(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023086428
(43)【公開日】2023-06-22
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230615BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 301
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200945
(22)【出願日】2021-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔平
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA44
2C056HA60
2C061AP01
2C061AQ05
2C061CD07
2C061CD09
2C061CD15
2C061CD17
2C061CD21
(57)【要約】
【課題】長尺の被印刷物に印刷する際、インクを硬化させる光を漏れにくくする。
【解決手段】インクジェットプリンタ10は、被印刷物5の支持台60と、光硬化性のインクを吐出する記録ヘッドと、インクを硬化させる光を照射する光照射装置と、少なくとも支持台60の前方において開口した開口部を有するケース20と、開口部を開閉可能な扉30と、を備える。扉30は、光照射装置からの光が透過不能であって開閉可能な第1部材40と、光照射装置からの光が透過不能かつ第1部材40に着脱可能な第2部材と、を備える。第2部材は、第1部材40に装着されることにより開口部の一部Op2を塞ぎ、第1部材40から離脱させることにより開口部の一部Op2を開放する。開口部の一部Op2は、支持台60の前方に配置され、第2部材を第1部材40から離脱させることにより、支持台60に支持された長尺の被印刷物5の一部を開口部の外側に出すことが可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物を支持する支持台と、
前記支持台に支持された被印刷物に光硬化性のインクを吐出する記録ヘッドと、
前記インクを硬化させる光を照射する光照射装置と、
前記支持台、前記記録ヘッド、および前記光照射装置を収容する収容空間と、前記収容空間に連通し少なくとも前記支持台の前方において開口した開口部と、を有するケースと、
前記開口部を開閉可能なように前記ケースに支持された扉と、を備え、
前記扉は、
前記光照射装置から照射される光が透過不能であって、開閉可能に前記ケースに接続され、前記開口部の一部を塞ぎまたは開放する第1部材と、
前記光照射装置から照射される光が透過不能かつ前記第1部材に着脱可能に構成され、前記第1部材に装着されることにより前記開口部の他の一部を塞ぎ、前記第1部材から離脱させることにより前記他の一部を開放する第2部材と、を備え、
前記開口部の前記他の一部は、前記支持台の前方に配置され、前記第2部材を前記第1部材から離脱させることにより、前記支持台に支持された長尺の被印刷物の一部を前記開口部の外側に出すことが可能なように構成されている、
インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記支持台は、所定の幅方向および奥行き方向に延びるとともに、前記幅方向に関して、被印刷物を載置可能な載置可能エリアが設定されており、
前記開口部の前記他の部分の前記幅方向の長さは、前記載置可能エリアの前記幅方向の長さよりも長い、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記光照射装置が照射する光は、紫外線を含み、
前記第1部材は、前記光照射装置から照射される紫外線が透過不能かつ前記収容空間内を視認可能なように構成されている、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記第1部材は、
環状に組み合わされた複数のフレーム部材を備え、前記第1部材の外周部を形成する枠体と、
前記枠体によって支持され、前記収容空間を視認可能な透明板と、を備えている、
請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記ケースは、前記開口部の側方に配置されたメンテナンス開口を備え、
前記メンテナンス開口を開閉可能なように前記ケースに支持されたメンテナンス扉と、
前記第1部材および前記第2部材の側面に着脱可能に構成され、前記第1部材および前記第2部材に装着されることにより前記第1部材と前記第2部材とを固定し、前記第1部材および前記第2部材から離脱されることにより前記第2部材を前記第1部材から離反可能な状態とする固定部材と、をさらに備え、
前記メンテナンス扉は、閉じた状態において前記固定部材を隠蔽し、開いた状態において前記固定部材を露出させる、
