(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086385
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/58 20180101AFI20230615BHJP
F24F 11/88 20180101ALI20230615BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20230615BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
F24F11/58
F24F11/88
F24F11/46
H04Q9/00 301D
H04Q9/00 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200861
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島村 豊
【テーマコード(参考)】
3L260
5K048
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB20
3L260BA41
3L260BA66
3L260CB85
3L260EA09
3L260FC33
3L260JA15
5K048BA08
5K048DA02
5K048EB01
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】携帯端末を用いた空気調和機の操作であっても、宅内操作の場合に宅外操作よりも優先させること。
【解決手段】空気調和システム1は、空気調和機11と、空気調和機11を公衆回線21に接続可能な通信アダプタ12と、通信アダプタ12を介して空気調和機11を操作可能な携帯端末30とを有し、通信アダプタ12は、公衆回線21を介した携帯端末30との通信に加え、公衆回線21を介さない携帯端末30との通信が可能であり、通信アダプタ12が携帯端末30から受信する信号は、その信号が公衆回線21を介して通信された信号であるか否かを識別可能な識別情報を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機と、前記空気調和機を公衆回線に接続可能な通信アダプタと、前記通信アダプタを介して前記空気調和機を操作可能な携帯端末と、を具備する空気調和システムであって、
前記通信アダプタは、前記公衆回線を介した前記携帯端末との通信に加え、前記公衆回線を介さない前記携帯端末との通信が可能であり、
前記通信アダプタが前記携帯端末から受信する信号は、前記信号が前記公衆回線を介して通信された信号であるか否かを識別可能な第一識別情報を有する、
空気調和システム。
【請求項2】
前記通信アダプタは、前記第一識別情報に基づき、前記信号が前記公衆回線を介して通信された信号か、前記公衆回線を介さずに通信された信号かを判定する、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記携帯端末が前記公衆回線を介して前記空気調和機と通信する第一通信方式が用いられるときに前記空気調和機によって受信された信号、及び、前記携帯端末が前記公衆回線を介さずに前記空気調和機と通信する第二通信方式が用いられるときに前記空気調和機によって受信された信号の何れにも、前記空気調和機の操作元が前記携帯端末であることを示す第二識別情報が含まれ、
前記第一通信方式が用いられるときに前記空気調和機によって受信された信号、及び、前記第二通信方式が用いられるときに前記空気調和機によって受信された信号の少なくとも一方に、信号の通信方式を識別可能な第三識別情報が含まれる、
請求項1または2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記第三識別情報は、前記第二通信方式が用いられるときに前記通信アダプタにより付与される、
請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記空気調和機は、前記第二通信方式が用いられた信号を受信してから所定時間経過するまで、前記第一通信方式が用いられた信号を受け付けない、
請求項3または4に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記空気調和機は、前記第一通信方式が用いられた信号を受信したときは、特定の操作を受け付けない
請求項3または4に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記特定の操作は、人の不在に応じて前記空気調和機が行う節電運転を解除する操作である、
