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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086375
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】個室ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200838
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(72)【発明者】
【氏名】今 健一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信一
(72)【発明者】
【氏名】大泉 好史
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】東田 祐治
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 駿汰
(57)【要約】
【課題】使用者の耳の近傍にスピーカの音声出力部を配することにより、電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、個室の外に音が漏れにくくすることができる、個室ブースを提供する。
【解決手段】個室ブースの一実施形態であるブース装置1は、前壁である背板25と、背板25と交差する左右の側壁である側板22・22と、を有する周壁2で囲われた個室内に、背板25に向かって使用するように設けられた作業用の天板52を備え、背板25には左右方向に隣接する一対のスピーカSa・Saが設けられ、スピーカSa・Saの音声出力部So・Soは、少なくとも天板52の使用者の耳と水平方向に重なる高さ位置に設置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁と、前記前壁と交差する左右の側壁と、を有する周壁で囲われた個室内に、前記前壁に向かって使用するように設けられた作業用の天板を備えた個室ブースであって、
前記前壁には、左右方向に隣接する一対のスピーカが設けられ、
前記一対のスピーカの音声出力部は、少なくとも前記天板の使用者の耳と水平方向に重なる高さ位置に設置される、個室ブース。
【請求項2】
前壁と、前記前壁と交差する左右の側壁と、を有する周壁で囲われた個室内に、前記前壁に向かって使用するように設けられた作業用の天板を備えた個室ブースであって、
前記前壁には、左右方向に隣接する一対のスピーカが設けられ、
前記一対のスピーカの音声出力部の全部又は一部は、前記前壁の上端よりも前記天板の上面に近い高さ位置に設置される、個室ブース。
【請求項3】
前記前壁に、ディスプレイ支持部材が支持されており、
前記一対のスピーカは、前記ディスプレイ支持部材を挟んで配置される、請求項1又は請求項2に記載の個室ブース。
【請求項4】
前記スピーカは指向性スピーカである、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の個室ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一人又は小人数で利用可能な個室ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等で一人又は小人数で利用可能な専用の個室ブースが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-129764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の個室ブースには、個室を構成する周壁の上端部にスピーカが設けられている。このような構成によれば、個室ブースからの音漏れを防止するためには、個室の上部を天井部材で塞ぐとともに、天井部材や周壁の遮音性にも配慮する必要があった。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る個室ブースは、前壁と、前記前壁と交差する左右の側壁と、を有する周壁で囲われた個室内に、前記前壁に向かって使用するように設けられた作業用の天板を備えた個室ブースであって、前記前壁には、左右方向に隣接する一対のスピーカが設けられ、前記一対のスピーカの音声出力部は、少なくとも前記天板の使用者の耳と水平方向に重なる高さ位置に設置される。
【0006】
上記第1観点に係る個室ブースによれば、天板に向かって中央に配置されるPCやディスプレイを避けつつ、使用者の耳の近傍にスピーカの音声出力部を配することにより、電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0007】
また、本発明の第2観点に係る個室ブースは、前壁と、前記前壁と交差する左右の側壁と、を有する周壁で囲われた個室内に、前記前壁に向かって使用するように設けられた作業用の天板を備えた個室ブースであって、前記前壁には、左右方向に隣接する一対のスピーカが設けられ、前記一対のスピーカの音声出力部の全部又は一部は、前記前壁の上端よりも前記天板の上面に近い高さ位置に設置される。