請求項1~4のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化性のインクを硬化させる光照射装置を備え、光硬化性のインクで画像を形成するプリンタが従来から知られている。例えば特許文献1には、主走査方向に移動するキャリッジに設けられたインクヘッドおよび光照射装置と、副走査方向および上下方向に移動するフラットベッドと、これらを収容するケースと、ケースの前面開口部を開閉するフロントカバーと、を備えたインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に開示されているような光照射装置を備えたプリンタにおいて、フロントカバーを閉じることができないような長尺の被印刷物に対して印刷を行いたい場合があり得る。そのような被印刷物に印刷を行うためにフロントカバー等の扉を開放すると、光照射装置から照射される光がケース外に大量に漏れ、好ましくない。プリンタによっては、扉を開放した状態では印刷ができないインターロックが働くこともある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、長尺の被印刷物に対して光硬化性のインクによって画像を形成でき、かつ、インクを硬化させる光が外部に漏れにくいインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するインクジェットプリンタは、被印刷物を支持する支持台と、前記支持台に支持された被印刷物に光硬化性のインクを吐出する記録ヘッドと、前記インクを硬化させる光を照射する光照射装置と、ケースと、前記ケースに支持された扉と、を備える。前記ケースは、前記支持台、前記記録ヘッド、および前記光照射装置を収容する収容空間と、前記収容空間に連通し少なくとも前記支持台の前方において開口した開口部と、を有している。前記扉は、前記開口部を開閉可能なように前記ケースに支持されている。前記扉は、第1部材と、第2部材とを備えている。前記第1部材は、前記光照射装置から照射される光が透過不能であって、開閉可能に前記ケースに接続され、前記開口部の一部を塞ぎまたは開放する。前記第2部材は、前記光照射装置から照射される光が透過不能かつ前記第1部材に着脱可能に構成され、前記第1部材に装着されることにより前記開口部の他の一部を塞ぎ、前記第1部材から離脱させることにより前記他の一部を開放する。前記開口部の前記他の一部は、前記支持台の前方に配置され、前記第2部材を前記第1部材から離脱させることにより、前記支持台に支持された長尺の被印刷物の一部を前記開口部よりも外側に出すことが可能なように構成されている。
【0007】
上記インクジェットプリンタによれば、第2部材を第1部材から離脱させることにより、開口部の他の一部が開放され、開放された部分から長尺の被印刷物を開口部の外部に出すことができる。そのため、支持台に支持させると扉を閉じることができない長尺の被印刷物に印刷を行うことができる。また、ケースには光照射装置から照射される光が透過不能な第1部材が開閉可能に接続されているため、印刷時には第1部材を閉じて、ケース外に漏れる光を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】フロントカバーを開けた状態のプリンタの正面図である。
【
図3】メンテナンスカバーを開けた状態のプリンタの斜視図である。
【
図4】第2部材を取り外した状態のプリンタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0010】
[プリンタの構成]
図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタと呼ぶ。)10を示す斜視図である。以下の説明では、特に断らない限り、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。プリンタ10の正面は、フロントカバー30が設けられた側である。ここでは、左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。主走査方向Yは左右方向である。符号Xは、副走査方向を示している。副走査方向Xは前後方向である。符号Zは、上下方向を示している。主走査方向Y、副走査方向X、および上下方向Zは、互いに直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0011】
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。本実施形態で使用されるインクは、光硬化性のインク、より詳しくは紫外線硬化型のインクである。光硬化性インクの成分、特性等は特に限定されない。
【0012】
図1に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されている。本実施形態では、プリンタ10は、ケース20と、フロントカバー30とを備えている。
図2は、フロントカバー30を開けた状態のプリンタ10を示す正面図である。
