(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086412
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/11 20060101AFI20230615BHJP
B01D 29/62 20060101ALI20230615BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20230615BHJP
E03C 1/10 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B01D29/10 510E
B01D29/10 510G
B01D29/10 520C
B01D29/10 530A
B01D29/38 580D
B01D39/20 D
E03C1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200916
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】518018768
【氏名又は名称】株式会社一
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】生田 一誠
【テーマコード(参考)】
2D060
4D019
4D116
【Fターム(参考)】
2D060CD09
4D019AA03
4D019BA05
4D019BB01
4D019CA03
4D019CB04
4D019CB09
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC47
4D116DD05
4D116GG03
4D116KK04
4D116RR01
4D116RR21
4D116RR22
4D116UU16
4D116VV08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】セラミックフィルターの壁面を洗浄できる濾過装置を提供する。
【解決手段】濾過装置は、架台1と、架台に設置された上端開口のケース4本体と、原水供給用の第1開閉弁5を有する原水流入管8、第3開閉弁13を有する付着物排出用の排出管3と、開閉可能に設けられた蓋体4cと、濾過水供給用の第2開閉弁12を有する濾過水供給管9と、原水を前記濾過水に生成するセラミックフィルター10と、ケース本体に取り外し可能に内装された結合手段31と、ケース本体に内装され、その下端壁部の中央部にケース本体の底壁部4aの中央部を貫通して架台の内部空間に突出する垂直回転軸17を有する回転体15と、垂直回転軸に設けられた操作部36と、長筒状支持部18に固定され、操作部の操作力により回転体が水平方向に回転すると、セラミックフィルターの外周部に付着した付着物を擦り取る、少なくとも一以上の洗浄ブラシ21bを含む洗浄手段を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、この架台に設置された上端開口のケース本体と、このケース本体に設けられると共に、原水供給用の第1開閉弁を有する原水流入管、並びに第3開閉弁を有する付着物排出用の排出管と、前記ケース本体に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていると共に、濾過水供給用の第2開閉弁を有する濾過水供給管と、前記ケース本体に取り外し可能に設置され、前記原水を前記濾過水に生成するセラミックフィルターと、このセラミックフィルターの上下の端部を挟持状態に支持することができると共に、前記ケース本体に取り外し可能に内装された結合手段と、前記ケース本体に内装され、その下端壁部の中央部に前記ケース本体の底壁部の中央部を貫通して前記架台の内部空間に突出する垂直回転軸を有する回転体と、前記垂直回転軸に設けられた操作部と、前記回転体の透孔を有する長筒状支持部に固定されていると共に、前記操作部の操作力により前記回転体が前記垂直回転軸を回転中心として水平方向に回転すると、前記セラミックフィルターの外周部に付着した付着物を擦り取る、少なくとも一本以上の洗浄ブラシを含む洗浄手段を備える濾過装置。
【請求項2】
請求項1の濾過装置に於いて、前記洗浄ブラシは、その先端部がセラミックフィルターの外周部に接触し、前記回転体の長筒状支持部に周方向に所定間隔を有して少なくとも一対設けられていることを特徴とする濾過装置。
【請求項3】
請求項1の濾過装置に於いて、前記洗浄ブラシは、その先端部がセラミックフィルターの外周部に接触し、前記回転体の長筒状支持部に周方向に所定間隔を有して合計3本設けられていることを特徴とする濾過装置。
