(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086410
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】施解錠装置及び制御システム
(51)【国際特許分類】
E05B 65/08 20060101AFI20230615BHJP
E05B 41/00 20060101ALI20230615BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230615BHJP
H04Q 9/02 20060101ALI20230615BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20230615BHJP
G16Y 10/80 20200101ALI20230615BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20230615BHJP
E05F 15/71 20150101ALI20230615BHJP
E06B 9/264 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
E05B65/08 P
E05B41/00 F
H04Q9/00 301D
H04Q9/02 B
H04Q9/00 311K
E06B7/28 A
G16Y10/80
G16Y20/10
E05F15/71
E06B9/264 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200914
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】田口 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】新倉 謙治
【テーマコード(参考)】
2E043
2E052
5K048
【Fターム(参考)】
2E043BE01
2E043BE17
2E052AA04
2E052GA05
2E052KA25
5K048AA05
5K048AA10
5K048BA08
5K048BA12
5K048DA02
5K048EB02
5K048EB10
5K048EB12
5K048FC01
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】建物内の意匠性の低下を抑えながら、建物内の住環境を確認することができる施解錠装置及び制御システムを提供する。
【解決手段】建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う施解錠装置であって、前記建物内の住環境を示す住環境情報を検知する住環境検知部と、前記住環境検知部が検知した前記住環境情報を出力する出力部と、を備える施解錠装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う施解錠装置であって、
前記建物内の住環境を示す住環境情報を検知する住環境検知部と、
前記住環境検知部が検知した前記住環境情報を出力する出力部と、
を備える施解錠装置。
【請求項2】
前記住環境情報は、温度、湿度、照度、二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくもいずれか1つである、
請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記住環境検知部が検知した前記住環境情報を有線又は無線で外部に設けられた装置である外部装置に送信する、
請求項1又は請求項2に記載の施解錠装置。
【請求項4】
建具を施解錠する錠が、施錠状態及び解錠状態のいずれかの状態であるかを判別可能な情報である状態情報を検出する施解錠検知部を更に備え、
前記出力部は、前記状態情報を更に出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の施解錠装置。
【請求項5】
前記施解錠装置は、利用者が操作するためのハンドル部を有しており、前記ハンドル部が回動することにより前記施解錠を行い、
前記住環境検知部及び前記出力部は、前記ハンドル部内に設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の施解錠装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の施解錠装置と、
前記住環境を改善させる動作を実行可能な複数種類の電動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記施解錠装置から前記住環境情報を有線又は無線で受信し、受信した前記住環境情報に基づいて、前記複数種類の電動装置の中から1つ以上の前記電動装置を制御する、
制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記住環境情報として前記建物内の二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくともいずれか一方が設定値以上の場合には、前記複数種類の電動装置のうち、前記建物内の換気を行う換気装置を駆動させる、
