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特開2023-8641都市基盤管理装置、プログラム、都市基盤管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008641
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】都市基盤管理装置、プログラム、都市基盤管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/903 20190101AFI20230112BHJP
   G06F 16/907 20190101ALI20230112BHJP
【FI】
G06F16/903
G06F16/907
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112359
(22)【出願日】2021-07-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)提案書の提出及び説明による公開1 開催日(公開日) 2020年9月11日 公開場所 公開先 株式会社竹中工務店 東京本店(東京都江東区新砂1-1-1) (2)提案書の提出及び説明による公開2 開催日(公開日) 2020年10月14日 公開場所 公開先 エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社(東京都千代田区外神田四丁目14番1号) (3)提案書の提示及び説明による公開3 開催日(公開日) 2020年10月14日 公開場所 公開先 株式会社日建設計(東京都千代田区飯田橋2丁目18番3号) <資 料> 提案書資料 抜粋 (4)刊行物による公開 発行日 2021年4月10日 刊行物 電気設備学会誌 4月号 発行 一般社団法人 電気設備学会(東京都中央区日本橋堀留町1-9-6) <資 料> 電気設備学会誌 4月号 掲載論文
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克信
(72)【発明者】
【氏名】一宮 昇平
(72)【発明者】
【氏名】加地 佑気
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175FB03
5B175HA02
(57)【要約】
【課題】現実空間を構成するオブジェクトに対してより詳細な制御を行う技術を提供すること。
【解決手段】現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられた機器から、前記機器に関する機器関連情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記機器関連情報の履歴を管理する管理部と、前記取得部により取得された前記機器関連情報および前記管理部により管理された前記履歴にもとづき前記機器を制御する機器制御部と、を備えた都市基盤管理装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられた機器から、前記機器に関する機器関連情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記機器関連情報の履歴を管理する管理部と、
前記取得部により取得された前記機器関連情報および前記管理部により管理された前記履歴にもとづき前記機器を制御する機器制御部と、
を備えた都市基盤管理装置。
【請求項2】
前記管理部は、前記オブジェクトの位置を管理する請求項1に記載の都市基盤管理装置。
【請求項3】
前記管理部は、前記機器関連情報の前記履歴を、前記機器の機能ごとに管理する請求項1または請求項2に記載の都市基盤管理装置。
【請求項4】
前記機器関連情報は、前記機器により得られた計測情報、前記機器の設定情報、前記機器に対する制御内容を示すコマンド情報、前記機器の警告を示す警告情報、前記機器のステータスを示すステータス情報、および前記機器の位置を示す位置情報のいずれかを含む請求項1または請求項3に記載の都市基盤管理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の都市基盤管理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータが、現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられた機器から、前記機器に関する機器関連情報を取得する取得ステップと、
コンピュータが、前記取得ステップにより取得された前記機器関連情報の履歴を管理する管理ステップと、
コンピュータが、前記取得ステップにより取得された前記機器関連情報および前記管理ステップにより管理された前記履歴にもとづき前記機器を制御する機器制御ステップと、
