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特開2023-86283物品特定装置、物品特定システム、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086283
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】物品特定装置、物品特定システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20230615BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230615BHJP
【FI】
G06T7/60 150Z
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200684
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】508282465
【氏名又は名称】帝人ナカシマメディカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(72)【発明者】
【氏名】長宗 高樹
(72)【発明者】
【氏名】川口 昌悟
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096AA09
5L096CA05
5L096DA01
5L096EA15
5L096EA16
5L096EA43
5L096FA16
5L096FA35
5L096FA62
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA40
5L096GA51
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】物品のサイズを精度良く特定する。
【解決手段】画像取得部101は、複数のマーカと複数のマーカの間に配置された物品と複数のマーカと物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像することにより得られる色画像及び深度画像を取得する。種類特定部102は、色画像から物品の種類を特定する。サイズ特定部107は、深度画像から物品のサイズを特定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマーカと前記複数のマーカの間に配置された物品と前記複数のマーカと前記物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像することにより得られる第1色画像及び第1深度画像を取得する画像取得部と、
前記第1色画像から前記物品の種類を特定する種類特定部と、
前記第1深度画像から前記物品のサイズを特定するサイズ特定部と、を備える、
物品特定装置。
【請求項2】
前記第1深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第1補正深度画像に補正する画像補正部と、
前記第1補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第1高さ画像に変換する画像変換部と、
前記第1高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第1マーカ内画像を生成する画像生成部と、を更に備え、
前記サイズ特定部は、前記第1マーカ内画像を学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルの出力データに基づいて前記物品のサイズを特定する、
請求項1に記載の物品特定装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、前記複数のマーカと前記物品と前記配置面とを第2地点から撮像することにより得られる第2色画像及び第2深度画像を取得し、
前記画像補正部は、前記第2深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第2補正深度画像に補正し、
前記画像変換部は、前記第2補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第2高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記第2高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第2マーカ内画像を生成し、
前記サイズ特定部は、前記第2マーカ内画像を前記学習済みモデルに入力し、前記第1マーカ内画像と前記第2マーカ内画像とのそれぞれにおける前記学習済みモデルの出力データに基づいて前記物品のサイズを特定する、
請求項2に記載の物品特定装置。
【請求項4】
前記第1補正深度画像と前記第2補正深度画像とを統合した統合補正深度画像を生成する画像統合部を更に備え、
前記画像変換部は、前記統合補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す統合高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記統合高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である統合マーカ内画像を生成し、
前記サイズ特定部は、前記統合マーカ内画像を前記学習済みモデルに入力し、前記第1マーカ内画像と前記第2マーカ内画像と前記統合マーカ内画像とのそれぞれにおける前記学習済みモデルの出力データに基づいて前記物品のサイズを特定する、
請求項3に記載の物品特定装置。
【請求項5】
前記物品は、種類と、サイズと、鏡像関係にある一対の物品のうち何れか一方の物品を指定するサイドとにより特定され、
前記第1深度画像から前記物品のサイドを特定するサイド特定部を更に備える、
請求項1から4の何れか1項に記載の物品特定装置。
【請求項6】
前記第1深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第1補正深度画像に補正する画像補正部と、
前記第1補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第1高さ画像に変換する画像変換部と、
前記第1高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第1マーカ内画像を生成する画像生成部と、
前記第1マーカ内画像を二値化した第1二値化画像を生成する二値化部と、を更に備え、
前記サイド特定部は、前記第1二値化画像における前記物品を囲む最小境界矩形の内部の画像である第1矩形内画像における二値化データの分布に基づいて、前記物品のサイドを特定する、
請求項5に記載の物品特定装置。
【請求項7】
前記画像取得部は、前記複数のマーカと前記物品と前記配置面とを第2地点から撮像することにより得られる第2色画像及び第2深度画像を取得し、
前記画像補正部は、前記第2深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第2補正深度画像に補正し、
前記画像変換部は、前記第2補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第2高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記第2高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第2マーカ内画像を生成し、
前記二値化部は、前記第2マーカ内画像を二値化した第2二値化画像を生成し、
前記サイド特定部は、前記第1矩形内画像における二値化データの分布と、前記第2二値化画像における前記物品を囲む最小境界矩形の内部の画像である第2矩形内画像における二値化データの分布と、に基づいて、前記物品のサイドを特定する、
請求項6に記載の物品特定装置。
【請求項8】
前記第1補正深度画像と前記第2補正深度画像とを統合した統合補正深度画像を生成する画像統合部を更に備え、
前記画像変換部は、前記統合補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す統合高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記統合高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である統合マーカ内画像を生成し、
前記二値化部は、前記統合マーカ内画像を二値化した統合二値化画像を生成し、
前記サイド特定部は、前記第1矩形内画像における二値化データの分布と、前記第2矩形内画像における二値化データの分布と、前記統合二値化画像における前記物品を囲む最小境界矩形の内部の画像である統合矩形内画像における二値化データの分布と、に基づいて、前記物品のサイドを特定する、
請求項7に記載の物品特定装置。
【請求項9】
複数のマーカと前記複数のマーカの間に配置された物品と前記複数のマーカと前記物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像し、第1色画像と第1深度画像とを生成する撮像部と、
前記第1色画像から前記物品の種類を特定する種類特定部と、
前記第1深度画像から前記物品のサイズを特定するサイズ特定部と、
前記種類特定部が特定した前記物品の種類と前記サイズ特定部が特定した前記物品のサイズとのうち少なくとも一方に基づく物品情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える、