請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記住環境情報として前記建物内の照度が設定値以上の場合には、前記複数種類の電動装置のうち、前記開口部から前記建物内に射し込む光を遮蔽する遮蔽装置を駆動させる、
請求項7に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施解錠装置及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレセント錠やカムラッチ等、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う施解錠装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の利用者に対して、より快適な住環境を提供するためには、常に建物内の住環境を確認する必要がある。ただし、建物内の住環境を確認するためのセンサを壁や天井などに多数設置すると、建物内の意匠性の低下を招く場合がある。
【0005】
本開示は、建物内の意匠性の低下を抑えながら、建物内の住環境を確認することができる施解錠装置及び制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、建物の開口部に設けられる建具の施解錠を行う施解錠装置であって、前記建物内の住環境を示す住環境情報を検知する住環境検知部と、前記住環境検知部が検知した前記住環境情報を出力する出力部と、を備える施解錠装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る制御システムの概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る建具に設けられる施解錠装置を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る施解錠装置の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る施解錠装置の概略構成図である。
【
図5】本実施形態に係る制御装置の概略構成図である。
【
図6】本実施形態に係る建物情報の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る制御システムの動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、通信装置10、複数の施解錠装置20(施解錠装置20-1~20-n)、及び制御装置30を備える。制御システム1は、複数の施解錠装置20から受信する情報に基づいて、ユーザの建物100に設けられた複数種類の電動装置200-1~200-mを通信ネットワークNW経由で制御する。
【0009】
n,mは、2以上の整数である。ハイフン以下の符号は、複数の同じ種類の構成要素を互いに区別するものである。複数の同じ種類の構成を互いに区別しない場合には、ハイフン以下の符号を省略する場合がある。建物100は、マンションや一軒家などの住宅、病院、施設などである。本実施形態では、建物100がユーザの住宅である場合について説明する。以下の説明では、複数種類の電動装置200-1~200-mを複数種類の電動装置200ということがある。
【0010】
通信装置10は、通信ネットワークNWを介して制御装置30に接続される。通信装置10は、施解錠装置20-1~20-n及び複数種類の電動装置200-1~200-mに接続されている。通信装置10は、制御装置30と施解錠装置20-1~20-nとの間の情報を中継する。通信装置10は、制御装置30と複数種類の電動装置200-1~200-mとの間の情報を中継する。通信装置10は、例えば、ルータ及びゲートウェイを備える。
【0011】
通信ネットワークNWは、無線通信の伝送路(例えば、無線LAN)であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。通信ネットワークNWは、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、インターネット及び専用回線の何れかであってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。例えば、通信ネットワークNWは、省電力広域ネットワーク(LPWAN:Low-power Wide-area Network)を用いてもよいし、短距離無線通信規格であるZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、BLE等を用いてもよい。
【0012】
複数の施解錠装置20-1~20-nは、建物100に設置されている。