請求項6に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートデバイス等の携帯端末を用いて宅外から公衆回線を介して空気調和機を操作可能な技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公衆回線に接続できる携帯端末を用いて宅外から空気調和機が操作される際には、公衆回線と空気調和機とが通信アダプタを介して接続される。一方で、宅外からではなく、宅内において携帯端末を用いた空気調和機の操作が行われることも考えられる。以下では、宅外からの空気調和機の操作を「宅外操作」と呼ぶことがあり、宅内での空気調和機の操作を「宅内操作」と呼ぶことがある。
【0005】
携帯端末を用いて宅内操作が行われる場合に、宅内操作であるにも関わらず、携帯端末から公衆回線を介して空気調和機へ操作指示が送られてしまうと、通信料金が発生したり、操作に対する空気調和機の応答が携帯端末を用いた宅外操作時と同様に遅れたりしてしまうことがある。以下では、携帯端末と通信アダプタとの間での公衆回線を介した通信により行われる空気調和機の操作を「回線経由操作」と呼ぶことがあり、公衆回線を介さずに、携帯端末と通信アダプタとの間で直接通信することにより行われる空気調和機の操作を「直接通信操作」と呼ぶことがある。携帯端末と通信アダプタとの間での公衆回線を介した通信の一つとして、例えばインターネット通信が挙げられる。また、携帯端末と通信アダプタとの間での直接通信の一つとして、WiFi(登録商標)規格による無線通信が挙げられる。
【0006】
ところで空気調和機には、空気調和機を操作するための専用のリモコンが付属されていることがある。この場合、宅内に存在する使用者の意図に反する操作が回線経由操作により宅外から行われることを防ぐために、空気調和機に付属される専用のリモコンによる宅内操作を回線経由操作による宅外操作より優先させるために、専用リモコンに優先権を与える技術が知られている。
【0007】
一方、使用者が携帯端末を用いて空気調和機を操作した場合、当該操作に関する信号は通信アダプタを介して空気調和機に送信される。このため、空気調和機は当該操作が回線経由操作(宅外操作)あるいは直接通信操作(宅内操作)のいずれであるかを認識することができない。この場合、回線経由操作と直接通信操作とに適切に優先権を与えることができないため、例えば使用者による直接通信操作を他の携帯端末による回線経由操作よりも優先させることができない。
【0008】
そこで、本開示は、携帯端末を用いて空気調和機が操作された際に、当該操作が回線経由操作あるいは直接通信操作のいずれであるかを判別できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の空気調和システムは、空気調和機と、前記空気調和機を公衆回線に接続可能な通信アダプタと、前記通信アダプタを介して前記空気調和機を操作可能な携帯端末とを有する。前記通信アダプタは、前記公衆回線を介した前記携帯端末との通信に加え、前記公衆回線を介さない前記携帯端末との通信が可能である。前記通信アダプタが前記携帯端末から受信する信号は、前記信号が前記公衆回線を介して通信された信号であるか否かを識別可能な第一識別情報を有する。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、携帯端末を用いて空気調和機が操作された際に、当該操作が回線経由操作あるいは直接通信操作のいずれであるかを判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施例1の空気調和システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施例1の通信アダプタ信号の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成には同一の符号を付す。
【0013】
[実施例1]
<空気調和システムの構成>
図1は、本開示の実施例1の空気調和システムの構成例を示す図である。
図1において、空気調和システム1は、空気調和機11と、通信アダプタ12と、専用リモコン13と、無線LAN(Local Area Network)ルータ14と、携帯端末30と、公衆回線21とを有する。空気調和機11、通信アダプタ12及び無線LANルータ14は宅内に設置され、後述するように、通信アダプタ12は無線LANルータ14を介して公衆回線21に接続可能である。また、無線通信基地局22は宅外に設置され公衆回線21に接続される。無線通信基地局22は、携帯端末30と無線で接続される。以下では、無線通信基地局22が公衆回線21に含まれるものとして説明する場合がある。専用リモコン13及び携帯端末30は空気調和機11の使用者によって操作され、使用者は、空気調和機11の操作を専用リモコン13または携帯端末30を用いて行うことが可能である。
【0014】
空気調和機11は、例えば暖房運転、冷房運転または除湿運転を行うことにより、宅内の温度と湿度とを調節する。
【0015】