図2に示すように、ケース20は、フラットベッド60、記録ヘッド71、光照射装置73等を収容する収容空間S1を有している。収容空間S1は、箱状のケース20の内部空間である。ケース20には、開口部Op1が形成されている。開口部Op1は、収容空間S1に連通している。ここでは、開口部Op1は、収容空間S1の前方側および上方側に開口している。ただし、開口部Op1は、少なくとも収容空間S1に収容されたフラットベッド60の前方において開口していればよい。ケース20は、主として金属板で構成されている。ケース20は、光照射装置73から照射される光が透過不能なように構成されている。光照射装置73から照射される光は、インクを硬化させる紫外線を含んでいる。そのため、ケース20は、光照射装置73から照射される光を透過させないように構成されている。
【0013】
フロントカバー30は、ケース20の開口部Op1を開閉可能なように構成された扉である。フロントカバー30は、開口部Op1を開閉可能なようにケース20に支持されている。ここでは、ケース20は、フロントカバー30の後端部に設けられた回動軸45(
図5参照)を軸に回動可能なように、フロントカバー30を支持している。フロントカバー30には、窓部40Bが設けられている。窓部40Bは、ここでは、窓枠(後述する枠体40A)に固定された透明板48を備えている。窓部40Bは、収容空間S1内を視認可能に構成されている。ただし、窓部40Bは、光照射装置73から照射される紫外線は透過不能なように構成されている。窓部40Bには、例えば、紫外線を透過させない透明または半透明塗料が塗布されている。その結果、フロントカバー30は、光照射装置73から照射される光が透過不能な扉となっている。フロントカバー30の詳細については後述する。
【0014】
ケース20は、開口部Op1の側方、ここでは左方および右方に配置されたメンテナンス開口20Lおよび20R(
図3も参照)を備えている。左側のメンテナンス開口20Lおよび右側のメンテナンス開口20Rは、収容空間S1に連通している。左右のメンテナンス開口20Lおよび20Rには、メンテナンス開口20Lおよび20Rを開閉可能なようにケース20に支持されたメンテナンスカバー21Lおよび21Rがそれぞれ設けられている。右側のメンテナンスカバー21Rは、右端部を軸に前後方向に回動可能である。右側のメンテナンスカバー21Rは、右端部を軸に回動することにより、開閉する。左側のメンテナンスカバー21Lは、左端部を軸に前後方向に回動可能である。左側のメンテナンスカバー21Lは、左端部を軸に回動することにより、開閉する。
図3は、右側のメンテナンスカバー21Rを開けた状態のプリンタ10の斜視図である。
図3に示すように、右側のメンテナンスカバー21Rを開放すると、閉じた状態のフロントカバー30の右側面が露出する。右側のメンテナンスカバー21Rを閉じると、フロントカバー30の右側面は、メンテナンスカバー21Rに隠される。図示は省略するが、左側のメンテナンスカバー21Lは、左端部を軸に前後方向に回動することを除き、右側のメンテナンス開口20Rと同様に左側のメンテナンス開口20Lを開閉する。
【0015】
ケース20の内部には、フロントカバー30の開閉状態を検知する図示しないセンサが設けられている。センサの種類は限定されないが、例えば、フロントカバー30が閉じられるとボタンが押される機械式のスイッチである。本実施形態に係るプリンタ10は、フロントカバー30が閉じられていることがセンサによって検知されないと印刷を開始できないように構成されている。
【0016】
図2に示すように、プリンタ10の収容空間S1には、フラットベッド60と、ベッド移動装置61と、キャリッジ70と、記録ヘッド71と、光照射装置73と、キャリッジ移動装置80と、が設けられている。
【0017】
フラットベッド60は、被印刷物5を支持する支持台である。本実施形態に係るプリンタ10は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。ここでは、フラットベッド60は、収容空間S1において、主走査方向Yのほぼ中央に配置されている。フラットベッド60は、平板状の部材である。フラットベッド60は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びている。主走査方向Yは、フラットベッド60の幅方向の一例である。副走査方向Xは、フラットベッド60の奥行き方向の一例である。フラットベッド60の上面には、幅方向(主走査方向Y)に関して、被印刷物5を載置可能な載置可能エリアA1が設定されている。フラットベッド60の幅方向(主走査方向Y)に関する載置可能エリアA1は、フラットベッド60の幅方向(主走査方向Y)の全体であってもよく、一部であってもよい。
図2に示すように、載置可能エリアA1の幅方向(主走査方向Y)の長さをL1で表す。
【0018】
後述するが、本実施形態では、フラットベッド60の副走査方向Xの長さよりも副走査方向Xの長さが長い長尺の被印刷物5に印刷を行う場合がある。そのため、副走査方向Xに関するフラットベッド60の載置可能エリアA1は、フラットベッド60の奥行き方向(副走査方向X)の全体であってもよい。ただし、フラットベッド60上の後方側の一部は、載置可能エリアA1外であってもよい。
【0019】
