(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086378
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】発光装置、プロジェクター、ディスプレイ、および発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/11 20210101AFI20230615BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20230615BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230615BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H01S5/11
G03B21/14 A
G09F9/33
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200843
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 崇
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【テーマコード(参考)】
2K203
5C094
5F173
【Fターム(参考)】
2K203FA23
2K203FA24
2K203FA25
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA54
2K203FA62
2K203MA04
2K203MA40
5C094BA03
5C094BA23
5C094ED01
5F173AA23
5F173AB90
5F173AH22
5F173AK22
5F173AP05
5F173AP09
5F173AP13
5F173AR93
(57)【要約】
【課題】隣り合う第1柱状部が接する可能性を小さくすることができる発光装置を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板の基板面に設けられ、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体と、を有し、前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入されることで発光する発光層を有し、前記複数の第1柱状部は、前記基板の垂線方向からみて、前記複数の第2柱状部を囲み、前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径は、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さい、発光装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の基板面に設けられ、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入されることで発光する発光層を有し、
前記複数の第1柱状部は、前記基板の垂線方向からみて、前記複数の第2柱状部を囲み、
前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径は、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さい、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記積層体は、前記複数の第2柱状部のうちの隣り合う第2柱状部の間に設けられた光伝搬層を有する、発光装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の第1柱状部の各々の前記発光層の径と、前記複数の第2柱状部の各々の前記発光層の径と、の差は、前記複数の第1柱状部の各々の前記端の径と、前記複数の第2柱状部の各々の前記端の径と、の差よりも小さい、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記複数の第1柱状部の各々の前記発光層の径と、前記複数の第2柱状部の各々の前記発光層の径とは、同じである、発光装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記複数の第1柱状部および前記複数の第2柱状部は、1つのフォトニック結晶を構成している、発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記積層体は、前記基板の基板面に設けられたマスク層を有し、
前記マスク層には、複数の第1開口部と、複数の第2開口部とが設けられ、
前記複数の第1柱状部の各々の前記端の径は、前記複数の第1開口部の各々の径と同じであり、
前記複数の第2柱状部の各々の前記端の径は、前記複数の第2開口部の各々の径と同じである、発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置を有する、プロジェクター。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置を有する、ディスプレイ。
【請求項9】
基板の基板面に、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体を形成する工程を有し、
前記積層体を形成する工程において、
前記複数の第1柱状部が、前記基板の垂線方向から見て前記複数の第2柱状部を囲み、かつ、前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径が、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さくなるように、前記複数の第1柱状部および前記複数の第2柱状部をエピタキシャル成長させ、
前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入される
