(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086265
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20230615BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200658
(22)【出願日】2021-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 将良
(72)【発明者】
【氏名】泉山 真輝
(72)【発明者】
【氏名】森川 晶代
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA14
(57)【要約】
【課題】デジタルマネーに関するサービスの利用を促進すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、チャージ部と、払出部とを有する。チャージ部は、チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行する。払出部は、予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の決済口座の残高が予め規定される上限以下となるようにサービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行するチャージ部と、
予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限以下となるように前記サービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する払出部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記残高が前記上限を超える場合、前記サービス利用者に対するアラートを通知する通知部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記払出部は、
前記アラートが通知された後、所定の条件を満たした場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記払出部は、
前記サービス利用者からの出金指示があった場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記払出部は、
前記残高が前記上限を超えた状態で予め規定する払出猶予期間を経過した場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記払出部は、
前記残高からの取引が予定されている場合、前記上限を変更し、前記残高が変更後の上限を超える場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記払出部は、
前記残高のうち前記上限を超える分に相当する額について前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記払出部は、
前記残高が前記上限を超える場合であっても、前記残高からの取引が予定されている場合、前記払出を実行しない
ことを特徴とする請求項2~7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行するチャージ工程と、
予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限以下となるように前記サービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する払出工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行するチャージ手順と、
予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限以下となるように前記サービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する払出手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に企業と個人との間の商取引におけるキャッシュレス決済手段が広く消費者に認知されているが、特に、その利便性から、ユーザ個人が所有するスマートフォンなどのユーザ端末を用いてオンラインで行われる電子決済サービスが広く消費者の間に浸透しつつある。
【0003】
また、昨今、政府では、このような電子決済サービスにおいて、電子マネーや仮想通貨といったデジタルマネーにより給与の支払いを行う、所謂「給与のデジタル払い」の導入が検討されており、デジタルマネーに関するサービスのさらなる普及が見込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術は、デジタルマネーに関するサービスの利用を促進する上で改善の余地がある。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、デジタルマネーに関するサービスの利用を促進できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る情報処理装置は、チャージ部と、払出部とを有する。チャージ部は、チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行する。払出部は、予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の決済口座の残高が予め規定される上限以下となるようにサービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、デジタルマネーに関するサービスの利用を促進できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るサービス提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る口座情報の概要を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る取引予定情報の概要を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るチャージ指示の概要を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る通知部および払出部により実行される処理の一例を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るサービス提供装置の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態または変形例に係るサービス提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「本実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この本実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.本実施形態に係る情報処理の一例〕