フラットベッド60の下方には、ベッド移動装置61が配置されている。ベッド移動装置61は、フラットベッド60を副走査方向Xおよび上下方向Zに移動させる。フラットベッド60は、ベッド移動装置61によって下方から支持されている。ベッド移動装置61は、副走査方向移動機構61Xと、上下方向移動機構61Zとを備えている。上下方向移動機構61Zは、フラットベッド60を支持して上下方向Zに移動させる。上下方向移動機構61Zは、副走査方向移動機構61Xによって下方から支持されている。副走査方向移動機構61Xは、上下方向移動機構61Zを支持して副走査方向Xに移動させる。ただし、ベッド移動装置61の構成は限定されない。例えば、副走査方向移動機構61Xと上下方向移動機構61Zとは、上下の位置関係が逆でもよい。
【0020】
キャリッジ70は、記録ヘッド71を保持している。キャリッジ70は、フラットベッド60よりも上方に設けられている。キャリッジ70は、キャリッジ移動装置80によって主走査方向Yに移動される。キャリッジ移動装置80は、ガイドレール81と、ベルト82と、図示しない左右のプーリと、図示しないキャリッジモータと、を備えている。
【0021】
図2に示すように、ガイドレール81は、主走査方向Yに延びている。キャリッジ70は、ガイドレール81に摺動自在に係合している。キャリッジ70には無端状のベルト82が固定されている。ベルト82は、ガイドレール81の右側および左側に設けられた図示しないプーリに巻き掛けられている。一方のプーリには、図示しないキャリッジモータが取り付けられている。キャリッジモータが駆動するとプーリが回転し、ベルト82が走行する。それにより、キャリッジ70がガイドレール81に沿って主走査方向Yに移動する。
【0022】
図2に示すように、記録ヘッド71は、キャリッジ70の下面に設けられている。記録ヘッド71は、フラットベッド60と対向している。記録ヘッド71は、フラットベッド60に支持された被印刷物5に向かって光硬化性のインクを吐出する。光硬化性のインクは、ここでは、紫外線硬化インクである。
図3に示すように、記録ヘッド71は、複数のインクヘッド72を備えている。記録ヘッド71が有するインクヘッド72の数は特に限定されない。図示は省略するが、複数のインクヘッド72は、いずれも副走査方向Xに延びている。複数のインクヘッド72は、それぞれ、副走査方向Xに並ぶ複数のノズル(図示せず)を備えている。インクは、例えば圧電素子等の駆動によって圧力室が膨張/収縮することにより、ノズルから吐出される。
【0023】
光照射装置73は、キャリッジ70に搭載されている。光照射装置73は、記録ヘッド71から吐出されるインクを硬化させる光を照射する。光照射装置73は、光源73aと、下方を向いた照射口73bと、を備えている。光源73aは、例えば、紫外線照射LEDである。光源73aによって生成された光は、照射口73bを通過して、フラットベッド60上の被印刷物5に着弾したインクに照射される。これにより、インクが硬化する。
【0024】
[フロントカバーの構成]
以下では、フロントカバー30の詳細について説明する。以下のフロントカバー30の説明においては、特に断らない限り、方向はフロントカバー30が閉じられているときの方向のことを言う。本実施形態では、フロントカバー30は、開閉可能にケース20に接続された第1部材40と、第1部材40に着脱可能に構成された第2部材50と、を備えている。第1部材40は、開口部Op1の一部を塞ぎまたは開放する。第1部材40は、光照射装置73から照射される光が透過不能に構成されている。第2部材50は、第1部材40に装着されることにより開口部Op1の他の一部を塞ぎ、第1部材40から離脱させることにより開口部Op1の上記他の一部を開放する。ここでは、第2部材50は、第1部材40に装着されることにより、開口部Op1のうち第1部材40によって塞がれない部分を塞ぐ。また、第2部材50は、第1部材40から離脱させることにより、開口部Op1のうち第1部材40によって塞がれない部分を開放する。第2部材50も、光照射装置73から照射される光が透過不能なように構成されている。
【0025】
図4は、第2部材50を取り外した状態のプリンタ10の斜視図である。
図4および
図1に示すように、第1部材40は、フロントカバー30の上部を構成している。第2部材50は、第1部材40の下端に着脱され、第1部材40に装着されたときには、フロントカバー30の下部を構成する。第2部材50により構成されるフロントカバー30の下部は、フロントカバー30の前面も構成している。
図4に示すように、本実施形態に係るプリンタ10では、第2部材50を第1部材40から離脱させると、第2部材50が装着されていた部分に別の開口部Op2が開口する。以下では、この第2部材50を第1部材40から離脱させることにより形成される開口部を補助開口部Op2とも呼ぶ。補助開口部Op2は、収容空間S1の副走査方向Xの長さ(ケース20の副走査方向Xの長さ)よりも副走査方向Xの長さが長い長尺の被印刷物5に対して印刷するときに、被印刷物5を挿入する開口部である。
【0026】