物品特定システム。
【請求項10】
コンピュータを、
複数のマーカと前記複数のマーカの間に配置された物品と前記複数のマーカと前記物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像することにより得られる第1色画像及び第1深度画像を取得する画像取得部、
前記第1色画像から前記物品の種類を特定する種類特定部、
前記第1深度画像から前記物品のサイズを特定するサイズ特定部、として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品特定装置、物品特定システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人体に埋設される人工関節であるインプラントとインプラントを扱うための器械とを用いた整形外科手術が知られている。このような整形外科手術では、器械出し看護師と呼ばれる手術室看護師が、患者の術式に応じたインプラント及び器械を準備し、これらのインプラント又は器械を整形外科医に手渡しすることがある。
【0003】
インプラント及び器械としては多種多様なものが存在するため、熟練した器械出し看護師であっても、適切なインプラント又は器械を選択することは容易ではない。現在、このような整形外科手術を支援するための種々の技術が知られている。例えば、特許文献1には、局所特徴量を使用して撮像した映像内の医療用物品を同定し、医療用物品の間違い、欠陥等を検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6226187号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術を含め、撮像画像から物品を検出する方法として現在知られている技術は、撮像した色画像から物品を検出する技術であることが多い。しかしながら、色画像から物品を検出する場合、物品の種類は比較的精度良く特定できても、物品のサイズを精度良く特定することが困難であることが多い。このため、物品のサイズを精度良く特定する技術が望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、物品のサイズを精度良く特定することが可能な物品特定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の観点に係る物品特定装置は、
複数のマーカと前記複数のマーカの間に配置された物品と前記複数のマーカと前記物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像することにより得られる第1色画像及び第1深度画像を取得する画像取得部と、
前記第1色画像から前記物品の種類を特定する種類特定部と、
前記第1深度画像から前記物品のサイズを特定するサイズ特定部と、を備える。
【0008】
前記第1深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第1補正深度画像に補正する画像補正部と、
前記第1補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第1高さ画像に変換する画像変換部と、
前記第1高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第1マーカ内画像を生成する画像生成部と、を更に備え、
前記サイズ特定部は、前記第1マーカ内画像を学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルの出力データに基づいて前記物品のサイズを特定してもよい。
【0009】
前記画像取得部は、前記複数のマーカと前記物品と前記配置面とを第2地点から撮像することにより得られる第2色画像及び第2深度画像を取得し、
前記画像補正部は、前記第2深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第2補正深度画像に補正し、
前記画像変換部は、前記第2補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第2高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記第2高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第2マーカ内画像を生成し、
前記サイズ特定部は、前記第2マーカ内画像を前記学習済みモデルに入力し、前記第1マーカ内画像と前記第2マーカ内画像とのそれぞれにおける前記学習済みモデルの出力データに基づいて前記物品のサイズを特定してもよい。
【0010】
前記第1補正深度画像と前記第2補正深度画像とを統合した統合補正深度画像を生成する画像統合部を更に備え、
前記画像変換部は、前記統合補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す統合高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記統合高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である統合マーカ内画像を生成し、
前記サイズ特定部は、前記統合マーカ内画像を前記学習済みモデルに入力し、前記第1マーカ内画像と前記第2マーカ内画像と前記統合マーカ内画像とのそれぞれにおける前記学習済みモデルの出力データに基づいて前記物品のサイズを特定してもよい。
【0011】
前記物品は、種類と、サイズと、鏡像関係にある一対の物品のうち何れか一方の物品を指定するサイドとにより特定され、
前記第1深度画像から前記物品のサイドを特定するサイド特定部を更に備えてもよい。
【0012】
前記第1深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第1補正深度画像に補正する画像補正部と、
前記第1補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第1高さ画像に変換する画像変換部と、
前記第1高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第1マーカ内画像を生成する画像生成部と、
前記第1マーカ内画像を二値化した第1二値化画像を生成する二値化部と、を更に備え、
前記サイド特定部は、前記第1二値化画像における前記物品を囲む最小境界矩形の内部の画像である第1矩形内画像における二値化データの分布に基づいて、前記物品のサイドを特定してもよい。
【0013】
前記画像取得部は、前記複数のマーカと前記物品と前記配置面とを第2地点から撮像することにより得られる第2色画像及び第2深度画像を取得し、
前記画像補正部は、前記第2深度画像を、前記配置面を前記配置面と直交する方向からみたときの深度を表す第2補正深度画像に補正し、
前記画像変換部は、前記第2補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す第2高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記第2高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である第2マーカ内画像を生成し、
前記二値化部は、前記第2マーカ内画像を二値化した第2二値化画像を生成し、
前記サイド特定部は、前記第1矩形内画像における二値化データの分布と、前記第2二値化画像における前記物品を囲む最小境界矩形の内部の画像である第2矩形内画像における二値化データの分布と、に基づいて、前記物品のサイドを特定してもよい。
【0014】
前記第1補正深度画像と前記第2補正深度画像とを統合した統合補正深度画像を生成する画像統合部を更に備え、
前記画像変換部は、前記統合補正深度画像を、前記配置面からの高さを表す統合高さ画像に変換し、
前記画像生成部は、前記統合高さ画像における前記複数のマーカの内側の領域の画像である統合マーカ内画像を生成し、
前記二値化部は、前記統合マーカ内画像を二値化した統合二値化画像を生成し、
前記サイド特定部は、前記第1矩形内画像における二値化データの分布と、前記第2矩形内画像における二値化データの分布と、前記統合二値化画像における前記物品を囲む最小境界矩形の内部の画像である統合矩形内画像における二値化データの分布と、に基づいて、前記物品のサイドを特定してもよい。
【0015】
上記目的を達成するために、本開示の第2の観点に係る物品特定システムは、
複数のマーカと前記複数のマーカの間に配置された物品と前記複数のマーカと前記物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像し、第1色画像と第1深度画像とを生成する撮像部と、
前記第1色画像から前記物品の種類を特定する種類特定部と、
前記第1深度画像から前記物品のサイズを特定するサイズ特定部と、
前記種類特定部が特定した前記物品の種類と前記サイズ特定部が特定した前記物品のサイズとのうち少なくとも一方に基づく物品情報を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0016】
上記目的を達成するために、本開示の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
複数のマーカと前記複数のマーカの間に配置された物品と前記複数のマーカと前記物品とが配置された配置面とを第1地点から撮像することにより得られる第1色画像及び第1深度画像を取得する画像取得部、
前記第1色画像から前記物品の種類を特定する種類特定部、