通信アダプタ12は、空気調和機11に有線または無線により接続される。また、通信アダプタ12は、公衆回線21に接続された無線LANルータ14に無線により接続される。通信アダプタ12は無線LANルータ14を介して公衆回線21に接続可能であるため、通信アダプタ12が使用されることにより、空気調和機11が通信アダプタ12を介して公衆回線21に接続される。よって、携帯端末30を用いた宅外操作では、携帯端末30を携帯する使用者は、公衆回線12を介した回線経由操作により空気調和機11を操作することになる。また、携帯端末30を用いた宅内操作では、通信アダプタ12は携帯端末30と近距離での無線通信(例えば、WiFi(登録商標)規格による通信)により直接通信するため、携帯端末30を携帯する使用者は、公衆回線12を介さない通信により空気調和機11を操作することになる。
【0016】
専用リモコン13は、空気調和機11に専用のリモコンであり、空気調和機11と電波や赤外線により直接通信する。
【0017】
一方で、無線通信基地局22は、公衆回線21に接続され、例えば4Gまたは5G等の通信規格に従って携帯端末30と無線通信する。使用者が宅外に位置する場合は、使用者は、携帯端末30を用いて無線通信基地局22、無線LANルータ14及び通信アダプタ12を介した回線経由操作により空気調和機11を操作可能である。
【0018】
つまり、通信アダプタ12は、公衆回線21を介した携帯端末30との通信に加え、公衆回線21を介さない携帯端末30との直接通信が可能である。
【0019】
<空気調和システムの動作>
携帯端末30には、空気調和機11の操作用のアプリケーション(以下では「操作アプリ」と呼ぶことがある)がインストールされている。操作アプリには、回線経由操作が行われる際に使用されるプログラム(以下では「回線経由操作用プログラム」と呼ぶことがある)と、直接通信操作が行われる際に使用されるプログラム(以下では「直接通信操作用プログラム」と呼ぶことがある)とが含まれる。操作アプリが起動されると、操作アプリは、空気調和機11の操作を回線経由操作用プログラムまたは直接通信操作用プログラムの何れで行うかを選択可能な画面(以下では「操作用プログラム選択画面」と呼ぶことがある)を携帯端末30のタッチパネルに表示させる。例えば、操作アプリは、宅外操作ボタンと宅内操作ボタンとを含む操作用プログラム選択画面をタッチパネルに表示させ、宅外操作ボタンがタッチされた場合には回線経由操作用プログラムを実行し、宅内操作ボタンがタッチされた場合には直接通信操作用プログラムを実行する。
【0020】
宅外操作ボタンがタッチされて宅外操作が選択されたときは、携帯端末30が公衆回線21を介して空気調和機11と通信する通信方式(以下では「回線経由通信方式」と呼ぶことがある)が用いられ、空気調和機11を操作するための信号(以下では「操作信号」と呼ぶことがある)が携帯端末30から送信される。携帯端末30から送信された操作信号(以下では「携帯端末信号」と呼ぶことがある)は、無線通信基地局22、公衆回線21及び無線LANルータ14を介して通信アダプタ12により受信される。また、宅外操作ボタンがタッチされて宅外操作が選択されたときに実行される回線経由操作用プログラムは、公衆回線21を介して携帯端末30と空気調和機11とが通信可能な信号フォーマット(以下では「回線通信用フォーマット」と呼ぶことがある)に従って、操作信号の送信元(つまり、空気調和機11の操作元)が携帯端末30であることを示す情報(以下では「操作元識別情報」と呼ぶことがある)と、空気調和機11の操作内容を示す情報(以下では「操作情報」と呼ぶことがある)と含む携帯端末信号を生成する。操作元識別情報の一例として、携帯端末30に付与されているIPアドレスが挙げられる。また、操作情報は、操作内容に応じて生成されたコードであり、一例として、運転開始を示すコードを“0130”、運転停止を示すコードを“0131”、自動運転を示すコードを“0141”、冷房運転を示すコードを“0142”、暖房運転を示すコードを“0143”、除湿運転を示すコードを“0144”などとすれば良い。
【0021】
一方で、宅内操作ボタンがタッチされて宅内操作が選択されたときは、携帯端末30が公衆回線21を介さずに空気調和機11と通信する通信方式(以下では「直接通信方式」と呼ぶことがある)が用いられ、携帯端末30から操作信号が送信される。宅内操作時の携帯端末信号は、公衆回線21を介さずに、直接、通信アダプタ12により受信される。また、直接通信操作用プログラムは、公衆回線21を介さずに携帯端末30と空気調和機11とが通信可能な信号フォーマット(以下では「直接通信用フォーマット」と呼ぶことがある)に従って、前述した宅外操作時と同じ操作元識別情報及び操作情報を含む携帯端末信号を生成する。
【0022】
このように、携帯端末信号は、宅外操作時には回線通信用フォーマットに従って生成される一方で、宅内操作時には直接通信用フォーマットに従って生成される。また、回線通信用フォーマットと直接通信用フォーマットとは互いに相違するため、回線通信用フォーマットと直接通信用フォーマットとは互いに識別可能である。つまり、通信アダプタ12によって受信される携帯端末信号は、その携帯端末信号が公衆回線21を介して通信された信号であるか否かを通信アダプタ12が識別可能な情報(以下では「信号識別情報」と呼ぶことがある)を有する。
【0023】
