置されることから、ユーザU1a、U1bの声がそれぞれ第1音声として収音され、かつ第2設備2を使用するユーザU2a、U2bの声がそれぞれ第2音声としてユーザU1a、U1bのそれぞれに拡声される。
【0064】
したがって、例えば図8で示すように、第1設備1のユーザU1aとこのユーザU1aが投影される第2スクリーン31を介してユーザU1aと対面する第2設備2のユーザU2aとの間の会話と、第1設備1のユーザU1bとこのユーザU1bが投影される第2スクリーン31を介してユーザU1bと対面する第2設備2のユーザU2bとの間の会話とが互いに相紛れることがない。
【0065】
その結果、ユーザU1aとユーザU2aとの間の会話が、ユーザU1b及びユーザU2bにとって耳障りとなって、ユーザU1bとユーザU2bとの間の会話が阻害されたり、ユーザU1bとユーザU2bとの間の会話が、ユーザU1a及びユーザU2aにとって耳障りとなって、ユーザU1aとユーザU2aとの間の会話が阻害されたりすることが抑制される。
【0066】
一方、第1設備1のユーザU1aとこのユーザU1aが投影される第2スクリーン31を介してユーザU1aとはす向かいとなる第2設備2のユーザU2bとの間の会話と、第1設備1のユーザU1bとこのユーザU1bが投影される第2スクリーン31を介してユーザU1bとはす向かいとなる第2設備2のユーザU2aとの間の会話とが互いに相紛れることがない。
【0067】
その結果、ユーザU1aとユーザU2bとの間の会話が、ユーザU1b及びユーザU2aにとって耳障りとなって、ユーザU1bとユーザU2aとの間の会話が阻害されたり、ユーザU1bとユーザU2aとの間の会話が、ユーザU1a及びユーザU2bにとって耳障りとなって、ユーザU1aとユーザU2bとの間の会話が阻害されたりすることが抑制される。
【0068】
したがって、第1設備1と第2設備2との間の音声通信において、ユーザU1a、U1bとユーザU2a、U2bとが実空間で会話をしているかのようなコミュニケーション環境を生み出すことができる。
【0069】
これら第1カメラ22、第1プロジェクタ23及び第1制御装置27の通信プログラム40における映像制御部41によって、本実施の形態では映像処理部が構成され、第1マイク24、第1アンプ25、第1スピーカ26及び第1制御装置27の通信プログラム40における音声制御部42によって、本実施の形態では音声処理部が構成される。
【0070】
次に、本実施の形態に係る通信システム10の処理の概略について説明する。
【0071】
図9は、本実施の形態に係る通信システムの処理の概略を説明するフローチャートである。図示のように、まず、ステップS10において、第1カメラ22が第1設備1において第1映像を取得する。
【0072】
本実施の形態では、第1カメラ22は、第1スクリーン21の正面21Aの中央位置に配置されることから、第1スクリーン21の正面21Aを向いた目線のユーザU1a及びユーザU1bの映像を第1映像として取得する。
【0073】
続いて、ステップS11において、第1制御装置27が、取得した第1映像の画角を調整し、ステップS12において、第1制御装置27が第1映像を第2制御装置37に送信する。
【0074】
さらに、ステップS13において、第2プロジェクタ33が、第2設備2の第2スクリーン31に第1映像を投影する。
【0075】
本実施の形態では、第1スクリーン21の正面21Aを向いた目線のユーザU1a及びユーザU1bの映像を第1映像として投影することから、第1映像におけるユーザU1a及びユーザU1bの目線と、第2スクリーン31の正面31Aを見るユーザU2a及びユーザU2bの目線とが合う。
【0076】
続いて、ステップS14において、第2カメラ32が第2設備2において第2映像を取得する。
【0077】
本実施の形態では、第2カメラ32は、第2スクリーン31の正面31Aの中央位置に配置されることから、第2スクリーン31の正面31Aを向いた目線のユーザU2a及びユーザU2bの映像を第2映像として取得する。
【0078】
続いて、ステップS15において、第2制御装置37が、取得した第2映像の画角を調整し、ステップS16において、第2制御装置37が第2映像を第1制御装置27に送信する。
【0079】
さらに、ステップS17において、第1プロジェクタ23が、第1設備1の第1スクリーン21に第2映像を投影する。
【0080】
本実施の形態では、第2スクリーン31の正面31Aを向いた目線のユーザU2a及びユーザU2bの映像を第2映像として投影することから、第2映像におけるユーザU2a及びユーザU2bの目線と、第1スクリーン21の正面21Aを見るユーザU1a及びユーザU1bの目線とが合う。
【0081】
一方、ステップS20において、第1マイク24が第1設備1において第1音声を収音し、ステップS21において、第1制御装置27が第1音声を第2制御装置37に送信する。
【0082】
さらに、ステップS22において、第2スピーカ36が、第2設備2において第1音声を拡声するとともに、ステップS23において、第2マイク34と第2スピーカ36とが干渉することによって発生するハウリングをキャンセルする。