前記第1深度画像から前記物品のサイズを特定するサイズ特定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、物品のサイズを精度良く特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る物品特定システムの構成図
図2】実施の形態に係る物品特定装置の構成図
図3】実施の形態に係る撮像装置の配置図
図4】実施の形態に係る物品特定装置の機能構成図
図5】配置面の説明図
図6】深度画像を示す図
図7】補正深度画像を示す図
図8】ポイントクラウドデータの補正の説明図
図9】高さ画像を示す図
図10】マーカ内画像を示す図
図11】二値化画像を示す図
図12】矩形内画像を示す図
図13】二値化データの分布から物品のサイドを特定する方法の説明図
図14】実施の形態に係る物品特定装置が実行する物品特定処理を示すフローチャート
図15図14に示すサイズ特定処理を示すフローチャート
図16図14に示すサイド特定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中において、同一又は対応する部分には、同一の符号を付す。
【0020】
(実施の形態)
まず、図1を参照して、実施の形態に係る物品特定システム1000の構成について説明する。物品特定システム1000は、撮像画像内に含まれる物品を特定するシステムである。特定対象の物品としてどのような物品を採用するのかは適宜調整することができる。本実施の形態では、特定対象の物品は、整形外科手術で用いられるインプラント又は器械である。インプラントは、人体に埋設される人工関節である。器械は、インプラントを扱うための物であり、例えば、インプラントの代わりに一時的に人体に埋設する物や、インプラントを人体に埋設するときに用いられる工具である。物品特定システム1000は、例えば、器械出し看護師が、インプラント及び器械を適切に選択することを支援することが可能である。
【0021】
本実施の形態において、物品を特定することは、物品の種類と、物品のサイズと、物品のサイドとを特定することである。物品の種類は、例えば、物品の用途を識別するための概念であり、物品のサイズと物品のサイドとを含まない概念である。物品の種類として、例えば、大腿骨コンポーネント、大腿骨カット用ガイド、大腿骨コンポーネントトライアル、脛骨プレート、脛骨カット用ガイド等がある。本実施の形態では、同一の種類の物品は、基本的に、同じ形であり、相似する。
【0022】
物品のサイズは、物品の大きさを識別するための概念である。物品の大きさを定義する方法は適宜調整することができる。例えば、物品の大きさは、物品の体積、物品の高さ、物品の幅等により表現される。例えば、物品の大きさは、物品の長手方向における長さで表現されてもよい。また、例えば、物品の大きさは、物品に適した置き方で置かれた物品を平面視したときに、物品を囲む最小境界矩形の長辺又は短辺の長さで表現されてもよい。最小境界矩形は、最小境界ボックスともいい、ある図形を囲む矩形のうち最小の面積を有する矩形である。
【0023】
物品のサイドは、鏡像関係にある一対の物品のうち何れか一方の物品を指定する概念である。例えば、人体に埋め込むインプラントは、同じ種類であっても、人体の右側用のインプラントと人体の左側用のインプラントとが存在する。具体的には、例えば、大腿骨コンポーネントとしては、右足用の大腿骨コンポーネントと左足用の大腿骨コンポーネントとが存在する。同様に、インプラントに対応する器械についても、右側用の器械と左側用の器械とが存在する。
【0024】
例えば、大腿骨コンポーネントに対応する器械である大腿骨コンポーネントトライアルとしては、右足用の大腿骨コンポーネントトライアルと左足用の大腿骨コンポーネントトライアルとが存在する。大腿骨コンポーネントトライアルは、大腿骨コンポーネントを人体に埋設する前に、一時的に人体に埋設する器械であり、サイズ、動作等を確認するための器械である。大腿骨コンポーネントトライアルの形状及び大きさは、大腿骨コンポーネントの形状及び大きさと同じである。本実施の形態では、物品のサイドは、右用と左用との何れか一方を指定する概念である。なお、物品のサイドは、右用と左用との何れか一方を指定する概念に限定されず、上用と下用との何れか一方を指定する概念でもよく、表用と裏用との何れか一方を指定する概念でもよい。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態では、物品は、物品の種類と、物品のサイズと、物品のサイドとにより特定される。言い換えれば、2つの物品を対比した場合において、物品の種類が同じでも、物品のサイズ又は物品のサイドが異なる場合、2つの物品は異なる物品である。
【0026】
図1に示すように、物品特定システム1000は、物品特定装置100と、撮像装置200Aと、撮像装置200Bと、表示装置300とを備える。以下、撮像装置200Aと撮像装置200Bとを総称して、適宜、撮像装置200という。物品特定装置100は、撮像装置200Aと撮像装置200Bと表示装置300とのそれぞれと、無線又は有線で通信可能に接続される。
【0027】
物品特定装置100は、撮像装置200から取得した色画像及び深度画像に基づいて、これらの画像に映し出された物品の種類、サイズ、及びサイドを特定する。色画像は、撮像領域内の各部の色を可視化した画像である。色画像は、多色画像でもよいし、単色画像でもよい。多色画像は、撮像領域内の各部の様子を複数の色で表現した画像である。多色画像は、例えば、撮像領域内の各部の色を、RGB(Red Green Blue)の三原色の輝度値で表現したRGB画像である。単色画像は、撮像領域内の各部の様子を単一の色で表現した画像である。深度画像は、撮像装置200から撮像領域内の各部までの深度を可視化した画像である。例えば、深度画像は、撮像装置200から撮像領域内の各部までの距離を、単色の輝度値、RGBの三原色の輝度値等で表現した画像である。
【0028】
物品特定装置100は、撮像装置200Aから第1色画像と第1深度画像とを取得し、撮像装置200Bから第2色画像と第2深度画像とを取得する。第1色画像は、撮像装置200Aが生成した色画像である。第2色画像は、撮像装置200Bが生成した色画像である。第1深度画像は、撮像装置200Aが生成した深度画像である。第2深度画像は、撮像装置200Bが生成した深度画像である。以下、適宜、第1色画像と第2色画像とを総称して色画像といい、第1深度画像と第2深度画像とを総称して深度画像という。
【0029】
また、物品特定装置100は、物品に関する情報である物品情報を表示装置300に送信する。物品情報は、物品の種類、物品のサイズ、物品のサイドのうち少なくとも1つに基づく情報である。物品情報は、物品の種類、物品のサイズ、物品のサイド等を示す情報でもよいし、物品の種類、物品のサイズ、物品のサイド等から導き出される情報でもよい。例えば、撮像装置200の撮像領域内に2つの物品が存在する場合、物品情報は、2つの物品に互換性があるか否かの判定結果を示す情報でもよい。また、例えば、使用すべき物品が予め定められている場合、物品情報は、撮像領域内の物品が使用すべき物品であるか否かの判別結果を示す情報でもよい。物品特定装置100は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0030】
図2に示すように、物品特定装置100は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作受付部14と、第1通信部15と、第2通信部16とを備える。
【0031】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、物品特定装置100の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、物品特定装置100を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0032】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。例えば、記憶部12は、色画像、深度画像、補正深度画像、高さ画像、マーク内画像、二値化画像、矩形内画像、学習済みモデル等を記憶する。
【0033】
表示部13は、制御部11による制御に従って、各種の画像を表示する。例えば、表示部13は、ユーザから各種の操作を受け付けるための画面を表示する。表示部13は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。操作受付部14は、ユーザから各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部11に供給する。操作受付部14は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0034】
第1通信部15は、制御部11による制御に従って、撮像装置200と通信する。例えば、第1通信部15は、制御部11による制御に従って、撮像装置200から撮像画像を取得する。なお、撮像画像は、色画像と深度画像との総称である。第1通信部15は、周知の有線通信規格又は周知の無線通信規格に則って、撮像装置200と通信する。周知の有線通信規格としては、USB(Universal Serial Bus、登録商標)、Thunderbolt(登録商標)等がある。周知の無線通信規格としては、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等がある。第1通信部15は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0035】