【0008】
上記第2観点に係る個室ブースによれば、天板に向かって中央に配置されるPCやディスプレイを避けつつ、天板の上面に近い高さ位置にスピーカの音声出力部を配することにより、電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0009】
また、本発明の第3観点に係る個室ブースは、第1観点又は第2観点に係る個室ブースであって、前記前壁に、ディスプレイ支持部材が支持されており、前記一対のスピーカは、前記ディスプレイ支持部材を挟んで配置される。
【0010】
上記第3観点に係る個室ブースによれば、個室ブースにおけるディスプレイの取付作業を容易にすることができる。
【0011】
また、本発明の第4観点に係る個室ブースは、第1観点から第3観点の何れか一に係る個室ブースであって、前記スピーカは指向性スピーカである。
【0012】
上記第4観点に係る個室ブースによれば、個室の外にさらに音が漏れにくくすることができる。
【0013】
上記の各観点に係る個室ブースにおいて、「使用者」とは、女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまでの成人(オフィスワーカー)を対象としている。
【0014】
上記各観点に係る個室ブースにおいて、「作業用の天板」とは、着座姿勢による作業用の天板(使用者が通常の高さの椅子に座った状態で使用するもの)だけでなく、立位姿勢による作業用の天板(使用者が立った状態、又は、使用者の上半身が立ったときと近い高さになる椅子に座った状態で使用するもの)を含む。
【発明の効果】
【0015】
以上における本発明に係る個室ブースは、以下に示す効果を奏する。
【0016】
第1観点に係る個室ブースによれば、個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0017】
第2観点に係る個室ブースによれば、個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0018】
第3観点に係る個室ブースによれば、個室ブースにおけるディスプレイの取付作業を容易にすることができる。
【0019】
第4観点に係る個室ブースによれば、個室の外にさらに音が漏れにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一実施形態に係るブース装置を示した斜視図。
図2】第一実施形態に係るブース装置の内部構造を示した斜視図。
図3図1におけるY-Y線一部断面図。
図4】第一実施形態に係るブース装置を示した平面図。
図5】スピーカ支持部材の組付構成を示した斜視図。
図6】スピーカの組付構成を示した斜視図。
図7】スピーカの周囲に吸音パネルを組付けた状態を示した斜視図。
図8】ディスプレイ支持部材の組付構成を示した斜視図。
図9】第二実施形態に係るブース装置の内部構造を示した側方断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[ブース装置1]
以下では図1から図8を用いて、ブース装置1について説明する。本実施形態に係るブース装置1は、本発明に係る個室ブースの一実施例である。本実施形態に係るブース装置1は図1及び図2に示す如く、床面に載置されて一人又は小人数で室内を利用するために用いられる。ブース装置1は主にスチール又はアルミ合金等の金属製部材を組み合わせることにより構成される。
【0022】
本実施形態においては、図1中の矢印でブース装置1の方向を規定する。また、図3に示す如く、本実施形態に係るブース装置1は使用者がブース装置1の後方に向かって使用するように構成されている。このため、以下では適宜ブース装置1の使用者の姿勢に基づいて前後方向を記載する(ブース装置1の後方を「使用者から見て前側」として記載する)場合がある。
【0023】
図1から図4に示す如く、本実施形態に係るブース装置1は、上方に開口部2aが形成されて床に接地する筒形状の周壁2を備えることにより個室を構成する。周壁2は四本の支柱21と、支柱21によって平面視で矩形に連結されたスチールパネルである、側板22、扉枠パネル23、及び、背板25と、で構成される。扉枠パネル23にはヒンジHを介して扉24が開閉可能に組付けられる。本実施形態に係るブース装置1において、背板25は周壁2の前壁(使用者から見て前側に位置する周壁)におけるパネル本体として機能する。また、左右の側板22・22は前壁である背板25と交差する側壁におけるパネル本体として機能する。
【0024】
図1及び図4に示す如く、支柱21は周壁2の四隅に配置され、側板22、扉枠パネル23及び扉24、及び、背板25が組付けられる柱状部材である。周壁2において外側に露出する支柱21の側面には側面カバー部材21aが取り付けられる。
【0025】
図1に示す如く、扉枠パネル23と扉24とはヒンジHを介して回動可能に組付けられている。扉24にはドアノブ24aが設けられる。本実施形態において、扉24には透明なガラスパネルが組付けられるが、扉24を不透明な素材で構成しても差し支えない。