を備えた都市基盤管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、都市基盤管理装置、プログラム、都市基盤管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現実空間を構成するオブジェクトなどを仮想空間にデジタル化して再現するデジタルツインがある。デジタルツインでは、FIWAREと呼ばれる基盤を利用して都市を構成する要素の管理などを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-204154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、現実空間を構成するオブジェクトに対してより詳細な制御を行うことができなかった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、現実空間を構成するオブジェクトに対してより詳細な制御を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられた機器から、前記機器に関する機器関連情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記機器関連情報の履歴を管理する管理部と、前記取得部により取得された前記機器関連情報および前記管理部により管理された前記履歴にもとづき前記機器を制御する機器制御部と、を備えた都市基盤管理装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記都市基盤管理装置において、前記管理部は、前記オブジェクトの位置を管理する。
【0008】
本発明の一態様は、上記都市基盤管理装置において、前記管理部は、前記機器関連情報の前記履歴を、前記機器の機能ごとに管理する。
【0009】
本発明の一態様は、上記都市基盤管理装置において、前記機器関連情報は、前記機器により得られた計測情報、前記機器の設定情報、前記機器に対する制御内容を示すコマンド情報、前記機器の警告を示す警告情報、前記機器のステータスを示すステータス情報、および前記機器の位置を示す位置情報のいずれかを含む。
【0010】
本発明の一態様は、コンピュータを、上記都市基盤管理装置として機能させるためのプログラムである。
【0011】
本発明の一態様は、コンピュータが、現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられた機器から、前記機器に関する機器関連情報を取得する取得ステップと、コンピュータが、前記取得ステップにより取得された前記機器関連情報の履歴を管理する管理ステップと、コンピュータが、前記取得ステップにより取得された前記機器関連情報および前記管理ステップにより管理された前記履歴にもとづき前記機器を制御する機器制御ステップと、を備えた都市基盤管理方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、現実空間を構成するオブジェクトに対してより詳細な制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】都市基盤管理システムを示す構成図である。
図2】都市基盤管理装置の機能構成を表す機能ブロック図である。
図3】機器マスタと履歴のデータ構造を示す図である。
図4】格納情報例を示す図である。
図5】機器関連情報を取得して処理を行う場合の処理例を示す図である。
図6】都市基盤管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、スマートシティやデータツインに好適な基盤技術を提供する都市基盤管理装置などについて説明する。
【0015】
図1は、都市基盤管理装置100を含む都市基盤管理システム10を示す構成図である。都市基盤管理システム10は、都市基盤管理装置100と、現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられた機器(以下、「デバイス」という)で構成される。オブジェクトとして、例えば人間201、建造物202、監視カメラ203、自動車204、およびセンサ205などが挙げられる。
【0016】
人間201に関連付けられたデバイスとして、スマートウォッチなどが挙げられる。建造物202に関連付けられたデバイスとして、温度センサや湿度センサなどが挙げられる。監視カメラ203はデバイスそのものである。この監視カメラ203のように、オブジェクトがデバイスそのものであってもよい。自動車204に関連付けられたデバイスとして、速度計やGPS(Global Positioning System)などが挙げられる。センサ205もそのものがデバイスである。センサ205は、例えば河川の水位や雨量などを検出するセンサなどが挙げられる。
【0017】
都市基盤管理装置100は、各デバイスから機器関連情報を取得する。機器関連情報は、デバイスにより得られた計測情報、デバイスの設定情報、デバイスに対する都市基盤管理装置100からの制御内容を示すコマンド情報、デバイスの警告を示す警告情報、およびデバイスのステータスを示すステータス情報、デバイスの位置を示す位置情報のいずれかを含む。
【0018】
都市基盤管理装置100は、機器関連情報の履歴を管理する。また、都市基盤管理装置100は、機器関連情報および履歴情報にもとづきデバイスを制御する。
【0019】