ことで発光する発光層を有する、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、発光装置の製造方法、プロジェクター、ディスプレイ、および発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーは、高輝度の次世代光源として期待されている。特に、ナノコラムを適用した半導体レーザーは、ナノコラムによるフォトニック結晶の効果によって、狭放射角で高出力の発光が実現できると期待されている。
【0003】
例えば特許文献1には、n型AlGaNなどのn型クラッド層を含む微細柱状結晶と、活性層と、p型AlGaNなどのp型クラッド層を含むp型半導体層と、からなる複数のナノコラムを備えた半導体発光素子アレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような半導体発光素子アレイでは、複数のナノコラムのうちの最外のナノコラムは、例えばナノコラムを成長させるための材料が供給され過ぎることによって、径が大きくなり、隣り合うナノコラムが接する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板の基板面に設けられ、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入されることで発光する発光層を有し、
前記複数の第1柱状部は、前記基板の垂線方向からみて、前記複数の第2柱状部を囲み、
前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径は、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さい。
【0007】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0008】
本発明に係るディスプレイの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0009】
発光装置の製造方法の一態様は、
基板の基板面に、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体を形成する工程を有し、
前記積層体を形成する工程において、
前記複数の第1柱状部が、前記基板の垂線方向から見て前記複数の第2柱状部を囲み、
かつ、前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径が、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さくなるように、前記複数の第1柱状部および前記複数の第2柱状部をエピタキシャル成長させ、
前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入されることで発光する発光層を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図2】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図3】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図4】本実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するためのフローチャート。
【
図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図6】本実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図7】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【
図8】本実施形態に係るディスプレイを模式的に示す平面図。
【
図9】本実施形態に係るディスプレイを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1. 発光装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。
図2は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す
図1のII-II線断面図である。
図3は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図であって、
図2に示す領域Aの拡大図である。なお、
図1~
図3では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0013】
発光装置100は、
図2および
図3に示すように、例えば、基板10と、積層体20と、第1電極50と、第2電極52と、を有している。発光装置100は、例えば、半導体レーザーである。
【0014】
基板10は、例えば、支持基板12と、バッファー層14と、を有している。支持基板12は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板、SiC基板などである。バッファー層14は、支持基板12上に設けられている。バッファー層14は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。
【0015】
積層体20は、基板10の基板面10aに設けられている。図示の例では、積層体20は、基板10上に設けられている。積層体20は、例えば、マスク層22と、複数の柱状部30と、光伝搬層40と、を有している。なお、便宜上、
図1では、柱状部30の発光層34、およびマスク層22に設けられた開口部24以外の図示を省略している。
【0016】
本明細書では、積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、柱状部30の発光層34を基準とした場合、発光層34から柱状部30の第2半導体層36に向かう方向を「上」とし、発光層34から柱状部30の第1半導体層32に向かう方向を「下」として説明する。また、積層方向と直交する方向を「面内方向」ともいう。「
積層体20の積層方向」とは、第1半導体層32と発光層34との積層方向のことであり、基板10の垂線N方向である。「基板10の垂線N」とは、基板10の上面の垂線である。