【0026】
本実施形態において、周壁2の両側部にはそれぞれ二枚の側板22・22が互いに連結されて配置される。それぞれの側板22の上辺には、互いに連通される溝部22aが形成されている。また、背板25の上辺にも溝部25aが形成されている。
【0027】
なお、側板22、扉枠パネル23と扉24、及び、背板25の幅寸法(厚さ方向と直交する水平方向の長さ寸法)を変更することにより、周壁2の外形寸法を変更することができる。即ち、ブース装置1は、周壁2の外形寸法を変更することによって前後左右方向の大きさを適宜変更することが可能である。
【0028】
図2から図4に示す如く、周壁2の内側面のうち、側板22の後部及び背板25(扉24の反対側)には、不織布等の吸音素材で形成された複数の吸音パネル42が設けられる。本実施形態に係るブース装置1によれば、ブース装置1の内部の使用者からの発声を吸音パネル42で吸収することにより、ブース装置1の遮音性(ブース装置1の内部と外部との相互間において伝達される音量の減衰性)を高める構成としている。なお、本実施形態においては、複数の吸音パネル42が上下方向に5枚に分割されて設けられており、周壁2に対してそれぞれ独立して着脱可能とされている。
【0029】
図7及び図8に示す如く、吸音パネル42は取付枠41を介して側板22及び背板25に組付けられる。取付枠41は側板22及び背板25と吸音パネル42との間に介挿される連結部材であり、後述する如くスピーカSa及びディスプレイDを取付けるための取付部材としても機能する。本実施形態において側板22に対する吸音パネル42の組付構成は、背板25に対する組付構成と同様であるため、以下では背板25に対して吸音パネル42を組付ける手法について説明する。
【0030】
取付枠41は、上端部に形成された係止部41aと、取付枠41の本体部である棒状のフレーム41bと、を備える。図8に示す如く、係止部41aが背板25の溝部25aに係止されることにより、取付枠41が背板25に組付けられる。図1図2、及び図8に示す如く、係止部41aは上キャップ41dにより被覆される。フレーム41bにはパネル支持部材43を固定するために複数の取付孔41cが開口される。また、側板22に取付けられた取付枠41におけるフレーム41bの下端部には、最下部に設けられる吸音パネル42を載置ための載置部41eが形成される(図3を参照)。
【0031】
取付枠41にはパネル支持部材43を介して吸音パネル42が支持される。具体的には図8に示す如く、取付枠41を背板25に組付け、パネル支持部材43で吸音パネル42を係止した状態で、パネル支持部材43と取付孔41cとにねじ部材を螺入する。これにより、吸音パネル42がパネル支持部材43及び取付枠41を介して背板25に組付けられる。
【0032】
本実施形態に係るブース装置1においては図2及び図4に示す如く、周壁2における背板25の内周面には、左右方向に隣接する一対のスピーカSa・Saが設けられる。本実施形態におけるスピーカSaは正面(使用者に対向する側の面)が円形状に形成されるとともに、正面のほぼ全域が音声出力部Soとして構成されている。
【0033】
図5及び図6に示す如く、一対のスピーカSa・Saは取付部材である取付枠41を介して背板25に組付けられる。具体的に、スピーカSa・Saは板状のスピーカ支持部材41fを介して取付枠41に組付けられる。本実施形態に係るブース装置1において、スピーカSa・Saと同じ高さ位置に取付けられる吸音パネル42には、図7に示す如く、スピーカSaの音声出力部Soを露出させるために円形の開口が二箇所に形成されている。
【0034】
上記の如く、スピーカSaの音声出力部Soは吸音パネル42の表面に重なるように設置される。これにより、使用者の声を吸音パネル42で吸音してブース装置1内での反響を抑制するとともに、ブース装置1の内部の意匠性を高めることができる。なお、スピーカSaの音声出力部Soを吸音パネル42の表面と面一に設置することも可能である。この場合でも、使用者の声を吸音パネル42で吸音してブース装置1内での反響を抑制するとともに、ブース装置1の内部の意匠性を高めることができる。
【0035】
本実施形態に係るブース装置1において、スピーカSa・Saは図6に示す如く、パネル本体である背板25に支持された取付部材である取付枠41に、スピーカ支持部材41fを介して固定される。そして、図7及び図8に示す如く、取付枠41及びスピーカ支持部材41fは吸音パネル42に隠蔽される。
【0036】
上記の如く、ブース装置1においてはスピーカSa・Saを、スピーカ支持部材41fを介して取付枠41に取付けることにより、背板25に対するスピーカSa・Saの取付を容易にできる。また、取付枠41及びスピーカ支持部材41fを吸音パネル42で隠蔽することで、ブース装置1内に取付枠41及びスピーカ支持部材41fが露出することを防いでブース装置1内部の意匠性を高めることができる。
【0037】
取付部材である取付枠41には、スピーカSa・Sa以外のオプション部材を取付けることが可能である。例えば、本実施形態に係るブース装置1において、背板25において吸音パネル42を支持する取付枠41には、照明I及びディスプレイDが取り付けられている。