通信アダプタ12は、受信した携帯端末信号の信号フォーマット(つまり、信号識別情報)に基づいて、受信した携帯端末信号が公衆回線21を介して通信された信号か、公衆回線21を介さずに直接通信された信号かを判定する信号判定を行う。そして、通信アダプタ12は、携帯端末信号の信号フォーマットに基づいた信号判定の判定結果に基づいて、通信アダプタ12から空気調和機11へ送信される信号(以下では「通信アダプタ信号」と呼ぶことがある)を生成する。
【0024】
図2は、本開示の実施例1の通信アダプタ信号の構成例を示す図である。
図2に示すように、通信アダプタ信号には、操作元識別情報と、操作情報と、携帯端末信号の通信方式を識別可能な情報(以下では「通信方式識別情報」と呼ぶことがある)とが含まれる。通信アダプタ12は、公衆回線21経由で受信した、もしくは、携帯端末30から直接受信した携帯端末信号から操作元識別情報及び操作情報を抽出し、抽出した操作元識別情報及び操作情報を通信アダプタ信号の操作元識別情報及び操作情報として設定する。また、通信アダプタ12は、信号判定の判定結果に基づいて、通信方式識別情報を操作元識別情報及び操作情報に付加する。
【0025】
例えば、付与例1として、通信アダプタ12は、携帯端末信号が公衆回線21を介して通信された信号であると判定したときは(つまり、携帯端末信号の通信に回線経由通信方式が用いられていると判定したときは)、“01”のコードの通信方式識別情報を通信アダプタ信号に付与し、携帯端末信号が公衆回線21を介さずに通信された信号であると判定したときは(つまり、携帯端末信号の通信に直接通信方式が用いられていると判定したときは)、“02”のコードの通信方式識別情報を通信アダプタ信号に付与する。
【0026】
また例えば、付与例2として、通信アダプタ12は、携帯端末信号が公衆回線21を介して通信された信号であると判定したときは“01”のコードの通信方式識別情報を通信アダプタ信号に付与し、携帯端末信号が公衆回線21を介さずに通信された信号であると判定したときは通信方式識別情報を通信アダプタ信号に付与しない。
【0027】
また例えば、付与例3として、通信アダプタ12は、携帯端末信号が公衆回線21を介して通信された信号であると判定したときは通信方式識別情報を通信アダプタ信号に付与せず、携帯端末信号が公衆回線21を介さずに通信された信号であると判定したときは“01”のコードの通信方式識別情報を通信アダプタ信号に付与する。
【0028】
つまり、携帯端末信号の通信に回線経由通信方式が用いられるときに空気調和機11によって受信された通信アダプタ信号、及び、携帯端末信号の通信に直接通信方式が用いられるときに空気調和機11によって受信された通信アダプタ信号の何れにも操作元識別情報が含まれる。また、携帯端末信号の通信に回線経由通信方式が用いられるときに空気調和機11によって受信された通信アダプタ信号、及び、携帯端末信号の通信に直接通信方式が用いられるときに空気調和機11によって受信された通信アダプタ信号の少なくとも一方に通信方式識別情報が含まれる。
【0029】
以上のようにして通信アダプタ12によって生成された通信アダプタ信号が通信アダプタ12からの操作信号として空気調和機11によって受信され、受信された通信アダプタ信号に従って空気調和機11の操作が行われる。
【0030】
通信アダプタ信号を受信した空気調和機11は、通信アダプタ信号における通信方式識別情報を参照することにより、操作信号の通信方式を判定する。
【0031】
例えば上記の付与例1が採用される場合、空気調和機11は、通信方式識別情報が“01”に設定されているときは、操作信号の通信方式が回線経由通信方式である(つまり、空気調和機11に対する操作が宅外操作である)と判定し、通信方式識別情報が“02”に設定されているときは、操作信号の通信方式が直接通信方式である(つまり、空気調和機11に対する操作が宅内操作である)と判定する。
【0032】
また例えば、上記の付与例2が採用される場合、空気調和機11は、通信方式識別情報が付与されているときは、操作信号の通信方式が回線経由通信方式であると判定し、通信方式識別情報が付与されていないときは、操作信号の通信方式が直接通信方式であると判定する。
【0033】
また例えば、上記の付与例3が採用される場合、空気調和機11は、通信方式識別情報が付与されていないときは、操作信号の通信方式が回線経由通信方式であると判定し、通信方式識別情報が付与されているときは、操作信号の通信方式が直接通信方式であると判定する。
【0034】
こうすることで、空気調和機11では、携帯端末30による空気調和機11に対する操作が宅外操作であるか宅内操作であるかを判定可能になるため、携帯端末30を用いた空気調和機11の操作が宅内操作の場合に、当該宅内操作による操作指示を他の携帯端末を用いた宅外操作による操作指示よりも優先させることができる。
【0035】
宅内操作による操作指示を宅外操作による操作指示より優先させるとき、空気調和機11は、直接通信方式が用いられた操作信号を受信してから所定時間(例えば、30秒)経過するまでは、回線経由通信方式が用いられた操作信号が受信されても、回線経由通信方式が用いられた操作信号を受け付けない。