【請求項4】
請求項1の濾過装置に於いて、前記結合手段は、複数の固着具を介してケース本体の上端部に固着される水平壁部と、この水平壁部の中心部に垂下されると共に下端部にセラミックフィルターの下端部を支持する支持板を有する連結棒と、この連結棒の上端部に螺合する操作螺合具を含むことを特徴とする濾過装置。
【請求項5】
請求項1の濾過装置に於いて、前記セラミックフィルターの外周部に抗菌成分としてのトリプタンスリンが、透過性のある被膜状、透過性のあるメッシュ状のいずれかの状態で定着していることを特徴とする濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは水道水を利用する濾過装置に関し、特に家庭用又は業務用の濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明の課題は、セラミックフィルターをケーシングから取り出すことなく、セラミックフィルターの壁面を洗浄できる濾過装置を提供することである。
そして、特許文献1には、ケーシング2の内部空間9に、円筒状のセラミックフィルター3と、円筒状の洗浄部材16を収容し、前記洗浄部材16の保持体10には、内側に向かって洗浄ブラシ13が植設されている。そして、ケーシング2の上面から突設する棒状体19を下方に押圧すると、押圧体12を介して洗浄部材16が下方に移動し、一方、棒状体19から手を放して押圧を止めると、洗浄部材16の下方に設けた弦巻ばね11の付勢力によって、該洗浄部材16が上方に押し戻され、洗浄ブラシ13がケーシング2の軸方向に沿って往復運動することによって、壁面3Aに付着した付着物が拭い取られることが記載されている(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
しかしながら、特許文献1は、次のような問題点がある。
(a)洗浄部材16は、多数の透孔を有する長筒状の保持体10と、この保持体10の内周面の全周面に植設された長筒状の洗浄ブラシ13とから成るので、ケーシング2の軸方向に沿って往復運動する際、前記全周面から非状に大きな抵抗が生ずる。したがって、押圧部材としての棒状体19に対して大きな駆動力が必要となる。
(b)また洗浄ブラシ13が全体として軸方向及び半径方向に均等に延在する長筒状なので、原水が長筒状の保持体10の多数の透孔を介して長筒状の洗浄ブラシ13を通過する際、原水の速度が減速する。換言すると、長筒状の洗浄ブラシ13は原水の流れの妨げになる。
(c)モータ、動力伝達手段、カム、棒状体19、棒状体パッキン等の装置や部材が必要となるので、構成が複雑となる。
(d)ケーシング2の内部に洗浄部材16を初期位置に戻すための弦巻ばね11を組み込む必要がある。
【0004】
特許文献2の発明の課題は、カートリッジ式の1本のパイプ状濾過本体を濾過筒の中に安定的に組み込み、濾過面積を広くして濾過効率を図り、一端部が損傷しないセラミック製濾過部材を用い、組立及び分解が容易である、濾過装置を提供することである。この課題を達成するために、「単体の濾過モジュールXは、汚水入口4、透明水出口5及び洗浄水用の排出口6を有する濾過筒1と、前記濾過筒1の内部に組込み及び引抜き自在に設けられたカートリッジ式の1本のパイプ状濾過本体11とから成り、汚水入口4から濾過筒1に流入した汚水をパイプ状濾過本体11の外周部から中心孔12の内周面へと透過させて綺麗な透明水にすると共に、該透明水を前記透明水出口5から出す単体の濾過モジュールXの構成を採用している。そして、前記パイプ状濾過本体11の外周部に付着した付着物を除去する際には、パイプ状濾過本体11の内周面側に洗浄水を導き、かつ該洗浄水を該パイプ状濾過本体11の外周部側へと透過させ、洗浄水と共に剥離した付着物を排出口6から排出する構成」が記載されている(符号は特許文献2のもの)。
【0005】
しかしながら、特許文献2は、パイプ状濾過本体11の外周部に付着した付着物を除去する際、特許文献1の如く、洗浄ブラシ13を含む洗浄部材を使用するものではないから、技術的原理が異なる。
【0006】
なお、特許文献3には、藍草を水或いは水を含むエタノールにより抽出しトリプタンスリンを含有する藍草抽出液を得ることを提案するものであるが、該トリプタンスリンを含有する藍草抽出液を濾過装置のセラミックフィルター(濾過用モジュール)に適用することは記載され、示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-46813号公報
【特許文献2】特開2021-30170号公報