【0038】
図8に示す如く、ディスプレイDは取付部材である取付枠41を介して、背板25における一対のスピーカSa・Saの間に組付けられる。具体的に、ディスプレイDはディスプレイ支持部材Bdを介して取付枠41に組付けられる。より詳細には、ディスプレイDが組付けられるディスプレイ支持部材Bdはパネル支持部材43に対してねじ部材で固定される。これにより、ディスプレイDはディスプレイ支持部材Bd及び取付枠41を介して背板25に組付けられる。
【0039】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1においては、取付部材である取付枠41にディスプレイ支持部材Bdが支持されている。そして、図8に示す如く、一対のスピーカSa・Saは、ディスプレイ支持部材Bdを挟んで配置される。これにより、ディスプレイDを取付ける際にスピーカSa・Saとの干渉を防ぐことができるため、ディスプレイDの取付作業を容易にすることができる。
【0040】
本実施形態に係るブース装置1において、周壁2の開口部2aには、図1から図3に示す如く、支持部材30を介して遮蔽部が設けられる。本実施形態において、遮蔽部として屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が採用される。
【0041】
ブース装置1においては、支持部材30・30が左右両側における側板22の溝部22aに係合される。そして、それぞれの支持部材30・30の間に、屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が架け渡される。これにより、開口部2aを遮蔽する遮蔽部として屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び第二ルーバー部材33が設けられる。
【0042】
本実施形態において、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、不織布等の吸音性の素材が表出するように構成されている。また、遮蔽部である屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33は、平面視で開口部2aの開口面積の3割以下の領域を遮蔽する(遮蔽率が3割以下となる)ように構成されている。これにより、火災発生時にスプリンクラー等による上方からの散水性を確保することができる。
【0043】
上記の如く、本実施形態に係るブース装置1においては、ブース装置1の内部の使用者からの発声を屋根部材31で反射させることにより、発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性を高めることができる。また、屋根部材31において前後方向に対向する二つの側辺と周壁2との間が開放されているため、スプリンクラー等による上方からの散水性を阻害することがない。
【0044】
また、本実施形態に係るブース装置1においては、ブース装置1の内部の使用者からの発声を第一ルーバー部材32同士、及び、第二ルーバー部材33同士の間で反射させることにより、発声がブース装置1の外部に放出され難くなるため、ブース装置1の遮音性をより高めることができる。
【0045】
本実施形態に係るブース装置1の内部には、背板25に沿って天板52が設けられる。具体的には図2及び図3に示す如く、天板支持部51が支柱21に固定され、天板52が二個の天板支持部51の上部に固定されることにより、天板52がブース装置1における後方の内部(背板25に沿った位置)に設けられる。図3に示す如く、本実施形態に係るブース装置1が備える天板52は、使用者が前壁である背板25に向かって使用するように設けられた作業用の天板である。
【0046】
本実施形態に係るブース装置1においては図3に示す如く、二個の天板支持部51の間には、通信機器や配線等を収容するためのトレイ53が設けられる。また、トレイ53の前側には、トレイ53の上側を被覆するためのカバー54が固定されている。
【0047】
ブース装置1の内部の前側には、ブース装置1の内部を遮蔽可能なカーテン62が設けられる。具体的には図1及び図4に示す如く、カーテン62を吊支可能なレール61が取付部材を介して扉枠パネル23に取付けられる。そして、カーテン62がレール61に沿ってスライドしつつ伸縮可能に設けられる。これにより、扉24に透明なガラスパネルを用いた場合でも、カーテン62によりブース装置1の内部を遮蔽することができる。
【0048】
本実施形態に係るブース装置1の内部には、使用者が天板52を使用する際に座るための椅子72が設けられる。本実施形態において、椅子72は背板25の下端部から延びる椅子支持部材71に支持され、ブース装置1の内部における位置が不変に固定されている。
【0049】
本実施形態に係るブース装置1において、背板25に設けられたスピーカSaの音声出力部Soは、少なくとも天板52の使用者の耳と水平方向に重なる高さ位置に設置される。具体的には図3に示す如く、天板52の使用者の耳位置Pe1の床面からの高さである第一耳高さHe1は、音声出力部Soの上端部における床面からの高さである第一上端高さH1よりも小さく、音声出力部Soの下端部における床面からの高さである第一下端高さH2よりも大きくなるように構成されている。