以下、
図1を用いて、本実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システムSYSは、チャージ元装置10と、チャージ先装置20と、銀行システム30と、サービス提供装置100とを含む。なお、
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSYSの一例を示しており、チャージ元装置10のユーザXが利用する銀行により運営及び管理される銀行システムなど、
図1には示されていない他の装置が含まれていてもよい。
【0013】
また、以下の説明において、チャージ元装置10をユーザXと表記して説明する場合がある。すなわち、ユーザXをチャージ元装置10と読み替えることができる。同様に、以下の説明において、チャージ先装置20をユーザYと表記して説明する場合がある。すなわち、ユーザYをチャージ先装置20と読み替えることができる。また、同様に、以下の説明において、サービス提供装置100を事業者Zと表記して説明する場合がある。すなわち、事業者Zをサービス提供装置100と読み替えることができる。
【0014】
チャージ元装置10、チャージ先装置20、銀行システム30、及びサービス提供装置100は、ネットワークN(たとえば、
図2参照)に接続される。チャージ元装置10、チャージ先装置20、銀行システム30、及びサービス提供装置100は、ネットワークNを通じて、相互に通信できる。
【0015】
チャージ元装置10は、事業者Zにより提供されるデジタルマネー(電子マネー)に関する各種サービスを利用するユーザXが使用する情報処理装置である。なお、デジタルマネーとは、たとえば、各種企業が独自に用いるポイントや通貨などであってもよく、日本円やドルなどの国家により提供される貨幣を電子的に取引可能としたものであってもよい。また、チャージ先装置20は、事業者Zにより提供されるデジタルマネーに関する各種サービスを利用するユーザYが使用する情報処理装置である。
【0016】
図1に示す情報処理システムSYSによる情報処理が適用される典型的な想定場面として、所定の事業を営む事業者であるユーザXが、各種サービスの1つとして提供されるマネーチャージサービスを利用して、従業員であるユーザYに対し、デジタルマネーによる給与の支払いを行う場合が考えらえる。
【0017】
チャージ元装置10およびチャージ先装置20は、たとえば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)や、ウェアラブル端末などの情報処理装置により実現される。なお、チャージ元装置10は、ユーザXが運営および管理を行う単独のサーバ装置やワークステーション、複数のサーバ装置及び複数のストレージ装置が協働して動作するクラウドシステムなどにより実現されてもよい。
【0018】
また、チャージ元装置10およびチャージ先装置20は、所定の情報処理を実現する制御情報をサービス提供装置100から受け取った場合には、制御情報に従って情報処理を実現する。ここで、制御情報は、たとえば、JavaScript(登録商標)等のスクリプト言語やCSS(Cascading Style Sheets)等のスタイルシート言語、Java(登録商標)等のプログラミング言語、HTML(HyperText Markup Language)などのマークアップ言語などにより記述される。なお、本実施形態では、サービス提供装置100から配信される所定のアプリケーションそのものを制御情報とみなしてもよい。
【0019】
銀行システム30は、ユーザYが事業者Zに対して残高の払出先として指定する銀行により運営および管理される銀行システムである。銀行システム30は、たとえば、単独のサーバ装置やワークステーション、複数のサーバ装置及び複数のストレージ装置が協働して動作するクラウドシステムなどにより実現される。
【0020】
たとえば、銀行システム30は、銀行口座の利用履歴として、各カード会社や、各種サービスの提供者による銀行口座からの引き落としに関する情報(たとえば、引き落とした金額や、引き落とした日時など)や、現在の口座情報(口座残高など)などを、銀行利用者に対応付けて管理する。なお、銀行利用者には、事業者Zにより提供されるデジタルマネーに関する各種サービスを利用するユーザYが含まれる。
【0021】
サービス提供装置100は、デジタルマネーに関する各種サービスを提供する事業を営む事業者Zにより運営および管理される情報処理装置である。サービス提供装置100は、単独のサーバ装置やワークステーション、複数のサーバ装置及び複数のストレージ装置が協働して動作するクラウドシステムなどにより実現される。
【0022】
サービス提供装置100が提供する各種サービスには、デジタルマネーを用いた決済サービスや、デジタルマネーを所望のチャージ先に移動させるマネーチャージサービスなどが含まれる。なお、サービス提供装置100は、提供する各種サービスごとに、情報処理の主体が物理的または機能的に分散されている装置又はシステムとして構成されていてもよい。
【0023】
サービス提供装置100は、上述の各種サービスの提供に伴い、各サービス利用者が所有するデジタルマネーの決済口座に対する入出金を管理する。サービス提供装置100は、サービス利用者からのチャージ指示に従って、決済口座間においてデジタルマネーの移動を行うことで、上述のマネーチャージサービスを実現する。
【0024】
このようなサービス提供装置100は、上述の各種サービスの提供に関連して、本実施形態に係る情報処理を実行する。ユーザXがユーザYに対し、デジタルマネーにより給与の支払いを行う場合を題材として、本実施形態に係る情報処理について事例を交えつつ説明する。
【0025】
図1に示すように、ユーザXは、ユーザYへのチャージ指示をサービス提供装置100に送信する(ステップS11)。
【0026】
ユーザXにより送信されるチャージ指示は、たとえば、「チャージ元ID」の項目と、「チャージ先ID」の項目と、「予定額」の項目と、「予定日」の項目とで構成される。
【0027】
「チャージ先ID」の項目には、チャージ先のアカウントを示す情報が記録される。
図1に示す場合、「チャージ元ID」の項目には、ユーザXのアカウントを示す情報が記録されることになる。
【0028】