図2に示す例では、垂線Nは、Z軸と平行である。本実施形態において、積層体20が基板10の基板面10aに設けられている、とは、積層体20が、基板10の上面に、積層体20の積層方向が基板10の垂線N方向に沿うように設けられていることを意味する。
【0017】
マスク層22は、
図2および
図3に示すように、バッファー層14上に設けられている。マスク層22は、例えば、チタン層、酸化シリコン層、酸化チタン層、酸化アルミニウム層などである。マスク層22は、柱状部30を成長させるためのマスクとして機能する。
【0018】
柱状部30は、バッファー層14上に設けられている。柱状部30は、バッファー層14から上方に突出した柱状の形状を有している。言い換えれば、柱状部30は、基板10から上方に突出している。柱状部30は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の平面形状は、例えば、六角形などの多角形、円である。
図1に示す例では、柱状部30の発光層34の平面形状は、正六角形である。
【0019】
柱状部30の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。柱状部30の径を500nm以下とすることによって、高品質な結晶の発光層34を得ることができ、かつ、発光層34に内在する歪を低減することができる。これにより、発光層34で発生する光を高い効率で増幅することができる。
【0020】
なお、「柱状部30の径」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部30の径は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。このことは、後述する「開口部24の径」において、同様である。
【0021】
柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間隔は、互いに離間している。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部30は、積層方向からみて、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部30は、例えば、三角格子状、正方格子状に配列されている。
図1に示す例では、複数の柱状部30は、正三角格子状に配列されている。複数の柱状部30は、フォトニック結晶の効果を発現することができる。
【0022】
なお、「柱状部30のピッチ」とは、所定の方向に隣り合う柱状部30の中心間の距離である。「柱状部30の中心」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部30の中心は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0023】
柱状部30は、
図2および
図3に示すように、例えば、第1半導体層32と、発光層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0024】
第1半導体層32は、バッファー層14上に設けられている。第1半導体層32は、基板10と発光層34との間に設けられている。第1半導体層32は、第1導電型の半導体層である。第1半導体層32は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。
【0025】
発光層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。発光層34は、電流が注入されることで光を発生させる。発光層34は、例えば、ウェル層と、バリア層と、を有している。ウェル層およびバリア層は、不純物が意図的にドープされていないi型の半導体層である。ウェル層は、例えば、InGaN層である。バリア層は、例えば、GaN層である。発光層34は、ウェル層とバリア層とから構成されたMQW(Multiple Quantum Well)構造を有している。
【0026】
なお、発光層34を構成するウェル層およびバリア層の数は、特に限定されない。例えば、ウェル層は、1層だけ設けられていてもよく、この場合、発光層34は、SQW(Single Quantum Well)構造を有している。
【0027】
第2半導体層36は、発光層34上に設けられている。第2半導体層36は、発光層34と第2電極52との間に設けられている。第2半導体層36は、第1導電型と異なる第2導電型の半導体層である。第2半導体層36は、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。第1半導体層32および第2半導体層36は、発光層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0028】
なお、図示はしないが、第1半導体層32と発光層34との間、および発光層34と第2半導体層36との間の少なくとも一方に、i型のInGaN層およびGaN層からなるOCL(Optical Confinement Layer)が設けられていてもよい。また、第2半導体層36は、p型のAlGaN層からなるEBL(Electron Blocking Layer)を有してもよい。
【0029】
発光装置100では、p型の第2半導体層36、不純物が意図的にドープされていないi型の発光層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、発光層34に電流が注入されて発光層34において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。発光層34で発生した光は、面内方向に伝搬し、複数の柱状部30によるフォトニック結晶の効果により定在波を形成して、発光層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0030】
なお、図示はしないが、支持基板12とバッファー層14との間、または基板10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、発光層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0031】