【特許文献3】国際公開WO2008/062861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる課題は、特許文献1と同様にセラミックフィルターをケーシングから取り出すことなく、セラミックフィルターの壁面を洗浄できる濾過装置を提供することを前提として特許文献1の問題点を解消し、例えば操作部を操作する際、付着物を払拭することができると共に、洗浄ブラシの摩擦抵抗を極力少なくすることにより、回転体を容易に回すことができること、及びセラミックフィルターを、結合手段を介して簡単にケース本体に脱着することができること、その他家庭用或いは業務用に適すること、抗菌性のセラミックフィルター(濾過用モジュール)を含む濾過装置を提案すること等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の濾過装置は、架台と、この架台に設置された上端開口のケース本体と、このケース本体に設けられると共に、原水供給用の第1開閉弁を有する原水流入管、並びに第3開閉弁を有する付着物排出用の排出管と、前記ケース本体に開閉可能に設けられた蓋体と、この蓋体に設けられていると共に、濾過水供給用の第2開閉弁を有する濾過水供給管と、前記ケース本体に取り外し可能に設置され、前記原水を前記濾過水に生成するセラミックフィルターと、このセラミックフィルターの上下の端部を挟持状態に支持することができると共に、前記ケース本体に取り外し可能に内装された結合手段と、前記ケース本体に内装され、その下端壁部の中央部に前記ケース本体の底壁部の中央部を貫通して前記架台の内部空間に突出する垂直回転軸を有する回転体と、前記垂直回転軸に設けられた操作部と、前記回転体の透孔を有する長筒状支持部に固定されていると共に、前記操作部の操作力により前記回転体が前記垂直回転軸を回転中心として水平方向に回転すると、前記セラミックフィルターの外周部に付着した付着物を擦り取る、少なくとも一本以上の洗浄ブラシを含む洗浄手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成に於いて、前記洗浄ブラシは、その先端部がセラミックフィルターの外周部に接触し、前記回転体の長筒状支持部に周方向に所定間隔を有して少なくとも一対設けられていることを特徴とする。また前記洗浄ブラシは、その先端部がセラミックフィルターの外周部に接触し、前記回転体の長筒状支持部に周方向に所定間隔を有して合計3本設けられていることを特徴とする。また前記結合手段は、複数の固着具を介してース本体の上端部に固着される水平壁部と、この水平壁部の中心部に垂下されると共に下端部にセラミックフィルターの下端部を支持する支持板を有する連結棒と、この連結棒の上端部に螺合する操作螺合具を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記セラミックフィルターの外周部に抗菌成分としてのトリプタンスリンが透過性のある被膜状、透過性のあるメッシュ状のいずれかの状態で定着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、操作部を操作する際、洗浄ブラシで付着物を払拭することができると共に、前記洗浄ブラシの摩擦抵抗を極力少なくすることにより、回転体を容易に回すことができる。またセラミックフィルターを、結合手段を介して簡単にケース本体に脱着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至
図13は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
【
図1】第1実施形態の正面視からの概略説明図(内部構造は省略)。
【
図3】要部(架台に内装された操作ハンドル及びケーシング内装された回転体・洗浄ブラシ)の概略説明図。
【
図4】要部(操作ハンドル、回転体・洗浄ブラシ、セラミックフィルター) の概略説明図。
【
図6】要部(ケース本体、セラミックフィルター、上方のシール材・下方のシール材) の概略説明図。
【
図7】要部(結合手段を構成する上方支持板、第1締付具)の概略説明図。説明図。
【
図8】要部(結合手段を構成する下方支持板、連結棒、上方のシール材、第2締付具)の概略
【
図9】平面視からの概略説明図(濾過取出し部、架台及び排水取出し部は省略)。
【
図10】リング型の第1連結手段(第2連結手段も同じ)の説明図。
【
図11】水道水を濾過し、濾過水を得る場合に概略説明図。
【
図12】
図5の状態に於いて、セラミックフィルターの外周部から付着物を擦り取る場合の説明図。
【
図13】洗浄水と共に付着物を排水取出し部から排出する場合に概略説明図。
【
図14】セラミックフィルターの他の実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至