図2に示すように、施解錠装置20は、建物100の開口部に設けられる建具110の施解錠を行う。例えば、施解錠装置20は、クレセント錠である。建具110は、例えば引違い窓である。ただし、これに限定されず、建具110は、室内の扉などであってもよい。施解錠装置20は、例えば台所、居間、子供室、寝室などの各居室の建具110に設置されている。施解錠装置20は、トイレ、浴室、洗面室、玄関などに設置されている建具110に設けられてもよい。
【0013】
施解錠装置20は、通信装置10を介して通信ネットワークNWに接続されている。施解錠装置20は、通信ネットワークNW経由で制御装置30に対して情報を送信する。
【0014】
図3に示すように、施解錠装置20は、基部21、ハンドル部22及びクレセント金具23を備える。
【0015】
基部21は、建具110の一方の框体に固定されている。ハンドル部22は、利用者により操作されるレバーである。ハンドル部22は、基部21に対して回動可能に設けられている。クレセント金具23は、ハンドル部22に連動して回転し、建具の他方の框体に固定されたクレセント受け金具(不図示)に係合する。
【0016】
ハンドル部22が回転することにより、クレセント金具23が上記クレセント受け金具に係合する。クレセント金具23が上記クレセント受け金具に係合すると、建具110が施錠される。クレセント金具23が上記クレセント受け金具に係合している状態を施錠状態と称する場合がある。施錠状態からハンドル部22を回転することにより、クレセント金具23が、上記クレセント受け金具に係合していない状態になることにより解錠される。上記クレセント受け金具に係合していない状態を解錠状態と称する場合がある。
【0017】
図4に示すように、施解錠装置20は、電源部24、施解錠検知部25、住環境検知部26、出力部27及び発光ダイオード28を備える。
【0018】
電源部24は、施解錠検知部25、住環境検知部26、出力部27及び発光ダイオード28のそれぞれに対して電力を供給する。電源部24は、例えば一次電池又は二次電池を備える。電源部24は、太陽光によって電力を発電してもよい。電源部24は、二次電池を有し、太陽光によって発電した電力を当該二次電池に蓄電してもよい。
【0019】
施解錠検知部25は、建具110を施錠する錠である施解錠装置20が、施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを判別可能な情報(以下、「状態情報」という。)を検出する。一例として、施解錠検知部25は、加速度センサを備える。施解錠検知部25は、加速度センサによりハンドル部22の回転角度を検知することができる。施解錠検知部25は、ハンドル部22の回転角度により、施解錠装置20が施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを検知することできる。状態情報は、施解錠装置20が施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを示す情報であってもよい。状態情報は、上記加速度センサの検知結果であってもよい。
【0020】
施解錠検知部25は、加速度センサに限定されず、その他のセンサを用いて状態情報を検出してもよい。施解錠検知部25は、磁界センサを有し、建具110に取り付けられた磁石の磁界を上記磁界センサにより検知することで、施解錠装置20が施錠状態及び解錠状態のいずれの状態であるかを検知してもよい。施解錠検知部25は、公知の技術を用いて状態情報を検出できればよく、その方法には特に限定されない。施解錠検知部25は、例えばハンドル部22に収納されている。
【0021】
住環境検知部26は、建物100内の住環境を示す住環境情報を検知する。住環境情報は、例えば、温度、湿度、照度、二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくもいずれか1つである。臭気濃度とは、例えば臭気を無臭の清浄な空気で希釈してにおわなくなったときの希釈の倍数をいう。臭気濃度は、希釈の倍数に対して常用対数を10倍した数値である臭気指数であってもよい。住環境検知部26は、温湿度センサ、照度センサ、二酸化炭素センサ及び臭気センサのうち、複数のセンサを有してもよいし、1つのセンサのみを有してもよい。住環境検知部26が複数のセンサを有する場合には、複数のセンサは、1つの基板に実装されてもよい。住環境検知部26は、例えばハンドル部22に収納されている。
【0022】
出力部27は、住環境検知部26が検知した住環境情報を出力する。出力部27は、例えば、住環境検知部26が検知した住環境情報を、有線又は無線で外部に設けられた装置である外部装置に出力してもよい。例えば、出力部27は、無線通信の通信機能を有しており、無線通信ネットワークを介して、外部装置と通信してもよい。出力部27は、例えばハンドル部22に収納されている。
【0023】
一例として、出力部27は、通信装置10を介して、外部装置の一例である制御装置30に住環境情報を出力する。ただし、これに限定されず、出力部27は、外部装置の一例として、利用者が所持する通信端末300に対して無線で住環境情報を出力してもよい。出力部27は、住環境情報を外部装置に送信するにあたって、住環境情報に施解錠装置20の識別情報を付してもよい。出力部27は、住環境情報を表示装置に出力してもよい。この表示装置は、施解錠装置20に設けられてもよいし、施解錠装置20とは異なる装置に設けられてもよい。