【0050】
なお、本実施形態に係るブース装置1においては椅子72の位置が固定されているが、本実施形態の如くブース装置1に天板52が固定されている場合は使用者の位置及び姿勢が限定される。このため、ブース装置1内に配置される椅子を固定せず、椅子の配置を自在に変更できるものとすることも可能である。
【0051】
本実施形態に係るブース装置1によれば、使用者の耳の近傍にスピーカSaの音声出力部Soを配することができる。これにより、パソコンやディスプレイD等の電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、ブース装置1の個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るブース装置1において、スピーカSaの音声出力部Soは、背板25の上端よりも天板52の上面に近い高さ位置に設置される。具体的には図3に示す如く、第一上端高さH1は背板25の上端の床面からの高さである背板高さHwよりも小さく構成される。また、第一下端高さH2は天板52の上面の床面からの高さである第一天板高さHt1よりも大きく構成される。そして、背板高さHwと第一上端高さH1との差(Hw-H1)が、第一下端高さH2と第一天板高さHt1との差(H2-Ht1)よりも大きくなるように構成されている。
【0053】
本実施形態に係るブース装置1によれば、天板52の上面に近い高さ位置にスピーカSaの音声出力部Soを配することができる。これにより、パソコンやディスプレイD等の電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、ブース装置1の個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0054】
なお、本実施形態に係るブース装置1においては、スピーカSaの音声出力部Soの全部が、背板25の上端よりも天板52の上面に近い高さ位置に設置される構成としているが、音声出力部Soの一部が、背板25の上端よりも天板52の上面に近い高さ位置に設置される構成とすることも可能である。この場合でも、天板52の上面に近い高さ位置にスピーカSaの音声出力部Soを配することができるため、ブース装置1の個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0055】
なお、本実施形態に係るブース装置1において、「天板52の使用者」とは、女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまでの成人(オフィスワーカー)が着座姿勢を取る場合を想定している。即ち、天板52の使用者の耳位置Pe1は、成人女性の5パーセンタイルから成人男性の95パーセンタイルまでに含まれる人が椅子に座った際の耳位置が取りうる領域内に位置している。
【0056】
また、本実施形態に係るブース装置1において、周壁2の上端部には遮蔽率3割以下の遮蔽部として、屋根部材31、第一ルーバー部材32、及び、第二ルーバー部材33が取り付けられている。本実施形態に係るブース装置1においては、遮蔽部による遮蔽率を3割以下とすることにより、遮蔽部が散水性に与える影響を抑制することができる。また、遮蔽部で音声を遮蔽することによって、ブース装置1の室外へ音声が漏れにくくすることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るブース装置1において、背板25には吸音パネル42が設けられる。これにより、ブース装置1の使用者が発する音声を吸音パネル42で吸音することができるため、ブース装置1の個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0058】
本発明に係るブース装置1においては上記の如く、周壁2を構成する側板22及び背板25に吸音パネル42を取付けることにより、ブース装置1の内部における反響や音漏れを軽減し、狭小空間でもWEB会議等を快適に行うことが可能となる。即ち、本実施形態に係るブース装置1を用いてブースユニットを構成した場合、スチールパネルである側板22及び背板25により遮音するとともに、吸音パネル42により吸音及び効果的な音漏れ抑制を実現することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係るブース装置1を複数個連接してブースユニットを構成することも可能である。この場合、スチールパネルに吸音パネル42を取付ける構成とすることにより、ブース装置1の施工時や解体時の作業を容易にすることができる。このため、ブースユニットを構成するブース装置1の数やレイアウトの変更に対して柔軟に対応することができる。
【0060】