図2は、都市基盤管理装置100の機能構成を表す機能ブロック図である。都市基盤管理装置100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、都市基盤管理プログラムを実行することによって通信部110、機器マスタ記憶部141、履歴情報記憶部142、および制御部120を備える装置として機能する。
【0020】
なお、通信部110、機器マスタ記憶部141、履歴情報記憶部142、および制御部120の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。都市基盤管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。都市基盤管理プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0021】
通信部110は、ネットワークインタフェースである。通信部110は通信ネットワークを介して、各デバイスと通信する。
【0022】
次に、各記憶部に記憶されている情報について説明する。機器マスタ記憶部141は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。機器マスタ記憶部141は、機器マスタを記憶する。履歴情報記憶部142は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。履歴情報記憶部142は、履歴を記憶する。機器マスタと履歴については後述する。
【0023】
図2における制御部120は都市基盤管理装置100の各部の動作を制御する。制御部120は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部120は、都市基盤管理プログラムを実行することによって、取得部121、管理部122、および機器制御部123として機能する。
【0024】
取得部121は、現実空間を構成するオブジェクトに関連付けられたデバイスから機器関連情報を取得する。管理部122は、取得部121により取得された機器関連情報の履歴と、機器マスタとを管理する。機器マスタには、オブジェクトの位置が含まれる。管理部122は、履歴および機器マスタの管理の1つとして、上記機器マスタ記憶部141に記憶された機器マスタや履歴情報記憶部142に記憶された履歴の更新などを行う。機器制御部123は、取得部121により取得された機器関連情報および管理部122により管理された履歴にもとづきデバイスを制御する。
【0025】
次に、機器マスタ、および履歴について説明する。本実施形態において、スマートシティやデータツインの基盤技術で用いるデータは、「空間情報」、「時間軸」、および「詳細情報」という3つの要素を考慮したものとなっている。具体的に、都市基盤管理装置100は、機器関連情報を用いた可視化、分析、予測、自動制御というユースケース(例えばエネルギー最適化等)の実現にするために、データを階層構造で管理する。具体的に図3を用いて説明する。
【0026】
図3は、機器マスタと履歴のデータ構造を示す図である。機器マスタには、「Site」、「Building」、「Floor」、「Space」、「Device」、および「Point」がある。また機器マスタは、「Site」の下層に「Building」が設けられる。「Building」の下層に「Floor」が設けられる。「Floor」の下層に「Space」が設けられる。「Space」の下層に「Device」が設けられる。「Device」の下層に「Point」が設けられる。
【0027】
「Site」は、土地に関する情報である。単一ビルのように、管理対象の施設に「街区」やエリア」の管理が不要な場合でも、該当ビルの立地場所が登録される。「Building」は、建物に関する情報である。「Floor」は、建物の各フロアの情報である。なお、建物が1階建の場合は、「Floor」の情報登録は不要である。「Space」は、建物フロア内のスペースやエリアの情報である。なお、小規模建物でスペース管理が必要ない場合は、「Space」の情報登録は不要である。「Device」は、センサや制御機器などの機器本体情報である。
【0028】
センサや制御機器の機能数に応じて「Point」が設けられる。例えば、温湿度センサの場合は、温度検出機能と湿度検出機能の2つの機能を有することから、「Device」の下層に2つの「Point」が設けられる。
【0029】
「Point」の下層に履歴が設けられる。履歴には「Sensing History」、「Setting History」、「Command History」、「Alarm History」、「Status History」がある。これらの履歴は並列して「Point」の下層に設けられる。なお、上述した温湿度センサの場合は、上述した各履歴を2つずつもつこととなる。
【0030】
「Sensing History」は、デバイスのセンシングにより得られた計測情報の履歴である。「Setting History」は、デバイスの設定情報の履歴である。「Command History」は、デバイスに対する制御内容を示すコマンド情報の履歴である。「Alarm History」は、デバイスの警告を示す警告情報の履歴である。「Status History」は、デバイスのステータスを示すステータス情報の履歴である。