図4に示すように、補助開口部Op2は、収容空間S1の前方側を開放する。補助開口部Op2は、フラットベッド60の前方に配置されている。補助開口部Op2は、第2部材50を第1部材40から離脱させることにより、フラットベッド60に支持された長尺の被印刷物5の一部を開口部Op1の外側に(すなわち前方に)出すことが可能なように配置されている。第2部材50を第1部材40から離脱させることにより、第1部材40を閉めた状態で長尺の被印刷物5をフラットベッド60上に載置することができる。これにより、フロントカバー30全体を開けた状態と比べて、光照射装置73から照射された光が収容空間S1外に漏れる量を少なくすることができる。
【0027】
ただし、被印刷物5の形状は特に限定されない。被印刷物5は、副走査方向Xの長さが短く、第2部材50が取り付けられた状態のフロントカバー30を閉じることができるような被印刷物であってもよい。被印刷物5は、平板状の他、様々な立体形状を有していてもよい。被印刷物5の材質も特に限定されず、被印刷物5は、例えば、木、金属、ガラス、紙、布などであってもよい。
【0028】
図2に示すように、開口部Op1の主走査方向Yの長さL2および第2部材50の主走査方向Yの長さL3は、ともに、フラットベッド60上の載置可能エリアA1の主走査方向Yの長さL1よりも長く設定されている。そのため、第2部材50を第1部材40から離脱させることにより形成される補助開口部Op2の主走査方向Yの長さは、載置可能エリアA1の主走査方向Yの長さL1よりも長い。これにより、載置可能エリアA1の幅(主走査方向Yの長さ)よりも幅が広い被印刷物5を、補助開口部Op2に挿入することができる。ここでは、補助開口部Op2の主走査方向Yの長さは、開口部Op1の主走査方向Yの長さL2と同じである。
【0029】
図5は、フロントカバー30の斜視図である。
図6は、フロントカバー30の側面図である。
図7は、第1部材40の斜視図である。
図7は、第2部材50を第1部材40から取り外した状態のフロントカバー30を示している。
図5および
図6に示すように、フロントカバー30は、第1部材40と第2部材50との境界部分で屈折している。第1部材40および第2部材50は、ともに略矩形の平板状の部材である。第2部材50が第1部材40に対して斜めに連結されることにより、フロントカバー30は、中央部で屈折している。
【0030】
第1部材40と第2部材50とは、複数のビスB1によって固定される。ビスB1は、第1部材40および第2部材50に着脱可能に構成された固定部材の一例である。ビスB1は、ここでは、第1部材40および第2部材50の左右の側面に着脱される。ビスB1は、第1部材40および第2部材50に装着されることにより第1部材40と第2部材50とを固定する。ビスB1は、第1部材40および第2部材50から離脱されることにより第2部材50を第1部材40から離反可能な状態とする。ここでは、ビスB1は、第2部材50の側面に設けられた貫通孔55に挿通されるとともに、第1部材40の側面に設けられたネジ孔47(
図7参照)に噛み合わされ、第1部材40と第2部材50とを固定する。第1部材40および第2部材50は、ビスB1を貫通孔55およびネジ孔47に装着することによって位置関係が定まるように構成されている。
【0031】
第1部材40のネジ孔47および第2部材50の貫通孔55は、軸線が主走査方向Yに一致している。ビスB1は、第1部材40および第2部材50に側方から装着または離脱される。ビスB1が装着されるフロントカバー30の左右の側面は、それぞれ、左右のメンテナンスカバー21L、20Rを閉じて左右のメンテナンス開口20L、20Rを閉塞した状態では、左右のメンテナンスカバー21L、20Rによって隠されている。これにより、プリンタ10の外観上の見栄えが良くなっている。
図3に示すように、フロントカバー30の右側面は、右側のメンテナンスカバー21Rを開け、右側のメンテナンス開口20Rを開放するすることにより露出する。メンテナンスカバー21Rは、閉じた状態においてビスB1を隠蔽し、開いた状態においてビスB1を露出させる。図示は省略するが、左側のメンテナンスカバー21Lも、右側のメンテナンスカバー21Rと同様に、開閉によりフロントカバー30の左側面を露出させ、または隠蔽する。左右のメンテナンスカバー21Rおよび21Lを開ければ、ビスB1は、フロントカバー30が閉まった状態(つまり、フロントカバー30がケース20に安定的に支持された状態)で第1部材40および第2部材50に着脱可能である。これにより、ユーザーは、ビスB1を着脱する作業を容易に行うことができる。
【0032】
次に、第1部材40および第2部材50の詳しい構成をそれぞれ説明する。
図7に示すように、第1部材40は、枠体40Aと窓部40Bとを備えている。枠体40Aは、少なくとも第1部材40の外周部を形成し、第1部材40の形状を維持する。ここでは、枠体40Aは、第1部材40の外周部を形成するように、平面視において略矩形の枠状に構成されている。枠体40Aは、環状に組み合わされた複数のフレーム部材(詳しくは、後述する前面上梁41U、前面下梁41D、右梁42R、左梁42L、および背面梁43)を備え、第1部材40の外周部を形成している。ただし、枠体40Aは、副走査方向Xまたは主走査方向Yに延びる他の梁や、斜交いを有していてもよい。窓部40Bは環状の枠体40Aの内方に設けられている。窓部40Bは、第1部材40に設けられているため、第2部材50が取り外された状態でもプリンタ10に残る。窓部40Bは、透明かつ、光照射装置73が照射する紫外線は透過不能に構成されている。これにより、光照射装置73からの紫外線を遮蔽しつつ、ケース20の収容空間S1を視認することが可能である。このように、第1部材40は、光照射装置73から照射される紫外線が透過不能かつ収容空間S1内を視認可能なように構成されている。