複数のブース装置1を左右方向に連接させてブースユニットを構成する場合、隣接するブース装置1との間に設けられるスチールパネル(側板22)に吸音パネル42が取付けられることが好ましい。これにより、隣接するブース装置1に声が漏れにくくすることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るブース装置1において、スチールパネル(側板22及び背板25)と吸音パネル42との間に、オプション部材を取付可能なオプション取付部材として取付枠41が設けられている。そして、取付枠41は吸音パネル42に隠蔽される。これにより、取付枠41を介してスピーカSa等のオプション部材の着脱を行うことができる。さらに、ブース装置1内に取付枠41が露出することを抑制して、ブース装置1の内部の意匠性を維持することができる。
【0062】
また、本実施形態に係るブース装置1において、吸音パネル42はパネル支持部材43を介してオプション取付部材である取付枠41に着脱可能に固定される。これにより、取付枠41に対してパネル支持部材43を着脱することによって吸音パネル42の着脱ができるため、側板22及び背板25に対する吸音パネル42の着脱を容易に行うことが可能となる。
【0063】
また、本実施形態に係るブース装置1を用いてブースユニットを構成する場合、スチールパネル(側板22及び背板25)の表面と吸音パネル42の裏面との間にはスピーカSaのケーブル等の配線を挿通可能な空間が形成されることが好ましい。これにより、ブース装置1内に配線が露出することを抑制できるため、ブース装置1の内部の意匠性を損なうことなく配線を取り廻すことができる。
【0064】
また、本実施形態に係るブース装置1において、吸音パネル42は、上下方向に五枚に分割されるとともに、個別に着脱可能とされる。これにより、一枚あたりの吸音パネル42の上下方向の大きさをコンパクトにすることができるため、吸音パネル42の搬送、着脱、及び交換時の作業を容易に行うことができる。
【0065】
また、本実施形態に係るブース装置1を用いてブースユニットを構成する場合は、天板52は、隣接するブース装置1の使用者が互いに対向することなく同じ方向を向く姿勢となるように設置することが好ましい。これにより、使用者が隣接するブース装置1とは異なる方向に向かって発声するため、隣接するブース装置1に声が漏れにくくすることが可能となる。
【0066】
なお、本発明に係るブース装置を用いてブースユニットを構成する場合に、ブース装置内に天板ではなく椅子を配置し、隣接するブース装置の使用者が互いに対向することなく同じ方向を向く姿勢となるように設置する構成とすることも可能である。この場合でも、使用者が隣接するブース装置とは異なる方向に向かって発声するため、隣接するブース装置に声が漏れにくくすることが可能となる。
【0067】
なお、本発明に係るブース装置を複数個用いて連接し、ブースユニットを構成する場合は、複数のブース装置は各ブース装置の使用者が、ブース装置の連接方向に沿った同じ方向を向いて使用可能に配置する構成(直列配置構成)とすることもできる。この場合、ブース装置の扉は側板に設けられることになる。
【0068】
また、複数のブース装置は、直列配置構成又は並列配置構成をブース装置の連接方向に平行に並べて配置する構成とすることも可能である。また、複数のブース装置は、各ブース装置の使用者が平面視で時計回り方向又は反時計回り方向に隣接する個室の方向を向いて使用可能に配置する構成(回転配置構成)とすることも可能である。
【0069】
[ブース装置1A]
以下では図9を用いて、本発明の第二実施形態に係るブース装置1について説明する。本実施形態に係るブース装置1Aは、本発明に係る個室ブースの別実施例である。本実施形態に係るブース装置1Aは図9に示す如く、床面に載置されて一人又は小人数で室内を利用するために用いられる。
【0070】
本実施形態に係るブース装置1Aは、前記実施形態に係るブース装置1における天板52の高さを高くするとともに椅子72を設けない構成としたものである。このため、ブース装置1Aを構成する各部材のうち、前記実施形態に係るブース装置1と共通するものについては同符号を付して詳細な説明を省略する。なお、ブース装置1と比較して天板52の位置を高くしたことに伴い、ブース装置1AにおいてはスピーカSa、照明I及びディスプレイDの高さも天板52と同じ上下幅だけ高い位置に配置している。
【0071】
本実施形態に係るブース装置1Aの内部には、背板25に沿って天板52が設けられる。図9に示す如く、本実施形態に係るブース装置1Aが備える天板52は、使用者が前壁である背板25に向かって使用するように設けられた作業用の天板である。
【0072】
本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、背板25に設けられたスピーカSaの音声出力部Soは、少なくとも天板52の使用者の耳と水平方向に重なる高さ位置に設置される。具体的には図9に示す如く、天板52の使用者の耳位置Pe1の床面からの高さである第二耳高さHe2は、音声出力部Soの上端部における床面からの高さである第二上端高さH3よりも小さく、音声出力部Soの下端部における床面からの高さである第二下端高さH4よりも大きくなるように構成されている。