「チャージ先ID」の項目には、チャージ先のアカウントを示す情報が記録される。
図1に示す場合、「チャージ先ID」の項目には、ユーザYのアカウントを示す情報が記録されることになる。
【0029】
「予定額」の項目には、チャージ先へのチャージ予定額を示す情報が記録される。
図1に示す場合、「予定額」の項目には、ユーザYに対して支払われる給与の金額を示す情報が記録されることになる。
【0030】
「予定日」の項目には、チャージ先へのチャージ予定日を示す情報が記録される。
図1に示す場合、「予定日」の項目には、ユーザYに対する給与の支払い日を示す情報が記録されることになる。
【0031】
なお、チャージ指示には、チャージの目的を示す「名目」の項目が含まれていてもよい。この場合、「名目」の項目には、給与というチャージの目的が記録されることになる。
【0032】
また、ユーザXは、チャージ指示の送信後、事業者Zから通知された銀行口座に対して、チャージ指示に充当するための原資を滞りなく入金する。たとえば、チャージ元装置10は、取引銀行に対して、事業者Zの銀行口座に対する入金指示を送信する。
【0033】
他方、サービス提供装置100は、ユーザXから受信したチャージ指示に従って、チャージ処理を実行する(ステップS12)。
【0034】
たとえば、サービス提供装置100は、チャージ指示の受信に応じて、チャージ指示に充当するための原資の入金先(振込先)として、事業者Zが所有する銀行口座の情報(口座番号)をチャージ指示の送信元であるユーザXに通知できる。なお、事業者Zは、チャージ指示において指定されたチャージ予定額を記載した電子的な請求書をユーザXに発行し、発行した請求書の中に入金先の口座の情報を含めてもよい。
【0035】
そして、サービス提供装置100は、ユーザXからの入金を確認できたことを条件として、ユーザYへのチャージを実行する。具体的には、サービス提供装置100は、取引銀行からの入金通知に基づいて、ユーザXのアカウントに紐づく決済口座の残高を加算する。次に、サービス提供装置100は、チャージ指示において指定されたチャージ先であるユーザYのアカウントに紐づく決済口座を特定する。次に、サービス提供装置100は、特定した決済口座に対して、ユーザXのアカウントに紐づく決済口座の残高から、チャージ指示において指定されたチャージ予定額に対応するデジタルマネーを移動する。
【0036】
チャージ処理の実行後、サービス提供装置100は、ユーザYのアカウントに紐づく決済口座のチャージ後の残高が予め規定される上限(所定額)を超えるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0037】
そして、サービス提供装置100は、ユーザYのアカウントに紐づく決済口座のチャージ後の残高が予め規定される上限(所定額)を超える場合、ユーザYに対して、アラートを通知する(ステップS14)。たとえば、サービス提供装置100は、ユーザYと事業者Zとの間で予め取り決められた通知方法でアラートを通知できる。通知方法には、プッシュ通知やメール通知などの任意の方法を採用し得る。
【0038】
たとえば、
図1に示すように、サービス提供装置100は、マネーチャージサービスによるチャージにより残高が上限を超えている旨、及び、規定期日までに残高が上限以下にならなければ、指定口座への払出を行う旨を通知する。これにより、サービス提供装置100は、残高の払出が行われる可能性をサービス利用者に予め認識させることができる。また、サービス提供装置100は、ユーザYに通知するアラートに対して、直感的な操作で残高の出金を行うためのリンク情報を含めることができる。なお、リンク情報は、
図1に示すように、チャージ先装置20において、リンク情報に対する操作に応じて行われる処理の内容をユーザYが視認可能な文字列として表示されてもよい。なお、サービス提供装置100は、チャージ後の残高が上限を超える場合であっても、チャージ後の残高からの取引が予定されている場合、アラートを通知しないようにしてもよい。
【0039】
アラートを通知した後、サービス提供装置100は、ユーザYに紐付く決済口座の残高(以下、「マネー残高」と称する。)からの取引の予定を確認する(ステップS15)。対象となる取引は、月1回などの予め定められた所定の頻度で発生する蓋然性が高い取引の予定であり、たとえば、リボルビング払いを含むクレジットカードの利用代金の支払いなどの各種債務の支払いや、金融商品の買い付け(積立)や、住宅ローンの支払や、管理費の支払や、公共料金または教育サービスなどの各種引落しなどが想定される。
【0040】
そして、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高からの取引が予定されていなければ、予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、ユーザYのマネー残高が所定額以下となるように、ユーザYが予め指定する銀行口座に対する払出を実行する(ステップS16)。
【0041】
具体例を示せば、サービス提供装置100は、ユーザYからの出金指示があった場合、ユーザYからの出金指示に応じた払出を実行する。あるいは、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高が上限を超えた状態で予め規定する払出猶予期間を経過した場合、強制的に払出を実行する。予め規定する払出猶予期間は、たとえば、法令(たとえば、資金決済法)に定められている滞留規制を順守可能な範囲内で予め規定される。
【0042】
一方、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高からの取引が予定されている場合、ユーザYのマネー残高の払出を実行しない。すなわち、サービス提供装置100は、マネー残高からの取引が予定されている場合に限り、ユーザYのマネー残高が上限を超えている状態を例外的に許容する。
【0043】
また、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高からの取引が予定されている場合、既定の上限を超える他の上限とマネー残高との比較を行ってもよい。他の上限は、たとえば、サービス利用者ごとに予め設定される個別の上限であり、たとえば、月1回の頻度でマネー残高から支払われている金額の所定期間における平均値などに基づいて設定可能である。サービス提供装置100は、上述のステップS14の処理を行う際、チャージ後のマネー残高が変更後の他の上限を超えているかどうかを判定する。そして、サービス提供装置100は、マネー残高が他の上限を超えている場合、払出を行い、マネー残高が他の上限を超えていない場合、払出を行わないようにしてもよい。
【0044】