【0024】
出力部27は、施解錠検知部25が検出した状態情報を更に出力してもよい。出力部27は、住環境情報と同様に、状態情報を有線又は無線で外部装置に出力してもよい。出力部27は、施解錠検知部25が検出した状態情報を、発光ダイオード28の発光を利用して利用者に報知してもよい。
【0025】
例えば、出力部27は、施解錠装置20が施錠状態であることが検知された場合には、発光ダイオード28を第1の色(例えば、緑色)に点灯させる。例えば、出力部27は、施解錠装置20が解錠状態であることが検知された場合には、発光ダイオード28を第1の色とは異なる第2の色(例えば、赤色)に点灯させる。
【0026】
制御装置30は、通信ネットワークNWに接続されている。制御装置30は、コンピュータであってもよい。制御装置30は、サーバ装置であってもよい。制御装置30は、インターネット上やクラウド上に配置されてもよい。制御装置30は、少なくとも一つの物理サーバを備えてもよい。制御装置30として構成される複数の物理サーバは、通信ネットワークNWを介して互いに接続されていることにより、互いに通信可能である。上記物理サーバは、少なくとも一つの仮想サーバを備えてもよい。仮想サーバは、クラウドシステム上のサーバ(クラウドサーバ)であってもよい。
【0027】
通信端末300は、例えばユーザが携帯可能であり、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末及びノートパソコンのいずれかである。通信端末300は、ウェアラブル端末等であてもよい。通信端末300は、ユーザが携帯可能であるか否かには特に限定されない。例えば、通信端末300は、コンピュータであってもよい。
【0028】
通信端末300は、通信ネットワークNWを介して制御装置30に接続される。通信端末300は、通信ネットワークNWを介して制御装置30と情報を送受信可能である。例えば、通信端末300は、制御装置30と通信することで住環境情報を受信し、受信した住環境情報を表示画面に表示可能である。
【0029】
図5に示すように、制御装置30は、格納部31及び制御部32を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0030】
格納部31には、例えば、
図6に示すように、複数の施解錠装置20のそれぞれが建物100内のどの居室空間に設置されているかを示す情報が格納されている。一例として、格納部31には、
図6に示すように、建物100の各居室空間を示す居室空間情報と、その居室空間に設置されている施解錠装置20の識別情報とが対応付けられた情報(以下、「建物情報」という。)が格納されている。
【0031】
制御部32は、通信ネットワークNWを介して複数種類の電動装置200を制御可能である。複数種類の電動装置200は、建物100内の住環境を改善させる動作(以下、「改善動作」という。)を実行可能である。例えば、複数種類の電動装置200は、電動窓開閉装置、電動シャッター、エアコンディショナ、換気装置、遮蔽装置、加湿器などである。遮蔽装置は、建物100の開口部から建物100内に射し込む光を遮蔽する。例えば、遮蔽装置は、カーテン、ブラインド、ロールカーテンなどである。遮蔽装置を閉状態にすることで、建物100内に射し込む光を遮蔽する。
【0032】
制御部32は、1つ以上の施解錠装置20から住環境情報を、通信ネットワークNWを介して受信する。制御部32は、受信した住環境情報に基づいて、住環境の改善が必要か否かを判定する判定処理を実行する。例えば、制御部32は、判定処理として、受信した住環境情報が基準値の範囲内か否かを判定する。制御部32は、受信した住環境情報が基準値の範囲外である場合には、住環境の改善が必要であると判定する。制御部32は、住環境の改善が必要と判定した場合には、複数種類の電動装置200の中から1つ以上の電動装置200を制御する。
【0033】
制御部32は、住環境情報が基準値を超えた居室空間を、
図6に例示する建物情報に基づいて特定可能である。格納部31には、建物100内の各居室空間にどの電動装置200が設置されているかの情報(以下、「電動装置情報」という。)が登録されている。制御部32は、住環境情報が基準値を超えた居室空間を特定し、特定した居室空間に設置されている電動装置200の中から、当該住環境情報を基準値以下にするための電動装置200を選択する。制御部32は、選択した電動装置200を動作させることで、居室空間の住環境を改善させる。
【0034】
例えば、制御部32は、住環境情報として建物100内の二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくともいずれか一方が設定値以上の場合には、複数種類の電動装置200のうち、建物100内の換気を行う換気装置を駆動させる。換気装置とは、換気扇であってもよいし、電動窓を開状態にする開閉装置であってもよいし、その両方であってもよい。制御部32は、ある居室空間の二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくともいずれか一方が設定値以上の場合には、その居室空間の電動窓を開状態に制御してもよいし、その居室空間に設置されている換気装置を駆動させてもよいし、その両方であってもよい。