光伝搬層40は、隣り合う柱状部30の間に設けられている。光伝搬層40は、マスク層22上に設けられている。光伝搬層40は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、ポリイミド層などである。発光層34で発生した光は、光伝搬層40を面内方向に伝搬することができる。
【0032】
第1電極50は、
図2に示すように、バッファー層14上に設けられている。図示の例では、バッファー層14の一部が掘り込まれ、バッファー層14の掘り込まれた部分に第1電極50が設けられている。バッファー層14は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層14を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50としては、例えば、バッファー層14側から、Cr層、Ni層、Au層の順序で積層された金属電極などを用いる。第1電極50は、発光層34に電流を注入するための一方の電極である。
【0033】
第2電極52は、第2半導体層36上に設けられている。さらに、第2電極52は、光伝搬層40上に設けられている。第2半導体層36は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極52としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やZnO等の透明電極、バッファー層14側から、Ni層、Au層の順序で積層された金属電極、金属電極に透明電極が積層されたものなどを用いる。第2半導体層36と透明電極との間に金属電極を設けることで、第2電極52のコンタクト抵抗を低くすることができる。この場合、金属電極の厚さは、透明電極の厚さよりも小さい。第2電極52は、発光層34に電流を注入するための他方の電極である。
【0034】
なお、図示はしないが、第2電極52は、光伝搬層40上に設けられたパッドと、配線を介して接続されていてもよい。パッドには、ワイヤーボンディングやFPC(Flexible
Printed Circuits)が接続されていてもよい。
【0035】
また、上記では、InGaN系の発光層34について説明したが、発光層34としては、出射される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。
【0036】
また、発光装置100は、レーザーに限らず、LED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0037】
1.2. 第1柱状部および第2柱状部
積層体20は、複数の第1柱状部30aおよび複数の第2柱状部30bを有している。複数の柱状部30は、複数の第1柱状部30aおよび複数の第2柱状部30bで構成されている。複数の第1柱状部30aおよび複数の第2柱状部30bは、第1電極50および第2電極52によって電流が注入されることで発光する発光層34を有している。
【0038】
複数の第1柱状部30aは、
図1に示すように、積層方向からみて、複数の第2柱状部30bを囲んでいる。複数の第1柱状部30aは、第1柱状部群130aを構成している。複数の第2柱状部30bは、第2柱状部群130bを構成している。第1柱状部群130aは、積層方向からみて、第2柱状部群130bを囲んでいる。
【0039】
複数の柱状部30のうち最外に設けられた柱状部30は、第1柱状部30aである。「複数の柱状部30の最外に設けられた柱状部30」とは、複数の柱状部30のうちの隣り合う柱状部30の中心を線分で結んで図形を形成した場合に、当該図形の外縁を構成する線分が通る位置に設けられた柱状部30のことである。
【0040】
複数の柱状部30は、X軸に沿って配列され、列2を構成している。複数の列2は、Y軸方向に配列されている。図示の例では、複数の列2のうち、最も-Y軸方向の列2と、該列2から+Y軸方向に3つ目までの例2と、は、第1柱状部30aで構成されている。さらに、複数の列2のうち、最も+Y軸方向の列2と、該列2から-Y軸方向に3つ目までの例2と、は、第1柱状部30aで構成されている。さらに、複数の列2のうち、第1柱状部30aで構成された列2以外の列2では、複数の柱状部30の最外に設けられた柱状部30と、該柱状部30から列2の中央側に3つ目までの柱状部30とは、第1柱状部30aである。
【0041】
複数の第1柱状部30aは、周期的に配列されている。複数の第2柱状部30bは、周期的に配列されている。複数の第1柱状部30aと複数の第2柱状部30bとは、同じ周期配列を有している。図示の例では、複数の第1柱状部30aと複数の第2柱状部30b
とは、正三角格子状に配列されている。複数の第1柱状部30aのピッチ、複数の第2柱状部30bのピッチ、および隣り合う第1柱状部30aの中心と第2柱状部30bの中心との間の距離は、互いに同じである。複数の第1柱状部30aおよび複数の第2柱状部30bは、1つのフォトニック結晶230を構成している。例えば、複数の第1柱状部30aによるフォトニック結晶と複数の第2柱状部30bによるフォトニック結晶とによって、1つのフォトニック結晶230が構成されている。この場合、複数の第1柱状部30aによるフォトニック結晶における導波モードと、複数の第2柱状部30bによるフォトニック結晶における導波モードとが、結合する。例えば、複数の第2柱状部のピッチと、隣り合う第1柱状部の中心と第2柱状部の中心との間の距離と、が異なる場合には、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部は、1つのフォトニック結晶を構成することができない。
【0042】
第1柱状部30aの基板10側の端31の径D1は、
図3に示すように、第2柱状部30bの基板10側の端31の径D2よりも小さい。端31は、柱状部30のバッファー層14と接している部分である。図示の例では、端31は、柱状部30の下端である。径D1は、第1柱状部30aの根元の径である。径D2は、第2柱状部30bの根元の径である。
【0043】