また、サービス提供装置100は、払出を実行する際、ユーザYのマネー残高のうち上限(所定額)を超える分に相当する額について払出を実行してもよい。すなわち、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高が上限一杯の状態を維持されるように払出を行ってもよい。
【0045】
また、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高からの取引予定がある場合、取引予定に相当する金額を残高から使用できない状態で管理してもよい。これにより、取引予定に対応する支払を確実に履行できる。
【0046】
このように、本実施形態に係る情報処理装置の一例であるサービス提供装置100は、サービス利用者のマネー残高が上限を超える場合、サービス利用者が指定する銀行口座への払出を行う。これにより、サービス提供装置100は、滞留規制を順守しつつ、デジタルマネーに関する各種サービスをサービス利用者に提供でき、デジタルマネーに関するサービスの利用を促進できる。
【0047】
〔2.装置構成例〕
以下、本実施形態に係るサービス提供装置100の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るサービス提供装置の構成例を示すブロック図である。
【0048】
図2に示すように、サービス提供装置100は、事業者Z(
図1参照)がサービス利用者に提供するデジタルマネーに関する各種サービスに関する処理を実行する。
図2に示すように、サービス提供装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0049】
(通信部110について)
通信部110は、有線又は無線により、ネットワークNに接続される。通信部110は、ネットワークNを介して、チャージ元装置10や、チャージ先装置20や、銀行システム30などとの間で情報の送受信を行う。通信部110は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0050】
(記憶部120について)
記憶部120は、制御部130による制御及び演算に用いられるプログラム及びデータを記憶する。記憶部120は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
図2に示すように、記憶部120は、口座情報記憶部121と、取引予定情報記憶部122とを有する。
【0051】
(口座情報記憶部121について)
口座情報記憶部121は、各サービス利用者が所有するデジタルマネーの決済口座に関する口座情報を記憶する。サービス利用者としては、ビジネスユーザや個人ユーザなどが想定される。
図3は、本実施形態に係る口座情報の概要を示す図である。なお、
図3は、本実施形態に係る口座情報の一例を示すものであり、
図3に示す例とは異なる形態で構成されていてもよい。
【0052】
図3に示すように、口座情報記憶部121が記憶する口座情報は、「口座ID」の項目や、「所有者ID」の項目や、「総残高」の項目などの複数の項目を有する。口座情報が有するこれらの項目は相互に対応付けられている。
【0053】
「口座ID」の項目には、決済口座を識別するために口座ごとに固有に割り振られる口座ID(識別情報)が記憶される。
【0054】
「所有者ID」の項目には、口座IDに紐付けられた決済口座を所有する所有者を識別するために所有者ごとに個別に割り振られる所有者ID(識別情報)が記憶される。一例として、所有者IDには、電子決済サービスを利用する際にサービス利用者ごとに個別に割り振られるユーザIDがそのまま利用される場合が考えられる。
【0055】
「総残高」の項目には、決済口座に保有されているデジタルマネーの総残高を示す情報が記憶される。
【0056】
たとえば、
図3に示す例によれば、口座ID:「AC#1」に紐づく決済口座の所有者は、所有者ID:「U#001」が割り振られているサービス利用者であり、「1,150,000円」に相当する額のデジタルマネーが決済口座に保有されることが示されている。
【0057】
なお、「総残高」の項目は、デジタルマネーの管理方法に応じて、さらに細かく区分けされていてもよい。たとえば、「総残高」の項目を、「給与」の項目および「給与以外」の項目に区分けしてもよい。この場合、「給与」の項目は、「総残高」項目に記憶された総残高のうち、給与として入金されたデジタルマネーの残高を示す情報を記憶する。そして、「給与以外」の項目は、「総残高」項目に記憶された総残高のうち、給与以外の名目で入金されたデジタルマネーの残高を示す情報を記憶する。
【0058】
また、「給与以外」の項目を、「通常」の項目および「利益」の項目などの項目にさらに区分けしてもよい。この場合、「通常」の項目は、決済口座の所有者が自らチャージしたデジタルマネーの残高を示す情報を記憶する。たとえば、「通常」の項目に記憶される情報には、決済口座に紐付けられたクレジットカードまたは銀行口座から入金されたデジタルマネーの残高を示す情報などが考えられる。また、たとえば、「利益」の項目に記憶される情報には、事業者Zがサービス利用者に提供する電子決済サービスを利用した際に決済金額に対してキャッシュバックされたデジタルマネーの残高を示す情報などが考えられる。
【0059】
また、サービス提供装置100は、銀行システム30から入金通知を受信すると、入金通知の内容に従い、決済口座に対して所定の残高を加算する。たとえば、サービス提供装置100は、銀行システム30からユーザXから200,000円の入金があった旨の入金通知があった場合、チャージ先(たとえば、ユーザY)のアカウントに紐付く決済口座に対して、200,000円相当のデジタルマネーの残高を加算する。なお、サービス提供装置100は、チャージの完了をチャージ指示の送信元であるユーザX(チャージ元装置10)に通知してもよい。
【0060】
(取引予定情報記憶部122について)
取引予定情報記憶部122は、サービス利用者の取引予定に関する情報を記憶する。取引予定は、マネー残高からの取引の予定であり、サービス利用者により予め登録される。
図4は、本実施形態に係る取引予定情報の概要を示す図である。なお、
図4は、本実施形態に係る取引予定情報の一例を示すものであり、
図4に示す例とは異なる形態で構成されていてもよい。
【0061】
図4に示すように、取引予定情報記憶部122に記憶される取引予定情報は、「ユーザID」の項目や、「取引予定日」の項目や、「取引内容」の項目や、「取引予定金額」の項目などの複数の項目を有する。取引予定情報が有するこれらの項目は相互に対応付けられている。
【0062】
「ユーザID」の項目には、事業者Zが提供する決済サービスなどの利用登録の際にサービス利用者(たとえば、ユーザXやユーザY)などに対して個別に割り振られるユーザID(識別情報)が記憶される。
【0063】
「取引予定日」の項目には、サービス利用者がマネー残高から予定している取引の日時を示す日時情報が記憶される。