図13は、本発明の第1実施形態の濾過装置Xの各説明図である。
図1は正面視からの概略説明図、
図2は主要部の概略説明図である。ここで主要部には、架台と、架台に内装された操作ハンドルと、ケースに内装された回転体・洗浄ブラシ・セラミックフィルター・シール材・結合手段が含まれる。なお、この明細書では、周知技術に関しては、符号等を省略することがある。
【0015】
まず
図1を参照にして、濾過装置Xの外観構成を説明し、次に
図2を参照にして主要部を説明する。
図1に於いて、符号1は上面が方形、矩形、多角形、円形、楕円形等の架台である。架台1はケースを設置することができる形状であれば、
図1で示すように、その外周壁が下方横長矩形部分と、該下方横長矩形部分に連続する台形部分とを有する略円錐台、下面及び上面が平坦な略球台、六面が直交する立方体等の任意の形状に製作することができる。
【0016】
実施形態では、架台1は略円錐台であり、その下面の四隅に滑り止め防止用のゴム2が取付けられている。また架台1の正面視台形状の周壁の適宜部位には、洗浄水と共に付着物cを外部に放出する排出管3が設けられている。
【0017】
4は架台1に載置されたケースで、このケース4は、実施形態では、架台1との分離可能性を考慮し、架台1の上面に接着剤或いは溶接手段により固定された円板状の底壁部4aと、この底壁部に対してバンドル式の第1締付具6を介して固定された長筒状の周胴部4bと、この周胴部4bの上端部にバンド式の第2締付具7を介して開閉可能に取付けられた蓋体4cとから成る。そして、前記長筒状の周胴部4bの中央部(中央部寄りの部位も含む)には、原水流入管8が設けられている。また正面視が全体としてキャップ状(緩やかな弧状面)の蓋体4cの略中央部には濾過水供給管9が設けられている。
【0018】
10はケース4の長筒状の周胴部4bの内部の中央部に垂直状態に設けられたセラミックフィルターで、
図1では、説明の便宜上、セラミックフィルター10を仮想線で示し、回転体、洗浄ブラシ、シール材、結合手段等の各部材は省略している(例えば
図2参照)。
【0019】
ところで、実施形態では、水道水aをケース4に供給する原水流入管8に手動式の第1開閉弁5が取付けられている。また生成後の濾過水bを出す濾過水供給管9の適宜箇所には手動式の第2開閉弁12が取付けられている。さらに、原水aと共に付着物cを排出する排出管3には手動式の第3開閉弁13が取付けられている。
【0020】
上記の第1開閉弁5と第2開閉弁12と第3開閉弁13を適宜に開閉することにより、原水流入管8から原水(望ましくは水道水)aをケース4に導入し、かつ、セラミックフィルター10で濾過水を生成し、該濾過水bを濾過水供給管9から取り出すことができる。また、セラミックフィルター10の洗浄時、原水流入管8から原水aを洗浄水としてケース4内に導入し、かつ、セラミックフィルター10の外周部に付着した付着物cを図示しない洗浄手段の洗浄ブラシで擦り取り、原水(洗浄水)aと共に付着物cを排出管3から排出することができる。
【0021】
次に
図2を参照にして主要部の具体的構成について説明する。
図2の下方にあるのが架台1である。架台1の細部的な用語の符号は割愛する。架台1のゴム2を有する底板は、洗浄時、一端部から開閉可能である。したがって、底板の他端部は適宜に軸支され、前記一端部に係止部分などが適宜に設けられている。また架台1の右側壁の傾斜状壁には、排出管3用の第1貫通孔が形成されている。また、架台1の上板の略中央部には、シール材の一例であるグランドパッキン11を底壁部4aの略中央部に固定的に取付けるための嵌合孔19が形成されている。
【0022】
グランドパッキン11の具体的構成は周知技術なので割愛するが、ハット型形状の筒状雌具の上面が底壁部4aの下面に接着や溶着手段により固定されている。したがって、固定部材としてのケース4の底壁部4aとグランドパッキン11は一体的であり、かつ、回転体の下部に突設した垂直の回転軸に対する水密性を確保している。
さらに、架台1の上板の中央部寄りの部位には、排出管3用の第2貫通孔が形成されている。架台1の上板と周壁板と底板に囲まれた内部空間20を有し、この内部空間に操作部としての操作ハンドル14が内装されている。
【0023】
操作ハンドル14は、例えば垂直の回転軸の下端部に一体的に螺着する短筒状の雌螺合部と、この雌螺合部の下端部に一体成形された水平環状部と、この水平環状部の適宜部材に一体成形され、かつ手で握ることができる把手部14aとから成る。
【0024】
次に
図3、
図4、
図5を参照にして、上端開口の回転体15と洗浄手段の具体的構成を説明する。なお、