第2通信部16は、制御部11による制御に従って、表示装置300と通信する。例えば、第2通信部16は、物品情報を表示装置300に送信する。第2通信部16は、周知の有線通信規格又は周知の無線通信規格に則って、表示装置300と通信する。第2通信部16は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0036】
撮像装置200Aは、撮像領域を撮像することにより、第1色画像と第1深度画像とを生成する。撮像装置200Aは、物品特定装置100から与えられたトリガに従って第1色画像と第1深度画像とを生成してもよいし、予め定められた周期で第1色画像と第1深度画像とを生成してもよい。撮像装置200Aは、色画像を生成するためのイメージセンサと、深度画像を生成するための深度センサとを備える。また、撮像装置200Aは、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、周知の有線通信規格又は周知の無線通信規格に則って、物品特定装置100と通信する。
【0037】
図3に示すように、撮像装置200Aは、支持部材251により支持され、第1地点から、4つのマーカ400と、4つのマーカ400の間に配置された物品500と、4つのマーカ400と物品500とが配置された配置面600とを含む撮像領域を撮像する。なお、撮像装置200Aが備えるイメージセンサの撮像領域と撮像装置200Aが備える深度センサの撮像領域とはほぼ重なる。第1色画像と第1深度画像とは、4つのマーカ400と物品500と配置面600とを撮像することにより得られる。
【0038】
撮像装置200Bは、撮像領域を撮像することにより、第2色画像と第2深度画像とを生成する。撮像装置200Bの構成は、基本的に、撮像装置200Aの構成と同様である。撮像装置200Bは、物品特定装置100から与えられたトリガに従って第2色画像と第2深度画像とを生成してもよいし、予め定められた周期で第2色画像と第2深度画像とを生成してもよい。撮像装置200Bは、色画像を生成するためのイメージセンサと、深度画像を生成するための深度センサとを備える。また、撮像装置200Bは、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、周知の有線通信規格又は周知の無線通信規格に則って、物品特定装置100と通信する。
【0039】
図3に示すように、撮像装置200Bは、支持部材252により支持され、第2地点から、4つのマーカ400と、4つのマーカ400の間に配置された物品500と、4つのマーカ400と物品500とが配置された配置面600とを含む撮像領域を撮像する。なお、撮像装置200Bが備えるイメージセンサの撮像領域と撮像装置200Bが備える深度センサの撮像領域とはほぼ重なる。第2色画像と第2深度画像とは、4つのマーカ400と物品500と配置面600とを撮像することにより得られる。
【0040】
4つのマーカ400は、撮像画像に映し出された物品500のサイズを特定するために用いられる目印である。4つのマーカ400は、撮像装置200Aが撮像した撮像画像と撮像装置200Bが撮像した撮像画像との位置合わせに用いられる目印でもある。マーカ400は、マーカ400Aとマーカ400Bとマーカ400Cとマーカ400Dとの総称である。マーカ400Aとマーカ400Bとマーカ400Cとマーカ400Dとのそれぞれは、例えば、予め定められた大きさを有する正方形の各頂点に対応する位置に配置される。
【0041】
撮像画像内における物品500の大きさは、撮像装置200の画角、撮像装置200の設置位置等により変化する。しかしながら、4つのマーカ400を頂点とする正方形の大きさが一定であれば、撮像画像内におけるこの正方形の大きさ又は辺の長さから、物品500の現実空間におけるサイズを求めることができる。4つのマーカ400は、模様、色、大きさ等のうち少なくとも1つが異なることが好適である。本実施の形態では、4つのマーカ400は、模様と色とが互いに異なり、大きさが同じである。撮像装置200は、撮像部の一例である。
【0042】
物品500は、特定対象の物品である。物品500は、4つのマーカ400の間に配置される。つまり、物品500は、4つのマーカ400を頂点とする正方形の内部に配置される。本実施の形態では、物品500は、大腿骨コンポーネントトライアルである。配置面600は、4つのマーカ400と物品500とが配置される面である。配置面600は、床面、机の天板の上面等である。配置面600は、基本的に、水平な面である。なお、本実施の形態では、Z軸は鉛直方向に延びる軸であり、X軸はZ軸と直交する軸であり、Y軸はX軸とZ軸とに直交する軸である。
【0043】
表示装置300は、各種の情報を表示する。例えば、表示装置300は、物品特定装置100から受信した物品情報に基づく情報を表示する。表示装置300は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備え、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。表示装置300は、周知の有線通信規格又は周知の無線通信規格に則って、物品特定装置100と通信する。
【0044】
次に、図4を参照して、物品特定装置100の機能について説明する。物品特定装置100は、機能的には、画像取得部101と、種類特定部102と、画像補正部103と、画像統合部104と、画像変換部105と、画像生成部106と、サイズ特定部107と、二値化部108と、サイド特定部109と、表示制御部110と、通信制御部111とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0045】
画像取得部101は、マーカ400と物品500と配置面600とを第1地点から撮像することにより得られる第1色画像及び第1深度画像を取得する。また、画像取得部101は、マーカ400と物品500と配置面600とを第2地点から撮像することにより得られる第2色画像及び第2深度画像を撮像装置200Bから取得する。画像取得部101は、基本的に、撮像装置200Aから第1色画像及び第1深度画像を取得し、撮像装置200Bから第2色画像及び第2深度画像を取得する。画像取得部101は、画像取得部の一例である。
【0046】
種類特定部102は、第1色画像から物品500の種類を特定する。種類特定部102が第1色画像から物品500の種類を特定する手法は、適宜、調整することができる。例えば、種類特定部102は、周知のパターンマッチング技術を用いて、第1色画像から物品500の種類を特定する。又は、種類特定部102は、周知の学習済みモデルを用いて、第1色画像から物品500の種類を特定してもよい。なお、種類特定部102は、第2色画像から物品500の種類を特定してもよいし、第1色画像と第2色画像とから物品500の種類を特定してもよい。種類特定部102は、種類特定部の一例である。
【0047】
画像補正部103は、第1深度画像を、配置面600を配置面600と直交する方向からみたときの深度を表す第1補正深度画像に補正する。また、画像補正部103は、第2深度画像を、配置面600を配置面600と直交する方向からみたときの深度を表す第2補正深度画像に補正する。深度画像は、撮像装置200から撮像領域の各部までの距離を表す画像である。このため、深度画像では、配置面600のうち撮像装置200から離れた部分の深度は、配置面600のうち撮像装置200から近い部分の深度よりも深くなる。しかしながら、配置面600の場所によって異なる深度に表現される深度画像よりも、配置面600の全体が同じ深度に表現されるように補正された補正深度画像の方が、利用しやすいことがある。そこで、画像補正部103は、深度画像を補正深度画像に補正する。なお、補正深度画像は、第1補正深度画像と第2補正深度画像との総称である。
【0048】
以下、図5図6図7とを参照して、補正深度画像である第1補正深度画像について説明する。図5は、Y軸の負の方向から、撮像装置200、マーカ400、物品500、配置面600等を見た様子を示す図である。図5に示すように、撮像装置200Aが設置される第1地点と撮像装置200Bが設置される第2地点とは異なる。図5では、第1地点を点211で示し、第2地点を点212で示している。
【0049】
図6は、第1深度画像である画像710を示す図である。画像710は、撮像装置200Aからの距離が近い部分ほど、つまり、撮像装置200Aからの深度が浅い部分ほど濃い色で表現した画像である。画像710では、物品500に相当する部分の深度が、物品500の周囲の配置面600に相当する部分の深度よりも浅い。また、画像710では、配置面600に相当する部分の深度は一定ではなく、配置面600に相当する部分の深度は撮像装置200Aに近い部分に相当する部分ほど浅い。
【0050】
図7は、第1補正深度画像である画像720を示す図である。画像720では、物品500に相当する部分の深度が、物品500の周囲の配置面600に相当する部分の深度よりも浅い。また、画像720では、配置面600に相当する部分の深度は一定である。
【0051】
画像補正部103が、第1深度画像を第1補正深度画像に補正する方法は、適宜、調整することができる。例えば、画像補正部103は、第1深度画像中に表現された配置面600に相当する部分を特定し、特定した部分の深度の傾きに基づいて、第1深度画像を補正する。なお、画像補正部103は、例えば、RANSAC(Random Sample Consensus)を用いて、第1深度画像中に表現された配置面600に相当する部分を特定することができる。RANSACは、外れ値を含むデータから、外れ値の影響を除外して数学モデルのパラメータを学習する手法である。つまり、画像補正部103は、第1補正深度画像中に表現される配置面600に相当する部分の深度の傾きがなくなるように、第1深度画像を第1補正深度画像に補正する。