【0064】
「取引内容」の項目には、サービス利用者がマネー残高から予定している取引の内容を示す情報が記憶される。
【0065】
「取引予定金額」の項目には、サービス利用者がマネー残高から予定している取引の金額を示す情報が記憶される。
【0066】
図4に示す例によれば、サービス提供装置100は、ユーザID:「U#001」で識別されるサービス利用者について、マネー残高からの取引を予定している日時やその取引の内容、取引を予定している金額の情報などを特定できる。
【0067】
(制御部130について)
制御部130は、サービス提供装置100の制御や演算を実行するコントローラ(controller)である。制御部130の各部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、サービス提供装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)などの集積回路により実現される。
【0068】
図2に示すように、制御部130は、チャージ部131と、通知部132と、払出部133とを有する。制御部130は、
図2に示す各部により、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、説明は省略するが、制御部130の内部構成は、
図2に示す各部に限られず、デジタルマネーの総残高のうち少なくとも給与残高を分けて管理するための情報処理の機能や作用を実現または実行する各部を有していてもよい。
【0069】
(チャージ部131について)
チャージ部131は、チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行する。
図5は、本実施形態に係るチャージ指示の概要を示す図である。
【0070】
図5に示すように、チャージ部131が受け付けるチャージ指示は、たとえば、「チャージ元ID」の項目と、「チャージ先ID」の項目と、「予定額」の項目と、「予定日」の項目とで構成される。
【0071】
「チャージ先ID」の項目には、チャージ先のアカウントを示す情報が記録される。「チャージ先ID」の項目には、チャージ先のアカウントを示す情報が記録される。「予定額」の項目には、チャージ先へのチャージ予定額を示す情報が記録される。「予定日」の項目には、チャージ先へのチャージ予定日を示す情報が記録される。
【0072】
図5には、チャージ部131が受け付けるチャージ指示として、ユーザID:「U#001」で特定されるサービス利用者から、ユーザID:「U#002」で特定されるサービス利用者に対して、「9/25」を予定日とする「200,000(円)」の相当する額のデジタルマネーのチャージ指示が示されている。
【0073】
なお、チャージ指示には、チャージの目的を示す「名目」の項目が含まれていてもよい。この場合、「名目」の項目には、給与というチャージの目的が記録されることになる。
【0074】
たとえば、チャージ部131は、通信部110を通じて、サービス利用者(たとえば、ユーザX)から送信されたチャージ指示を受け付ける。次に、チャージ部131は、受け付けたチャージ指示に充当するための原資の入金先(振込先)として、事業者Zが所有する銀行口座の情報(口座番号)をチャージ指示の送信元であるサービス利用者(たとえば、ユーザX)に通知する。
【0075】
次に、チャージ部131は、チャージ指示の送信元であるサービス利用者(たとえば、ユーザX)からの入金を確認できたことを条件としてチャージを実行する。具体的には、チャージ部131は、取引銀行からの入金通知に基づいて、チャージ指示の送信元であるサービス利用者(たとえば、ユーザX)のアカウントに紐づく決済口座の残高を加算する。次に、チャージ部131は、チャージ指示において指定されたチャージ先であるサービス利用者(たとえば、ユーザY)のアカウントに紐づく決済口座を特定する。次に、チャージ部131は、特定した決済口座に対して、チャージ指示の送信元であるサービス利用者(たとえば、ユーザX)のアカウントに紐づく決済口座の残高から、チャージ指示において指定されたチャージ予定額に対応するデジタルマネーを移動する。
【0076】
(通知部132について)
通知部132は、チャージ後の決済口座のマネー残高が予め規定される上限を超えている場合、チャージ先のサービス利用者に対するアラートを通知する。
【0077】
たとえば、通知部132は、マネーチャージサービスによるチャージによりマネー残高が上限を超えている旨、及び、規定期日までにマネー残高が上限以下になれなければ、指定口座への払出を行う旨を含むアラート(たとえば、
図1参照)をチャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)に通知する。また、通知部132は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)に通知するアラートに対して、直感的な操作でマネー残高の出金を行うためのリンク情報を含めることができる。
【0078】
また、通知部132は、マネー残高が上限を超える場合であっても、マネー残高からの取引が予定されている場合、アラートを通知しないようにしてもよい。たとえば、通知部132は、取引予定情報記憶部122に記憶されている取引予定に関する情報を参照することにより、対象ユーザの取引予定を確認できる。対象となる取引は、月1回などの予め定められた所定の頻度で発生する蓋然性が高い取引の予定であり、たとえば、リボルビング払いを含むクレジットカードの利用代金の支払いなどの各種債務の支払いや、金融商品の買い付け(積立)や、住宅ローンの支払や、管理費の支払や、公共料金または教育サービスなどの各種引落しなどが想定される。
【0079】
(払出部133について)
払出部133は、予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、マネー残高が上限以下となるようにサービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する。たとえば、払出部133は、通知部132によりアラートが通知された後、所定の条件を満たした場合、払出を実行する。これにより、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)に対して、マネー残高の払出が行われる可能性を認知させることができ、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0080】
また、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者からの出金指示があった場合、所定の条件を満足したと判断し、このサービス利用者からの出金指示に応じた払出を実行する。これにより、払出部133は、サービス利用者の要求に応じたマネー残高の払出を実現できる。なお、出金指示は、通知部132からにより通知されるアラートに含まれるリンク情報を経由であってもよい。