【0035】
制御部32は、住環境情報として建物100内の照度が設定値以上の場合には、複数種類の電動装置200のうち、遮蔽装置を駆動させてもよい。例えば、制御部32は、ある居室空間の照度が設定値以上の場合には、その照度を計測した施解錠装置20が設置されている窓のカーテンやブラインド、ロールカーテンなどを閉状態に制御してもよい。
【0036】
例えば、制御部32は、住環境情報として建物100内の温度及び湿度のそれぞれが設定値以上の場合には、複数種類の電動装置200のうち、電動窓を制御してもよい。一例として、制御部32は、住環境情報としてある居室空間内の温度が設定値以上の場合には、その居室空間に設置されている電動窓を閉状態に制御し、その後に、その居室空間に設置されているエアコンディショナを冷房動作させてもよい。
【0037】
例えば、制御部32は、住環境情報として居室空間内の湿度が第1設定値よりも低い場合には、複数種類の電動装置200のうち、その居室空間に設置されている加湿器を動作させてもよい。例えば、制御部32は、住環境情報として居室空間内の湿度が第1設定値よりも高い第2設定値の場合には、複数種類の電動装置200のうち、その居室空間に設置されている除湿器を動作させてもよい。
【0038】
例えば、制御部32は、住環境検知部26から取得した温度及び湿度の情報に基づいて、暑さ指数(WBGT)を求めてもよい。この場合には、制御部32は、暑さ指数が基準値の範囲外であるか否かを判定する。制御部32は、暑さ指数が基準値の範囲外である場合には、エアコンディショナを冷房動作させてもよい。暑さ指数が基準値の範囲外とは、例えば、暑さ指数が警戒レベルである場合や厳重警戒レベルである場合などである。
【0039】
例えば、制御部32は、施解錠装置20-k(1≦k≦n)から住環境情報を受信すると判定処理を実行する。判定処理が実行されるタイミングは、施解錠装置20-kから住環境情報を受信したタイミングであってもよいし、予め設定された時刻であってもよい。判定処理が実行されるタイミングは、予め設定された時刻である場合には、制御部32は、最新の住環境情報に基づいて判定処理を実行する。
【0040】
制御部32は、判定処理の結果、住環境の改善が必要と判定した場合には、判定処理に用いた住環境情報に付されている施解錠装置20-kの識別情報を抽出してもよい。制御部32は、抽出した施解錠装置20-kの識別情報に対応付けられた居室空間情報を、格納部31に格納されている建物情報から読み取る。制御部32は、読み取った居室空間情報が示す居室空間に設置されている電動装置200を制御することで、その居室空間の住環境を改善させる。
【0041】
例えば、制御部32は、読み取った居室空間情報が示す居室空間が居間であり、判定処理として照度が設定値以上である場合には、居間に設置されている遮蔽装置を駆動させることで居間の照度を下げてもよい。尚、制御部32は、施解錠装置20-k(1≦k≦n)から住環境情報を受信した場合には、その施解錠装置20-kが設置されている居室空間を建物情報に基づいて特定し、その特定の後に判定処理を実行してもよい。
【0042】
例えば、制御部32は、判定処理において住環境の改善が必要であると判定した場合には、複数の電動装置200のうち、その住環境を改善可能な電動装置200(以下、「制御対象」という。)を選択し、選択した制御対象に制御指令を送信する。電動装置200は、制御指令を受信すると、その制御指令に応じた動作を実行する。
【0043】
例えば、格納部31には、住環境の種類に応じた制御対象の情報(以下、「制御対象情報」という。)が、居室空間ごとに予め記憶されている。制御部32は、判定処理において住環境の改善が必要であると判定した場合には、改善が必要な住環境が建物100内のどの居室空間の住環境であるかを建物情報に基づいて特定する。制御部32は、特定した居室空間において、改善が必要な住環境に応じた制御対象を制御対象情報に基づいて選択する。制御部32は、選択した制御対象に対して制御指令を送信する。
【0044】
制御装置30は、建物100の利用者の通信端末300に対して、各施解錠装置20から受信した住環境情報や状態情報を提供する。制御装置30は、建物100の利用者の通信端末300に対して、各施解錠装置20から受信した住環境情報に基づいて実行された判定処理の結果を提供する。制御装置30は、判定処理の結果を通信端末300に対して提供する場合には、居室空間情報と判定処理の結果とを対応付けて提供してもよい。これにより、利用者は、住環境の改善が必要な部屋がどの居室空間であるかを把握することができる。
【0045】
以下において、制御システム1の動作の流れを、
図7を用いて説明する。施解錠装置20は、住環境情報を一定周期で検出しており、検出した住環境情報を制御装置30に対して送信している。制御装置30は、住環境情報を受信すると(ステップS101)、その住環境情報が基準値の範囲内か否かを判定する(ステップS102)。