柱状部30の第1半導体層32は、例えば、第1部分32aと、第2部分32bと、第3部分32cと、を有している。第1部分32aは、マスク層22に設けられた開口部24に位置している。第1部分32aは、積層方向において一定の径を有している。第1部分32aは、端31を有している。第2部分32bは、第1部分32a上に設けられている。第2部分32bは、上方に向けて徐々に径が大きくなっている。第3部分32cは、第2部分32b上に設けられている。第3部分32cは、積層方向において一定の径を有している。第3部分32cは、発光層34に接続されている。
【0044】
第1柱状部30aの第2部分32bの側面の基板10に対する傾斜角θ1は、例えば、第2柱状部30bの第2部分32bの側面の基板10に対する傾斜角θ2よりも小さい。第1柱状部30aの第3部分32cの径と、第2柱状部30bの第3部分32cの径とは、例えば、同じである。
【0045】
柱状部30の発光層34は、例えば、積層方向において一定の径を有している。第1柱状部30aの発光層34の径D3と、第2柱状部30bの発光層34の径D4と、の差(以下、「発光部径差」ともいう)は、第1柱状部30aの端31の径D1と、第2柱状部30bの端31の径D2と、の差(以下、「端部径差」ともいう)よりも小さい。上記のように、傾斜角θ1は、傾斜角θ2よりも小さいため、発光部径差を端部径差よりも小さくすることができる。図示の例では、第1柱状部30aの発光層34の径と、第2柱状部30bの発光層34の径とは、同じであり、発光部径差は、ゼロである。
【0046】
柱状部30の第2半導体層36は、例えば、上方に向けて徐々に径が大きくなっている。第1柱状部30aの第2半導体層36の径と、第2柱状部30bの第2半導体層36の径とは、例えば、同じである。
【0047】
マスク層22には、複数の開口部24が設けられている。
図1に示す例では、開口部24の平面形状は、円である。マスク層22には、複数の第1開口部24aおよび複数の第2開口部24bが設けられている。複数の開口部24は、複数の第1開口部24aおよび複数の第2開口部24bで構成されている。第1柱状部30aは、
図3に示すように、第1開口部24aから上方に突出している。第1柱状部30aの端31の径D1は、第1開口部24aの径と同じである。第2柱状部30bは、第2開口部24bから上方に突出している。第2柱状部30bの端31の径D2は、第2開口部24bの径と同じである。
【0048】
光伝搬層40は、例えば、隣り合う第1柱状部30aの間、隣り合う第2柱状部30bの間、および隣り合う第1柱状部30aと第2柱状部30bとの間に設けられている。
【0049】
1.3. 作用効果
発光装置100では、基板10と、基板10に設けられ、複数の第1柱状部30aおよび複数の第2柱状部30bを有する積層体20と、を有する。複数の第1柱状部30aの各々および複数の第2柱状部30bの各々は、電流が注入されることで発光する発光層34を有する。複数の第1柱状部30aは、積層方向からみて、複数の第2柱状部30bを囲み、複数の第1柱状部30aの各々の基板10側の端31の径D1は、複数の第2柱状部30bの各々の基板10側の端31の径D2よりも小さい。
【0050】
そのため、発光装置100では、径D1が径D2と同じ場合に比べて、例えば第1柱状部30aにエピタキシャル成長のための材料が供給され過ぎたとしても、隣り合う第1柱状部30aが接する可能性を小さくすることができる。これにより、隣り合う第1柱状部が接して壁が形成され、該壁の内側にプロセス中のガスが残ることにより信頼性が低下したり、第2柱状部にエピタキシャル成長のための材料が供給されなかったりする問題を、回避することができる。信頼性低下のより具体例としては、加熱や減圧時に残ったガスが膨張し、第2電極などが破損する例が挙げられる。
【0051】
発光装置100では、積層体20は、複数の第2柱状部30bのうちの隣り合う第2柱状部30bの間に設けられた光伝搬層40を有する。そのため、発光装置100では、光伝搬層40を形成する工程においてガスが発生したとしても、隣り合う第1柱状部30aが接する可能性を小さくすることができるので、発生したガスを隣り合う第1柱状部30aの間から排出させることができる。さらに、隣り合う第1柱状部30aが接する可能性を小さくすることができるので、光伝搬層40を形成するための材料を、隣り合う第2柱状部30bの間まで供給することができる。
【0052】
発光装置100では、複数の第1柱状部30aの各々の発光層34の径D3と、複数の第2柱状部30bの各々の発光層34の径D4と、の差は、複数の第1柱状部30aの各々の端31の径D1と、複数の第2柱状部30bの各々の端31の径D2と、の差よりも小さい。そのため、発光装置100では、発光部径差が端部径差と同じ場合に比べて、第1柱状部30aの発光層34で発生した光の波長と、第2柱状部30bの発光層34で発生した光の波長と、の差を小さくすることができる。
【0053】
発光装置100では、複数の第1柱状部30aの各々の発光層34の径D3と、複数の第2柱状部30bの各々の発光層34の径D4とは、同じである。そのため、発光装置100では、第1柱状部30aの発光層34と、第2柱状部30bの発光層34と、で同じ波長の光を発生することができる。
【0054】
発光装置100では、複数の第1柱状部30aおよび複数の第2柱状部30bは、1つのフォトニック結晶230を構成している。そのため、発光装置100では、所望の波長の光を出射することができる。例えば、複数の第1柱状部と複数の第2柱状部とで別々のフォトニック結晶を構成している場合や、複数の第1柱状部がフォトニック結晶を構成していない場合は、複数の第2柱状部のフォトニック結晶効果によって形成された定在波の波長が、複数の第1柱状部によって所望の値からずれてしまうことがある。
【0055】
発光装置100では、積層体20は、基板10に設けられたマスク層22を有し、マスク層22には、複数の第1開口部24aと、複数の第2開口部24bとが設けられている。複数の第1柱状部30aの各々の端31の径D1は、複数の第1開口部24aの各々の
径と同じであり、複数の第2柱状部30bの各々の端31の径D2は、複数の第2開口部24bの各々の径D2と同じである。そのため、発光装置100では、第1開口部24aの径によって第1柱状部30aの端31の径D1を規定し、第2開口部24bの径によって第2柱状部30bの端31の径D2を規定することができる。本実施形態の発光装置100では、第1開口部24aの径によって第1柱状部30aの端31の径D1を規定し、第2開口部24bの径によって第2柱状部30bの端31の径D2を規定しているが、これに限らず、第1開口部24aおよび第2開口部24bの径によらず、第1柱状部30aの径および第2柱状部30bの径を、各層の成長温度、ドープ量により調整してもよい。