【0081】
あるいは、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)のマネー残高が上限を超えた状態で予め規定する払出猶予期間を経過した場合、所定の条件を満足したと判断し、強制的に払出を実行する。払出猶予期間は、たとえば、法令(たとえば、資金決済法)に定められている滞留規制を順守可能な範囲内で予め規定される。期日の一例としては、マネー残高が上限を超えた日から所定の日数(たとえば、7日間)を経過した日が考えられる。これにより、払出部133は、法令を遵守したサービスの提供を実現できる。
【0082】
また、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)について、マネー残高からの取引が予定されている場合、上述の上限を変更し、マネー残高が変更後の上限を超える場合、払出を実行する。対象となる取引は、月1回などの予め定められた所定の頻度で発生する蓋然性が高い取引の予定であり、たとえば、リボルビング払いを含むクレジットカードの利用代金の支払いなどの各種債務の支払いや、金融商品の買い付け(積立)や、住宅ローンの支払や、管理費の支払や、公共料金または教育サービスなどの各種引落しなどが想定される。
【0083】
たとえば、払出部133は、取引予定情報記憶部122に記憶されている取引予定情報を参照して、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)のアカウントに紐づく取引の予定を確認する。そして、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)について、マネー残高からの取引が予定されていない場合、上述の所定の条件に従って、払出を実行する。
【0084】
一方、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)について、マネー残高からの取引が予定されている場合、このサービス利用者のマネー残高の払出を実行しないことを決定する。すなわり、払出部133は、サービス利用者について、マネー残高からの取引が予定されている場合に限り、このサービス利用者のマネー残高が上限を超えている状態を例外的に許容する。
【0085】
また、払出部133は、払出を実行する際、ユーザYのマネー残高が上限(所定額)を超える分に相当する額について払出を実行してもよい。すなわち、サービス提供装置100は、ユーザYのマネー残高が上限一杯の状態を維持されるように払出を行ってもよい。これにより、払出部133は、サービス利用者の決済口座を最大限に利用したサービスを提供できる。また、払出部133は、サービス利用者(たとえば、ユーザY)のこれまでの取引実績に基づいて、定期的に(たとえば、毎月または数か月に1回などの頻度で)マネー残高からの取引(支払)が予測される支払予測額を算出し、支払予測額に基づいてマネー残高の上限越えを許容する所定の許容範囲をサービス利用者ごとに設定してもよい。この場合、払出部133は、サービス利用者ごとに設けた所定の許容範囲に基づいて、サービス利用者のマネー残高の払出を実行する。また、たとえば、払出部133は、予め規定するサイクルで、上述の所定の許容範囲をサービス利用者ごとに改めて更新してもよい。すなわち、払出部133は、マネー残高からの取引が予定される使途の内容に応じて、マネー残高が上限を超えている状態を許容する範囲を柔軟に変更できる。具体的には、払出部133は、あるサービス利用者について、2か月に1回のサイクルで水道料金の引落しが行われている場合、水道料金の引落しに対応できるように、2か月に1回のサイクルで予め決められた締め日に支払予測額を改めて算出し、所定の許容範囲を再設定する。また、払出部133は、クレジットカードの利用料金や、金融商品の買い付けなどの取引予定に係る支払予定額については、連携する各サービスから取得することにより、所定の許容範囲を更新できる。
【0086】
(通知部132および払出部133の処理機能について)
以下、
図6を用いて、通知部132および払出部133により実行される処理の一例について説明する。
図6は、本実施形態に係る通知部および払出部により実行される処理の一例を説明するための説明図である。
【0087】
図6に示す残高超過日(たとえば、「9/25」)は、チャージ先のサービス利用者に紐付くマネー残高が既定の上限である第1の上限(たとえば、「1,000,000」)を超えた日時の一例を示している。また、
図6に示す取引予定日(たとえば、「9/27」、「9/30」)は、マネー残高からの取引が予定されている日時の一例を示している。また、
図6に示す払出猶予末日(たとえば、「10/2」)は、払出猶予期間(たとえば、「7日間」)の日時の一例を示している。
【0088】
通知部132は、サービス利用者のチャージ後のマネー残高が第1の上限を超えている場合、チャージ先のサービス利用者に対してアラートを通知する。
図6に示す例では、通知部132は、チャージ後のマネー残高が第1の上限を超えているので、チャージ先のサービス利用者に対してアラートを通知することとなる。
【0089】
払出部133は、通知部132によりアラートが通知されると、チャージ先のサービス利用者について、マネー残高からの取引の予定を確認する。そして、払出部133は、チャージ先のサービス利用者について、マネー残高からの取引が予定されていない場合、上述の所定の条件に従って、払出を実行する。
【0090】
払出を実行する際、払出部133は、マネー残高が第1の上限を超える分に相当する額について払出を実行できる。
図6に示す例を題材とすると、マネー残高:「1,150,000(円)」のうち、第1の上限:「1,000,000(円)」を超える分に相当する「150,000(円)」の払出を行うことができる。なお、払出部133は、マネー残高:「1,150,000(円)」の全額の払出を行ってもよい。また、払出部133は、チャージ先のサービス利用者からの出金指示があった場合、出金指示において指定された金額の払出を行ってもよい。
【0091】
一方、払出部133は、チャージ先のサービス利用者について、マネー残高からの取引が予定されている場合、チャージ先のサービス利用者について、マネー残高の払出を実行しない。
図6に示す例では、チャージ先のサービス利用者について、マネー残高からの取引が予定されているので、払出部133は、マネー残高の払出を行わないことになる。
【0092】