【0052】
以下、図8を参照して、ポイントクラウドデータの補正により、深度画像を補正深度画像に補正する方法について説明する。
【0053】
本実施の形態では、深度画像と色画像とは、ポイントクラウドデータにより表現される。なお、画像取得部101は、深度画像と色画像とを表すポイントクラウドデータを撮像装置200から取得してもよいし、撮像装置200から取得した深度画像及び色画像からポイントクラウドデータを生成してもよい。ポイントクラウドデータは、コンピュータで扱う点の集合である。
【0054】
本実施の形態では、ポイントクラウドデータは、三次元空間における点の位置とこの点の色とを示すデータである。点の位置は、例えば、XYZの直交座標により表現される。また、点の色は、例えば、RGBの三原色の輝度値により表現される。つまり、本実施の形態では、ポイントクラウドデータは、三次元空間における点のそれぞれについて、X座標とY座標とZ座標と赤の輝度値と緑の輝度値と青の輝度値とを示すデータである。このように、ポイントクラウドデータは、位置を表すデータと色を表すデータとを含むが、以下の説明においては、適宜、色を表すデータの説明を省略する。
【0055】
図8において、点71は原点を示し、平面72は配置面600を示し、線73は点71から平面72に延びる垂線を示し、矢印74は平面72の法線ベクトルを示す。ここで、点75は、ポイントクラウドデータのt番目のフレームにおけるi番目の点であるpitを示す。また、点76は点75を平面72に投影した点であるpfitを示す。ここで、法線ベクトルをn、三次元空間における平面72上の任意の点をx、平面72と点71との符号付距離をhとすると、平面72は、ベクトルの内積を用いて、式(1)により表される。
n・x=h (1)
【0056】
また、式(2)は、三次元空間における任意の点を法線ベクトルに沿って平面72に投影するための計算式であり、pitからpfitを求めるための式である。ここで、式(3)は、投影のための移動ベクトルを示す式である。ここで、移動ベクトルの時間毎の相加平均を求めることにより、求めた移動ベクトルを補正用のパラメータとする。深度画像を表すポイントクラウドデータをこの補正パラメータを用いて補正することにより補正後のポイントクラウドデータが求められる。この補正後のポイントクラウドデータにより表される画像が補正深度画像である。
pfit=pit-((pit・n)-h)n (2)
it=((pit・n)-h)n (3)
【0057】
つまり、画像補正部103は、第1深度画像を表すポイントクラウドデータを上述した移動ベクトルで補正する。画像補正部103は、補正されたポイントクラウドデータにより表される画像を第1補正深度画像として取得する。画像補正部103は、同様の手法により、第2深度画像を第2補正深度画像に補正する。このように、画像補正部103は、ポイントクラウドデータを補正することにより、深度画像を補正深度画像に補正する。ポイントクラウドデータの補正は、深度画像に対応するポイントクラウドデータにおいて配置面600に相当する部分で検出精度により発生したズレを低減するための補正であり、配置面600が平面であるという前提条件に従って配置面600に相当する部分が平面になるようにする補正である。画像補正部103は、画像補正部の一例である。
【0058】
画像統合部104は、第1補正深度画像と第2補正深度画像とを統合した統合補正深度画像を生成する。画像統合部104が統合補正深度画像を生成する手法は、適宜、調整することができる。例えば、画像統合部104は、第2補正深度画像を表すポイントクラウドデータに対して剛体変換マトリクスを適用して、第2補正深度画像を表すポイントクラウドデータを、第1補正深度画像を表すポイントクラウドデータに統合可能な形に変換する。剛体変換マトリクスは、第1補正深度画像中における4つのマーカ400の位置と、第2補正深度画像中における4つのマーカ400の位置とに基づいて算出される。
【0059】
画像統合部104は、剛体変換により変換された第2補正深度画像を表すポイントクラウドデータを、第1補正深度画像を表すポイントクラウドデータに統合することにより、統合補正深度画像を表すポイントクラウドデータを生成する。以下、ポイントクラウドデータを用いて、深度画像を統合する手法について説明する。
【0060】
まず、第1補正深度画像を表すポイントクラウドデータをpcdcam1とすると、pcdcam1は式(4)により示される。また、第2補正深度画像を表すポイントクラウドデータをpcdcam2とすると、pcdcam2は式(5)により示される。aからaは、第1補正深度画像により深度が表現された各ポイントを表す。bからbは、第2補正深度画像により深度が表現された各ポイントを表す。なお、nは、ポイントの個数である。
pcdcam1={a,a,・・・,a} (4)
pcdcam2={b,b,・・・,b} (5)
【0061】
第1補正深度画像内におけるマーカ400に対応するポイントクラウドデータをcheckercam1とすると、checkercam1は式(6)により示される。第2補正深度画像内におけるマーカ400に対応するポイントクラウドデータをcheckercam2とすると、checkercam2は式(7)により示される。c11、c12、c13、c14は、それぞれ、第1補正深度画像において、マーカ400A、マーカ400B、マーカ400C、マーカ400Dの位置を示すポイントである。c21、c22、c23、c24は、それぞれ、第1補正深度画像において、マーカ400A、マーカ400B、マーカ400C、マーカ400Dの位置を示すポイントである。
checkercam1={c11,c12,c13,c14} (6)
checkercam2={c21,c22,c23,c24} (7)
【0062】
式(8)は、回転行列をRとし、平行移動ベクトルをtとして、c1iとc2iとの関係を示す式である。iは、1から4までの整数である。ここで、画像統合部104は、第2補正深度画像内におけるマーカ400が第1補正深度画像内におけるマーカ400に重なるように、つまり、{c21,c22,c23,c24}が{c11,c12,c13,c14}に重なるように、回転行列であるRと平行移動ベクトルであるtとを求める。
1i=Rc2i+t (8)
【0063】
合成後のポイントクラウドデータであるpcdcam1+cam2は、式(9)により示される。このように、pcdcam1+cam2は、pcdcam2に対して位置合わせのための回転操作及び平行移動操作を加えたものをpcdcam1に加えることで生成される。統合補正深度画像は、pcdcam1+cam2というポイントクラウドデータにより表される画像である。画像統合部104は、画像統合部の一例である。
pcdcam1+cam2={a,Rb+t,a,Rb+t,・・・,a,Rb+t} (9)
【0064】
画像変換部105は、第1補正深度画像を、配置面600からの高さを表す第1高さ画像に変換する。また、画像変換部105は、第2補正深度画像を、配置面600からの高さを表す第2高さ画像に変換する。また、画像変換部105は、統合補正深度画像を、配置面600からの高さを表す統合高さ画像に変換する。高さ画像は、配置面600からの高さを表す画像である。高さ画像は、第1高さ画像と第2高さ画像と統合高さ画像との総称である。
【0065】
例えば、画像変換部105は、第1補正深度画像を表すポイントクラウドデータに対して、座標変換処理を実行することで座標変換後のポイントクラウドデータを取得し、取得した座標変換後のポイントクラウドデータが示す画像を第1高さ画像として取得する。この座標変換は、撮像装置200Aを基準とした座標系を、配置面600を基準とした座標系にするための座標変換である。この座標変換は、撮像装置200Aを基準とした座標軸を、配置面600を基準とした座標軸に重なるように回転させることにより実現する。この座標変換により、撮像装置200Aからの距離を表すポイントクラウドデータが、配置面600からの高さを示すポイントクラウドデータに変換される。変換後のポイントクラウドデータは、第1高さ画像を表す。図9に、第1高さ画像である画像730を示す。画像730は、配置面600からの高さが高い部分ほど、濃い色で表現した画像である。
【0066】
画像変換部105は、同様の手法により、第2補正深度画像を第2高さ画像に変換し、統合補正深度画像を統合高さ画像に変換する。例えば、画像変換部105は、第2補正深度画像を表すポイントクラウドデータに対して、撮像装置200Bを基準とした座標系を、配置面600を基準とした座標系にするための座標変換処理を実行する。画像変換部105は、座標変換により得られたポイントクラウドデータが示す画像を第2高さ画像として取得する。また、画像変換部105は、統合補正深度画像を表すポイントクラウドデータに対して、撮像装置200Aを基準とした座標系を、配置面600を基準とした座標系にするための座標変換処理を実行する。画像変換部105は、座標変換により得られたポイントクラウドデータが示す画像を統合高さ画像として取得する。画像変換部105は、画像変換部の一例である。
【0067】
画像生成部106は、第1高さ画像における複数のマーカ400の内側の領域の画像である第1マーカ内画像を生成する。また、画像生成部106は、第2高さ画像における複数のマーカ400の内側の領域の画像である第2マーカ内画像を生成する。また、画像生成部106は、統合高さ画像における複数のマーカ400の内側の領域の画像である統合マーカ内画像を生成する。マーカ内画像は、4つのマーカ400の内側の領域の画像である。具体的には、マーカ内画像は、4つのマーカ400の内側の領域における配置面600からの高さを、予め定められた解像度で表す画像である。本実施の形態では、マーカ内画像は、150画素×150画素で、各画素に対応する部分における配置面600からの高さを画素値で表す画像である。マーカ内画像は、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像との総称である。