【0033】
図7に示すように、枠体40Aは、前面上梁41Uと、前面下梁41Dと、右梁42Rと、左梁42Lと、背面梁43と、右側板44Rと、左側板44Lと、一対の回動軸45と、目隠板46と、を備えている。前面下梁41D、右梁42R、左梁42L、および背面梁43は、それぞれコの字の金属板によって形成されている。右梁42Rおよび左梁42Lの前端部は、それぞれ、前面下梁41Dの右端部および左端部に接続されている。背面梁43は、右梁42Rおよび左梁42Lの後端部に接続されている。ここでは、右梁42Rと右側板44Rとは、溶接によって接合されている。左梁42Lと左側板44Lとは、溶接によって接合されている。
他の接合部は、ビス止めにより接合されている。ただし、枠体40Aの各部材の接合方法は、上記したものには限定されない。
【0034】
図8は、前面下梁41Dと右梁42Rとの接合部の斜視図である。
図8に示すように、右梁42Rは、コの字の金属板であり、上板42aと、上板42aに対向する下板42bと、上板42aと下板42bとを連結する側板42cと、を有している。前面下梁41Dも同様に、上板41aと、下板41bと、側板41cとを有している。枠体40Aは、第1の板状部(例えば上板42a)と、第1の板状部に対向する第2の板状部(例えば下板42b)と、第1の板状部と第2の板状部とを連結する連結部(例えば側板42c)と、をそれぞれ有する複数のフレーム部材41D、42R、42L、43を含んでいる。これにより、第1部材40の剛性を向上させている。コの字のフレーム部材が主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びていることにより、特に捩じりに対する第1部材40の強度が向上している。ここでは、各フレーム部材41D、42R、42L、43は、側板が第1部材40の側面を構成するように、側板を外方に向けて配置されている。なお、フレーム部材は、例えば、パイプ状やH字状であってもよい。フレーム部材は、パイプ状やH字状であっても、対向する一対の板状部と連結部とを備えるため、コの字と同様の効果を奏することができる。または、フレーム部材は、T字状やL字状に構成されていてもよい。
【0035】
図6に示すように、一対の回動軸45は、背面梁43の内部(一対の板状部の間の空間)に挿入されている。一対の回動軸45は、それぞれ、右梁42Rおよび左梁42Lよりも主走査方向Yの外方に突出し、主走査方向Yに延びている。一対の回動軸45がケース20に回動可能に支持されることにより、第1部材40は、後端部を軸に前後方向に回動可能となっている。
【0036】
右側板44Rは、右梁42Rに溶接されている。右側板44Rは、平板状の金属板である。
図6に示すように、右側板44Rは、側面視において、前方側に向かって広がる略三角形の形状を有している。右梁42Rは、右側板44Rの下辺に沿って延びている。
図7に示すように、右側板44Rの前端から所定の距離の場所には、上下一対のネジ孔47が設けられている。左側板44Lも、右側板44Rと同様に構成されている。右側板44Rの前方上側の隅と、左側板44Lの前方上側の隅との間には、前面上梁41Uが架け渡されている。前面上梁41Uと右側板44R、前面上梁41Uと左側板44Lは、それぞれネジで締結されている。前面上梁41Uにより、右側板44Rおよび左側板44Lの上部の強度が補強されている。
【0037】
目隠板46は、屈折した板状の部材であり、右梁42R、左梁42L、および背面梁43に固定されている。目隠板46の後方部分は、背面梁43の背面に固定されている。目隠板46の前方部分は後方部分から屈折し、右側板44Rおよび左側板44Lの上辺と略平行に延びている。目隠板46の前方部分の左右の側面は、それぞれ、左側板44Lおよび右側板44Rに固定されている。目隠板46は、背面梁43の内部構造が見えないようにする部材である。目隠板46は、枠体40Aの強度を向上させる役割も担っている。
【0038】
窓部40Bは、収容空間S1を視認可能な透明板48を備えている。透明板48は、枠体40Aによって支持されている。透明板48は、枠体40Aに被せられている。透明板48のうち、枠体40Aと重なっていない部分、すなわち環状の枠体40Aの内方が窓部40Bを構成する。透明板48は、枠体40Aと同じか、ほぼ同じ大きさを有している。透明板48は、枠体40Aにプラスチックリベットによって固定されている。透明板48は、例えば、透明アクリル板によって形成されている。ただし、透明板48の材質は、透明であって、光照射装置73が照射する紫外線を透過させない材料であれば特に限定されない。
【0039】