【0056】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る発光装置100の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図5は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0057】
本実施形態に係る発光装置100の製造方法は、
図4に示すように、基板10を形成する工程(ステップS1)と、基板10の基板面10aに積層体20を形成する工程(ステップS2)と、積層体20に第2電極52を形成する工程(ステップS3)と、基板10に第1電極50を形成する工程(ステップS4)と、を有する。
【0058】
基板10を形成する工程において、
図5に示すように、支持基板12上に、バッファー層14をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。本工程により、基板10を形成することができる。
【0059】
基板10の基板面10aに積層体20を形成する工程において、バッファー層14上に、マスク層22を形成する。マスク層22は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタ法などによって形成される。次に、マスク層22をパターニングして、開口部24を形成する。パターニングは、例えば、電子線リソグラフィーおよびドライエッチングによって行われる。
【0060】
次に、
図3に示すように、マスク層22をマスクとしてバッファー層14上に、第1半導体層32、発光層34、および第2半導体層36を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。積層方向からみて、複数の第1柱状部30aは、複数の第2柱状部30bを囲んでいるため、エピタキシャル成長において、第1柱状部30aには第2柱状部30bよりもエピタキシャル成長のための材料が多く供給される。これにより、傾斜角θ1は、傾斜角θ2よりも小さくなる。さらに、第1柱状部30aが設けられる部分は、第2柱状部30bが設けられる部分よりも、高温になり易い。これにより、傾斜角θ1は、傾斜角θ2よりも小さくなる。例えば、第1半導体層32の第3部分32cおよび発光層34は、上方に向けて径が一定となるような条件で、エピタキシャル成長される。本工程により、複数の柱状部30を形成することができる。
【0061】
次に、マスク層22上であって、隣り合う柱状部30の間に光伝搬層40を形成する。光伝搬層40は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スピンコート法、などによって形成される。
【0062】
積層体20に第2電極52を形成する工程において、第2半導体層36上および光伝搬層40上に、第2電極52を形成する。第2電極52は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法などによって形成される。
【0063】
基板10に第1電極50を形成する工程において、例えば、バッファー層14の一部をエッチングによって掘り込み、バッファー層14の掘り込まれた部分に、第1電極50を形成する。第1電極50は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法などによって形成される。なお、第1電極50を形成する工程と、第2電極52を形成する工程と、の順序は、特に限定されない。
【0064】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0065】
3. 発光装置の変形例
次に、本実施形態の変形例に係る発光装置200について、図面を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態の変形例に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。なお、便宜上、
図6では、柱状部30の発光層34、およびマスク層22に設けられた開口部24以外の図示を省略している。
【0066】
以下、本実施形態の変形例に係る発光装置200において、上述した本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0067】
上述した発光装置100では、
図1に示すように、第1柱状部30aは、複数の柱状部30のうちの最外以外にも設けられていた。
【0068】
これに対し、発光装置200では、
図6に示すように、第1柱状部30aは、複数の柱状部30の最外にのみ設けられている。第1柱状部30aは、複数の柱状部30の最外に設けられた柱状部30である。
【0069】
4. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係るプロジェクター800を模式的に示す図である。
【0070】
プロジェクター800は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0071】
プロジェクター800は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図7では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0072】
プロジェクター800は、さらに、筐体内に備えられている、第1光学素子802Rと、第2光学素子802Gと、第3光学素子802Bと、第1光変調装置804Rと、第2光変調装置804Gと、第3光変調装置804Bと、投射装置808と、を有している。第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置808は、例えば、投射レンズである。
【0073】
赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子802Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子802Rによって集光される。なお、第1光学素子802Rは、集光以外の機能を有していてもよい。後述する第2光学素子802Gおよび第3光学素子802Bについても同様である。
【0074】
第1光学素子802Rによって集光された光は、第1光変調装置804Rに入射する。
第1光変調装置804Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置808は、第1光変調装置804Rによって形成された像を拡大してスクリーン810に投射する。
【0075】
緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子802Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子802Gによって集光される。
【0076】
第2光学素子802Gによって集光された光は、第2光変調装置804Gに入射する。第2光変調装置804Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置808は、第2光変調装置804Gによって形成された像を拡大してスクリーン810に投射する。
【0077】
青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子802Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子802Bによって集光される。
【0078】
第3光学素子802Bによって集光された光は、第3光変調装置804Bに入射する。第3光変調装置804Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置808は、第3光変調装置804Bによって形成された像を拡大してスクリーン810に投射する。
【0079】
また、プロジェクター800は、第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bから出射された光を合成して投射装置808に導くクロスダイクロイックプリズム806を有することができる。
【0080】
第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム806に入射する。クロスダイクロイックプリズム806は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置808によりスクリーン810上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0081】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置808は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン810に投射してもよい。
【0082】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0083】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0084】
5. ディスプレイ
次に、本実施形態に係るディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態に係るディスプレイ900を模式的に示す平面図である。
図9は、本実施形態に係るディスプレイ900を模式的に示す断面図である。なお、
図8では、便宜上、互いに直交する2つの軸として、X軸およびY軸を図示している。
【0085】
ディスプレイ900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0086】
ディスプレイ900は、画像を表示する表示装置である。画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。ディスプレイ900は、自発光型のディスプレイである。ディスプレイ900は、
図8および
図9に示すように、回路基板910と、レンズアレイ920と、ヒートシンク930と、を有している。
【0087】
回路基板910には、発光装置100を駆動させるための駆動回路が搭載されている。駆動回路は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを含む回路である。駆動回路は、例えば、入力された画像情報に基づいて、発光装置100を駆動させる。図示はしないが、回路基板910上には、回路基板910を保護するための透光性の基板が配置されている。
【0088】
回路基板910は、表示領域912と、データ線駆動回路914と、走査線駆動回路916と、制御回路918と、を有している。
【0089】
表示領域912は、複数の画素Pで構成されている。画素Pは、図示の例では、X軸およびY軸に沿って配列されている。
【0090】
図示はしないが、回路基板910には、複数の走査線と複数のデータ線が設けられている。例えば、走査線はX軸に沿って延び、データ線はY軸に沿って延びている。走査線は、走査線駆動回路916に接続されている。データ線は、データ線駆動回路914に接続されている。走査線とデータ線の交点に対応して画素Pが設けられている。
【0091】
1つの画素Pは、例えば、1つの発光装置100と、1つのレンズ922と、図示しない画素回路と、を有している。画素回路は、画素Pのスイッチとして機能するスイッチング用トランジスターを含み、スイッチング用トランジスターのゲートが走査線に接続され、ソースまたはドレインの一方がデータ線に接続されている。
【0092】
データ線駆動回路914および走査線駆動回路916は、画素Pを構成する発光装置100の駆動を制御する回路である。制御回路918は、画像の表示を制御する。
【0093】
制御回路918には、上位回路から画像データが供給される。制御回路918は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路914および走査線駆動回路916に供給する。
【0094】