【0068】
図10に、第1マーカ内画像である画像740を示す。画像740は、配置面600からの高さが高い部分ほど、濃い色で表現した画像である。画像生成部106は、画像730から4つのマーカ400の内側の領域である領域410内の画像色画像740を生成する。例えば、画像生成部106は、領域410内の画像を150×150の小領域に分割し、小領域毎に画素値の最大値を求める。そして、画像生成部106は、各小領域の画素値としてこの最大値を採用した画像740を生成する。なお、補正深度画像中におけるマーカ400の位置は、色画像から特定可能である。同様の手法により、画像生成部106は、第2高さ画像から第2マーカ内画像を生成し、統合高さ画像から統合マーカ内画像を生成する。
【0069】
なお、4つのマーカ400の内側の領域である領域410をどのように定義するのかは、適宜、調整することができる。例えば、図10に示すように、4つのマーカ400のそれぞれの最も内側の部分を結ぶ領域を領域410としてもよい。又は、4つのマーカ400のそれぞれの最も外側の部分を結ぶ領域を領域410としてもよい。また、図10では、領域410の外縁を表す矩形の辺と、画像730の外縁を表す矩形の辺とのなす角度が0度又は90度である例について説明した。この角度は、0度又は90度でなくてもよい。画像生成部106は、画像生成部の一例である。
【0070】
サイズ特定部107は、第1深度画像と第2深度画像と統合深度画像とから物品500のサイズを特定する。具体的には、サイズ特定部107は、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像とをそれぞれ学習済みモデルに入力する。そして、サイズ特定部107は、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像とのそれぞれにおける学習済みモデルの出力に基づいて物品500のサイズを特定する。
【0071】
学習済みモデルは、マーカ内画像から物品500のサイズを特定するためのモデルであり、物品500の種類毎に用意されるモデルである。学習済みモデルは、150画素×150画素に規格化されたマーカ内画像と、このマーカ内画像に表現された物品500の現実空間におけるサイズとを含む教師データを用いた学習により生成することができる。マーカ内画像は、上述したようにサイズが規格化されている。従って、マーカ内画像内における物品500のサイズは、現実空間における物品500のサイズに対応する。このため、学習済みモデルを用いてマーカ内画像から物品500のサイズを精度良く特定することが期待できる。
【0072】
また、配置面600の色と物品500の色とが類似する色である場合、色画像に基づく画像において配置面600と物品500との境界を特定することは容易ではない。このような場合においても、深度画像に基づくマーカ内画像において配置面600と物品500との境界を特定することは容易である。この点からも、学習済みモデルを用いてマーカ内画像から物品500のサイズを精度良く特定することが期待できる。本実施の形態では、学習済みモデルは、教師データを用いた学習により予め作成されており、記憶部12に記憶されている。
【0073】
学習済みモデルの出力データは、適宜、調整することができる。例えば、学習済みモデルの出力データは、複数のサイズの候補のそれぞれに該当する確率を示すデータである。例えば、ある種類の物品500の長さの候補として、5cmと6cmと7cmとが存在する場合を想定する。この場合、学習済みモデルの出力データは、例えば、5cmである確率が20%、6cmである確率が60%、7cmである確率が20%であるというデータである。
【0074】
そして、サイズ特定部107は、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像とのそれぞれにおける学習済みモデルの出力データを総合的に判断して、物品500のサイズを特定する。例えば、上述の例において、第1マーカ内画像を学習済みモデルに入力したときの出力データを第1出力データ、第2マーカ内画像を学習済みモデルに入力したときの出力データを第2出力データ、統合マーカ内画像を学習済みモデルに入力したときの出力データを統合出力データとする。第1出力データは、5cmである確率が20%、6cmである確率が60%、7cmである確率が20%であるというデータである。第2出力データは、5cmである確率が30%、6cmである確率が50%、7cmである確率が20%であるというデータである。統合出力データは、5cmである確率が10%、6cmである確率が85%、7cmである確率が5%であるというデータである。
【0075】
この場合、サイズ特定部107は、例えば、長さの候補毎に、該当する確率の平均値を求める。上述の例では、5cmである確率の平均が20%、6cmである確率の平均が65%、7cmである確率の平均が15%である。この場合、サイズ特定部107は、該当する確率の平均値が最も大きい6cmを物品500の長さとして特定する。サイズ特定部107は、サイズ特定部の一例である。
【0076】
二値化部108は、マーカ内画像を二値化し、二値化画像を生成する。つまり、二値化部108は、第1マーカ内画像を二値化し、第1二値化画像を生成する。また、二値化部108は、第2マーカ内画像を二値化し、第2二値化画像を生成する。また、二値化部108は、統合マーカ内画像を二値化し、統合二値化画像を生成する。二値化画像は、第1二値化画像と第2二値化画像と統合二値化画像との総称である。二値化の閾値をどのように設定するのかは、適宜、調整することができる。
【0077】
例えば、物品500の種類に応じた閾値が予め設定されていてもよいし、物品500の種類と物品500のサイズとに応じた閾値が予め設定されていてもよい。又は、マーカ内画像における各画素の画素値に基づいて、閾値が設定されてもよい。例えば、マーカ内画像における各画素の画素値の平均値が、閾値として設定されてもよい。図11に、第1二値化画像である画像750を示す。画像750は、画像740において閾値以上の画素値を有する画素のみを濃い色で表現した画像である。二値化部108は、二値化部の一例である。
【0078】
サイド特定部109は、深度画像から物品500のサイドを特定する。具体的には、サイド特定部109は、深度画像に基づいて生成される矩形内画像における二値化データの分布に基づいて、物品500のサイドを特定する。矩形内画像は、二値化画像における物品500を囲む最小境界矩形の内部の画像である。第1矩形内画像は、第1二値化画像における物品500を囲む最小境界矩形の内部の画像である。第2矩形内画像は、第2二値化画像における物品500を囲む最小境界矩形の内部の画像である。統合矩形内画像は、統合二値化画像における物品500を囲む最小境界矩形の内部の画像である。矩形内画像は、第1矩形内画像と第2矩形内画像と統合矩形内画像との総称である。
【0079】
図11に、第1二値化画像である画像750における物品500を囲む最小境界矩形である矩形751を示す。図12に、第1矩形内画像である画像760を示す。画像760は、画像750における矩形751の内部の画像である。より詳細には、画像760は、画像750から矩形751の内部の画像を抽出し、抽出した画像を矩形751の1つの辺が画像の縦軸又は横軸と平行になるように回転させた画像である。
【0080】
サイド特定部109は、第1矩形内画像である画像760における二値化データの分布に基づいて、第1ベクトルを特定する。図12において、点761は画像760の中心点を示し、矢印762は第1ベクトルを示す。サイド特定部109が第1ベクトルを特定する手法は、適宜、調整することができる。本実施の形態では、主成分分析により第1ベクトルを特定する。例えば、画像760において、物品500を表す画素の画素値が1であり、配置面600を表す画素の画素値が0である場合を想定する。この場合、サイド特定部109は、画素値が1である画素の分散が最大になる軸、つまり、第1主成分の軸を探索する。サイド特定部109は、この軸に沿って延びるベクトルを第1ベクトルとして特定する。そして、サイド特定部109は、第1ベクトルが延びる方向から物品500のサイドを特定する。
【0081】
以下、図13を参照して、第1ベクトルが延びる方向から物品500のサイドを特定する手法について説明する。物品500Aは左足用の大腿骨コンポーネントトライアルであり、物品500Bは右足用の大腿骨コンポーネントトライアルである。物品500Aと物品500Bとは鏡像関係にある。従って、物品500Aを配置面600に配置したときと、物品500Bを配置面600に配置したときとでは、配置の仕方に拘わらず、高さ画像における高さの分布の仕方が異なる。この分布の仕方は、上述した第1ベクトルが延びる方向に現れる。従って、サイド特定部109は、第1ベクトルが延びる方向からこの分布の仕方を検出して、物品500のサイドを特定する。
【0082】
本実施の形態では、サイド特定部109は、第1ベクトルが最小境界矩形の何れかの辺と最初に平行になるまで時計回りに回転させたときの回転角に応じて物品500のサイドを特定する。具体的には、サイド特定部109は、この回転角が45度以下である場合、物品500が左足用の大腿骨コンポーネントトライアルであると特定し、この回転角が45度を超える場合、物品500が右足用の大腿骨コンポーネントトライアルであると特定する。
【0083】