【0031】
次に、各データに格納される情報について説明する。図4は、格納情報例を示す図である。機器マスタの各データである「Site」、「Building」、「Floor」、「Space」、「Device」、および「Point」は、それぞれ自らを特定可能なIDを格納情報として有する。
【0032】
また、「Building」、「Floor」、「Space」、「Device」、および「Point」の各データは、上層のデータのIDを格納情報として有する。また履歴の「Sensing History」、「Setting History」、「Command History」、「Alarm History」、「Status History」も、上層の「Point」のIDを格納情報として有する。これにより、各データや履歴を互いに関連付けている。
【0033】
最上位の「Site」は、所有者と住所とを格納情報として有する。これにより、「Site」の下層に存在する建物やデバイスが設けられた土地の所有者や住所を特定可能である。さらに「Site」の直下の「Building」は、住所を格納情報として有する。これにより、「Building」の下層に存在するデバイスが設けられた建物の所有者や住所を特定可能である。また、スマートフォンなどの携帯型デバイスでは、機器関連情報に含まれる位置情報により「Site」の住所を更新できる。
【0034】
なお、図4には、「Site」などから独立して、「Weather」が設けられている。この「Weather」は、「Site」が位置する地域の天気情報を示す。この天気情報は、外部の天気情報サービスから取得される。「Weather」の格納情報である場所は、地域名を示し、時刻は外部の天気情報サービスから取得された時刻を示し、取得された天候を示す。
【0035】
以上説明した機器マスタにより、都市における全てのオブジェクトに対して、位置を示す情報を紐づけることで、正確な空間情報を都市基盤管理装置100にもたせることができる。これにより、従来技術と比較して、より詳細な空間情報を管理することができる。
【0036】
また、都市基盤管理装置100は、機器マスタ、および履歴情報により、静的な情報(機器マスタ)と、動的な情報(履歴)を組み合わせて、センサの計測値等の時間的な変化を管理することができる。これにより、時間軸も考慮したデータを管理することができる。
【0037】
さらに、都市基盤管理装置100は、複数機能をもつセンサやデバイス(例えば上述した温湿度センサ)などを、機能単位(例えば温度センサと湿度センサの2つ)で履歴を管理することができる。これにより、より詳細にセンサなどを管理することができる。なお、従来技術では、複数の機能をもつセンサを制御するアプリケーションが設けられていたが、センサごとにもつ機能に応じて作成されたアプリケーションのため、汎用性がなかった。そこで、本実施形態のように、機能ごとに管理することで、どのようなセンサにも対応可能となったことから、非常に汎用性が高く、また上位のアプリケーションからも使い勝手の良い都市基盤管理装置100を提供することができる。汎用性が高いことは、多様なフォーマットデータの統合や変換をも可能となるので、外部のアプリケーションなどに合わせたデータを柔軟に提供することができる。
【0038】
このように、本実施形態に係る都市基盤管理装置100は、「空間情報」、「時間軸」、および「詳細情報」という3つの要素を考慮することにより、都市を構成するオブジェクトに対してより詳細な管理を行うことができる。
【0039】
従来技術では、履歴情報をもっていなかったため、現在の状況(センサの計測値など)のみに応じた制御が行われていた。この場合、現在の状況に至った経緯や、現在の状況が一般的なものか、あるいは特殊なものかなど判定することができなかった。そのため、詳細な制御を行うことができなかった。詳細な制御とは、例えば特殊な状況である場合には、センサに対して一般的な状況よりも短い間隔で計測値を送信させるような制御である。
【0040】
このように、履歴をもつことにより、都市基盤管理装置100は、オブジェクトやセンサの可視化、状況の分析、予測、自動制御などを実現することができる。
【0041】
次に機器制御部123の制御について説明する。機器制御部123は、2つのデータ処理フローにより制御を行う。2つのデータ処理フローのうちの1つは、データドリブン方式による処理フローであり、もう1つはイベントドリブン方式による処理フローである。
【0042】
データドリブン方式は、機器マスタおよび履歴情報を分析または解析し、その結果にもとづき次の制御につなげる処理方式である。イベントドリブン方式は、機器関連情報の中からイベント(条件に適合する事象)を抽出し、次の制御につなげる処理方式である。
【0043】
具体例を用いて説明する。図5は、河川に関する計測を行うセンサから機器関連情報を取得して処理を行う場合の処理例を示す図である。図5には、3種類のデバイスD1、D2、D3が示されている。デバイスD1は、河川の水位を検出する水位センサである。デバイスD2は、河川付近の雨量を検出する雨量計である。デバイスD3は、人間が携帯するスマートフォンである。
【0044】