第2部材50の主要部分は、1枚の金属板が曲げられて形成されている。第2部材50は、前面51と、前面51の右端および左端から後方に向かって延びる一対の側面52R、52Lと、前面51の下端から後方に向かって延びる底面53と、を有している。前面51の下端近くには、ユーザーがフロントカバー30を開閉するときに把持する把手54が設けられている。
【0040】
第2部材50が第1部材40に装着されている状態では、第2部材50の右側面52Rおよび左側面52Lは、第1部材40の右側板44Rおよび左側板44Lの外方(それぞれ、右方および左方)に位置している。右側面52Rの上端付近には、上下一対の貫通孔55が設けられている。一対の貫通孔55は、第1部材40の一対のネジ孔47に対応している。前述したように、ビスB1を貫通孔55に挿通し、さらにネジ孔47に締結することにより、第1部材40と第2部材50とは固定される。左側面52Lの上端付近にも、同様の一対の貫通孔55が設けられている。
【0041】
フラットベッド60に載置してもフロントカバー30を閉じることができる被印刷物5に対して印刷を行う場合、第2部材50は第1部材40に装着されている。これがプリンタ10の通常の状態である。フラットベッド60に載置するとフロントカバー30を閉じることができない長尺の被印刷物5に対して印刷を行う場合、第2部材50は第1部材40から取り外される。詳しくは、ユーザーは、メンテナンスカバー21Rおよび21Lを開けてフロントカバー30の側面を露出させ、ビスB1を取り外す。その後、ユーザーは、第1部材40から第2部材50を取り外す。これにより、補助開口部Op2が開口する。続いてユーザーは、補助開口部Op2から長尺の被印刷物5を収容空間S1内に差し入れ、フラットベッド60に載置する。または、長尺の被印刷物5をフラットベッド60に載置した後に、第1部材40を閉める。これにより、長尺の被印刷物5に対して印刷を行うことが可能となる。
【0042】
本実施形態では、フロントカバー30の開閉状態を検知するセンサは、第1部材40の開閉状態を検知するように構成されている。第2部材50を取り外しても第1部材40の状態は変化しないため、第1部材40を閉じるとセンサが反応する。従って、本実施形態では、第1部材40を閉じることにより、フロントカバー30が閉状態でないと印刷ができないインターロックが解除される。なお、センサは、第1部材40に取り付けられ、ケース20を検知するように構成されていてもよい。
【0043】
[実施形態の作用効果]
以下では、本実施形態に係るプリンタ10が奏することができる作用効果について説明する。本実施形態では、フロントカバー30は、光照射装置73から照射される光(紫外線)が透過不能であって、開閉可能にケース20に接続され、開口部Op1の一部を塞ぎまたは開放する第1部材40を備えている。フロントカバー30は、また、光照射装置73から照射される光が透過不能かつ第1部材40に着脱可能に構成され、第1部材40に装着されることにより補助開口部Op2を塞ぎ、第1部材40から離脱させることにより補助開口部Op2を開放する第2部材50を備えている。補助開口部Op2は、フラットベッド60の前方に配置され、第2部材50を第1部材40から離脱させることにより、フラットベッド60に支持された長尺の被印刷物5の一部を開口部Op1の外側に出すことが可能なように構成されている。かかるプリンタ10によれば、第2部材50を第1部材40から離脱させることにより、フラットベッド60に支持させるとフロントカバー30を閉じることができない長尺の被印刷物5に印刷を行うことができる。また、ケース20には第1部材40が開閉可能に接続されているため、印刷時には第1部材40を閉じることができる。よって、フロントカバー30全体を開ける場合と比べて、印刷中にケース20の外部に漏れる光を抑制することができる。
【0044】
フラットベッド60は、所定の幅方向(ここでは、主走査方向Y)および奥行き方向(ここでは、副走査方向X)に延びるとともに、幅方向に関して、被印刷物5を載置可能な載置可能エリアA1が設定されている。本実施形態では、開口部Op1の幅方向の長さL2および第2部材50の幅方向の長さL3は、載置可能エリアA1の幅方向の長さL1よりも長い。よって、補助開口部Op2の幅方向の長さは、開口部Op1の長さL2および第2部材50の長さL3のうちの狭い方となる。この補助開口部Op2の幅方向の長さは、載置可能エリアA1の幅方向の長さL1よりも長い。そのため、かかるプリンタ10によれば、載置可能エリアA1の幅(主走査方向Yの長さ)よりも幅が広い被印刷物5に対して印刷を行うことができる。
【0045】
本実施形態では、第1部材40は、光照射装置73から照射される紫外線が透過不能かつ収容空間S1内を視認可能なように構成されている。かかる構成によれば、光照射装置73からの光がケース20外に漏れることを抑制しつつ、収容空間S1内を視認することが可能である。
【0046】