図4は上端開口の回転体15のイメージを概念的に示したものであり、この形状に限定するものではない。これらの図に於いて、まず15は、ケース4に内装されかつ操作ハンドル14の操作力により垂直の回転軸17或いは後述の結合手段の垂直連結棒(固定垂直軸)34を回転中心として水平方向に回転する回転体である。
【0025】
次に16は前述した底壁部4aの内面と多少の間隙を有して対向又は多少の間隙を有しないで摺接する円形状の下端壁部16で、この下端壁部16には単数又は複数の付着物用の透孔16aが形成されている。洗浄時、前記透孔16aから付着物を通過させることができる。下端壁部16の下面の中央部には垂直の回転軸17の上端部が適宜に固定されている。
【0026】
次に18は前記下端壁部16の周端部にその下端部が一体的に設けられた長筒状支持部で、この長筒状支持部18は、垂直方向の支持部分18aと、この支持部分18aに連続する下端部側の環状部分18bと、この環状部分18bとは反対側で、前記支持部分18aに連続する上端部側の環状部分18cと、前記下端部側の環状部分18bと上端部側の環状部分18cとの間に形成され、原水が内部へと入り込むことができる単数又は複数の透孔18dを有している。前記透孔18dの数・形状・大きさは特に問わないものの、セラミックフィルター10の外周部に向かって原水が効率的に流れ込むことができる数・形状・大きさにするのが好ましい(例えば
図4参照)。
【0027】
次に21は回転体15の垂直方向の支持部分18aの内面に略垂直状態の姿勢で接着或いは溶着手段により固定的に設けられた一つ以上の洗浄手段である。実施形態では、
図4及び
図5で示すように、前記垂直方向の支持部分18aの内面に対向状態に一対設けられている。もちろん、洗浄手段21の数は、一個よりも2個の方が、また2個よりも3個の方が、さらに3個よりも4個の方が望ましいが、特許文献1の如く、セラミックフィルター10の略全周に亘って非常に多数配設すると、数が増えるのに対応して摩擦抵抗が大きくなるので、操作ハンドル14の力の入れ具合に配慮して任意に決定するのが望ましい。好ましい数としては、2個乃至4個である。
【0028】
しかして、洗浄手段21は、垂直板状の基端部21aと、この基端部21aの内面の略全域に植設された金属製の洗浄ブラシ21bとから成り、前記洗浄ブラシ21bの先端部はセラミックフィルター10の外周部10aに接触するまで延びている。
【0029】
なお、洗浄ブラシ21の素材は、摩耗し難い金属、ナイロン・PP・PVC・PFAなどであり、特に金属製に限定するものではない。垂直板状の基端部21aの垂直方向の長さは、例えば
図2で示すように、上端開口の回転体15の垂直方向の支持部分18aよりも短く、セラミックフィルター10の外周部10aの軸方向の長さと略同一である。
【0030】
そして、セラミックフィルター10の外周部10aの軸方向の長さは前記垂直方向の支持部分18aよりも短いので、例えば回転体15の上端開口の端部にセラミックフィルター10のセラミック本体の上端部に合わせた場合には、垂直板状の基端部21aも同様に回転体15の上端開口の端部に合わせるようにするのが望ましい。これにより、回転体15の下端壁部16の内面と洗浄ブラシ21bの下端及びセラミックフィルター10の下端との間に付着物が落下する間隙22を十分に確保することができる。
【0031】
次に
図6を参照にして、セラミックフィルター10の具体的構成を説明する。なお、セラミックフィルター10の材質や構成は、特許文献1及び特許文献2、出願人が提案したその他の特許文献により、既に周知技術なので、簡単に説明する。
【0032】
図6に於いて、10は長筒状のセラミックフィルターで、この長筒状のセラミックフィルター10は、長筒状のセラミック本体25と、このセラミック本体の両端部に固定された損傷防止用の短筒状或いは円板状のキャップ26とから成る。
【0033】
ところで、前記筒状のセラミック本体25は、外周部10aと内周面10bとを有し、前記外周部10aから内周面10bへと原水が通過し、前記内周面10b内部に不純物のない濾過水が生成される。また、前記円板状のキャップ26は、実施形態では下面及び上面が平坦であるが、取付け端部を大径とし、一方、外端部側を小径にすることができる。
【0034】
次に
図2、
図7及び
図8を参照にしてセラミックフィルター用の結合手段31について説明する。結合手段31は、実施形態では、セラミックフィルター10の上端部に当接する仕切り板32と、該仕切り板の周端部をケース本体(4a、4b)に固定する固着具33と、前記仕切り板32の傘状の中心部に垂設状態に設けられ、かつ、セラミックフィルター10の下端部を支持する連結棒34と、この連結棒の前記傘状の中心部から突出する上端部に螺合し、かつ該連結棒の下端部に一体的に設けた水平の支持板35の上面をセラミックフィルター10の下端部に圧接させることができる操作螺合具36とから成る。