デバイスD1は、機器関連情報として、一定時間ごとに河川の水位を示す水位情報を送信する。デバイスD2は、機器関連情報として、一定時間ごとに雨量を示す雨量情報を送信する。デバイスD3は、機器関連情報として、一定時間ごとに人間の位置を示す位置情報を送信する。
【0045】
都市基盤管理装置100は、デバイスD1からの水位情報が、警戒レベル3以上という条件に適合する事象であり、かつデバイスD3からの位置情報が、河川から10m以内の○○地域である場合には、デバイスD3などに災害情報を通知したり、避難ルートを案内する通知する制御を行う。
【0046】
都市基盤管理装置100は、デバイスD1からの水位情報と、デバイスD2の雨量情報と、水位情報の履歴情報と、雨量情報の履歴情報と、デバイスD1の住所と、雨量計D2の住所から分析または解析を行うことで、河川の氾濫を予測する。なお、水位情報の履歴と、雨量情報の履歴は履歴情報記憶部142に記憶されている。また、デバイスD1の住所と、雨量計D2の住所は、機器マスタ記憶部141に記憶されている。予測により河川が氾濫するという結果が得られた場合には、都市基盤管理装置100は、災害情報を通知するなどの制御を行う。
【0047】
このように、都市基盤管理装置100は、機器関連情報に対してイベントドリブン方式を適用することで、リアルタイム性が求められる制御を行うことができる。また、都市基盤管理装置100は、より多くのデータを有する機器マスタと履歴情報を分析または解析することでより精度の高い制御を行うことができる。
【0048】
以上説明した都市基盤管理装置100の処理をフローチャートを用いて説明する。図6は、都市基盤管理装置100の処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、機器関連情報を取得するタイミングで行われる。
【0049】
図6において、取得部121は、機器関連情報を取得する(ステップS101)。管理部122は、取得部121により取得された機器関連情報を用いて、上記機器マスタ記憶部141に記憶された機器マスタや履歴情報記憶部142に記憶された履歴情報を更新する(ステップS102)。
【0050】
機器制御部123は、取得部121により取得された機器関連情報に、イベントドリブン方式による制御を行う条件に適合する事象があるか否かを判定する(ステップS103)。適合する事象がない場合には(ステップS103:NO)、機器制御部123は、ステップS105に進む。適合する事象がある場合には(ステップS103:YES)、機器制御部123は、事象に応じた制御を行う(ステップS104)。例えば、図5で説明したように、水位情報が警戒レベル3以上である場合になどは災害情報を通知する制御を行う。
【0051】
機器制御部123は、機器マスタと履歴情報を分析または解析し、その結果にもとづき次の制御を行うか否かを判定する(ステップS106)。次の制御を行わない場合には(ステップS106:NO)、都市基盤管理装置100は処理を終了する。次の制御を行う場合には(ステップS106:YES)、機器制御部123は、解析または分析結果に応じた制御を行い(ステップS107)、処理を終了する。例えば、図5で説明したように、河川の氾濫が予測される場合には、災害情報を通知するなどの制御を行う。
【0052】
以上説明した実施形態において、機器関連情報はオブジェクトに関連付けられた機器から取得されたが、これに限るものではない。例えば、他のプラットフォームや他のシステムから取得してもよい。ここで他のプラットフォームとは、本実施形態の都市基盤管理システム10以外の既存のプラットフォームである。また、他のシステムとは、例えばセンサなどを制御するシステムであって、センサから計測情報などを本実施形態の都市基盤管理システム10に提供可能なシステムである。
【0053】
本実施形態では、機器関連情報としてセンサの計測情報を用いて説明したが、これに限るものではない。例えば、スマートフォンのあるボタンが押下されたという情報や、自動車の速度情報なども機器関連情報である。
【0054】
機器マスタおよび履歴は、セキュリティを考慮して、2種類のデータ管理方法A、Bを行うようにしてもよい。データ管理方法Aは、データの保有者のみが利用できるデータであり、暗号化処理を行うデータ管理方法である。ここで、データの保有者とは、例えば建物のオーナーなどオブジェクトの所有者などが挙げられる。データ管理方法Bは、データの保有者と保有者が許可した者が利用できるデータであり、暗号化処理および匿名化処理を行うデータ管理方法である。これにより、セキュリティ的にも堅牢なシステムを提供することができる。
【0055】
上述した実施形態における都市基盤管理装置100の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
10…都市基盤管理システム、100…都市基盤管理装置、110…通信部、120…制御部、121…取得部、122…管理部、123…機器制御部、141…機器マスタ記憶部、142…履歴情報記憶部、201…人間、202…建造物、203…監視カメラ、204…自動車、205…センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6