走査線駆動回路916が走査信号をアクティブにすることで走査線が選択されると、選択された画素Pのスイッチング用トランジスターがオンになる。このとき、データ線駆動回路914が、選択された画素Pにデータ線からデータ信号を供給することで、選択された画素Pの発光装置100がデータ信号に応じて発光する。
【0095】
レンズアレイ920は、複数のレンズ922を有している。レンズ922は、例えば、1つの発光装置100に対して、1つ設けられている。発光装置100から出射された光は、1つのレンズ922に入射する。
【0096】
ヒートシンク930は、回路基板910に接触している。ヒートシンク930の材質は、例えば、銅、アルミニウムなどの金属である。ヒートシンク930は、発光装置100で発生した熱を、放熱する。
【0097】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクターやディスプレイ以外にも用いることが可能である。プロジェクターやディスプレイ以外の用途には、例えば、屋内外の照明、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。また、上述した実施形態に係る発光装置は、ヘッドマウントディスプレイの表示装置として用いることができる。
【0098】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0099】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0100】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0101】
発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板の基板面に設けられ、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入されることで発光する発光層を有し、
前記複数の第1柱状部は、前記基板の垂線方向からみて、前記複数の第2柱状部を囲み、
前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径は、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さい。
【0102】
この発光装置によれば、隣り合う第1柱状部が接する可能性を小さくすることができる。
【0103】
発光装置の一態様において、
前記積層体は、前記複数の第2柱状部のうちの隣り合う第2柱状部の間に設けられた光伝搬層を有してもよい。
【0104】
この発光装置によれば、光伝搬層を形成する工程においてガスが発生したとしても、発生したガスを隣り合う第1柱状部の間から排出させることができる。
【0105】
発光装置の一態様において、
前記複数の第1柱状部の各々の前記発光層の径と、前記複数の第2柱状部の各々の前記発光層の径と、の差は、前記複数の第1柱状部の各々の前記端の径と、前記複数の第2柱状部の各々の前記端の径と、の差よりも小さくてもよい。
【0106】
この発光装置によれば、第1柱状部の発光層で発生した光の波長と、第2柱状部の発光
層で発生した光の波長と、の差を小さくすることができる。
【0107】
発光装置の一態様において、
前記複数の第1柱状部の各々の前記発光層の径と、前記複数の第2柱状部の各々の前記発光層の径とは、同じであってもよい。
【0108】
この発光装置によれば、第1柱状部の発光層と、第2柱状部の発光層と、で同じ波長の光を発生することができる。
【0109】
発光装置の一態様において、
前記複数の第1柱状部および前記複数の第2柱状部は、1つのフォトニック結晶を構成していてもよい。
【0110】
この発光装置によれば、所望の波長の光を出射することができる。
【0111】
発光装置の一態様において、
前記積層体は、前記基板の基板面に設けられたマスク層を有し、
前記マスク層には、複数の第1開口部と、複数の第2開口部とが設けられ、
前記複数の第1柱状部の各々の前記端の径は、前記複数の第1開口部の各々の径と同じであり、
前記複数の第2柱状部の各々の前記端の径は、前記複数の第2開口部の各々の径と同じであってもよい。
【0112】
この発光装置によれば、第1開口部の径によって第1柱状部の端の径を規定し、第2開口部の径によって第2柱状部の端の径を規定することができる。
【0113】
プロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0114】
ディスプレイの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0115】
発光装置の製造方法の一態様は、
基板の基板面に、複数の第1柱状部および複数の第2柱状部を有する積層体を形成する工程を有し、
前記積層体を形成する工程において、
前記複数の第1柱状部が、前記基板の垂線方向から見て前記複数の第2柱状部を囲み、かつ、前記複数の第1柱状部の各々の前記基板側の端の径が、前記複数の第2柱状部の各々の前記基板側の端の径よりも小さくなるように、前記複数の第1柱状部および前記複数の第2柱状部をエピタキシャル成長させ、
前記複数の第1柱状部の各々および前記複数の第2柱状部の各々は、電流が注入されることで発光する発光層を有する。
【符号の説明】
【0116】
2…列、10…基板、10a…基板面、12…支持基板、14…バッファー層、20…積層体、22…マスク層、24…開口部、24a…第1開口部、24b…第2開口部、30…柱状部、30a…第1柱状部、30b…第2柱状部、31…端、32…第1半導体層、32a…第1部分、32b…第2部分、32c…第3部分、34…発光層、36…第2半導体層、40…光伝搬層、50…第1電極、52…第2電極、100…発光装置、130a…第1柱状部群、130b…第2柱状部群、200…発光装置、230…フォトニック
結晶、800…プロジェクター、802R…第1光学素子、802G…第2光学素子、802B…第3光学素子、804R…第1光変調装置、804G…第2光変調装置、804B…第3光変調装置、806…クロスダイクロイックプリズム、808…投射装置、810…スクリーン、900…ディスプレイ、910…回路基板、912…表示領域、914…データ線駆動回路、916…走査線駆動回路、918…制御回路、920…レンズアレイ、922…レンズ、930…ヒートシンク