【0046】
制御装置30は、住環境情報が基準値の範囲内である場合には、ステップS101の処理に戻る。制御装置30は、住環境情報が基準値の範囲外である場合には、その住環境情報が示す住環境を改善することが可能な電動装置200を制御する(ステップS103)。例えば、制御装置30は、二酸化炭素濃度又は臭気濃度が基準値の範囲を示す設定値を超えた場合には、レンジフードや換気扇を動作させる。
【0047】
制御装置30は、建物100内に人が存在するか否かの判定を行ってもよい。例えば、制御装置30は、ステップS103を実行する前に、建物100内に人が存在するか否かを判定してもよい。例えば、制御部32は、建物100の利用者の位置情報を、その利用者が携帯する通信端末300から通信ネットワークNWを介して受信してもよい。制御部32は、利用者の位置情報に基づいて、建物100内に人が存在するか否かの判定を行ってもよい。ただし、これに限定されず、制御部32は、建物100内に人が存在するか否かの判定を、建物100に設置されたセンサなどの情報に基づいて行ってもよい。
【0048】
制御装置30は、建物100内に人が存在すると判定した場合には、電動窓を開状態に制御してもよい。例えば、制御装置30は、建物100内に人が存在する場合において、二酸化炭素濃度又は臭気濃度が基準値の範囲を示す設定値を超えた場合には、レンジフードや換気扇を動作させ、且つ、電動窓を開状態に制御してもよい。例えば、制御装置30は、建物100内に人が存在しない場合において、二酸化炭素濃度又は臭気濃度が基準値の範囲を示す設定値を超えた場合には、レンジフードや換気扇を動作させ、電動窓を閉状態のままに制御してもよい。
【0049】
制御部32は、暑さ指数が基準値の範囲外である場合には、建物100内に人が存在することを条件として、電動窓を開状態に制御してもよい。制御部32は、電動窓を開状態に制御する場合には、暑さ指数の算出に用いられた温度及び湿度を計測した施解錠装置20が設置されている居室空間の電動窓を開状態に制御してもよい。制御部32は、電動窓を開状態に制御しても暑さ指数が基準値の範囲外のままである場合には、電動窓を閉状態に制御した後にエアコンディショナを冷房動作させてもよい。
【0050】
制御装置30は、居間の照度が基準値の範囲を示す設定値を超えた場合には、居間のカーテンやブラインド、ロールカーテンなどを閉状態に制御してもよい。
【0051】
施解錠装置20は、建物100の開口部に設けられる建具110の施解錠を行う。施解錠装置20は、住環境検知部26及び出力部27を備える。住環境検知部26は、建物100内の住環境を示す住環境情報を検知する。出力部27は、住環境検知部26が検知した住環境情報を出力する。住環境検知部26が施解錠装置20内に収納されているため、建物内の意匠性の低下を抑えながら、建物内の住環境を確認することができる。
【0052】
住環境情報は、温度、湿度、照度、二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくもいずれか1つであってもよい。例えば、施解錠装置20に、住環境情報として照度を検知する照度センサを設けることで、建物100内の照度をより好適に検知することができる。
【0053】
出力部27は、住環境検知部26が検知した住環境情報を有線又は無線で外部に設けられた制御装置30などの外部装置に送信してもよい。このような構成により、制御装置30などの外部装置は、建物100内の住環境を一括して管理することができる。
【0054】
施解錠装置20は、建具110を施解錠する錠が、施錠状態及び解錠状態のいずれかの状態であるかを判別可能な情報である状態情報を検出する施解錠検知部25を更に有してもよい。制御装置30は、住環境情報に加えて、建物100内における施解錠装置20の状態情報を管理することができる。
【0055】
制御装置30は、施解錠装置20から住環境情報を有線又は無線で受信し、受信した住環境情報に基づいて、複数種類の電動装置200の中から1つ以上の前記電動装置を制御してもよい。制御装置30は、住環境情報が基準値の範囲を超えている場合には、電動装置200を制御することで、建物100内の住環境を改善させることができる。
【0056】
制御装置30は、住環境情報として建物100内の二酸化炭素濃度及び臭気濃度の少なくともいずれか一方が設定値以上の場合には、複数種類の電動装置200のうち、建物100内の換気を行う換気装置を駆動させてもよい。制御装置30は、住環境情報として建物100内の照度が設定値以上の場合には、複数種類の電動装置200のうち、遮蔽装置を駆動させてもよい。
【0057】
施解錠装置20は、クレセント錠に限定されず、サムターン、グレモンハンドル又はカムラッチであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…制御システム、10…通信装置10…施解錠装置、24…電源部、25…施解錠検知部、26…住環境検知部、27…出力部、28…発光ダイオード、30…制御装置、200…電動装置