また、払出部133は、チャージ先のサービス利用者について、マネー残高からの取引が予定されている場合、さらに、マネー残高が第2の上限を超えているかどうかを判定し、その判定結果に基づいて払出を実行するかどうかを決定してもよい。これにより、払出部133は、ユーザのサービス利用実態に応じたサービスの提供を実現でき、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0093】
第2の上限は、マネーの決済履歴に基づいて、サービス利用者ごとに予め設定される個別の上限であり、たとえば、月1回の頻度でマネー残高から支払われている金額の所定期間における平均値などに基づいて設定可能である。
図6では、第2の上限の一例として、「1,200,000(円)」が示されている。
【0094】
そして、払出部133は、マネー残高が第2の上限を超えている場合、上述の条件に従って、マネー残高の払出を実行する。これとは反対に、払出部133は、マネー残高が第2の上限を超えていないと判定した場合、マネー残高の払出を実行しない。
図6に示す例では、マネー残高が第2の上限を超えておらず、かつマネー残高からの取引が予定されているので、払出部133は、マネー残高の払出を実行しないこととなる。
【0095】
また、第2の上限を超えている場合、払出部133は、上述の例と同様に、マネー残高が第1の上限を超える分に相当する額について払出を実行できる。
【0096】
また、払出部133は、サービス利用者のチャージ後のマネー残高が第1の上限を超えており、かつ、マネー残高からの取引が予定されている場合、払出猶予末日までにマネー残高が第1の上限以下となることを条件に、マネー残高の払出を実行しないようにしてもよい。
【0097】
〔3.処理手順〕
(3-1.全体の処理)
以下、
図7を用いて、本実施形態に係るサービス提供装置100による処理手順について説明する。
図7は、本実施形態に係るサービス提供装置の処理手順例を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、サービス提供装置100が有する制御部130により繰り返し実行される。
【0098】
図7に示すように、チャージ部131は、チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行する(ステップS101)。
【0099】
また、通知部132は、チャージ後の決済口座のマネー残高が予め規定される上限を超えているかどうかを判定する(ステップS202)。
【0100】
通知部132は、チャージ後の決済口座のマネー残高が予め規定される上限を超えていると判定した場合(ステップS202;Yes)、チャージ先のサービス利用者に対するアラートを通知する(ステップS203)。
【0101】
また、払出部133は、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者について、マネー残高からの取引が予定されているかどうかを判定する(ステップS204)。
【0102】
払出部133は、マネー残高からの取引が予定されていると判定した場合(ステップS204;Yes)、
図7に示す処理手順を終了する。
【0103】
一方、払出部133は、マネー残高からの取引が予定されていないと判定した場合(ステップS204;No)、予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、マネー残高が上限以下となるようにサービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行して(ステップS205)、
図7に示す処理手順を終了する。
【0104】
〔4.ハードウェア構成〕
また、上述してきた本実施形態に係るサービス提供装置100は、たとえば、
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、本実施形態に係るサービス提供装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【0105】
コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0106】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラムなどに基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAMなど、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。
【0107】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェイスであり、たとえば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナなどといった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェイスであり、たとえば、USBなどにより実現される。
【0108】
なお、入力装置1020は、たとえば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリなどから情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリなどの外付け記憶媒体であってもよい。
【0109】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0110】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。たとえば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0111】
たとえば、コンピュータ1000が本実施形態に係る情報処理装置の一例であるサービス提供装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラム(たとえば、情報処理プログラム)を実行することにより、制御部130と同様の機能を実現する。すなわち、演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラム(たとえば、情報処理プログラム)との協働により、本実施形態に係るサービス提供装置100による処理を実現する。
【0112】
〔5.効果〕
上述してきたように、本実施形態に係る情報処理装置の一例であるサービス提供装置100は、チャージ部131と、払出部133とを有する。チャージ部131は、チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行する。払出部133は、予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、マネー残高が予め規定される上限以下となるようにサービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する。