【0035】
付言すると、前記仕切り板32は、原水流入管8の流入口と連通するケース本体(4a、4b)側の原水流入空間とセラミックフィルター10の内部空間及び濾過水供給管9の流出口に連通する濾過水貯留空間とを区画する。
【0036】
そして、実施形態では、その周端部が複数の固着具33で固定されると共に、中央部寄りの部位の下面がセラミックフィルター10の上面に圧接し、かつ中央部に濾過水の通過を許容する透孔を有する幅広環状の水平壁部32aと、この水平壁部の上面の中央部寄りの部位から膨出する傘状壁部32bとから成り、前記水平壁部32aの周端部には複数個の取付け孔が形成されていると共に、中央部にセラミックフィルター10の内径と略同一の前記透孔が形成されている。また前記傘状壁部32bの平坦状頂部分の中心部には連結棒取付け用の貫通状中心孔が形成されている(各孔の番号は省略)。
【0037】
なお、水密性を考慮し、実施形態では複数個の金属製或いは弾性のシール部材が適宜に設けられている。例えば41は水平支持板35の上面とセラミックフィルター10の下端面に介在する第1シール部材、42は仕切り板32の水平壁部32aの下面とセラミックフィルター10の上端面に介在する第2シール部材、43はケース4の周胴部4bの上端部に内外に突出するように周設された鍔部の上面と前記水平壁部32aの周端部の下面に環状するリング状の第3シール部材、そして、44は、傘状壁部32bの平坦状頂部分の上面と操作螺合具35の下端面との間に介在する五円玉形状の第4シール部材である。なお、前記周胴部4bの上端部に一体的に設けられた前記鍔部はケース本体の一部である。
【0038】
次に
図10は、リング型の第1連結手段6(第2連結手段7も同じ)の説明図である。第1連結手段6の構造は周知技術なので割愛する。第1連結手段6は、
図2で示すように、架台1の正面に固定されたケース本体4の底壁部4aとケース本体4の周胴部4bの下端部に周設した鍔部を締め付けるために使用されている。同様に第2連結手段7は、周方向に均一の鍔部のあるキャップ状の蓋体4cと周胴部4bの上端部に周設した鍔部を締め付けるために使用されている。
【0039】
次に
図11は、原水の一例としての水道水aを濾過し、蓋体4c側の内部空間に濾過水bを得る場合に概略説明図である。この場合第1開閉弁5及び第2開閉弁12を「開」の状態にし、一方、第3開閉弁13を「閉」の状態にする。流体の流れは矢印で示す通りである。
【0040】
次に
図12は、
図5の状態に於いて、セラミックフィルター10の外周部10aから付着物cを擦り取る場合の説明図である。この場合回転体15と共に複数の洗浄ブラシ21bが操作部14側の垂直回転軸17を回転中心として回転する。回転方向は矢印で示す通りである。
【0041】
次に
図13は、洗浄水aと共に付着物cを排水管3から排出する場合に概略説明図である。この場合、原水を洗浄水aとして利用することから、第1開閉弁5及び第3開閉弁13を「開」の状態にし、一方、第2開閉弁12を「閉」の状態にする。流体の流れは矢印で示す通りである。
【0042】
最後に
図14は、セラミックフィルター10Aの他の実施形態を示す説明図である。このセラミックフィルター10Aの特徴は、外周部10aに抗菌成分としてのトリプタンスリン50が透過性のある被膜状、透過性のあるメッシュ状のいずれかの状態で定着していることである(便宜上、図では被膜を多数の点で示す。藍草から抽出した抗菌性のトリプタンスリン成分を含む)。前記定着させる方法は、例えば藍染塗料を、刷毛を利用して塗布する、藍染したメッシュシートを巻き付ける等の態様がある。このような構成にすると、前記外周部10aに付着物cが付着しても、容易に「殺菌」や「バクテリア」の繁殖を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、主に家庭用又は業務用の濾過装置に用いられる。
【符号の説明】
【0044】
X…濾過装置、
a…原水、
b…濾過水、
c…付着物、
1…架台、
3…排出管、
4…ケース、4a…底壁部、4b…周胴部、4c…蓋体、
5…第1開閉弁、
6、7…締付具、
8…原水流入管、
9…濾過水供給管、
10…セラミックフィルター、10a…外周部、
13…第3開閉弁、
14…操作ハンドル、
15…回転体、
16…下端壁部、
17…垂直回転軸、
18…長筒状支持部、
21…洗浄手段、
21a…基端部、21b…洗浄ブラシ、
22…間隙、
31…結合手段、
32…仕切板、32a…水平壁部、32b…傘状壁部、
33…固着具、
34…連結棒、
35…水平の支持板、
36…操作螺合具、
50…抗菌成分。