図13において、画像760Aは、物品500Aを撮像したときの矩形内画像であり、矩形751Aは、物品500Aを撮像したときの最小境界矩形である。また、点761Aは、画像760Aの中心点であり、矢印762Aは、画像760Aから求められる第1ベクトルを示す矢印である。また、正方形763は、物品500のサイドを特定するための図形であり、点764は、正方形763の中心点である。正方形763は、点764を中心に8つの領域に分割されており、隣合う領域には異なるサイドが設定されている。
【0084】
ここで、点761Aが点764と重なり、矩形751Aの辺と正方形763の辺とが平行になるように、画像760Aを正方形763に重ねる。次に、矢印762Aが正方形763の何れかの辺と最初に平行になるまで、点764を中心にして矢印762Aを時計回りに回転させる。このとき、矢印762Aは左足用を表すLの領域に配置され、回転角であるθaは45度以下である。従って、サイド特定部109は、物品500Aを左足用の物品であると判定する。
【0085】
また、図13において、画像760Bは、物品500Bを撮像したときの矩形内画像であり、矩形751Bは、物品500Bを撮像したときの最小境界矩形である。また、点761Bは、画像760Bの中心点であり、矢印762Bは、画像760Bから求められる第1ベクトルを示す矢印である。
【0086】
ここで、点761Bが点764と重なり、矩形751Bの辺と正方形763の辺とが平行になるように、画像760Bを正方形763に重ねる。ここで、矢印762Bが正方形763の何れかの辺と最初に平行になるまで、点764を中心にして矢印762Bを時計回りに回転させる。このとき、矢印762Bは右足用を表すRの領域に配置され、回転角であるθbは45度を超える。従って、サイド特定部109は、物品500Bを右足用の物品であると判定する。
【0087】
また、サイド特定部109は、第2矩形内画像における二値化データの分布に基づいて第2ベクトルを特定し、第2ベクトルが延びる方向に基づいて物品500のサイドを特定する。また、サイド特定部109は、統合矩形内画像における二値化データの分布に基づいて統合ベクトルを特定し、統合ベクトルが延びる方向に基づいて物品500のサイドを特定する。そして、サイド特定部109は、第1ベクトルに基づく特定結果と第2ベクトルに基づく特定結果と統合ベクトルに基づく特定結果とに基づいて、物品500のサイドを特定する。例えば、サイド特定部109は、多数決判定により、物品500のサイドを特定する。具体的には、例えば、第1ベクトルに基づく特定結果が左足用であり、第2ベクトルに基づく特定結果が右足用であり、統合ベクトルに基づく特定結果が左足用である場合、サイド特定部109は、物品500のサイドを左足用であると特定する。サイド特定部109は、サイド特定部の一例である。
【0088】
表示制御部110は、種類特定部102が特定した物品500の種類とサイズ特定部107が特定した物品500のサイズとサイド特定部109が特定した物品500のサイドとのうち少なくとも1つに基づく物品情報を、表示部13に表示させる。物品情報は、物品500の種類と物品500のサイズと物品500のサイドとのうち少なくとも1つを示す情報でもよいし、物品500の種類と物品500のサイズと物品500のサイドとのうち少なくとも1つを用いた判定の結果を示す情報でもよい。表示制御部110は、表示制御部の一例である。
【0089】
通信制御部111は、上述した物品情報を、第2通信部16を介して表示装置300に送信する。一方、表示装置300は、物品特定装置100から受信した物品情報に基づく情報をタッチスクリーン、液晶ディスプレイ等に表示する。表示装置300が備えるプロセッサであって、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を制御するプロセッサは、表示制御部の一例である。
【0090】
次に、図14を参照して、物品特定装置100が実行する物品特定処理について説明する。なお、物品特定処理は、例えば、物品特定装置100が備える操作受付部14が、物品特定処理の開始を指示する操作を受け付けたことに応答して実行される。
【0091】
まず、物品特定装置100が備える制御部11は、色画像と深度画像とを取得する(ステップS101)。具体的には、制御部11は、第1色画像と第1深度画像とを撮像装置200Aから取得し、第2色画像と第2深度画像とを撮像装置200Bから取得する。制御部11は、ステップS101の処理を完了すると、色画像から物品500の種類を特定する(ステップS102)。例えば、制御部11は、周知のパターンマッチング技術、周知の機械学習技術等を用いて、第1色画像から物品500の種類を特定する。
【0092】
制御部11は、ステップS102の処理を完了すると、サイズ特定処理を実行する(ステップS103)。サイズ特定処理については、図15を参照して、詳細に説明する。
【0093】
まず、制御部11は、深度画像を補正深度画像に補正する(ステップS201)。具体的には、制御部11は、第1深度画像を第1補正深度画像に補正し、第2深度画像を第2補正深度画像に補正する。制御部11は、ステップS201の処理を完了すると、統合補正深度画像を生成する(ステップS202)。つまり、制御部11は、第1補正深度画像と第2補正深度画像とから統合補正深度画像を生成する
【0094】
制御部11は、ステップS202の処理を完了すると、補正深度画像を選択する(ステップS203)。つまり、制御部11は、第1補正深度画像と第2補正深度画像と統合補正深度画像との3つの補正深度画像から1つの補正深度画像を選択する。制御部11は、ステップS203の処理を完了すると、補正深度画像を高さ画像に変換する(ステップS204)。例えば、制御部11は、選択した第1補正深度画像を第1高さ画像に変換する。
【0095】
制御部11は、ステップS204の処理を完了すると、マーカ内画像を生成する(ステップS205)。例えば、制御部11は、第1高さ画像から第1マーカ内画像を生成する。制御部11は、ステップS205の処理を完了すると、マーカ内画像を学習済みモデルに入力する(ステップS206)。例えば、制御部11は、第1マーカ内画像を学習済みモデルに入力する。
【0096】
制御部11は、ステップS206の処理を完了すると、学習済みモデルの出力データを取得する(ステップS207)。例えば、制御部11は、物品500のサイズの候補毎に該当する確率を示す出力データを学習済みモデルから取得する。制御部11は、ステップS207の処理を完了すると、未選択の補正深度画像があるか否かを判別する(ステップS208)。つまり、制御部11は、3つの補正深度画像を全て選択済みであるか否かを判別する。
【0097】
制御部11は、未選択の補正深度画像があると判別すると(ステップS208:YES)、ステップS203に処理を戻す。この場合、制御部11は、ステップS203にて新たな補正深度画像を選択し、ステップS204からステップS208の処理を実行する。制御部11は、未選択の補正深度画像がないと判別すると(ステップS208:NO)、各出力データから物品500のサイズを特定する(ステップS209)。つまり、制御部11は、第1出力データと第2出力データと統合出力データとに基づいて、物品500のサイズを特定する。制御部11は、ステップS209の処理を完了すると、サイズ特定処理を完了する。
【0098】
制御部11は、ステップS103のサイズ特定処理を完了すると、サイド特定処理を実行する(ステップS104)。サイド特定処理については、図16を参照して、詳細に説明する。
【0099】
まず、制御部11は、マーカ内画像を選択する(ステップS301)。つまり、制御部11は、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像との3つのマーカ内画像から1つのマーカ内画像を選択する。制御部11は、ステップS301の処理を完了すると、マーカ内画像から二値化画像を生成する(ステップS302)。例えば、制御部11は、選択した第1マーカ内画像から第1二値化画像を生成する。
【0100】
制御部11は、ステップS302の処理を完了すると、二値化画像から矩形内画像を生成する(ステップS303)。例えば、制御部11は、第1二値化画像から第1矩形内画像を生成する。制御部11は、ステップS303の処理を完了すると、二値データの分布からベクトルを特定する(ステップS304)。例えば、制御部11は、第1矩形内画像が示す二値化データの分布から第1ベクトルを特定する。
【0101】
制御部11は、ステップS304の処理を完了すると、ベクトルが延びる方向から物品500のサイドを特定する(ステップS305)。例えば、制御部11は、第1ベクトルが延びる方向から物品500のサイドを特定する。制御部11は、ステップS305の処理を完了すると、未選択のマーカ内画像があるか否かを判別する(ステップS306)。つまり、制御部11は、3つのマーカ内画像を全て選択済みであるか否かを判別する。
【0102】
制御部11は、未選択のマーカ内画像があると判別すると(ステップS306:YES)、ステップS301に処理を戻す。この場合、制御部11は、ステップS301にて新たなマーカ内画像を選択し、ステップS302からステップS306の処理を実行する。制御部11は、未選択のマーカ内画像がないと判別すると(ステップS306:NO)、多数決判定により物品500のサイドを特定する(ステップS307)。制御部11は、ステップS307の処理を完了すると、サイド特定処理を完了する。
【0103】