【0113】
これにより、サービス提供装置100は、滞留規制を順守しつつ、デジタルマネーに関する各種サービスをサービス利用者に提供でき、デジタルマネーに関するサービスの利用を促進できる。
【0114】
また、サービス提供装置100は、マネー残高が予め規定される上限を超える場合、サービス利用者に対するアラートを通知する通知部132をさらに有する。これにより、サービス提供装置100は、残高の払出が行われる可能性をサービス利用者に予め認識させることができる。
【0115】
また、払出部133は、アラートが通知された後、所定の条件を満たした場合、マネー残高の払出を実行する。これにより、チャージ先のアカウントに紐づくサービス利用者(たとえば、ユーザY)に対して、マネー残高の払出が行われる可能性を認知させることができ、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0116】
また、払出部133は、サービス利用者からの出金指示があった場合、マネー残高の払出を実行する。これにより、サービス利用者の要求に応じたマネー残高の払出を実現できる。
【0117】
また、払出部133は、マネー残高が上限を超えた状態で予め規定する払出猶予期間を経過した場合、マネー残高の払出を実行する。これにより、法令を遵守したサービスの提供を実現できる。
【0118】
また、払出部133は、マネー残高からの取引が予定されている場合、予め規定される上限を変更し、マネー残高が変更後の上限を超える場合、マネー残高の払出を実行する。これにより、ユーザのサービス利用実態に応じたサービスの提供を実現でき、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0119】
また、払出部133は、マネー残高が上限を超える場合であっても、マネー残高からの取引が予定されている場合、マネー残高の払出を実行しない。これにより、ユーザビリティを向上できる。
【0120】
〔6.その他〕
以上、本実施形態および変形例のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0121】
また、上述したサービス提供装置100は、機能によっては外部のプラットフォームなどをAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、その構成を柔軟に変更できる。
【0122】
また、特許請求の範囲に記載した「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0123】
また、本願の実施形態に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本願の実施形態は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、実施形態の記載から当業者にとって明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0124】
10 チャージ元装置
20 チャージ先装置
30 銀行システム
100 サービス提供装置
110 通信部
120 記憶部
121 口座情報記憶部
122 取引予定情報記憶部
130 制御部
131 チャージ部
132 通知部
133 払出部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行するチャージ部と、
予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限以下となるように前記サービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する払出部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記残高が前記上限を超える場合、前記サービス利用者に対するアラートを通知する通知部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記払出部は、
前記アラートが通知された後、所定の条件を満たした場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記払出部は、
前記サービス利用者からの出金指示があった場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記払出部は、
前記残高が前記上限を超えた状態で予め規定する払出猶予期間を経過した場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記払出部は、
前記残高からの取引が予定されている場合、前記上限を変更し、前記残高が変更後の上限を超える場合、前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記払出部は、
前記残高のうち前記上限を超える分に相当する額について前記払出を実行する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記払出部は、
前記残高が前記上限を超える場合であっても、前記残高からの取引が予定されている場合、前記払出を実行しない
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記チャージ部は、
チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限を超える場合であっても、チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、チャージ予定額に対応するデジタルマネーのチャージを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行するチャージ工程と、
予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限以下となるように前記サービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する払出工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
チャージ先として指定されたサービス利用者に紐付く決済口座に対して、デジタルマネーのチャージを実行するチャージ手順と、
予め規定される所定の条件を満たすことを条件として、チャージ後の前記決済口座の残高が予め規定される上限以下となるように前記サービス利用者が予め指定する銀行口座に対する払出を実行する払出手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。