詳しくは、第1部材40は、環状に組み合わされた複数のフレーム部材41U、41D、42R、42L、および43を備え第1部材40の外周部を形成する枠体40Aと、枠体40Aによって支持され収容空間S1を視認可能な透明板48と、を備えている。かかる構成によれば、枠体40Aがフレーム部材41U、41D、42R、42L、および43により形成されているため、第1部材40の剛性が向上する。第1部材40の剛性は、右梁42R、左梁42L、および背面梁43に接続された目隠板46によっても向上されている。そのため、第2部材50と連結しなくても第1部材40の形状を維持することができる。すなわち、従来の典型的なフロントカバーの構成では、枠体がフレーム部材により形成されておらず、第1部材に相当する部分は、単独で形状を維持できる剛性を備えていなかった。そのため、第1部材に相当する部分と第2部材に相当する部分との間には、両者の間を連結する略三角形の補強部材が設けられていた。しかし、本実施形態では、その点を見直し、フレーム部材41U、41D、42R、42L、および43を使った枠体40Aによって、第1部材40が単独で形状を維持できるようにしている。よって、第1部材40と第2部材50との間を補強する補強部材がなくても第1部材40が単独で形状を維持できる。従って、フロントカバー30を閉じることができない長尺の被印刷物5に印刷を行う際に、第1部材40はケース20に取り付けたままで、第1部材40から第2部材50のみを取り外すことができる。よって、フロントカバー30を取り外す場合に比べて、長尺の被印刷物5に印刷を行う際の作業性を向上させることができる。
【0047】
また、枠体40Aに透明板48を取り付けることで、第1部材40の視認性を確保することができる。第1部材40は長尺の被印刷物5に印刷を行う場合であっても、ケース20に接続された状態となっている。このため、第1部材40の視認性を確保できれば、第1部材40により開口部Op1の一部が閉塞されている場合であっても、印刷状態を確認できる。よって、枠体40Aに視認不可能な板材が取り付けられる場合に比べて、印刷作業における作業性を向上できる。
【0048】
本実施形態では、ケース20は、開口部Op1の側方に配置されたメンテナンス開口20Lおよび20Rを備えている。プリンタ10は、メンテナンス開口20Lおよび20Rをそれぞれ開閉可能なようにケース20に支持されたメンテナンスカバー21Lおよび21Rを備えている。第1部材40および第2部材50に装着されることにより第1部材40と第2部材50とを固定し、第1部材40および第2部材50から離脱されることにより第2部材50を第1部材40から離反可能な状態とするビスB1は、本実施形態では、第1部材40および第2部材50の側面に着脱される。そして、メンテナンスカバー21Lおよび21Rは、閉じた状態においてビスB1を隠蔽し、開いた状態においてビスB1を露出させる。かかる構成によれば、フロントカバー30およびメンテナンスカバー21R、21Lを閉じた状態では、ビスB1が見えないため、プリンタ10の外観上の見栄えが良い。
【0049】
以上、好適な一実施形態について説明した。しかし、本発明のインクジェットプリンタは、上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、プリンタ10はフラットベッドタイプのプリンタであったが、プリンタの構成は特に限定されない。例えば、ここに開示される技術は、固定された支持台(例えば、プラテン)を備え、支持台上の被印刷物を副走査方向に搬送するタイプのプリンタに対して適用されてもよい。その場合、上記した実施形態のケース20に対応する部材は、例えば、光照射装置を隠すように支持台の上方に設けられた囲い(ケース)であってもよい。フロントカバー30に対応する部材は、例えば、囲いを開閉する可動式のパネルであってもよい。
【0050】
上記した実施形態では、第2部材50は、フロントカバー30の下方部分の全体を構成していた。そのため、第2部材50を外すと、下方部分全体がフロントカバー30からなくなった。しかし、第2部材は、例えば、第1部材に窓状に嵌め込まれていてもよい。その場合、第2部材を離脱させることにより、フロントカバーには、窓状の補助開口部が開口する。また、第2部材は、例えば、第1部材に装着されたまま移動(例えば、上下方向にスライド)し、補助開口部は、この第2部材の移動によって開口してもよい。すなわち、かかる形態では、第2部材は通常は補助開口部を塞ぎ、移動させると補助開口部を開放してもよい。
【0051】
第1部材と第2部材とを固定する手段は、特に限定されない。第1部材と第2部材とは、例えば、フックやクランプによって固定されてもよい。第1部材および第2部材の構造も上記したものには限定されない。
【0052】
上記した実施形態では、プリンタ10は、シャトルヘッド方式のプリンタであり、キャリッジ70を主走査方向Yに移動させるキャリッジ移動装置80を備えていた。しかし、ここに開示される技術は、キャリッジが移動しないラインヘッド方式のプリンタにも適用することができる。
【0053】
その他、特に言及がない限り、上記した実施形態は本発明を限定しない。
【符号の説明】
【0054】
5 被印刷物
10 インクジェットプリンタ
20 ケース
20L、20R メンテナンス開口
21L、21R メンテナンスカバー(メンテナンス扉)
30 フロントカバー(扉)
40 第1部材
40A 枠体
40B 窓部
50 第2部材
60 フラットベッド(支持台)
71 記録ヘッド
73 光照射装置
A1 載置可能エリア
Op1 開口部
Op2 補助開口部
S1 収容空間