制御部11は、ステップS104のサイド特定処理を完了すると、物品情報を表示する(ステップS105)。例えば、制御部11は、物品500の種類と物品500のサイズと物品500のサイドとのうち少なくとも1つに関する物品情報を、表示部13に表示する。制御部11は、ステップS105の処理を完了すると、物品情報を表示装置300に送信する(ステップS106)。例えば、制御部11は、第2通信部16を介して、物品情報を表示装置300に送信する。制御部11は、ステップS106の処理を完了すると、物品特定処理を完了する。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態では、深度画像から物品500のサイズが特定される。従って、本実施の形態によれば、物品500のサイズを精度良く特定することができる。また、本実施の形態では、マーカ内画像が入力された学習済みモデルの出力データに基づいて、物品500のサイズが特定される。従って、本実施の形態によれば、物品500のサイズを更に精度良く特定することができる。また、本実施の形態では、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像とのそれぞれにおける学習済みモデルの出力データに基づいて物品のサイズが特定される。従って、本実施の形態によれば、物品500のサイズを更に精度良く特定することができる。
【0105】
本実施の形態では、深度画像から物品500のサイドが特定される。従って、本実施の形態によれば、物品500のサイドを精度良く特定することができる。また、本実施の形態では、矩形内画像における二値化データの分布に基づいて、物品500のサイドが特定される。従って、本実施の形態によれば、物品500のサイドを更に精度良く特定することができる。また、本実施の形態では、第1矩形内画像における二値化データの分布と、第2矩形内画像における二値化データの分布と、統合矩形内画像における二値化データの分布とに基づいて物品500のサイドが特定される。従って、本実施の形態によれば、物品500のサイドを更に精度良く特定することができる。
【0106】
(変形例)
以上、本開示の実施の形態を説明したが、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0107】
上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上述した実施の形態は、適宜、自由に組み合わせることができる。また、上述した実施の形態で説明した構成要素の個数は、適宜、調整することができる。また、採用可能な素材、サイズ、電気的特性などが、上記実施の形態において示したものに限定されないことは勿論である。
【0108】
実施の形態では、4つのマーカ400が正方形の頂点に対応する位置に配置される例について説明した。マーカ400が、撮像画像におけるスケールを特定可能であり、2つの撮像装置200が撮像した2つの撮像画像の位置合わせに利用可能であれば、マーカ400の個数及び配置は、適宜、調整することができる。例えば、4つのマーカ400が長方形の頂点に対応する位置に配置されてもよい。また、例えば、3つのマーカ400が正三角形の頂点に対応する位置に配置されてもよい。
【0109】
実施の形態では、第1マーカ内画像と第2マーカ内画像と統合マーカ内画像とに基づいて物品500のサイズが特定される例について説明した。第1マーカ内画像に基づいて物品500のサイズが特定されてもよいし、第2マーカ内画像に基づいて物品500のサイズが特定されてもよいし、統合マーカ内画像に基づいて物品500のサイズが特定されてもよい。
【0110】
また、実施の形態では、第1矩形内画像と第2矩形内画像と統合矩形内画像とに基づいて物品500のサイドが特定される例について説明した。第1矩形内画像に基づいて物品500のサイドが特定されてもよいし、第2矩形内画像に基づいて物品500のサイドが特定されてもよいし、統合矩形内画像に基づいて物品500のサイドが特定されてもよい。
【0111】
実施の形態では、撮像装置200の個数が2つである例について説明した。撮像装置200の個数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。撮像装置200の個数が1つである場合、深度画像から補正深度画像とマーカ内画像と二値化画像と矩形内画像とが生成され、マーカ内画像に基づいて物品500のサイズが特定され、矩形内画像に基づいて物品500のサイドが特定される。
【0112】
撮像装置200の個数が3つ以上である場合、3つ以上の深度画像から3つ以上の補正深度画像が生成され、3つ以上の補正深度画像から1つ又は複数の統合補正深度画像が生成される。例えば、3つの補正深度画像が存在する場合、2つの補正深度画像を含む組み合わせは3通りであり、3つの補正深度画像を含む組み合わせは1通りである。従って、3つの補正深度画像から最大で4つの統合補正深度画像が生成される。そして、少なくとも1つの統合マーカ内画像を含む複数のマーカ内画像と、少なくとも1つの統合二値化画像を含む複数の二値化画像と、少なくとも1つの統合矩形内画像を含む複数の矩形内画像とが生成される。そして、複数のマーカ内画像に基づいて物品500のサイズが特定され、複数の矩形内画像に基づいて物品500のサイドが特定される。
【0113】
実施の形態では、1つの撮像装置200が、イメージセンサと深度センサとを備え、色画像と深度画像とを生成する例について説明した。イメージセンサを備え、色画像を生成する撮像装置200と、深度センサを備え、深度画像を生成する撮像装置200とが、用意されてもよい。この場合、イメージセンサを備える撮像装置200と深度センサを備える撮像装置200とがほぼ同じ地点に配置され、イメージセンサを備える撮像装置200の撮像領域と深度センサを備える撮像装置200の撮像領域とがほぼ同じであればよい。
【0114】
実施の形態では、物品特定装置100は、物品500のサイズと物品500のサイドとを特定する例について説明した。物品特定装置100は、物品500のサイズを特定せずに物品500のサイドを特定してもよいし、物品500のサイドを特定せずに物品500のサイズを特定してもよい。
【0115】
実施の形態では、物品特定システム1000が物品特定装置100と撮像装置200と表示装置300とを備える例について説明した。実施の形態で説明した機能を物品特定システム1000全体として備えるのであれば、物品特定システム1000の構成はどのような構成でもよい。例えば、物品特定システム1000が物品特定装置100と撮像装置200とを備え、物品特定装置100が表示装置300の機能を備えていてもよい。また、物品特定システム1000が物品特定装置100と撮像装置200とを備え、撮像装置200が表示装置300の機能を備えていてもよい。
【0116】
この場合、撮像装置200は、AR(Augmented Reality)又はMR(Mixed Reality)を実現可能なゴーグルであることが好適である。この場合、例えば、器械出し看護師がゴーグルを装着し、ゴーグルが複数のマーカ400と物品500と配置面600とを撮像して色画像と深度画像とを生成する。物品特定装置100は、ゴーグルから色画像と深度画像とを取得し、色画像から物品500の種類を特定し、深度画像から物品500のサイズと物品500のサイドとを特定する。ゴーグルは、物品500の種類と物品500のサイズと物品500のサイドとを含む物品情報を物品特定装置100から取得する。ゴーグルは、物品500の種類、物品500のサイズ、物品500のサイド等を含む情報を、ゴーグルが撮像した画像に重ねて表示することができる。
【0117】
また、物品特定装置100は、物品500の種類、物品500のサイズ、物品500のサイド等が予め定められたものであるか否かを判別し、判別結果を示す物品情報をゴーグルに供給してもよい。この場合、ゴーグルは、判別結果を示す情報をゴーグルが撮像した画像に重ねて表示することができる。また、ゴーグルが、複数の物品500を撮像した場合、物品特定装置100は、複数の物品500が、種類、サイズ、サイド等の観点から対応した関係にあるか否かを判別してもよい。この場合、ゴーグルは、判別結果を示す情報をゴーグルが撮像した画像に重ねて表示することができる。なお、対応した関係とは、互換性がある関係、同時に使用される関係等の関係である。
【0118】
上記実施の形態では、制御部11において、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、図4に示した各部として機能した。しかしながら、本開示において、制御部11は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0119】
本開示に係る物品特定装置100の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本開示に係る物品特定装置100として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0120】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0121】
11 制御部、12 記憶部、13 表示部、14 操作受付部、15 第1通信部、16 第2通信部、71,75,76 点、72 平面、73 線、74,762,762A,762B 矢印、100 物品特定装置、101 画像取得部、102 種類特定部、103 画像補正部、104 画像統合部、105 画像変換部、106 画像生成部、107 サイズ特定部、108 二値化部、109 サイド特定部、110 表示制御部、111 通信制御部、200,200A,200B 撮像装置、211,212,761,761A,761B,764 点、251,252 支持部材、300 表示装置、400,400A,400B,400C,400D マーカ、410 領域、500,500A,500B 物品、600 配置面、710,720,730,740,750,760,760A,760B 画像、751,751A,751B 矩形、763 正方形、1000 物品特定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16