【0083】
続いて、ステップS24において、第2マイク34が第2設備2において第2音声を収音し、ステップS25において、第2制御装置37が第2音声を第1制御装置27に送信する。
【0084】
さらに、ステップS26において、第1スピーカ26が、第1設備1において第2音声を拡声するとともに、ステップS27において、第1マイク24と第1スピーカ26とが干渉することによって発生するハウリングをキャンセルする。
【0085】
このように、第1スクリーン21には、複数の投影面によって立体的な凹状に形成される第1スクリーン21に応じた奥行きのある自然な第2映像が投影され、第2スクリーン31にも、複数の投影面によって立体的な凹状に形成される第2スクリーン31に応じた奥行きのある自然な第1映像が投影される。
【0086】
さらに、第1設備1の第1マイク24が収音した第1音声が第2設備2の第2スピーカ36で拡声され、かつ第2設備2の第2マイク34が収音した第2音声が第1設備1の第1スピーカ26で拡声される。
【0087】
したがって、第1設備1を使用するユーザU1a、U1b及び第2設備2を使用するユーザU2a、U2bが互いにオンライン環境であることを意識することがなく、実空間でコミュニケーションを行っているかのような没入感を共有できることが期待される。
【0088】
特に、本実施の形態では、第1スクリーン21及び第2スクリーン31が正面21A(31A)、上面21B(31B)、下面21C(31C)、両側面21D(31D)、21D(31D)の五面からなる投影面を備えることから、第1映像(第2映像)が投影されることによって、より立体的で実空間に近い環境が実現される。
【0089】
さらに、本実施の形態では、第1スクリーン21及び第2スクリーン31を介して、第1設備1のユーザU1a、U1bの目線と第2設備2のユーザU2a、U2bの目線とが合うことから、各ユーザ間でのコミュニケーションの質が向上することが想定される。
【0090】
このような通信システム10は、例えば、遠方の友人や家族等との会食、病院や介護施設等に入居する家族との面会、いわゆるテレワークの際の会議、面接や各種面談、あるいはスクーリングや各種のレッスン等といった種々の目的で利用することが可能である。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0092】
上記実施の形態では、第1設備1及び第2設備2がパイプ材100aで形成されるラック100によって構成される場合を説明したが、例えばパーテーション等で間仕切りされた小室(ブース)として構成されてもよい。
【0093】
更には、第1設備1及び第2設備2は、各種施設のフロアの一部がラック100や小室(ブース)として区画されないで、例えば第1スクリーン21や第2スクリーン31等が各種施設のフロアの任意の領域に配備されることによって構成されてもよい。
【0094】
上記実施の形態では、音声制御部42の第2制御S2でハウリングがキャンセルされる場合を説明したが、ハウリングのキャンセルは、例えばデジタルシグナルプロセッサ等のハードウェア構成が用いられて実行されるものであってもよい。
【0095】
上記実施の形態では、第1映像には第1設備1の背景が含まれ、第2映像には第2設備2の背景が含まれる場合を説明したが、いわゆるバーチャル背景に差し替えられるように構成してもよい。
【0096】
上記実施の形態では、第1設備1及び第2設備2にそれぞれ第1スクリーン21及び第2スクリーン31が配備される場合を説明したが、第1スクリーン21及び第2スクリーン31とは別途で、第1設備1及び第2設備2にそれぞれサブスクリーンが配備されてもよい。
【0097】
このサブスクリーンに同じ映像(例えば車窓から見える風景の映像)が投影されることによって、ユーザの没入感が更に向上することが想定される。
【0098】
ところで、通信システム10の第1カメラ22及び第2カメラ32には、モーションセンサ等の画像認識技術が搭載されて、この画像認識技術によってユーザの動作が認識されて通信システム10が操作されるように構成してもよい。
【0099】
更に、通信システム10には、同時通訳機能や議事録の自動作成機能等が搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 第1設備
2 第2設備
10 通信システム
21 第1スクリーン
22 第1カメラ(第1映像取得手段)
23 第1プロジェクタ(第1投影手段)
24 第1マイク(第1収音手段)
26 第1スピーカ(第1拡声手段)
27 第1制御装置
31 第2スクリーン
32 第2カメラ(第2映像取得手段)
33 第2プロジェクタ(第2投影手段)
34 第2マイク(第2収音手段)
36 第2スピーカ(第2拡声手段)
37 第2制御装置
40 通信プログラム
41 映像制御部
42 音声制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9