【0036】
こうすることで、宅内操作を宅外操作よりも確実に優先させることができる。
【0037】
以上、実施例1について説明した。
【0038】
[実施例2]
<空気調和システムの動作>
実施例1では、空気調和機11に対する携帯端末30からの操作が宅外操作であるか宅内操作であるかを判定し、判定結果に基づいて、宅内操作による操作指示を宅外操作による操作指示より優先させることについて説明した。これに対し、実施例2では、携帯端末30からの操作が宅外操作であるか宅内操作であるかの判定結果に基づいて、空気調和機11に対する特定の操作を受け付けないようにすることについて説明する。
【0039】
一例として、空気調和機11が節電運転を行っているときに、携帯端末30からの操作が宅外操作であるか宅内操作であるかの判定結果に基づいて、節電運転の解除を受け付けるか否かを説明する。ここで、節電運転とは、空気調和機11が設置された室内(以下では「設置室内」と呼ぶことがある)に人が存在しないことを例えば人検知センサが検知したときに自動的に行われる運転であり、人の不在が検知されたときに空気調和機11の運転を停止させる、あるいは、人の不在が検知されるまでに行われていた運転における設定温度を上昇あるいは低下させて空気調和能力を低下させることで、空気調和機11における消費電力を低減する運転である。
【0040】
上記の節電運転は、使用者による空気調和機11への操作指示があれば解除される。この際、節電運転を解除する操作が宅内操作によって行われたときは、設置室内に人が存在しない場合でも設置室内に人が戻ってくる可能性が高いと考えられるため、節電運転中にある空気調和機11は、宅内操作を受け付けて節電運転を解除して、通常の運転を再開する。
【0041】
一方で、節電運転を解除する操作が宅外操作によって行われたときは、設置室内に人が戻ってくる可能性が低いと考えられるため、節電運転中にある空気調和機11は、宅外操作を受け付けずに節電運転を継続する。こうすることで、宅外操作による節電運転の解除を防ぐことができ、設置室内における人の在・不在に応じた節電運転の解除あるいは継続を適切に行える。
【0042】
なお、節電運転の解除操作は、空気調和機11に対する特定の操作の一例であり、空気調和機11は、節電運転の解除操作以外の特定の操作が宅外操作であるか宅内操作であるかの判定結果に基づいて、特定の操作を受け付けるか否かを判定しても良い。
【0043】
以上、実施例2について説明した。
【0044】
なお、上記説明では、携帯端末30と通信アダプタ12とが直接通信することにより行われる宅内操作を宅内操作の一例に挙げた。しかし、開示の技術は、携帯端末30と通信アダプタ12とが無線LANルータ14を介して通信することにより宅内操作が行われる場合にも適用可能である。
【0045】
以上のように、開示の技術の空気調和システム(実施例の空気調和システム1)は、空気調和機(実施例の空気調和機11)と、空気調和機を公衆回線(実施例の公衆回線21)に接続可能な通信アダプタ(実施例の通信アダプタ12)と、通信アダプタを介して空気調和機を操作可能な携帯端末(実施例の携帯端末30)とを有する。通信アダプタは、公衆回線を介した携帯端末との通信に加え、公衆回線を介さない携帯端末との通信が可能である。通信アダプタが携帯端末から受信する信号は、その信号が公衆回線を介して通信された信号であるか否かを識別可能な第一識別情報(実施例の信号識別情報)を有する。
【0046】
また、通信アダプタは、第一識別情報に基づき、受信した信号が公衆回線を介して通信された信号か、公衆回線を介さずに通信された信号かを判定する。
【0047】
また、携帯端末が公衆回線を介して空気調和機と通信する第一通信方式(実施例の回線経由通信方式)が用いられるときに空気調和機によって受信された信号、及び、携帯端末が公衆回線を介さずに空気調和機と通信する第二通信方式(実施例の直接通信方式)が用いられるときに空気調和機によって受信された信号の何れにも、空気調和機の操作元が携帯端末であることを示す第二識別情報(実施例の操作元識別情報)が含まれる。また、第一通信方式が用いられるときに空気調和機によって受信された信号、及び、第二通信方式が用いられるときに空気調和機によって受信された信号の少なくとも一方に、信号の通信方式を識別可能な第三識別情報(実施例の通信方式識別情報)が含まれる。
【0048】
また、第三識別情報は、第二通信方式が用いられるときに通信アダプタにより付与される。
【0049】
また、空気調和機は、第二通信方式が用いられた信号を受信してから所定時間経過するまで、第一通信方式が用いられた信号を受け付けない。
【0050】
また、空気調和機は、第一通信方式が用いられた信号を受信したときは、人の不在に応じて空気調和機が行う節電運転を解除する操作等の特定の操作を受け付けない。
【符号の説明】
【0051】
1 空気調和システム
11 空気調和機
12 通信アダプタ
13 専用リモコン
14 無線LANルータ
21 公衆回線
22 無線通信基地局
30 携帯端末