【0073】
なお、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、「天板52の使用者」とは、女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまでの成人(オフィスワーカー)が立位姿勢を取る場合を想定している。即ち、天板52の使用者の耳位置Pe2は、成人女性の5パーセンタイルから成人男性の95パーセンタイルまでに含まれる人が立った際の耳位置が取りうる領域内に位置している。
【0074】
なお、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、「天板52の使用者」として、女性の5パーセンタイルから男性の95パーセンタイルまでの成人(オフィスワーカー)が、その上半身が立ったときと近い高さになる椅子に座った場合を想定することもできる。即ち、天板52の使用者の耳位置Pe2は、成人女性の5パーセンタイルから成人男性の95パーセンタイルまでに含まれる人がハイチェアに座った際の耳位置が取りうる領域内に位置することも可能である。
【0075】
本実施形態に係るブース装置1Aによれば、使用者の耳の近傍にスピーカSaの音声出力部Soを配することができる。これにより、パソコンやディスプレイD等の電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、ブース装置1Aの個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0076】
また、本実施形態に係るブース装置1Aにおいて、スピーカSaの音声出力部Soは、背板25の上端よりも天板52の上面に近い高さ位置に設置される。具体的には図9に示す如く、第二上端高さH3は背板25の上端の床面からの高さである背板高さHwよりも小さく構成される。また、第二下端高さH4は天板52の上面の床面からの高さである第二天板高さHt2よりも大きく構成される。そして、側板高さHwと第二上端高さH3との差(Hw-H3)が、第二下端高さH4と第二天板高さHt2との差(H4-Ht2)よりも大きくなるように構成されている。
【0077】
本実施形態に係るブース装置1Aによれば、天板52の上面に近い高さ位置にスピーカSaの音声出力部Soを配することができる。これにより、パソコンやディスプレイD等の電子機器から出力する音声を小さくすることができるため、ブース装置1Aの個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0078】
なお、本実施形態に係るブース装置1Aにおいては、スピーカSaの音声出力部Soの全部が、背板25の上端よりも天板52の上面に近い高さ位置に設置される構成としているが、音声出力部Soの一部が、背板25の上端よりも天板52の上面に近い高さ位置に設置される構成とすることも可能である。この場合でも、天板52の上面に近い高さ位置にスピーカSaの音声出力部Soを配することができるため、ブース装置1Aの個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【0079】
なお、本実施形態に係るスピーカSaは指向性スピーカを用いてもよい。音声出力部Soは使用者の耳の近傍位置に指向性を持たせた音声出力をすることができ、耳の近傍位置以外への音声出力を減少することができる。これにより、無指向性のスピーカに比べ、さらにブース装置1Aの個室の外に音が漏れにくくすることができる。特に、本実施形態に係るブース装置1Aのように、上部の少なくとも一部が開口されているブースの場合、一般的なスピーカを用いると、上部の開口からの音漏れにより個室の外への音漏れを十分に防げないことがある。そのような場合に、例えば平面スピーカのような指向性スピーカを用いることで、個室の外に音が漏れにくくすることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 ブース装置(第一実施形態)
1A ブース装置(第二実施形態)
2 周壁 2a 開口部
21 支柱 21a 側面カバー部材
22 側板 22a 溝部
23 扉枠パネル 24 扉
24a ドアノブ
25 背板 25a 溝部
30 支持部材 31 屋根部材
32 第一ルーバー部材
33 第二ルーバー部材
41 取付枠 41a 係止部
41b フレーム 41c 取付孔
41d 上キャップ 41e 載置部
41f スピーカ支持部材
42 吸音パネル 43 パネル支持部材
51 天板支持部 52 天板
53 トレイ 54 カバー
61 レール 62 カーテン
71 椅子支持部材 72 椅子
H ヒンジ
Sa スピーカ So 音声出力部
D ディスプレイ I 照明
Pe1 耳位置(着座姿勢)
Pe2 耳位置(立位姿勢)
He1 第一耳高さ He2 第二耳高さ
Ht1 第一天板高さ Ht2 第二天板高さ
H1 第一上端高さ H2 第一下端高さ
H3 第二上端高さ H4 第二下端高さ
Hw 背板高さ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9